JP2843076B2 - フェイスクランプチャック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、旋盤用のフエイスクランプチャックに関
するものである。

〔従来の技術〕

フエイスクランプチャックは旋盤の主軸に固定するチ
ャック本体の前面に、回動および進退自在の複数のチャ
ック爪を取付け、本体の前面に当てがったワークの前面
をこのチャック爪により本体の前面に押え付けて固定す
るものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記のようなフェイスクランプチャックにおいては、
ワークの表面をチャック本体の前面または同本体の前面
に固定したワークストッパに押しつけて固定するもので
あるから、正確なセンタリングが行えないという問題が
あった。

この発明の課題は、上記のような従来のフェイスクラ
ンプチャックの問題点を解決して正確なセンタリングが
行えるようにすることにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この発明は、中空のチ
ャック本体の正面外周寄りに、前進時にアンクランプ位
置となり、後退時にクランプ位置となる複数のクランプ
爪を設け、上記チャック本体の正面中央部には、中心部
が適宜の駆動手段により前進または後退するダイヤフラ
ムを同芯かつ進退自在に取り付け、このダイヤフラムの
前面には、ダイヤフラムの中心部が前進したときリング
状ワークの内側に圧着して、ワークの芯出しを行う複数
のセンタリング用爪を取り付けたフェイスクランプチャ
ックにおいて、前記チャック本体の前部に設けたガイド
筒内に、前記ダイヤフラムと共に進退する進退板を設
け、この進退板の前面と、前記ガイド筒の前壁後面に
は、進退板の前進時に互いに係合する放射状の係合凹凸
を有するリング状カップリングをそれぞれ同芯に固定し
たのである。

〔作用〕

この発明のフェイスクランプチャックにおいては、先
ず、各クランプ爪をアンクランプ位置とし、ダイヤフラ
ムが後退位置にある条件において、所望のリング状ワー
クを本体の前面に当てがう。

つぎに、ダイヤフラムと共に進退板を前進させ、ダイ
ヤフラムの前面の各センタリング用爪をワーク内に入れ
る。

上記のように各センタリング用爪がワーク内に安全に
入った条件でダイヤフラムの中心を押すか、ダイヤフラ
ム自身の復元力により各センタリング用爪を拡開させる
と、この各センタリング用爪がワークの内周に圧着して
ワークのセンタリングを行う。

その際、進退板の前面と前記ガイド筒の前壁後面に設
けた対のカップリングが係合するので、その進退板に
（ダイヤフラムを介して）設けられた各センタリング用
爪の位置決めが正確に行われる。

ワークのセンタリングを終えると、クランプ爪を作動
させてワークをチャック本体の前面に押しつけて固定す
る。

ワークをチャッキングすると、ダイヤフラムの中心部
を引き込ませる。そうすると、各センタリング用爪が内
側に寄って、ワークの内周から離れる。

上記のようにセンタリング用爪がワークの内周から完
全に離れた状態で、ダイヤフラムを後退させると、各セ
ンタリング用爪はワークの後方へ離脱するので、チャッ
ク本体を回転させて、ワークの所望部の加工を行う。

〔実施例〕

図面に示す実施例において、１は旋盤の主軸（図示省
略）の前端に固定した中空のチャック本体で、その正面
に固定した複数の長い筒状ブラケット４内に回動自在の
軸２を取付け、この各軸２の先端にクランプ爪３を固定
する。

５は本体１の中央に設けた管状の進退軸で、この進退
軸５を図示省略してある油圧シリンダにより進退させる
ようになっている。

６は本体１内に進退自在に取付けた進退部材で進退軸
５とともに進退し、この進退部材６の外周寄りに固定し
た複数の雌ネジ７に前記軸２の後部の雄ネジ８が螺合
し、かつ軸２の中間部には鍔９が設けてある。

上記軸２の後端の雄ネジには大径のナットからなる受
部材10をネジ込んで固定し、この受部材10で後退してき
た進退部材６を受けるようにしてある。

第３図のように各軸２の後端には凹孔11を設けてこの
凹孔を押圧部材12を進退自在に装着し、この部材12をバ
ネ13によって後方に押して、本体１の後壁14に設けた凹
入状の受部15に圧着せしめる。

なお、前記雌ネジ７、雄ネジ８はリード角が約45゜と
きわめて大きくした多口ネジである。

また、前記後壁14の前面一部にはガイドピン16を固定
し、このピン16を前記進退部材６のガイド孔17に挿入し
て進退部材６の回り止めとする。

18は本体１の前面に同芯に固定した円筒状のガイド筒
で、その内部に円板状の進退板19を装着する。

20は前記進退軸５内に遊挿した進退管で、この進退管
20の前端の小径部を進退板19の中心の穴に遊嵌せしめ、
進退管20の外側一部に固定したスライドキー24を進退軸
５の内周のキー溝29に係合させる。

21は進退板19の前部中央に同芯一体に設けたシリンダ
で、このシリンダ21内の後部に設けた凹所22に前記進退
管20の前端の小径部を突出させて、この部分外周の雄ネ
ジにナット23をねじ込む。

上記進退板19の中心の後面中央に設けた凹所25にはリ
ング26をはめて、このリング26と進退管20の段部間には
めたリング27の前面の球面をリング26の後面の凹入球面
に接触させることにより、進退板19が進退管20に対して
若干の範囲で任意の方向に浮動できるようにしてある。

上記進退管20は、前記進退軸５の駆動用油圧シリンダ
とは別の油圧シリンダ（図示省略）により進退させる。

上記シリンダ21内の後部には上記凹所22を閉じる円板
状底板28を気密に保って固定し、上記進退管20内に挿入
した給排気管30を進退管20の前端から突出させて、その
先端を気密を保って前記底板28の中心孔に挿入してシリ
ンダ21内に開口せしめる。

上記給排気管30は進退しないもので、その後端は図示
省略してある圧縮空気制御装置に接続する。

上記シリンダ21の前端には円板状のダイヤフラム基板
31を固定し、この基板31の前部外周ににダイヤフラム32
の外周を固定する。

第３図の33はシリンダ21に嵌装したピストンで、その
前面中央に一体に設けたロッド34の先端の小径部35をダ
イヤフラム32の中心孔に遊挿し、この小径部32の先端に
は大径の座金36をネジ止めして、ロッド34の先端とダイ
ヤフラム32の中心とを若干の遊びを有する状態で連結す
る。

前記進退板19の外周一部には前後方向の溝37を設け、
ガイド筒18の一部をネジ孔にねじ込んだネジ38の内端の
突部を溝37に係合させて、若干の遊びを有する状態の回
り止めとする。

また、ガイド筒18の前端には、中央を前記シリンダ21
が貫通する前壁39を固定し、前進板19の前面と、前壁39
の後面には後退板19の前進時に互に係合するように形成
した、断面が台形の放射状係合凹凸40、41を有するリン
グ状カップリング42、43をそれぞれ固定する。

前記ダイヤフラム32は高級合金鋼を用いた高い弾性復
元精度を有するもので、その前面に複数のセンタリング
用爪44を固定してある。

つぎに上記実施例の作用を説明すれば、最初は第２図
の鎖線のように各クランプ爪３が横向きのアンクランプ
位置となり、第１図の鎖線のように進退部材６が本体１
の前壁内面に接しているとき、軸２の鍔９はブラケット
４と部材６に挟まれている。

また、進退板19も後退位置にあり、ダイヤフラム32も
後退位置となり、その中心部は凹入しているから各セン
タリング爪44は中央側へ寄っている。

この状態でリング状ワーク45を本体１の前面に固定し
た複数のワークストッパ46に当てがい、図示省略してあ
る油圧シリンダを働かせて進退管20を前進させると、ダ
イヤフラム32も進退板19と共に進退して、その各センタ
リング用爪44がワーク45の内側に進入する。

つぎに、給排気管30を通じ、圧縮空気をシリンダ21内
の後部に供給してピストン33を前進させると、そのロッ
ド34がダイヤフラム32の中央部を押し出して各センタリ
ング爪44を外方へ移動させる。このため、各爪44がワー
ク45の内周に圧着して、ワーク45のセンタリングを行
う。

上記のように各センタリング爪44がワーク45の内周に
接触した状態で、図示省略してある油圧シリンダを働か
せて進退軸５を後退させる。

このとき押圧部材12は受部15に接していてバネ13によ
る抵抗のため、軸２の後退がなく、また、進退部材６は
本体１に対し、回転不可であるため、リード角の大きい
雌ネジ７と雄ネジ８の作用で、軸２とクランプ爪３は回
動のみ行ない進退部材６が受部材10に当たったときは各
クランプ爪３は約90゜回転して第２図の実線の位置とな
る。

上記のように各クランプ爪３が約90゜回転したとき、
進退部材６が各軸２の受部材10に圧着して後退部材６、
軸２、クランプ爪３が一体となって後退し、内向きにな
っている。各クランプ爪３がワーク45を各ワークストッ
パ46に圧着して固定する。

上記のようにワーク45がクランされたのち、シリンダ
21内後部の圧縮空気を排気すると、ダイヤフラム32の復
元作用で、この中心部が凹み、各センタリング爪44が中
心方向に移動してワーク45から離れる。

そののち、後退管20を後退させて、各センタリング爪
44をワーク45の後方へ完全に離脱させる。

上記のようなワーク45の固定状態で、チャック本体１
を回転させてワーク45を加工したのち、後退軸５を進退
させると各部は締付時の逆に作動し、各クランプ爪３が
アンクラ位置に戻ってワーク45を外すことができる。

〔発明の効果〕

この発明は上記のように、中空のチャック本体の正面
外周寄りに、前進時にアンクランプ位置となり、後退時
にクランプ位置となる複数のクランプ爪を設け、上記チ
ャック本体の正面中央部には、中心部が適宜の駆動手段
により前進または後退するダイヤフラムを同芯かつ進退
自在に取り付け、このダイヤフラムの前面には、ダイヤ
フラムの中心部が前進したときリング状ワークの内側に
圧着してワークの芯出しを行う複数のセンタリング用爪
を取り付けたことにより、最初にダイヤフラムを働かせ
て、センタリング用爪によりリング状ワークのセンタリ
ングが行えるので、センタリングが自動的、かつ、確実
正確に行える。

また、センタリング後はクランプ爪が働いてワークを
チャック本体の前面に押しつけて固定するので、歪み易
いリング状ワークも歪ませることなく、正確にチャック
して加工できる。

さらに、上記チャック本体の前部に設けたガイド筒内
に、前記ダイヤフラムと共に進退する進退板を設け、こ
の進退板の前面と、前記ガイド筒の前壁後面には進退板
の前進時に互いに係合する放射状の係合凹凸を有するリ
ング状カップリングをそれぞれ同芯に固定したので、セ
ンタリング用爪の前進時に、カップリングの凹凸の係合
により各センタリング用爪の位置決めが正確に行えるな
どの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明のフエイスクランプチャックの一部縦
断側面図、第２図は同上の正面図、第３図は同じく拡大
縦断側面図である。 １……チャック本体、２……軸、 ３……クランプ爪、５……進退軸、 ６……進退部材、７……雌ネジ、 ８……雄ネジ、12……押圧部材、 13……バネ、15……受部、 18……ガイド筒、19……進退板、 32……ダイヤフラム、39……前壁、 40、41……係合凹凸、 42……リング状カップリング、 44……センタリング用爪、 45……リング状ワーク。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23B 31/19,31/32

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】中空のチャック本体の正面外周寄りに、前
   進時にアンクランプ位置となり、後退時にクランプ位置
   となる複数のクランプ爪を設け、上記チャック本体の正
   面中央部には、中心部が適宜の駆動手段により前進また
   は後退するダイヤフラムを同芯かつ進退自在に取り付
   け、このダイヤフラムの前面には、ダイヤフラムの中心
   部が前進したときリング状ワークの内側に圧着して、ワ
   ークの芯出しを行う複数のセンタリング用爪を取り付け
   たフェイスクランプチャックにおいて、前記チャック本
   体の前部に設けたガイド筒内に、前記ダイヤフラムと共
   に進退する進退板を設け、この進退板の前面と、前記ガ
   イド筒の前壁後面には、進退板の前進時に互いに係合す
   る放射状の係合凹凸を有するリング状カップリングをそ
   れぞれ同芯に固定したことを特徴とするフェイスクラン
   プチャック。