JP6164550B2 - トンネルの剥落防護構造およびトンネルの補修方法 - Google Patents
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このようなトンネルの補修に応ずるものとして、トンネル内面に巻き立てたコンクリ−ト製または金属製のセグメントの内面に、繊維強化プラスティックシ−トであるFRP板を接着する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
請求項3の発明は、補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成し、補強シートの取付けを合理的かつ容易に行なえ、その継ぎ目のない施工と体裁の向上を図るようにしている。
請求項5の発明は、パッキングシートの両端部にFRPシートまたは合成樹脂製のカバーを取付け、該カバーを介し前記取付溝を閉塞し、取付溝内への塵埃、異物等の侵入を防止するとともに、坑内の体裁を改善し得るようにしている。
請求項8の発明は、取付溝に配置したパッキングシートに紫外線を照射して硬化し、前記支持枠を前記取付溝内のパッキングシートの被覆面に係合可能に設置後、相隣接する取付溝のパッキングシートの両端部に補強シートを重合して配置し、該補強シートに紫外線を照射して硬化し、支持枠を早めに設置し、覆工壁の暫定的な補強を早めに得られるとともに、パッキングシートと支持枠、補強シートの取り付けを合理的かつ円滑に行なえるようにしている。
請求項10の発明は、補強シートの円周方向の長さを、トンネルの円周方向に沿う天端部と両側壁上部の相当位置に亘る長さに形成し、補強シートの取付けを合理的かつ容易に行なえ、その継ぎ目のない施工と体裁の向上を図るようにしている。
請求項11の発明は、補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成し、補強シートの取付けを合理的かつ容易に行なえ、その継ぎ目のない施工と体裁の向上を図るようにしている。
請求項3の発明は、補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成したから、補強シートの取付けを合理的かつ容易に行なえ、その継ぎ目のない施工と体裁の向上を図ることができる。
請求項5の発明は、パッキングシートの両端部にFRPシートまたは合成樹脂製のカバーを取付け、該カバーを介し前記取付溝を閉塞したから、取付溝への塵埃、異物等の侵入を防止するとともに、坑内の体裁を改善し得る効果がある。
請求項8の発明は、取付溝に配置したパッキングシートに紫外線を照射して硬化し、前記支持枠を前記取付溝内のパッキングシートの被覆面に係合可能に設置後、相隣接する取付溝のパッキングシートの両端部に補強シートを重合して配置し、該補強シートに紫外線を照射して硬化するから、支持枠を早めに設置し、覆工壁の暫定的な補強を早めに得られるとともに、パッキングシートと支持枠、補強シートの取付けを合理的かつ円滑に行なうことができる。
請求項10の発明は、補強シートの円周方向の長さを、トンネルの円周方向に沿う天端部と両側壁上部の相当位置に亘る長さに形成するから、補強シートの取付けを合理的かつ容易に行なえ、その継ぎ目のない施工と体裁の向上を図ることができる。
請求項11の発明は、補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成するから、補強シートの取付けを合理的かつ容易に行なえ、その継ぎ目のない施工と体裁の向上を図ることができる。
前記補強シ−ト7として、覆工壁4の剥落荷重に耐えられる強度と止水性を備えたFRPシ−トが用いられ、このFRPシ−トとして実施形態では、紫外線硬化型繊維強化プラスティックシ−ト(以下、紫外線硬化型FRPシ−トと呼ぶ)を使用している。
この場合、作業性を考慮して、補強シ−ト7の長さをトンネル1の円周方向に沿って複数に分割し、それらの端部を重合し若しくは接合して、トンネル1の円周方向に施工することも可能である。
前記取付溝8,8の間隔は、例えば補強シ−ト7の前記幅に形成され、各取付溝8の内部に後述するパッキングシ−トと支持枠を収容可能にしている。実施形態の場合、取付溝8の断面形状を矩形に形成し、その内部に後述する矩形断面の支持枠を収容している。
前記排水シ−ト9は一側面に微小な排水溝(図示略)が形成され、該排水溝を覆工壁4側に配置し、覆工壁4に沿って排水可能にしている。
この後、トンネル1の坑内に紫外線ランプを備えた紫外線照射装置(共に図示略)を搬入し、前記紫外線ランプをONして、紫外線を補強シ−ト7へ向けて照射する。
その際、取付溝8の開口縁部に位置する補強シ−ト7に接着剤11を塗布し、パッキングシ−ト10の両側縁部を補強シ−ト7に確実に取付ける。
したがって、覆工壁4と取付溝8を被覆した補強シ−ト7とパッキングシ−ト10は、共にFRPシートと同様の強度を備えた硬度に形成される
前記支持枠12は、例えば前記GFRPまたはFRTP等の繊維強化プラスティック(以下、FRPと呼ぶ)によって、図3(a)のようにトンネル1の内空断面5の上部周面よりも若干大径のア−チ状に成形され、その長さは取付溝8と同長に形成され、その断面形状は実施形態の場合、図4(a)のような方形管状に形成されている。
この場合、支持枠12の断面形状は方形管の他に、例えば図4(b)の円管、同図(c)のI型、同図(d)のT字形、同図(e)の三角管状、同図(f)の平板状のものを適宜選択して使用する。
したがって、例えば補強シ−ト7および/またはパッキングシ−ト10を硬化前に、支持枠12を取付溝8に設置する場合に比べ、支持枠12の弾性を補強シ−ト7とパッキングシ−ト10に確実かつ一様に作用させられる。
なお、取付溝8の開口部側に、補強シ−ト7または紫外線硬化型FRPシ−トと同質のFRPシ−トまたは合成樹脂製の帯状のカバ−14を貼り付け、取付溝8の開口部を閉塞して、水や異物の侵入を防止することが望ましい。
しかも、支持枠12の湾曲弾性は覆工壁4ないし地山2に作用し、その弾性を覆工壁4の内部応力や上載荷重に対抗するから、覆工壁4の強度を補強し、剥離防止と漏水防止を増進するようにされている。
しかも、支持枠12は取付溝8の内部に設置され、覆工壁4内面からの突出を抑制しているから、トンネル1の内空断面5を損なわず建築限界の毀損を回避し得る。
実施形態では、補強シ−ト7として紫外線硬化型FRPシ−トを使用し、これを前記のように所定の形状寸法に裁断し、この裁断した補強シ−ト7の両面に透明な剥離シ−ト(図示略)を貼り付けて置く。
したがって、支持枠12は、鉄鋼製のものと比較して軽量かつ柔軟で、施工時の取扱や湾曲に至便であり、例えば作業者が支持枠12の両端部を保持して内側に押し曲げることによって、図3(b)のように支持枠12をトンネル1の上部周面よりも小径のア−チ状に湾曲形成可能になり、トンネル1の坑内への搬入や取付溝8に対する設置が可能になる
前記パッキングシ−ト10は補強シ−ト7と同一のFRPシートで構成され、実施形態では紫外線硬化型FRPシ−トで構成され、これを取付溝8よりも幅広で、補強シ−ト7と同長の帯状に裁断し、使用時に逆U字形状に屈曲形成される。
前記カバ−14は紫外線硬化型FRPシ−トと同一または合成樹脂シ−トを、取付溝8よりも若干幅広で補強シ−ト7と同長の帯状に裁断する。
実施形態では取付溝8の断面形状を矩形に形成し、その内部にパッキングシ−ト10と支持枠12を収容可能にし、隣接する取付溝8,8の間隔を、例えば補強シ−ト7の幅に形成している。この状況は図5(a)のようである。
前記排水シ−ト9は微小な排水溝(図示略)を覆工壁4側に向けて配置し、かつ前記排水溝をトンネル1の円周方向に沿って配置し、覆工壁4に沿って排水可能にする。この状況は図5(b)のようである。
この場合、補強シ−ト7の長さが、覆工壁4の天端部と両側壁上部に亘る長尺の場合は、継ぎ目なく一時に平滑に貼付けられ、またこれを複数に分割する場合は、合理的かつ作業性良く施工でき、その場合は補強シ−ト7の端部を接合し、若しくは端部を重合して貼り合わせる。
なお、補強シ−ト7として紫外線硬化型FRPシ−ト以外の薄厚のFRPシ−トを使用し、これを排水シ−ト9の表面に仮止めする場合は、例えば釘または両面接着テ−プを用いる。
前記紫外線は透明な剥離シ−トを透過して補強シ−ト7に進入し、その内部に添加した光硬化開始剤の反応を促し、補強シ−ト7を表面から急速に硬化させて、トンネル1の覆工壁4の略上半部周面にFRPシートと同様の強度を備えた硬度の覆工層を形成する。
この場合、取付溝8の開口縁部に位置する補強シ−ト7に接着剤11を塗布し、パッキングシ−ト10の両側縁部を補強シ−ト7に確実に取付けることが望ましい。
こうして、覆工壁4と取付溝8を被覆した補強シ−ト7とパッキングシ−ト10は、共にFRPシートと同様の強度を備えた硬度に形成される
前記支持枠12は、例えば前記GFRPまたはFRTP等の繊維強化プラスティックによって、図3(a)のようにトンネル1の内空断面5の上部周面よりも若干大径のア−チ状に成形され、その長さは取付溝8と同長に形成され、その断面形状は実施形態の場合、図4(a)のような方形管状に形成されている。
この場合、支持枠12の断面形状は方形管の他に、例えば図4(b)の円管、同図(c)のI型、同図(d)のT字形、同図(e)の三角管状、同図(f)の平板状のものを適宜選択して使用する。
したがって、例えば補強シ−ト7および/またはパッキングシ−ト10を硬化前に、支持枠12を取付溝8に設置する場合に比べ、支持枠12の弾性を補強シ−ト7とパッキングシ−ト10に確実かつ一様に作用させられる。
また、取付溝8の開口部側に、補強シ−ト7または紫外線硬化型FRPシ−トと同質のFRPシ−トまたは合成樹脂製の帯状のカバ−14を貼り付け、取付溝8の開口部を閉塞して、水や異物の侵入を防止する。この状況は図5(i)のようである。
このように実施形態は、覆工壁4の内面に補強シ−ト7を仮止めして硬化し、次に取付溝8にパッキングシ−ト10を設置して硬化し、補強シ−ト7とパッキングシ−ト10を硬化後に支持枠12を設置しているから、一連の作業を確実かつ安全に施工できる。
しかも、支持枠12の湾曲弾性は覆工壁4ないし地山2に作用し、その弾性を覆工壁4の内部応力や上載荷重に対抗するから、覆工壁4の強度を補強し、剥離防止と漏水防止を増進する。
しかも、支持枠12をFRP製とすることによって、軽量で金属製のような錆を発生することがなく、その寿命を向上する。
更に、支持枠12は取付溝8の内部に設置され、覆工壁4内面からの突出を抑制しているから、トンネル1の内空断面5を損なわず建築限界の毀損を回避する。
このうち、図6および図7は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は、内空断面5が鉄道または道路の建築限界に余裕がある既設トンネル1に適用した場合を示している。
図8は前記第2の実施形態の応用形態を示し、この応用形態は図8(a)〜(c)のように、覆工壁4の内面に排水シート9や補強シート7を直接取付け、前述の実施形態のような覆工壁4の内面を切削する取付溝8、パッキングシート10やカバー14を要しない分、部品点数を低減し、またそれらの取付けの手間を軽減して容易かつ速やかに取付けられ、工期が短縮し工費が低減する。
この後、硬化した補強シ−ト7に湾曲した支持枠12を圧接して固定し、該支持枠12内にモルタル13を充填する。
なお、支持枠12のトンネル1内への搬入や、補強シ−ト7に対する支持枠12の弾性による圧接ないし固定、支持枠12内へのモルタル13の充填や、補強シ−ト7に対する紫外線照射は、前述の実施形態と同様である。
したがって、パッキングシ−ト10と補強シ−ト7の硬化後に支持枠12を設置する前述の実施形態に比べ、支持枠12を早めに設置し、覆工壁4の暫定的な補強を早めに得られるとともに、パッキングシ−ト10、支持枠12、補強シ−ト7の取付け順序を合理的に設定し、これを円滑に行なうようにしている。
すなわち、最初に覆工壁4内の細部を施工し、次第に覆工壁4の表面側に施工場所を移行し、容易に施工し得るようにしている。この場合、取付溝8の開口部を補強シ−ト7で閉塞すれば、カバ−14の取付けを省略し、これを合理的かつ速やかに行なえる。
4 覆工壁
7 補強シ−ト
8 取付溝
10 パッキングシ−ト
12 支持枠
13 充填材
Claims (11)
- トンネルの覆工壁の内面に繊維強化プラスティック製の補強シートを円周方向に設置し、該補強シートの内面に円周方向に沿ってアーチ状に湾曲形成した支持枠を配置し、該支持枠の湾曲弾性を介し補強シートを覆工壁側へ圧接可能に配置したトンネルの剥落防護構造において、前記覆工壁の内面に円周方向に沿って複数の取付溝を形成し、該取付溝をトンネルの坑内方向に離間して配置し、トンネルの少なくとも天端部と両側壁上部の相当位置に亘って紫外線を照射して硬化した補強シートを取付けるとともに、前記取付溝の内面に紫外線を照射して硬化した繊維強化プラスティック製のパッキングシートを被覆し、該パッキングシートの両端部を取付溝の外側に配置し、該取付溝内のパッキングシートの被覆面に前記支持枠を係合可能に設置し、該支持枠を覆工壁の内側に配置し、かつ支持枠の表面を覆工壁の内面と略同一面上に配置するとともに、前記硬化したパッキングシートの両端部と補強シートとを重合して接合したことを特徴とするトンネルの剥落防護構造。
- 前記補強シートの円周方向の長さを、トンネルの円周方向に沿う天端部と両側壁上部の相当位置に亘る長さに形成した請求項1記載のトンネルの剥落防護構造。
- 前記補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成した請求項1記載のトンネルの剥落防護構造。
- 前記パッキングシートの両端部を補強シート上に重合して接合し、またはパッキングシートの両端部上に補強シートを重合して接合した請求項1記載のトンネルの剥落防護構造
- 前記パッキングシートの両端部にFRPシートまたは合成樹脂製のカバーを取付け、該カバーを介し前記取付溝を閉塞した請求項1記載のトンネルの剥落防護構造。
- トンネルの覆工壁の内面に繊維強化プラスティック製の補強シートを円周方向に設置し、該補強シートの内面に円周方向に沿ってアーチ状に湾曲形成した支持枠を配置し、該支持枠の湾曲弾性を介し補強シートを覆工壁側へ圧接可能に配置するトンネルの補修方法において、前記覆工壁の内面に円周方向に沿って複数の取付溝を形成し、該取付溝をトンネルの坑内方向に離間して配置し、トンネルの少なくとも天端部と両側壁上部の相当位置に亘って前記補強シートを取付けるとともに、前記取付溝の内面に繊維強化プラスティック製のパッキングシートを配置し、該パッキングシートの両端部を取付溝の外側に配置し、該パッキングシートの両端部と補強シートとを重合して接合し、前記補強シートとパッキングシートに紫外線を所定時期に照射して硬化し、前記取付溝内にパッキングシートを被覆後、前記支持枠をトンネルの坑内に搬入し人力でアーチ状に湾曲形成し、該湾曲形成した支持枠を取付溝内のパッキングシートの被覆面に係合可能に設置し、該支持枠を覆工壁の内側に配置し、かつ支持枠の表面を覆工壁の内面と略同一面上に配置することを特徴とするトンネルの補修方法。
- 前記補強シートに紫外線を照射して硬化後、前記取付溝に配置したパッキングシートに紫外線を照射して硬化し、前記支持枠を前記取付溝内のパッキングシートの被覆面に係合可能に設置する請求項6記載のトンネルの補修方法。
- 前記取付溝に配置したパッキングシートに紫外線を照射して硬化し、前記支持枠を前記取付溝内のパッキングシートの被覆面に係合可能に設置後、相隣接する取付溝間のパッキングシートの両端部に補強シートを重合して配置し、該補強シートに紫外線を照射して硬化する請求項6記載のトンネルの補修方法。
- 相隣接する取付溝の間に補強シートを配置し、該取付溝にパッキングシートを配置し、該パッキングシートの両端部を取付溝の外側に配置し、該両端部を補強シート上に重合して配置後、補強シートとパッキングシートに紫外線を照射して一時に硬化する請求項6記載のトンネルの補修方法。
- 前記補強シートの円周方向の長さを、トンネルの円周方向に沿う天端部と両側壁上部の相当位置に亘る長さに形成する請求項6または8記載のトンネルの補修方法。
- 前記補強シートの幅を、相隣接する取付溝の間隔と同幅に形成する請求項6または8記載のトンネルの補修方法。
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