JP2832430B2 - 建物の外壁補修工法 - Google Patents

建物の外壁補修工法

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JP2832430B2
JP2832430B2 JP15771396A JP15771396A JP2832430B2 JP 2832430 B2 JP2832430 B2 JP 2832430B2 JP 15771396 A JP15771396 A JP 15771396A JP 15771396 A JP15771396 A JP 15771396A JP 2832430 B2 JP2832430 B2 JP 2832430B2
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裕次 栗秋
正彦 江口
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物の外壁補修工
法、殊更既設建物のコンクリート躯体に対する外壁の剥
落や浮き上がりなどを耐久的に防ぐ補修工法の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】既にタイル張りやレンガ張り、吹付け、
モルタル仕上げされた建物の外壁(以下、これを「旧仕
上げ層」と言い、これと対応する補修後の外壁を「新仕
上げ層」と言う。)が、その建物のコンクリート躯体か
ら経時的に剥げ落ちたり、或いは浮き上がったりするこ
とを防ぐ外壁補修工法、就中その旧仕上げ層を撤去する
ことなく施工できる湿式カバー工法としては、特公平8
−14182号と同8−14183号が公知であり、こ
れらはネツトとその固定用アンカーピンとを併用してい
る意味から、ピンネツト工法とも呼称され、既に実施さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公知発
明のピンネツト工法に採用されているネツトは、特公昭
60−5750号に記載の網状不織布として、ポリエス
テル繊維やポリエチレン繊維などの長糸を縦横に交錯さ
せた上、その交点を耐アルカリ性の熱可塑性樹脂接着剤
により固着した物であり、X軸方向とY軸方向に沿う平
面(面内方向)での破裂強度を有するため、新仕上げ層
の剥落防止には或る程度役立つと言える。
【0004】しかし、面外方向(Z軸方向)には繊維の
起毛がなく、新仕上げ層と旧仕上げ層との両層に対する
喰い込み接着力が不足するため、その層間での界面破壊
を生じやすい。殊更、旧仕上げ層の表面がその面として
接着し難い仕上げ材や材料的に脆弱な有機系塗料などか
ら成るような場合には、内外からのアルカリアタックな
どを受けて、その新仕上げ層との接着界面が溶解するお
それすらある。
【0005】この点、特公平2−61584号に記載の
ような耐アルカリ・耐水性の短繊維から成る立体網目構
造の不織布単独、又はその不織布と織布(編布)との複
合物も公知である。これではアンカーピンと併用されて
いないが、そのネツトとしての構成に関する限り、上記
特公昭60−5750号の網状不織布とは逆に、その繊
維表面の毛羽立ちによって、旧仕上げ層と新仕上げ層と
の接着強度を発揮し、面外方向に沿う所謂カスガイの役
目を果せると雖も、面内方向(X軸方向とY軸方向)で
の破裂強度が未だ不足するために、一旦新仕上げ層の浮
き上がりが起り出すと、その剥落を抑制することは不可
能である。
【0006】上記した何れのネツトを採用するにして
も、これを建物のコンクリート躯体へ打ち込むアンカー
ピンの多数により機械的に固定して、耐久性を発揮させ
る必要があるが、その際アンカーピンを細かいピツチの
分布状態に打ち込むと、作業能率が低下するばかりでな
く、新仕上げ層の基礎であるコンクリート躯体を、爾後
的のいたづらに損傷・弱体化させてしまう結果となる。
【0007】又、それだからと言って、上記アンカーピ
ンを荒いピツチの分布状態に打ち込むと、施工後に加わ
る湿気や熱での膨張・収縮差により、新仕上げ層がアン
カーピンの隣り合う相互間において、太鼓状に浮き上が
り変形し、そのアンカーピンの打ち込み部分からクラツ
クが発生することにもなる。
【0008】更に、上記公知発明のピンネツト工法では
アンカーピンの頭部から張り出した径大なフランジによ
って、ネツトを押え込むように工夫されているが、その
ネツトが上記した長繊維糸のみから縦横に交錯された網
状不織布として、面外方向に沿うカスガイの役目を果せ
ないため、面外方向に作用する風荷重を受けて、ネツト
が容易に破裂し、仮令破裂しないまでも、その網目から
アンカーピンが抜けてしまうおそれ大である。
【0009】特に、旧仕上げ層の表面がその面として接
着し難い仕上げ材や材料的に脆弱な有機系塗材などから
成る場合、これを撤去することなく、その表面へ直接タ
イル仕上げなどの施工を行なうと、その有機系塗材など
がアルカリアタックや加水分解によって、死膜と化して
しまう可能性があり、旧仕上げ層との界面から新仕上げ
層の全面浮きを招来する結果となる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
の解決を企図しており、そのために役立つ建物の外壁補
修工法として、第1に耐アルカリ性の短繊維不織布シー
トに対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸の複数
本を、数軸方向での交錯状態のもとに複合一体化して成
るネツト組織体と、多数の通孔を有するワツシヤーが挿
入セツトされ、且つ芯棒の叩打により先端部から拡張さ
れるアンカーピンとを用意して、
【0011】先ずコンクリート躯体の既設外壁をなす旧
仕上げ層へ、下地調整用セメント系塗材と上記ネツト組
織体張り付け用セメント系塗材とを各々一定の厚みに順
次塗り付けて、そのネツト組織体張り付け用セメント系
塗材が未だ硬化しない間に、ネツト組織体をその短繊維
不織布シートの表面が上記張り付け用セメント系塗材と
共に毛羽立つように張り付け、上記施工状態での養生に
より硬化させた後、そのネツト組織体の外側からコンク
リート躯体の内部に至るまで上記アンカーピンを打ち込
み固定して、これに挿入セツトされたワツシヤーにより
上記ネツト組織体を押え付け、最後にそのネツト組織体
と上記アンカーピンの全体を被覆するように、且つその
ワツシヤーの通孔へ浸透するように、タイルやレンガな
どの仕上げ材張り付け用又はそれ自体で仕上げ用となる
セメント系塗材を一定の厚みに塗り付けることを特徴と
し、
【0012】又、第2に耐アルカリ性の短繊維不織布シ
ートに対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸の複
数本を、数軸方向での交錯状態のもとに複合一体化して
成るネツト組織体と、多数の通孔を有するワツシヤーが
挿入セツトされ、且つ芯棒の叩打により先端部から拡張
されるアンカーピンと、やはり多数の通孔を有するワツ
シヤーが挿入セツトされ、且つ芯棒の叩打により先端部
から拡張される短小な補助アンカーピンとを用意して、
【0013】先ずコンクリート躯体の既設外壁をなす旧
仕上げ層へ、下地調整用セメント系塗材と上記ネツト組
織体張り付け用セメント系塗材とを各々一定の厚みに順
次塗り付けて、そのネツト組織体張り付け用セメント系
塗材が未だ硬化しない間に、ネツト組織体をその短繊維
不織布シートの表面が上記張り付け用セメント系塗材と
共に毛羽立つように張り付け、上記施工状態での養生に
より硬化させた後、そのネツト組織体の外側からコンク
リート躯体の内部に至るまで上記アンカーピンを打ち込
み固定して、これに挿入セツトされたワツシヤーにより
上記ネツト組織体を押え付ける一方、そのアンカーピン
の隣り合う相互間に介在させた上記補助アンカーピン
を、同じくネツト組織体の外側から旧仕上げ層の内部に
至るまで打ち込み固定して、これに挿入セツトされたワ
ツシヤーにより上記ネツト組織体を押え付け、最後にそ
のネツト組織体と上記アンカーピン並びに補助アンカー
ピンの全体を被覆するように、且つ上記ワツシヤーの通
孔へ浸透するように、タイルやレンガなどの仕上げ材張
り付け用又はそれ自体で仕上げ用となるセメント系塗材
を一定の厚みに塗り付けることを特徴とするものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基いて本発明の詳細
を説明すると、先ず図1〜3は本発明の外壁補修工法に
用いる特殊なネツト組織体(N)の2種と、その部分的
な拡大断面形状を示しており、これは何れも耐アルカリ
性の短繊維不織布シート(11)に対して、合成樹脂に
より被覆された長繊維糸(12)の複数本を、数軸方向
での交錯状態に複合一体化したものである。
【0015】しかも、その全体的な厚み(T)が約0.
5〜5.0mmに寸法化されている。その0.5mm未
満では薄きに過ぎて、旧仕上げ層と新仕上げ層との接着
効果に劣ることとなり、逆に5.0mmを越えると、上
記両層の連続性を阻害して、界面破壊を生じる原因にな
るからである。又、上記ネツト組織体(N)の破裂強度
は約60kgf以上(JIS−L1018−6−17−
2のB法に準じた方法による測定値)として、小型建物
の外壁補強には勿論のこと、大型建物の外壁補強にも充
分役立つように設定されている。
【0016】上記短繊維不織布シート(11)として
は、ポリプロピレンやポリエステル、ビニロン、カーボ
ン、ガラス、その他の耐アルカリ性を有する各種繊維を
広く採用できるが、その短繊維の繊度を約5de〜90
deとし、これを目付約5g/m2 〜150g/m2
不織布シートに仕上げ使用することが望ましい。
【0017】その繊度が5de未満の場合には、製造コ
ストアツプを招くばかりでなく、施工時に繊維が寝てし
まいやすく、新仕上げ層と旧仕上げ層とのカスガイとし
て、その面外方向に沿う接着強度を発揮させ難いからで
あり、逆に90deを越えると、短繊維の剛性が高くな
り過ぎて、均一に交絡した不織布シートを得られず、施
工状態でのディファレンシャル・ムーブメントに伴なう
剥離応力を効果的に緩和させ難くなるからである。
【0018】又、上記不織布シート(11)の目付が5
g/m2 未満では、ネツト組織体(N)の面積中に占め
る短繊維の量が過少となり、新仕上げ層の補強効果が低
下する一方、150g/m2 を越えると、その張り付け
下地となる樹脂モルタルの浸透を遮断して、旧仕上げ層
と新仕上げ層との連続性が阻害され、層間剥離を生じや
すくなる。
【0019】更に、上記短繊維不織布シート(11)と
複合される長繊維糸(12)としては、約10g/de
以上の引張強度と約1000de〜3000deの総繊
度を有する高強力ビニロン、高強力ポリエチレン、ポリ
アリレート、パラ型アラミドなどの有機系長繊維糸や、
カーボン、ガラス、その他の無機系長繊維糸を用い、こ
れをアクリル酸エステル樹脂や酢酸ビニール樹脂、塩化
ビニール樹脂などで被覆して使うことにより、その繊維
の集束部分や交錯部分又は単繊維中における水分の蓄積
を防止するのである。
【0020】しかも、上記長繊維糸(12)の複数本を
図1、2のように、2軸以上の方向に配列交錯させて、
多角形の網目を有するシート状態として用いるのであ
る。その隣り合う配列間隔としては約5〜60mmに寸
法化することが好ましい。その5mm未満では張り付け
下地となる樹脂モルタルの浸透不良を起すおそれがあ
り、逆に60mmを越えると、新仕上げ層の補強効果が
不足することになるからである。
【0021】又、上記長繊維糸(12)を配列させるに
当っては、これを編織することなく、図3に示唆される
ような複数の軸方向に重ね合わせた又は貫通させた組布
構造とし、その交錯部分を上記合成樹脂を介して接着一
体化することが、その伸びや垂れなどを少なくできる点
で好適と言える。
【0022】そして、上記シート状態の長繊維糸(1
2)と短繊維不織布シート(11)とを、ウレタン系や
エポキシ系、アクリル系などの反応型接着剤によって複
合一体化する一般に鑑み、その具体的な方法としては、
例えば一方の不織布シート(11)に上記接着剤を吹き
付けた上、裏面に残る一方の不織布シート(11)を配
置させたシート状態の長繊維糸(12)と一体的にプレ
スすれば良い。
【0023】次に、図4は本発明の外壁補修工法に併用
するアンカーピン(P1)を示しており、これは後述す
るように上記ネツト組織体(N)を建物のコンクリート
躯体(C)へ機械的に押え付け固定するものとして、例
えば約50〜100mmの一定長さ(L1)と約6mm
の一定太さ(D1)を有するステンレス鋼製の中空アン
カー本体(13)と、これに圧入セツトされた同じ材質
の芯棒(14)とから成る。
【0024】(15)は上記アンカー本体(13)の先
端部にマイナス型やプラス型として付与された拡張用の
割溝であり、その先端部の外周面にはコンクリート躯体
(C)との喰い付き力を昂める凹凸条(16)が、数列
のリング形態に刻設されている一方、同じくアンカー本
体(13)の頭部にはワツシヤー押え付け用のフランジ
(17)が張り出し形成されている。
【0025】又、上記芯棒(14)は釘形態をなし、そ
の鋭利な先端部がアンカー本体(13)に予じめ埋没し
ており、同じくアンカー本体(13)から予じめ露出す
る頭部を、ハンマーなどで叩き込むことによって、上記
アンカー本体(13)を先端部から拡張させ、コンクリ
ート躯体(C)の内部へ抜け止め状態に固定設置するよ
うになっている。
【0026】(18)は上記アンカー本体(13)に挿
入セツトされるワツシヤーであるが、図5に示すような
約2mmの厚みを有するステンレス鋼板のパンチングメ
タルから成り、その板面に開口分布する多数の通孔(1
9)が、新仕上げ層やその下地となるセメント系塗材の
浸透作用を促すようになっている。しかも、そのワツシ
ヤー(18)は上記ネツト組織体(N)を形作る長繊維
糸(12)の配列間隔に比して、大きな外径(D2)の
寸法を備えた円形や角形などに作成されており、これに
よってそのネツト組織体(N)の網目がアンカー本体
(13)から抜けることを防止する。
【0027】図6〜8は本発明の適用による建物の外壁
補修状態を示しているが、その補修工事を行なうに当っ
ては、上記の特殊なネツト組織体(N)やアンカーピン
(P1)並びにワツシヤー(18)を使いつつ、次の工
程順序に従って作業する。
【0028】即ち、図6〜8ではタイル張り施工された
旧仕上げ層(A)を例示しているが、これを撤去せず
に、その旧仕上げ層(A)の表面を高圧洗浄などにより
清掃・補正して、先ず図9のように下地調整用セメント
系塗材(20)を約2〜3mm程度の一定厚み(t1)
だけ、被覆状態に薄く塗り付ける。
【0029】その下地調整用セメント系塗材(20)と
しては、例えばポルトランドセメントと硅砂などの骨材
とを主成分とし、これに作業性改良剤や防水剤、ダレ止
め剤、白華防止剤、収縮防止剤などを添加した粉体を、
変性スチレン・ブタジェン系共重合体(固形分−約20
%)から成る混和液の原液でモルタル状に混練した上、
左官コテなどにより上記一定厚み(t1)の平滑に塗り
付けるのである。
【0030】上記セメント系塗材(20)が塗り付けら
れた下地調整層の表面へ、次いで図10のようにネツト
組織体(N)の張り付け下地となるセメント系塗材(2
1)を、やはり左官コテなどにより約3mm程度の一定
厚み(t2)に薄く塗り付ける。そのネツト組織体張り
付け用セメント系塗材(21)としては、上記下地調整
用セメント系塗材(20)とほぼ同様な成分の粉体と混
和液を使いつつも、その粉体を混和液の3倍稀釈液で混
練することにより、上記下地調整用セメント系塗材(2
0)よりも軟らかいペースト状として塗り付けることが
好ましい。
【0031】そして、上記ネツト組織体張り付け用セメ
ント系塗材(21)が塗り付けられた下地層の未だ硬化
しないうちに、引き続き図11のように上記ネツト組織
体(N)を転圧ローラー(11)などによって、その網
目にセメント系塗材(21)が充分廻り込み浸透するよ
うに、且つその短繊維不織布シート(11)の表面が上
記張り付け用セメント系塗材(21)と共に面外方向へ
毛羽立つように張り付けるのである。
【0032】その際、上記ネツト組織体(N)は組布構
造の長繊維糸(12)を有し、伸びや垂れなどの抑制形
態にあるため、転圧ローラー(22)を左右方向や上下
方向へ自由自在に転がすことができ、作業しやすい利点
があるが、その転圧ローラー(22)を強く押え込み過
ぎると、上記ネツト組織体(N)がその張り付け用セメ
ント系塗材(21)中に沈没してしまい、毛羽立ち状態
が消失するので、軽く押え付ける必要がある。又、転圧
ローラー(22)に図外のバイブレーターを付属させ
て、加振するならば、上記ネツト組織体(N)の網目に
その張り付け用セメント系塗材(21)を浸透・含浸さ
せやすく、一層有益であると言える。
【0033】何れにしても、上記のように張り付けられ
たネツト組織体(N)は、所定の厚み(T)と破裂強度
を備えており、これを形作る短繊維不織布シート(1
1)としても、上記した所定の繊度と目付を有し、その
繊維の毛羽立つ状態に維持されているため、これに浸透
・含浸される上記張り付け用セメント系塗材(21)と
も相俟って、旧仕上げ層(A)と後述する新仕上げ層と
が連続一体化し、その面外方向に沿う高い接着強度を得
られるのであり、界面破壊を生じるおそれがない。
【0034】しかも、上記短繊維不織布シート(11)
と複合一体化された長繊維糸(12)も、所定の引張強
度と総繊度を備えており、その複数本が多角形の網目を
区画するシート状態として、所定配列間隔のもとに交錯
されているため、その網目に浸透する上記張り付け用セ
メント系塗材(21)も相乗作用して、旧仕上げ層
(A)と新仕上げ層との連続一体性がますます昂まり、
面内方向に沿う高い破壊強度も確保できることとなる。
【0035】尚、上記ネツト組織体(N)の張り付け
上、継ぎ足す必要がある場合には重ね合わさず、突き合
わせ状態に保つ。又、建物の入隅では角部においてネツ
ト組織体(N)をカツトし、同じく出隅では角部よりも
若干長い目にカツトした上、隣接面へ折り込めば良い。
【0036】上記ネツト組織体(N)の張り付け終了後
には、直射日光や降雨、凍害などを避けて、所要期間だ
け静かに養生することにより、上記施工状態での完全に
硬化させるのである。
【0037】図6はピンニング分布位置のマーキングさ
れたグリツドを示しているが、上記養生期間を経過した
ならば、次にそのグリツドの交点部分(X)へインパク
トドリル(23)などを用いて、上記ネツト組織体
(N)の張り付け硬化された外側から、図12のような
コンクリート躯体(C)の内部に到達する一定深さ(s
1)のアンカーピン打ち込み孔(24)を穿設する。そ
の一定深さ(s1)は浅くとも約20mmとし、隣り合
う間隔ピツチ(w)としては約250〜500mmに寸
法することが望ましい。
【0038】その後、各アンカーピン打ち込み孔(2
4)の内部を清掃して、引き続き上記ワツシヤー(1
8)が挿入セツトされたアンカー本体(13)を、図1
3のようにその各アンカーピン打ち込み孔(24)へ差
し込むと共に、芯棒(14)をハンマー(25)などに
より叩打し、上記アンカー本体(13)の先端部を図1
4のように拡張させて、コンクリート躯体(C)への抜
け止め状態に固定維持する。
【0039】そして、最後に新仕上げ層(B)となるタ
イル(26)などの仕上げ材張り付け用セメント系塗材
(27)を図15のように、左官コテなどにより上記ネ
ツト組織体(N)から毛羽立つ短繊維不織布シート(1
1)と絡らみ付くように、しかも仕上げ材のタイル(2
6)がアンカーピン(P1)の頭部と接触しないよう
に、約3mm程度の一定厚み(t3)だけ塗り付けて、
引き続き図16のようにタイル(26)を張り付け固定
するのである。
【0040】その仕上げ材張り付け用セメント系塗材
(27)としては、例えばポルトランドセメントと硅砂
などの骨材を主成分とし、これに作業性改良剤や防水
剤、白華防止剤、ダレ止め剤、収縮防止剤などを添加し
た粉体を、変性スチレン・ブタジエン系共重合体(固形
分−約5%)から成る混和液でモルタル状に混練したも
のが良い。
【0041】何れにしても、上記のように塗り付けられ
たタイル張り付け用セメント系塗材(27)は、上記ア
ンカーピン(P1)に付属するワツシヤー(18)の通
孔(19)にも廻り込み浸透して、先のネツト組織体張
り付け用セメント系塗材(21)と連続一体化する。し
かも、上記ワツシヤー(18)によりネツト組織体
(N)が押え込まれた状態として、その外側からタイル
張り付け用セメント系塗材(27)により被覆されるこ
とになるため、茲に新仕上げ層(B)はネツト組織体
(N)とアンカーピン(P1)を介して、旧仕上げ層
(A)へ完全に固定一体化されるのである。
【0042】図6〜9では旧仕上げ層(A)がタイル張
り施工状態にあった関係上、その新仕上げ層(B)もタ
イル張り施工状態として説示したが、レンガ張りなどの
場合でも上記と同様な補修工事を遂行すれば良い。又、
新仕上げ層(B)をモルタル仕上げとする場合には、上
記タイル張り付け用セメント系塗材(27)を仕上げ用
モルタルに代替して、好ましくは約5〜10mm程度の
一定厚み(t3)に厚く塗り付け、その後必要に応じて
表面へ外装材を施工すれば良い。
【0043】本発明において採用されたネツト組織体
(N)は、上記のように耐アルカリ性の短繊維不織布シ
ート(11)に対して、合成樹脂により被覆された長繊
維糸(12)の複数本を、数軸方向での交錯状態に複合
一体化したものであり、その短繊維不織布シート(1
1)が毛羽立つ状態に張り付けられることによって、面
外方向と面内方向との双方に沿う高い破裂強度と接着強
度を発揮し、新仕上げ層(B)を旧仕上げ層(A)から
の層間剥離や浮き上がりのおそれなく固定維持し得るた
め、アンカーピン(P1)の打ち込み本数を減らし、そ
の荒いピツチの分布状態に打ち込むことも可能となり、
現場作業性が改善される。
【0044】その荒く打込んだ施工状態のもとで、仮り
に面外方向に作用する風荷重を受けたとしても、上記ネ
ツト組織体(N)が破裂せず、その網目からアンカーピ
ン(P1)の抜けてしまうおそれも、上記ワツシヤー
(18)によって確実に防止できるからである。
【0045】但し、旧仕上げ層(A)の表面がその面と
して接着し難い仕上げ材や材料的に脆弱な有機系塗材
(28)から成るような場合には、図7と対応する図1
7の第1変形実施形態から明白な通り、上記アンカーピ
ン(P1)の隣り合う相互間に介挿分布する短小な補助
アンカーピン(P2)を、ネツト組織体(N)の張り付
け硬化された外側から、旧仕上げ層(A)の内部に到達
するまでの一定深さ(s2)として打ち込み、その補助
アンカーピン(P2)の張り出しフランジ(17a)や
ワツシヤー(18a)により、ネツト組織体(N)を押
え付け固定することも可能である。
【0046】そうすれば、強風による面外方向への引張
り力を受けて、負圧が発生したとしても、上記アンカー
ピン(P1)の隣り合う相互間から太鼓状に浮き上がり
変形するおそれや、これに伴なってアンカーピン(P
1)の打ち込み部分からクラツクが発生するおそれ、所
謂版反りするおそれなどを、上記補助アンカーピン(P
2)によって効果的に防止することができるほか、その
補助アンカーピン(P2)の打ち込みにも拘らず、コン
クリート躯体(C)の損傷・弱体化を招かない利点があ
る。
【0047】尚、上記補助アンカーピン(P2)の打ち
込み後、新仕上げ層(B)となるタイル(26)などの
仕上げ材張り付け用セメント系塗材(27)や、これに
代る仕上げ用モルタルなどが塗り付けられることは、図
6〜16の上記基本実施形態と同一である。
【0048】又、その補助アンカーピン(P2)自身の
構成としては細く短かいことを除き、上記のアンカーピ
ン(P1)と実質的に同一であり、図18、19のよう
に中空アンカー本体(13a)とその叩打用芯棒(14
a)、拡張用割溝(15a)並びにワツシヤー押え付け
用の張り出しフランジ(17a)を備えているほか、こ
れにはやはり通孔(19a)の開口分布する小型ワツシ
ヤー(18a)が、挿入セツト使用されるようになって
いる。但し、そのワツシヤー(18a)の外径(D2)
も上記ネツト組織体(N)の網目に比して大きく寸法化
されているのである。
【0049】更に、図20は同じく図7と対応する本発
明の第2変形実施例を示しており、これから示唆される
ように、旧仕上げ層(A)の表面がやはりその面として
接着し難い仕上げ材や材料的な脆弱な有機系塗材(2
8)から成る場合には、その旧仕上げ層(A)の有機系
塗材(28)を上記アンカーピン(P1)の隣り合う相
互間において、例えば約100〜200cm2 程度だけ
部分的に撤去した上、上記した工程順序での外壁補修作
業を実行しても良い。図6、20の符号(Y)はその旧
塗材(28)の撤去部分を示している。
【0050】このような補修工法によれば、材料的に脆
弱な有機系塗材(28)などから成る旧仕上げ層(A)
の表面が、部分的に撤去された上、その撤去部分(Y)
に上記下地調整用セメント系塗材(20)が直接塗り付
けられるため、旧仕上げ層(A)と新仕上げ層(B)と
の接着効果が一層昂まり、界面破壊や浮き上がりに対抗
できる活膜として、安定・確固な性状に再生し得る利点
がある。
【0051】本発明の具体的な実施例を示せば、次の通
りである。 〈実施例1〉引張強度が10g/de、総繊度が180
0deの高強力ビニロン繊維2本と、引張強度が28g
/de、総繊度が1500deのパラ型アラミド繊維
(帝人株式会社製の商品名テクノーラ)1本とを、各々
アクリル樹脂(日本カーバイド社製の商品名ニカゾール
FX329)により被覆した後、その一方と他方とを直
交させると共に、その隣り合う配列間隔の約10mmを
保つシート状態に作成した。
【0052】そして、このシート状態をなす長繊維糸
(12)の両面に、太さが65de、長さ89mmのポ
リプロピレン短繊維から成る目付30g/m2 の不織布
シート(11)を、反応型接着剤としてのポリウレタン
樹脂(カネボウNSC社製の商品名ボンドマスターMR
90)により複合一体化して、その全体的な厚み(T)
が1.5mm、総目付が150g/m2 、破裂強度が1
05kgfのネツト組織体(N)を得た。
【0053】その得られたネツト組織体(N)の上面か
ら、上記長繊維糸(12)の隣り合う配列間隔よりも大
きな直径35mmのワツシヤー(18)を挿入セツトし
たアンカーピン(P1)を、下向きに差し込み貫通させ
ると共に、同じくネツト組織体(N)の下面にネツト組
織体張り付け用セメント系塗材(21)を塗り付ける一
方、そのネツト組織体(N)の残る上面にタイル張り付
け用セメント系塗材(27)を、上記アンカーピン(P
1)の被覆状態に塗り付けることにより、その全体的に
図21、22のような3層構造から成る版体(M)に仕
上げた。
【0054】更に、その版体(M)の下面とこれから突
出したアンカーピン(P1)の先端部を、図23のよう
にコンクリート躯体(C)へ固定すると共に、版体
(M)の上面に引張り試験用アタツチメント(鉄板)
(29)をエポキン樹脂により接着一体化すると共に、
治具(大引きと根太)(30)(31)も用いて、建研
式引張試験機(32)で一定の荷重を加えることによ
り、モルタル層(新仕上げ層(B))を剪断破壊させ、
その試験状態を歪ゲージで計測し、データーレコーダー
で記録した。
【0055】この試験によって、補強されたモルタル層
(新仕上げ層(B))の耐力並びにネツト組織体(N)
の耐力を測定することが可能であり、版体(M)とアン
カーピン(P1)の接合耐力を示すものとして、施工状
態でのネツト組織体(N)による補強効果を判定するこ
とができる。その試験結果は下記の表1に示す通りであ
った。
【0056】
【表1】
【0057】〈実施例2〉引張強度が28g/de、総
繊度が1500deの実施例1と同じパラ型アラミド繊
維3本から、約60度の交錯角度のもとに3軸方向へ配
列した目付38g/m2 のシート状態(帝人株式会社社
製の商品名テクノーラ3軸メツシユMM−1532、辺
長さ20mm)を用い、そのシート状態をなす長繊維糸
(12)の両面に、上記実施例1と同様にして太さが6
5de、長さが89mmのポリプロピレン短繊維から成
る目付60g/m2 の不織布シート(11)を複合一体
化し、その全体的な厚み(T)が3.5mm、総目付が
170g/m2 、破裂強度が82kgfのネツト組織体
(N)を得た。
【0058】そして、これから上記実施例1と同様の方
法により、3層構造の版体(M)に仕上げて、その面外
方向への引張試験を行なった。その試験結果は上記表1
に記入した通りであった。
【0059】上記引張試験において、その版体(M)の
剪断破壊状態を観察した結果によれば、モルタル層(新
仕上げ層(B))の耐力に相当する数値が観測される近
傍で、版体(M)のひび割れが発生し、他方ネツト組織
体(N)の耐力に相当する数値が観測される近傍で、ワ
ツシヤー(18)の周辺部分に位置するネツト組織体
(N)の剪断破壊が認められた。このことは、本発明の
採用する上記ネツト組織体(N)がモルタル層(新仕上
げ層(B))全体の耐力向上にとって、大いに役立つこ
とを意味する。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明では建物の外壁補
修工法として、耐アルカリ性の短繊維不織布シート(1
1)に対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸(1
2)の複数本を、数軸方向での交錯状態のもとに複合一
体化して成るネツト組織体(N)と、多数の通孔(1
9)を有するワツシヤー(18)が挿入セツトされ、且
つ芯棒(14)の叩打により先端部から拡張されるアン
カーピン(P1)とを用意して、
【0061】先ず、コンクリート躯体(C)の既設外壁
をなす旧仕上げ層(A)へ、下地調整用セメント系塗材
(20)と上記ネツト組織体張り付け用セメント系塗材
(21)とを各々一定の厚み(t1)(t2)に順次塗
り付けて、そのネツト組織体張り付け用セメント系塗材
(21)が未だ硬化しない間に、ネツト組織体(N)を
その短繊維不織布シート(11)の表面が上記張り付け
用セメント系塗材(21)と共に毛羽立つように張り付
け、上記施工状態での養生により硬化させた後、そのネ
ツト組織体(N)の外側からコンクリート躯体(C)の
内部に至るまで上記アンカーピン(P1)を打ち込み固
定して、これに挿入セツトされたワツシヤー(18)に
より上記ネツト組織体(N)を押え付け、最後にそのネ
ツト組織体(N)と上記アンカーピン(P1)の全体を
被覆するように、且つそのワツシヤー(18)の通孔
(19)へ浸透するように、タイルやレンガなどの仕上
げ材張り付け用又はそれ自体で仕上げ用となるセメント
系塗材(27)を一定の厚み(t3)に塗り付けるよう
になっているため、冒頭に述べた従来技術の課題を確実
に改良できる効果がある。
【0062】つまり、本発明において採用するネツト組
織体(N)は、耐アルカリ性の短繊維不織布シート(1
1)に対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸(1
2)の複数本を、数軸方向での交錯する状態として複合
一体化したものであるため、その長繊維糸(12)が面
内方向(X軸方向とY軸方向)に沿う高い破裂強度を発
揮すると同時に、短繊維不織布シート(11)がその表
面の毛羽立つ状態に張り付けられることとも相俟って、
面外方向(Z軸方向)に沿う高い破裂強度を発揮するこ
ととなり、その重畳的又は相乗的な作用によって、旧仕
上げ層(A)と新仕上げ層(B)との連続一体性が著し
く昂まり、その新旧両層間での界面破壊や浮き上がりな
どを生ずるおそれがない。
【0063】その結果、アンカーピン(P1)の打ち込
み本数を減らして、その荒いピツチの分布状態に打ち込
むも支障が一切なく、旧仕上げ層(A)を撤去しない補
修工法であることとも相俟って、その現場作業性を著し
く改良できることになる。
【0064】又、上記旧仕上げ層(A)と新仕上げ層
(B)との面内方向並びに面外方向に沿うカスガイとし
て働くネツト組織体(N)は、その後アンカーピン(P
1)に付属のワツシヤー(18)によって押え付けられ
るため、全体的な平滑状態に張り付け固定されることと
なり、しかも最後に塗り付けられる仕上げ材張り付け用
又は仕上げ用のセメント系塗材(27)が、上記ネツト
組織体(N)の網目とワツシヤー(18)の通孔(1
9)にも廻り込み浸透するため、上記新仕上げ層(B)
の施工状態はますます強固になるばかりでなく、優美な
外観形態に仕上がるのである。
【0065】特に、請求項2の補修工法によれば、コン
クリート躯体(C)の内部に打ち込み固定されるアンカ
ーピン(P1)の隣り合う相互間においても、旧仕上げ
層(A)の内部まで打ち込み固定される短小な補助アン
カーピン(P2)によって、上記ネツト組織体(N)が
押え付けられることになるので、強風による面外方向へ
の引張り力を受けて、負圧が発生したとしても、上記ア
ンカーピン(P1)の隣り合う相互間から太鼓状に浮き
上がり変形するおそれや、これに伴なってアンカーピン
(P1)の打ち込み部分からクラツクが発生するおそれ
などを、その補助アンカーピン(P2)によって効果的
に防止することができ、しかもこれが旧仕上げ層(A)
まで打ち込み使用される短小品として、新仕上げ層
(B)の基礎となるコンクリート躯体(C)の爾後的な
損傷・弱体化を招かない利点もある。
【0066】請求項3の補修工法を採用するならば、そ
の旧仕上げ層(A)の表面撤去部分(Y)に塗り付けら
れる下地調整用セメント系塗材(20)により、やはり
ネツト組織体(N)を介して新仕上げ層(B)との接着
強度が昂まるため、旧仕上げ層(A)の表面がその面と
して接着し難い仕上げ材や材料的に脆弱な有機系塗材
(28)から成るような場合にも、界面破壊や版反りな
どに対抗できる有効な活膜として再生し得る効果があ
る。
【0067】更に、請求項4のワツシヤー(18)を採
用するならば、そのワツシヤー(18)によってネツト
組織体(N)を一層安定良く確固に押え付けることがで
き、又請求項5のネツト組織体(N)を採用するなら
ば、旧仕上げ層(A)と新仕上げ層(B)との連続一体
性に富む優れたカスガイとして働かせることができ、大
型建物の外壁補修にも充分役立つ効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるネツト組織体の平面図である。
【図2】同じく図1と異なる交錯状態のネツト組織体を
示す平面図である。
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図である。
【図4】本発明に用いるアンカーピンの側面図である。
【図5】同じくワツシヤーの平面図である。
【図6】ピンニング分布位置がマーキングされたグリツ
ドを示す正面図である。
【図7】本発明の外壁補修状態を示す断面図である。
【図8】同じく外壁補修状態の斜面図である。
【図9】建物の旧仕上げ層に対する下地調整用セメント
系塗材の塗り付け工程を示す断面図である。
【図10】引き続くネツト組織体張り付け用セメント系
塗材の塗り付け工程を示す断面図である。
【図11】引き続くネツト組織体の張り付け工程を示す
断面図である。
【図12】養生後におけるアンカーピン打ち込み孔の穿
設工程を示す断面図である。
【図13】引き続くアンカーピンの打ち込み工程を示す
断面図である。
【図14】その打ち込み完了状態を示す断面図である。
【図15】引き続く仕上げ材張り付け用セメント系塗材
の塗り付け工程を示す断面図である。
【図16】引き続く仕上げ材(タイル)の張り付け状態
を示す断面図である。
【図17】図7に対応する本発明の第1変形実施形態を
示す断面図である。
【図18】その第1変形実施形態に用いる補助アンカー
ピンの側面図である。
【図19】同じくワツシヤーの平面図である。
【図20】図7に対応する本発明の第2変形実施形態を
示す断面図である。
【図21】引張試験に供した版体の取付状態を示す分解
斜面図である。
【図22】その版体を抽出して示す断面図である。
【図23】同じく版体の取付状態を示す説明図である。
【符号の説明】
(11)・短繊維不織布シート (12)・長繊維糸 (13)・アンカー本体 (13a)・アンカー本体 (14)・芯棒 (14a)・芯棒 (15)・割溝 (15a)・割溝 (17)・張り出しフランジ (17a)・張り出しフランジ (18)・ワツシヤー (18a)・ワツシヤー (19)・通孔 (19a)・通孔 (20)・下地調整用セメント系塗材 (21)・ネツト組織体張り付け用セメント系塗材 (24)・アンカーピン打ち込み孔 (26)・仕上げ材(タイル) (27)・仕上げ材張り付け用セメント系塗材 (A)・旧仕上げ層 (B)・新仕上げ層 (C)・コンクリート躯体 (M)・版体 (N)・ネツト組織体 (P1)・アンカーピン (P2)・補助アンカーピン (T)・ネツト組織体の全体厚み (X)・アンカーピン打ち込み部分 (Y)・旧仕上げ層の表面撤去部分 (t1)・塗り付け厚み (t2)・塗り付け厚み (t3)・塗り付け厚み (w)・間隔ピツチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑中 重光 三重県津市河辺町3065番14号 (72)発明者 山崎 健一 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株 式会社イナックス内 (72)発明者 栗秋 裕次 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株 式会社イナックス内 (72)発明者 江口 正彦 岡山県倉敷市茶屋町早沖491番2号 (72)発明者 服部 芳朗 愛知県名古屋市千種区鹿子殿19番7号 (56)参考文献 特公 平8−14182(JP,B2) 特公 平8−14183(JP,B2) 特公 昭60−5750(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 23/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐アルカリ性の短繊維不織布シート(1
    1)に対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸(1
    2)の複数本を、数軸方向での交錯状態のもとに複合一
    体化して成るネツト組織体(N)と、 多数の通孔(19)を有するワツシヤー(18)が挿入
    セツトされ、且つ芯棒(14)の叩打により先端部から
    拡張されるアンカーピン(P1)とを用意して、 先ず、コンクリート躯体(C)の既設外壁をなす旧仕上
    げ層(A)へ、下地調整用セメント系塗材(20)と上
    記ネツト組織体張り付け用セメント系塗材(21)とを
    各々一定の厚み(t1)(t2)に順次塗り付けて、 そのネツト組織体張り付け用セメント系塗材(21)が
    未だ硬化しない間に、ネツト組織体(N)をその短繊維
    不織布シート(11)の表面が上記張り付け用セメント
    系塗材(21)と共に毛羽立つように張り付け、 上記施工状態での養生により硬化させた後、そのネツト
    組織体(N)の外側からコンクリート躯体(C)の内部
    に至るまで上記アンカーピン(P1)を打ち込み固定
    し、これに挿入セツトされたワツシヤー(18)によ
    り、上記ネツト組織体(N)を押え付け、 最後に、そのネツト組織体(N)と上記アンカーピン
    (P1)の全体を被覆するように、且つそのワツシヤー
    (18)の通孔(19)へ浸透するように、タイルやレ
    ンガなどの仕上げ材張り付け用又はそれ自体で仕上げ用
    となるセメント系塗材(27)を一定の厚み(t3)に
    塗り付けることを特徴とする建物の外壁補修工法。
  2. 【請求項2】耐アルカリ性の短繊維不織布シート(1
    1)に対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸(1
    2)の複数本を、数軸方向での交錯状態のもとに複合一
    体化して成るネツト組織体(N)と、 多数の通孔(19)を有するワツシヤー(18)が挿入
    セツトされ、且つ芯棒(14)の叩打により先端部から
    拡張されるアンカーピン(P1)と、 やはり多数の通孔(19a)を有するワツシヤー(18
    a)が挿入セツトされ、且つ芯棒(14a)の叩打によ
    り先端部から拡張される短小な補助アンカーピン(P
    2)とを用意して、 先ず、コンクリート躯体(C)の既設外壁をなす旧仕上
    げ層(A)へ、下地調整用セメント系塗材(20)と上
    記ネツト組織体張り付け用セメント系塗材(21)とを
    各々一定の厚み(t1)(t2)に順次塗り付けて、 そのネツト組織体張り付け用セメント系塗材(21)が
    未だ硬化しない間に、ネツト組織体(N)をその短繊維
    不織布シート(11)の表面が上記張り付け用セメント
    系塗材(21)と共に毛羽立つように張り付け、 上記施工状態での養生により硬化させた後、そのネツト
    組織体(N)の外側からコンクリート躯体(C)の内部
    に至るまで上記アンカーピン(P1)を打ち込み固定し
    て、これに挿入セツトされたワツシヤー(18)によ
    り、上記ネツト組織体(N)を押え付ける一方、 そのアンカーピン(P1)の隣り合う相互間に介在させ
    た上記補助アンカーピン(P2)を、同じくネツト組織
    体(N)の外側から旧仕上げ層(A)の内部に至るまで
    打ち込み固定して、これに挿入セツトされたワツシヤー
    (18a)により、上記ネツト組織体(N)を押え付
    け、 最後に、そのネツト組織体(N)と上記アンカーピン
    (P1)並びに補助アンカーピン(P2)の全体を被覆
    するように、且つ上記ワツシヤー(18)(18a)の
    通孔(19)(19a)へ浸透するように、タイルやレ
    ンガなどの仕上げ材張り付け用又はそれ自体で仕上げ用
    となるセメント系塗材(27)を一定の厚み(t3)に
    塗り付けることを特徴とする建物の外壁補修工法。
  3. 【請求項3】有機系塗材(28)により仕上げられた旧
    仕上げ層(A)の表面へ、下地調整用セメント系塗材
    (20)を塗り付ける前に、その旧仕上げ層(A)の有
    機系塗材(28)を部分的に撤去して、その撤去部分
    (Y)にも下地調整用セメント系塗材(20)を塗り付
    けることを特徴とする請求項1又は2記載の建物の外壁
    補修工法。
  4. 【請求項4】ワツシヤー(18)をパンチングメタルと
    して、その外径(D2)をネツト組織体(N)の長繊維
    糸(12)から区画形成される網目よりも大きく寸法化
    することを特徴とする請求項1又は2記載の建物の外壁
    補修工法。
  5. 【請求項5】ネツト組織体(N)の全体的な厚み(T)
    を約0.5〜5.0mmに寸法化すると共に、その破裂
    強度を小さくとも約60kgfに設定することを特徴と
    する請求項1又は2記載の建物の外壁補修工法。
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