JP7089851B2 - 改修工法 - Google Patents

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Description

本発明は、改修工法に関する。
従来、既設の躯体の表面に施された既設の仕上げ層(タイル層や石材層等)を改修する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、既設の仕上げ層を剥離せずに、モルタル系下地調整材を当該既設の仕上げ層の表面に塗布して表面が平滑となるように下地調整した後、外装材張り付け用モルタルにより新設の外装材(タイル層や石材層等)を重ね張りする改修工法が開示されている。
特開平5-113012号公報
しかしながら、上記の特許文献1のようなモルタルを用いる改修工法では、施工現場でモルタルの配合を行う必要があるため、計量ミスや混合不足による施工品質のばらつきが大きいという問題があった。さらに、経年での、既設の仕上げ層、モルタル、及び新設の外装材の各界面での歪みによってできる応力により、新設の外装材の剥離が生じる危険性があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、施工品質のばらつきを解消する事が可能となると共に、経年による新設の外装材等の剥離を抑止する事が可能となる改修工法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の改修工法は、既設の躯体の表面に施された既設の仕上げ層を改修する改修工法であって、前記仕上げ層の表面に、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂を含有する不陸調整用組成物を塗布して不陸調整層を形成する不陸調整層形成工程と、前記不陸調整層形成工程にて形成された前記不陸調整層にネットを設置するネット設置工程と、前記不陸調整層形成工程にて形成された前記不陸調整層の表面に、反応硬化型接着剤を用いて外装材を張り付ける外装工程と、前記不陸調整層形成工程及び前記ネット設置工程よりも前に行われる補修工程であって、前記仕上げ層と前記躯体との間に注入材を注入することなく、前記仕上げ層から前記躯体に至るようにピンを打ち込むことで、前記仕上げ層の補修を行う補修工程と、を含む。
請求項2に記載の改修工法は、請求項1に記載の改修工法において、前記補修工程においては、前記仕上げ層の浮き部及びそれ以外の部分にわたって、前記ピンを等間隔に複数打ち込む。
請求項3に記載の改修工法は、請求項1又は2に記載の改修工法において、前記不陸調整層形成工程に用いる不陸調整用組成物が、B型回転粘度計を用いて、JIS K6833-1に準拠し、23[℃]の温度条件下、回転数1[r/min]で測定した粘度Aが1000[Pa・s]~3000[Pa・s]であり、当該粘度Aと回転数10[r/min]で測定した粘度Bとの粘度比(A/B)が6以上であり、且つ、硬化して得られた硬化物が示すJIS A5557に準拠して測定したダンベル物性が、最大引っ張り強さが0.4[N/mm]~2.0[N/mm]であり、破断時の伸び率が40[%]~200[%]である。
請求項4に記載の改修工法は、請求項1から3のいずれか一項に記載の改修工法において、前記仕上げ層は、複数のタイルを前記躯体の表面に沿って並設した層である。
請求項5に記載の改修工法は、請求項1から4のいずれか一項に記載の改修工法において、前記不陸調整層形成工程にて用いる前記不陸調整用組成物が、更にエポキシ樹脂を含有する。
請求項6に記載の改修工法は、請求項1から5のいずれか一項に記載の改修工法において、前記外装工程にて張り付ける前記外装材が、タイル、石材、又はシート建材である。
請求項1に記載の改修工法によれば、既設の仕上げ層と新設の外装材との接着にモルタルを用いることなく改修を行うので、従来のモルタルを用いた改修工法で必要であった作業である、施工現場にて配合を行ってモルタルをつくる作業(例えば、セメント、砂、及び水を配合する作業や、セメント、砂、及びその他の混和剤が配合されたプレミックスモルタルに水を配合する作業)を省略でき、計量ミスや混合不足による施工品質のばらつきを解消する事が可能となると共に、モルタルよりも柔軟性の高い素材を用いて外装材の接着を行うことにより、既設の仕上げ層、不陸調整層、反応硬化型接着剤により形成された接着層、及び新設の外装材の各界面での歪みによってできる応力を低減でき、経年での新設の外装材の剥離を抑止する事が可能となる。
さらに、不陸調整層にネットを設置することにより、ネットにより不陸調整層を一体化して補強することができ、既存の下地や外装材の剥落を抑止できる。
また、ピンの打設や注入材の注入によって、従来と同様の極めて簡易な方法で既設の仕上げ層に浮きやひび割れが生じた部分の剥落を防止する事が可能となる。
請求項3に記載の改修工法によれば、不陸を有する既設の仕上げ層の表面に対して、外装材を優れた密着性及び追従性にて張ることができ、且つ、簡易に施工を行う事が可能となる。
請求項4に記載の改修工法によれば、複数のタイルを躯体の表面に沿って並設した既設の仕上げ層に対しても、タイルを剥離する作業を省略して、表面に外装材を上塗りして改修することができ、改修に要する手間や費用を省略する事が可能となる。
請求項5に記載の改修工法によれば、不陸調整用組成物がエポキシ樹脂を含有するので、不陸調整用組成物の密着性及び耐水性を向上させることが可能となる。
請求項6に記載の改修工法によれば、タイル、石材、又はシート建材を、既設の仕上げ層の表面に安定的に固着させることが可能となる。
本発明の実施の形態に係る改修工法が行われた後の建築物の断面図である。 改修工法を行う前の建築物を示す断面図である。 改修工法の手順1を示す断面図である。 改修工法の手順2を示す断面図である。 改修工法の手順3を示す断面図である。 改修工法の手順4を示す断面図である。 本発明の実施例1に係る試験体を示す図である。 試験体の作製手順について示す表である。 実施例1及び比較例1の面外曲げ試験の試験結果である。 参考例1及び参考比較例1の引張試験の試験結果である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る改修工法の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、既設の躯体の表面に施された既設の仕上げ層を改修する改修工法に関する。ここで、「既設」とは、本実施の形態に係る改修工法が行われる以前から設けられている物を示す。なお、以下における「新設」とは、本実施の形態に係る改修工法によって設けられる物を示す。また、この改修工法を実施する目的やタイミング等は任意であり、例えば、既設の仕上げ層が経年劣化した際の改修を目的として、又は、既設の仕上げ層の表面に外装材を貼りつけてデザイン変更する事を目的として実施できる。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
図1は、本実施の形態に係る改修工法が行われた後の建築物(以下、単に「建築物1」と称する)の断面図である。なお、図1では、建築物1の外壁付近の一部分のみを拡大して図示しており、他の部分については公知であるものとして、図示を省略している。この図1に示すように、建築物1は、概略的に、既設躯体10、既設仕上げ層20、アンカーピン30、不陸調整層40、接着層50、外装材60、新設目地70、及びネット80を備える。ここで、以下では、必要に応じて、各図におけるY-Y’方向を「奥行き方向」と称し、特にY方向を「前方向」、Y’方向を「後方向」と称する。また、Z-Z’方向を「高さ方向」と称し、特にZ方向を「上方向」、Z’方向を「下方向」と称する。また、X-X’方向(Y-Z平面に直交する方向)を「幅方向」と称し、特にX方向(各図において向かって奥の方向)を「右方向」、X’方向(各図において向かって手前の方向)を「左方向」と称する。
(構成-既設躯体)
既設躯体10は、本実施の形態に係る改修工法の対象となる既設仕上げ層20が施された躯体である。ここで、本実施の形態に係る「躯体」とは、床、壁、柱、又は梁等のような建築物1の構造を支える骨組みに限らず、単なるオブジェのように建築物1の構造を支える骨組み以外の物体も含む概念である。ただし、本実施の形態における既設躯体10とは、建築物1の外壁を示すものとして以下では説明する。また、この既設躯体10の素材は、既設躯体10の表面に後述するような既設仕上げ層20を形成可能である限り任意で、例えば、木、鉄骨、セメント系硬化体(例えば、押出成型セメント板、鉄筋コンクリート、プレキャストコンクリート、又は軽量気泡コンクリート等)で形成できるが、本実施の形態では、鉄筋コンクリートであるものとする。
(構成-既設仕上げ層)
既設仕上げ層20は、既設の躯体の表面に施された既設の仕上げ層である。この既設仕上げ層20は、既設躯体10の表面に設けられている限り任意の仕上げ層として構成でき、例えば、本実施の形態では、図示のように、既設躯体10の表面にモルタルを塗布して既設モルタル層21を形成し、このように形成した既設モルタル層21の表面に複数のタイルを張り付けることにより既設タイル層22を形成し、この既設タイル層22の相互間にモルタルやシーリング等を充填して既設目地23を形成して構成されているものとする。ただし、このような構成に限らず、例えば上述した既設モルタル層21には、モルタルの代わりに、本願の不陸調整層40や接着層50と同一の材料を用いても構わないし、既設タイル層22には、タイルの代わりに、石材等を用いても構わない。
なお、このような既設仕上げ層20には、経年劣化等により浮きが生じている事があり、図1では、一部(浮き部24)に浮きが生じている既設仕上げ層20を図示している。なお、この浮き部24には後述するようにアンカーピン30から注入された後述する注入材31が充填されている。
(構成-アンカーピン)
アンカーピン30は、既設仕上げ層20を補修するための補修手段であって、既設仕上げ層20から既設躯体10に至るように打ち込まれたピンである。このアンカーピン30は、既設仕上げ層20の表面に不陸調整層40を塗布する前段階等において、既設仕上げ層20の適宜間隔に位置する部分に対して打ち込まれる。既設仕上げ層20における浮きやひび割れが生じている部分についてはアンカーピン30の間隔を狭めるとより安全性が確保される。また、このアンカーピン30に設けられた注入口から注入材31(例えば、パテ状エポキシ樹脂や、ポリマーセメントモルタル等)を注入することで、浮きやひび割れを埋めて補修する事ができる。なお、このような機能を実施するアンカーピン30の具体的な構成については公知であるため、詳細な説明を省略する。また、注入材31の注入については不要であれば省略しても構わない。
(構成-不陸調整層)
不陸調整層40は、既設仕上げ層20の表面に、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂を含有する不陸調整用組成物を塗布して形成された層である。この不陸調整用組成物は、既設仕上げ層20の不陸を埋めるように塗布されており、具体的には、既設仕上げ層20を構成する既設タイル層22の不整等による不陸、既設目地23による不陸、既設タイル層22を構成するタイルが剥がれた部分の不陸等を埋めるように、既設仕上げ層20の表面に塗布されている。不陸調整用組成物は上記不陸のみに塗布しても良いし、全面に塗布しても良い。なお、この不陸調整用組成物は、一液硬化型を用いることで作業現場での配合が不要となり、従来の改修工法のように施工現場にて配合を行ってモルタルをつくる作業(例えば、セメント、砂、及び水を配合する作業や、セメント、砂、及びその他の混和剤が配合されたプレミックスモルタルに水を配合する作業)を省略でき、計量ミスや混合不足による施工品質のばらつきを解消する事が可能となる。また、従来の改修工法のようにモルタルを用いて不陸調整を行う場合、モルタルのみでは外装材60を長期間安定的に固定するために十分な接着力を得る事が出来なかった。これに対して、本実施の形態では、既設仕上げ層20と新設の外装材60との接着にモルタルを用いることなく改修を行うので、従来のモルタルを用いた改修工法で必要であった作業である、施工現場にて配合を行ってモルタルをつくる作業(例えば、セメント、砂、及び水を配合する作業や、セメント、砂、及びその他の混和剤が配合されたプレミックスモルタルに水を配合する作業)を省略でき、計量ミスや混合不足による施工品質のばらつきを解消する事が可能となると共に、モルタルよりも柔軟性の高い素材を用いて外装材の接着を行うことにより、既設仕上げ層20、不陸調整層40、反応硬化型接着剤により形成された接着層50(後述)、及び新設の外装材60の各界面での歪みによってできる応力を低減でき、経年での新設の外装材60の剥離を抑止する事が可能となる。
ここで、不陸調整用組成物の具体的な粘度比やダンベル物性については任意であるが、B型回転粘度計を用いて、JIS K6833-1に準拠し、23[℃]の温度条件下、回転数1[r/min]で測定した粘度Aが1000[Pa・s]~3000[Pa・s]であり、当該粘度Aと回転数10[r/min]で測定した粘度Bとの粘度比(A/B)が6以上であり、且つ、硬化して得られた硬化物が示すJIS A5557に準拠して測定したダンベル物性が、最大引っ張り強さが0.4[N/mm]~2.0[N/mm]であり、破断時の伸び率が40[%]~200[%]である事が好ましい。該ダンベル物性とはJIS A5557に定める皮膜物性試験方法、23±2℃(50±10)RH%にて4週間養生後の皮膜物性を示す。このような不陸調整用組成物を用いることで、既設仕上げ層20に対して、外装材60を優れた密着性及び追従性にて張ることができ、且つ、施工性に優れた改修工法を提供する事が可能となる。以下では、粘度、粘度比、及びダンベル物性について詳細に説明する。
<粘度、粘度比>
まず、上述したように、不陸調整用組成物が有する粘度及び粘度比は、不陸調整層形成における作業性の観点から、B型回転粘度計を用いて、JIS K6833-1に準拠し、23[℃]の温度条件下、回転数1[r/min]で測定した粘度Aが1000[Pa・s]~3000[Pa・s]であり、当該粘度Aと回転数10[r/min]で測定した粘度Bとの粘度比(A/B)が6以上であることが好ましい。
不陸調整用組成物の粘度Aが、1000Pa・sより小さいと、垂直面に施工する場合において垂れが生じ易くなり、不陸調整層を均一な層厚で形成することが困難となる。一方、粘度Aが3000Pa・sより大きいと、既設仕上げ層の表面にコテ等を用いて不陸調整用組成物を塗布する際の抵抗が大きくなり、作業性が悪化する。
不陸調整用組成物が有する粘度Aは、好ましくは1000Pa・s~2500Pa・sであり、より好ましくは1000Pa・s~2000Pa・sである。
不陸調整用組成物における粘度比(A/B)が、6より小さいと、不陸調整用組成物を鏝で塗り広げる際の施工性が悪化し、且つ、垂直面に施工する際に不陸調整用組成物に垂れが生じ易くなる。
不陸調整用組成物における粘度比(A/B)は、好ましくは6.3以上であり、より好ましくは6.5以上である。
<ダンベル物性>
また、上述したように、不陸調整用組成物を硬化して得られた硬化物が示すJIS A5557に準拠して測定したダンベル物性が、最大引っ張り強さが0.4[N/mm]~2.0[N/mm]であり、破断時の伸び率が40[%]~200[%]である事が好ましい。
不陸調整用組成物を硬化して得られた硬化物が示す最大引張強さが0.4N/mmより小さいと、硬化物の凝集力が弱く外力による歪み等が生じた場合に不陸調整層が破壊され易くなる。一方、2.0[N/mm]より大きいと硬化物が硬くなり過ぎるため、下地の歪み等で新設の外装材が割れ易くなる。
硬化物が示す最大引張強さは、好ましくは0.4[N/mm]~2.0[N/mm]であり、より好ましくは0.4[N/mm]~1.5[N/mm]であり、特に好ましくは0.4[N/mm]~1.3[N/mm]である。
不陸調整用組成物を硬化して得られた硬化物が示す破断時の伸び率が40%より小さいと、ディファレンシャルムーブメント等による歪みに追従できず、新設の外装材が剥離、剥落し易くなる、一方、200%より大きいと重量の大きな外装材等を張付けた場合に不陸調整層が伸びてしまい、寸法安定性に欠けるため好ましくない。さらに、不陸調整層の表面に、後述する反応硬化型接着剤の如き接着剤を、クシ目鏝等を用いて塗り広げる場合には、不陸調整層が柔らか過ぎると、クシ目鏝での作業性が悪くなり、且つ、不陸を拾ってしまい新設の外装材を平滑に施工することができないため好ましくない。
硬化物が示す破断時の伸び率は、好ましくは40%~200%であり、より好ましくは40~150%であり、特に好ましくは40~130%である。
また、不陸調整用組成物は、更にエポキシ樹脂を含有する事が好ましく、このことにより、不陸調整層40と既設仕上げ層20及び接着層50との密着性、並びに不陸調整層40の耐水性が向上する。このようなエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アミンをエポキシ化したエポキシ樹脂、複素環を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂等の一分子中に一個以上のオキシラン環を含有する化合物等の従来公知のエポキシ基含有化合物が挙げられる。
(構成-接着層)
接着層50は、不陸調整層40の表面に、反応硬化型接着剤を用いて形成された層である。このような反応硬化型接着剤としては、外装材60の接着可能な程度の所望の接着性を満たす限り任意のものを用いる事ができるが、不陸調整層40や外装材60との密着性、及び耐水接着性の優れたものである程好ましい。
ここで、不陸調整層40や外装材60との密着性、耐久性の観点からは、反応硬化型接着剤としては、変成シリコーン系接着剤が好ましい。特に外装用として使用する場合には、耐水接着性を兼ね備えた変成シリコーン・エポキシ樹脂系接着剤を用いることがより好ましい。また、配合の手間の簡略化や、配合ブレの抑制、等の観点から、1液型の接着剤であることがさらに好ましい。
変成シリコーン樹脂とは、加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である硬化性樹脂であり、シーラント、接着剤、塗料等のベースポリマーとして広く用いられている。該変成シリコーン樹脂は、加水分解性シリル基であるアルコキシシリル基が大気中の水分で加水分解し架橋する、いわゆる湿気硬化型ポリマーである。該湿気硬化型ポリマーとしては、例えば、特開昭52-73998号公報、特開昭63-112642号公報などに記載されるポリマーが挙げられる。変成シリコーン樹脂にエポキシ樹脂を添加してなる変成シリコーン・エポキシ樹脂系接着剤を適用することで、不陸調整層40や外装材60との密着性、耐水接着性が向上する。このようなエポキシ樹脂としては、上述した不陸調整用組成物に含有させるエポキシ樹脂と同様のものを用いて良い。不陸調整用組成物としては、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えば、コニシ株式会社製のレベルワン、セメダイン株式会社製のタイルエースシリーズ、株式会社LIXIL社製のスーパーベース、タイルメント社製のMEベース等が挙げられるが、これらに限定されない。
後述する外装工程に用いる反応硬化型接着剤として適用しうる、変成シリコーン樹脂系接着剤、及び、変成シリコーン・エポキシ樹脂系接着剤を含む反応硬化型接着剤としては、市販品を用いることもできる。該市販品としては、例えば、コニシ株式会社製のエフレックスタイルワンシリーズ、ボンドEMS20;セメダイン株式会社製のタイルエースシリーズ;株式会社LIXIL社製のワンパックボーイシリーズ;株式会社タイルメント社製のフレックスシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されない。
このように、当該接着層50や上述した不陸調整層40は、いずれも伸縮性能の大きい弾性材料で形成されるので、各接着界面にディファレンシャルムーブメントにより生じるせん断応力を緩和でき、繰り返し疲労による接着力低下が生じ難く、耐疲労性に優れている。また、弾性材料で形成することにより変形追従性に優れていることから、地震時の既設躯体10の動きに対しても、外装材60のひび割れ、剥離、又は剥落が生じ難い。
(構成-外装材)
外装材60は、接着層50の表面に張り付けられた建材である。この外装材60は、接着層50の前方の位置に、接着層50に対して貼り付けらており、上下左右方向に沿って複数並設されている。ここで、この外装材60としては任意の建材を用いる事ができ、例えばタイル、石材、煉瓦、外装用ボード、シート建材等が挙げられる。また、外装材60としては、既設仕上げ層20に適用されたものと同一のものを用いても良いし、異なるものを用いても良い。
(構成-新設目地)
新設目地70は、外装材60同士の隙間を埋めるように充填配置された目地である。この新設目地70としては、例えばモルタルやシーリング等の任意の目地を適用できるが、本実施の形態ではモルタルを用いる。この新設目地70は施工することが好ましいが、目地施工の出来ない外装材60を用いた場合等のように不要な場合には適宜施工しなくても良い。その場合は後述する図6に示す構造が完成形となる。
(構成-ネット)
ネット80は、不陸調整層40に設置された剥離抑止手段である。ここで、本実施の形態ではこのネット80が公知の3軸ネットである場合について説明するが、これに限らず、ネット80は例えば2軸ネットや4軸ネット等でも構わない。また、本実施の形態では、このような3軸ネットのメッシュの正三角形の一辺の長さは15mmとするが、この長さは単なる一例に過ぎず、これに限らない。また、本実施の形態のネット80はビニロン製であるが、これに限らず様々な素材でネット80を形成してよい。このように不陸調整層40にネット80を設置することにより、ネット80により不陸調整層40を一体化して補強することができ、既設モルタル層21や既設タイル層22の剥落を抑止できる。
(改修工法について)
続いて、本実施の形態に係る改修工法について以下で説明する。なお、図2は、改修工法を行う前の建築物1を示す断面図である。このように、本実施の形態では、既設躯体10と既設仕上げ層20との間の一部分(浮き部24)に浮きが生じているものとして説明する。
(手順1)
図3は、改修工法の手順1を示す断面図である。この図3に示すように、まず、既設仕上げ層20から既設躯体10に至るように打ち込んだアンカーピン30によって既設仕上げ層20と既設躯体10との間に注入材31を注入することで、既設仕上げ層20の補修を行う補修工程を行う。具体的には、初めに既設仕上げ層20の浮き部24を公知の方法(例えば、打診)により特定し、当該特定した浮き部24の位置にドリル等を用いて孔を形成する。次に、この孔にアンカーピン30を挿入して打ち込み、アンカーピン30の開脚を行ってから、アンカーピン30の注入口に注入材31を注入して浮き部24に注入材31を充填する。なお、本実施の形態では上記のように注入口付アンカーピンを用いて補修する工法を採用したが、これに限らない。例えば全ネジ切りアンカーピンとエポキシ樹脂等を用いて補修を行う工法を採用しても構わない。また、これらの具体的な工法については公知であるため、詳細な説明を省略する。なお、図3等では、浮き部24に打ち込むアンカーピン30のみを図示しているが、上述したように、浮き部24以外の位置にも複数のアンカーピン30を等間隔に壁面に打ち込んでいくことで、既設仕上げ層20を既設躯体10に対してより定着させることができる。また、図3等では、アンカーピン30を、既設目地23に打ち込んだ例を示しているが、既設タイル層22を構成するタイルの脳天に打ち込んでもよい。
(手順2)
図4は、改修工法の手順2を示す断面図である。この図4に示すように、続いて、既設仕上げ層20の表面に、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂を含有する不陸調整用組成物を塗布して不陸調整層40を形成する不陸調整層形成工程を行う。なお、このような不陸調整用組成物の塗布方法は任意であり、例えば塗布具を用いた公知の塗布方法を採用して構わない。
また、次に、不陸調整層形成工程にて形成された不陸調整層40にネット80を設置するネット設置工程を行う。この設置の具体的な態様は任意であるが、本実施の形態では、不陸調整層40の表面に不陸調整層40が硬化する前にネット80を貼り付けて、ネット80の手前からコテなどを用いてネット80を不陸調整層40の表面に埋め込んでいく。
(手順3)
図5は、改修工法の手順3を示す断面図である。この図5に示すように、続いて、不陸調整層形成工程にて形成された不陸調整層40の表面に、反応硬化型接着剤を塗布して接着層50を形成する接着層形成工程を行う。なお、このような反応硬化型接着剤の塗布方法は任意であり、例えば塗布具を用いた公知の塗布方法を採用して構わない。
(手順4)
図6は、改修工法の手順4を示す断面図である。この図6に示すように、続いて、不陸調整層形成工程にて形成された不陸調整層40の表面に、反応硬化型接着剤を用いて外装材60を張り付ける外装工程を行う。なお、本実施の形態においては、図示のように、不陸調整層形成工程にて形成された不陸調整層40の表面に反応硬化型接着剤を塗布して接着層50を形成してから、接着層50に外装材60を貼り付けるが、これに限らず、上記の接着層形成工程を省略し、外装材60の後面に反応硬化型接着剤を塗布して不陸調整層40の表面に直接貼り付けても構わない。なお、このような張り付けの具体的な方法は任意であり、例えば作業員が一枚ずつ手作業で張り付けていっても構わない。そして、最後に、外装工程にて張り付けた外装材60同士の隙間に新設目地70を注入することにより、図1に示す建築物1が完成する。上述したように、この新設目地70は施工することが好ましいが、目地施工の出来ない外装材60を用いた場合等のように不要な場合には施工しなくても良い。以上にて、本実施の形態に係る改修工法が完了する。
(実施例1)
次に、本改修工法の実施例1について説明する。この実施例は、ネットの有無により剥落防止効果に差異が生じるか否かを調べるための試験に関する。図7は、本実施例1に係る試験体を示す図であり、図8は、試験体の作製手順について示す表である。この図7に示すように、本実施例1の試験体は、実施の形態に係る既設仕上げ層20に対応する既存下地と、実施の形態に係る不陸調整層40、接着層50、外装材60、新設目地70(及びネット80)に対応する複合補修層と、を備える。そして、本実施例1では、UR都市機構「保全工事共通仕様書 機材及び工法の品質判定基準 仕様登録集」の、5.外壁複合補修工法、複合補修層の補強効果確認(面外曲げ試験)に準拠した面外曲げ試験を行った。
ここで、図8に示すように、既存下地は、JIS R 5201に規定されるモルタル板(100×300×30mm)を突きつけて固定し、この突き付けたモルタル板に張り付けモルタルで45二丁タイルを張り付けし、目地は目地モルタルで埋めたものである。また、複合補修層は、既存下地に対して不陸調整材としてコニシ(株)製のレベルワンを塗布して不陸調整層とし、この不陸調整層に対して、反応硬化型接着剤としてコニシ(株)製のエフレックスタイルワンを塗布して新規タイルを張り付けたものである。不陸調整材を既存下地に対してコテを用いて1mm厚で平滑に塗布後、コテを用いてネットを不陸調整材に埋め込み、新規タイル張り下地としたものである。新規タイル張りは、新規タイル張り下地を23℃50%RHで1日養生後、反応硬化型接着剤を用いて45二丁タイルを張り付け、目地を目地モルタルで埋めて行った。そして、この試験体を23℃50%RHで7日間養生後、面外曲げ試験を行った。
(比較例1)
比較例1として、実施例1の不陸調整層でネット無しとした以外は、実施例1と同様の方法で試験体を作成し、面外曲げ試験を行った。
面外試験では、突き付け部に対して図7に示すように荷重を加えていき、その際の最大荷重(N)、及び最大変位(mm)を測定し、ネット無とネット有で性能を比較した。図9は、実施例1及び比較例1の面外曲げ試験の試験結果である。なお、当該試験における十分な剥落防止効果を有するか否かの判定基準は、「最大荷重(N)490N以上、又は最大変位は30mm以上」である。この図9から分かるように、ネット無では、最大荷重及び最大変位のいずれも判定基準を満たさなかった。一方、ネット有では、最大荷重は判定基準を満たさなかったものの、最大変位は判定基準を満たした。なお、最大変位の欄を「50以上」としているのは、突き付け部から土台までの距離が50mmしかなく、曲げ試験で突き付け部が土台に当接してしまった時点で試験を中止したためであり、実際には50mm以上変位可能と考えられるためである。このように、面外試験の結果から、不陸調整材にネットを埋め込むことによって、好適な最大変位を実現することができ、剥落防止効果が向上することが分かる。
(参考例1)
次に、本改修工法の参考例1について説明する。この参考例1は、接着剤として加水分解性シリル基含有有機系接着剤(以下、タイルワン)を使用する際に、相性の良い不陸調整材を調査するための実験に関する。
本参考例1では、試験体の作製について以下の手順で行った。まず、モルタル板にコニシ(株)製の加水分解性シリル基含有不陸調整材「レベルワン」(以下、レベルワン)を厚さ2mmで塗布し、23℃50%RHで1日養生した。次に、硬化した不陸調整材上にタイルワンを標準クシ目ゴテ(5mm幅×5mm高さ)にて塗布した。そして、タイルワンの塗布後直ちにタイルを張り合わせ、充分に圧着し、周囲にはみ出したタイルワンを除去して養生した。養生条件は、標準養生で、23℃50%RHで4週間養生した。その後、JAI-18準拠の引張試験を行った。なお、測定温度は23℃であり、測定速度は3mm/minである。
(参考比較例1)
参考例1に対する比較例(以下、参考比較例1)として、参考例1の不陸調整材をコニシ(株)製のアクリルウレタン系下地調整材「AU2550ONE」(以下、AU2550-ONE)に変更した以外は、参考例1と同様の方法で試験体を作成し、引張試験を行った。
図10は、本参考例1及び参考比較例1の引張試験の試験結果である。この図10に示すように、加水分解性シリル基含有有機系接着剤(タイルワン)を使用する際には、下地調整材としても、同様に加水分解性シリル基を含有する下地調整材(例えばレベルワン)を用いたほうが良好な接着強さ及び破壊状態を得ることができる。なお、アクリルウレタン系の下地調整材(AU2550ONE)を用いた場合、界面破壊を生じ、強い接着強さが得られないことが分かった。
(実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、既設仕上げ層20と新設の外装材60との接着にモルタルを用いることなく改修を行うので、従来のモルタルを用いた改修工法で必要であった作業である、施工現場にて配合を行ってモルタルをつくる作業(例えば、セメント、砂、及び水を配合する作業や、セメント、砂、及びその他の混和剤が配合されたプレミックスモルタルに水を配合する作業)を省略でき、計量ミスや混合不足による施工品質のばらつきを解消する事が可能となると共に、モルタルよりも柔軟性の高い素材を用いて外装材60の接着を行うことにより、既設仕上げ層20、不陸調整層40、接着層50、及び新設の外装材60の各界面での歪みによってできる応力を低減でき、経年での新設の外装材60の剥離を抑止する事が可能となる。
さらに、不陸調整層40にネット80を設置することにより、ネット80により不陸調整層40を一体化して補強することができ、既存の下地や外装材60の剥落を抑止できる。
また、不陸調整用組成物は、従来のモルタルに比べ既設仕上げ層への接着耐久性が優れるため、既設仕上げ層20と新設の外装材60との間にネットを含めずに改修を行う事ができ、従来のモルタルを用いた改修工法で必要であった作業である、外装材60の剥落を防止して外装材60を長期間安定的に固定するために既設仕上げ層20をネット及びアンカー部材を用いて抑え付ける作業を省略でき、従来よりも改修に要する手間や費用を削減する事が可能となる。
また、アンカーピン30の打設や注入材31の注入によって、従来と同様の極めて簡易な方法で既設仕上げ層20に浮きやひび割れが生じた部分の剥落を防止する事が可能となる。
また、不陸を有する既設仕上げ層20の表面に対して、外装材60を優れた密着性及び追従性にて張ることができ、且つ、簡易に施工を行う事が可能となる。
また、複数のタイルを躯体の表面に沿って並設した仕上げ層に対しても、タイルを剥離する作業を省略して、表面に外装材60を上塗りして改修することができ、改修に要する手間や費用を省略する事が可能となる。
また、不陸調整用組成物がエポキシ樹脂を含有するので、不陸調整用組成物の密着性及び耐水性を向上させることが可能となる。
また、タイル、石材、又はシート建材のような外装材60であっても、既設仕上げ層20の表面に安定的に固着させることが可能となる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、本実施の形態に係る改修工法を用いた場合に、施工品質のばらつきが従来工法と同程度である場合や、経年での新設の外装材60の剥離を従来工法と同程度にしか抑止できない場合があっても構わない。また、本願発明によって、上記に例示した発明が解決しようとする課題を達成出来ない場合であっても、本願発明に係る改修工法によって、従来とは異なる改修工法を提供出来ている限り、本願発明の課題が解決されている。
(寸法や材料について)
発明の詳細な説明や図面で説明した建築物1の各部の寸法、形状、材料、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、材料、比率等とすることができる。
(ネットについて)
本実施の形態では、アンカーピン30を壁面に先留めした後に、不陸調整層40やネット80を設置したが、順序はこれに限らない。例えば、不陸調整層40及びネット80を設置した後に、壁面にドリル等で孔を空けて、この孔にアンカーピン30を挿入してもよい。この際のアンカーピン30としては、ネット80を留めるための皿が頭部に付いた皿付きアンカーピンや、ネット80を留めるためのワッシャーが付いたワッシャー付きアンカーピン等を用いる事が好ましい。
(外装材について)
本実施の形態においては、既設仕上げ層20の表面に一層分の外装材60を貼りつけたが、これに限らず、この外装材60の表面からさらに他の外装材60を貼りつけていっても構わない。この場合にも、本実施形態と同様の方法で、外装材60の表面に不陸調整層40、接着層50、外装材60、及び新設目地70を順次形成すれば構わない。
(付記)
付記1に記載の改修工法は、既設の躯体の表面に施された既設の仕上げ層を改修する改修工法であって、前記仕上げ層の表面に、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂を含有する不陸調整用組成物を塗布して不陸調整層を形成する不陸調整層形成工程と、前記不陸調整層形成工程にて形成された前記不陸調整層にネットを設置するネット設置工程と、前記不陸調整層形成工程にて形成された前記不陸調整層の表面に、反応硬化型接着剤を用いて外装材を張り付ける外装工程と、を含む。
付記2に記載の改修工法は、付記1に記載の改修工法において、前記仕上げ層から前記躯体に至るようにピンを打ち込むことで、又は前記打ち込んだピンによって前記仕上げ層と前記躯体との間に注入材を注入することで、前記仕上げ層の補修を行う補修工程を含む。
付記3に記載の改修工法は、付記1又は2に記載の改修工法において、前記不陸調整層形成工程に用いる不陸調整用組成物が、B型回転粘度計を用いて、JIS K6833-1に準拠し、23[℃]の温度条件下、回転数1[r/min]で測定した粘度Aが1000[Pa・s]~3000[Pa・s]であり、当該粘度Aと回転数10[r/min]で測定した粘度Bとの粘度比(A/B)が6以上であり、且つ、硬化して得られた硬化物が示すJIS A5557に準拠して測定したダンベル物性が、最大引っ張り強さが0.4[N/mm]~2.0[N/mm]であり、破断時の伸び率が40[%]~200[%]である。
付記4に記載の改修工法は、付記1から3のいずれか一項に記載の改修工法において、前記仕上げ層は、複数のタイルを前記躯体の表面に沿って並設した層である。
付記5に記載の改修工法は、付記1から4のいずれか一項に記載の改修工法において、前記不陸調整層形成工程にて用いる前記不陸調整用組成物が、更にエポキシ樹脂を含有する。
付記6に記載の改修工法は、付記1から5のいずれか一項に記載の改修工法において、前記外装工程にて張り付ける前記外装材が、タイル、石材、又はシート建材である。
(付記の効果)
付記1に記載の改修工法によれば、既設の仕上げ層と新設の外装材との接着にモルタルを用いることなく改修を行うので、従来のモルタルを用いた改修工法で必要であった作業である、施工現場にて配合を行ってモルタルをつくる作業(例えば、セメント、砂、及び水を配合する作業や、セメント、砂、及びその他の混和剤が配合されたプレミックスモルタルに水を配合する作業)を省略でき、計量ミスや混合不足による施工品質のばらつきを解消する事が可能となると共に、モルタルよりも柔軟性の高い素材を用いて外装材の接着を行うことにより、既設の仕上げ層、不陸調整層、反応硬化型接着剤により形成された接着層、及び新設の外装材の各界面での歪みによってできる応力を低減でき、経年での新設の外装材の剥離を抑止する事が可能となる。
さらに、不陸調整層にネットを設置することにより、ネットにより不陸調整層を一体化して補強することができ、既存の下地や外装材の剥落を抑止できる。
付記2に記載の改修工法によれば、ピンの打設や注入材の注入によって、従来と同様の極めて簡易な方法で既設の仕上げ層に浮きやひび割れが生じた部分の剥落を防止する事が可能となる。
付記3に記載の改修工法によれば、不陸を有する既設の仕上げ層の表面に対して、外装材を優れた密着性及び追従性にて張ることができ、且つ、簡易に施工を行う事が可能となる。
付記4に記載の改修工法によれば、複数のタイルを躯体の表面に沿って並設した既設の仕上げ層に対しても、タイルを剥離する作業を省略して、表面に外装材を上塗りして改修することができ、改修に要する手間や費用を省略する事が可能となる。
付記5に記載の改修工法によれば、不陸調整用組成物がエポキシ樹脂を含有するので、不陸調整用組成物の密着性及び耐水性を向上させることが可能となる。
付記6に記載の改修工法によれば、タイル、石材、又はシート建材を、既設の仕上げ層の表面に安定的に固着させることが可能となる。
1、2 建築物
10 既設躯体
20 既設仕上げ層
21 既設モルタル層
22 既設タイル層
23 既設目地
24 浮き部
30 アンカーピン
31 注入材
40 不陸調整層
50 接着層
60 外装材
70 新設目地
80 ネット

Claims (6)

  1. 既設の躯体の表面に施された既設の仕上げ層を改修する改修工法であって、
    前記仕上げ層の表面に、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂を含有する不陸調整用組成物を塗布して不陸調整層を形成する不陸調整層形成工程と、
    前記不陸調整層形成工程にて形成された前記不陸調整層にネットを設置するネット設置工程と、
    前記不陸調整層形成工程にて形成された前記不陸調整層の表面に、反応硬化型接着剤を用いて外装材を張り付ける外装工程と、
    前記不陸調整層形成工程及び前記ネット設置工程よりも前に行われる補修工程であって、前記仕上げ層と前記躯体との間に注入材を注入することなく、前記仕上げ層から前記躯体に至るようにピンを打ち込むことで、前記仕上げ層の補修を行う補修工程と、を含む、
    改修工法。
  2. 前記補修工程においては、前記仕上げ層の浮き部及びそれ以外の部分にわたって、前記ピンを等間隔に複数打ち込む、
    請求項1に記載の改修工法。
  3. 前記不陸調整層形成工程に用いる不陸調整用組成物が、B型回転粘度計を用いて、JIS K6833-1に準拠し、23[℃]の温度条件下、回転数1[r/min]で測定した粘度Aが1000[Pa・s]~3000[Pa・s]であり、当該粘度Aと回転数10[r/min]で測定した粘度Bとの粘度比(A/B)が6以上であり、且つ、硬化して得られた硬化物が示すJIS A5557に準拠して測定したダンベル物性が、最大引っ張り強さが0.4[N/mm]~2.0[N/mm]であり、破断時の伸び率が40[%]~200[%]である、
    請求項1又は2に記載の改修工法。
  4. 前記仕上げ層は、複数のタイルを前記躯体の表面に沿って並設した層である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の改修工法。
  5. 前記不陸調整層形成工程にて用いる前記不陸調整用組成物が、更にエポキシ樹脂を含有する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の改修工法。
  6. 前記外装工程にて張り付ける前記外装材が、タイル、石材、又はシート建材である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の改修工法。
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