JP3870364B2 - コンクリート部材の補強構造および補強工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、梁の上面側に床が一体に接合されているコンクリート部材を対象としてそのせん断補強を図るための補強構造および補強工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等からなる柱、梁、橋脚、煙突等のコンクリート部材のせん断補強を図る方法の一つとして、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維材料からなる補強シートを、コンクリート部材の表面に、その周方向に巻き付けて配設するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のコンクリート部材の補強構造および補強工法には、以下のような問題が存在する。
すなわち、柱や梁が、梁、壁、スラブ等に一体化されている場合には、そのままでは補強シートを柱や梁等の全周に巻き付けることができない。このため、図10に示すように、柱(あるいは梁)1に接合されている壁(あるいは梁、床等)2にスリット3を形成し、このスリット3を通して補強シート4を柱1の全周に巻き付けるようにすることが考えられる。
あるいは、図11に示すように、束状あるいは帯状等とした定着用アンカー5を、壁2に形成した貫通孔6に通し、この定着用アンカー5を介して、壁2の一方の側と他方の側の補強シート7A、7Bを一体に接続する構成も考えられる。なお、図10または図11に示したように、スリット3,貫通孔6内には、補強シート4,定着用アンカー5を通した後に、モルタルや樹脂8等を充填している。
【0004】
ところが、図10または図11に示したような構成では、可燃物である補強シート4、定着用アンカー5が、スリット3,貫通孔6にモルタルや樹脂8を充填しているとはいえ、壁2の両側に貫通している。このため、壁2の少なくとも一面側に露出している補強シート4,定着用アンカー5および補強シート7Bを、モルタル等の不燃性材料を塗布することによって形成した被覆部9で覆うことによって、防火性能を高める必要がある。
しかし、このようにすると、この被覆部9を形成するための不燃性材料の塗布に手間とコストがかかるだけでなく、被覆部9が突出することになるため、仕上げ用パネル等の仕上げ材を取り付ける場合にはブラケット等によるクリアランスの確保が必要となり、仕上げ寸法が大きくなるという問題が発生する。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、有効な補強効果を得ながらも、十分な防火性能を有したコンクリート部材の補強構造および補強工法を、最小限の手間とコストで提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、梁の上面側に床が一体に接合されているコンクリート部材に対するせん断補強のための補強構造であって、梁上部の床面に凹部を形成するとともに、該凹部から梁の側面上部に達する貫通孔を形成し、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等、複数本の強化繊維がその長さ方向の一部で一体に束ねられてなる定着用アンカーの少なくとも前記束ねられた部分が前記凹部内または前記貫通孔内に配置され、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維からなるシート状の補強材が、梁の両側面および下面に沿わせて配設されて接着されるとともに、少なくともその端部が前記定着用アンカーの束ねられていない部分に重ねて接合されることによって、該補強材が前記定着用アンカーを介して前記梁の周囲に定着された構成とされ、前記定着用アンカーが配置された凹部内および貫通孔内には硬化性充填材が充填されていることを特徴としている。
【0007】
このようにして、定着用アンカーをコンクリート部材の表面に形成した凹部内および貫通孔内に配置し、さらに凹部および貫通孔内に硬化性充填材を充填することによって、定着用アンカーが露出することもなく、またコンクリート部材の表面に突出することもない。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のコンクリート部材の補強構造であって、前記定着用アンカーの前記束ねた部分には、前記硬化性充填材による前記凹部または貫通孔に対する定着強度を高めるための凸部またはこぶが設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に係る発明は、梁の上面側に床が一体に接合されているコンクリート部材に対するせん断補強のための補強工法であって、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維からなるシート状の補強材を梁に沿わせて配設して接着するとともに、その端部を、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等、複数本の強化繊維からなる定着用アンカーの端部に重ねて接合することによって定着させる構成とし、前記定着用アンカーを配設するに際しては、梁上部の床面に凹部を形成するとともに、該凹部から梁の側面上部に達する貫通孔を形成して、それら凹部内および貫通孔内に前記定着用アンカーの一部を位置させた後、前記凹部内および貫通孔内に硬化性充填材を充填することによって前記定着用アンカーの一部を前記凹部内および貫通孔内に埋め込むことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンクリート部材の補強構造および補強工法の実施の形態の一例を、図1ないし図9を参照して説明する。以下の実施の形態は、上部に床が一体に接合された梁を対象として本発明に係るコンクリート部材の補強構造および補強工法を適用したものである。
【0012】
図1に示すものは、鉄筋コンクリート造,鉄骨鉄筋コンクリート造等からなる構造物の一部であり、この図において、符号10は梁(コンクリート部材)、11は梁10の上面側において接合された床(他のコンクリート部材)、をそれぞれ示している。
【0013】
このような梁10には、せん断補強を図るため、補強シート(補強材)C1が配設されている。補強シートC1は、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維材料からなり、梁10の周方向に対して補強効果が得られるよう、その繊維方向(クロス状である場合にはその織り方向)が設定されている。
【0014】
補強シートC1は、梁10に一体に接合されている床11の下方において、梁10の下面および両側面に沿って巻き付けられるようにして接着されており、その両端部は、梁10と床11との接合部近傍において、定着用アンカーD1によって定着されている。
【0015】
図2に示すように、定着用アンカーD1は、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の多数本の強化繊維fを、例えばその中央部の束部12で接着剤、樹脂等で一体に束ねたもので、その両端部において強化繊維fは束ねられていない。
【0016】
図1に示したように、定着用アンカーD1は、梁10の上面側に、その軸線と直交して水平方向に延在するよう形成された溝(凹部)13内に、束部12とその両側の所定長の部分が位置するよう配設されている。そして、溝13内には、モルタル等の硬化性充填材14が充填され、これによって定着用アンカーD1が梁10に一体に定着された構成となっている。
【0017】
また、梁10の両側において床11を貫通するよう貫通孔15が形成されており、定着用アンカーD1の両端部の束ねられていない部分は、貫通孔15を通して床11の反対側(すなわち下側)に導かれている。そして、貫通孔15内には樹脂16等が注入されて埋められている。
【0018】
このようにして定着された定着用アンカーD1の両端部の強化繊維fは、床11の下方において、梁10の表面に貼られた補強シートC1に沿わせて広げられ、これらは接着剤によって接着されている。
【0019】
このようにして、梁10の周方向に連続する補強シートC1は、その両端部が定着用アンカーD1を介して梁10に定着され、定着用アンカーD1と補強シートC1は、梁10の全周に巻き付けられた形態となっている。
【0020】
このような梁10の補強構造とするには、まず、梁10の上面側に溝13を形成した後、床11に貫通孔15をあける。
そして、定着用アンカーD1を溝13内にセットし、その両端部を貫通孔15,15から床11の下方に通し、床11の下面側において梁10に貼り付けた補強シートC1に接着する。その後、貫通孔15内に充填材16を注入してこれを埋め、さらに溝13を硬化性充填材14で埋めればよい。
【0021】
上述したように、梁10の補強構造および補強工法では、梁10の周方向に対して補強効果を有する補強シートC1が、その両端部を梁10に定着された定着用アンカーD1に接着されることによって定着された構成となっている。このようにして、補強シートC1を定着用アンカーD1を介して定着させることによって、その両端部を確実に定着させることができ、端部の剥がれ等の発生を防止して、しかもこれら補強シートC1と定着用アンカーD1によって梁10の全周が囲まれるため、梁10のせん断に対する補強効果を確実に発揮することが可能となる。
【0022】
そして、定着用アンカーD1は梁10の上面側に形成された溝13内に収められているため、梁10の上面に何ら突起物がなく、その上に仕上げ材等を配設するにしても、梁10の仕上げ寸法が大きくなって床高さが高くなることもなく、またその施工にも何ら余計な手間が掛かることもない。しかも溝13は硬化性充填材14によって埋められており、可燃物である定着用アンカーD1が床11の両面側に露出することがなく、したがって防火性能を高めることができる。
【0023】
また、その施工に際しても、定着用アンカーD1を通すための溝13を形成し、貫通孔15をあけるだけでよく、通常のアンカー等に比較してその径も小さくてすむので、騒音や振動の発生を最小限に抑えることができ、既存の建物等への適用も容易に行うことができる。
【0024】
さらに、補強シートC1や定着用アンカーD1は軽量であることから、施工時の取り扱いも容易であり、作業者の負担を軽減するとともに、クレーン等が不要であることから、既設の建物の内部等においても工事を円滑に進行させることができる。
【0025】
ところで、上記のようにして定着させた定着用アンカーD1の引き抜き試験を行うには、図3(a)に示すように、定着用アンカーD1をコンクリートZに形成した孔H内に挿入し、ここに定着用アンカーD1の定着に用いる樹脂J等を注入する。そして、図3(b)に示すように、定着用アンカーD1をコンクリートZの表面にセットしたパイプP内に通し、パイプP内には膨張性セメント等を注入し、定着用アンカーD1とパイプPとを一体化する。そして、コンクリートZに反力台Bをセットし、センターホール型等のジャッキXを反力台Bに設置する。そして、パイプPの先端部に形成されたネジ部にナットNを螺着させ、この状態でジャッキXを駆動源Gで伸ばし、定着用アンカーD1の引き抜き試験を行うようにする。
このようにすれば、定着用アンカーD1自体に傷を付けることなく引き抜き試験を行うことが可能である。
【0026】
なお、上記実施の形態において、定着用アンカーD1の両端部に補強シートC1を定着させる構成としたが、これに代えて、図4に示すように、梁10の上面側にも補強シート(補強材)C2を配し、これら補強シートC1,C2を、定着用アンカーD2を介して一体化する構成とすることも可能である。このような場合、溝13(図1参照)に代えて、梁10の軸線方向に連続する凹部17を形成し、この凹部17内に補強シートC2を配設し、さらに凹部17を硬化性充填材14で埋めるようにする。また、定着用アンカーD2は、中央部の束部12’を貫通孔15内に位置させ、両端部の束ねられていない部分を広げて補強シートC1,C2に接着して定着させる構成とする。
【0027】
上記図4に示した場合以外にも、溝13ではなく凹部17を形成する構成としても良い。
【0028】
さらに、上記実施の形態では、補強シートC1と定着用アンカーD1とで梁10の全周を囲む構成としたが、例えば図5に示すような定着用アンカーD1’を2本一組で用い、溝13の両端部に定着用アンカーD1’をそれぞれ配し、その束部12を溝13(図1参照)内に定着させ、束ねられていない部分を上記定着用アンカーD1(図1参照)と同様に貫通孔15から下方に導く構成とすることも可能である。また、このような場合、定着用アンカーD1’を、梁10の上面側において、梁10の両側の床11上に溝を形成し、この溝に定着させることも可能である。
【0029】
また、定着用アンカーD1の両端部は束ねられていない状態となっているが、図6に示すように、施工時に強化繊維fが引っかかったり折れたりするのを防止するため、セロハン21等を巻き付けるようにしても良い。
【0030】
定着用アンカーD1を、その中央部に束部12を設け、多数本の強化繊維fを束ねる構成としたが、その断面形状は、図7に示すように、円形のもののほか、矩形、三角形、楕円形、長円形、C字型、十字型、あるいは多角形、不整形等、いかなるものであっても良い。
【0031】
さらに、図8(a)〜(d)に示すように、定着用アンカーD1の定着をより確実とするため、束部12に凸部22を設けたり、こぶ23を設けたりしても良い。もちろん、この凸部22やこぶ23の形状や位置、数等についても何ら限定するものではない。また、図8(e)に示すように、束部12の端部の外周面にネジ部24を形成し、ここにナット等を螺着させるようにしても良い。
【0032】
これ以外にも、定着用アンカーD1については、束部12を接着剤や樹脂等で束ねる構成としたが、これに代えて、図9に示すように、筒状あるいはリング状の留め具25,26,27等を用いても良い。このような留め具25,26,27を用いれば、定着用アンカーD1の定着強度を高めることが可能である。しかも、これら留め具25,26,27はその装着を容易に行うことができる。もちろん、留め具の形状はこれ以外のものであっても良い。
【0033】
加えて、補強シートC1、定着用アンカーD1を定着させるために接着剤等を用いる構成としたが、その材料については、所要の定着力を発揮できるのであればいかなるものを用いても良く、有機材料,無機材料等を何ら問うものではない。また、補強シートC1を定着用アンカーD1に定着させるときに、接着ではなく他の接合方法を採用することも可能である。
【0034】
さらに、補強に用いる補強シートC1、定着用アンカーD1についても、前記した炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等に限らず、他の材料を採用することも可能であり、補強シートC1については、繊維方向(クロスの場合には織り方向)等も、所要の方向に補強効果を発揮できるのであれば、縦・横・斜め等を問うものではない。加えて、重ねる枚数についても限定するものではない。
【0035】
さらに加えて、補強シートC1については、予めFRP(繊維強化プラスチック)として用いても良い。
【0036】
また、これら補強シートC1と定着用アンカーD1とを重ねる部分では、その上下関係を限定する意図はなく、定着用アンカーD1の上に補強シートC1を貼り付ける構成としても良い。さらには、これらを重ねた部分に、さらに補強用のシートあるいは鋼板等を重ねて配設する構成としても良い。
【0037】
また、複数本の強化繊維fを、現場において接着剤や樹脂に含浸する構成も採用することができる。さらに、複数本の強化繊維fをバラバラのまま貫通孔15および溝13内に配し、貫通孔15に注入する樹脂16および溝13内に充填する硬化性充填材14によって、これら複数本の強化繊維fをその長さ方向の一部において一体に束ね、梁10に定着させる構成としても良い。このようにすれば、複数本の強化繊維fを束ねた定着用アンカーD1を予め製作する必要がなくなり、より低コスト化を図ることが可能となるばかりでなく、現場において適宜強化繊維fの本数や長さを変更することも容易に行え、施工を一層簡単なものとすることができる。
【0039】
それに、補強シートC1や定着用アンカーD1が接触する梁10や貫通孔15等の縁を面取りするようにしても良い。
【0040】
また上記実施の形態においては、本発明に係るコンクリート部材の補強構造を、梁10のせん断補強を図る場合を例に挙げて用いたが、せん断補強に加えて曲げ補強を図る場合であっても良い。しかも、コンクリート部材の新設・既設を問うものではない。
【0041】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るコンクリート部材の補強構造によれば、定着用アンカーを梁上部の床面に形成した凹部内および貫通孔内に配置し、さらに凹部内および貫通孔内に硬化性充填材を充填することによって、定着用アンカーが露出することもなく、またコンクリート部材の表面に突出することがない。したがって、コンクリート部材の表面に仕上げ材等を配設するにしても、コンクリート部材の仕上げ寸法が大きくなることもなく、またその施工にも何ら余計な手間が掛かることもない。しかも凹部や貫通孔は硬化性充填材によって埋められており、定着用アンカーがコンクリート部材の表面に露出することがなく、したがって定着用アンカーが可燃性材料で形成されている場合にも防火性能を高めることができる。
また、補強材が、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維からなるシート状のものである構成となっている。このような補強材は十分な強度を有していながらも、軽量であることから施工時の取り扱いも容易であり、作業者の負担を軽減するとともに、クレーン等の揚重機が不要であることから、既設の建物の内部等においても工事を円滑に進行させることができる。
【0043】
請求項2に係るコンクリート部材の補強構造によれば、定着用アンカーの束ねた部分には、硬化性充填材による凹部または貫通孔に対する定着強度を高めるための凸部またはこぶが設けられた構成となっている。
これにより、定着用アンカーの定着強度が、凸部またはこぶによってより高められる。
【0044】
請求項3に係るコンクリート部材の補強工法によれば、梁上部の床面に凹部および貫通孔を形成しておき、凹部内および貫通孔内に定着用アンカーの一部を位置させた後、凹部内および貫通孔に硬化性充填材を充填して該凹部および貫通孔を埋め戻す構成となっている。これにより、請求項1に係るコンクリート部材の補強構造を実現することができ、コンクリート部材の仕上げ寸法が大きくなることも、その施工にも何ら余計な手間が掛かることもない。しかも定着用アンカーが可燃性材料で形成されている場合にも防火性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコンクリート部材の補強構造および補強工法の一例を示す立断面図および側断面図である。
【図2】 前記補強構造および補強工法に用いる定着用アンカーの一例を示す図であって、前記定着用アンカーの外観図である。
【図3】 前記定着用アンカーの引き抜き試験方法を示す図である。
【図4】 本発明に係るコンクリート部材の補強構造および補強工法の他の一例を示す立断面図である。
【図5】 前記定着用アンカーの他の一例を示す外観図である。
【図6】 同定着用アンカーのさらに他の一例を示す外観図である。
【図7】 同定着用アンカーの束部の他の例を示す外観図である。
【図8】 同定着用アンカーの束部のさらに他の例を示す外観図である。
【図9】 同定着用アンカーの束部のさらに他の例を示す外観図である。
【図10】 従来のコンクリート部材の補強構造および補強工法の一例を示す立断面図である。
【図11】 従来のコンクリート部材の補強構造および補強工法の他の一例を示す立断面図である。
【符号の説明】
10 梁(コンクリート部材)
11 梁(他のコンクリート部材)
13 溝(凹部)
14 硬化性充填材
15 貫通孔(孔)
C1,C2 補強シート(補強材)
D1,D1’,D2 定着用アンカー
f 強化繊維
Claims (3)
- 梁の上面側に床が一体に接合されているコンクリート部材に対するせん断補強のための補強構造であって、
梁上部の床面に凹部を形成するとともに、該凹部から梁の側面上部に達する貫通孔を形成し、
炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等、複数本の強化繊維がその長さ方向の一部で一体に束ねられてなる定着用アンカーの少なくとも前記束ねられた部分が前記凹部内または前記貫通孔内に配置され、
炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維からなるシート状の補強材が、梁の両側面および下面に沿わせて配設されて接着されるとともに、少なくともその端部が前記定着用アンカーの束ねられていない部分に重ねて接合されることによって、該補強材が前記定着用アンカーを介して前記梁の周囲に定着された構成とされ、
前記定着用アンカーが配置された凹部内および貫通孔内には硬化性充填材が充填されていることを特徴とするコンクリート部材の補強構造。 - 請求項1記載のコンクリート部材の補強構造であって、
前記定着用アンカーの前記束ねた部分には、前記硬化性充填材による前記凹部または貫通孔に対する定着強度を高めるための凸部またはこぶが設けられていることを特徴とするコンクリート部材の補強構造。 - 梁の上面側に床が一体に接合されているコンクリート部材に対するせん断補強のための補強工法であって、
炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等の強化繊維からなるシート状の補強材を梁に沿わせて配設して接着するとともに、その端部を、炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等、複数本の強化繊維からなる定着用アンカーの端部に重ねて接合することによって定着させる構成とし、
前記定着用アンカーを配設するに際しては、梁上部の床面に凹部を形成するとともに、該凹部から梁の側面上部に達する貫通孔を形成して、それら凹部内および貫通孔内に前記定着用アンカーの一部を位置させた後、前記凹部内および貫通孔内に硬化性充填材を充填することによって前記定着用アンカーの一部を前記凹部内および貫通孔内に埋め込むことを特徴とするコンクリート部材の補強工法。
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JP2000027446A (ja) | 2000-01-25 |
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