JP2795515B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2795515B2 JP5297190A JP5297190A JP2795515B2 JP 2795515 B2 JP2795515 B2 JP 2795515B2 JP 5297190 A JP5297190 A JP 5297190A JP 5297190 A JP5297190 A JP 5297190A JP 2795515 B2 JP2795515 B2 JP 2795515B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、軟質重合体と、環状オレフィン系樹脂とを
含む熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、耐熱
性、剛性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、寸法安定
性、耐衝撃性に優れるとともに耐熱老化性に優れた熱可
塑性樹脂組成物に関する。
発明の技術的背景 種々の熱可塑性樹脂の中でもポリオレフィン系樹脂
は、耐熱性、耐溶剤性および誘電特性に優れており、し
かも成形性に優れていることから、汎用樹脂として広く
利用されている。
しかしながら、熱可塑性樹脂についてより広範な用途
への利用が考えられている今日においては、ポリオレフ
ィン系樹脂の耐熱性、剛性、寸法安定性および耐衝撃性
等の特性をさらに改善することが望まれている。特に、
耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性および寸法安定
性に優れるとともに耐熱老化性に優れ、しかも剛性、耐
衝撃性等の機械的強度の向上した熱可塑性樹脂への要請
が高い。
発明の目的 本発明は、耐熱性、剛性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電
特性、寸法安定性、耐衝撃性に優れるとともに耐熱老化
性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的と
している。
発明の概要 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、 [A]軟質重合体と、 [B]エチレンと、少なくとも下記の式[I]〜[I
V]から選ばれる構造式のひとつで表される環状オレフ
ィンとの共重合体であり、135℃のデカリン中で測定し
た極限粘度[η]が0.05〜10dl/g、軟化温度(TMA)が7
0℃以上である環状オレフィン系ランダム共重合体とを
含み、 軟質重合体[A]と環状オレフィン系ランダム共重合
体[B]との組成比が、[A]/[B](重量比)で60
/40〜5/95であることを特徴としている。
(式[I]中、lは0または正の整数であって、 R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていても
よく、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりな
る群から選ばれる原子もしくは基であり、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環を形成し
ていてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有し
ていてもよく、 また、R15とR16とで、またR17とR18とでアルキリデン
基を形成していてもよい)。
(式[II]中、mは0または正の整数であって、 R1〜R10は、それぞれ同一であっても異なっていても
よく、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりな
る群から選ばれる原子もしくは基であり、 R9とR10とでアルキリデン基を形成していてもよ
い)。
(式[III]中、nは0または正の整数であって、 R1〜R12は、それぞれ同一であっても異なっていても
よく、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりな
る群から選ばれる原子もしくは基であり、 R11とR12とでアルキリデン基を形成していてもよ
い)。
(式[IV]中、pは0または1以上の整数であって、
qおよびrは、0、1または2であり、R1〜R15はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素
基、芳香族炭化水素基、およびアルコキシ基よりなる群
から原子もしくは基を表し、R5(またはR6)とR9(また
はR7)とは、炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合
していてもよく、また何の基も介さずに直接結合してい
てもよい。) 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、軟質重合体
[A]と、特定の環状オレフィン系ランダム共重合体
[B]とからなるため、耐熱性、剛性、耐薬品性、耐溶
剤性、誘電特性、寸法安定性、耐衝撃性に優れるととも
に耐熱老化性に優れている。
発明の具体的な説明 次に本発明に係る熱可塑性樹脂組成物について具体的
に説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、 軟質重合体[A]と、 エチレンと、上記の式[I]〜[IV]から選ばれる構
造式のひとつで表される特定の環状オレフィンとの共重
合体である環状オレフィン系ランダム共重合体[B]と
を含むことを特徴としている。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する軟質重合体
[A]としては、 (i)環状オレフィンから誘導された繰り返し単位を有
する軟質重合体、 (ii)α−オレフィン系共重合体、 (iii)α−オレフィン・ジエン系共重合体、 (iv)芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重
合体、 および (v)イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンか
らなる軟質重合体または共重合体を挙げることができ
る。
以下これらの軟質重合体について説明する。
環状オレフィンから誘導された繰り返し単位を有する軟
質重合体(i) 環状オレフィンから誘導された繰り返し単位を有する
軟質重合体は、エチレンと、前記環状オレフィンと、任
意成分としてのα−オレフィンとから形成される共重合
体である。ここでα−オレフィンとしては、たとえば、
プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1
−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセ
ン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタ
デセンおよび1−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−
オレフィンを挙げることができる。これらの中では、炭
素原子数3〜20のα−オレフインが好ましい。また、ノ
ルボルネン、エチリデンノルボルネンおよびジシクロペ
ンタジエン等の環状オレフィン、環状ジエンも併せて使
用することができる。
環状オレフィンから誘導される繰り返し単位を有する
軟質重合体(i)中において、エチレンから誘導される
繰り返し単位は、通常は40〜99モル%、好ましくは50〜
90モル%、特に好ましくは75〜90モル%の範囲内の量で
含有されている。α−オレフィンから誘導される繰り返
し単位は、通常は0〜45、好ましくは0〜35モル%の範
囲内の量で含有されている。また、環状オレフィンから
誘導される繰り返し単位は、通常は1〜40、好ましくは
1〜20モル%、好ましくは2〜15モル%の範囲内の量で
含有されている。
この軟質重合体(i)において、エチレンから誘導さ
れる繰り返し単位、エチレン以外のα−オレフィンから
誘導される繰り返し単位、および環状オレフィンから誘
導される繰り返し単位は、ランダムに配列されており、
かつこれらは実質的に線状に配列されている。この軟質
重合体が、実質状線状構造を有しており、架橋構造を有
していないことは、この共重合体が135℃のデカリンに
完全に溶解することによって確認することができる。
この環状オレフィンから誘導された繰り返し単位を有
する軟質重合体(i)は、前記の環状オレフィン系重合
体とは異なり、ガラス転移温度(Tg)が通常は0℃以
下、好ましくは−10℃以下であり、135℃のデカリン中
で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜10dl/g、好
ましくは0.8〜7dl/gである。この軟質重合体(i)はX
線回折法により測定した結晶化度が、通常は0〜10%、
好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内
にある。
この軟質重合体(i)は、特開昭60−168708号、同61
−120816号、同61−115912号、同61−271308号、同61−
272216号および同62−252406号等のかく公報に、本出願
人が提案した方法に従い適宜に条件を選択して製造する
ことができる α−オレフィン系共重合体(ii) 本発明において軟質重合体[A]として使用されるα
−オレフィン系共重合体(ii)は、少なくとも2種のα
−オレフィンからなり、非晶性ないし低結晶性の共重合
体である。具体的な例としては、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体およびプロピレン・α−オレフィン共重合
体を挙げることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オ
レフィンとしては、通常は炭素数3〜20のものが用いら
れ、具体的な例としては、プロピレン、1−ブテン、4
−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
1−デセンおよびこれらの混合物を挙げることができ
る。この内、特に炭素数3〜10のα−オレフィンが好ま
しく、さらにプロピレンまたは1−ブテンが特に好まし
い。
エチレン・α−オレフィン共重合体中におけるエチレ
ンから誘導される繰り返し単位と、α−オレフィンから
誘導される繰り返し単位のモル比エチレン/α−オレフ
ィン)は、α−オレフィンの種類によっても異なるが、
通常は40/60〜95/5である。また、上記モル比はα−オ
レフィンとしてプロピレンを使用した場合には、通常は
30/70、好ましくは40/60〜95/5、特に好ましくは50/50
〜90/10であり、α−オレフィンとして炭素数4以上の
α−オレフィンを使用する場合には、通常は50/50〜95/
5、好ましくは80/20〜95/5である。
プロピレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−
オレフィンは、通常は、炭素数4〜20のα−オレフィン
であり、具体的な例としては、1−ブテン、4−メチル
−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デ
センおよびこれらの混合物が挙げることができる。この
内、特に炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
上記のようなプロピレン・α−オレフィン共重合体に
おいては、プロピレンから誘導される繰り返し単位とα
−オレフィンから誘導される繰り返し単位とのモル比
(プロピレン/α−オレフィン)は、α−オレフィンの
種類によっても異なるが、通常は50/50〜95/5である。
上記モル比は、α−オレフィンが炭素数5以上のα−オ
レフィンである場合には、80/20〜95/5であることが好
ましい。
また、このα−オレフィン系軟質重合体の130℃デカ
リン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.2〜10dl/
g、好ましくは1〜5dl/gの範囲内にある。さらにその密
度は、通常は0.82〜0.96g/cm2、好ましくは0.84〜0.92g
/cm2の範囲内にある。
このα−オレフィン系軟質重合体は、不飽和カルボン
酸またはその誘導体でグラフト変性されていてもよい。
この場合のグラフト変性率は、通常は0.01〜5重量%、
好ましくは0.1〜4重量%である。ここで使用される不
飽和カルボン酸またはその誘導体の例としては、アクリ
ル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸およびナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,
2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)のような
不飽和カルボン酸またはこれらの不飽和カルボン酸のハ
ライド、アミド、イミド、無水物およびエステル等の誘
導体を挙げることができる。上記のような不飽和カルボ
ン酸誘導体の具体的な例としては、塩化マレイル、マレ
イミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン
酸モノメチルエステル、マレイン酸ジメチルエステルお
よびグリシジルマレエートを挙げることができる。
これらの中でも特にマレイン酸および無水マレイン酸
ならびにナジック酸TMおよび無水ナジック酸TMが好まし
い。
上記のようなグラフトモノマーを用いてα−オレフィ
ン系軟質重合体を編成する方法としては、従来公知の種
々の方法を採用することができる。例えば、α−オレフ
ィン系軟質重合体を溶融させ、グラフトモノマーをこの
溶融物に添加してグラフト重合させる方法、α−オレフ
ィン系軟質重合体を溶媒に溶解させ、この溶液にグラフ
トモノマーを添加してグラフト重合させる方法などの方
法を採用することができる。上記のようなグラフト方法
を採用するに際しては、ラジカル開始剤を使用すること
が好ましい。ラジカル開始剤の使用によって、グラフト
反応を効率よく行うことができる。
上記のようなグラフト反応は、通常は60〜350℃の範
囲内の温度で行われる。またラジカル開始剤は、α−オ
レフィン系軟質重合体100重量部に対して、通常は、0.0
01〜1重量部の範囲内の量で使用される。
なお、ここで使用されるラジカル開始剤としては、特
に制限はなく、グラフト重合反応の際に通常使用されて
いる化合物を使用することができる。
すなわち、ここで使用することができるラジカル開始
剤の例としては、有機ペルオキシドあるいは有機ペルエ
ステル[例、ベンゾイルオキシペルオキシド、ジクロル
ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−
tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビ
ス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、
ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテー
ト、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルペルオキシ)ヘキシン、tert−ブチルペルベンゾエ
ート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−
ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびte
rt−ブチルペルジエチルアセテート等]; アゾ化合物[例、アゾビスイソブチロニトリルおよび
ジメチルアソイソブチレートなど]を挙げることができ
る。これらのうち、ジクリミルペルオキシド、ジ−tert
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert
−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−グチルペルオキシ)ヘキシンおよび1,4
−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ンなどのジアルキルペルオキシドが好ましく使用され
る。
α−オレフィン・ジエン系共重合体(iii) 本発明において、軟質重合体[A]として使用される
α−オレフィン・ジエン系共重合体(iii)の例として
は、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体ゴム、
プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体ゴムを挙
げることができる。
これ等の共重合体ゴムを調製するに際しては、通常は
炭素数3〜20のα−オレフィンが使用される。このα−
オレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、1
−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセンおよびこれ等の混合物な
どが挙げられる。これらの中では、炭素原子数3〜10の
α−オレフィンが好ましい。但しプロピレン・α−オレ
フィン・ジエン共重合体の場合にはα−オレフィンとし
ては、炭素数4〜20が使用される。
また、これ等の共重合体ゴムを構成するジエン成分の
例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、
2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘ
プタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエンのよ
うな鎖状非共役ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロ
ペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニ
ルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、
5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデ
ン−2−ノルボルネンおよび6−クロロエチル−5−イ
ソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非共役ジ
エン、ならびに2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボ
ルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−
ノルボルネンおよび2−プロペニル−2,2−ノルボルナ
ジエン等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体中に
おけるエチレンから誘導される繰り返し単位とα−オレ
フィンから誘導される繰り返し単位とのモル比(エチレ
ン/α−オレフィン)は、α−オレフィンの種類によっ
ても相違するが、通常は50/50〜95/5、好ましくは50:50
〜90:10である。
また、これ等共重合体ゴムにおけるジエン成分から誘
導される繰り返し単位の含有量は、通常は0.5〜10モル
%、好ましくは0.5〜5モル%である。
上記のようなプロピレン・α−オレフィン・ジエン共
重合体ゴムにおいて、プロピレンから誘導される繰り返
し単位とα−オレフィンから誘導される繰り返し単位と
のモル比(プロピレン/α−オレフィン)は、α−オレ
フィンの種類によっても異なるが、一般には50/50〜95/
5の範囲内に設定される。上記モル比は、α−オレフィ
ンとして1−ブテンを使用する場合には、このプロピレ
ンから誘導される繰り返し単位と1−ブテンから誘導さ
れる繰り返し単位とのモル比は、50/50〜90/10の範囲内
にあることが好ましく、また、α−オレフィンとして炭
素数5以上のα−オレフィンを使用する場合には、プロ
ピレンから誘導される繰り返し単位とα−オレフィンか
ら誘導される繰り返し単位とのモル比は、通常は80/20
〜95/5の範囲内に設定される。
このようなα−オレフィン・ジエン系軟質重合体は、
X線回折法により測定した結晶化度が、通常は0〜10
%、好ましくは0〜5%の範囲内にある。
またα−オレフィン・ジエン系軟質重合体の135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.1〜1
0dl/g、好ましくは1〜5dl/gの範囲内にある。さらにそ
のヨウ素値は、通常は、1〜30、好ましくは5〜25の範
囲内にある。
芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体
(iv) 本発明において、軟質重合体[A]として使用される
芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体
は、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系化合物との
ランダム共重合体、ブロック共重合体またはこれらの水
素化物である。具体的な例としては、スチレン・ブタジ
エンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレンブ
ロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレン
ブロック共重合体ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン
・スチレンブック共重合体、水素添加スチレン・イソプ
レン・スチレンブック共重合体ゴムおよびスチレン・ブ
タジエンランダム共重合体ゴム等を挙げることができ
る。
スチレン・ブタジエン共重合体ゴムにおいては、スチ
レンから誘導される繰り返し単位と、ブタジエンから誘
導される繰り返し単位とのモル比は、0/100〜60/40の範
囲内にあることが好ましい。
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴ
ムにおいては、スチレンから誘導される繰り返し単位と
ブタジエンから誘導される繰り返し単位とのモル比は、
通常は0/100〜60/40の範囲内にある。そして、各成分の
重合度は、スチレンが、0〜5000程度であり、ブタジエ
ンが10〜20000程度であることが多い。
スチレン・イソプレンブロック共重合体ゴムにおいて
は、スチレンから誘導される繰り返し単位と、イソプレ
ンから誘導される繰り返し単位とのモル比は、通常は0/
100〜60/40である。
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴ
ムにおいては、スチレンから誘導される繰り返し単位
と、イソプレンから誘導される繰り返し単位とのモル比
は、通常は0/100、好ましくは60/40の範囲内にある。そ
して、各成分の重合度は、スチレンが0〜5000程度であ
り、イソプレンが、10〜20000程度である。
水添スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合
体としては、上記のスチレン・ブタジエン・スチレンブ
ロック共重合体ゴム中に残存する二重結合を部分手に水
素化した共重合体ゴムであり、共重合体中におけるスチ
レン部分とゴム部との重量比は、通常は0/100〜60/40の
範囲内にある。
水添スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合
体ゴムは、上記のようなスチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体中に残存する二重結合を部分的に水
素化した共重合体ゴムである。この共重合体ゴムにおけ
るスチレン部分と、ゴム部との重量比は、通常は0/100
〜60/40の範囲内にある。
このような芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟
質共重合体のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマト
グラフィー、溶媒;オルトジクロロベンゼン、温度;140
℃)により測定した重量平均分子量は、通常は、500〜
2,000,000、好ましくは10,000〜1,000,000の範囲内にあ
る。
イソブチレンまたはイソブチレン・共役ジエンからなる
軟質重合体または共重合体(v) 軟質重合体[A]として使用されるイソブチレン系軟
質重合体または共重合体(v)としては、具体的には、
ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタ
ジエンあるいはイソブチレン・イソプレン共重合体ゴム
等が用いられる。
なお、軟質重合体である(ii)〜(v)の共重合体の
特性は、環状オレフィン系軟質重合体(i)の特性と同
様であり、これら軟質重合体の135℃のデカリン中で測
定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜10dl/g、好まし
くは0.08〜7dl/gの範囲内にあり、ガラス転移温度(T
g)は、通常は0℃以下、好ましくは−10℃以下、特に
好ましくは−20℃以下である。また、X線回折法により
測定した結晶化度は0〜10%、好ましくは0〜7%、特
に好ましくは0〜5%の範囲内にある。
上記のような(i)〜(v)で例示した軟質重合体
は、単独で、あるいは組み合わせて使用することができ
る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する環状オレフィ
ン系ランダム共重合体[B]は、エチレンから導かれる
構成単位(a)および特定の環状オレフィンから導かれ
る構成単位(b)から構成される環状オレフィンランダ
ム共重合体である。
上記環状オレフィンは少なくとも上記の式[I]〜
[IV]から選ばれる構成式のひとつで表される環状オレ
フィンである。
ただし、上記式[I]において、lは0または正の整
数であり、好ましくは0〜3である。上記式[II]にお
いて、mは0または正の整数であり、好ましくは0〜3
である。上記式[III]において、nは0または正の整
数であり、好ましくは0〜3である。また上記式[IV]
において、pは0または正の整数であり、好ましくは0
〜3の整数である。
そして、R1〜R18(式[I])、R1〜R10(式[I
I])、R1〜R12(式[III])またはR1〜R15(式[I
V])は、それぞれ同一であっても異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
群から選ばれる原子もしくは基である。ここで、ハロゲ
ン原子としては、たとえば、フッ原子、塩素原子、臭素
原子およびヨウ素原子を挙げることができる。また、炭
化水素基としては、それぞれ独立に、通常は炭素原子数
1〜10のアルキル基、炭素原子数5〜15のシクロアルキ
ル基を挙げることができ、アルキル基の具体的な例とし
ては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチ
ル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル
基、n−オクチル基、n−デシル基、2−エチルヘキシ
ル基等を挙げることができ、シクロアルキル基の具体的
な例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、
メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等を
挙げることができる。
また、上記式[I]において、R15とR16とで、または
R17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよく、上
記式[II]において、R9とR10とでアルキリデン基を形
成していてもよく、上記式[III]において、R11とR12
とでアルキリデン基を形成していてもよい。このような
アルキリデン基は、通常は炭素原子数3〜10のアルキリ
デン基を挙げることができ、その具体的な例としては、
エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン
基、ブチリデン基、イソブチリデン基等を挙げることが
できる。
さらに、上記式[I]において、R15〜R18は互いに結
合して(共同して)単環または多環を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよ
い。
また上記式[IV]において、R5(またはR6)とR9(ま
たはR7)とは、炭素数1〜3のアルキレン基を介して結
合していてもよく、また何の基も介さずに直接結合して
いてもよい。
前記式[I]〜[IV]で表される環状オレフィンは、
シクロペンタジエン類と、相応するオレフィン類あるい
は環状オレフィン類とをディールス・アルダー反応によ
り縮合させることにより容易に製造することができる。
前記式[I]〜[IV]で表される環状オレフィンとし
ては、具体的には、たとえば、 などのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン誘導体; などのペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3−
ペンタデセン誘導体; などのヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.
112,15]−4−エイコセン誘導体; などのノナシクロ[9.10.1.14,7.03,8.02,10.012,21.1
13,20.014,19.115,18]−5−ペンタコセン誘導体等を
挙げることができる。
そして更には を挙げることができる。
本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィン系
ランダム共重合体[B]は、エチレンから導かれる構成
単位(a)および前記環状オレフィンから導かれる構成
単位(b)を必須構成単位としているが、これら必須2
構成単位の他に本発明の目的を損なわない範囲で、必要
に応じて他の共重合可能な、不飽和単量体から導かれる
構成単位を含有していてもよい。必要に応じ添加され、
共重合されていてもよい不飽和単量体として具体的に
は、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ド
デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オ
クタデセン、1−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−
オレフィンなどを例示することができる。これらの不飽
和単量体から導かれる構成単位は、生成するランダム共
重合体中におけるエチレンから導かれる構成単位(a)
に対して等モル未満の範囲で含まれていてもよい。
本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィン系
ランダム共重合体[B]中において、エチレンから導か
れる構成単位(a)は、40〜85モル%、好ましくは50〜
75モル%の範囲で含まれていることが望ましい。また環
状オレフィンから導かれる構成単位(b)は15〜60モル
%、好ましくは25〜50モル%の範囲で含まれていること
が望ましい。本発明においては、エチレンから導かれる
構成単位(a)および環状オレフィンから導かれる構成
単位(b)がランダムに配列し、実質上線状の環状オレ
フィンランダム共重合体が形成されている。
本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィン系
ランダム共重合体[B]の135℃のデカリン中で測定し
た極限粘度[η]は0.05〜10dl/g、好ましくは0.08〜5d
l/gの範囲である。
また本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィ
ン系ランダム共重合体[B]としては、サーモ・メカニ
カル・アナライザーで測定した軟化温度(TMA)が70℃
以上、好ましくは90〜250℃、さらに好ましくは100〜20
0℃の範囲にあることが望ましい。
また本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィ
ン系ランダム共重合体[B]のガラス転移温度(Tg)は
通常50〜230℃、好ましくは70〜210℃の範囲にあること
が望ましい。
また本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィ
ン系ランダム共重合体[B]のX線回折分析法により決
定される結晶化度は0〜10%、好ましくは0〜7%、と
くに好ましくは0〜5%にあることが望ましい。
本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィン系
ランダム共重合体[B]としては、上記範囲の物性を有
する共重合体のみを用いてもよいが、上記範囲外の共重
合体が一部含まれていてもよく、この場合、環状オレフ
ィン系ランダム共重合体[B]全体としての物性値が上
記範囲内に含まれていればよい。
本発明に係る樹脂組成物を構成する環状オレフィン系
ランダム共重合体[B]は、特開昭60−168708号公報、
特開昭61−120816号公報、特開昭61−115912号公報、特
開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開
昭61−272216号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭
62−252407号公報などのおいて本出願人が提案した方法
に類似した方法で製造することができる。
なお、本発明においては上記のような環状オレフィン
系ランダム共重合体の一部が無水マレイン酸等の不飽和
カルボン酸等で変性されていてもよい。このような変性
物は、上記のような環状オレフィン系樹脂と、不飽和カ
ルボン酸、これらの無水物、および不飽和カルボン酸の
アルキルエステル等の誘導体とを反応させることにより
製造することができる。なお、この場合の環状オレフィ
ン系樹脂の変性物中における変性剤から導かれる構成単
位の含有率は、通常は0.001〜5重量%以下である。こ
のような環状オレフィン系樹脂変性物は、所望の変性率
になるように環状オレフィン系樹脂に変性剤を配合して
グラフト重合させて製造することもできるし、予め高変
性率の変性率を調製し、次いでこの変性物と未変性の環
状オレフィン系樹脂とを混合することによっても製造す
ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中において軟質重合体
[A]と環状オレフィン系ランダム共重合体成分[B]
との組成比は、[A]成分/[B]成分(重量比)で60
/40〜5/95、好ましくは、40/60〜7/93、特に好ましくは
30/70〜10/90である。
さらに、本発明においては、上記のような環状オレフ
ィン系ランダム共重合体を製造するに際して、得られる
重合体等の物性を損なわない範囲で、上記式[I]〜
[IV]で表される環状オレフィン以外の環状オレフィン
を重合させることもできる。このような環状オレフィン
としては、たとえば、 シクロブテン、 シクロペンテン、 シクロヘキセン、 3,4−ジメチルシクロヘキセン、 3−メチルシクロヘキセン、 2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、 2,3,3a,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデ
ン、 3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデ
ンなどのほかに; などのようなビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン誘導
体; などのテトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセ
ン誘導体; などのヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,09.14
−4−ヘプタデセン誘導体; などのオクタシクロ[8,8,0,12.9,14.7,111.18,113.16,
03.8,012.17]−5−ドコセン誘導体; などのペンタシクロ[6,6,1,13.6,02.7,09.14]−4−
ヘキサデセン誘導体; などのヘプタシクロ−5−イコセン誘導体あるいはヘプ
タシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体; などのトリシクロ[4,3,0,12.5]−3−デセン誘導体; などのトリシクロ[4,4,0,12.5]−3−ウンデセン誘導
体; などのペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09,13]−4−
ペンタデセン誘導体等を挙げることができる。
このような他の環状オレフィンは、単独で、あるいは
組み合わせて使用することができ、通常、0〜20モル%
の量で用いられる。
さらに本発明の樹脂組成物には、上記[A]および
[B]成分の他に、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合
することができ、その配合割合は適宜量である。たとえ
ば、任意成分として配合される安定剤として具体的に
は、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オキザミ
ドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系
酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪
酸金属塩、グリセリンモノステアレート、グリセリンモ
ノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリ
スリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジ
ステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート
等の多価アルコールの脂肪酸エステルなどを挙げること
ができる。これらは単独で配合してもよいが、組み合わ
せて配合してもよく、たとえば、テトラキス[メチレン
−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛および
グリセリンモノステアレートとの組合せ等を例示するこ
とができる。
本発明では特に、フェノール系酸化防止剤および多価
アルコールの脂肪酸エステルとを組み合わせて用いるこ
とが好ましく、該多価アルコールの脂肪酸エステルは3
価以上の多価アルコールのアルコール性水酸基の一部が
エステル化された多価アルコール脂肪酸エステルである
ことが好ましい。
このような多価アルコールの脂肪酸エステルとして
は、具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセ
リンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グ
リセリンモノパルミテート、グリセリンジステアレー
ト、グリセリンジラウレート等のグリセリン脂肪酸エス
テル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタ
エリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトール
ジラウレート、ペンタエリスリトールジステアレート、
ペンタエリスリトールトリステアレート等のペンタエリ
スリトールの脂肪酸エステルが用いられる。
このようなフェノール系酸化防止剤は、熱可塑性樹脂
組成物100重量部に対して0.01〜10重量部好ましくは0.0
5〜3重量部さらに好ましくは0.1〜1重量部の量で用い
られ、また多価アルコールの脂肪酸エステルは該組成物
100重量部に対して0.01〜10重量部好ましくは0.05〜3
重量部の量で用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損
なわない範囲で、充填剤を添加してもよい。このような
充填剤としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チ
タン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグ
ネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリ
ウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレ
ー、マイカ、アスベスト、ガラスフレーク、ガラスビー
ズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイ
ト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、
ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維、ボロン
繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピ
レン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の充填
剤が用いられ、これら充填剤は1種単独で、あるいは組
み合わせて使用することができる。このような充填剤の
添加量は添加する充填剤の種類によっても異なるが、軟
質重合体[A]と環状オレフィン系ランダム共重合体
[B]の合計量100重量部に対して通常150〜5重量部の
量で用いられる。
例えば上記充填剤において、ガラス繊維は、通常繊維
径が1〜20μm、好ましくは6〜12μm、繊維長が1〜
10mm、好ましくは3〜6mmの範囲のものを用いることが
好ましい。また、ガラス繊維の表面をシラン系化合物、
例えばビニルトリエトキシシラン、2−アミノプロピル
トリエトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン等で処理しておいてもよい。
このようなガラス繊維は、軟質重合体[A]と環状オ
レフィン系ランダム共重合体[B]との合計量100重量
部に対して150〜5重量部、好ましくは70〜10重量部の
量で用いることが好ましい。このような量でガラス繊維
を、本発明に係る樹脂組成物に用いることによって、本
発明に係る樹脂組成物に用いた成形品の成形収縮率、線
膨張係数等が改良されることがある。
また、たとえば上記充填剤において、チタン酸カリウ
ム繊維は、一般式K2O・(TiO2)nで示される繊維状の
結晶であり、通常繊維径が0.1〜3μm、好ましくは0.2
〜1μmであり、繊維長が5〜100μm、好ましくは10
〜50μmの範囲のものを用いることが好ましい。このよ
うなチタン酸カリウム繊維は、軟質重合体[A]と環状
オレフィン系ランダム共重合体[B]の合計量100重量
部に対して150〜5重量部、好ましくは70〜10重量部の
量で用いることが好ましい。このような量でチタン酸カ
リウム繊維を、本発明に係る樹脂組成物に添加すること
によって、本発明に係る樹脂組成物を用いた成形品の外
観が向上することがある。
さらに、たとえば上記充填剤において、炭素繊維は、
通常繊維径3〜20μm、好ましくは7〜18μmであり、
繊維長が0.1〜10mm、好ましくは0.3〜3mmの範囲のもの
を用いることが好ましい。このような炭素繊維は、軟質
重合体[A]と環状オレフィン系ランダム共重合体
[B]の合計量100重量部に対して150〜5重量部、好ま
しくは70〜10重量部の量で用いることが好ましい。この
ような量で炭素繊維を、本発明に係る樹脂組成物に添加
することによって、本発明に係る樹脂組成物を用いた成
形品の線膨張係数、摺動特性等が改良されることがあ
る。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物には前記成分に加え
て、各種充填剤と環状オレフィン系ランダム共重合体
[B]との親和性、接着性等を増すために、無水マレイ
ン酸等の不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性ポリ
オレフィン、たとえばエチレン・プロピレン共重合体、
エチレン・ブテン共重合体などを無水マレイン酸等でグ
ラフト変性した不飽和カルボン酸含有ポリオレフィン共
重合体、および環状オレフィン系ランダム共重合体を無
水マレイン酸等でグラフト変性した不飽和カルボン酸含
有環状オレフィン系ランダム共重合体を添加しておいて
もよい。このような不飽和カルボン酸含有ポリオレフィ
ン共重合体または不飽和カルボン酸含有環状オレフィン
系ランダム共重合体は、軟質重合体[A]および環状オ
レフィン系ランダム共重合体[B]の合計量100重量部
に対して、100重量部以下、好ましくは5〜80重量部の
量で添加されていることが望ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製法としては、公
知の方法が適用でき、軟質重合体[A]および環状オレ
フィン系ランダム共重合体[B]、ならびに所望により
添加される他の成分を押出機、ニーダー等で機械的にブ
レンドする方法、あるいは各成分を適当な良溶媒、たと
えばヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒に同時に
溶解し、またはそれぞれ別々に溶解した後混合し、溶媒
を除去する方法さらにはこれらの二つの方法を組み合わ
せて行う方法等を挙げることができる。
例えば上記の製法により得られる熱可塑性樹脂組成物
は、軟質重合体[A]と、特性の環状オレフィン系ラン
ダム共重合体[B]とからなるため、耐熱性、剛性、耐
薬品性、耐溶剤性、誘電特性、寸法安定性、耐衝撃性に
優れるとともに耐熱老化性に優れた熱可塑性樹脂組成物
である。
発明の効果 以上の通り、本発明によれば、[B]環状オレフィン
系ランダム共重合体成分に軟質重合体[A]を配合した
ため、耐熱性、剛性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、
寸法安定性、耐衝撃性に優れるとともに耐熱老化性に優
れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
[実施例] 以下、本発明をさらに実施例によって説明するが本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明における各種物性値の測定方法および評
価方法を次に示す。
(1)溶融流れ指数(MFRT) ASTM D1238に準じ所定の温度T℃、荷重2.16kgで測定
した。
(2)試験片の作成 東芝機械(株)製射出成形機IS−55EPNおよび所定の
試験片用金型を用い、以下の成形条件で成形した。試験
片は成形後、室温で48時間放置した後、測定した。
成形条件:シリンダ温度270℃、金型温度90℃、 射出圧力一次/二次=1000/800kg/cm2 射出速度(一次)30mm/sec (3)曲げ試験 ASTM D790に準じて行った。
試験片形状:5×1/2×1/8tインチ、スパン間距離51mm 試験速度 :20mm/min 試験温度 :23℃、80℃、100℃ (4)熱変形温度(HDT) ASTM D628に準じて行った。
試験片形状:5×1/4×1/2tインチ 荷 重:264psi (5)軟化温度(TMA) デュポン社製Thermo Mechanical Analyzerを用いて厚
さ1mmのシートの熱変形挙動により測定した。すなわ
ち、シート上に石英製針をのせ、荷重49gをかけ、5℃/
minの速度で昇温していき、針が0.635mm浸入した温度を
TMAとした。
(6)ガラス転移温度(Tg)および融点(Tm)(DSC
法) SEIKO電子工業(株)製DSC−20を用いて昇温速度10℃
/minで測定した。
(7)ロックウェル硬度 ASTM D785に準じて23℃で測定した。
(8)アイゾット衝撃試験 ASTM D256に準じて行った。
試験片形状:5/2×1/8×1/2tインチ 試験温度:23℃ (9)引張り試験 ASTM D638に準じて行った。
試験片形状:タイプIV 試験速度:50mm/min 試験温度:23℃ 実施例1 [A]成分としてエチレン含有量:80mol%、Tg:−54
℃、MFR230℃:0.7g/10min.135℃デカリン中で測定した
極限粘度[η]:2.2dl/gのエチレン・プロピレンランダ
ム共重合体ペレット1kg、[B]成分として13C−NMRで
測定したエチレン含量63mol%、MFR260℃:32g/10min、1
35℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]0.48dl/g、
TAM150℃、Tg140℃(Tmは観測されず)であるエチレン
と1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,4b,5,8,8a,9a−デカ
ヒドロ−9H−フルオレン(以下DMDFと略す)とのランダ
ム共重合体ペレット4kgを補充混合した後、二軸押出機
(池貝鉄工(株)製 PCM45)によりシリンダー温度230
℃で溶解ブレンドしペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットを用いて前記の方法により試験片を
作成し物性を評価した。
結果を表1に示す。
実施例2〜5 実施例1において、[A]成分として用いたエチレン
・プロピレンランダム共重合体の代わりに他の軟質重合
体を用いた以外は同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
実施例6〜9 実施例1において、[B]成分として用いた環状オレ
フィンランダム共重合体の代わりに他のエチレン・環状
オレフィンランダム共重合体を用いた以外は同様の操作
を行った。
結果を表2に示す。
比較例 実施例1で[B]成分として用いたエチレン・DMDFラ
ンダム共重合体のみを用いて試験片を作成し物性を評価
した。
結果を表1に示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]軟質重合体と、 [B]エチレンと、少なくとも下記の式[I]〜[IV]
    から選ばれる構造式のひとつで表される環状オレフィン
    との共重合体であり、135℃のデカリン中で測定した極
    限粘度[η]が0.05〜10dl/g、軟化温度(TMA)が70℃
    以上である環状オレフィン系ランダム共重合体とを含
    み、 軟質重合体[A]と環状オレフィン系ランダム共重合体
    [B]との組成比が、[A]/[B](重量比)で60/4
    0〜5/95であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 (式[I]中、lは0または正の整数であって、 R1〜R18は、それぞれ同一であっても異なっていてもよ
    く、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
    群から選ばれる原子もしくは基であり、 R15〜R18は、互いに結合して単環または多環を形成して
    いてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有して
    いてもよく、 また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン
    基を形成していてもよい)。 (式[II]中、mは0または正の整数であって、 R1〜R10は、それぞれ同一であっても異なっていてもよ
    く、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
    群から選ばれる原子もしくは基であり、 R9とR10とでアルキリデン基を形成していてもよい)。 (式[III]中、nは0または正の整数であって、 R1〜R12は、それぞれ同一であっても異なっていてもよ
    く、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
    群から選ばれる原子もしくは基であり、 R11とR12とでアルキリデン基を形成していてもよい)。 (式[IV]中、pは0または1以上の整数であって、q
    およびrは、0、1または2であり、R1〜R15はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    芳香族炭化水素基、およびアルコキシ基よりなる群から
    原子もしくは基を表し、R5(またはR6)とR9(または
    R7)とは、炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合し
    ていてもよく、また何の基も介さずに直接結合していて
    もよい。)
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