JP4122245B2 - ボールピンチャック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一つのチャック体中を軸方向に可動に配された一つの締付ピストンが備えられたボールピンチャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
この締付ピストンには、一つのチャック体に割り当てられた複数のボールピンが、複数の締付あごを接続すべく構成されて組みつけられている。
【0003】
ボールピンチャックは、実際の使用により知られている。ボールピンチャックは、複数の締め付けあごを締め付けるべきワークに突き当てる際、特にはワークの周面に合わせるために動きの自由度が望まれるならば、特に締め付けの目的で、常に組みつけられる。このような動きの自由度は、複数のボールピンによって与えられるものであり、これらボールピンは、その球の中心点の周りに回転運動可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の根底をなす課題は、導入部で述べたようなボールピンチャックを構成するにあたり、締付を進めて固定を行う際に、ワークを半径方向の中央位置に正確に固定できるのに加えて、選択的に、ワークの軸方向の位置についても正確であって高い再現可能性が得られるように固定を行うことができるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題は、導入部で述べたようなボールピンチャックにおいて、以下により解決される。複数のボールピンが一つのチャックプレート中に配されている。このチャックプレートは、少なくとも1つ存在するバネの力に抗して、軸方向に、一つのチャック体に対して可動に取り付けられている。そして、切換部材が、チャックプレートのバネ伸縮を遮る係止位置・姿勢と、バネ伸縮を自由に行わせる引き下げ位置・姿勢との間で、シフト可能である。
【0006】
このようなボールピンチャックは、以下の利点を備える。
【0007】
締め付けを進める際には、切換部材が引き下げの位置・姿勢に切り換えられるのであり、ボールピンが、まず、締め付けられるべきワークに当接される。その後、締付ピストンによってもたらされる軸方向の力がバネの力を上回ったとき、チャックプレートと共に、バネの圧縮のもとで軸方向に移動される。これにより、ワークも軸方向に移動させられ、好ましくはストッパに突き当てるような具合に引っ張られる。その結果、引き下げ効果が実現される。
【0008】
ここで、引き下げ効果の実現が強制的なものでなく、切換部材の切換によって引き下げ効果なしに締め付けを進めることも可能であるならば、特に好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の枠内において、チャックプレートがチャック体の案内受入部中を案内されるガイド柱に接続しているのが好ましい。これに伴う利点は、締め付け工程の正確さと良好な再現可能性に必要であるところの、チャック体に対する可動のチャックプレートの案内が、確実となることである。
【0010】
このような構成であると、次のことが可能となる。切換部材が、チャック軸の周りを回転可能にチャック体に取り付けられているカムリングからなり、このカムリングがガイド柱の自由端との協同で作用するものであるということも可能となる。これにより、好都合にも、切換部材を、ガイド柱の長さだけ、フロントプレートから離してボールピンチャックのチャック体中に配することが可能となる。したがって、締付を進めるのに必要な構造部分における空間的なひずみ補正が可能となる。
【0011】
引き下げ効果を引き起こさないように切り替えるために定まる締め付け工程条件を有するようにするためには、ガイド柱の自由端に、案内受入部の周りのリング溝中に受け入れられるリングフランジが形成されている。該リングフランジは、カムリングの係止位置・姿勢において溝の下面に当接する。したがって、フロントプレートがガイド柱を介して直接カムリングに当接し、該カムリングは固定して備えられたストッパとしての溝下面に対してリングフランジを押圧するということが想定されている。
【0012】
カムリングについて、係止位置・姿勢と引き下げ位置・姿勢との間でシフト可能とするために、ボールピンチャックは、以下のように形成されている。ロック部材が備えられ、該ロック部材は、半径方向の案内受入部中を、レンチにより、カムリング中に噛み合う位置・姿勢と、カムリングとの係合を解除し締付ピストンのピン受入部中に噛み合う位置・姿勢との間を、シフト可能であるように形成されている。レンチによって、引き下げ位置・姿勢と、係止位置・姿勢との間のカムリングの回転をひき起こすことができる。
【0013】
しかしながら同時に、締付ピストンを移動させることができず、したがって締付あごが作動されないことを確実にするために、ロック部材の端部をピン受入部に導入することによって、ロック装置が実現されている。さらには、ボールピンチャックが配された旋盤において、ストローク制御が、安全装置として、旋盤その他回転機械の始動を阻止する。その結果、差し込まれたレンチによる損傷が阻止される。
【0014】
ワークを引き下げ力なしに締め付けるべきか、または、最大の引き下げ力で締め付けるべきかという選択をしなくても良いように、バネを用いた引き下げ力を調整するための位置・姿勢調整手段が備えられる。この位置・姿勢調整手段は、構造上簡単な具合に、チャックプレート中に配されたバネ圧縮のための調整ネジによって形成されている。
【0015】
良好な再現可能性を備えた充分に正確な締め付けを行うためには、チャックプレート中に、ボールピンを精確に配置することを要する。このような配置は、ボールピンがガイド部材を介してチャックプレート中に取り付けられていること、及び、ボールピンがリングによってガイド部材の受け入れ部中で固定されていることによって実現されている。
【0016】
ここで、形態をシンプルにする点においては、リングが外向きネジ山を備えたネジ山リングとして構成され、この外向きネジ山をガイド部材の内向きネジ山中にネジ込むことができるのが好ましい。配置をより良く行うためには、ボールピンのピン軸が、ガイド部材と協同で作用を行うための第1のガイド面を有するならば役立つ。該ガイド面により、ボールピンが1方向にのみ球の中心点の周りを回転運動することができることが保証される。
【0017】
ボールピンチャックは、なるべく、ワークの内面側からの締め付けのためにも、外面側からの締め付けのためにも、汎用できるものであるのが望ましい。そのため、ボールピンチャックをガイド部材と共に回転することが必要である。このことを可能にするために、チャックプレート上に、該ガイド部材を固定するための、締付かぎツメが、係止の位置・姿勢と、切り替えの位置・姿勢との間で振れ動き可能に取り付けられている。
【0018】
これにより、係止の位置・姿勢から切り替えの位置・姿勢への締付かぎツメのシフトの際に、ボールピンをガイド部材と共に軸方向にシフトさせ、180度回転させることができる。そして、切り替えの位置・姿勢から係止の位置・姿勢への締付かぎツメのシフトの後には、締付ピストンの移動方向が同じままで、外面側からの締付と、内面側からの締付との間で、切り替えが達成される。
【0019】
このために、また、締付ピストン中には、ボールピンのコッター斜面との協同で作用を行うためのリングが2つの係止嵌合部の間で回転可能に取り付けられる。ここで、リング中の係止嵌合部を形成するために、バネの力による作用を受けた一つの係止ピンを備え、また、締付ピストン中に2つの係止凹部を備えることが想定される。
【0020】
以下に、図面に描かれた実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0021】
図面に、ボールピンチャック1が描かれている。ボールピンチャック1には、一つのチャック体2が備えられる。また、ボールピンチャック1の自由端には、該チャック体2に対して軸方向に可動に、一つのチャックプレート3が備えられる。このチャックプレート3には、複数のボールピン4が取り付けられており、図示の例では、3つのボールピン4が取り付けられている。これらボールピン4には、複数のつかみあご5が接続されているが、図示の例では、ネジ接続6を通じて接続されている。
【0022】
これらボールピン4は、チャック体2中を軸方向に可動に取り付けられた一つの締付ピストン7によって、半径方向に、位置・姿勢をシフト可能に配されている。この締付ピストン7には、ボールピン4のコッター斜面8と協同で作用を行うべく備えられた一つのリング9が、2つの係止嵌合部10,11の間で回転可能に取り付けられている。係止嵌合部を形成すべく、リング9中には、バネの力の作用を受ける係止ピン12が備えられ、締付ピストン7中には、2つの係止凹部13が備えられる。
【0023】
複数のボールピン4が、複数のガイド部材14を用いてチャックプレート3中に嵌め込まれている。これらガイド部材14は、ボールピン4を、第1のガイド面15により支持する。この第1のガイド面15は、ボールピン4に割り当てられたピン軸16に接するように形成されている。ガイド部材14そのものに、第2のガイド面36が備えられ、これにより、ガイド部材14の位置・姿勢が、チャック体2に対して合わせられる。各ボールピン4が、それぞれ1つのリング17により、関連するガイド部材14の受入部中に固定される。これらリング17は、外向きネジ山を備えたネジ山リングとして構成されており、ガイド部材14の内向きネジ山中にネジ込み可能である。ガイド部材14を固定すべく、チャックプレート3上には、係止の位置・姿勢と、切り替え・取り替えの位置・姿勢との間で振れ動き可能に締付かぎツメ18が取り付けられている。
【0024】
チャックプレート3がガイド柱19に接続されており、このガイド柱19はチャック体2の案内受入部20中を案内されている。また、チャックプレート3は、チャック体2に対して、バネ21の力に抗して軸方向に可動に組み付けられている。実施例では3つのバネ21の力に抗して可動となっている。
【0025】
チャック体2には、さらに、切換部材22が備えられる。切換部材22は、チャックプレート3のバネ伸縮を遮る遮断位置・姿勢と、バネ伸縮の遮断を解除する引き下げ位置・姿勢との間をシフト可能である。切換部材22は、チャック体2に接してチャック軸23の周りを回転可能に取り付けられたカムリング24からなる。このカムリング24は、ガイド柱19の自由端と協同で作用を行うものであり、ガイド柱19の自由端には、リングフランジ25が備えられる。このリングフランジ25は、案内受入部20の周りに形成されたリング溝26中に位置する。
【0026】
カムリング24が係止位置・姿勢にあるとき、リングフランジ25が溝の下面27に当接する。同様に、カムリング24が引き下げ位置・姿勢にあり、ボールピンチャックが開放位置・姿勢にあるならば、バネの作用の結果として、フロントプレート3が、ガイド柱19及びリングフランジ25でもって、溝の下面27に対して押圧を行う。そのため、フロントプレート3も、またリングフランジ25も、これらがチャック体2またはカムリング24に当接するようになるまで、遊びが利用可能となっている。引き下げ力は、ネジとして構成された位置・姿勢調整手段28によって調整することができる。
【0027】
カムリング24の位置・姿勢の調整のために、レンチ29が備えられる。このレンチ29は、カムリング24に差し込み可能である。これは、ロック部材32を案内受入部中へと半径方向にシフトさせることで、ロック部材32がカムリング24との噛み合い状態から外れるようにし、また、締付ピストン7のピストン棒30にあるピン受入部34中へと突き出すようにするものである。これにより、締付ピストン7の軸方向の移動が阻止される。
【0028】
以下に、締め付けの過程について簡単に説明する。
【0029】
締め付けの過程では、カムリング24が引き下げ位置・姿勢にある。したがって、ガイド柱19のリングフランジ25が、バネ21の力によって、リング溝26の溝下面27に当接する。バネ21は、フロントプレート3をチャック体2から押し離すものである。
【0030】
締め付けの過程では、チャックプレート3中に取り付けられたボールピン4が、まず、締付けられるべきワークや工具に当接する。これにより、締付ピストン7によって付与される軸方向の力が、バネ21に残っている相応のスプリング力を上回った際に、リングフランジ25とカムリング24との間の遊びの分だけ、これらワークや工具を引き下げる。チャック体2のストッパ31上へと、ワークや工具における相応の引き下げ摩擦力の下で、これらワークや工具を引き下げるのである。これにより、引き下げ効果を実現する。リングフランジ25とカムリング24との間の遊びは、通常、ほんの10分の数ミリメートルである。
【0031】
外面側からの締付から内面側からの締付への切り替えが行われる。
【0032】
ボールピンチャック1が後方または前方の終端位置にシフトされる。次いで、この終端位置では、締付かぎツメ18が係止位置・姿勢から切り替え・取り替えの位置・姿勢へとシフトされる。そして、ボールピン4及びガイド部材14を充分に前方へと引き出し、これらを180度回転する。この位置・姿勢にて、ボールピン4及びガイド部材14を、押し戻し、締付かぎツメ18によって固定する。
【0033】
このような切り替えにおいて、リング9は、完全に連動して回り、もう一方の係止の位置・姿勢において、係止ピン12が係止凹部13に嵌め込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるボールピンチャックの前面図である。
【図2】図1のボールピンチャックの縦断面図である。外面側からの締め付けに相当する位置・姿勢にあるところの、ボールピン及び締め付けあごを示す。
【図3】図1のIII−III断面図である。カムリングが、チャックプレートを遊びなしに支持する位置・姿勢にある。
【図4】カムリングが引き下げ位置・姿勢にある場合の図3に対応する図である。チャック体に対するチャックプレートの遊びと、ガイド柱に対するカムリングの遊びは、誇張されており、縮尺に従っていない。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】内面側からの締め付けを行う準備がされたボールピンチャックについて示す、図2の上半部に対応する図である。
【図7】ロック部材及びカムリングの位置・姿勢をシフトさせるためにカムリング中に差し込まれたレンチである。
【図8】レンチ受け入れ部の横断面図である。
【符号の説明】
2 チャック体
3 チャックプレート
4 ボールピン
5 締付あご
7 締付ピストン
21 バネ
22 切換部材
Claims (15)
- 一つのチャック体(2)中にて軸方向に可動に配された一つの締付ピストン(7)を備え、
この締付ピストン(7)には、複数の締付あご(5)を接続するためにチャック体(2)に割り当てられた、複数のボールピン(4)が組み付けられているボールピンチャックにおいて、
複数のボールピン(4)が一つのチャックプレート(3)に配されており、このチャックプレート(3)は、少なくとも1つあるバネ(21)の力に抗して軸方向へとチャック体(2)に対して可動なように取り付けられており、
一つの切換部材(22)が、チャックプレート(3)のバネ伸縮を遮る係止位置・姿勢と、該バネ伸縮の遮りを解除する引き下げ位置・姿勢との間でシフト可能であることを特徴とするボールピンチャック。 - 請求項1に記載のボールピンチャックにおいて、チャックプレート(3)が、チャック体(2)の複数の案内受入部(20)中に案内された複数のガイド柱(19)に接続されていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項2に記載のボールピンチャックにおいて、
切換部材(22)が、チャック体(2)に接してチャック軸(23)の周りを回転可能に取り付けられたカムリング(24)により形成されており、このカムリング(24)が、ガイド柱(19)の自由端と協同で作用を行うものであることを特徴とするボールピンチャック。 - 請求項3に記載のボールピンチャックにおいて、ガイド柱(19)の自由端には、案内受入部(20)の周りのリング溝中に受け入れられるリングフランジ(25)が形成されており、このリングフランジ(25)は、カムリング(24)の係止位置・姿勢にて溝の下面(27)に当接していることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項3または4に記載のボールピンチャックにおいて、一つのロック部材(32)を備えており、このロック部材(32)が、半径方向の案内受入部(33)中にて、レンチ(29)により、カムリング(24)に噛み合う位置・姿勢と、カムリング(24)との係合を解除し締付ピストン(7)のピン受入部(34)に噛み合う位置・姿勢との間でシフト可能であることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のボールピンチャックにおいて、バネ(21)を介して、引き下げ力を調整するための位置・姿勢調整手段(28)が備えられていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項6に記載のボールピンチャックにおいて、位置・姿勢調整手段(28)が、チャックプレート(3)中に配された、バネ(21)の圧縮のための調節ネジによって形成されていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のボールピンチャックにおいて、ボールピン(4)が、ガイド部材(14)を介してチャックプレート(3)中に取り付けられていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項8に記載のボールピンチャックにおいて、ボールピン(4)がリング(17)によってガイド部材(14)の受入部中に固定されていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項9に記載のボールピンチャックにおいて、リング(17)が外向きネジ山を備えたネジ山リングとして構成され、該外向きネジ山はガイド部材(14)の内向きネジ山にねじ込み可能であることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項8〜10のいずれかに記載のボールピンチャックにおいて、ボールピン(4)のピン軸に、ガイド部材(14)との協同で作用を行う第1のガイド面(15)が備えられることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項8〜11のいずれかに記載のボールピンチャックにおいて、ガイド部材(14)が、チャック体(2)に対して位置・姿勢を合わせるための第2のガイド面(36)を備えることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項8〜12のいずれかに記載のボールピンチャックにおいて、チャックプレート(3)上に、ガイド部材(14)の固定のために、締付かぎツメ(18)が、係止の位置・姿勢と、切り替え・取り替えの位置・姿勢との間で振れ動き可能に取り付けられていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項8〜13のいずれかに記載のボールピンチャックにおいて、締付ピストン(7)中に、ボールピン(4)のコッター斜面(8)との協同で作用するように備えられたリング(9)が、2つの係止嵌合部(10,11)の間で回転可能に取り付けられていることを特徴とするボールピンチャック。
- 請求項14に記載のボールピンチャックにおいて、係止嵌合部(10,11)を形成するために、リング(9)中にはバネの力の作用を受ける1つの係止ピン(12)が備えられ、締付ピストン(7)中には2つの係止凹部(13)が備えられることを特徴とするボールピンチャック。
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