JPS6338966Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は工作機械に備えられるチヤツク、特
に、ワークの内外径をクランプして使用する重切
削用ダブルチヤツクに関するものである。

（従来技術） 従来からワーク（工作物）の重切削加工におい
ては、ワークの外径をチヤツキングして、ワーク
を強固に保持して切削加工を行なつている。

この外径チヤツクの代わりに内径チヤツクによ
る切削法では、ワークの重量や形状が許容限度以
上のものになると芯ブレ、振動等により、寸法精
度の維持を確保できず、また加工物にビビリを発
生させる原因ともなる。

したがつて、重切削加工において、寸法精度を
維持し、特に内径に対するワークの芯ずれ精度を
確保するために、まずワークの外径をくわえて荒
加工をし、その後、内径をチヤツキングして、少
量のバイドの切込み、送りにより切削加工をしな
ければならなかつた。

また、回転数を上げて切削加工をすることもで
きず、作業工程数の削減及び一作業工程のサイク
ル時間の短縮を図ることは困難となつている。

ところで従来の方法では、長物加工において、
両センタによりワークを保持し、コンペンセイテ
イング（心補償形）チヤツクを外径の端部にあて
て振れを防止したり、主軸に回し板等を取付け、
該回し板にイコライザーを配設してクランプする
ことによりワークの芯ブレを防いだりして加工を
行なつている。

しかしながら、これらは、両センタによる加工
であつたり、単に外径の芯ブレを防ぐことを目的
としており重切削加工用として、また生産性を必
要とするMC（マシンニングセンタ）の工作機械
に使用するには不適当である。

このため、重切削用としてMC用工作機械にも
適用しうるワークのチヤツキング装置の出現が要
望されている。

（考案の目的） 本考案は従来の問題点を解決するためのもので
あつて、ワークの内径を芯出し用内径チヤツクで
把握し、外径を前記内径チヤツクを内蔵するコン
ペンセイテイングチヤツクによりクランプして、
ワークの内外径を一つのチヤツキング動作の中で
行なうことによりワークの内径と外径の芯ずれに
影響を受けず、に作業ができること、作業性の向
上及び切削工程の削減を図ることを目的としてい
る。

（考案の構成） 本考案のダブルチヤツクは上記目的を達成する
ために、工作機械の主軸に取付けられるチヤツク
本体に、ワークの内径をくわえる芯出し用内径チ
ヤツク部と、前記内径チヤツク部を内部に含み、
センタで位置決めされたワークを把握する心補償
形の外径チヤツク部とを備え、該外径チヤツク部
の内部で、両チヤツクの開閉を夫々の連結手段を
介して駆動する一対のドローバを主軸側に同軸二
重構造で設けてなることを特徴としている。

このような構成にすることにより、内径チヤツ
クと外径チヤツクとをチヤツク本体内に一体的に
収納可能にできる。内径チヤツクはワークの芯を
出し、外径チヤツクはワークの内径と外径の芯ず
れの影響を受けずにクランプすることができる。
従つてこのチヤツキング動作で、ワークの内径と
外径が独立してクランプできるため、内径チヤツ
クのみでは重切削に耐えないワークでも一加工工
程で作業をすることができる。それ故寸法精度の
維持を図り、作業性の向上、切削工程の削減がで
きる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図はチヤツク本体１を示すもので、主軸側２に
取付けられワークＷの内径を把握する内径チヤツ
ク部３と、内径チヤツキングの完了を確認する信
号を検知して後に作動する外径チヤツク部４とか
ら成つている。

該外径チヤツク部４は軸心に対し放射方向に回
動する三個の爪ベースレバー部５（図面ではその
一個が示されている。）とその先端に固定した外
径チヤツク爪６を有している。爪ベースレバー部
５はチヤツク本体１に軸（イコライジング）７に
より枢着されている。各爪ベースレバー部５の後
端の脚部５ａはドライブプレート８と係合し、こ
れによつて回動される。このドライブプレート８
は駆動部に連繋されたドローバパイプ９に連結さ
れた案内スリーブ１０を介して軸方向に対して前
後に移動する。

更にこのドライブプレート８にはその軸心に対
し等角度に配置した三個のボールジヨイント１１
（図面ではその一個が示されている。）が組込ま
れ、このボールジヨイント１１は脚部５ａが係合
している。

ドローバパイプ９の軸方向の移動と共にドライ
ブプレート８も移動し、該ドライブプレート８が
爪ベースレバー部５の脚部５ａに沿つて摺動する
ため、爪ベースレバー５は軸（イコライジング）
７を中心として回動する。

したがつてドローバパイプ９の駆動により、外
径チヤツク部４は三個の外径チヤツク爪６により
ワークＷをクランプすることになる。

この外径チヤツク部４はコンペンセイテイング
（心補償形）チヤツクで固定されたセンタ（実施
例ではマンドレル１２で位置決めされたワークを
把握する際、外径チヤツク爪６がチヤツク中心と
は無関係にワーク外周に対して自由に倣うような
構造のもので、チヤツク内部のドライブプレート
８がチヤツク中心に対して無拘束（フローテイン
グ状態）であるため、これに連動して揺動する外
径チヤツク爪６はセンタで位置決めされたワーク
の外周に倣つて把握できる。

一方内径チヤツク部３はワークの内径を把握す
るためのコレツト１３と主軸側２に連結された連
結部材１４，１５等を介して芯出し固定してある
マンドレル１２と、前記コレツト１３を軸方向に
対して、前後に移動させてコレツト１３を開閉さ
せるための連結部材１６と、それを駆動するドロ
ーバ１７とから成つている。

連結部材１６とドローバ１７とはボルト１８に
よつて一体化され、連結部材１６は前記案内スリ
ーブ内に摺動自在に設けられ、連結部材１６に固
定して前方に延びたガイドポスト１９を通じてコ
レツト１３の後端に連結されている。

また、ドローバ１７は前記ドローバパイプ９の
中に嵌挿されて同一軸心上を摺動する。従つて内
径チヤツクはドローバ１７によつてコレツト１３
自体を引込むコレツト可動型（ドローバツクタイ
プ）となつている。

なお内径チヤツク部３に用いるコレツトの形式
は他の方式（プツシユアウト形、ステーシヨナリ
形）を採用することも可能である。

このような構成による本考案の作用を次に説明
する。

まず、ドローバ１７を主軸側２に引き込むと、
連結部材１６を介して、コレツト１３がマンドレ
ル１２に沿つて後退する。該マンドレル１２のテ
ーパ部１２ａによりコレツト１３は開かれ、ワー
クの内径を把握する。

このチヤツキングの完了をドローバ１７の引き
込み移動量を検知するなどして、チヤツク完了信
号を出し、次に外径チヤツク部４の動作を行な
う。この外径チヤツク部４はコンペンセイテイン
グ形の構造で、前記内径チヤツク完了信号によ
り、ドローバパイプ９を主軸側２に引くと案内ス
リーブ１０が後退し、更にドライブプレート８を
後退させる。

このため爪ベースレバー部５の脚部５ａがボー
ルジヨイント１１内で摺動し、爪ベースレバー部
５は軸（イコライジング）７を中心として図にお
いて反時計回り（軸心方向）に回動するため、外
径チヤツク爪６でワークの外径をチヤツキングす
る。

この後外径チヤツク部４を収納するチヤツク本
体１が主軸側２に連結されているため、主軸の回
転によりワークに回転運動が伝達される。

ドローバ１７及びドローバパイプ９が前進する
場合には上記の作用と逆の動作が行なわれ、ワー
クがクランプから外れることになる。

従つて、内径チヤツク部３はマンドレル１２と
コレツト１３との関係により、正確に芯出しさ
れ、回転中心の高い同心度を維持することにな
る。

また外径チヤツク部４はドライブプレート８が
半径方向に一定範囲でフローテイングの状態にな
つているため、ワーク外径がセンタに対して偏心
していても、どれかの外径チヤツク爪６が先にワ
ークに当ると、該爪６はそこで停止し、残りの二
つの爪が夫々ワークに接触するまで動き、最終的
には三個の爪は等しい力で把握するようになつて
いる。

（効果） 本考案は前述の構成からなるものであるから、
ワークの内径と外径を内径チヤツク部のコレツト
と外径チヤツク部の三個の爪でクランプするので
高い同心度と強い回転ドライブが可能となる。よ
つて寸法精度の安定化と重切削を同時に得ること
ができる。

またチヤツク本体内に内径チヤツクと外径チヤ
ツクを組込んで一回の段取りで各々のチヤツクを
独立してクランプでき、かつ外径のクランプをコ
ンペンセイテイング形のチヤツクとして、ワーク
の内外径の芯ずれに影響されず、内径基準で寸法
精度を維持するので、作業の工程数の削減と一作
業工程のサイクル時間の短縮を図ることができ
る。

また内外径のチヤツク動作部をチヤツク本体内
に設けたことにより、ワーク加工基準面とMC取
付面までの距離を短かくできるので、重切削によ
るビビリ対策として有効である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係るダブルチヤツクの縦断側面図
である。 １……チヤツク本体、２……主軸側、３……内
径チヤツク部、４……外径チヤツク部、９……ド
ローバパイプ、１７……ドローバ、｛８……ドラ
イブプレート、１０……案内スリーブ、１４，１
５，１６……連結部材、１８……ボルト、１９…
…ガイドポスト｝連結手段。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 工作機械の主軸側に取付けられるチヤツク本体
   に、ワークの内径をくわえる芯出し用内径チヤツ
   ク部と、 前記内径チヤツク部を内部に含み、センタで位
   置決めされたワークを把握する心補償形の外径チ
   ヤツク部とを備え、 該外径チヤツク部の内部で、両チヤツクの開閉
   を夫々の連結手段を介して駆動する一対のドロー
   バを主軸側に同軸二重構造で設けてなることを特
   徴とするダブルチヤツク。