JP6325380B2 - コンクリート構造物の補強方法及び補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、壁状又は版状となったコンクリートの構造部分が角度をもって連続する部分を、繊維を束ねて帯状とした補強ベルトを用いて補強する方法及び補強構造に関するものである。
コンクリート構造物は、老朽化や構築時には想定されていなかった荷重に対応するために補強が必要となる場合がある。壁状又は版状となったコンクリートの構造部分が角度をもって連続する部分においても補強が必要となる場合があり、例えばコンクリート床版を有する橋梁における張り出し床版の先端部と壁高欄との接合部分がある。壁高欄上に遮音壁を新たに設ける必要が生じたときには、風荷重等によって鉄筋コンクリート構造の壁高欄に大きな曲げモーメントが生じ、補強が必要となる場合がある。また、これにともなって張り出し床版にも大きな曲げモーメントが作用し、先端付近を曲げモーメントに対して補強する必要が生じる場合がある。一方、橋梁を走行する車両の衝突荷重に対して、壁高欄により高い強度が求められる場合には、壁高欄の内側を曲げモーメントに対して補強する必要が生じる。
壁高欄及びコンクリート床版の補強構造に関しては、特許文献1に記載されるものがある。この構造では、張り出し床版の下側に鋼部材を設けるとともに壁高欄の内外両側に補強鋼板を配設するものである。
また、コンクリートの壁状又は版状の部材を補強するものとして特許文献2に記載されるものがある。この構造は、炭素繊維やアラミド繊維等の強化繊維を用いた補強シートを、補強しようとするコンクリート部材に貼り付けるものである。
特開2002−227134号公報 特開2000−45565号公報
しかしながら、壁状又は版状となったコンクリートの構造部分が角度をもって連続する部分では、曲げモーメントに対する補強を行うことが難しい場合がある。つまり、これらの構造部分の内側の表面付近すなわち二つの構造部分の表面が180°以下の角度で隣接するときの表面付近に、曲げモーメントによる大きな引張応力度が生じると、表面に補強部材を貼り付けることによっては充分な補強とならない。
特許文献1に記載の補強構造では壁高欄の内側にも補強鋼板を取り付けてはいるが、壁高欄の下端部に補強鋼板の下縁があり、壁高欄の下端に作用する曲げモーメントに対して有効な補強とはならない。また、特許文献2に記載の補強構造では、コンクリートの壁面に補強シートを貼り付けるとともに、その周囲の梁との接合部分では、梁に形成した孔に差し込んで接着剤を充填したアンカーによって定着するものとしている。このアンカーは強化繊維を束ねたものが用いられており、引き抜きに対して充分な抵抗力を有するように接着剤を孔内に慎重に注入する必要があり、作業の効率は良好ではない。
また、このような問題点は、上記のような壁高欄とコンクリート床版との接合部に限らず、コンクリートの壁状又は版状の構造部分が角度をもって連続する部分では同様に生じるものである。例えば、鉄筋コンクリートからなる水槽の壁が平面形状でほぼ直角に形成された部分や、水路の壁体の曲折部分等、内圧が作用する壁が角度をもって連続する部分がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、壁状又は版状となったコンクリートの構造部分が角度をもって連続する部分を、繊維を束ねて帯状とした補強ベルトを用いて有効に補強する方法及び補強構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 壁状又は版状となったコンクリートの第1の構造部分と、壁状又は版状となったコンクリートの第2の構造部分とが、角度をもって連続する部分を補強するコンクリート構造物の補強方法であって、 180度より小さい角度で前記第1の構造部分の表面と前記第2の構造部分の表面とが隣接する内側表面の境界線に沿って所定間隔の複数の位置に、前記第1の構造部分の表面に連続して前記第2の構造部分を貫通する第1の孔群を形成する工程と、 前記第2の構造部分の表面に連続して前記第1の構造部分を貫通する第2の孔群を、前記境界線に沿って所定の間隔で複数の位置に形成する工程と、 連続する繊維を束ねて帯状とした補強ベルトを、前記第1の構造部分の内側の表面に沿って前記第1の孔群に含まれる孔に挿通し、前記第2の構造部分の外側から前記第1の構造部分の外側に向けての隅角部に巻き回し、前記第1の構造部分の外側から前記第2の孔群に含まれる孔に挿通する工程と、 前記補強ベルトの両端部を、前記第1の構造部分の内側の表面及び前記第2の構造部分の内側の表面に貼り付ける工程と、を含むコンクリート構造物の補強方法を提供する。
この補強方法では、第1の構造部分と第2の構造部分とのそれぞれについて、一連の補強ベルトが双方の構造部分の内側の表面が連続する境界線を横切ってそれぞれの表面に沿った方向に貼り付けられる。したがって、第1の構造部分及び第2の構造部分の内側の表面付近に生じる引張応力度に対して有効に補強することができる。また、補強ベルトは第1の構造部分及び第2の構造部分の内側の表面で充分な長さの定着長を確保して貼り付けることができ、切削した穴内で定着する構造に比べて効率よく確実に補強ベルトを定着することができる。
請求項2に係る発明は、 請求項1に記載のコンクリート構造物の補強方法において、 前記補強ベルトを前記第1の孔群に含まれる一の孔に挿通するときに、複数枚の補強ベルトを重ねて挿通し、 該複数枚の補強ベルトは、該一の孔を貫通して第2の構造部分の外側の面で、前記境界線の方向に二つに振り分け、該一の孔の両側で隣接する第2の孔群に含まれる2つの孔にそれぞれ挿通するものとする。
この補強方法では、補強ベルトに作用する引張力を、該補強ベルトを隅角部に巻き回す方向の両側に振り分けて作用させることができ、補強効果が偏るのを抑制することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の補強方法において、 前記補強ベルトを前記第1の構造部分の内側の表面及び第2の構造部分の内側の表面に貼り付けるときには、該補強ベルトに張力を導入した状態とするものである。
この補強方法では、貼り付けるときに導入されている引張力によってコンクリートにプレストレスが導入され、ひび割れを防止すること又はひび割れの拡大を有効に防止することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載のコンクリート構造物の補強方法において、 前記補強ベルトを前記第1の構造部分の内側の表面及び第2の構造部分の表面に貼り付けた後、少なくとも2方向の繊維が配列された補強シートを前記補強ベルトに重ね、該補強ベルトを貼り付けた位置の周辺部に及ぶように貼り付けるものとする。
この補強方法では、補強ベルトから補強シートを介して壁状又は版状の第1の構造部分又は第2の構造部分に分散して引張力を伝達することができ、補強ベルトを貼り付けた部分の応力の集中を低減することができる。
請求項5に係る発明は、 壁状又は版状となったコンクリートの第1の構造部分と壁状又は版状となったコンクリートの第2の構造部分とが角度をもって連続する部分を補強するコンクリート構造物の補強構造であって、 連続する繊維を束ねて帯状とした補強ベルトが、2つの構造部分の表面が180度より小さい角度で隣接する内側で前記第1の構造部分の表面に貼り付けられ、 該補強ベルトが前記第1の構造部分の内側の表面に沿った方向で前記第2の構造部分を貫通する第1の孔に挿通され、 該補強ベルトが第2の構造部分の外側から第1の構造部分の外側に向けて隅角部を越えて巻き回されており、 前記第2の構造部分の内側の表面に沿った方向に前記第1の構造部分を貫通する第2の孔に前記補強ベルトが挿通されて前記第2の構造部分の内側の表面に貼り付けられているコンクリート構造物の補強構造を提供する。
この補強方法では、第1の構造部分と第2の構造部分とのそれぞれについて、これらの構造部分が連続する部分で内側の表面に補強ベルトが貼り付けられており、第1の構造部分及び第2の構造部分の内側に引張応力度が生じる方向の曲げモーメントに対して有効に補強される。また、一連の補強ベルトが第1の構造部分及び第2の構造部分の内側の表面で充分な長さの定着長を確保して貼り付けられており、補強ベルトがコンクリートの構造部分に確実に定着される。
以上説明したように、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法及び補強構造では、壁状又は版状となったコンクリートの構造部分が角度をもって連続する部分を、繊維を束ねて帯状とした補強ベルトを用いて有効に補強することができる。そして、補強ベルトを確実にコンクリート構造物に定着することができる。
本発明に係るコンクリート構造物の補強方法によって補強することができる橋梁及びその側縁部に設けられた壁高欄の断面図である。 本発明の一実施形態であって、図1に示す橋梁のコンクリート床版と壁高欄との接合部分の補強構造を示す概略斜視図である。 図2に示す補強構造における補強ベルトの配置を示す概略正面図、概略断面図及び概略背面図である。 図2に示す補強構造における補強ベルトの配置を示す概略平面図、概略断面図及び概略底面図である。 図2に示す補強構造における補強ベルトの基本的な配置を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態であって、補強ベルトに重ねて補強シートを貼着した例を示す概略正面図である。 本発明の実施の形態であって、壁高欄と床版との接合部の内側に地覆があるときの補強構造を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明のコンクリート構造の補強方法及び補強構造を適用することができるコンクリート橋梁の断面図である。
この橋梁は、複数のコンクリートの桁1とコンクリートの床版2とを備えるものであり、コンクリートの床版2が両側部で張り出した先端に、この橋梁の軸線方向に沿って壁高欄3が設けられている。壁高欄3は鉄筋コンクリート構造となっており、床版2の先端部上に支持されるとともに、床版2から連続する鉄筋が配置され、下端部の曲げモーメントに抵抗するものとなっている。
このような壁高欄3に遮音壁等が取り付けられると、大きな風荷重等が作用する。また、橋梁上を走行する車両が衝突したときに、車両が橋梁から転落しないように防護する必要がある。以下に説明する本発明の実施の形態は、上記壁高欄3の内側及び側方へ張り出した床版2の上側に引張応力度が生じる曲げモーメントに対して補強を行うものである。
図2は、本発明の一実施形態であるコンクリート構造物の補強構造を示す概略斜視図であり、図3はこの補強構造の正面図、断面図及び背面図である。また、図4は平面図、断面図及び底面図である。
この補強構造は、壁高欄3の内側及びこの壁高欄3と連続する床版2の上側に、繊維を束ねて帯状とした一連の補強ベルト10を貼り付けて、壁高欄3の内側及び床版2の上側に生じる引張力を負荷させるものである。
上記補強ベルト10は、多数のアラミド繊維を該補強ベルトの軸線方向に配置し、横糸を用いて束ねたものである。幅は50mmで厚さが0.5mmから1.5mm程度のものを使用している。このような補強ベルトは単層でも用いることができるものであるが、本実施の形態ではこれらを複数枚重ねて使用している。これらの補強ベルトは、一層で50KN〜150KN程度の引張力に耐え得るものである。
なお、補強ベルト10は、上記アラミド繊維を用いるものの他、炭素繊維、ガラス繊維、その他の合成繊維等を用いるものでもよく、厚さ及び幅も補強対象の状況等に応じて適宜に設定することができる。
上記コンクリートの床版2は、壁高欄3の内側の側面3aに沿った位置に上面から下面に貫通する複数の第1の孔群11が形成されており、これらの第1の孔群11は橋梁の軸線方向に沿って所定間隔で設けられている。それぞれの第1の孔11(a),11(b),11(c)・・・は、補強ベルト10を挿通することができる寸法となっており、壁高欄3の内側の側面3aに貼り付けられた補強ベルト10が、ほとんど曲折されることなく挿通される方向に形成されている。上記第1の孔群11が形成される間隔は、補強に必要な補強ベルト10の量に応じて決定されるものであるが、40cm〜80cm程度とすることができる。
一方、壁高欄3の下端部つまり壁高欄3の下面がコンクリートの床版2の上面と接合されている位置には、床版2の上面に沿った方向に第2の孔群12が形成されており、これらの第2の孔群12は、橋梁の軸線方向に沿って上記第1の孔群11と同じ間隔で設けられている。そして、それぞれの第2の孔12(a),12(b),12(c)・・・は、第1の孔群11のそれぞれが設けられた位置のほぼ中間位置に設けられている。そして、第2の孔12(a),12(b),12(c)・・・は、第1の孔11(a),11(b),11(c)・・・と同様に補強ベルト10を挿通することができる寸法で、床版2の上面に貼り付けられた補強ベルト10が、ほとんど曲折されることなく挿通される方向に形成されている。
上記補強ベルト10は、壁高欄3に貼り付けられた4枚を重ね合わせて一つの第1の孔11(a)に挿通されている。4枚の補強ベルト10は、第1の孔11(a)の入り口から壁高欄3の側面に扇状に拡がるように貼り付けられ、これらの補強ベルト10に作用する引張力が壁高欄3の広い範囲に分散して伝達されるようになっている。第1の孔11(a)に挿通された補強ベルト10は、床版2の下側でこの床版2が張り出している先端側に曲折され、床版2の下面から壁高欄3の外側面と連続する先端面2aに隅角部2bを越えて巻き回されている。そして、壁高欄3と床版2の上面との接合部に設けられた第2の孔12(a),12(b)に挿通され、貫通して床版2の上面に貼り付けられている。
図5は、上記のように配置された補強ベルト10の内、第1の孔群11の一つの孔11(a)に挿通された補強ベルト10のみを取り出して示す概略斜視図である。また、この図では重ね合わされた補強ベルト10は2枚のみを示すものである。
この図に示すように、上記のように配置された補強ベルト10は、第1の孔群11の一つの孔11(a)に複数枚を重ねて挿通され、床版2の下側で橋梁の軸線方向に2つに振り分けて床版2の先端の隅角部2bに巻き回される。そして、橋梁の軸線方向において、該補強ベルト10を挿通した一の孔11(a)の両側で隣接する第2の孔群12の二つの孔12(a),12(b)に挿通される。
このように第1の孔群11のそれぞれの孔に挿通される複数の補強ベルト10が配置されると、図2に示すように、第1の孔11(a)と隣接する他の第1の孔11(b)に挿通された4枚の補強ベルト10も同様に振り分けられ、この第1の孔11(b)の両側で隣接する二つの第2の孔12(b),12(c)に挿通される。したがって、第2の孔12(b)には4枚の補強ベルトが重ねて挿通されており、第2の孔群12のそれぞれには両側にある第1の孔群11に挿通されて振り分けられた2枚ずつの補強ベルト10が重ね合わされている。そして、床版2の表面では、壁高欄3の内面と同様に扇状に拡げて貼り付けられている。
上記補強ベルト10は、壁高欄3及びコンクリートの床版2に対して、エポキシ樹脂等の合成樹脂を主成分とする接着剤を用いて接着することができる。接着剤によって強固に接着されることにより、補強ベルト10に作用する引張力がコンクリートの壁高欄3及び床版2に伝達される。また、補強ベルト10が挿通された第1の孔群11及び第2の孔群12にも接着剤が充填されており、孔内で補強ベルト10とコンクリートとが一体に接着されるとともに、孔内に雨水等が進入するのを防ぐものとなっている。
なお、第1の孔群11及び第2の孔群12には、接着剤に代えてモルタル、樹脂モルタル等、他の充填可能な材料を充填することもできる。
次に、本発明の一実施形態であるコンクリート構造物の補強方法であって、上記補強構造を形成する工程について説明する。
壁高欄3及びコンクリートの床版2の張り出し部を補強する必要がある範囲について床版2上の舗装等を取り除き、床版2の表面を露出させる。そして、壁高欄3の内側の側面に沿った位置に床版2を上下に貫通する第1の孔群11を穿設する。これらの孔の形成は、床版2に形成されている鉄筋、PC鋼材を避けて、ドリルビットに打撃を与えることができるハンマードリル、円柱状の切削部材が回転するロータリホイール等を用いて行うことができる。
また、壁高欄3の下端部つまり床版2の上面と壁高欄3の下面とが接合さている位置には、床版2の上面に沿った方向に第2の孔群12を穿設する。それぞれの第2の孔12(a),12(b),12(c)・・・は、第1の孔群11のそれぞれ11(a),11(b),11(c)・・・が設けられた位置のほぼ中間位置に設けるものとし、これらの孔も第1の孔群11と同様に穿設することができる。
これらの孔は、補強ベルトが扁平な形状を維持したまま挿通することができる形状及び寸法とするのが望ましい。
第1の孔群11及び第2の孔群12が形成された後、壁高欄3及び床版2の補強ベルト10を貼り付ける位置に、下地材として含浸性のある合成樹脂等を塗布するのが望ましい。これにより、補強ベルト10の壁高欄3及び床版2に対する接着性を向上させることができる。
その後、補強ベルト10を配置する。補強ベルト10は複数枚を重ね合わせて第1の孔群11に挿通し、床版2の下側から床版2の先端の隅角部2b及び床版の先端面2aに巻き回し、第2の孔群12に挿通する。第1の孔11(a)に挿通した複数の補強ベルト10は、床版2の下側で橋梁の軸線方向に振り分け、第1の孔11(a)の両側にある二つの第2の孔12(a),12(b)に挿通する。また、第1の孔11(a)と所定間隔で設けられた他の第1の孔11(b)にも同様に補強ベルト10を挿通し、隅角部2bに巻き回して、この第1の孔11(b)と隣り合う二つの第2の孔12(b),12(c)に振り分けて挿通する。このとき第2の孔12(b)には既に第1の孔11(a)に挿通して先に振り分けられた補強ベルトが挿通されており,これらに重ねて挿通する。このようにして、補強ベルト10を配置する工程を第1の孔毎に行い、補強が必要な範囲について補強ベルトを配置する。
なお、上記補強ベルトの配置は、第2の孔群12に複数の補強ベルト10を重ねて挿通し、床版2の先端面2aで橋梁の軸線方向に振り分けて床版2の下側に巻き回し、両側に隣接する第1の孔群11に挿通するものであってもよい。
第1の孔群11及び第2の孔群12に挿通された補強ベルト10は、第1の孔11(a),11(b),11(c)・・・の上側の開口から先端まで及び第2の孔12(a),12(b),12(c)・・・の内側の開口から先端までを壁高欄3の内側の面又は床版2の上面に沿って扇状に配置する。そして、補強ベルト10を接着剤で壁高欄3及び床版2に固定する。このとき、補強ベルト10に引張力を導入しておくのが望ましい。引張力の導入は、例えば壁高欄3及び床版2上に鋼枠(図示しない)を固定し、この鋼枠にジャッキ等の反力を作用させて補強ベルトに引張力を導入することができる。
補強ベルト10の接着は、液状で時間の経過によって硬化するエポキシ樹脂等の接着剤を用い、補強ベルト10の繊維間に含浸させて壁高欄3及び床版2に接着する。接着剤が硬化した後にジャッキ等による牽引力を解放すると、補強ベルト10の引張力が壁高欄3又は床版2のコンクリートに伝達され、コンクリートに圧縮力が導入される。
補強ベルト10が接着された壁高欄3又は床版2の上には、図6に示すように接着されている補強ベルト10を覆うように補強シート13を貼り付けることができる。この補強シート13は、ほぼ90°の角度で互いに交叉する2方向に補強繊維を配置してシート状としたものである。そして、補強繊維の方向が、壁高欄3と床版2とが接合される境界線に対して45°に近い角度で傾斜した方向となるように貼り付けるのが望ましい。これにより、補強ベルト10の引張力を広い範囲に分散して壁高欄3又は床版2のコンクリートに伝達される。
上記補強ベルト10の貼着による補強が完了すると舗装等を復元し、橋梁を供用することができる。
なお、壁高欄の下端部における内側で床版上に地覆が設けられ、容易には除去することができないときには、図7に示すように、壁高欄23の内側の側面に沿って地覆24及び床版22に連続した第1の孔群31を形成し、さらに床版の上面22aに沿って地覆24及び壁高欄23の床版22との接合部に連続する第2の孔群32を形成することができる。このように第1の孔群と第2の孔群とが形成されたときにも同様に補強ベルト10を配置して壁高欄23と張り出した床版22の先端部を補強することができる。
以上に説明した実施の形態は、橋梁の側部に設けられた壁高欄と側方に張り出した床版との接合部を補強するものであるが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、壁状又は版状のコンクリート部材が角度を設けて接合された部分の補強に適用することができる。さらに、補強ベルトの寸法、重ね合わせる数、貼り付ける範囲等は補強の対象、補強の目的等に応じて適宜に設定して実施することができる。また、補強ベルトを配置する形態も、一つの第1の孔から補強ベルトを振り分けて二つの第2の孔に挿通するものに限定されるものではなく、一つの第1の孔から一つの第2の孔に挿通するように巻き回すこともできる。補強ベルトを壁状又は版状のコンクリート部材に貼り付ける形態は、図2に示すように扇状に拡げて貼り付けるものに限らず、複数枚のベルトを重ねて貼り付けるものであってもよい。また、複数の補強ベルトを重ね合わせて使用するものに限らず、単層で用いることもできる。
1:コンクリートの桁, 2:床版, 2a:床版の先端面, 2b:床版の先端の隅角部, 3:壁高欄,
10:補強ベルト, 11:第1の孔群, 12:第2の孔群, 13:補強シート,
22:床版, 23:壁高欄, 24:地覆,
31:第1の孔群, 32:第2の孔群

Claims (5)

  1. 壁状又は版状となったコンクリートの第1の構造部分と、壁状又は版状となったコンクリートの第2の構造部分とが、角度をもって連続する部分を補強するコンクリート構造物の補強方法であって、
    180度より小さい角度で前記第1の構造部分の表面と前記第2の構造部分の表面とが隣接する内側表面の境界線に沿って所定間隔の複数の位置に、前記第1の構造部分の表面に連続して前記第2の構造部分を貫通する第1の孔群を形成する工程と、
    前記第2の構造部分の表面に連続して前記第1の構造部分を貫通する第2の孔群を、前記境界線に沿って所定の間隔で複数の位置に形成する工程と、
    連続する繊維を束ねて帯状とした補強ベルトを、前記第1の構造部分の内側の表面に沿って前記第1の孔群に含まれる孔に挿通し、前記第2の構造部分の外側から前記第1の構造部分の外側に向けての隅角部に巻き回し、前記第1の構造部分の外側から前記第2の孔群に含まれる孔に挿通する工程と、
    前記補強ベルトの両端部を、前記第1の構造部分の内側の表面及び前記第2の構造部分の内側の表面に貼り付ける工程と、を含むことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。
  2. 前記補強ベルトを前記第1の孔群に含まれる一の孔に挿通するときに、複数枚の補強ベルトを重ねて挿通し、
    該複数枚の補強ベルトは、該一の孔を貫通して第2の構造部分の外側の面で、前記境界線の方向に二つに振り分け、該一の孔の両側で隣接する第2の孔群に含まれる2つの孔にそれぞれ挿通することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  3. 前記補強ベルトを前記第1の構造部分の内側の表面及び第2の構造部分の内側の表面に貼り付けるときには、該補強ベルトに張力を導入した状態とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  4. 前記補強ベルトを前記第1の構造部分の内側の表面及び第2の構造部分の表面に貼り付けた後、少なくとも2方向の繊維が配列された補強シートを前記補強ベルトに重ね、該補強ベルトを貼り付けた位置の周辺部に及ぶように貼り付けることを特徴とする請求項1,請求項2又は請求項3に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  5. 壁状又は版状となったコンクリートの第1の構造部分と壁状又は版状となったコンクリートの第2の構造部分とが角度をもって連続する部分を補強するコンクリート構造物の補強構造であって、
    連続する繊維を束ねて帯状とした補強ベルトが、2つの構造部分の表面が180度より小さい角度で隣接する内側で前記第1の構造部分の表面に貼り付けられ、
    該補強ベルトが前記第1の構造部分の内側の表面に沿った方向で前記第2の構造部分を貫通する第1の孔に挿通され、
    該補強ベルトが第2の構造部分の外側から第1の構造部分の外側に向けて隅角部を越えて巻き回されており、
    前記第2の構造部分の内側の表面に沿った方向に前記第1の構造部分を貫通する第2の孔に前記補強ベルトが挿通されて前記第2の構造部分の内側の表面に貼り付けられていることを特徴とするコンクリート構造物の補強構造。
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