JP2833745B2 - ダンパータイプフライホイールを有するクラッチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、概して、クラッチ、より詳しくは自動車用
クラッチに関する。 従来の技術 周知な様に、一般にクラッチは、第１の軸（一般には
駆動軸、自動車の場合にはモータのクランク軸）ととも
に回転するように拘束されるようになったフライホイー
ル又はリアクションプレートと、第２軸（一般には被駆
動軸、自動車の場合には変速機のインプット軸）ととも
に回転するように拘束されるようになったフリクション
ディスクと、フライホイールとともに回転するように拘
束されたクラッチカバーと、クラッチカバーとともに回
転するように拘束され、かつクラッチカバーに対して軸
線方向に移動できるプレッシャプレートと、カバーに当
たり、フリクションディスクをフライホイールの方へ押
し付けてフリクションディスクをフライホイールにクラ
ンプしクラッチに係合するようになった軸線方向に作用
するスプリング装置とから成る。 本発明は、特にフライホイールがダンパータイプのフ
ライホイール、すなわちねじりトルクを減衰させるため
の装置を内部に有するフライホイールの場合に関する。 発明が解決しようとする問題点 周知な様に、トランスミッションを構成し自動車にお
いてモータから車軸まで延びた動力伝達系のいかなる箇
所でも起こりうる振動を除去するためには、ねじりダン
パー装置をトランスミッションに挿入するのが普通であ
る。このねじりダンパー装置は通常、クラッチのフリク
ションディスクに組み込まれる。 しかしながら、この装置に対する変形例として、或い
はこれに関連して、或る特定の用途のために、特にモー
タが低回転速度で比較的大きなトルクを発生させ、トル
クが作用したときに発生するいわゆるトラッシュ（tras
h）音を最小限にすることを特に要求される車両のため
にこの種のねじりダンパー装置をフライホイールに組み
込むことが提案されてきた。この種のダンパータイプの
フライホイールは一般に円周方向に作用するスプリング
装置に対して互いに回転可能な２つの部分、すなわち、
フライホイールが第１軸（この場合は駆動軸）とともに
回転するように拘束されるようになっており、かつこの
目的のために組立体用サポートフランジを構成するフラ
ンジを有する第１部分と、フリクションディスクが軸線
方向に当たるようになっており、かつこの目的のため
に、フリクションディスクに面するいわゆるリアクショ
ンプレートを形成するプレートを有する第２部分とから
成る。実際には、この種のダンパータイプのフライホイ
ール自身が問題を引き起こしている。何故ならば、フラ
イホイールが２つの部分で形成され、かくして、２つの
慣性質量を含み、スプリング装置がその間で作動し、フ
ライホイールが共振組立体を構成し、フライホイールの
受ける周期的荷重の結果、この共振組立体に共振が生ず
るからである。 この問題を解決するために、フライホイール内に、軸
線方向に作用するスプリング装置によってクランプされ
たフリクションフェーシングを有するトリクリミッター
を組み込むのが普通であり、実際にはこのトルクリミッ
ターは第２の構成部分、すなわちいわゆるリアクション
プレートを含む構成部分内に配置されている。共振の結
果、ダンパータイプフライホイールが、所定値（この所
定値はあらゆる状況において、伝達すべき最大モータト
ルクより大きい値となるように選択されている）よりも
大きなねじりトルクを受ける場合には、ダンパータイプ
フライホイールの関連する部分内に滑り（slipping）が
生じ、被動側の部品及び装置は影響を受けない。実際に
は、このようにしてダンパータイプフライホイールを取
り付けたトルクリミッターは、モータを始動させ停止さ
せる場合に、そして比較的まれな場合には、例えばクラ
ッチを急激に係合することによるトランスミッションの
衝撃に応答する場合にのみに作動する。 しかしながら、この種のトルクリミッターの使用は、
本質的に、１つの問題を発生させる。 とりわけ、上述したように、あらゆる状況において、
伝達すべき最大モータトルクよりも、対応するねじりト
ルクが大きいように、荷重（すなわち、軸線方向に作用
するスプリング手段によって及ぼされる軸線方向のクラ
ンプ力）を調整する必要がある。 本発明の目的は、少なくとも最初にクラッチを外すこ
となしにモータを始動させることができるような場合
に、この問題を解決しその他の利点を与える装置を提供
することにある。かかる装置は、市場の需要のかなりの
部分に応えることができる。 問題点を解決するための手段 或る観点では、本発明は、第１軸とともに回転するよ
うに拘束されたフライホイールと、該フライホイールに
並設され、第２軸ととに回転するように拘束されたフリ
クションディスクと、該フリクションディスクに対して
前記フライホイールの反対側に並設され、前記フライホ
イールとともに回転するように拘束され、かつ、軸線方
向に移動可能に設けられたクラッチカバーと、前記フリ
クションディスクと前記クラッチカバーとの間に介在さ
れ、該クラッチカバーとともに回転し、かつ、クラッチ
カバーに対して軸線方向に移動可能に拘束されたプレッ
シャプレートと、クラッチカバーに当接し、プレッシャ
プレートをフライホイールに向かって付勢してフリクシ
ョンディスクをフライホイールに押し当てるようになっ
た、軸線方向に作用する第１のスプリング装置とを備え
たクラッチにおいて、前記フライホイールは、互いに対
して相対的に回転できる第１部分および第２部分と、こ
のような相対的な回転に抵抗するようになった、円周方
向に作用する第２のスプリング装置とを含み、前記第２
部分は前記第１部分と前記フリクションディスクとの間
に介在され、この第２部分に対してフリクションディス
クが軸線方向に当たるようになっており、前記第１部分
は、前記第１軸とともに回転するように拘束され且つク
ラッチ組立体の支持フランジを構成するフランジを有
し、前記第２部分はリアクションプレートを構成するプ
レートと、トルクリミッターとを備えており、該トルク
リミッターはフリクションフェーシングを有し、前記ク
ラッチカバーは前記フリクションフェーシングと対向す
る支持面を有し、かつ、前記クラッチカバーの移動に伴
って軸線方向に移動するカウンターカバーを有し、前記
第１のスプリング手段は、軸線方向に作用して前記トル
クリミッターの前記フリクションフェーシングを前記支
持面に対して押しつけ、前記トルクリミッターは、前記
プレートと前記クラッチカバーの前記支持面との間で作
動される、ことを特徴とするクラッチである。 実際には、フライホイールの第２部分は横方向に配置
された環状部材と、この部材に固定された第２のフリク
ションディスクとを含み、トルクリミッターのフリクシ
ョンフェーシングは第２のフリクションディスクの一部
を形成する。更に、クラッチは、カバーに固定するため
の軸線方向のスカートを有するカウンターカバーと、プ
レッシャプレートと反対側の第２のフリクションディス
クの側に軸受面を形成する横方向環状フランジとを含
む。 作用 経済的方法においては、同一の軸線方向に作用するス
プリング装置が主フリクションディスク（すなわちクラ
ッチのフリクションディスク）に負荷を及ぼすのにも役
立ち、第２のフリクションディスク（すなわち、クラッ
チのダンパータイプフライホイールに含まれるトルクリ
ミッターのフリクションディスク）にも負荷を及ぼすの
にも役立つという事実はさておき、クラッチを作動して
係合したりはずしたりするとき、第２のフリクションデ
ィスクに加えられる力は主フリクションディスクに加え
られる力よりも常に大きい。カバーに及ぼされる問題の
軸線方向に作用するスプリング装置の反作用により、第
２のフリクションディスクに及ぼされる負荷は、クラッ
チを作動して係合したりはずしたりするとき、対応する
コントロール部材によって前記軸線方向に作用するスプ
リング装置に加えられた力を主フリクションディスクに
及ぼされた負荷に加えることによって、主フリクション
ディスクに及ぼされた負荷から第２のフリクションディ
スクに到達する。 摩擦面が当初からそれ相当に設計されていれば、いか
なるクラッチの接続及び遮断形態に対しても、トルクリ
ミッターによって滑ることなく伝達することができる最
大のねじりトルクは主フリクションディスクによって伝
達されるモータトルクよりも確実に大きい。換言すれ
ば、トルクが超過した場合には、対応する滑りは、通常
は第２のフリクションディスクにではなく主フリクショ
ンディスクに生ずる。 かくして、トルクリミッターのスプリングクランプ装
置が主フリクションディスクと関連したスプリングクラ
ンプ装置と同一であるという事実により得られる保護は
トルクリミッターの耐久性を損なうことなしに達成され
る。結局、本発明による装置により、クラッチをはずす
ように作動させるとき、トルクリミッターに及ぼされる
負荷は、クラッチが係合するように作動させるときにト
ルクリミッターに及ぼされる負荷よりも小さくなる。何
故ならばこの負荷の前提となる関連した、スプリング装
置がカバーに対して軸線方向に作用するときの反作用
は、クラッチが係合している場合の反作用の何分の一か
にすぎないからである。換言すれば、本発明によって、
トルクリミッターはこの時に部分的にフリクション負荷
状態にある。その結果、ダンパータイプフライホイール
の２つの構成部分間に共振が生じたならば、トルクリミ
ッターはすみやかにすべりモードで作動し、したがって
いち早くかかる共振の開始を妨げることができ、このこ
とは始動の際に発生しがちな騒音を最小限にするのに有
利である。 このようにして、ダンパータイプフライホイールを構
成する２つの部分すなわち慣性質量を互いに完全に切り
離し、これにより両者間で共振が起こる可能性を効果的
に排除するが、トルクの伝達が全く不可能であるという
理想的ではあるが非現実的な解決策と、２つの部分すな
わち慣性質量を分離する必要のある操作段階を除き、一
緒に回転するようにこれらの慣性質量を拘束するような
複雑で高価でしかも扱いにくい解決策との間で、特に有
利な妥協点に到達するわけである。 別の観点では、本発明は、第１軸とともに回転するよ
うに拘束されたフライホイールと、該フライホイールに
並設され、第２軸とともに回転するように拘束されたフ
リクションディスクと、該フリクションディスクに対し
て前記フライホイールの反対側に並設され、前記フライ
ホイールとともに回転するように拘束され、かつ、軸線
方向に移動可能に設けられたクラッチカバーと、前記フ
リクションディスクと前記クラッチカバーとの間に介在
され、該クラッチカバーとともに回転し、かつ、クラッ
チカバーに対して軸線方向に移動可能に拘束されたプレ
ッシャプレートと、クラッチカバーに当接し、プレッシ
ャプレートをフライホイールに向かって付勢してフリク
ションディスクをフライホイールに押し当てるようにな
った、軸線方向に作用する第１のスプリング装置とを備
えたクラッチにおいて、前記フライホイールは、互いに
対して相対的に回転できる第１部分および第２部分と、
このような相対的な回転に抵抗するようになった、円周
方向に作用する第２のスプリング装置とを含み、前記第
２部分は前記第１部分と前記フリクションディスクとの
間に介在され、この第２部分に対してフリクションディ
スクが軸線方向に当たるようになっており、前記第１部
分は、前記第１軸とともに回転するように拘束され且つ
クラッチ組立体の支持フランジを構成するフランジを有
し、前記第２部分はリアクションプレートを構成するプ
レートと、トルクリミッターとを備えており、該トルク
リミッターはフリクションフェーシングを有し、前記ク
ラッチカバーは前記フリクションフェーシングと対向す
る支持面を有し、かつ、前記クラッチカバーの移動に伴
って軸線方向に移動するカウンターカバーを有し、前記
第１のスプリング手段は、軸線方向に作用して前記トル
クリミッターの前記フリクションフェーシングを前記支
持面に対して押しつけ、前記トルクリミッターは、前記
プレートと前記クラッチカバーの前記支持面との間で作
動され、また、前記トルクリミッターの前記フリクショ
ンフェーシングが前記フリクションディスクの直径より
も大きな直径を有する、ことを特徴としている。 さらに別の観点では、本発明は、第１軸とともに回転
するように拘束されたフライホイールと、該フライホイ
ールに並設され、第２軸とともに回転するように拘束さ
れたフリクションディスクと、該フリクションディスク
に対して前記フライホイールの反対側に並設され、前記
フライホイールとともに回転するように拘束され、か
つ、軸線方向に移動可能に設けられたクラッチカバー
と、前記フリクションディスクと前記クラッチカバーと
の間に介在され、該クラッチカバーとともに回転し、か
つ、クラッチカバーに対して軸線方向に移動可能に拘束
されたプレッシャプレートと、クラッチカバーに当接
し、プレッシャプレートをフライホイールに向かって付
勢してフリクションディスクをフライホイールに押し当
てるようになった、軸線方向に作用する第１のスプリン
グ装置とを備えたクラッチにおいて、前記フライホイー
ルは、互いに対して相対的に回転できる第１部分および
第２部分と、このような相対的な回転に抵抗するように
なった、円周方向に作用する第２のスプリング装置とを
含み、前記第２部分は前記第１部分と前記フリクション
ディスクとの間に介在され、この第２部分に対してフリ
クションディスクが軸線方向に当たるようになってお
り、前記第１部分は、前記第１軸とともに回転するよう
に拘束され且つクラッチ組立体の支持フランジを構成す
るフランジを有し、前記第２部分はリアクションプレー
トを構成するプレートと、トルクリミッターとを備えて
おり、該トルクリミッターはフリクションフェーシング
を有し、前記クラッチカバーは前記フリクションフェー
シングと対向する支持面を有し、かつ、前記クラッチカ
バーの移動に伴って軸線方向に移動するカウンターカバ
ーを有し、前記第１のスプリング手段は、軸線方向に作
用して前記トルクリミッターの前記フリクションフェー
シングを前記支持面に対して押しつけ、前記トルクリミ
ッターは、前記プレートと前記クラッチカバーの前記支
持面との間で作動され、また、前記トルクリミッターの
前記フリクションフェーシングと前記フリクションディ
スクのフィルクションフェーシングとが異なる摩擦係数
を有する、ことを特徴としている。 本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して、以下
の例示による説明を理解することによって明らかになる
であろう。 実施例 図示する様に、本発明によるクラッチ10は、拘束され
て第１軸12（一般的には駆動軸、実際には、クラッチを
自動車に取付ける場合にはモータのクランク軸）ととも
に回転するように拘束されるようになったフライホイー
ル又はリアクションプレート11と、第１図に一点鎖線で
輪郭を概略的に示す第２軸14（一般には被駆動軸、実際
には、自動車に取付けられたクラッチの場合には変速機
のインプット軸）とともに回転するように拘束されるよ
うになったフリクションディスク13と、フライホイール
11とともに回転するようにクラッチカバー15と、拘束さ
れてカバー15とともに回転するように拘束されているプ
レッシャプレート16と、カバー15に当たり、プレッシャ
プレート16をフライホイール11に向かって押し付け、フ
リクションディスク13をフライホイール11にクランプす
るようになった軸線方向に作用するスプリング装置17と
から成る。 フライホイール11自体は、円周方向に作用するスプリ
ング装置に対して互いに回転自在な２つの部分、すなわ
ち、軸12とともに回転するように拘束されるようになっ
た第１部分18Aと、フリクションディスク13を軸線方向
に支持するようになった第２部分18Bとから成る。 フライホイールを拘束して軸12とともに回転するため
に、第１部分18Aは該組立体のためにサポートフランジ
を形成する横方向環状フランジ19を含む。環状フランジ
19は、その内側周辺にスペーサワッシャー20を介在させ
てねじ22によって軸12に取り付けられている。ねじ22は
又、フライホイール11の第２部分18Bのための軸受をそ
の周囲に形成し、かつ、第２軸14のための軸受を軸線方
向に形成するハブ23を第１軸12に取り付けるのに役立
つ。環状フランジ19は、その外側周囲にリベット25によ
って取り付けられたリングギャ24を備えている。 フライホイール11の第１部分18Aは、前述の環状フラ
ンジ19にほぼ平行であるが、半径方向においては該環状
フランジ19よりも小さく、且つ軸線方向のスペーサ27に
よって該環状フランジ19に固定された第２の環状フラン
ジ19′を含む。スペーサ27は、第２の環状フランジ19′
の内側縁部に、したがって環状フランジ19の内側縁部の
近辺に配置されている。 フライホイール11の第２部分18Bは、第１部分18Aの環
状フランジ19と19′との間に軸線方向に配置された横方
向環状フランジ28を含む。第２部分18Bは又、主フリク
ションディスク13に軸線方向に当接する、いわゆるリア
クションプレートを形成するプレート30を含む。プレー
ト30は前述のハブ23と同軸でありハブ23との間に軸受32
が配置されているハブ31に固定されている。ハブ31と環
状フランジ28との間に取り付けられている軸受33がハブ
31上を軸線方向に摺動することができるので、フランジ
28は組立体の軸線を中心として回転し、組立体の軸線に
沿って軸線方向に移動することができる。 第２部分18B内には、（詳細は後述するが）フリクシ
ョンフェーシング36を含むトルクリミッター35がある。
トルクリミッター35のフリクションフェーシング36は第
２のフリクションディスク37の一部を形成し、このフリ
クションディスクは、リベット39によって環状フランジ
28の外側縁部に取り付けられたフランジ38を有する。第
２のフリクションディスクのフランジ38が、第１図にお
いて時計回り反対方向に２度曲げられているという構造
上の理由によって、該フリクションフェーシング36は、
半径方向内方の縁部に対して軸線方向に変位している。 それ自体公知の手段であるので、したがってここでは
その構造については詳細に説明しないが、フライホイー
ル11の２つの部分18Aと18Bとの間で作動する円周方向に
作用するスプリング装置は複数のつる巻コイルバネ40か
ら成り、このつる巻コイルバネは全て組立体の共通の円
周に対して実質的に接線方向に配置され、且つ第１部分
18Aの環状フランジ19及び19′に形成された開口41及び4
1′によって部分的に形成され、第２部分18Bの環状フラ
ンジ28に設けられた開口42によって部分的に形成された
個々のハウジングに各々配置されている。 フリクション装置もまた第１部分18Aと第２部分18Bと
の間で作動する。これらは、環状フランジ19と共に回転
するように軸線方向ラグ45によって拘束されたサポート
リング44で支持されたフリクションリング43を含み、軸
線方向ラグ45の端部は環状フランジ19の開口46内に軸線
方向に挿入されている。フリクションリング43は、サポ
ートリング44と環状フランジ19との間で作動するベルビ
ル（Belleville）型のスプリングワッシャー47から成る
スプリング装置によってハブ31の縁部に押し付けられて
いる。 主フリクションディスク13は普通のタイプのものであ
る。主フリクションディスクは、その内側縁部がスプラ
イン装置によって軸14とともに回転するように拘束され
るようになったハブ50にリベット49によって取り付けら
れている。 公知の手段では、カバー15は、フリクションディスク
13及びプレッシャプレート16を囲む実質的に軸線方向の
スカート52を含み、且つフライホイール11と反対側のス
カート52の軸線方向端部に、軸線方向に作用するスプリ
ング装置17に当てるためのものであって、組立体の軸線
から半径方向に遠去かる方向に延びたリップ53を有する
ほぼ環状の部分である。又、カバーは、フライホイール
11に近い側のスカート52の他方の端部に、軸線から遠去
かる方向に半径方向に延び、かつ（理由は後述するが）
リムの主部分に対して後退している間隔をへだてたルー
バ55を備えたリム54を有し、これにより、半径方向の寸
法はこれらのルーバ55と一致して小さくなっている。 公知の手段では、プレッシャプレート16はカバー15の
ルーバ55と一線をなし、カバー15とともに回転するよう
に拘束するための半径方向ラグ56を有するほぼ環状の部
分である。ラグ56の各々はカバー15によって構成される
容積内で組立体の円周に対して実質的に接線方向の１つ
以上の弾性変形可能なタング58の組によってルーバ55の
ランド57に連結され、一端がリベット60によってラグ56
に、他端がリベット61によってランド57に固定されてい
る。 公知の手段では、軸線方向に作用するスプリング装置
はダイアフラムスプリング、すなわちスプリングワッシ
ャーから成る。ダイアフラムスプリングの円周方向に連
続した周辺部分62はベルビル（Belleville）スプリング
ワッシャーを形成し、ダイアフラムスプリングの中央部
分はスロットによって半径方向のフィンガ63に分割され
ている。半径方向のフィンガ63は、クラッチをはずすた
めに、コントロール部材（図示せず）、すなわち実際に
はクラッチ開放軸受によって端部に作用するようになっ
たクラッチ解放レバーを形成する。 本実施例に示すクラッチ10はいわゆるプルタイプのも
のであり、換言すれば、クラッチをはずすためには、コ
ントロール部材が引張り状態で、すなわちフライホイー
ル11から遠ざかる方向に作動しなければならず、ダイア
フラムスプリングのフィンガ63が軸線方向に作用するス
プリング装置を構成するようなクラッチである。 かくして、プレッシャプレート16で作動するようにな
ったこのダイアフラムスプリングの円周方向連続部分62
は、カバー15に当接し、プレッシャプレート16（実際に
は、プレッシャプレート上に軸線方向に突出した環状ビ
ード64）に当接する。 本発明によれば、トルクリミッター35は、主フリクシ
ョンディスク13から遠ざかる方向に面した側のいわゆる
リアクションプレート30と少なくとも軸線方向にカバー
15で固定された軸受面65との間で作動しこれにより、主
フリクションディスク13と関連した軸線方向に作用する
スプリング装置は又、トルクリミッター35のフリクショ
ンフェーシング36、すなわちトルクリミッター35を構成
する第２のフリクションディスク37と関連した軸線方向
に作用するスプリング装置を構成する。第２のフリクシ
ョンディスク37と関連した軸受面65はカウンターカバー
66の一部である。カウンターカバーは、リアクションプ
レート30と反対側の第２のフリクションディスク37の側
に組立体の軸線に向かって半径方向に延びた横方向環状
フランジ67を有し、カウンターカバーには第２のフリク
ションディスク37と関連した軸受面65と、第２のフリク
ションディスク37及びいわゆるリアクションプレート30
を越えて半径方向に延びた軸線方向スカート68とが形成
され、カウンターカバー66はスカート68によってカバー
15に取り付けられている。かくして、第２のフリクショ
ンディスクと関連した軸受面65は、カバー15に対して円
周方向にも軸線方向にも連結されている。 カウンターカバー66のスカート68は環状フランジ67と
反対側の端部にリム69を有し、このリム69は組立体の軸
線から遠ざかる方向に半径方向に延び、カバー15のリム
54に対し当てられ、リム54が充分な半径を有する位置で
ねじ70によって何ヶ所かでカバー15に取り付けられる。 カバー15はフライホイール11とともに回転するように
拘束され、カバー15はフライホイールに対していわゆる
リアクションプレート30を媒体とし、かつ弾性変形可能
なタング72によって軸線方向に移動する。タング72は全
て、組立体の共通の円周に対し実質的に接線方向にあ
り、各々のタングは、一端がねじ73によっていわゆるリ
アクションプレート30に、他端がリベット74によってカ
バー15のリム54に固定されている。弾性変形可能なタン
グ72はカバー15によって構成された容積の外側に位置
し、ねじ73はリム54にねじ73を通すために設けられた開
口76によってカバー15のリム54を貫通している。各々の
ねじといわゆるリアクションプレート30との間には、リ
ム54の軸線方向厚さを補うために、管状スペーサ77が設
けられている。 本発明によれば、上述の結果、互いに固定されたカバ
ー15とカウンタカバー66とは、フライホイール11に対し
て軸線方向に移動自在な組立体を構成し、カバーのリム
54とカウンタカバー66の環状フランジ67との間には、一
方にはフライホイール11の一部を形成するいわゆるリア
クションプレート30の周辺部分が、他方にはフライホイ
ールと協働するようになったトルクリミッター35のフリ
クションディスク37のフリクションフェーシング36が配
置されている。 クラッチが係合している場合（すなわち、スプリング
装置17を構成するダイヤフラムスプリングと関連したコ
ントロール部材が、ダイヤフラムスプリングに作用して
いないとき）、ダイヤフラムスプリングは、第１図の矢
印F1で示すようにカバー15に当たって、矢印F2で示すよ
うに、フライホイール11のリアクションプレート30に向
かってプレッシャプレート16を付勢する。その結果、フ
リクションディスク13は、プレッシャプレート16とリア
クションプレート30との間で効果的にクランプされる。 一方、これと同時に、カバー15とカウンターカバー66
とからなる組立体が軸線方向に移動することによって、
スプリング装置17を構成するダイヤフラムスプリング
は、カウンターカバー66の環状フランジ67を、フライホ
イール11のリアクションプレート30に向かって付勢す
る。その結果、トルクリミッター35の一部をなすフリク
ションディスク37も又、リアクションプレート30と環状
フランジ67との間でクランプされる。 トルクリミッター35によって伝達することができる最
大ねじりトルクが、クラッチによって伝達すべき最大モ
ータトルクよりも大きくなるように構成されている。す
なわち、トルクリミッター35のフリクションフェーシン
グ36は、フリクションディスク13のフリクションフェー
シングよりも大きな直径を有しており、したがって、滑
りが生ずる場合には、トルクリミッター35のフリクショ
ンフェーシング36のところではなく、フリクションディ
スク13のフリクションフェーシングのところで起こる。 クラッチの係合を解除するため、スプリング装置17を
構成するダイヤフラムスプリングのフィンガ63に力F3を
加えると、ダイヤフラムスプリングによってプレッシャ
プレート16に及ぼされる力F2は、F3とF2の絶対値の合計
が常にF1と等しいので、減少する。また、トルクリミッ
ター35に対する力も減少するが、トルクリミッター35に
作用する荷重は常に、主フリクションディスク13に作用
する荷重よりも大きい。クラッチを係合させた場合も同
様である。カバー15に常時作用している荷重の一部を取
り除くと、トルクリミッター35は、必要な場合に（すな
わち、フライホイール11の２つの部分18Aと18Bとの間で
共振が発生した場合に）、より確実かつ迅速に作動する
ことができる。 クラッチの係合が完全に解除される場合には、カウン
ターカバー66がリアクションプレート30に向かって移動
されることによって、トルクリミッター35がそれらの間
にクランプされるが、この間、主フリクションディスク
13はクランプされていない。 本発明はここで説明し例示した実施例には限定され
ず、種々の実施の態様を包含することを理解すべきであ
る。特に、トルクリミッターのフリクションフェーシン
グの平均直径がフリクションディスクの平均直径よりも
大きい構造に代えて、或は代えずにフリクションフェー
シングの摩擦係数を異なるものとしてもよい。更に、本
発明を“プル”タイプのクラッチを参照して説明してき
たが、本発明は、適切な特定の装置を採用することを条
件として、“ブッシュタイプ”のクラッチ、すなわちク
ラッチをはずすためには、関連するコントロール部材が
軸線方向に作用するスプリング装置を構成するダイアフ
ラムスプリングのフィンガ又はこれに相当するクラッチ
解放装置を押さなければならないようなクラッチにも同
様に適用できる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明によるクラッチの軸線方向の部分断面図
である。 第２図は第１図及び第３図のII−II線におけるクラッチ
の部分立断面図である。 第３図は第２図のIII−III線（湾曲線）における円周方
向の部分断面図である。 10……クラッチ 11……フライホイール 12……第１軸 13……フリクションディスク 14……第２軸 15……クラッチカバー 16……プレッシャプレート 17……スプリング装置 18A……第１部分 18B……第２部分 19……環状フランジ 30……リアクションプレート 35……トルクリミッター 36……フリクションフェーシング

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．第１軸とともに回転するように拘束されたフライホ
   イールと、 該フライホイールに並設され、第２軸とともに回転する
   ように拘束されたフリクションディスクと、 該フリクションディスクに対して前記フライホイールの
   反対側に並設され、前記フライホイールとともに回転す
   るように拘束され、かつ、軸線方向に移動可能に設けら
   れたクラッチカバーと、 前記フリクションディスクと前記クラッチカバーとの間
   に介在され、該クラッチカバーとともに回転し、かつ、
   クラッチカバーに対して軸線方向に移動可能に拘束され
   たプレッシャプレートと、 クラッチカバーに当接し、プレッシャプレートをフライ
   ホイールに向かって付勢してフリクションディスクをフ
   ライホイールに押し当てるようになった、軸線方向に作
   用する第１のスプリング装置とを備えたクラッチにおい
   て、 前記フライホイールは、互いに対して相対的に回転でき
   る第１部分および第２部分と、このような相対的な回転
   に抵抗するようになった、円周方向に作用する第２のス
   プリング装置とを含み、前記第２部分は前記第１部分と
   前記フリクションディスクとの間に介在され、この第２
   部分に対してフリクションディスクが軸線方向に当たる
   ようになっており、前記第１部分は、前記第１軸ととも
   に回転するように拘束され且つクラッチ組立体の支持フ
   ランジを構成するフランジを有し、前記第２部分はリア
   クションプレートを構成するプレートと、トルクリミッ
   ターとを備えており、該トルクリミッターはフリクショ
   ンフェーシングを有し、前記クラッチカバーは前記フリ
   クションフェーシングと対向する支持面を有し、かつ、
   前記クラッチカバーの移動に伴って軸線方向に移動する
   カウンターカバーを有し、前記第１のスプリング手段
   は、軸線方向に作用して前記トルクリミッターの前記フ
   リクションフェーシングを前記支持面に対して押しつ
   け、前記トルクリミッターは、前記プレートと前記クラ
   ッチカバーの前記支持面との間で作動される、ことを特
   徴とするクラッチ。 ２．前記フライホイールの前記第２部分は、横方向に配
   置された環状部材と、該環状部材に固定された第２のフ
   リクションディスクとを含み、前記トルクリミッターの
   前記フリクションフェーシングは第２のフリクションデ
   ィスクの一部を形成し、更に、前記カウンターカバー
   は、前記クラッチカバーに固定するための軸線方向のス
   カートと、前記プレートと反対側の前記第２のフリクシ
   ョンディスクの側に、前記支持面が形成される横方向環
   状フランジとを有することを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載のクラッチ。 ３．前記クラッチカバーと前記カウンターカバーが、フ
   ライホイールに対して軸線方向に移動可能な組立体を形
   成することを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載の
   クラッチ。 ４．更に、前記クラッチカバーを前記フライホイールの
   プレートとともに回転するように拘束する弾性変形可能
   なタングを含むことを特徴とする特許請求の範囲第３項
   に記載のクラッチ。 ５．第１軸とともに回転するように拘束されたフライホ
   イールと、 該フライホイールに並設され、第２軸とともに回転する
   ように拘束されたフリクションディスクと、 該フリクションディスクに対して前記フライホイールの
   反対側に並設され、前記フライホイールとともに回転す
   るように拘束され、かつ、軸線方向に移動可能に設けら
   れたクラッチカバーと、 前記フリクションディスクと前記クラッチカバーとの間
   に介在され、該クラッチカバーとともに回転し、かつ、
   クラッチカバーに対して軸線方向に移動可能に拘束され
   たプレッシャプレートと、 クラッチカバーに当接し、プレッシャプレートをフライ
   ホイールに向かって付勢してフリクションディスクをフ
   ライホイールに押し当てるようになった、軸線方向に作
   用する第１のスプリング装置とを備えたクラッチにおい
   て、 前記フライホイールは、互いに対して相対的に回転でき
   る第１部分および第２部分と、このような相対的な回転
   に抵抗するようになった、円周方向に作用する第２のス
   プリング装置とを含み、前記第２部分は前記第１部分と
   前記フリクションディスクとの間に介在され、この第２
   部分に対してフリクションディスクが軸線方向に当たる
   ようになっており、前記第１部分は、前記第１軸ととも
   に回転するように拘束され且つクラッチ組立体の支持フ
   ランジを構成するフランジを有し、前記第２部分はリア
   クションプレートを構成するプレートと、トルクリミッ
   ターとを備えており、該トルクリミッターはフリクショ
   ンフェーシングを有し、前記クラッチカバーは前記フリ
   クションフェーシングと対向する支持面を有し、かつ、
   前記クラッチカバーの移動に伴って軸線方向に移動する
   カウンターカバーを有し、前記第１のスプリング手段
   は、軸線方向に作用して前記トルクリミッターの前記フ
   リクションフェーシングを前記支持面に対して押しつ
   け、前記トルクリミッターは、前記プレートと前記クラ
   ッチカバーの前記支持面との間で作動され、また、前記
   トルクリミッターの前記フリクションフェーシングが前
   記フリクションディスクの直径よりも大きな直径を有す
   る、ことを特徴とするクラッチ。 ６．第１軸とともに回転するように拘束されたフライホ
   イールと、 該フライホイールに並設され、第２軸とともに回転する
   ように拘束されたフリクションディスクと、 該フリクションディスクに対して前記フライホイールの
   反対側に並設され、前記フライホイールとともに回転す
   るように拘束され、かつ、軸線方向に移動可能に設けら
   れたクラッチカバーと、 前記フリクションディスクと前記クラッチカバーとの間
   に介在され、該クラッチカバーとともに回転し、かつ、
   クラッチカバーに対して軸線方向に移動可能に拘束され
   たプレッシャプレートと、 クラッチカバーに当接し、プレッシャプレートをフライ
   ホイールに向かって付勢してフリクションディスクをフ
   ライホイールに押し当てるようになった、軸線方向に作
   用する第１のスプリング装置とを備えたクラッチにおい
   て、 前記フライホイールは、互いに対して相対的に回転でき
   る第１部分および第２部分と、このような相対的な回転
   に抵抗するようになった、円周方向に作用する第２のス
   プリング装置とを含み、前記第２部分は前記第１部分と
   前記フリクションディスクとの間に介在され、この第２
   部分に対してフリクションディスクが軸線方向に当たる
   ようになっており、前記第１部分は、前記第１軸ととも
   に回転するように拘束され且つクラッチ組立体の支持フ
   ランジを構成するフランジを有し、前記第２部分はリア
   クションプレートを構成するプレートと、トルクリミッ
   ターとを備えており、該トルクリミッターはフリクショ
   ンフェーシングを有し、前記クラッチカバーは前記フリ
   クションフェーシングと対向する支持面を有し、かつ、
   前記クラッチカバーの移動に伴って軸線方向に移動する
   カウンターカバーを有し、前記第１のスプリング手段
   は、軸線方向に作用して前記トルクリミッターの前記フ
   リクションフェーシングを前記支持面に対して押しつ
   け、前記トルクリミッターは、前記プレートと前記クラ
   ッチカバーの前記支持面との間で作動され、また、前記
   トルクリミッターの前記フリクションフェーシングと前
   記フリクションディスクのフリクションフェーシングと
   が異なる摩擦係数を有する、ことを特徴とするクラッ
   チ。