JP3764324B2 - コンクリート構造物およびその補修方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維基材をコンクリート構造物表面に接着したコンクリート構造物、および繊維基材をコンクリート構造物表面に接着するコンクリート構造物の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物は、建設時に発生した空洞や、コンクリート構造物自体の劣化、地震、地盤沈下等の様々な要因により、コンクリート部にクラック、ひび割れ、剥落などが生じる。
【0003】
クラックがコンクリート構造物の外側まで達しているときには、地中のコンクリート構造物は地下水がコンクリート構造物に浸透し漏水の原因となる。コンクリート構造物にこのようなクラックやひび割れが生じた場合、コンクリート構造物を補修する必要がある。
【0004】
劣化したコンクリート構造物に対する補修は、従来、(1)劣化したコンクリート構造物の表面にモルタルを5〜10cm厚程度上塗りしたり、または吹き付ける、(2)劣化したコンクリート構造物の表面にコンクリート構造物を30cm厚程度打設(増厚)する、(3)炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維といった強化繊維を一方向に配列した強化繊維基材をエポキシ樹脂等の常温硬化性樹脂でコンクリート構造物表面に含浸接着する、(4)鋼板等の補強材をコンクリート構造物表面に取り付け、コンクリート構造物と鋼板等の隙間に必要に応じてシール等の処理を行い、常温硬化性樹脂またはモルタル等を充填する補修(補強)等が知られている。
【0005】
しかしながら、上記(1)はコンクリート構造物表面の改良にはなるものの、十分な補強効果が得にくい欠点がある。
上記(2)は、補強効果は期待できるが、打設するコンクリートの厚さだけコンクリート構造物の容積が増加する問題と、補修が大工事となり、費用がかさむこと、工事のために規制が必要となり日常活動への影響が大きいといった欠点がある。
【0006】
上記(3)は、補強効果は期待できるが、用いる強化繊維基材が一方向配列基材であるため少なくとも二層を含浸接着し、各層の強化繊維基材の繊維配列方向を違えなければならないといった問題点がある。また、目の詰まった強化繊維基材を1層以上、通常の接着剤を使用して接着した場合は補修後のコンクリート構造物の表面は直接目視観察することは困難であった。
【0007】
上記(4)は、補強効果は期待できるが、鋼板等の加工等に時間を要するとともに、補修もかなり大工事となり、工事のための規制が必要となるため日常活動への影響が大きいといった欠点がある。また補修後のコンクリート構造物表面は直接目視観察することは困難となる。
上記(1)〜(4)に共通する欠点は補修後のコンクリート構造物の表面状態を直接目視観察することが困難となる問題である。
【0008】
以上のとおり、これまでの補修では補修した後に元のコンクリート構造物表面を目視で観察することができなかったため、補修後のコンクリート構造物表面が重大な変状の進行を示したり、新たな重大な変状が発生した場合でもこれを確認することが困難であった。
【0009】
そのために、トンネル等のコンクリート構造物においては覆工コンクリートの剥落、崩落といった現象が発生するまで補修後のコンクリート構造物の再補修の必要性を判断することが困難であり、人命上、安全上、社会的に大きな問題であった。
【0010】
また、上記(3)の繊維基材を常温硬化性樹脂でコンクリート構造物表面に含浸接着する場合、従来はエポキシ樹脂等の硬化性樹脂を用いるため、冬季のような低温時期には樹脂の硬化が遅く、繊維基材接着作業が完了しても、樹脂が硬化するまでは繊維がコンクリート構造物に保持する力が確保できないといった問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記のような劣化したコンクリート構造物、特に道路、鉄道トンネル等のコンクリート構造物の補修において、補修後も目視で、補修したコンクリート構造物の変状の進行あるいは新たに発生した劣化、変状を確認することができるコンクリート構造物およびその補修方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、繊維基材を接着性の硬化性樹脂でコンクリート構造物表面に接着することにより、繊維基材をコンクリート構造物上面に安定して保持できると共に、硬化性樹脂により長期的に信頼性の高い繊維基材の接着が維持できるコンクリート構造物及びその補修方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の目的は、繊維基材を接着性の硬化性樹脂でコンクリート構造物表面に接着する際、硬化性樹脂が十分に硬化していなくても繊維がコンクリート構造物表面に安定して保持できるとともに、長期的に硬化性樹脂と埋め込みアンカーの相乗効果により一層信頼性の高い繊維基材の接着が維持できるコンクリート構造物およびその補修方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、コンクリート構造物表面に、シート状に配列した繊維束間に少なくとも辺長の一つが2mm以上で、繊維基材の最小幅以下の空隙を有している繊維基材を、1mm厚みの硬化体の可視光透過度が0.1より大きい接着剤を用いて接着してなり、該繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能であることを特徴とするコンクリート構造物である。
【0015】
前記繊維基材を接着剤を用いてコンクリート構造物へ接着してなるか、または繊維基材を埋め込み式アンカーピンと接着剤を併用してコンクリート構造物へ接着してなるコンクリート構造物が好ましい。
【0016】
また、本発明は、コンクリート構造物表面に、シート状に配列した繊維束間に少なくとも辺長の一つが2mm以上で、繊維基材の最小幅以下の空隙を有している繊維基材を、1mm厚みの硬化体の可視光透過度が0.1より大きい接着剤を用いて接着し、接着後に繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能とすることを特徴とするコンクリート構造物の補修方法である。
【0017】
さらに、本発明は、コンクリート構造物表面に、シート状に配列した繊維束間に少なくとも辺長の一つが2mm以上で、繊維基材の最小幅以下の空隙を有している繊維基材を埋め込み式アンカーピンと、1mm厚みの硬化体の可視光透過度が0.1より大きい接着剤を併用して接着し、接着後に繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能とすることを特徴とするコンクリート構造物の補修方法である。
【0018】
上記の本発明のコンクリート構造物およびその補修方法においては、前記埋め込み式アンカーピンを機械的固定と接着的固定とを併用して固定することが好ましい。
前記繊維基材がコンクリート構造物表面が目視観察可能な空隙を有するものが好ましい。
前記接着剤が透明または半透明であるのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のコンクリート構造物は、コンクリート構造物表面に接着した繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能であることを特徴とし、また繊維基材を、接着剤または埋め込み式アンカーピンと接着剤を併用してコンクリート構造物へ接着したコンクリート構造物である。
【0020】
また、本発明のコンクリート構造物の補修方法は、繊維基材をコンクリート構造物表面に接着した後も接着した繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能とすることを特徴とし、また繊維基材を、接着剤または埋め込み式アンカーピンと接着剤を併用してコンクリート構造物へ接着することを特徴し、埋め込み式アンカーピンを機械的固定と接着的固定とを併用して固定することを特徴とする補修方法である。
【0021】
次に、本発明に係るコンクリート構造物、およびコンクリート構造物の補修方法を図面を用いて詳しく説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではなく、図面による説明は発明の例として示したに過ぎない。
【0022】
本発明のコンクリート構造物に使用される繊維基材は、繊維束を2方向(または多方向)にシート状に配列したものである。図1は、本発明のコンクリート構造物に使用する繊維基材の一実施態様を示す代表的な形状図である。図1において、繊維基材11は繊維束1を2方向にシート状に配列したもので、配列した繊維束1間には辺長aおよびbの空隙2があり、辺長aまたはbの少なくとも一方は2mm以上で繊維基材の最小の幅以下である。
【0023】
図2は、本発明のコンクリート構造物に使用する繊維基材の他の実施態様を示す形状図である。図2の繊維基材11は、繊維束1を3方向に配列したもので、それぞれ配列した繊維束間には辺長c、dおよびeを持つ空隙2があり、辺長c、dまたはeの少なくとも一つは2mm以上で繊維基材の最小の幅以下である。
【0024】
図1および図2に示した形状の繊維基材を使用することにより、繊維基材をコンクリート構造物表面に接着した後も繊維基材の空隙2によりコンクリート構造物表面のクラック、ひび割れ等の変状を目視観察する事が可能となる。
【0025】
繊維束自体は透明でも不透明であってもよく、不透明の場合には繊維束間に上記に示したごとき空隙があり、繊維基材が透視可能であればよい。
繊維基材の材質は炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等、補強効果があるものであればどのようなものでもよい。
【0026】
本発明に用いられる接着剤は、半透明または透明なものであることが好ましく、該接着剤の1mm厚み硬化体の可視光透過度が0.1より大きいことが特に好ましい。このような透明性のある接着剤を使用することにより、前記繊維基材をコンクリート構造物表面に接着して補強(補修)した後も繊維基材を通してコンクリート構造物の表面のクラック、ひび割れ等の変状を直接目視観察することが可能となる。
【0027】
接着剤として使用される硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂等のラジカル重合性樹脂等が挙げられる。
【0028】
これらのラジカル重合性樹脂のなかでは、道路、鉄道トンネルの補修のように短時間での施工完了が要求される場合があり、このような場合には速硬化可能なラジカル重合性樹脂を使用することが好ましい。
【0029】
図3は、本発明のコンクリート構造物に使用するアンカーピンの実施態様を示す代表的な形状図である。同図3は本発明の補修方法に用いる埋め込みアンカーピンの形状例のひとつとしてテーパ付き埋め込みアンカーピンを示したものである。埋め込みアンカーピンとは拡底アンカーで、ボルトおよびナットを用いないで部材同士を機械的に固定する小型のアンカーの総称である。
【0030】
図3において、テーパ付き埋め込み式アンカーピン30はコンクリート構造物への機械的固定のための拡底部37、ロッド部38、繊維基材をコンクリート構造物に保持固定するワッシャ36を備えることのできる頭頂部39、および拡底するためのピン35から構成されている。
【0031】
ロッド部径r1と頭頂部径r2は一般にr1<r2である。コンクリート構造物の孔径Rがr1<R<r2であればテーパ付き埋め込み式アンカーピンは拡底部のくさび効果と頭頂部のくさび効果が合わさりコンクリート構造物へのアンカーピンの固定効果は高まる。
【0032】
機械的固定だけでは長期的な繰り返し荷重による疲労のため、引き抜き強度が低下するおそれがあるので、テーパ付き埋め込み式アンカーピンをコンクリート構造物へ確実に固定するためにはアンカー定着孔内に硬化性樹脂を充填し、その後テーパ付き埋め込み式アンカーピンを打ち込み、拡底し機械的固定と接着的固定を併用することが好ましい。
【0033】
本発明のコンクリート構造物は、コンクリート構造物の補修現場で、コンクリート構造物の表面に上記繊維基材を、上記接着剤を用いて貼り付ける手順で行う事ができる。この場合は通常のコンクリート構造物の繊維補強(補修)の手順と基本的に変わらない。
【0034】
本発明の補修方法は、例えば、コンクリート構造物のケレン処理、コンクリート構造物用プライマー塗布、接着剤を用いた繊維基材の接着の順番で行うことができる。
【0035】
なお、コンクリート構造物の表面に繊維基材を接着する手順において、コンクリート構造物表面にコンクリート構造物用プライマーを塗布した後、繊維基材を接着する際、パテ材等による不陸調整が必要な場合には、使用する不陸調整材は本発明の接着剤と同程度の透明性を有しているものを使用することが好ましい。
【0036】
また、プライマーには接着剤と同程度の透明性を有しているものが用いられ、具体的には、商品名「Cブライマー」(アクリル系/電気化学工業株式会社製)などを用いることができる。
【0037】
接着剤を用いて繊維基材を接着する方法は、通常の繊維補強と同じ方法により行うことができ、その一例として含浸接着法が挙げられる。含浸接着方法は、プライマーを塗布、硬化したコンクリート構造物表面に下塗りとして接着剤を塗布し、その上に繊維基材を貼り付け、ゴムローラーやヘラで繊維基材中に接着剤を含浸させ、さらに上塗りとして接着剤を繊維基材の上に塗布する手順で行なうことができる。
【0038】
コンクリート構造物への繊維基材の貼り付け枚数は、必要とされる補強の程度に応じて適宜選択されるが、本発明の目的である施工後のコンクリート構造物表面の目視観察が可能な範囲とする。
【0039】
また、本発明の埋め込みアンカーピンを用いる補修方法の場合には、上記繊維基材の接着の後に、図4に示すようにコンクリート構造物40に直径R(r1<R<r2)の孔41をあけ、埋め込み式アンカーピン30を打ち込み拡底する。
【0040】
接着的固定を併用する場合には、テーパ付き埋め込み式アンカーピンと孔41内の空隙に硬化性樹脂34を充填し固着する。コンクリート構造物への孔あけはコンクリート構造物へ繊維基材を接着の前後、いずれの時期に行っても差し支えない。硬化性樹脂34の充填は、テーパ付きアンカーピンの打ち込み拡底の前後、いずれの時期に行っても差し支えない。
【0041】
【実施例】
次に、実施例により、本発明の効果を確認する目的で行った補修試験の詳細を述べる。
【0042】
実施例1〜3および比較例1〜3
図5は、本発明の実施例のコンクリート構造物の効果を調べるための目視観察試験方法を説明するための概略構成図である。図5(a)は側面図、図5(b)は平面図である。
【0043】
補修試験に用いたコンクリート構造物試験体は、市販の10cm×10cm×40cmのコンクリートをダイヤモンドカッターで10cm×10cm×20cmの二つに切断したもの21a,21bの切断面を突き合わせ、直径0.5mmの鋼線22をスペーサーとして挿入し、この隙間にコンクリート構造物用ひび割れ注入材K−3001(ショーボンド建設社製、エポキシ樹脂接着剤)31を注入硬化し接合して作製した。
【0044】
コンクリート構造物試験体の一面をサンドブラストし、コンクリート構造物用プライマー32を塗布、硬化させた。次に、接着剤33を用いて、アラミド繊維基材11を含浸接着法により接着し、補修したコンクリート構造物を得た。
【0045】
補修コンクリート構造物試験体の表面にひび割れを発生させるために荷重負荷試験を行った。荷重負荷試験は万能試験機(島津製作所社製オートグラフ)を用いた三等分荷重曲げ試験方法(JIS A 1106に準拠)にて行った。
コンクリート構造物試験体に設けた0.5mmの間隔の接合部の目視観察は荷重負荷試験前および荷重負荷試験中に行った。
【0046】
表1には、、試験に用いたアラミド繊維基材(3種類、AF−1〜AF−3)、コンクリート構造物用プライマー(3種類、P−1〜P−3)、および接着剤(3種類、R−1〜R−3)を示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003764324
試験の結果は表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003764324
【0049】
(注)目視観察試験の評価
○:コンクリート構造物表面の0.5mmの隙間又は新たな変化(ひび割れ)の確認が可能。
△:コンクリート構造物表面の0.5mmの隙間又は新たな変化(ひび割れ)の確認が困難。
×:コンクリート構造物表面の0.5mmの隙間又は新たな変化(ひび割れ)の確認ができない。
【0050】
表2に示すごとく、コンクリート構造物試験体に繊維基材を接着した後、接着した繊維基材を通してコンクリート構造物試験体表面の0.5mmの接合した隙間が観察でき、かつ荷重負荷試験中に新たに発生したコンクリート構造物表面のひび割れを目視確認できたのは本発明の繊維基材(AF−3)、および本発明の接着剤(R−1,R−2)を組み合わせて補修した試験体だけであった。
【0051】
実施例4
次に、本発明のアンカーピンの効果を確認する目的で行った試験の詳細を述べる。
図6は、本発明の実施例4のコンクリート構造物の効果を調べるための目視観察試験方法を説明するための概略構成図である。図6(a)は側面図、図6(b)は平面図である。
試験に用いたコンクリート構造物試験体は市販のボックスカルバートの天井表面(厚さ12cm)を用いた。
【0052】
コンクリート構造物試験体の一面をサンドブラストし、コンクリート構造物用プライマー32(表1のP−1を使用)を塗布し、硬化させた後、接着剤33(R−1を使用)を用いて幅100cm、長さ100cmのアラミド繊維基材11(AF−1を使用)を接着した。
【0053】
アラミド繊維基材接着前にコンクリート構造物試験体に削孔しておいたφ65mm×80mmLのアンカー用孔に、接着剤が硬化する前に、アラミド繊維基材端部に50cm間隔でアンカーピン30(コニシ社製、CP−N670、ベステムワッシャφ20mm装着)を打ち込み、先端を拡底し、コンクリート構造物試験体へ固定した。
【0054】
この試験体を用いて、接着剤33が硬化する前に、図7に示す様に、アラミド繊維基材11の端部に、送風機42から45度の角度で風を送った。送風量は80m2 /minとし、接着剤33が硬化するまでの試験体の変化を観察した。
その結果、アンカーピンを用いてアラミド繊維基材を固定した試験体は、接着剤が硬化までにアラミド繊維基材のはがれは認められなかった。
【0055】
同様に、図8に示すように、アンカーピンを用いない試験体について送風試験を行ったところ、接着剤が硬化する前に繊維端部からはがれが生じ最終的には全て落下した。なお、図8(a)は側面図、図8(b)は平面図である。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコンクリート構造物は、繊維基材を接着した後もコンクリート構造物の表面状態が目視観察可能であり、繊維基材を接着した後のコンクリート構造物の表面の変状の進行が目視で確認可能である。
したがって、繊維基材を接着した後のコンクリート構造物の剥落、崩落等の異常現象の発生前に早期に対策を講じることが可能となる。また、繊維基材の接着に用いる接着剤の硬化性樹脂が十分に硬化する前でも繊維基材のコンクリート構造物への保持が埋め込みアンカーピンにより確保できるとともに、長期にわたり接着剤と、埋め込みアンカーピンの相乗効果による安定した繊維基材のコンクリート構造物表面への保持、すなわち補強効果の維持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート構造物に使用する繊維基材の一実施態様を示す代表的な形状図である。
【図2】本発明のコンクリート構造物に使用する繊維基材の他の実施態様を示す形状図である。
【図3】本発明のコンクリート構造物に使用するアンカーピンの実施態様を示す代表的な形状図である。
【図4】本発明のコンクリート構造物に、テーパ付きアンカーピンを用いて繊維基材を保持し、さらにアンカーの固定に接着的固定を併用した概念図である。
【図5】本発明の実施例のコンクリート構造物の効果を調べるための目視観察試験方法を説明するための概略構成図である。
【図6】本発明の実施例4のコンクリート構造物の効果を調べるための目視観察試験方法を説明するための概略構成図である。
【図7】本発明の実施例4のアンカーピンを用いたコンクリート構造物の送風試験を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例4におけるアンカーピンを用いないコンクリート構造物の試験体を示す概略図である。
【符号の説明】
1 繊維束
a〜e 繊維束間の空隙で形成される多角形の辺長
11 繊維基材
21a,21b 市販のコンクリート(10×10×40cm)を2等分したもの
22 鋼線
30 テーパ付き埋め込み式アンカーピン
31 ひび割れ注入材
32 コンクリート構造物用プライマー
33 接着剤
34 硬化性樹脂
35 テーパ付き埋め込み式アンカーピンを構成する部材ピン
36 ワッシャ
37 テーパ付き埋め込み式アンカーピンの拡底部
38 テーパ付き埋め込み式アンカーピンのロッド部
39 テーパ付き埋め込み式アンカーピンの頭頂部
40 コンクリート構造物
41 孔
42 送風機
r1 テーパ付き埋め込み式アンカーピンロッド部分の直径
r2 テーパ付き埋め込み式アンカーピンの頭頂部分の直径
R アンカーを固定するための孔径

Claims (6)

  1. コンクリート構造物表面に、シート状に配列した繊維束間に少なくとも辺長の一つが2mm以上で、繊維基材の最小幅以下の空隙を有している繊維基材を、1mm厚みの硬化体の可視光透過度が0.1より大きい接着剤を用いて接着してなり、該繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能であることを特徴とするコンクリート構造物。
  2. 前記繊維基材を埋め込み式アンカーピンと接着剤を併用してコンクリート構造物へ接着してなる請求項1記載のコンクリート構造物。
  3. 前記埋め込み式アンカーピンを機械的固定と接着的固定とを併用して固定することを特徴とする請求項記載のコンクリート構造物。
  4. コンクリート構造物表面に、シート状に配列した繊維束間に少なくとも辺長の一つが2mm以上で、繊維基材の最小幅以下の空隙を有している繊維基材を、1mm厚みの硬化体の可視光透過度が0.1より大きい接着剤を用いて接着し、接着後に繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能とすることを特徴とするコンクリート構造物の補修方法。
  5. コンクリート構造物表面に、シート状に配列した繊維束間に少なくとも辺長の一つが2mm以上で、繊維基材の最小幅以下の空隙を有している繊維基材を埋め込み式アンカーピンと、1mm厚みの硬化体の可視光透過度が0.1より大きい接着剤を併用して接着し、接着後に繊維基材を通してコンクリート構造物表面が目視観察可能とすることを特徴とするコンクリート構造物の補修方法。
  6. 前記埋め込み式アンカーピンを機械的固定と接着的固定とを併用して固定することを特徴とする請求項記載のコンクリート構造物の補修方法。
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