JP3008505U - フェイスクランプチャック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 肉の薄い歪み易いワークをチャック本体の前
面のワーク支持部に押し付けて歪ませることなくクラン
プする。 【構成】 中空のチャック本体２１の前面外周寄りに設
けた複数のクランプ爪取付台３３に前向きと半径方向向
きに自在に回転するクランプ爪３６を取付ける。本体２
１内には、ドローバー２３により進退する進退部材２５
を設け、この進退部材２５の外周寄りに連結した進退棒
４２の前端をクランプ爪３６に連結する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、肉薄のワークを旋盤のチャック本体の前面に取付けたアダプタプ レートなどに押付けて固定するフェイスクランプチャックに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図６、図７に示すものは従来の旋盤用のフェイスクランプチャックである。 この図において、１は中空のチャック本体で、その正面に固定した複数の筒状 ブラケット４内に回動自在の軸２を取付け、この各軸２の先端にワークのクラン プ爪３を固定したものである。

【０００３】 ５は本体１の中央に設けた管状の進退軸で、この進退軸５を図示省略してある 油圧シリンダにより進退させるようになっている。 ６は本体１内に進退自在に取付けた進退部材で進退軸５とともに進退し、この 進退部材６の外周寄りの複数の雌ねじ７に前記軸２の後部の雄ねじ８が螺合し、 かつ軸２の中間部には鍔９が設けてある。

【０００４】 上記軸２の後端には大径部１０を設け、その前部には球面座金１１をはめて、 後退してきた進退部材６をこの球面座金１１で受けるようにしてある。 各軸２の後端には凹孔を設けてこの凹孔に押圧部材１２を進退自在に装着し、 この部材１２をばね１３によって後方に押して、本体１の後壁１４に設けた凹入 状の受部１５に圧着せしめる。

【０００５】 なお、前記雌ねじ７、雄ねじ８はリード角が約４５°ときわめて大きくした多 口ねじである。 上記の旋盤用のチャックの場合、図６のように各クランプ爪３が横向きとなり 、図７のように進退部材６が本体１の前壁内面に接しているとき、軸２の鍔９は ブラケット４と部材６に挟まれている。

【０００６】 この状態でワーク１６を本体１の前面に当てがい、図示省略してある油圧シリ ンダを働かせて進退軸５を図７に向って左方へ後退させる。 このとき押圧部材１２は受部１５に接していてばね１３による抵抗のため、軸 ２の後退がなく、また、進退部材６は本体１に対し、回転不可であるため、リー ド角の大きい雌ねじ７と雄ねじ８の作用で、軸２とクランプ爪３は回動のみ行な い進退部材６が球面座金１１に当たったときは各クランプ爪３は約９０°回転し て図６の鎖線の位置となる。

【０００７】 上記のように各クランプ爪３が約９０°回転したとき、進退部材６が各軸２の 球面座金１１に圧着して進退部材６、軸２、クランプ爪３が一体となって後退し 、内向きになっている各クランプ爪３がワーク１６を本体１の前面に圧着して固 定する。

【０００８】 上記のようなワーク１６の固定状態から進退軸５を前進させると各部は締付時 の逆に作動し、各クランプ爪３が図６、図７の実線の位置に戻ってワーク１６を 外すことができる。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

上記のフェイスクランプチャックのクランプ爪３は図６の実線のようなアンク ランプ位置から９０°内向きの鎖線のようなクランプ位置の範囲で回動するもの でかつ、このクランプ爪３は軸２の先端に直接固定したものであるから、クラン プするワーク１６の外径は軸２により制限され、それ以上の径のものはクランプ できず、肉の薄いワークのクランプもできないという問題があった。 この考案の課題は上記の問題を解決することができるクランプ爪を提供するこ とである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するためにこの考案は、中空のチャック本体の前面外周寄り に複数のクランプ爪取付台を設け、この各クランプ爪取付け台に前向きと半径方 向向きに回転自在のクランプ爪をそれぞれ取付け、本体内には、ドローバーによ り進退する進退部材を設け、この進退部材の外周寄りには、前記各クランプ爪に 対応する進退棒の後端をそれぞれ連結し、同各進退棒の前端は上記各クランプ爪 に連結して、各進退棒の進退によりクランプ爪を起伏させるようにした構成を採 用した。

【００１１】

【作用】

この考案は上記の構成であり、アンクランプ状態ではドローバー、進退部材、 進退棒は前進位置にあり、各クランプ爪は前向きのアンクランプ位置となってい る。

【００１２】 このアンクランプ状態で、肉薄のワークにあらかじめ形成してある複数の孔に 各クランプ爪を挿入したのち、ドローバーを後退させると、進退部材とともに各 進退棒も後退し、これに連結した各クランプ爪が回動してワークの前面に各クラ ンプ爪が接触してワークをチャック本体に固定する。

【００１３】 クランプの解除は上記のクランプ状態からドローバーを前進させることで各ク ランプ爪が前向きとなってアンクランプ位置となりワークを容易に外せる状態と なる。

【００１４】

【実施例】

図１ないし図５に示す実施例において、２１は中空のチャック本体で、図示省 略してある旋盤の主軸に固定する後壁２２を有している。 上記後壁２２の中心には、ドローバー２３の前部の前部ドローバー２４が摺動 自在に貫通し、その内端に、進退部材２５を連結する。

【００１５】 前部ドローバー２４は進退部材２５の中心孔を遊嵌し、ドローバー２４の前寄 りの鍔２６の後面を球形とし、この球形の後面に環状座板２７の前面の球状凹面 を接触させ、進退部材２５の後側で前部ドローバー２４にはめた環状座板３０の 前側の球面を進退部材２５の中央後部の球状凹所３１に接触させ、ドローバー２ ４の外周の溝にはめたストップリング３２により座板３０の後側を支持させ、鍔 ２６の前部には球面座金２９を嵌装する。

【００１６】 上記のような前部ドローバー２４と進退部材２５の結合構造により前部ドロー バー２４に対して、進退部材２５が共に進退し、一定の範囲で任意方向に自由に 揺動できるように連結する。

【００１７】 上記前部ドローバー２４の先端はチャック本体２１の前壁中心のガイド孔に摺 動自在に嵌合しており、前部ドローバー２４が貫通するために後壁２２と本体２ １の前壁に設けた孔の内周の溝には防塵用ゴムリングが装着してある。

【００１８】 チャック本体２１の前面の外周寄りには複数（例えば３個）のクランプ爪取付 台３３が取付けられている。 上記取付台３３は基部がガイド筒３４となって本体２１の前壁の開口に嵌合し てその外周のフランジが本体１に複数のボルト３５で固定されている。

【００１９】 上記取付台３３はガイド筒３４の外寄りに位置しておりその外端は２叉となり 、この部分にクランプ爪３６が軸３７により回動自在に取付けられている。

【００２０】 各ガイド筒３４内の後部寄りには内面が球状の凹面となった軸受リング４０を 固定し、その内部に外周が球面となったガイドリング４１を揺動自在に装着し、 このリング４１内に進退棒４２を摺動自在に装着する。

【００２１】 進退棒４２の後端は前記進退部材２５の外端近くの半径方向の長孔４３に遊嵌 し、進退棒４２の後端近くに横向きに固定した軸４４の両端を、上記長孔４３の 両側の半径方向の長孔４５に遊嵌せしめる。 そして、上記進退棒４２の前端をピン４６により前記クランプ爪３６の内側に 連結する。

【００２２】 ４７はガイド筒３４の内周の溝にはめたストップリングで軸受リング４０の抜 け止め用であり、５１、５２は軸受リング４０の前部にはめた位置決め用リング で、リング４１、５２の内周の溝には防塵用ゴムリングをはめている。

【００２３】 ５３は、本体２１の前面中央に複数のボルト５４で固定した台座で、その前面 にリング状のアダプタプレート５５を複数のボルト５６により固定してある。 ５７は上記台座５３の外周寄りに設けた前後方向の複数の孔に進退自在に嵌装 した位置決めピンで、台座５３の後側にねじ止めした受板６０とピン５７の後端 に設けた凹孔の間にはピン５７を前方に押すばね５９を装着してある。

【００２４】 ６１は本体１内の複数個所に配置したブロックで、この各ブロック６１の前部 から所定深さに形成した凹孔にはばね受筒６２を装着し、本体２１の前壁の外周 寄りにおいて、各ばね受筒６２に対して設けた複数の前後方向の孔６４に摺動自 在に装着した支持ピン６３の後部をばね受筒６２の前部に摺動自在にはめ、ばね 受筒６２の凹孔にはめたばね６９により支持ピン６３を前方に押す。

【００２５】 上記各孔６４に対応する位置の本体２１の外周前端近くから各孔６４に向けて 設けたねじ孔にそれぞれ周り止めピン６５のねじ部をねじ込んで、このピン６５ を支持ピン６３の外周の軸方向の溝に遊びを有する状態に係合させて回り止めと する。

【００２６】 また、さらに、支持ピン６３の先端のねじ孔には調節ボルト６６をねじ込み、 ロックナット６７により固定し、ボルト６６の頭にはゴムや軟質金属等のワーク 保護片７０を固定する。 上記孔６４の内周の溝にも防塵用ゴムリングをはめ、台座５３の中央の開口は 防止蓋７１により閉鎖してねじにより固定する。

【００２７】 上記のチャックに装着して加工するワーク７２は例えば自動車の車輪用のホイ ルキャップのようなもので、複数の孔７３を形成しており、かつ車輪のホイルへ の取付ボルト挿入用の複数の取付孔７４が加工ずみとなっている。

【００２８】 いま、ドローバー２３が前部ドローバー２４とともに前進し、進退部材２５が 前進位置となっているアンクランプ状態では、各進退棒４２が前進して各クラン プ爪３６を図３のように前向きにしている。

【００２９】 この状態で、ワーク７２の所定の孔７３に各クランプ爪３６を挿入しながらワ ーク７２をチャック本体２１の方へ進め、各位置決めピン６５のテーパ状先端部 を図４のようにワーク７２の各取付孔７４にはめるとともに、取付孔形成部分の ワーク７２の膨出部の外側がアダプタプレート５５で支持され、さらにワーク７ ２の外周付近が調節ボルト６６の先端のワーク保護片７０に接触する。

【００３０】 上記のようにワーク７２を装着したのち、図示省略してある油圧シリンダなど によりドローバー２３、２４を後退させると、これとともに進退部材２５および 各進退棒４２が後退して図３の位置にあった各クランプ３６が、図２の実線の位 置に回り、各爪３６がワーク７２をアダプタプレート５５に押し付けてクランプ 状態となる。

【００３１】 こうしてワーク７２をチャック本体２１に固定したのち、ワーク７２の内径な どの所望の個所を旋削加工する。加工終了後はクランプ時の逆にドローバー２３ 、２４を前進させれば各部はクランプ時の逆に動き、各クランプ爪３６が図３の 位置に戻りアンクランプとなる。

【００３２】 なお、上記のクランプ時において、ワーク７２の加工誤差などにより各進退棒 ４２の後退位置に多少の不同が生じた場合、前部ドローバー２４と進退部材２５ の結合部において、環状座板２７と鍔２６の球面接触や、進退部材２５と進退棒 ４２のピン４４や長孔４５の係合などによるイコライジング作用により各クラン プ爪３６は均等にワーク７２に接触する。

【００３３】 また、実施例は、各クランプ爪３６がワーク７２の孔７３に入る場合を示した がクランプ爪３６でワークの外側からワーク７２を押さえることもでき、クラン プ爪取付台３３を図の位置から１８０°回動してクランプ爪３６を進退棒４２の 内側に位置させてクランプ爪３６を外方へ回動する構造とし、ワークを内側から クランプする構造にすることもできる。

【００３４】

【効果】

この考案は上記の構成と作用により各クランプ爪が回動してワークをクランプ するものであるから肉の薄い板状やリング状のワークをチャック本体に押し付け て加工できる。従って肉の薄い歪み易いワークも歪ませることなく正確に加工で き、ワークの着脱も容易であるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の一部切欠正面図

【図２】図１のＡ−Ａ縦断側面図

【図３】クランプ爪取付部の拡大縦断側面図

【図４】図３のＢ−Ｂ縦断正面図

【図５】ワーク支持部の拡大縦断側面図

【図６】従来例の正面図

【図７】同上の縦断側面図

【符号の説明】

２１ チャック本体 ２３ ドローバー ２４ 前部ドローバー ２５ 進退部材 ２６ 鍔 ２７ 環状座板 ３０ 環状座板 ３１ 球状凹所 ３３ クランプ爪取付台 ３６ クランプ爪 ４０ 軸受リング ４１ ガイドリング ４２ 進退棒 ４３ 長孔 ４４ 軸 ４５ 長孔 ４６ ピン ５３ 台座 ５５ アダプタプレート ５７ 位置決めピン ６３ 支持ピン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空のチャック本体の前面外周寄りに複
   数のクランプ爪取付台を設け、この各クランプ爪取付け
   台に前向きと半径方向向きに回転自在のクランプ爪をそ
   れぞれ取付け、本体内には、ドローバーにより進退する
   進退部材を設け、この進退部材の外周寄りには、前記各
   クランプ爪に対応する進退棒の後端をそれぞれ連結し、
   同各進退棒の前端は上記各クランプ爪に連結して、各進
   退棒の進退によりクランプ爪を起伏させるようにしたフ
   ェイスクランプチャック。