JP2706742B2 - 鉄筋コンクリート階段の施工法とこれに用いる階段手摺プレキャストコンクリート版及び階段段型枠 - Google Patents

鉄筋コンクリート階段の施工法とこれに用いる階段手摺プレキャストコンクリート版及び階段段型枠

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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、鉄筋コンクリート階段の施工法とこれに用
いる階段手摺プレキャストコンクリート版及び階段段型
枠に関するものである。
「従来の技術と発明が解決しようとする課題」 近年、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造
等の建物では、プレキャストコンクリート版の使用が多
くなってきている。
しかし、段階部分等の複雑で凹凸の多い部分や細分化
できない部分のプレキャストコンクリート化には、 運搬が困難である。
運搬時、組立て時に損傷し易い。
組立てが容易でない。
ノンスリップ付き階段の場合、コンクリート打設時の
型枠固定方法に難点がある。
側面アンカー鉄筋が必要な場合、型枠が複雑になる。
工場生産に一定限度があるため、時には工場生産が需
要に十分対応できず、工期が長引くことがある。
等々の問題点がある。
無論、現場施工のみに頼れば、上述のようなことはな
いが、周知の通り、 階段及び階段手摺の型枠の組立て、解体に甚だ手間が
かかる。
型枠の解体材、転用材等が常に階段室に置かれるた
め、通行に支障をきたす場合が多い。
階段の踏面・蹴上げモルタルを2回以上塗る必要があ
り、工事中の通路通行止めは作業の支障となる。
等々の問題点がある。
本発明は、これらの問題点を解決し、施工性、経済性
を向上させようとするものである。
「課題を解決するための手段」 本発明の請求項第1項の鉄筋コンクリート階段の施工
法は、周壁で囲まれた階段室内中央部に階段側桁を兼ね
る階段手摺をプレキャストコンクリート版で形成して建
込み、該階段手摺プレキャストコンクリート版と周壁と
の間の適所に階段揚裏型枠を組立て、該階段揚裏型枠の
上に所定の配筋を施し、該配筋上に一体乃至数体の分割
体に形成された転用可能な鋼製の階段段型枠を配して支
保し、該階段段型枠と上記階段段揚裏型枠との間にコン
クリートを打設し、所定強度発現後、その階段段型枠及
び階段揚裏型枠を撤去して、打設コンクリートを養生硬
化させることを特徴とする。
請求項第2項の階段手摺ピレキャストコンクリート版
は、階段手摺及び階段側桁に適合する外形を備えたプレ
キャストコンクリート版を形成し、該プレキャストコン
クリート版の側桁部に階段の配筋を支持させる適数のイ
ンサートを配備させ、また、上端と下端に接続金物を装
備させたことを特徴とする。
また、請求項第3項の階段段型枠は、階段の踏面及び
蹴上げを形成する転用可能な鋼製型枠を設け、該型枠の
踏面部の適所に通気孔を穿設し、かつ、外面適所に吊り
金物を付設したことを特徴とする。
「作用」 如上の構成であるから、階段手摺プレキャストコンク
リート版と現場施工の階段本体は、それぞれが持つ長所
を発揮し、また、階段段型枠は従来の型枠の不都合を排
して、所期目的の達成を可能ならしめる。
「実施例」 図面は、折れ階段に係る本発明の実施例を示してい
る。
第1図は、階段室1内の中央部に建込んだ階段手摺プ
レキャストコンクリート版2に、鉄筋コンクリートの折
れ階段本体3を現場施工にて一体に連設した本発明によ
る鉄筋コンクリート折れ階段を示す。
なお、上記階段本体3は、階段室1の周壁乃至小梁に
も従来同様に一体に連設させる。この点については、従
来同様につき説明を省略する。
階段手摺プレキャストコンクリート版2は、各階の階
高に適する高さを有し、その上部に折れ階段本体3の上
位段部3aを、また、下部に折れ階段本体3の下位段部3b
を連設するものとして、第3図乃至第5図に示すよう
に、上位段手摺部2a、上位段側桁部2b、下位段手摺部2c
及び下位段側桁部2dに適合する側面形状(ほぼC字状)
と所要厚さに形成し、上位段側桁部2bの一面と下位段側
桁部2dの他面に、折れ階段本体3の上位段部3aと下位段
部3bの配筋31を支える多数のインサート21……を2列に
配し、水平な上端面に鋼製プレートによる一対の接続金
物22,22を突設し、かつ、これらに対応する水平の下端
面に一対の切欠き22,23を設けるとともに、該切欠き内
に同様の接続金物24,24を設けている。
上記階段手摺プレキャストコンクリート版2は、現場
サイトで製造し、内部に、鉄筋を縦横に組んだメッシュ
筋25を配し、更に、その中間部には鉄筋を斜めに組んだ
補強用メッシュ筋26を配している。また、インサート21
……を2列に配列している部分には凹溝27,27を形成し
ている。
上端面と下端面の接続金物22,22,24,24は、基部をそ
の階段手摺プレキャストコンクリート版2のコンクリー
ト中に植設して、アンカー筋28,28で抜け止めし、突出
部にはそれぞれ上下2個の透孔221,221,21,241を穿設し
ており、その一方を縦長、他方を横長の長孔に形成して
いる。
現場サイトで斯様に製造した階段手摺プレキャストコ
ンクリート版2は、階段室1内の中央部へと建込み、次
いで、折れ階段本体3を現場施工するが、その施工手順
は次の通りである。
I.製造した階段手摺プレキャストコンクリート版2は、
上端面の接続金物22,22に玉掛けワイヤーを掛けてクレ
ーン等で吊り上げることにより階段室1内の中央部へと
建入れ、下端面を先行した階段手摺プレキャストコンク
リート版2の上端面又は基版上に載せ、第6図に示すよ
うに、それらから上方へと突出する接続金物22,22に対
し下端面の接続金物24,24をボルト・ナット29,29で接合
し、残る切欠き23,23をモルタル4で塞ぐ。
II.上位段部3a、下位段部3b及び踊り場3cの階段揚裏型
枠5を組立てる(第2図)。なお、支保工は既存の手段
でよい。
III.上記階段揚裏型枠5の上に所定の配筋31を施す(第
2図)。この際、上位段部3aと下位段部3bの横筋を階段
手摺プレキャストコンクリート版2に配した多数のイン
サート21……に接続する。なお、周壁の側は、周壁から
あらかじめ突出させた鉄筋へと溶接等で接合する。
IV.上位段部3aと下位段部3bの配筋31の上にそれぞれ左
右二体から成る鋼製の階段段型枠6,7を配して、角パイ
プ9……等を以て適宜に支保する(第2図、第7図乃至
第12図)。
V.型枠内へとコンクリートを打設し、バイブレータ等を
用いて空白部が生じないよう十分に詰め込む。
VI.打設後、所定期間が経過して所定強度が発現したと
ころで、階段段型枠6,7及び階段揚裏型枠5を撤去し、
次回の転用に供する。
VII.表面仕上げを施し、各段の踏面先端にそれぞれノン
スリップ8……を付設する(第1図)。
ところで、第7図乃至第10図に示す上位段部3a用の階
段段型枠6と、第11図、第12図に示す下位段部3b用の階
段段型枠7とは、段数が少々異なることを除けば同じで
ある。
これらの階段段型枠6,7は、着脱の便宜上、それぞれ
左右二体6a,6b,7a,7bから成り、各型枠は、段状パネル6
1,71の周縁を背後に配した枠体62,72で支え、該枠体の
適所に数本の桟63……,73……をわたし、これらの桟に
適宜に吊り金物64……,74……を溶接して、これらの吊
り金物に玉掛けワイヤーを掛け、クレーン等で吊り上げ
ることにより、着脱できるようにしている。
また、各段状パネル61,71には、踏面部分の適所に複
数の通気孔68……,78……を穿設して、コンクリート打
設時の排気を得、十分な充填が得られるようにしてい
る。
更に、各段状パネル61,71の内面には、左右外側の縁
部に側溝成形用型材65,65,75,75を付設するとともに、
一方の内側の縁部に敷き目板66,76を付設して合わせ目
を閉じるようにし、かつ、各踏面先端部分にそれぞれノ
ンスリップ取付け凹部成形用型材67……,77……を付設
している。
「発明の効果」 請求項第1項の発明によれば、階段手摺及び階段側桁
に係る階段手摺プレキャストコンクリート版を用いるの
で、現場における型枠の組立て・解体を大幅に低減で
き、型枠の解体材、転用材等が階段室に置かれることに
よる通行の支障を少なくでき、その階段手摺プレキャス
トコンクリート版は、平坦な版体に形成できるから、運
搬及び組立てが容易にかつ損傷少なく行え、また、階段
本体が現場施工であるから、建込んだ階段手摺プレキャ
ストコンクリート版とは簡単にかつ確実に一体化させる
ことができ、しかも、側面アンカー鉄筋等が不要で型枠
を簡潔にできる。更に、踏面、蹴上げを転用可能な鋼製
の階段段型枠で成形するので、打設コンクリートを十分
にかつ適確に充填できて、良好な下地成形が得られ、仕
上げモルタルの塗布を1回に低減でき、これに伴い工事
中の通路通行止め期間も短縮でき、また、ノンスリップ
付きであっても支障なく成形でき、その型枠着脱・転用
はきわめて容易かつ迅速に行え、その上、工場生産に一
定限度のあるプレキャストコンクリート版の不都合を極
力低減でき、工期を短縮でき、コストダウンできる。
請求項2項によれば、階段手摺プレキャストコンクリ
ート版としての上述の効果に加え、側桁部にインサート
を配備しているので、階段の配筋を連結させることがで
きて、階段本体との一体化をより強固にでき、また、上
端と下端に接続金物を有するので、該接続金物を以て適
確に接合できることは勿論、建込みの際には吊り金物と
して利用できて便利である。
請求項第3項の発明によれば、階段段型枠としての上
述の効果の他、踏面部の適所に通気孔を穿設しているの
で、コンクリート打設時には、内部の空気を速やかに排
出させることができて、コンクリートを隅々まで空白な
く適切に充填でき、また、外面適所に吊り金物を付設し
ているので、該吊り金物を以てクレーン等で容易に吊り
上げることができ、型枠着脱に便利である。
【図面の簡単な説明】
図面は、本発明の実施例で、第1図は、鉄筋コンクリー
ト階段の截断側面図、第2図は、同施工中の截断側面
図、第3図は、階段手摺プレキャストコンクリート版の
拡大側面図、第4図は、同正面図、第5図は、第3図V
−V線の要部拡大断面図、第6図は、接合状態を示す要
部拡大断面図、第7図は、上位段部用階段段型枠の平面
図、第8図は、第7図VIII−VIII線の断面図、第9図
は、第7図IX−IX線の拡大断面図、第10図は、第8図X
−X線の拡大断面図、第11図は、下位段部用階段段型枠
の平面図、第12図は、第11図XII−XII線の断面図であ
る。 1……階段室 2……階段手摺プレキャストコンクリート版 2a……上位段手摺部、2b……上位段側桁部 2c……下位段手摺部、2d……下位段側桁部 3……折れ階段本体、3a……上位段部 3b……下位段部、3c……踊り場 4……モルタル、5……階段揚裏型枠 6,7……階段段型枠、8……ノンスリップ 9……角パイプ、21……インサート 22,24……接続金物、23……切欠き 25……メッシュ筋、26……補強用メッシュ筋 27……凹溝、28……アンカー筋 29……ボルト・ナット、31……配筋 61,71……段状パネル、62,72……枠体 63,73……桟、64,74……吊り金物 65,75……側溝成形用型材、 66,76……敷き目板 67,77……ノンスリップ取付け凹部成形用型材 68,78……通気孔、221,241……透孔

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周壁で囲まれた階段室内中央部に階段側桁
    を兼ねる階段手摺をプレキャストコンクリート版で形成
    して建込み、該階段手摺プレキャストコンクリート版と
    周壁との間の適所に階段揚裏型枠を組立て、該階段揚裏
    型枠の上に所定の配筋を施し、該配筋上に一体乃至数体
    の分割体に形成された転用可能な鋼製の階段段型枠を配
    して支保し、該階段段型枠と上記階段揚裏型枠との間に
    コンクリートを打設し、所定強度発現後、その階段段型
    枠及び階段揚裏型枠を撤去して、打設コンクリートを養
    生硬化させることを特徴とする鉄筋コンクリート階段の
    施工法。
  2. 【請求項2】階段手摺及び階段側桁に適合する外形を備
    えたプレキャストコンクリート版を形成し、該プレキャ
    ストコンクリート版の側桁部に階段の配筋を支持させる
    適数のインサートを配備させ、また、上端と下端に接続
    金物を装備させたことを特徴とする階段手摺プレキャス
    トコンクリート版。
  3. 【請求項3】階段の踏面及び蹴上げを形成する転用可能
    な鋼製型枠を設け、該型枠の踏面部の適所に通気孔を穿
    設し、かつ、外面適所に吊り金物を付設したことを特徴
    とする階段段型枠。
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