JP2005207552A - フライホイール組立体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フライホイール組立体において、過大トルクに対してダンパー機構の作動を抑え、破損を防止することにある。
【解決手段】 フライホイール組立体は、クランクシャフト91からトルクが伝達されるものであって、フライホイール本体3Aと、ダンパー機構4と、滑りクラッチ82とを備えている。ダンパー機構4は、フライホイール本体3Aをクランクシャフト91に弾性的に連結する。滑りクラッチ82は、ダンパー機構4からフライホイール本体3Aにトルクを伝達するように配置され所定以上のトルクに対して滑る。
【選択図】 図5
【解決手段】 フライホイール組立体は、クランクシャフト91からトルクが伝達されるものであって、フライホイール本体3Aと、ダンパー機構4と、滑りクラッチ82とを備えている。ダンパー機構4は、フライホイール本体3Aをクランクシャフト91に弾性的に連結する。滑りクラッチ82は、ダンパー機構4からフライホイール本体3Aにトルクを伝達するように配置され所定以上のトルクに対して滑る。
【選択図】 図5
Description
本発明は、フライホイール組立体、特に、クランクシャフトに対して弾性部材を介してトルク伝達可能に配置されたフライホイールを備えたフライホイール組立体に関する。
エンジンのクランクシャフトには、エンジンの燃焼変動に起因する振動を吸収するために、フライホイールが装着されている。さらに、フライホイールの軸方向トランスミッション側にクラッチ装置を設けている。クラッチ装置は、トランスミッションの入力シャフトに連結されたクラッチディスク組立体と、クラッチディスク組立体の摩擦連結部をフライホイールに付勢するクラッチカバー組立体とを備えている。クラッチディスク組立体は、捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機構を有している。ダンパー機構は、回転方向に圧縮されるように配置されたコイルスプリング等の弾性部材を有している。
一方、ダンパー機構を、クラッチディスク組立体ではなく、フライホイールとクランクシャフトとの間に設けた構造も知られている。この場合は、フライホイールがコイルスプリングを境界とする振動系の出力側に位置することになり、出力側の慣性が従来に比べて大きくなっている。この結果、共振回転数をアイドル回転数以下に設定することができ、大きな減衰性能を実現できる。このように、フライホイールとダンパー機構とが組み合わさって構成される構造が、2マスフライホイール又はフライホイールダンパーである(例えば、特許文献1を参照。)。なお、エンジンのクランクシャフトに固定されたフライホイールを第1フライホイールといい、クランクシャフトに弾性部材を介して連結されクラッチが装着されるフライホイールを第2フライホイールという。
特開平4-231757号公報
2マスフライホイールに用いられるダンパー機構は、例えば、入力側部材と、出力側部材と、両部材を回転方向に弾性的に連結する複数の弾性部材とを備えている。入力側部材は、円板状部材であり、弾性部材を収納するための複数の窓孔を有している。出力側部材は、入力側部材の軸方向両側に配置された一対の円板状部材であり、弾性部材を保持するための複数の窓部を有している。摩擦抵抗発生機構は、入力側部材と出力側部材とが相対回転して弾性部材が回転方向に圧縮される際に、摩擦抵抗を発生するための部材である。摩擦抵抗発生機構は、例えば、入力側部材と出力側部材の内周部同士に配置された複数のワッシャから構成されており、例えば、一方に当接するフリクション部材と、他方に相対回転不能に係合するフリクションプレートと、フリクションプレートと他方との間で軸方向に圧縮されて付勢力を発生する弾性部材とを有している。
2マスフライホイールに過大なショックトルクが入力されると、第2フライホイールからダンパー機構に許容以上のトルクが伝達され、ダンパー機構が破損するという問題がある。そこで、一般には、摩擦抵抗発生機構で発生する摩擦抵抗を大きくすることによって、ダンパー機構の作動を抑えていた。
しかし、走行パターンによっては、摩擦抵抗発生機構の摩擦によっては十分にショックトルクを抑えることができず、ダンパー機構の破損の可能性が残っていた。
本発明の課題は、フライホイール組立体において、ショックトルクに対してダンパー機構の作動を抑え、破損を防止することにある。
請求項1に記載のフライホイール組立体は、クランクシャフトからトルクが伝達されるものであって、フライホイールと、ダンパー機構と、滑りクラッチとを備えている。ダンパー機構は、フライホイールをクランクシャフトに弾性的に連結する。滑りクラッチは、ダンパー機構からフライホイールにトルクを伝達するように配置され所定以上のトルクに対して滑る。
このフライホイール組立体では、クランクシャフトからのトルクは、ダンパー機構を介してフライホイールに伝達される。エンジンの燃焼変動に起因するトルク変動によってフライホイールがクランクシャフトに相対回転すると、ダンパー機構が入力側部材と出力側部材との間で回転方向に作動する。このため捩り振動が速やかに減衰される。
このフライホイール組立体において、フライホイールからダンパー機構にショックトルクが入力されると、滑りクラッチが滑ることによってダンパー機構に大きなトルクが作用しない。その結果、ダンパー機構の破損が生じにくい。例えば、滑りクラッチの作動トルクをダンパー機構のトルク容量より小さく設定していれば、ダンパー機構にトルク容量以上のトルクが入力されることはない。
請求項2に記載のフライホイール組立体では、請求項1において、滑りクラッチは、フライホイールの外周部に設けられている。そのため、滑りクラッチが作動するトルクの値を大きくできる。
請求項3に記載のフライホイール組立体では、請求項2において、滑りクラッチは、フライホイールのクラッチ摩擦面よりさらに外周側に設けられている。そのため、滑りクラッチが作動するトルクの値を大きくできる。
請求項4に記載のフライホイール組立体では、請求項1〜3のいずれかにおいて、滑りクラッチは、ダンパー機構の出力側部材の一部でありフライホイールに当接するプレート部と、プレート部をフライホイールに付勢する弾性付勢部材とを有している。滑りクラッチは上記2つの部材のみから構成され、フライホイールの一部を摩擦面として利用しているため、構造が簡単である。
請求項5に記載のフライホイール組立体では、請求項4において、プレート部は、フライホイールの軸方向両側面に当接している。そのため、滑りクラッチが作動するトルクの値を大きくできる。
請求項6に記載のフライホイール組立体では、請求項4又は5において、弾性付勢部材は、プレート部に固定されている。
請求項7に記載のフライホイール組立体では、請求項6において、プレート部は、フライホイールの軸方向側面に当接する第1プレートと、第1プレートに対して相対回転不能にかつ軸方向移動可能に係合しさらにフライホイールの反対側軸方向側面に当接する第2プレートとを有している。弾性付勢部材は、第2プレートをフライホイールの反対側軸方向側面に付勢する。そのため、プレート部材の第1プレートと第2プレートがフライホイールに摺動でき、その結果滑りクラッチが作動するトルクを大きくできる。
請求項8に記載のフライホイール組立体では、請求項4において、弾性付勢部材は、フライホイールに固定されている。
請求項9に記載のフライホイール組立体は、請求項1において、ダンパー機構をクランクシャフトに固定するための円周方向に並んだ複数の固定部材をさらに備えている。フライホイールは、滑りクラッチが連結されたフライホイール本体と、フライホイール本体に対して相対回転可能であり、フライホイール本体をクランクシャフト側の部材に対して半径方向位置決めするための位置決め部材とを有している。位置決め部材には、固定部材に対応する位置に複数の軸方向貫通孔が形成されている。
このフライホイール組立体では、フライホイールがフライホイール本体と、位置決め部材とに分割されており、フライホイール本体は滑りクラッチが作動するとダンパー機構及び位置決め部材に対して相対回転する。位置決め部材はフライホイール本体と一体回転しないため、滑りクラッチが作動しても軸方向貫通孔が固定部材に対して回転方向にずれることがない。その結果、滑りクラッチが作動してもその状態で固定部材の操作が可能であり、つまりフライホイール組立体を容易にクランクシャフトから取り外すことができる。
請求項10に記載のフライホイール組立体では、請求項9において、位置決め部材は、ダンパー機構の出力側部材に対して相対回転不能に係合している。フライホイール本体がダンパー機構及び位置決め部材に対して相対回転した際に、位置決め部材はダンパー機構の出力側部材と一体回転するため、軸方向貫通孔が固定部材に対して回転方向にずれることがない。その結果、滑りクラッチが作動してもその状態で固定部材の操作が可能であり、つまりフライホイール組立体を容易にクランクシャフトから取り外すことができる。
請求項11に記載のフライホイール組立体では、請求項10において、位置決め部材は出力側部材に対して軸方向移動可能に係合している。そのため、フライホイール本体から位置決め部材に対して軸方向に荷重が作用すると、位置決め部材は出力側部材に対して軸方向移動する。
請求項12に記載のフライホイール組立体は、請求項10又は11において、ダンパー機構の入力側部材と位置決め部材との間に配置された摩擦抵抗発生機構をさらに備えている。そのため、ダンパー機構が作動すると、入力側部材と位置決め部材が相対回転して、摩擦抵抗発生機構が摩擦を発生する。
請求項13に記載のフライホイール組立体では、請求項9〜12のいずれかにおいて、位置決め部材は、フライホイール本体からの軸方向荷重をクランクシャフト側の部材に対して伝達するようになっている。そのため、フライホイール本体から位置決め部材に軸方向の荷重が作用すると、位置決め部材はクランクシャフト側の部材に支持される。なお、クランクシャフト側の部材とは、クランクシャフト自体やクランクシャフトに固定され一体回転する他の部材である。
本発明に係るフライホイール組立体では、ショックトルクが入力されると、滑りクラッチが滑ることによってダンパー機構に大きなトルクが作用しない。その結果、ダンパー機構の破損が生じにくい。
(1)構成
1)全体構造
図1に示す本発明の一実施形態としての2マスフライホイール1は、エンジン側のクランクシャフト91からのトルクをクラッチ(クラッチディスク組立体93及びクラッチカバー組立体94)を介してトランスミッション側の入力シャフト92にトルクを伝達するための装置である。2マスフライホイール1は、捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機能を有している。2マスフライホイール1は、主に第1フライホイール2と、第2フライホイール3と、両フライホイール2,3の間のダンパー機構4と、第1摩擦発生機構5と、第2摩擦発生機構7から構成されている。
1)全体構造
図1に示す本発明の一実施形態としての2マスフライホイール1は、エンジン側のクランクシャフト91からのトルクをクラッチ(クラッチディスク組立体93及びクラッチカバー組立体94)を介してトランスミッション側の入力シャフト92にトルクを伝達するための装置である。2マスフライホイール1は、捩り振動を吸収・減衰するためのダンパー機能を有している。2マスフライホイール1は、主に第1フライホイール2と、第2フライホイール3と、両フライホイール2,3の間のダンパー機構4と、第1摩擦発生機構5と、第2摩擦発生機構7から構成されている。
なお、図1及び図2のO−Oが2マスフライホイール1及びクラッチの回転軸線であり、図1及び図2の左側にはエンジン(図示せず)が配置されており、右側にはトランスミッション(図示せず)が配置されている。以後、図1及び図2において左側を軸方向エンジン側といい、右側を軸方向トランスミッション側という。また、図3及び図4において矢印R1の向きが駆動側(回転方向正側)であり、矢印R2の向きが反駆動側(回転方向負側)である。
なお、以下に述べる実施形態における実際の数値は一実施例に関するものであって、本発明を限定するものではない。
2)第1フライホイール
第1フライホイール2は、クランクシャフト91の先端に固定されている。第1フライホイール2は、クランクシャフト91側に大きな慣性モーメントを確保するための部材である。第1フライホイール2は、主に、フレキシブルプレート11と、イナーシャ部材13とから構成されている。
第1フライホイール2は、クランクシャフト91の先端に固定されている。第1フライホイール2は、クランクシャフト91側に大きな慣性モーメントを確保するための部材である。第1フライホイール2は、主に、フレキシブルプレート11と、イナーシャ部材13とから構成されている。
フレキシブルプレート11は、クランクシャフト91からイナーシャ部材13に対してトルクを伝達すると共に、クランクシャフトからの曲げ振動を吸収するための部材である。したがって、フレキシブルプレート11は、回転方向には剛性が高いが軸方向及び曲げ方向には剛性が低くなっている。具体的には、フレキシブルプレート11の軸方向の剛性は、3000kg/mm以下であり、600kg/mm〜2200kg/mmの範囲にあることが好ましい。フレキシブルプレート11は、中心孔が形成された円板状の部材であり、例えば板金製である。フレキシブルプレート11は内周端が複数のボルト22によってクランクシャフト91の先端に固定されている。フレキシブルプレート11には、ボルト22に対応する位置にボルト貫通孔が形成されている。ボルト22はクランクシャフト91に対して軸方向トランスミッション側から取り付けられている。
イナーシャ部材13は、厚肉ブロック状の部材であり、フレキシブルプレート11の外周端の軸方向トランスミッション側に固定されている。フレキシブルプレート11の最外周部は、円周方向に並んだ複数のリベット15(図3を参照)によってイナーシャ部材13に固定されている。イナーシャ部材13の外周面にはエンジン始動用リングギア14が固定されている。なお、第1フライホイール2は一体の部材から構成されていてもよい。
3)第2フライホイール
第2フライホイール3は、環状かつ円板状の部材であり、第1フライホイール2の軸方向トランスミッション側に配置されている。
第2フライホイール3は、環状かつ円板状の部材であり、第1フライホイール2の軸方向トランスミッション側に配置されている。
第2フライホイール3は、フライホイール本体3Aと、フライホイール本体3Aをクランクシャフト側の部材に対して半径方向に位置決めするための位置決め部材3Bとから構成されている。フライホイール本体3Aは、軸方向の厚みが大きい環状部材の部材であり、軸方向トランスミッション側に環状かつ平坦なクラッチ摩擦面3aが形成されている。クラッチ摩擦面3aは、環状かつ平坦な面であり、後述するクラッチディスク組立体93が連結される部分である。
位置決め部材3Bは、フライホイール本体3Aの内周側に配置された環状の板金製プレート部材である。位置決め部材3Bは、図8,図9及び図23に示すように、フライホイール本体3Aの内周部に当接することでフライホイール本体3Aに芯出しをする外周部67を有している。外周部67は、図23から明らかなように、概ね円周方向全体にわたってのびる環状部67aと、それを円周方向に分割する係合部67bとから構成されている。環状部67aの外周面67dは、フライホイール本体3Aの内周部に形成された凹部3cの内周面3dに相対回転可能に当接している。また、環状部67aの軸方向トランスミッション側面67cは、凹部3cの軸方向エンジン側面3eに当接している。位置決め部材3Bは、さらに、半径方向中間部68を有している。半径方向中間部68は、概ね平坦な部分(中心線O−Oに垂直な面)であり、軸方向エンジン側に環状かつ平坦な摩擦面68aを有している。さらに、位置決め部材3Bは、内周部69を有している。内周部69には、図1,図3及び図23に示すように、ボルト22が貫通するための貫通孔69aが円周方向に並んで形成されている。貫通孔69aは、円周方向に等間隔で形成されており、概ね円形である。ボルト22は、図1に示すように、貫通孔69aを通ってさらに軸方向エンジン側に位置している。位置決め部材3Bは、さらに、内周縁において軸方向エンジン側に延びる内周筒状部70を有している。
4)ダンパー機構
ダンパー機構4について説明する。ダンパー機構4は、クランクシャフト91と第2フライホイール3とを回転方向に弾性的に連結するための機構である。このように第2フライホイール3はダンパー機構4によってクランクシャフト91に連結されることで、ダンパー機構4と共にフライホイール組立体(フライホイールダンパー)を構成している。ダンパー機構4は、複数のコイルスプリング34,35,36と、一対の出力側円板状プレート32,33と、入力側円板状プレート20とから構成されている。なお、図16の機械回路図に示すように、コイルスプリング34,35,36は摩擦発生機構5,7に対して回転方向に並列に作用するように配置されている。
ダンパー機構4について説明する。ダンパー機構4は、クランクシャフト91と第2フライホイール3とを回転方向に弾性的に連結するための機構である。このように第2フライホイール3はダンパー機構4によってクランクシャフト91に連結されることで、ダンパー機構4と共にフライホイール組立体(フライホイールダンパー)を構成している。ダンパー機構4は、複数のコイルスプリング34,35,36と、一対の出力側円板状プレート32,33と、入力側円板状プレート20とから構成されている。なお、図16の機械回路図に示すように、コイルスプリング34,35,36は摩擦発生機構5,7に対して回転方向に並列に作用するように配置されている。
一対の出力側円板状プレート32,33は、軸方向エンジン側の第1プレート32と、軸方向トランスミッション側の第2プレート33とから構成されている。両プレート32,33は、円板状部材であり、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。各プレート32,33には、円周方向に並んだ複数の窓部46,47がそれぞれ形成されている。窓部46,47は、後述するコイルスプリング34,35を軸方向及び回転方向にそれぞれ支持するための構造であり、コイルスプリング34,35を軸方向に保持しかつその円周方向両端に当接する切り起こし部を有している。窓部46,47は、それぞれ2個ずつ、円周方向に交互に並んで配置されている(同一半径方向位置に配置されている)。さらに、各プレート32,33には、円周方向に並んだ複数の第3窓部48がそれぞれ形成されている。第3窓部48は、半径方向対向する2カ所に形成され、具体的には第1窓部46の外周側に形成されており、後述する第3コイルスプリング36を軸方向及び回転方向にそれぞれ支持するための構造である。
第1プレート32と第2プレート33は、内周部同士は軸方向に一定の間隔を維持しているが、外周部同士は互いに近接してリベット41,42によって堅く固定されている。第1リベット41は、円周方向に並んで配置されている。第2リベット42は、第1プレート32と第2プレート33において形成された切り起こし当接部43,44同士を固定している。切り起こし当接部43,44は、円周方向の2カ所において半径方向に対向して形成され、具体的には第2窓部47の半径方向外側に配置されている。図2に示すように、切り起こし当接部43,44の軸方向位置は入力側円板状プレート20と同一である。
第2プレート33は、滑りクラッチ82を介して、第2フライホイール3の外周部に固定されている。滑りクラッチ82は、所定以下の大きさののトルクに対しては滑らないが所定以上の大きさのトルクに対しては滑るクラッチであり、トルクリミッターとしての機能を有している。滑りクラッチ82は、図5に示すように、第2プレート33の外周部である当接部33aと弾性プレート83とから構成されている。当接部33aは、環状かつ平坦な形状であり、フライホイール本体3Aの外周側の第2摩擦面3bに当接している。第2摩擦面3bはフライホイール本体3Aの外周側の軸方向トランスミッション側に形成された環状かつ平坦な面である。なお、第2摩擦面3bは、クラッチ摩擦面3aよりさらに外周側に配置されている。弾性プレート83は、環状のプレート部材であり、フライホイール本体3Aの外周側の軸方向エンジン側面でかつ第2摩擦面3bよりさらに外周側の部分に、複数のリベット84(図2)によって固定されている。弾性プレート83は、外周側の固定部83aと、内周側の弾性付勢部83bとから構成されている。弾性付勢部83bは、第2プレート33の当接部33aを第2摩擦面3bに付勢している。
滑りクラッチ82はフライホイール本体3Aの外周部に設けられている(特に、フライホイール本体3Aのクラッチ摩擦面3aよりさらに外周側に設けられている)ため、滑りクラッチ82が作動するトルクの値を大きくできる。滑りクラッチ82は2つの部材のみから構成され、フライホイール本体3Aの一部を摩擦面として利用しているため、構造が簡単である。また、滑りクラッチ82は、省スペースでかつ低コストの構成になっている。
なお、他の実施例として、図26に示すように、弾性プレート83’を複数のボルト88によってフライホイール本体3Aに固定しても良い。また、図27に示すように、滑りクラッチ82’’は、当接部33a’と弾性プレート85とフリクションプレート87とから構成されていても良い。その場合は、当接部33a’’はフライホイール本体3Aの外周縁まで延びており、その部分に弾性プレート85の軸方向エンジン側端が溶接で固定されている。弾性プレート85は、フライホイール本体3Aの外周面に沿って延びる筒状部分85aと、その軸方向エンジン側端から内周側に延びさらに外周側に延びる弾性湾曲部85bとを有している。フリクションプレート87は、フライホイール本体3Aの外周側の軸方向トランスミッション側の第3摩擦面3hと弾性湾曲部85bとの間に配置されている。フリクションプレート87は、弾性プレート85の筒状部分85aに対して相対回転不能にかつ軸方向移動可能に係合している。この実施形態では、当接部33a’’と第2摩擦面3b’との間、及びフリクションプレート87と第3摩擦面3hとの間の2カ所で摩擦摺動面が確保されている。言い換えると、第2プレート33と一体回転する部材は、フライホイール本体3Aの軸方向両側面に当接している。そのため、滑りクラッチ82’’が作動するトルクの値を大きくできる。
また、第2プレート33には、図9に示すように、位置決め部材3Bの外周部67の係合部67bに対応する位置に切り欠き33bが形成されている。係合部67bは切り欠き33b内に挿入され、回転方向端同士が当接している。この係合によって、位置決め部材3Bは出力側円板状プレート33に対して軸方向に移動可能であるが相対回転不能に係合している。つまり、位置決め部材3Bは、滑りクラッチ82で滑りが生じると、ダンパー機構4の出力側部分と一体回転し、フライホイール本体3Aに対して相対回転する。
入力側円板状プレート20は、出力側円板状プレート32,33の間に配置された円板状の部材である。入力側円板状プレート20には、第1窓部46に対応した第1窓孔38と、第2窓部47に対応した第2窓孔39が形成されている。第1及び第2窓孔38,39は、それぞれ、直線状の内周縁を有しているが、内周縁の回転方向中間部分には半径方向内側に凹んだ切り欠き38a,39aを有している。入力側円板状プレート20は、図12に示すように、さらに、中心孔20aと、その回りに形成された複数のボルト貫通孔20bが形成されている。また、外周縁の各窓孔38,39の円周方向間にあたる位置には、半径方向外側に突出する突起20cが形成されている。突起20cは、出力側円板状プレート32,33の切り起こし当接部43,44と第3コイルスプリング36から回転方向に離れて配置されており、かつ、回転方向に接近するといずれにも当接可能となっている。言い換えると、突起20cと切り起こし当接部43,44はダンパー機構4全体のストッパー機構を構成している。また、突起20c同士の回転方向の空間は第3コイルスプリング36を収納するための第3窓孔40として機能している。さらに、入力側円板状プレート20の円周方向の複数箇所(この実施形態では4カ所)には、孔20dが形成されている。孔20dは概ね円形状であるが、わずかに半径方向に長くなっている。孔20dの回転方向位置は窓孔38,39の回転方向間であり、孔20dの半径方向位置は切り欠き38a,39aとほぼ同じである。
入力側円板状プレート20は、フレキシブルプレート11,補強部材18,及び支持部材19と共に、ボルト22によってクランクシャフト91に固定されている。フレキシブルプレート11の内周部は、クランクシャフト91の先端面91aの軸方向トランスミッション側面に当接している。補強部材18は、円板状の部材であり、フレキシブルプレート11の内周部の軸方向トランスミッション側面に当接している。支持部材19は、筒状部19aと、その外周面から半径方向に延びる円板状部19bとから構成されている。円板状部19bは、補強部材18の軸方向トランスミッション側面に当接している。筒状部19aの内周面は、クランクシャフト91の先端中心に形成された円柱突起91bの外周面に当接して芯出しされている。フレキシブルプレート11の内周面及び補強部材18の内周面は、筒状部19aの軸方向エンジン側の外周面に当接して芯出しされている。入力側円板状プレート20の内周面は、筒状部19aの軸方向トランスミッション側根元の外周面に当接して芯出しされている。筒状部19aの内周面には軸受23が装着され、軸受23はトランスミッションの入力シャフト92の先端を回転自在に支持している。また、各部材11,18,19,20はネジ21によって互いに堅く固定されている。
以上に述べたように、支持部材19は、クランクシャフト91に対して半径方向位置決めされた状態で固定され、さらに第1フライホイール2と第2フライホイール3の半径方向位置決めを行っている。このように一つの部品に複数の機能を持たせているため、部品点数が少なくなり、コスト低減につながる。
位置決め部材3Bの筒状部70の内周面は、ブッシュ30を介して、支持部材19の筒状部19aの外周面に支持されている。このようにして、位置決め部材3Bは支持部材19によって第1フライホイール2及びクランクシャフト91に対して芯出しされており、さらにはフライホイール本体3Aは位置決め部材3Bを介して第1フライホイール2及びクランクシャフト91に対して芯出しされている。ブッシュ30は、筒状部70と筒状部19aの間に配置された筒状部分30aと、入力側円板状プレート20の内周部と位置決め部材3Bの筒状部70先端との間に配置されたスラスト部30bとを有している。このように、第2フライホイール3からのスラスト荷重は、スラスト部30bを介して、軸方向に並んで配置された各部材11,18,19,20によって受けられるようになっている。つまり、ブッシュ30のスラスト部30bが、入力側円板状プレート20の内周部に支持されて第2フライホイール3からの軸方向の荷重を受けるスラスト軸受として機能している。入力側円板状プレート20の内周部は平板状であって平面度が向上しているため、スラスト軸受における発生荷重が安定する。また、入力側円板状プレート20の内周部は平面状であるため、スラスト軸受部を長く取ることができ、その結果ヒステリシストルクが安定する。さらに、入力側円板状プレート20の内周部は支持部材19の円板状部19bに対して軸方向に密に当接する部分であるため、剛性が高い。
第1コイルスプリング34は、第1窓孔38及び第1窓部46内に配置されている。第1コイルスプリング34は、大小のばねが組み合わせられた親子ばねである。第1コイルスプリング34の回転方向両端は、第1窓孔38及び第1窓部46の回転方向端に当接又は近接している。
第2コイルスプリング35は、第2窓孔39及び第2窓部47内に配置されている。第2コイルスプリング35は、大小のばねが組み合わせられた親子ばねであり、第1コイルスプリング34より剛性が高い。第2コイルスプリング35の回転方向両端は、第2窓部47の回転方向両端に近接又は当接しているが、第2窓孔39の回転法両端から所定角度(この実施形態では4°)離れている。
第3コイルスプリング36は、第3窓部48内に配置されている。第3コイルスプリング36は、第1コイルスプリング34及び第2コイルスプリング35より小型ではあるが外周に配置されているため、剛性は高くなっている。なお、第3コイルスプリング36の回転方向両端は、第3窓部48の回転方向両端に当接しているが、図4に示すように、第3窓孔40の回転方向両端つまり入力側円板状プレート20の突起20cの回転方向端面から大きく離れている。
5)摩擦発生機構
5−1)第1摩擦発生機構5
第1摩擦発生機構5は、ダンパー機構4の入力側円板状プレート20と出力側円板状プレート32,33との回転方向間でコイルスプリング34,35,36と並列に機能する機構であり、クランクシャフト91と第2フライホイール3が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。第1摩擦発生機構5は、ダンパー機構4の作動角範囲全体で一定の摩擦を発生するための装置であり、比較的小さな摩擦を発生するようになっている。
5−1)第1摩擦発生機構5
第1摩擦発生機構5は、ダンパー機構4の入力側円板状プレート20と出力側円板状プレート32,33との回転方向間でコイルスプリング34,35,36と並列に機能する機構であり、クランクシャフト91と第2フライホイール3が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。第1摩擦発生機構5は、ダンパー機構4の作動角範囲全体で一定の摩擦を発生するための装置であり、比較的小さな摩擦を発生するようになっている。
第1摩擦発生機構5は、図8〜図10に示すように、ダンパー機構4より内周側に配置されており、さらに第1プレート32と第2フライホイール3との軸方向間に配置されている。第1摩擦発生機構5は、第1摩擦部材51と、第2摩擦部材52と、コーンスプリング53と、ワッシャ54とから構成されている。
第1摩擦部材51は、入力側円板状プレート20と一体回転して第1プレート32に回転方向に摺動するための部材である。図8〜図11に示すように、第1摩擦部材51は、環状部51aと、環状部51aから軸方向トランスミッション側に延びる第1及び第2係合部51b、51cとを有している。環状部51aの軸方向エンジン側面51hは、第1プレート32の内周部の軸方向トランスミッション側面32eに対して回転方向に摺動可能に当接している。第1係合部51bと第2係合部51cは、回転方向に交互に配置されている。第1係合部51bは、回転方向に細長い形状を有しており、入力側円板状プレート20の窓孔38,39の内周側切り欠き38a,39aに係合している。第2係合部51cは、半径方向にわずかに長い形状を有しており、入力側円板状プレート20の孔20dに係合している。このため、第1摩擦部材51は、入力側円板状プレート20に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能になっている。
なお、第1係合部51bの軸方向先端の回転方向中間位置にさらに軸方向に延びる第1突起51dが形成されている。このため、第1突起51dの回転方向両側には第1軸方向面51eが形成されている。また、第2係合部51cの半径方向内側位置にさらに軸方向に延びる第2突起51fが形成されている。このため、第2突起51fの半径方向外側位置には第2軸方向面51gが形成されている。
第2摩擦部材52は、入力側円板状プレート20と一体回転して第2フライホイール3に回転方向に摺動するための部材である。第2摩擦部材52は、図15に示すように、環状の部材であり、図8及び図9に示すように、第2フライホイール3の位置決め部材3Bの半径方向中間部68の平坦面68aに対して回転方向に摺動可能に当接している。
第2摩擦部材52の内周縁には、回転方向に並んだ複数の切り欠き52aが形成されている。これら切り欠き52a内には、第1係合部51bの第1突起51dと第2係合部51cの第2突起51fが各々係合している。そのため、第2摩擦部材52は、第1摩擦部材51に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能になっている。
コーンスプリング53は、第1摩擦部材51と第2摩擦部材52との軸方向間に配置され、両部材を軸方向に離れる方向に付勢するための部材である。コーンスプリング53は、図14に示すように、円錐状又は円板状のばねであり、内周縁に複数の切り欠き53aが形成されている。これら切り欠き53a内には、第1係合部51bの第1突起51dと第2係合部51cの第2突起51fが各々係合している。そのため、コーンスプリング53は、第1摩擦部材51に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能になっている。
ワッシャ54は、コーンスプリング53の荷重を第1摩擦部材51に確実に伝えるための部材である。ワッシャ54は、図13に示すように、環状の部材であり、内周縁に円周方向に並んだ複数の切り欠き54aを有している。これら切り欠き54a内には、第1係合部51bの第1突起51dと第2係合部51cの第2突起51fが各々係合している。そのため、ワッシャ54は、第1摩擦部材51に対して相対回転不能にかつ軸方向に移動可能になっている。ワッシャ54は、第1係合部51bの第1軸方向面51eと第2係合部51cの第2軸方向面51gに着座している。コーンスプリング53は、内周部がワッシャ54に支持され、外周部が第2摩擦部材52に支持されている。
以上より、コーンスプリング53の荷重によって、第1摩擦部材51が出力側円板状プレート32に付勢され、第2摩擦部材52が位置決め部材3B(出力側円板状プレート33と一体回転する部材)に付勢されている。その結果、ダンパー機構4が作動すると、第1摩擦部材51の軸方向エンジン側面51hが出力側円板状プレート32の軸方向トランスミッション側面32eに摺動し、また第2摩擦部材52が位置決め部材3Bの軸方向エンジン側面68aに摺動する
5−2)第2摩擦発生機構7
第2摩擦発生機構7は、ダンパー機構4の入力側円板状プレート20と出力側円板状プレート32,33との回転方向間でコイルスプリング34,35,36と並列に機能する機構であり、クランクシャフト91と第2フライホイール3が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。第2摩擦発生機構7は、ダンパー機構4の作動角範囲全体で一定の摩擦を発生するための装置であり、比較的大きな摩擦を発生するようになっている。この実施形態では、第2摩擦発生機構7が発生するヒステリシストルクは、第1摩擦発生機構5が発生するヒステリシストルクの5〜10倍となっている。
5−2)第2摩擦発生機構7
第2摩擦発生機構7は、ダンパー機構4の入力側円板状プレート20と出力側円板状プレート32,33との回転方向間でコイルスプリング34,35,36と並列に機能する機構であり、クランクシャフト91と第2フライホイール3が相対回転すると所定の摩擦抵抗(ヒステリシストルク)を発生する。第2摩擦発生機構7は、ダンパー機構4の作動角範囲全体で一定の摩擦を発生するための装置であり、比較的大きな摩擦を発生するようになっている。この実施形態では、第2摩擦発生機構7が発生するヒステリシストルクは、第1摩擦発生機構5が発生するヒステリシストルクの5〜10倍となっている。
第2摩擦発生機構7は、図5に示すように、フレキシブルプレート11の外周部である環状部11aと、イナーシャ部材13との軸方向間に形成された空間内に配置され互いに当接する複数の部材によって構成されている。具体的には、イナーシャ部材13は、環状部11aに対して軸方向に離れた位置で対向する環状突出部13aを有しており、環状突出部13aは軸方向エンジン側面13bと内周面13cとを有している。
第2摩擦発生機構7は、図5に示すように、フレキシブルプレート11からイナーシャ部材13の軸方向エンジン側面13bに向かって順番に、コーンスプリング58、フリクションプレート59、及びフリクションワッシャ61を有している。このようにフレキシブルプレート11は第2摩擦発生機構7を保持する機能も有しているため、部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。また、イナーシャ部材13も第2摩擦発生機構7を保持する機能を有しているため、さらに効果が得られる。
コーンスプリング58は、各摩擦面に対して軸方向に荷重を付与するための部材であり、環状部11aとフリクションプレート59との間に挟まれて圧縮されており、そのため両部材に対して軸方向に付勢力を与えている。フリクションプレート59は外周縁に形成された爪部59aを有しており、爪部59aがフレキシブルプレート11の環状部11aに形成された切り欠き11bに係合している。この係合によってフリクションプレート59は、フレキシブルプレート11に対して、相対回転は不能であるが軸方向に移動可能となっている。
フリクションワッシャ61は、図4及び図6に示すように、回転方向に並んで配置された複数の部材であり、それぞれが弧状に延びている。この実施形態ではフリクションワッシャ61は合計6個である。各フリクションワッシャ61は、フリクションプレート59とイナーシャ部材13の軸方向エンジン側面13bとの間に挟まれている。つまり、フリクションワッシャ61の軸方向エンジン側面61aはフレキシブルプレート11の軸方向トランスミッション側面に摺動可能に当接しており、フリクションワッシャ61の軸方向トランスミッション側面61bはイナーシャ部材13の軸方向エンジン側面13bに摺動可能に当接している。図5〜図7に示すように、フリクションワッシャ61の内周面には、凹部62が形成されている。凹部62は、フリクションワッシャ61の概ね回転方向中心に形成され、具体的には、回転方向に延びる底面62aと、その両端から概ね半径方向に(底面62aから概ね直角に)延びる回転方向端面62bとを有している。凹部62は、フリクションワッシャ61の内周面の軸方向中間に形成されているため、軸方向両側を構成する軸方向端面62d、62eを有している。つまり、凹部62は、フリクションワッシャ61の内周面の軸方向中間部分にのみ形成されている。回転方向端面62bには、回転方向外側にへこんだ概ね円形状の凹部62cが設けられている。この凹部62c内には、図7に示すように、クッション部材80が配置されている。クッション部材80は、例えばゴムや弾性樹脂からなる部材であり、熱可塑性ポリエステルエラストマーからなることが好ましい。クッション部材80の本体は凹部62c内に収容されている。クッション部材80の突出部部分は凹部62cよりさらに回転方向内側に突出しており、その先端は回転方向端面62bよりさらに回転方向内側に位置している。なお、フリクションワッシャ61の外周面61cは、イナーシャ部材13の内周面13cに当接している。
各フリクションワッシャ61の内周側、より具体的には凹部62内には、それぞれ、フリクション係合部材63が配置されている。各フリクション係合部材63の外周部は、フリクションワッシャ61の凹部62内に配置されている。なお、フリクションワッシャ61とフリクション係合部材63はともに樹脂製である。
フリクション係合部材63とフリクションワッシャ61の凹部62によって構成される係合部分78について説明する。フリクション係合部材63の外周面63gは凹部62の底面62aに近接している。フリクション係合部材63は、回転方向端面63cを有している。フリクション係合部材63の外周面は凹部62の底面62aに近接しており、端面63cと回転方向端面62bのそれぞれとの間には、所定角度の回転方向隙間79が確保されている。両角度の合計が、そのフリクションワッシャ61がフリクション係合部材63に対して相対回転可能な所定角度の大きさとなる。なお、この角度はエンジンの燃焼変動に起因する微少捩り振動により生じるダンパー作動角に等しい又はわずかに越える範囲にあることが好ましい。なお、この実施形態では、フリクション係合部材63は、図7に示す中立状態において、凹部62の回転方向中心に配置されている。したがって、フリクション係合部材63の回転方向各側の隙間の大きさは同じである。
フリクション係合部材63は、出力側円板状プレート32,33に対して、一体回転するようにかつ軸方向に移動可能となるように係合している。具体的には、出力側円板状プレート32の外周縁には軸方向エンジン側に延びる環状壁32aが形成されており、環状壁32aには各フリクション係合部材63に対応して半径方向内側に凹んだ凹部32bが形成されている。さらに、凹部32bの回転方向両側には、半径方向に貫通するスリット32cが形成されている。また、凹部32bにもスリット32dが形成されている。
フリクション係合部材63は、各スリット32c内に半径方向外側から内側に向かって延びさらに回転方向外側に延びて環状壁32aの内周面に当接する一対の脚部63eを有している。また、フリクション係合部材63は、スリット32d内に半径方向外側から内側に向かって延びさらに回転方向両側に延びて環状壁32aの内周面に当接する脚部63fを有している。これにより、フリクション係合部材63が環状壁32aから半径方向外方に移動することがない。さらに、フリクション係合部材63は、半径方向内側に延び環状壁32aの凹部32bに対して回転方向に係合する凸部63dを有している。これにより、フリクション係合部材63は、出力側円板状プレート32の凸部として一体回転する。
また、フリクション係合部材63の軸方向寸法が凹部62の軸方向寸法より短い(つまり、凹部62の軸方向端面62d,62e間がフリクション係合部材63の軸方向端面63a,63b間より長い)ため、フリクション係合部材63はフリクションワッシャ61に対して軸方向に移動可能である。さらに、フリクション係合部材63の外周面63gと凹部62の底面62aとの間には半径方向隙間が確保されているため、フリクション係合部材63はフリクションワッシャ61に対して所定角度ではあるが傾くことが可能である。
以上に述べたように、フリクションワッシャ61は、フリクション係合部材63に対して係合部分78の回転方向隙間79を介してトルク伝達可能に係合している。さらに、フリクション係合部材63は、出力側円板状プレート32と一体回転すると共に、軸方向に移動可能となっている。
なお、図5に示すように、フリクション係合部材63と、出力側円板状プレート32の外周部分32fとの間には、複数の板ばね86が配置されている。板ばね86は、図7に示すように、各フリクション係合部材63に対応して配置されている。板ばね86は、中心部86aと、そこから半径方向外方に延びる第1当接部86bと、中心部86aから円周方向両側に延びる一対の第2当接部86cとから構成されている。第1当接部86bはフリクション係合部材63の軸方向トランスミッション側面に当接しており、第2当接部86cは出力側円板状プレート32の外周部32fの軸方向エンジン側面32gに当接している。クラッチが連結された通常状態では、板ばね86は自由状態であるか又は若干軸方向に圧縮されてフリクション係合部材63を軸方向エンジン側に付勢している。そして、クラッチレリーズ時には第2フライホイール3が軸方向エンジン側に移動し、図22に示すように、出力側円板状プレート32も軸方向エンジン側に移動する。その結果、板ばね86の圧縮が始まり又は進み、そのためフリクション係合部材63に与えられる軸方向荷重が大きくなる。なお、板ばね86の内周縁は、第1プレート32において外周部分32fの内周において軸方向に延びる筒状部32eの外周面に当接又は近接している。このようにして、フリクションワッシャ61とフリクション係合部材63と板ばね86とによってクラッチレリーズ荷重によって摩擦抵抗を発生又は大きくする摩擦発生部72が構成されている。
次に、フリクションワッシャ61とフリクション係合部材63との関係について、さらに詳細に説明する。フリクション係合部材63の回転方向幅(回転方向角度)は全て同じであるが、凹部62の回転方向幅(回転方向角度)が異なるものがある。言い換えると、凹部62の回転方向幅が異なる3種類のフリクションワッシャ61がある。この実施形態では、図6の上下方向に対向する2つの第1フリクションワッシャ61Aと、右斜め上と左斜め下とに配置された2つの第2フリクションワッシャ61Bと、左斜め上と右斜め下とに配置された2つの第3フリクションワッシャ61Cとから構成されている。第1〜第3フリクションワッシャ61A,61B,61Cは概ね同一形状であり、又同一材料からなる。それぞれが異なる点は、凹部62の回転方向隙間の回転方向幅(回転方向角度)のみである。具体的には、第2フリクションワッシャ61Bの凹部62の回転方向幅が、第1フリクションワッシャ61Aの凹部62の回転方向幅より大きくなっており、さらに第3フリクションワッシャ61Cの凹部62の回転方向幅が、第2フリクションワッシャ61Bの凹部62の回転方向幅より大きくなっている。この結果、第2フリクションワッシャ61Bにおける第2係合部分78Bの第2回転方向隙間79Bが、第1フリクションワッシャ61Aにおける第1係合部分78Aの第1回転方向隙間79Aより大きくなっており、第3フリクションワッシャ61Cにおける第3係合部分78Cの第3回転方向隙間79Cが、第2フリクションワッシャ61Bにおける第2係合部分78Bの第2回転方向隙間79Bより大きくなっている。この実施形態では、第1回転方向隙間79Aの回転方向角度は6度であり、第2回転方向隙間79Bの回転方向角度は12度であり、第3回転方向隙間79Cの回転方向角度は18度である。
第1〜第3フリクションワッシャ61A,61B及び61Cの回転方向長さ(回転方向角度)はそれぞれ異なっており、後にいくに従って大きくなっている。このように第1〜第3フリクションワッシャ61A,61B及び61Cは面積が異なり、後から作動するものがその前に作動するものに対して大きくなっている。
第1〜第3フリクションワッシャ61A,61B及び61Cの回転方向間には、それぞれ、弾性部材としてのコイルスプリング90が配置されている。コイルスプリング90は、回転方向に延びており、両端がフリクションワッシャ61の回転方向端面に当接している。図6に示す中立状態において、各コイルスプリング90は回転方向に圧縮されており、両側のフリクションワッシャ61に回転方向に荷重を付与している。
ここで、第1フリクションワッシャ61Aと第2フリクションワッシャ61Bとの間のものを第1コイルスプリン90Aとし、第2フリクションワッシャ61Bと第3フリクションワッシャ61Cとの間のものを第2コイルスプリング90Bとし、第3フリクションワッシャ61Cと第1フリクションワッシャ61Aとの間のものを第3コイルスプリング90Cとする。ただし、第1〜第3コイルスプリング90A〜90Cは同一形状、同一ばね定数を有しており、図6の中立状態で回転方向の圧縮量も同一になっている。
6)クラッチディスク組立体
クラッチのクラッチディスク組立体93は、第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3aに近接して配置される摩擦フェーシング93aと、トランスミッション入力シャフト92にスプライン係合するハブ93bとを有している。
クラッチのクラッチディスク組立体93は、第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3aに近接して配置される摩擦フェーシング93aと、トランスミッション入力シャフト92にスプライン係合するハブ93bとを有している。
7)クラッチカバー組立体
クラッチカバー組立体94は、クラッチカバー96と、ダイヤフラムスプリング97と、プレッシャープレート98とを有している。クラッチカバー96は、第2フライホイール3に固定された円板状かつ環状部材である。プレッシャープレート98は、摩擦フェーシング93aに近接する押圧面を有する環状の部材であり、クラッチカバー96と一体回転するようになっている。ダイヤフラムスプリング97は、クラッチカバー96に指示された状態でプレッシャープレート98を第2フライホイール側に弾性的に付勢するための部材である。図示しないレリーズ装置がダイヤフラムスプリング97の内周端を軸方向エンジン側に押すと、ダイヤフラムスプリング97はプレッシャープレート98への付勢を解除する。
クラッチカバー組立体94は、クラッチカバー96と、ダイヤフラムスプリング97と、プレッシャープレート98とを有している。クラッチカバー96は、第2フライホイール3に固定された円板状かつ環状部材である。プレッシャープレート98は、摩擦フェーシング93aに近接する押圧面を有する環状の部材であり、クラッチカバー96と一体回転するようになっている。ダイヤフラムスプリング97は、クラッチカバー96に指示された状態でプレッシャープレート98を第2フライホイール側に弾性的に付勢するための部材である。図示しないレリーズ装置がダイヤフラムスプリング97の内周端を軸方向エンジン側に押すと、ダイヤフラムスプリング97はプレッシャープレート98への付勢を解除する。
(2)動作
1)トルク伝達
この2マスフライホイール1では、エンジンのクランクシャフト91からのトルクは、第2フライホイール3に対してダンパー機構4を介して伝達される。ダンパー機構4では、トルクは、入力側円板状プレート20、コイルスプリング34〜36、出力側円板状プレート32,33の順番で伝達される。さらに、トルクは、2マスフライホイール1から、クラッチ連結状態でクラッチディスク組立体93に伝達され、最後に入力シャフト92に出力される。
1)トルク伝達
この2マスフライホイール1では、エンジンのクランクシャフト91からのトルクは、第2フライホイール3に対してダンパー機構4を介して伝達される。ダンパー機構4では、トルクは、入力側円板状プレート20、コイルスプリング34〜36、出力側円板状プレート32,33の順番で伝達される。さらに、トルクは、2マスフライホイール1から、クラッチ連結状態でクラッチディスク組立体93に伝達され、最後に入力シャフト92に出力される。
2)捩り振動の吸収・減衰
2マスフライホイール1にエンジンからの燃焼変動が入力されると、ダンパー機構4において入力側円板状プレート20と出力側円板状プレート32,33とが相対回転し、その間でコイルスプリング34〜36が並列に圧縮される。さらに、第1摩擦発生機構5及び第2摩擦発生機構7が所定のヒステリシストルクを発生する。以上の作用により捩じり振動が吸収・減衰される。
2マスフライホイール1にエンジンからの燃焼変動が入力されると、ダンパー機構4において入力側円板状プレート20と出力側円板状プレート32,33とが相対回転し、その間でコイルスプリング34〜36が並列に圧縮される。さらに、第1摩擦発生機構5及び第2摩擦発生機構7が所定のヒステリシストルクを発生する。以上の作用により捩じり振動が吸収・減衰される。
2−1)微少捩り振動
次に、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動が入力されたときのダンパー機構4の動作を説明する。
次に、エンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動が入力されたときのダンパー機構4の動作を説明する。
微少捩り振動が入力されると、第2摩擦発生機構7において、出力側円板状プレート32は、フリクション係合部材63とフリクションワッシャ61の凹部62との間の回転方向隙間79において、フリクションワッシャ61に対して相対回転する。つまり、フリクションワッシャ61はフリクション係合部材63によって駆動されず、したがってフリクションワッシャ61はフレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13に対して回転しない。この結果、微小捩じり振動に対しては高ヒステリシストルクが発生しない。つまり、所定の捩り角度範囲では、通常のヒステリシストルクよりはるかに小さなヒステリシストルクしか得られない。このように、捩じり特性において第2摩擦発生機構7を所定角度範囲内では作動させない微少回転方向隙間を設けたため、振動・騒音レベルを大幅に低くすることができる。
2−2)広角度捩り振動
次に、図20の捩り特性線図を用いてダンパー機構4の動作を説明する。捩り角度の小さな領域(角度ゼロ付近)では、第1コイルスプリング34のみが圧縮されて比較的低剛性の特性が得られる。捩り角度が大きくなると、第1コイルスプリング34と第2コイルスプリング35が並列に圧縮され、比較的高剛性の特性が得られる。捩り角度がさらに大きくなると、第1コイルスプリング34と第2コイルスプリング35と第3コイルスプリング36が並列に圧縮され、捩り特性の両端に最も高い剛性の特性が得られる。第1摩擦発生機構5は、捩り角度の全ての領域において作動している。第2摩擦発生機構7では、フリクションワッシャ61がフレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13に摺動する。その結果、一定の大きさの摩擦抵抗が捩り特性の全体にわたって得られる。具体的には、第2摩擦発生機構7では、フリクションワッシャ61は、出力側円板状プレート32と一体回転し、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13と相対回転する。この結果、フリクションワッシャ61が両者に摺動して比較的大きな摩擦抵抗を発生する。なお、第2摩擦発生機構7は、捩り角度の両端において捩り動作の向きが変わってから所定角度までは作動していない。
次に、図20の捩り特性線図を用いてダンパー機構4の動作を説明する。捩り角度の小さな領域(角度ゼロ付近)では、第1コイルスプリング34のみが圧縮されて比較的低剛性の特性が得られる。捩り角度が大きくなると、第1コイルスプリング34と第2コイルスプリング35が並列に圧縮され、比較的高剛性の特性が得られる。捩り角度がさらに大きくなると、第1コイルスプリング34と第2コイルスプリング35と第3コイルスプリング36が並列に圧縮され、捩り特性の両端に最も高い剛性の特性が得られる。第1摩擦発生機構5は、捩り角度の全ての領域において作動している。第2摩擦発生機構7では、フリクションワッシャ61がフレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13に摺動する。その結果、一定の大きさの摩擦抵抗が捩り特性の全体にわたって得られる。具体的には、第2摩擦発生機構7では、フリクションワッシャ61は、出力側円板状プレート32と一体回転し、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13と相対回転する。この結果、フリクションワッシャ61が両者に摺動して比較的大きな摩擦抵抗を発生する。なお、第2摩擦発生機構7は、捩り角度の両端において捩り動作の向きが変わってから所定角度までは作動していない。
次に、フリクションワッシャ61がフリクション係合部材63によって駆動されるときの動作を説明する。具体的には、図6の中立状態から、フリクション係合部材63がフリクションワッシャ61に対して回転方向R1側に捩れていく動作を説明する。
捩り角度が大きくなると、やがて、図17に示すように、第1フリクションワッシャ61Aにおいてフリクション係合部材63が第1フリクションワッシャ61Aの凹部62の回転方向R1側の回転方向端面62bに当接する。このときに、図21の矢印Aに示すように、ヒステリシストルクh1が立ち上がる。
さらに捩り角度が大きくなると、フリクション係合部材63は第1フリクションワッシャ61Aを駆動して、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13に対して摺動させる。この動作中、第3コイルスプリング90C(第1フリクションワッシャ61Aの進行方向のコイルスプリング)がさらに圧縮されていき、第1コイルスプリング90A(第1フリクションワッシャ61Aの進行方向と反対のコイルスプリング)が伸びていく。このため、図17から図18の動作の間に、ヒステリシストルクは徐々に高くなっていく。なお、第1コイルスプリング90Aは最も伸びた状態でも自由長より短くなっている。そのため、第1コイルスプリング90Aはフリクション部材間で姿勢や位置を正しく維持できる。
以上の結果、第2フリクションワッシャ61Bは、第1〜第3コイルスプリング90A〜90Bの作用によって、それらコイルスプリングがない場合に比べて小さい力で動くようになっている。
やがて捩り角度が所定の大きさになると、図18に示すように、フリクション係合部材63が、第2フリクションワッシャ61Bの凹部62の回転方向端面62bに当接する。このときに、図21の矢印Bに示すように、ヒステリシストルクh2’が立ち上がる。これ以降は、フリクション係合部材63は、第1及び第2フリクションワッシャ61A,61Bをともに駆動して、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13に対して摺動させる。この動作中、第3コイルスプリング90C(第1フリクションワッシャ61Aの進行方向のコイルスプリング)がさらに圧縮されていき、第2コイルスプリング90B(第2フリクションワッシャ61Bの進行方向と反対のコイルスプリング)が伸びていく。このため、図18から図19までの動作の間にヒステリシストルクは徐々に高くなっていく。なお、第2コイルスプリング90Bは最も伸びた状態でも自由長より短くなっている。そのため、第2コイルスプリング90Bはフリクション部材間で姿勢や位置を正しく維持できる。
以上の結果、第3フリクションワッシャ61Cは、第1〜第3コイルスプリング90A〜90Bの作用によって、それらコイルスプリングがない場合に比べて小さい力で動くようになっている。
さらに捩り角度が所定の大きさになると、フリクション係合部材63が、図19に示すように、第3フリクションワッシャ61Cの凹部62の回転方向端面62bに当接する。このとき、図21の矢印Cに示すように、ヒステリシストルクh3’が立ち上がる。これ以降は、フリクション係合部材63は、第1〜第3フリクションワッシャ61A,61B,61Cをともに駆動して、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13に対して摺動させる。
以上をまとめると、フリクションワッシャ61が出力側円板状プレート32によって駆動される時には、捩り特性において一定の枚数が駆動されて中間摩擦抵抗が発生する領域が、全ての枚数が駆動される大摩擦抵抗の領域の開始前に発生する。
さらに、本実施形態ではフリクションワッシャ61の回転方向間に配置された複数のコイルスプリング90を有しているため、図20及び図21に示すように、第2及び第3フリクションワッシャ61B,61Cが作動する前の段階でそれぞれヒステリシストルクが徐々に高くなっており、その結果、第2及び第3フリクションワッシャ61B,61Cが作動する瞬間に垂直に立ち上がる立ち上がりヒステリシストルクh2’,h3’が、コイルスプリングがない場合の各ヒステリシストルクh2,h3よりそれぞれ小さくなっている。つまり、各フリクション部材作動時のたたき音が低減されている。
なお、以上の効果は、第1〜第3フリクションワッシャ61A,61B,61Cは円周方向長さ(面積)が異なり、後にいくに従って(作動する順番が遅くなるに従って)面積が大きくなっている構造において特に発揮される。図21に示すように、各フリクションワッシャ61A〜61Cのヒステリシストルクh1,h2,h3はh1<h2<h3となっており、とくに第3フリクションワッシャ61Cによるヒステリシストルクh3が第1フリクションワッシャ61Aや第2フリクションワッシャ61Bによるヒステリシストルクh1,h2よりかなり大きくなっているが、第3フリクションワッシャ61A作動時の立ち上がりヒステリシストルクh3’は十分に低くなっている。なお、第1フリクションワッシャ61Aによるヒステリシストルクh1は十分に低いため、特に低くする必要はない。
さらに、フリクションワッシャ61の回転方向端面62bがフリクション係合部材63の回転方向端面63cに衝突する際に、クッション部材80によって衝撃が緩和される。このため、各フリクションワッシャ61がフリクション係合部材63に衝突する際の打音が低減され、ヒスは緩やかに立ち上がる。なお、クッション部材はフリクション係合部材63側に設けられていてもよい。
なお、フリクション部材の回転方向間に配置される弾性部材としては、コイルスプリング90に限定されない。他のばねやゴム、弾性樹脂を配置しても良い。
また、前記実施形態では3種類のフリクション部材を用いていたが、2種類でも良いし又は4種類以上でも良い。
2−3)ショックトルクが入力された場合
過大なショックトルクが入力された場合には、2マスフライホイール1において、滑りクラッチ82において滑りが生じ、つまりダンパー機構4とフライホイール本体3Aとの間でトルク伝達が行われない。その結果、ダンパー機構4での破損が生じにくい。
過大なショックトルクが入力された場合には、2マスフライホイール1において、滑りクラッチ82において滑りが生じ、つまりダンパー機構4とフライホイール本体3Aとの間でトルク伝達が行われない。その結果、ダンパー機構4での破損が生じにくい。
例えば、滑りクラッチ82の作動トルクをダンパー機構4のトルク容量より小さく設定していれば、ダンパー機構4にトルク容量以上のトルクが入力されることはない。
なお、このフライホイール組立体では、第2フライホイール3がフライホイール本体3Aと位置決め部材3Bとに分割されており、フライホイール本体3Aは滑りクラッチ82が作動するとダンパー機構4及び位置決め部材3Bに対して相対回転する。位置決め部材3Bはフライホイール本体3Aと一体回転しないため、軸方向貫通孔69aがボルト22に対して回転方向にずれることがない。その結果、滑りクラッチ82が作動してもその状態でボルト22の操作が可能であり、つまりフライホイール組立体を容易にクランクシャフト91から取り外すことができる。
2−4)クラッチレリーズ時の動作
クラッチレリーズ時には、レリーズ荷重がクラッチから第2フライホイール3に対して作用する。この荷重は、フライホイール本体3Aから位置決め部材3Bに作用し、さらにブッシュ30のスラスト部30bに作用する。また、このときに、出力側円板状プレート32,33の特に外周部分は軸方向エンジン側に移動する。そのため、図22に示すように、フリクション係合部材63と第1プレート32の軸方向エンジン側面32gとの間の軸方向距離が短くなる。その結果、板ばね86のたわみ量が大きくなり、フリクション係合部材63をフリクションワッシャ61に押しつける力が大きくなる。つまり、摩擦発生部72において、軸方向端面62dと軸方向端面63aとによる摩擦摺動面の軸方向荷重が発生又は大きくなる。
クラッチレリーズ時には、レリーズ荷重がクラッチから第2フライホイール3に対して作用する。この荷重は、フライホイール本体3Aから位置決め部材3Bに作用し、さらにブッシュ30のスラスト部30bに作用する。また、このときに、出力側円板状プレート32,33の特に外周部分は軸方向エンジン側に移動する。そのため、図22に示すように、フリクション係合部材63と第1プレート32の軸方向エンジン側面32gとの間の軸方向距離が短くなる。その結果、板ばね86のたわみ量が大きくなり、フリクション係合部材63をフリクションワッシャ61に押しつける力が大きくなる。つまり、摩擦発生部72において、軸方向端面62dと軸方向端面63aとによる摩擦摺動面の軸方向荷重が発生又は大きくなる。
以上の結果、クラッチレリーズ時には摩擦発生部72が作動する領域(フリクションワッシャ61とフリクション部材が相対回転する領域)において、クラッチ連結時に比べて、大きな摩擦抵抗が発生する。そのため、クラッチ断絶状態からクラッチ連結状態に移行する途中にエンジン回転の落ち込みによる共振が発生しても、大きなヒステリシストルクによって共振が速やかに減衰される。
なお、他の実施形態において、前述の効果を捩り特性線図を用いて説明する。図24はクラッチ連結時の捩り特性を示しており、図25はクラッチレリーズ時(より正確には、クラッチレリーズ後にクラッチがつながりだした時)の捩り特性を示している。図から明らかなように、前者に比べて後者の場合は、フリクションワッシャ61とフリクション係合部材63が摺動する領域においてヒステリシストルクが大きくなっている。
摩擦発生部72の2つの部材の摺動面に対する荷重は板ばね86によって決定されている。このように板ばね86によって荷重を得ているため、共振を抑えるのに適切な摩擦を発生することができる。なお、板ばね86による荷重は、クラッチレリーズ荷重をそのまま摩擦発生に利用した場合に比べて大幅に小さい。
(3)効果
3−1)第1摩擦発生機構5の効果
第1摩擦発生機構5が第2フライホイール3の一部を摩擦面として利用しているため、摺動面の面積を大きくすることができる。具体的には、第2摩擦部材52がコーンスプリング53によって第2フライホイール3(具体的には、位置決め部材3B)に付勢されているため、摺動面の面積を大きくすることができる。したがって、摺動面の面圧が低下し、第1摩擦発生機構5の寿命が向上する。
3−1)第1摩擦発生機構5の効果
第1摩擦発生機構5が第2フライホイール3の一部を摩擦面として利用しているため、摺動面の面積を大きくすることができる。具体的には、第2摩擦部材52がコーンスプリング53によって第2フライホイール3(具体的には、位置決め部材3B)に付勢されているため、摺動面の面積を大きくすることができる。したがって、摺動面の面圧が低下し、第1摩擦発生機構5の寿命が向上する。
第2摩擦部材52の外周部と第1及び第2コイルスプリング34,35の内周部は軸方向に重なって配置され、第2摩擦部材52の外周縁の半径方向位置は第1及び第2コイルスプリング34,35の内周縁の半径方向位置より半径方向外側にある。このため、第2摩擦部材52と第1及び第2コイルスプリング34,35とが半径方向に近接しているにもかかわらず第1摩擦発生機構5において摩擦面を十分に確保できる。
第1摩擦部材51の環状部51aの外周部と第1及び第2コイルスプリング34,35の内周部は軸方向に重なって配置され、環状部51aの外周縁の半径方向位置は第1及び第2コイルスプリング34,35の内周縁の半径方向位置より半径方向外側にある。このため、環状部51aと第1及び第2コイルスプリング34,35が半径方向に近接しているにもかかわらず、第1摩擦発生機構5において摩擦面を十分に確保できる。
第1摩擦部材51のみが入力側円板状プレート20に相対回転不能に係合しており、第1摩擦部材51と第2摩擦部材52が互いに相対回転不能に係合している。このため、入力側円板状プレート20と第2摩擦部材52とを係合させる必要がなくなり、構造が簡単になる。
第1摩擦部材51は、第1プレート32に対して回転方向に摺動可能に当接する環状部51aと、環状部51aから軸方向に延び入力側円板状プレート20に対して軸方向に移動可能に且つ相対回転不能に係合する複数の係合部51b,51cとを有している。第2摩擦部材52は、複数の係合部51b,51cに相対回転不能に且つ軸方向に移動可能に係合する複数の切り欠き52aを有している。このように、第1摩擦部材51が軸方向に延びる複数の係合部51b,51cを有しているため、第1摩擦部材51の環状部51aと第2摩擦部材52とが軸方向に離れた配置した構造を簡単に実現できる。
コーンスプリング53は、第2摩擦部材52と、第1摩擦部材51の係合部51b,51cとの間に配置されて、両者を軸方向に付勢している。そのため、構造が簡単になる。
ワッシャ54は、第1摩擦部材51の係合部51b,51cの先端に着座し、コーンスプリング53からの付勢力を受ける受け部材として機能している。そのため、摩擦摺動面に付与される軸方向の荷重が安定し、その結果、摺動面で発生する摩擦抵抗が安定する。
第1摩擦発生機構5は第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3aから内周側に(半径方向内側に離れて)配置されている。したがって、第1摩擦発生機構5はクラッチ摩擦面3aからの熱の影響を受けにくく、摩擦抵抗が安定する。
第1摩擦発生機構5は、ダンパー機構4の第1及び第2コイルスプリング34,35の半径方向中心位置より内周側に配置されており、ボルト22の最外周縁より外周側に配置されている。したがって、省スペースの構造になる。
3−2)第2摩擦発生機構7の効果
第2摩擦発生機構7が第1フライホイール2(具体的には、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13)に保持されているため、第2摩擦発生機構7は第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3aからの熱の影響を受けにくい。したがって、第2摩擦発生機構7の性能が安定する。特に、第1フライホイール2は第2フライホイール3とコイルスプリング34〜36を介して連結されていないため、第1フライホイール2にも第2フライホイール3からの熱は伝わりにくくなっている。
第2摩擦発生機構7が第1フライホイール2(具体的には、フレキシブルプレート11及びイナーシャ部材13)に保持されているため、第2摩擦発生機構7は第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3aからの熱の影響を受けにくい。したがって、第2摩擦発生機構7の性能が安定する。特に、第1フライホイール2は第2フライホイール3とコイルスプリング34〜36を介して連結されていないため、第1フライホイール2にも第2フライホイール3からの熱は伝わりにくくなっている。
第2摩擦発生機構7は、フレキシブルプレート11の外周部である環状部11aを摩擦面として利用している。このようにフレキシブルプレート11を利用しているため、第2摩擦発生機構7は部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。
第2摩擦発生機構7は、クラッチ摩擦面3aより外周側に配置されてクラッチ摩擦面3aから半径方向に離れているため、第2摩擦発生機構7がクラッチ摩擦面3aからの熱の影響を受けにくい。
3−3)フレキシブルフライホイール(第1フライホイール2とダンパー機構4)の効果
第1フライホイール2は、イナーシャ部材13と、イナーシャ部材13をクランクシャフト91に連結するための部材であり曲げ方向にたわみ変形可能なフレキシブルプレート11とを有する。ダンパー機構4は、クランクシャフト91からのトルクが入力される入力側円板状プレート20と、入力側円板状プレート20に相対回転可能に配置された出力側円板状プレート32,33と、両者の相対回転によって回転方向に圧縮されるコイルスプリング34,35,36とを有する。第1フライホイール2は、ダンパー機構4に対して曲げ方向に所定範囲で変位可能である。以上に述べた第1フライホイール2とダンパー機構4の組み合わせをフレキシブルフライホイールという。
第1フライホイール2は、イナーシャ部材13と、イナーシャ部材13をクランクシャフト91に連結するための部材であり曲げ方向にたわみ変形可能なフレキシブルプレート11とを有する。ダンパー機構4は、クランクシャフト91からのトルクが入力される入力側円板状プレート20と、入力側円板状プレート20に相対回転可能に配置された出力側円板状プレート32,33と、両者の相対回転によって回転方向に圧縮されるコイルスプリング34,35,36とを有する。第1フライホイール2は、ダンパー機構4に対して曲げ方向に所定範囲で変位可能である。以上に述べた第1フライホイール2とダンパー機構4の組み合わせをフレキシブルフライホイールという。
第1フライホイール2に曲げ振動が発生すると、フレキシブルプレート11が曲げ方向にたわむ。このため、エンジンからの曲げ振動が抑制される。このフレキシブルフライホイールでは、第1フライホイール2がダンパー機構4に対して曲げ方向に所定範囲で変位可能であるため、フレキシブルプレート11による曲げ振動抑制効果が十分に高い。
フレキシブルフライホイールは、第1フライホイール2とダンパー機構4の出力側円板状プレート32との間に配置され、コイルスプリング34,35,36と回転方向に並列に作用する第2摩擦発生機構7をさらに備えている。第2摩擦発生機構7は、トルク伝達可能であるが曲げ方向に相対変位可能に係合するフリクションワッシャ61及びフリクション係合部材63とを有している。このフレキシブルフライホイールでは、第2摩擦発生機構7において2つの部材が曲げ方向に相対変位可能に係合しているため、第1フライホイールがダンパー機構4に対して第2摩擦発生機構7を介して係合しているにもかかわらず、曲げ方向に所定範囲で変位可能である。この結果、フレキシブルプレート11による曲げ振動抑制効果が十分に高い。
3−4)第3コイルスプリング36の効果
第3コイルスプリング36は、捩り特性の捩り角度が最も大きくなった領域で作動を開始し、ダンパー機構4に十分なストッパートルクを付与するための部材である。第3コイルスプリング36は、第1及び第2コイルスプリング34,35に対して回転方向に並列に作用する配置されている。
第3コイルスプリング36は、捩り特性の捩り角度が最も大きくなった領域で作動を開始し、ダンパー機構4に十分なストッパートルクを付与するための部材である。第3コイルスプリング36は、第1及び第2コイルスプリング34,35に対して回転方向に並列に作用する配置されている。
第3コイルスプリング36は、線径及びコイル径が第1及び第2コイルスプリング34,35に対して大幅に小さく(半分程度)、そのため軸方向にしめるスペースも小さい。図1に示すように、第3コイルスプリング36は、第1及び第2コイルスプリング34,35の外周側に配置され、第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3aに対応する位置に配置されている。言い換えると、第3コイルスプリング36の半径方向位置は、クラッチ摩擦面3aの内径と外径の間の環状の領域内にある。
この実施形態では、第3コイルスプリング36を設けることで、ストッパートルクを十分に高くして性能を向上させつつ、第3コイルスプリング36の寸法や配置位置を工夫することで省スペースの構造を実現している。特に、第3コイルスプリング36は第2フライホイール3のクラッチ摩擦面3a(クラッチ摩擦面3a部分は軸方向厚みが大きい)に対応する位置に配置されているにかかわらず、その部分の軸方向寸法は十分に小さくなっており、第1及び第2コイルスプリング34,35が配置されている部分の軸方向寸法より小さくなっている。
また、第3コイルスプリング36は、入力側円板状プレート20の突起20cと出力側円板状プレート32,33の切り起こし当接部43,44とからなるストッパーと、概ね同一の半径方向位置に配置されている。そのため、各機構が半径方向の異なる位置に配置された構造に比べて、全体の構造の径が小さくなる。
(4)他の実施形態
以上、本発明に従うクラッチ装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。特に、本発明は前述の具体的な角度の数値等に限定されない。
以上、本発明に従うクラッチ装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。特に、本発明は前述の具体的な角度の数値等に限定されない。
以下に、第2摩擦発生機構の変形例について説明する。
a)前記実施形態では各フリクション部材の摩擦係数を同一としているが、異ならせてもよい。このように、第1摩擦部材と第2摩擦部材とで発生する摩擦抵抗を調整することで、中間摩擦抵抗と大摩擦抵抗の比を自由に設定できる。
b)前記実施形態では凸部の大きさを全て同じにして異なる大きさの凹部を設けることで中間の摩擦抵抗を発生させていたが、凹部の大きさを全て同じにして異なる大きさの凸部を設けてもよい。さらには、異なる大きさの凸部と、異なる大きさの凹部とを組み合わせてもよい。
c)前記実施形態ではフリクション部材の凹部は半径方向内側を向いていたが、逆に半径方向外側に向いていてもよい。
d)さらに、前記実施形態ではフリクション部材が凹部を有していたが、フリクション部材が凸部を有していてもよい。その場合は、例えば、入力側円板状プレートが凹部を有することになる。
e)さらに、前記実施形態ではフリクション部材は入力側部材に摩擦係合する摩擦面を有していたが、出力側部材に摩擦係合する摩擦面を有していてもよい。その場合は、フリクション部材と入力側部材との間に、回転方向隙間を有する係合部分が形成されることになる。
1 2マスフライホイール
2 第1フライホイール
3 第2フライホイール
3A フライホイール本体
3B 位置決め部材
3a クラッチ摩擦面
4 ダンパー機構
5 第1摩擦発生機構
7 第2摩擦発生機構
11 フレキシブルプレート
13 イナーシャ部材
20 入力側円板状プレート
22 ボルト
32 出力側円板状プレート
33 出力側円板状プレート
33a 当接部(プレート部)
34 第1コイルスプリング
35 第2コイルスプリング
36 第3コイルスプリング
69a 貫通孔
82 滑りクラッチ
83 弾性プレート
2 第1フライホイール
3 第2フライホイール
3A フライホイール本体
3B 位置決め部材
3a クラッチ摩擦面
4 ダンパー機構
5 第1摩擦発生機構
7 第2摩擦発生機構
11 フレキシブルプレート
13 イナーシャ部材
20 入力側円板状プレート
22 ボルト
32 出力側円板状プレート
33 出力側円板状プレート
33a 当接部(プレート部)
34 第1コイルスプリング
35 第2コイルスプリング
36 第3コイルスプリング
69a 貫通孔
82 滑りクラッチ
83 弾性プレート
Claims (13)
- クランクシャフトからトルクが伝達されるフライホイール組立体であって、
フライホイールと、
前記フライホイールを前記クランクシャフトに弾性的に連結するダンパー機構と、
前記ダンパー機構から前記フライホイールにトルクを伝達するように配置され所定以上のトルクに対して滑る滑りクラッチと、
を備えたフライホイール組立体。 - 前記滑りクラッチは、前記フライホイールの外周部に設けられている、請求項1に記載のフライホイール組立体。
- 前記滑りクラッチは、前記フライホイールのクラッチ摩擦面よりさらに外周側に設けられている、請求項2に記載のフライホイール組立体。
- 前記滑りクラッチは、前記ダンパー機構の出力側部材の一部であり前記フライホイールに当接するプレート部と、前記プレート部を前記フライホイールに付勢する弾性付勢部材とを有している、請求項1〜3のいずれかに記載のフライホイール組立体。
- 前記プレート部は、前記フライホイールの軸方向両側面に当接している、請求項4に記載のフライホイール組立体。
- 前記弾性付勢部材は、前記プレート部材に固定されている、請求項4又は5に記載のフライホイール組立体。
- 前記プレート部は、前記フライホイールの軸方向側面に当接する第1プレートと、前記第1プレートに対して相対回転不能にかつ軸方向移動可能に係合しさらに前記フライホイールの反対側軸方向側面に当接する第2プレートとを有し、
前記弾性付勢部材は、前記第2プレートを前記フライホイールの前記反対側軸方向側面に付勢する、請求項6に記載のフライホイール組立体。 - 前記弾性付勢部材は、前記フライホイールに固定されている、請求項4に記載のフライホイール組立体。
- 前記ダンパー機構を前記クランクシャフトに固定するための円周方向に並んだ複数の固定部材をさらに備え、
前記フライホイールは、前記滑りクラッチが連結されたフライホイール本体と、前記フライホイール本体に対して相対回転可能であり、前記フライホイール本体を前記クランクシャフト側の部材に対して半径方向位置決めするための位置決め部材とを有しており、
前記位置決め部材には、前記固定部材に対応する位置に複数の軸方向貫通孔が形成されている、請求項1に記載のフライホイール組立体。 - 前記位置決め部材は、前記ダンパー機構の出力側部材に対して相対回転不能に係合している、請求項9に記載のフライホイール組立体。
- 前記位置決め部材は前記出力側部材に対して軸方向移動可能に係合している、請求項10に記載のフライホイール組立体。
- 前記ダンパー機構の入力側部材と前記位置決め部材との間に配置された摩擦抵抗発生機構をさらに備えている、請求項10又は11に記載のフライホイール組立体。
- 前記位置決め部材は、前記フライホイール本体からの軸方向荷重を前記クランクシャフト側の部材に対して伝達するようになっている、請求項9〜12のいずれかに記載のフライホイール組立体。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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