JP2837711B2 - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、結晶性ポリオレフィン樹脂と、環状オレフ
ィン系樹脂とを含む樹脂組成物に関する。
発明の技術的背景 ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポ
リ4−メチル−1−ペンテン等に代表される結晶性ポリ
オレフィン樹脂は、常温では充分な強度を有しており、
しかも耐薬品性、電気絶縁性、耐候性などの特性に優れ
ており、さらに、吸水率も低いことから広汎な用途に使
用されている。
しかしながら、ポリオレフィンは結晶性であるため、
成形収縮率が高く、寸法精度の高い成形体を製造するた
めには、さらに改良の余地があった。また、ポリオレフ
ィンは、結晶性であるため、比較的高い融点を有してい
るのが一般的であるが、このように融点が高いポリオレ
フィンであっても、ガラス転移温度が比較的低いため、
高荷重を賦与した状態における熱変形温度がそれほど高
くない。また、耐傷性に関しても充分に高いとは言え
ず、高い耐傷性を必要とする用途においては制限があっ
た。
このようにポリオレフィンは、優れた特性を有する樹
脂であるが、これらの特性の内でも上述のようにさらに
改良が望まれるものもある。
ところで、環内に重合性の二重結合を有する環状オレ
フィンは、例えばエチレンなどのα−オレフィンと反応
して環状オレフィン・α−オレフィンランダム共重合体
が得られることが知られている。さらに、上記のような
環状オレフィンは、α−オレフィンとの共重合体として
使用される他、環状オレフィン自体を開環させることに
より、透明性、耐水性および熱的特性に優れた光学材料
として使用できることが既に知られている(特開昭60−
26024号公報参照)。
このような環状オレフィン系樹脂は、光学用材料とし
て必要な透明性、耐水性および熱的特性を有している
が、本発明者がさらに研究を重ねた結果、このような環
状オレフィン系樹脂をポリオレフィン樹脂に配合するこ
とにより、種々の用途に使用可能なさらに優れた特性を
有する樹脂組成物を得ることができるとの知見を得た。
発明の目的 本発明は、耐熱性、耐薬品性に優れ、成形性および寸
法精度の優れた樹脂組成物を提供することを目的として
いる。
発明の概要 本発明に係る樹脂組成物は、 [A]結晶性ポリオレフィン樹脂:98〜2重量部と、 [B]次式[I]で表される環状オレフィンを開環重合
してなる開環重合体の水素添加物もしくは開環共重合体
の水素添加物からなる環状オレフィン系樹脂:2〜98重量
部 とからなることを特徴としている。ここで、該ポリオ
レフィン樹脂と環状オレフィン系樹脂との合計量は100
重量部である。
ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、 R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子もしく
は基を表し、 R15〜R18は、互いに、結合して単環または多環の基を
形成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重
結合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデ
ン基を形成していてもよい。
さらに、本発明においては、環状オレフィン系樹脂
は、一部または全部がカルボン酸またはその誘導体で変
性されていてもよい。
本発明に係る樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と、
特定の環状オレフィンを開環重合あるいは共重合させる
ことにより得られる環状オレフィン系樹脂とからなるた
め、樹脂の耐熱性、耐薬品性が優れ、しかもこの樹脂
は、吸水率および成形収縮率が低いとの特性を有するよ
うになる。
しかも、このような環状オレフィン系樹脂を配合する
ことによっては、ポリオレフィンの優れた特性が損なわ
れることはない。
発明の具体的な説明 次に本発明に係る樹脂組成物について具体的に説明す
る。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、結晶ポ
リオレフィンと特定の環状オレフィンを開環重合してな
る環状オレフィン系樹脂とからなる。
本発明で使用されるポリオレフィンは、次式[A]で
表されるα−オレフィンから誘導される繰り返し単位を
含む重合体である。
CH2=CHR ……[A] 上記式[A]において、Rは、水素原子もしくは炭素
原子数1〜20のアルキル基を表す。
この式[A]で表されるα−オレフィンは、単独で使
用することもできるし、さらに、2種類以上を組み合わ
せて使用することもできる。さらに、本発明において
は、上記のような式[A]で表されるα−オレフィンの
他に、アクリル酸およびこれらの塩並びに酢酸ビニルな
どのビニル基含有化合物が共重合していてもよい。
従って本発明において使用される結晶性ポリオレフィ
ンの具体的な例としては、ポリエチレン、エチレン・1
−ブテン共重合、エチレン・3−メチル−1−ブテン共
重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合
体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体および
その金属塩、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共
重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブ
テン、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プ
ロピレン共重合体、1−ブテン・4−メチル−1−ペン
テン共重合体、ポリ4−メチル−1−ペンテン並びにポ
リ3−メチル−1−ブテンを挙げることができる。
そして、本発明で使用されるポリオレフィンは、結晶
性であることが必要であり、X線回折法により測定した
結果化度は、通常は5%以上、好ましくは10%以上であ
る。
また、この結晶性ポリオレフィンの230℃、2.16kgの
加重賦与下に測定したメルトフローレートは、通常は0.
05〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分である。
そして、このような結晶性ポリオレフィンとして、エ
チレンから誘導された繰り返し単位を有する重合体であ
る場合において、13C−NMRにより測定したエチレン含有
率は、通常は70〜100モル%、好ましくは80〜100モル%
の範囲内にある。
このような結晶性ポリオレフィンの135℃のデカリン
中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜10dl/g、
好ましくは0.1〜5dl/gの範囲内にある。すなわち、本発
明において使用される結晶性ポリオレフィンとしては、
数平均分子量が(1000〜1000000)の範囲内にある樹脂
を使用することが好ましい。
このような結晶性ポリポリオレフィンは、公知の方法
により製造されることができる。
本発明で使用される環状オレフィン系樹脂は、次式
[I]で示される特定の環状オレフィンを開環から形成
される環状オレフィン系樹脂である。
ただし、上記式[I]において、nは0または1であ
り、mは0または正の整数である。
そして、R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハ
ロゲン原子および炭化水素基よりなる群から選ばれる原
子もしくは基を表す。ここで、ハロゲン原子としては、
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素
原子を挙げることができる。また、炭化水素基として
は、それぞれ独立に、通常は炭素原子数1〜20のアルキ
ル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基を挙げるこ
とができ、アルキル基の具体的な例としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基を挙げることができる。またシクロ
アルキル基の具体的な例としては、シクロヘキシル基を
挙げることができる。
さらに、上記式[I]に於て、R15とR16とが、または
R17とR18とが、それぞれ結合して(互いに共同して)、
単環または多環の基を形成していてもよく、しかも、こ
のようにして形成された単環または多環の基が二重結合
を有していてもよい。
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデ
ン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基
は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、
このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチ
リデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を
挙げることができる。
上記式[I]で表される環状オレフィンは、シクロペ
ンタジエン類と相応するオレフィン類とをディールス・
アルダー反応により縮合させることにより容易に製造す
ることができる。
式[I]で表わされる環状オレフィンとして、具体的
には、たとえば、 などのようなビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン誘導
体; などのテトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]−3−ドデセ
ン誘導体; などのヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,09.14
−4−ヘプタデセン誘導体; などのオクタシクロ[8,8,0,12.9,14.7,111.18,113.16,
03.8,012.17]−5−ドコセン誘導体; などのペンタシクロ[6,6,1,13.6,02.7,09.14]−4−
ヘキサデセン誘導体; などのヘプタシクロ−5−イコセン誘導体あるいはヘプ
タシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体; などのトリシクロ[4,3,0,12.5]−3−デセン誘導体; などのトリシクロ[4,4,0,12.5]−3−ウンデセン誘導
体; などのペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−
ペンタデセン誘導体; などのジエン化合物; などのペンタシクロ[4,7,0,12.5,08.13,19.12]−3−
ペンタデセン誘導体; などのヘプタシクロ[7,8,0,13.6,02.7,110.17,011.16,
112.15]−4−エイコセン誘導体; などのノナシクロ[9,10,1,14.7,03.8,02.10,012.21,1
13.20,014.19,115.18]−5−ペンタコセン誘導体を挙
げることができる。
前記式[I]で表される環状オレフィンを、それ自体
公知の方法を利用して(特開昭60−26024号公報参照)
開環重合あるいは開環共重合させることにより、本発明
で使用される開環重合体あるいは開環共重合体を製造す
ることができる。
すなわち、このような開環重合体あるいは開環共重合
体は、上記の式[I]で表わされる環状オレフィンを開
環重合触媒の存在下に重合もしくは共重合させることに
より製造することができる。
ここで使用される開環重合触媒としては、 ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イ
ンジウムあるいは白金等の金属のハロゲン化物、硝酸塩
またはアセチルアセトン化合物と、アルコール等の還元
剤とからなる触媒; チタン、パラジウム、ジルコニウム、あるいはモリブ
デンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン
化合物と、有機アルミニウム等とからなる触媒を挙げる
ことができる。
本発明で使用される開環重合体あるいは開環共重合体
は、上記式[I]で表わされる環状オレフィンから誘導
される繰り返し単位を、通常は50モル%以上、好ましく
は80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含有して
いる。そして、このような開環重合体あるいは開環共重
合体の分子量は、通常1000〜50万、好ましくは1万〜10
万の範囲内にある。この分子量は、反応条件を調整する
ことにより制御することができる他、例えば少量のオレ
フィンあるいは他のシクロオレフィン等を配合して調整
することもできる。
上記のようにして、開環重合あるいは開環共重合体を
行なうことにより、得られる重合体は、少なくともその
一部が、次式[II]で表される繰り返し単位を有してい
るものと考えられる。
ただし、上記式[II]において、nおよびmならびに
R1〜R18は、前記と同じ意味である。
本発明において環状オレフィン系樹脂として、上記の
ような開環重合体あるいは開環共重合体と共に、あるい
はこれらとは別に上記開環重合体あるいは共重合体の水
素添加物を使用することができる。この水素添加物は、
上記のようにして製造された開環重合体あるいは開環共
重合体中に残存している二重結合に、それ自体公知の方
法で水素添加することにより製造することができる。
この場合に使用される水素添加触媒としては、オレフ
ィン類は水素化に際して一般に使用されている不均一系
触媒または均一系触媒を使用することができる。
このような不均一系触媒としては、ニッケル、パラジ
ウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカケイ
ソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた触
媒を挙げることができ、具体的な例としては、ニッケル
/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カーボ
ン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土およ
びパラジウム/アルミナを挙げることができる。
また、均一系触媒としては、周期律第VIII族の金属を
基体とする触媒を挙げることができ、具体的な例として
は、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアミン、ナフテン
酸n−ブチルリチウム、ニッケルアセチルアセトネート
/トリエチルアルミニウムなどのNiあるいはCo化合物と
周期律第I〜III族金属の有機金属化合物からなる触
媒、さらにRh化合物等を挙げることができる。
水素添加反応は、触媒の種類により均一系あるいは不
均一系で行なうことができる。
このような水素添加の際の水素ガスの圧力は、通常は
1〜150気圧、反応温度は、通常は0〜100℃、好ましく
は20〜100℃の範囲内に設定される。
水素添加率は、水素圧、反応温度、反応時間および触
媒濃度等を変えることにより任意に調整することができ
るが、本発明で使用される水素添加物として、重合体あ
るいは共重合体中に存在する二重結合の50%以上が水素
添加されていることが好ましく、特に80%以上、さらに
90%以上が水素添加されていることが好ましい。
このようにして製造された水素添加物は、例えば次式
[III]で表されるような繰り返し単位を有していると
考えられる。
ただし、上記式[III]において、nおよびmならび
にR1〜R18は、前記と同じ意味である。
なお、本発明においては、開環重合体および開環共重
合体と、水素添加物とは、それぞれ個別に使用すること
もできるし両者を組み合わせて使用することもできる。
また、これらの開環重合体、開環共重合体および水素添
加物は、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸等で一部
または全部が変性されていてもよい。
さらに、本発明においては、上記のような開環重合
体、開環共重合体あるいは水素添加物を製造するに際し
て、得られる重合体等の特性を損なわない範囲内で、上
記の式[I]で表わされる環状オレフィン以外の環状オ
レフィンを重合させることもできる。このような環状オ
レフィンとしては、例えば、 シクロブテン、 シクロペンテン、 シクロヘキセン、 3,4−ジメチルシクロヘキセン、 3−メチルシクロヘキセン、 2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、 2,3,3a,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデ
ン、 3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデ
ンなどを挙げることができる。このような他の環状オレ
フィンは、単独で、あるいは組み合わせて使用すること
ができ、通常、0〜20モル%の量で用いられる。
このような環状オレフィン系樹脂は、さらに変性物で
あってもよい。
このような変性物は、上記のような環状オレフィン系
樹脂と、不飽和カルボン酸、これらの無水物、および不
飽和カルボン酸のアルキルエステル等の誘導体とを反応
させることにより製造することができる。反応に際して
は、特開昭62−27412号公報に開示されている変性環状
オレフィン共重合体の製造方法を指針とすることができ
る。環状オレフィン系樹脂の変性物中における変性剤か
ら誘導される成分単位の含有率は、通常は0.01〜10重量
%である。
このような環状オレフィン系樹脂変性物は、所望の変
性率になるように環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合
してグラフト重合させて製造することもできるし、予め
高変性率の変性物を調製し、次いでこの変性物と未変性
の環状オレフィン系樹脂とを混合することによっても製
造することができる。
さらに、本発明のポリオレフィン樹脂組成物中には、
環状オレフィン系樹脂の一部が、エチレンから誘導され
る繰り返し単位と、上記式[I]から誘導される繰り返
し単位とがランダムに配置されたエチレンと環状オレフ
ィンランダムとの付加重合体(環状オレフィンランダム
共重合体)であってもよい。
ここで環状オレフィンランダム共重合体において、エ
チレンから誘導される繰り返し単位の量は、通常は40〜
85モル%、好ましくは50〜70モル%であり、環状オレフ
ィンから誘導される繰り返し単位の量は、通常は15〜60
モル%、好ましくは25〜50モル%の範囲内にある共重合
体が好ましく使用される。そして、この環状オレフィン
ランダム共重合体において、エチレンから誘導される繰
り返し単位および環状オレフィンから誘導される繰り返
し単位は、実質的に線状に配置されている。すなわち、
この環状オレフィンランダム共重合体は、実質的にゲル
状架橋構造を有していない。
このような環状オレフィンランダム共重合体は、135
℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が通常は0.01
〜10dl/g、好ましくは0.08〜7dl/gであり、ガラス転移
温度は通常は70℃以上である。
このような環状オレフィンランダム共重合体におい
て、式[I]で表される環状オレフィンは、共重合体中
において、少なくともその一部が次式[VI]で表される
構造を有していると考えられる。
ただし、上記式[VI]において、R1〜R18は、前記と
同じ意味である。
さらに、本発明においては、上記のようなポリオレフ
ィンは、その全部もしくは一部が変性されていてもよ
い。
例えば環状オレフィンランダム共重合体は、無水マレ
イン酸等の変性剤を用い、特開昭62−27412号公報に開
示されている手法を指針として変性することにより製造
することができる。
すなわち、このような環状オレフィン系樹脂変性物
は、所望の変性率になるように環状オレフィン系樹脂に
変性剤を配合してグラフト重合させて製造することもで
きるし、予め高変性率の変性物を調製し、次いでこの変
性物と未変性の環状オレフィン系樹脂とを混合すること
によっても製造することができる。なお、環状オレフィ
ンランダム共重合体の変性物における変性剤から誘導さ
れる成分単位の含有率は、通常は0.01〜10重量%であ
る。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、前述の環状オ
レフィン系樹脂を98〜2重量部および結晶性ポリオレフ
ィンを2〜98重量部含有している。なお、ここで、環状
オレフィン系樹脂と結晶性ポリオレフィンとの合計の含
有量は100重量部とする。
そして、より好ましくは、環状オレフィン系樹脂30〜
70重量部と、結晶性ポリオレフィン70〜30重量部とから
なる。
このような量で環状オレフィン系樹脂と結晶性オレフ
ィンとを配合することにより、耐熱性、耐薬品性および
耐水性に特に優れ、しかも成形体の収縮率が低い樹脂組
成物を得ることができる。
勿論、前述の如く、環状オレフィン系樹脂は、一部ま
たは全部が変性されていてもよい。
本発明の樹脂組成物中には、さらに熱安定剤、耐候安
定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング
剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワッ
クス、有機充填剤および無機充填剤などを配合すること
もできる。
例えば、本発明で使用される安定剤としては、 テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオン酸アルキルエステルおよび2,2′−オキザミ
ドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系
酸化安定剤; ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび12
−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属
塩; グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレ
ート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトー
ルモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレ
ートおよびペンタエリスリトールトリステアレートなど
の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることがで
きる。
これらは単独であるいは組み合わせて使用することが
できる。このような組合せの例としては、テトラキス
[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]メタンと、ステアリン酸
亜鉛とグリセリンモノスレアレートと組合せを挙げるこ
とができる。
また、本発明において使用できる有機あるいは無機充
填剤の例としては、シリカ、ケイ藻土、酸化チタン、酸
化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、
硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マ
イカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラ
スビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベン
トナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブ
テン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維およびポリアミド繊維を挙げる
ことができる。
このような有機あるいは無機充填剤は、環状オレフィ
ン系樹脂および軟質共重合体100重量部に対して、通常
は1〜100重量部、好ましくは5〜100重量部、特に好ま
しくは5〜50重量部の量で使用される。
なお、本発明の樹脂組成物には、その特性を損なわな
い範囲内で他の樹脂を配合することもできる。この場合
に配合することができる樹脂の例としては、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、ハロゲン含有ビニ
ル重合体、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導
体からの重合体または共重合体、エポキシドの重合体、
ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリスルフ
ォン、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、
フェノール樹脂、オレフィン系ゴムおよびジエン系ゴム
を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、各成分を同時に混合
する方法、結晶性ポリオレフィンと環状オレフィン系樹
脂とを混合した後、所望により他の成分を混合する方法
などを利用して製造することができる。
また、環状オレフィン系樹脂と結晶性ポリオレフィン
との混合は、環状オレフィン系樹脂と結晶性ポリオレフ
ィンとを押出機などを用いて溶融状態でブレンドする方
法、または、ヘプタン、ヘキサン、デカンあるいはシク
ロヘキサンのような飽和炭化水素、トルエン、ベンゼン
あるいはキシレンのような芳香族炭化水素などに環状オ
レフィン系樹脂および結晶性ポリオレフィンを溶解させ
て混合し、次いで溶剤を除去する方法などを利用して混
合することができる。
こうして得られた本発明の樹脂組成物は、結晶性ポリ
オレフィンが本質的に有している優れた特性を有すると
共に特に耐熱性および耐薬品性に優れている。さらに、
環状オレフィン系樹脂を配合することにより、吸水率が
低下するとともに、成形の際に加水分解反応の進行が抑
制される。さらに、成形体の成形収縮率が低くなる。
本発明の樹脂組成物は、上記のような特性を有するた
め、従来から結晶性ポリオレフィンが使用うされている
用途のほかに、耐熱性、耐薬品性、低吸水性あるいは低
成形収縮率が要求される分野で広く使用することができ
る。
発明の効果 本発明の樹脂組成物は、結晶性ポリオレフィンと、特
定の環状オレフィンを開環重合あるいは開環共重合体さ
せ、水素添加させることにより得られる特定の環状オレ
フィン系樹脂とからなるため、樹脂の耐熱性および耐薬
品性に優れている。さらに、環状オレフィン系樹脂を配
合することにより、吸水率が低下するとともに、成形の
際における成形体の成形収縮率が低くなる。
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例によって限定的に解釈
されるべきでない。
なお、本発明における各種物性値の測定方法および評
価方法を以下に示す。
(1)溶融流れ指数(MRF T゜C) ASTM D1238に準じ温度T℃、加重2.16kgで測定した。
(2)試験片の調製 東芝機械(株)製射出成形機IS−55EPNおよび所定の
試験片作成用金型を用いて以下の成形条件で成形した。
試験片は、成形後室温で48時間放置してから使用した。
成形条件 シリンダー温度:280℃ 金型温度:60℃ 射出圧力一次/二次:1000/800Kg/cm2 射出速度(一次):50% スクリュー回転数:150rpm (3)曲げ試験 ASTM D790に準じて行なった。
試験片形状:5×1/2×1/8tインチ、 スパン間距離:50mm 試験速度:20mm/分 試験温度:23℃ (4)アイゾット衝撃試験 ASTM D256に準じて行なった。
試験片形状::5×1/8×1/2tインチ、 試験温度:23℃ (5)熱変形温度(HDT) ASTM D648に準じて行なった。
試験片形状:5×1/4×1/2tインチ 加重:264psi (6)軟化温度(TMA) デュポン社製、Thermo Mechanical Analyzerを用いて
厚さ1mmのシートの熱変形強度により測定した。すなわ
ち、シート上に石英針をのせ加重49gをかけ、5℃/分
の速度で昇温して行き、針がシート内に0.635mm侵入し
た温度をTMAとした。
(7)ガラス転移温度(Tg) SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて、昇温速度10
℃/分で測定した。
(8)吸水率 JIS K 7209A法に準じて24時間後の値を測定した。
(9)鉛筆硬度 JIS K 5400に準じて23℃で測定した。
参考例1 (開環重合体の合成) 1のフラスコにトルエン700ml、1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(DMON)9
3ml、2−ノルボルネン(NB)7ml、1−ヘキサン0.5ml
ならびに0.1ミリモルWCl6およびテトラフェニルスズを
入れ、50℃で2時間重合を行った。
重合液を多量のメタノール中に投入し、生成した重合
体を析出させて濾取し、この重合体をメタノールおよび
アセトンでそれぞれ3回づつ洗浄した後、80℃で一晩減
圧乾燥させ98gの重合体を得た。
得られた重合体について、30℃のトルエン中で測定し
た極限粘度[η]は、0.78dl/gであり、13C−NMRにより
測定したNB含有率は、10モル%であった。
(開環重合体の水素添加反応) 開環重合体20gをテトラヒドロフラン250mlに溶解し、
Pd1gをシリカ50gに担持させた触媒1.5gを1のオート
クレーブに入れ、次いで、このオートクレーブにH2を充
填して50kg/cm2 Gに加圧した後、50℃に昇温して、15時
間撹拌を続けた。
得られたスラリー溶液から重合体を濾別し、次いでこ
の重合体(触媒を含有する)をシクロヘキサンに溶解し
て触媒として重合体とを濾別した後、100℃で減圧下、
一昼夜乾燥させた。水素添加率は97%であった。
得られた重合体について、ハーキンエルマー社製DSC
を用いて10℃/分の昇温速度で測定したガラス転移温度
(Tg)は、155℃であった。
参考例2 参考例1で得られた水素添加開環重合体のペレット5k
gに対し、アセトン25gに溶解した無水マレイン酸50g、
有機過酸化物(日本油脂(株)製、パーヘキシンTM25
B)3gを加え充分混合した後、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM45)によりシリンダー温度250℃で溶融下
反応を行い、ペレタイザーにてペレット化した。
得られた樹脂の無水マレイン酸含有率は、0.8重量%
であった。
実施例1 [A]成分として結晶性ポリプロピレン樹脂(結晶化
度60%,MFR230℃10g/10min)のペレット2.0kg、[B]
成分として上記のようにして得られた水素添加重合体の
ペレット2kgを充分混合した後、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM45)により、シリンダー温度280℃で溶融
ブレンドし、ペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットを用いて前記の方法により試験片を
作成し物性を評価した。
結果を表1に示す。
実施例2および3 実施例1において、[A]成分および[B]成分の配
合量([A]成分/[B]成分)を以下に記載するよう
に変えた以外は同様にしてペレットを製造し、このペレ
ットを使用した以外は同様にして試験片を作成し、その
物性を評価した。
[A]成分/[B]成分=1.0/3.0(実施例2) [A]成分/[B]成分=3.0/1.0(実施例3) 結果を表1に示す。
実施例4 実施例1において、結晶性ポリオレフィン、水素添加
開環重合体の他に、さらに[C]成分として、参考例2
で製造した無水マレイン酸変性水素化開環重合体を以下
に示す割合で使用した以外は同様にしてペレットを製造
し、このペレットを使用した以外は同様にして試験片を
作成し、その物性を評価した。
結晶性ポリオレフィン/水素化開環重合体/マレイン
化水素化開環重合体=2/1.6/0.4 結果を表1に示す。
実施例5 参考例1で得られた水素化開環重合体2kgに、エチレ
ン・プロピレンランダム共重合体(エチレン含有率:80
モル%、Tg:54℃、MFR230℃:0.7g/10分、[η]:2.2dl/
g)のペレット0.5kgを充分混合した後、二軸押出機(池
貝鉄工(株)製、PCM45)により、シリンダー温度220℃
で溶融ブレンドし、ペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレット1kgに対して、日本油脂(株)製、
パーヘキシンTM25Bを1g、ビニルベンゼンを3gの割合で
添加し充分混合した。
この混合物を前記二軸押出機(シリンダー温度:230
℃)を用いて溶融状態で反応させ、次いでペレタイザー
にてペレット化した。
実施例1において、[B]成分として使用した参考例
1で調製した水素化開環重合体の代わりに、上記のよう
にして製造したペレットを使用した以外は同様にしてペ
レットを製造し、このペレットを使用した以外は同様に
して試験片を作成し、その物性を評価した。
結果を表1に示す。
比較例1 実施例1において、[B]成分を使用せずに、実施例
1で使用した[A]成分[結晶性ポリオレフィン]のみ
を使用した以外は同様にして試験片を作成し、その物性
を評価した。
結果を表1に示す。
実施例6〜8 実施例1において用いたポリプロピレンに代え、他の
ポリオレフィン樹脂を用いる以外は同様の操作を行っ
た。
結果を表2に示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリオレフィン樹脂:98〜2重量部
    と、次式[I]で表される環状オレフィンを開環重合し
    てなる開環重合体の水素添加物もしくは開環共重合体の
    水素添加物からなる環状オレフィン系樹脂:2〜98重量部
    (ただし、該ポリオレフィン樹脂と環状オレフィン系樹
    脂との合計量は100重量部である)とからなることを特
    徴とする樹脂組成物; (式中、nは0または1であり、mは0または正の整数
    であり、 R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子
    および炭化水素基よりなる群から選ばれる原子もしくは
    基を表し、 R15〜R18は、互いに、結合して単環または多環の基を形
    成していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結
    合を有していてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン
    基を形成していてもよい)。
  2. 【請求項2】環状オレフィン系樹脂の一部または全部が
    カルボン酸またはその誘導体で変性されている請求項第
    1項記載のポリオレフィン樹脂組成物。
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