JP6999484B2 - プレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法及びその方法で使用される引張力伝達部材 - Google Patents

プレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法及びその方法で使用される引張力伝達部材 Download PDF

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本発明は内部に配置された緊張材の端部が端面から突出した梁部材等のプレキャストコンクリート部材を、柱部材等の支持部材の天端上に設置し、支持部材上に現場で打設される接合部コンクリートに接合するプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法、及びその方法で使用される引張力伝達部材に関するものである。
PC鋼材等の緊張材が内部に配置されたプレキャストコンクリート製の梁部材を隣接する柱部材間に架設し、例えば柱部材上で対向する梁部材間の接合部に現場打ちコンクリートを打設し、梁部材と接合部にプレストレスを付与するような場合、通常は接合部コンクリートの硬化後、接合部コンクリートと梁部材に緊張材を挿通させ、緊張材を緊張することが行われる(特許文献1、2参照)。
これらの方法ではポストテンション方式で接合部コンクリートにプレストレスを導入する関係で、緊張材に張力を付与するためのジャッキを柱部材上に設置する必要があるため(特許文献の段落0011)、緊張材の緊張作業にはジャッキを支持するための架台の柱部材上への設置と回収の作業を伴い、緊張のための準備作業と後処理作業が大掛かりになる。
一方、内部に緊張材が配置されたプレキャストコンクリート部材(以下、PC部材)を端面間に距離を置き、端面から緊張材を突出させて配置すると共に、両緊張材を連結する等により互いに連係させ、緊張材に緊張力を付与した状態で、PC部材の端面間にコンクリートを打設する方法がある(特許文献3参照)。この方法ではコンクリートの強度発現後に緊張材の緊張力を解放させることによりコンクリートにPC部材の軸方向にプレストレスが導入される(段落0033)。
特許文献3の方法はプレテンション方式でのプレストレスの導入方法であるが、緊張材への緊張力付与の目的で対向するコンクリート部材間距離を拡大させる作業を必要としている。このことから、PC部材間にジャッキを設置することを必要とするため(段落0030~0032)、特許文献1、2と同様の準備作業と後処理作業が伴う。
これに対し、PC部材中に埋設され、PC部材の端面から突出し、接合部コンクリート中に配置される緊張材に緊張力を与えておいた状態で接合部コンクリートを打設し、接合部コンクリートの強度発現後、緊張材の緊張力を解放することにより接合部コンクリートにプレストレスを導入する方法がある(特許文献4参照)。
この方法ではPC部材の端面から突出した緊張材の定着端部を、緊張力の解放時にPC部材の端面(軸方向中間部)側へ移動可能に保持しておき、接合部コンクリートの強度発現後、緊張材の緊張力を解放し、定着端部をPC部材の端面側へ移動させることで、プレテンション式に接合部コンクリートにプレストレスが導入される(段落0027)。
特開平9-105173号公報(請求項1、段落0007~0018、図1~図5) 特開平10-115000号公報(請求項2、段落0006~0015、図1、図2) 特開2007-239301号公報(請求項1、段落0027~0033、図4~図9) 特開2016-194223号公報(請求項1、段落0010~0033、図1~図8)
但し、接合部コンクリートに導入されるプレストレスの方向は接合部コンクリート中に配置される緊張材の、PC部材の端面からの突出区間の長さ方向である。すなわち、プレストレスの導入区間は突出区間の先端の定着部からPC部材の端面までの距離に応じた区間であるため、突出区間はPC部材の軸方向には接合部コンクリートの中央部を横切り、接合部コンクリートの全長に亘るように配置されることが有効である(段落0021、0046)。
このために、接合部コンクリートの内部では支持部材上で対向する、または交差するPC部材の各緊張材の定着部が互いに干渉(衝突)しないよう、各PC部材内に配置される緊張材の水平方向の位置を予め調整しておく必要がある(段落0079、図13)。またPC部材の緊張材の定着部は対向する側のPC部材の端面寄りに配置されるため、いずれかの緊張材の定着部と、直交方向の緊張材を含め、他の緊張材の突出区間との鉛直方向の納まりも調整する必要がある。
本発明は上記背景より、特許文献4での接合部コンクリート内で対向するPC部材の緊張材同士の干渉を回避可能なプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法と、その方法で使用される引張力伝達部材を提案するものである。
請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法は、内部に緊張材が配置され、この緊張材の軸方向の端部が端面から突出したプレキャストコンクリート部材を、このプレキャストコンクリート部材の軸方向両端部に位置する支持部材の天端上に設置し、前記プレキャストコンクリート部材の軸方向の端面から突出した前記緊張材の定着端部を前記支持部材上に現場で打設される接合部コンクリート中に埋設する方法であり、
前記緊張材の全長の内、少なくとも前記プレキャストコンクリート部材の端面から突出した突出区間の周面と前記接合部コンクリートとの付着が切れ、前記定着端部は前記緊張材の引張力を前記接合部コンクリートに伝達する機能を有しており、
前記支持部材の天端上に、前記緊張材に生じる引張力を前記接合部コンクリート内で負担する引張力伝達部材を載置する工程と、
前記プレキャストコンクリート部材の軸方向端部を前記支持部材の天端上に載置する工程とを含み、
前記定着端部と前記引張力伝達部材を前記緊張材の引張力の作用の向きに互いに係合させた状態で前記支持部材上に前記接合部コンクリートを打設し、前記定着端部を前記接合部コンクリート中に埋設し、前記プレキャストコンクリート部材を前記接合部コンクリートに接合することを構成要件とする。
プレキャストコンクリート部材(以下、本項目中、PC部材)は主に梁部材や桁部材であるが、必ずしも水平部材とは限らない。支持部材は主に柱部材であり、杭を含む。支持部材はプレキャストコンクリート部材であるか、現場打ちコンクリート造であるか、あるいは複合(合成)構造であるかを問わない。「PC部材の軸方向両端部に位置する支持部材」とは、PC部材の軸方向両端部の位置に設置(立設)された支持部材の意味である。「接合部コンクリート」は支持部材の天端上のPC部材と支持部材との接合部に打設(充填)されるコンクリートである。
PC部材は支持部材の天端上にはPC部材の軸方向に対向して設置される場合(部位)と、対向せずに設置される場合(部位)がある。支持部材が柱部材の場合、隅柱であれば、支持部材上には二方向のPC部材が対向せずに設置され、側柱であれば、支持部材上には一方向のPC部材が対向して設置され、他の方向のPC部材は対向せずに設置される。支持部材が一方向の壁体を構成するような場合で、壁体の端部に配置される支持部材上には一方向のPC部材が対向せず、一方向片側にのみ設置されることになる。いずれの場合にもPC部材の緊張材からの引張力は支持部材上に載置され、接合部コンクリート中に埋設される引張力伝達部材に伝達されるため、PC部材は必ずしも支持部材上で対向して設置される必要はない。
請求項1における「内部に緊張材が配置され」とは、図8に示すように緊張材3がPC部材1内でPC部材1の軸方向に沿い、懸垂曲線状に、または直線状等に配置されることである。「緊張材の全長の内、少なくともPC部材の端面から突出した突出区間の周面と接合部コンクリートとの付着が切れ」とは、緊張材3のPC部材1内に配置される区間では緊張材3の周面とPC部材1のコンクリートとの付着が切れる場合(請求項3)、付着が切れない場合があることを言う。
「突出区間31」は図1に示すようにPC部材1の端面から突出し、接合部コンクリート4中に埋設される区間を指し、「定着端部32」を含む。緊張材3には主にPC鋼材が使用されるが、繊維強化プラスチック等、張力の導入が可能な材料も使用される。PC鋼材の場合で、緊張材3の全長の付着が切れる場合、アンボンドPC鋼材、プレグラウトPC鋼材が使用される。
「緊張材の軸方向の端部が端面から突出したPC部材」とは、緊張材3の端部が接合部コンクリート4中に埋設され、接合部コンクリート4の強度発現と共に定着されるよう、緊張材3の端部がPC部材1の軸方向の端面から突出した状態でPC部材1が製作されることを言う。緊張材3の端部は請求項1での定着端部32である。緊張材3の少なくともPC部材1の端面から突出した突出区間31の周面は「コンクリートに付着しない」が、「定着端部32」は接合部コンクリート4中に埋設されることによりそのまま定着されるため、実質的には突出区間31の内、定着端部32を除いた区間の周面が接合部コンクリート4には付着しない状態にある。突出区間31の周面がコンクリートに付着しない理由は、接合部コンクリート4の強度発現(硬化)後にも緊張材3の突出区間31を含む区間に緊張力を導入できる状態にするためである。突出区間31にのみ緊張力を導入することもある。
「定着端部32」は接合部コンクリート4中に定着されるため、定着(アンカー)プレートや圧着グリップ等の定着体が接続された部分(区間)であり、定着体の形態は緊張材3の種類に応じて決められる。請求項1における「定着端部は引張力を接合部コンクリートに伝達する機能を有し」とは、定着体が接続された部分(区間)のいずれかの部分で引張力伝達部材5のいずれかの部分に緊張材3の引張力の作用の向きに係合したときに、緊張材3の引張力(緊張力を含む)を引張力伝達部材5に伝達する能力を持つことを言う。引張力伝達部材5には定着端部32が直接、係合する場合と、定着端部32に一体的に形成される、または図2に示すように固定状態で接続される伝達材33が係合する場合がある。引張力伝達部材5がPC部材1の軸方向を向く引張材52と引張材52の軸方向両側に定着材53を有する場合(請求項5)、定着端部32(伝達材33)は定着材53に係合する。
「緊張材の引張力」はPC部材1に予め、または接合部コンクリート4のコンクリート打設前にプレストレスを導入する場合の緊張力の他、例えば平常時に緊張材3に緊張力が導入されていない場合で、地震の作用時にPC部材1と接合部コンクリート4を分離(肌別れ)させようとする水平力が作用したときに緊張材3に生じる引張力も含む。
定着端部32(伝達材33)は支持部材2の天端上に載置された引張力伝達部材5に、接合部コンクリート4の打設前に緊張材3の引張力の作用の向きに係合し、緊張材3に導入されている場合の緊張力、または上記したPC部材1と接合部コンクリート4の接合後の地震時等に緊張材3に生じる引張力を引張力伝達部材5に伝達する。
PC部材1と接合部コンクリート4とは、引張力伝達部材5を支持部材2上に載置する工程と、PC部材1の軸方向端部(突出区間)を支持部材2上に載置する工程と、PC部材1の緊張材3の定着端部32を引張力伝達部材5に係合させた状態で接合部コンクリート4を打設する工程を経て接合される(請求項1)。請求項1における上記複数の「工程とを含み」とは、これら複数の工程の順序を問わない趣旨である。接合部コンクリート4の打設後、強度発現により定着端部32が接合部コンクリート4中に埋設、定着される。
接合部コンクリート4の強度発現時点では、緊張材3に緊張力が導入されている場合と導入されていない場合があり、緊張力が導入されている場合には、緊張材3の全長に導入される場合と、突出区間31にのみ導入される場合の他、PC部材1内の区間にのみ導入される場合がある。緊張材3に緊張力が導入されていない場合、緊張材3の突出区間31には上記のように地震時に引張力が生じ、この引張力が分離したPC部材1と接合コンクリート4を復元させ、密着させる働きをする。請求項1では緊張材3に緊張力を導入せずに、定着端部32(伝達材33)を引張力伝達部材5(定着材53)に係合させることもある。
PC部材1内の区間にのみ導入される緊張力はPC部材1にプレストレスを付与し、緊張材3の全長に導入される緊張力の内、PC部材1内の区間に導入される緊張力もPC部材1にプレストレスを付与する。突出区間31の緊張力はPC部材1内の区間の緊張力を引張力伝達部材5に伝達し、PC部材1を接合部コンクリート4に圧着接合する働きをする。
以上のようにPC部材1と接合部コンクリート4とは、PC部材1の端面から突出した緊張材3の定着端部32と、接合部コンクリート4中に埋設される引張力伝達部材5(定着材53)との係合により緊張材3の引張力を引張力伝達部材5に圧縮力として伝達可能な状態で接合される。このため、図2に示すように定着端部32が接合部コンクリート4内を横切るように定着端部32を配置する必要がなく、定着端部32をその緊張材3が突出したPC部材1の端面に近い位置に配置すればよくなる。この結果、接合部コンクリート4内で対向する方向の、または交差する方向の緊張材3の定着端部32、32同士を干渉させる必要がなくなり、各方向の緊張材3の定着端部32、32間の水平方向の位置を調整する必要がなくなる。またいずれかの方向の緊張材3の定着端部32と、直交方向の緊張材3を含め、他の緊張材3の定着端部32との鉛直方向の納まりを調整する必要もなくなる。
加えてPC部材1の緊張材3と接合部コンクリート4との、引張力を伝達可能な状態での接合、あるいは定着端部32の接合部コンクリート4中での定着が緊張材3の定着端部32と引張力伝達部材5の係合のみで済むことで、例えば支持部材2上で対向するPC部材1、1の端部から突出する緊張材3、3の端部同士を専用の接続具で連結する場合より接合、あるいは連結のために要する費用が抑えられる。
突出区間31にのみ導入される場合の緊張力は例えばPC部材1の区間内の緊張材3をPC部材1のコンクリートに付着させながら、突出区間31の、PC部材1の端面、もしくはその付近に位置する部分を端面に定着させ、定着部分から先の突出区間31を緊張することにより導入される(請求項2)。請求項2における「接合部コンクリートの打設前の時点で緊張材に緊張力を導入し」とは、緊張材3への緊張力の導入の時期がPC部材1の支持部材2上への載置前であるか、載置後であるかを問わないことの意味である。突出区間31をPC部材1の端面に定着させるだけの場合、突出区間31のPC部材1端面への定着部分から先端側の定着端部32までの突出区間31には緊張力は入らない。
突出区間31にのみ緊張力を導入することは、PC部材1の端面に突出区間31のPC部材1の端面部分を定着させた状態で突出区間31を緊張し、そのまま定着端部32(伝達材33)を引張力伝達部材5(定着材53)に係合させることにより可能になる。突出区間31を含めた緊張材3の全長に緊張力を導入する場合、緊張材3のPC部材1の内部に位置する区間の周面とPC部材1との付着を切っておき、突出区間31をPC部材1の端面に(仮)定着させた状態で定着端部32(伝達材33)と引張力伝達部材5(定着材53)を係合させた後、PC部材1の端面に定着されている突出区間31の定着を解除する方法もある(請求項3)。
この場合、定着の解除の仕方としては緊張材3の全長、またはPC部材1内の区間に緊張力を導入した状態で、例えば図1-(b)、図7に示すようにPC部材1内に離脱可能に埋設される被定着材7に突出区間31のPC部材1の端面部分を仮定着させ、定着端部32(伝達材33)を引張力伝達部材5(定着材53)に係合させた後、被定着材7をPC部材1から離脱させる方法がある。この場合、被定着材7の離脱の時期が接合部コンクリートの打設前であるか、打設後であるかは問われない。突出区間31の付着は切れているから、被定着材7の離脱の時期は接合部コンクリート4の硬化(強度発現)後であることもある。
被定着材7を離脱させる方法は一切、問われない。「被定着材7の離脱」は「定着の解除」の一例であるから、「定着の解除」の方法も問われない。例えば突出区間31をPC部材1端面に定着させる定着具6と、定着具6のPC部材1側が係止し、定着具6のPC部材1側への移動を阻止する被係止材8との間に、緊張材3の緊張力を圧縮力として負担し、次第に収縮(クリープ)するような材料を被定着材7として介在させる方法もある。この方法も「定着の解除」の一例に当たる。
請求項3では定着の解除(被定着材7の離脱)の結果、突出区間31は接合部コンクリート4には付着しないことで、接合部コンクリート4の打設後にも緊張材3の緊張力に応じ、被定着材7があった分、PC部材1内に引き込まれようとする。定着端部32はPC部材1の端面側へ移動しようとする引張力を受けるため、突出区間31の緊張力が定着端部31を介して引張力伝達部材5に伝達される。定着端部32が突出区間31の移動に伴って受ける引張力分、定着端部32と引張力伝達部材5(定着材53)との間の接触圧力が増大する。
PC部材1内に位置する区間を含め、緊張材3に緊張力を導入する場合、突出区間31をPC部材1端面に定着せずに、定着端部32(伝達材33)を引張力伝達部材5(定着材53)に係合させ、緊張材3の緊張力を直接、引張力伝達部材5に伝達することもある(請求項4)。この場合、緊張材3への緊張力導入の時期は接合部コンクリート4の打設前と打設後の強度発現後がある。緊張材3への緊張力は引張力伝達部材5に係合した定着端部32の反対側の端部から導入される。定着端部32の反対側の端部はPC部材1の端面から突出する場合と図1に示すように端面寄りの上面から突出する場合がある。
接合部コンクリート4の打設前に緊張材3に緊張力を導入する場合、引張力伝達部材5がPC部材1の端面側へ移動しようとする力を受けることになるが、引張力伝達部材5をPC部材1の端面に係止させておくか、支持部材2の天端に固定しておく等、引張力伝達部材5の移動を拘束しておくことで、移動は阻止される。PC部材1の軸方向両側の接合部コンクリート4の強度発現後に緊張力を導入する場合、図1に示すように緊張材3の接合部コンクリート4側と反対側の端部をPC部材1の他方の端面寄りの上面に突出させておくことで、緊張力が導入される。
引張力伝達部材5は具体的にはPC部材1の軸方向を向く引張材52と引張材52の軸方向両側に、緊張材3の定着端部32が係合し得る定着材53を有する、複数本の引張力伝達材51を備える(請求項5)。支持部材2の天端上では、少なくとも2本の引張伝達材51、51が対になり、1本の緊張材3の突出区間31の幅方向両側に並列して配置され、2本の引張伝達材51の両定着材53、53に1本の緊張材3の定着端部32が係合する(請求項5)。定着材53は引張材52に接続される場合と、引張材52に一体的に形成される場合がある。
「係合し得る」とは、支持部材2上でPC部材1が対向して設置されず、一方向片側にのみ設置される場合に、その一方向片側のPC部材1の緊張材3の定着端部32がその側(一方側)の定着材53に係合し、他方側の定着材53には定着端部32が係合しない状態になることを含む意味である。その場合の他方側の定着材53は接合部コンクリート4中に埋設され、定着されることで、一方側の定着材53に伝達される定着端部32からの引張力を支圧力として接合部コンクリート4に伝達し、定着状態を維持するアンカーとして機能する。
この場合、引張力伝達部材5が2本の引張力伝達材51、51から構成され、2本の引張伝達材51、51の両定着材63、53に1本の緊張材3の定着端部32が係合することで、緊張材3の引張力が幅方向両側の引張力伝達材51、51に分散し、均等に負担される。この結果、1本の緊張材3の引張力が1本の引張力伝達材51に伝達される場合より定着端部32の係合状態での安定性が増すため、緊張材3に緊張力が導入された場合の緊張力の引張力伝達部材5への伝達効率も向上する。
引張力伝達部材5は支持部材2上に載置されるPC部材1の軸方向に応じ、PC部材1の軸方向を向いて少なくとも一方向を向く。支持部材2上にPC部材1、1が二方向を向いて載置される場合には引張力伝達部材5も二方向の引張力伝達材51、51から組み立てられる。引張力伝達材51に緊張材3の引張力が接合部コンクリート4の強度発現前から伝達される場合には、前記のように引張力伝達部材5が支持部材2上で移動しないよう、支持部材2に、または緊張材3が埋設されたPC部材1に拘束される。
PC部材が設置される支持部材上でPC部材の端面から突出した緊張材の定着端部を接合部コンクリート中に埋設される引張力伝達部材に引張力を伝達可能な状態に係合させ、接合部コンクリートを打設してPC部材と接合部コンクリートを接合するため、定着端部が接合部コンクリート内を横切るように定着端部を配置する必要がなく、定着端部をPC部材の端面に近い位置に配置すればよい。この結果、接合部コンクリート内で対向する方向の、または交差する方向の緊張材の定着端部同士を干渉させる必要がなくなり、各方向の緊張材の定着端部間の水平方向の位置を調整する必要がなくなる。
支持部材上に対向するPC部材の端部と引張力伝達部材を設置したときの様子を示した立面図であり、(a)は緊張材の突出区間をPC部材の端面に定着しない場合、(b)は定着した場合である。 (a)は支持部材の天端上に引張力伝達部材と対向するPC部材の端部を載置し、定着端部と引張力伝達部材を係合させたときの、接合部コンクリート打設前の様子を示した平面図、(b)は(a)のx-x線矢視図(断面図)である。 (a)は支持部材上に引張力伝達部材を先行して設置した場合の、引張力伝達部材の設置状態を示した平面図、(b)は(a)のx-x線矢視図である。 (a)は引張力伝達部材の設置後、二方向に対向するPC部材の内、各方向の一方のPC部材を設置したときの様子を示した平面図、(b)は対向する他方のPC部材を設置したときの(a)のx-x線矢視図である。 (a)は二方向に対向するPC部材を設置したときの様子を示した平面図、(b)は(a)のx-x線矢視図である。 (a)は支持部材上に二方向に対向するPC部材を先行して設置した場合の、PC部材の設置状態を示した平面図、(b)は(a)のx-x線矢視図である。 (a)は接合部コンクリートの打設前にPC部材の端面に定着されている突出区間の定着を解除する方法の一例を示した縦断面図、(b)はPC部材での(a)の位置を示した縦断面図である。 図7に示す突出区間の定着の解除のための部品を備えたPC部材と緊張材の緊張の様子を示した縦断面図である。
図1-(a)、(b)は内部に緊張材3が配置され、緊張材3の軸方向の端部が端面から突出したプレキャストコンクリート部材(以下、PC部材)1を、PC部材1の軸方向両端部の位置に設置(立設)された柱部材等の支持部材2の天端上に設置し、支持部材2上に現場で打設される接合部コンクリート4に接合する方法の施工要領を示す。PC部材1の軸方向の端面からは緊張材3が突出し、その端部の定着端部32を支持部材2の天端上に載置される引張力伝達部材5に係合させた状態で接合部コンクリート4が打設され、定着端部32を含む緊張材3の突出区間31と引張力伝達部材5が接合部コンクリート4中に埋設される。
緊張材3には緊張力が導入されることがあるため、主にPC鋼材が使用されるが、繊維強化プラスチック等、緊張力の導入が可能な材料も使用される。PC鋼材の場合、PC部材1のコンクリート、または接合部コンクリート4との付着が切れる区間にはアンボンドPC鋼材の他、図7-(a)に示す、予め緊張材3の周囲にシース34が塗布等されたプレグラウトPC鋼材が使用される。図1-(a)は緊張材3の突出区間31をPC部材1の端面に定着しない場合、(b)は図7、図8に示すように定着した場合である。
緊張材3の全長の内、少なくともPC部材1の端面から突出した突出区間31の周面と接合部コンクリート4との付着が切れる。コンクリートとの付着が切れる区間は突出区間31のみの場合と、突出区間31とPC部材1内の区間を合わせた全長の場合がある。突出区間31のみの付着が切れる場合、緊張力は突出区間31に導入される。緊張材3の全長の付着が切れる場合、基本的には緊張力は緊張材3の全長に導入されるが、図1-(b)のように突出区間31をPC部材1の端面に定着した場合には、突出区間31には緊張力を導入せずに、PC部材1内の区間にのみ緊張力を導入することもできる。
緊張材3は1本のPC部材1の軸方向両端面間に配置されるとは限らず、図1に示すように緊張材3の一方の定着端部32を端面から支持部材2上へ突出させ、他方の端部をPC部材1の上面に突出させ、上面に定着することもある。この場合、図1-(a)に示すように支持部材2上の定着端部32を引張力伝達部材5に係合させた後に、緊張材3の他方の端部側から緊張材3に緊張力を導入し、PC部材1の上面に定着することができるため、突出区間31を含む緊張材3の全長に緊張力を導入することができる。(b)に示すように突出区間31をPC部材1の端面に定着、または仮定着させておく場合には、緊張材3のPC部材1内の区間にのみ、緊張力を導入することができる。
定着端部32は緊張材3に生じる、緊張力を含む引張力を接合部コンクリート4に伝達する機能を備える。「引張力を伝達する定着端部32の機能」は、定着端部32が支持部材2の天端上に載置される引張力伝達部材5に緊張材3に生じる引張力の作用の向きに係合することで、緊張材3の引張力を引張力伝達部材5に伝達する能力のことを言う。「緊張材3に生じる引張力」は緊張材3に平常時に生じていない引張力で、地震時等にPC部材1と接合部コンクリート4との間に両者が分離しようとする力を受けたときに緊張材3に生じる引張力を言う。
PC部材1と接合部コンクリート4は以下の複数の工程を経て互いに接合される。すなわち、引張力伝達部材5を支持部材2上に載置する工程と、PC部材1の軸方向端部を支持部材2上に載置する工程と、図2に示すように緊張材3の定着端部32を引張力伝達部材5に互いに係合させた状態で接合部コンクリート4を打設する工程とを経てPC部材1と接合部コンクリート4が接合される。図2~図5中、支持部材2上の外側の鎖線は接合部コンクリート4の打設領域を示すが、PC部材1の軸方向の端面の位置でもある。図2~図5ではPC部材1を省略している。
複数の工程の順序は問われず、並行して進められることもある。図2は柱部材である支持部材2上で水平二方向に梁部材であるPC部材1、1が対向して設置される場合の支持部材2の天端上に設置された引張力伝達部材5に、PC部材1の端面から突出した緊張材3の定着端部32が係合したときの様子を示す。支持部材2上のPC部材1は一方向にのみ対向して設置される場合の他、一方向の片側にのみ設置される場合もあるが、以下では主に図2に示す接合例を説明する。
図3~図5は支持部材2の天端上に引張力伝達部材5を先行して載置した場合の施工手順例を示す。図3は支持部材2上に引張力伝達部材5を載置したときの状況を示す。
引張力伝達部材5は図3に示すようにPC部材1の軸方向を向く引張材52と引張材52の軸方向両側に、緊張材3の定着端部32が係合し得る定着材53を有する、複数本の引張力伝達材51を備える。言い換えれば、引張力伝達部材5は少なくとも2本の引張力伝達材51、51から構成され、1本の引張力伝達材51が引張材52とその両側に配置されたプレート状等の定着材53、53を有する。
引張力伝達部材5を構成する2本以上の引張力伝達材51は、PC部材1の幅方向に並列する緊張材3、3の内、1本の緊張材3単位では少なくともPC部材1の幅方向に並列する複数本の引張力伝達材51から成立する。後述のように緊張材3がPC部材1の成方向(高さ方向)にも並列して配置される場合には、引張力伝達材51はPC部材1の幅方向に並列しながら、高さ方向にも複数本、配列することもある。この他、図2~図5に示すようにPC部材1、1が支持部材2上で二方向に載置される場合には、支持部材2上で二方向に交差する複数本の引張力伝達材51から引張力伝達部材5が組み立てられることもある。
図示するように1本のPC部材1の端面から突出する緊張材3がPC部材1の成方向(高さ方向)に複数本、配置される場合には、それに対応し、引張力伝達材51も高さ方向に少なくとも緊張材3の配置本数分、複数段、配置される。図2以下では1本の緊張材3からの引張力を高さ方向にも分散させて引張力伝達部材5に伝達できるよう、1本の緊張材3に付き、その緊張材3を上下から挟み込む2本の引張力伝達材51、51を配置し、組み合わせている。
この場合、図3-(b)に示すように高さ方向に間隔を置いて配置され、平面上、重なる複数本の引張力伝達材51、51に定着材53が跨り、定着材53は高さ方向に配置される複数本の引張力伝達材51を互いに連結する働きをする。図面では特に、緊張材3を高さ方向に2本、配置していることに伴い、各緊張材3の上下に引張力伝達材51、51を配置し、平面上、重なる位置に4本の引張力伝達材51を配置している。この同一位置で重なる4本の引張力伝達材51を1個(1枚)の定着材53に挿通させ、4本の引張力伝達材51を一本化させている。
支持部材2の天端上では、前記のように複数本の引張力伝達材51の内、少なくとも2本の引張伝達材51、51が対になって1本の緊張材3の突出区間31の幅方向両側に配置されるように載置され、2本の引張伝達材51、51の両定着材53、53に1本の緊張材3の定着端部32が係合する。引張力伝達材51の定着材53に緊張材3の定着端部32が緊張材3の引張力の作用の向きに係合することで、引張力伝達材51は接合部コンクリート4内では緊張材3の引張力を負担し、接合部コンクリート4に伝達する役目を果たす。
定着材53は例えば雄ねじの切られた引張材52が定着材53を挿通し、図示するように定着材53のPC部材1側から引張材52に螺合するナット54で引張材52に、PC部材1側への移動を拘束されることにより、もしくは引張材52が定着材53に螺入することにより引張材52に固定状態で接続される。または引張材52の製作時に引張材52の一部として節状に成型されることにより一体的に形成される。図3~図5では支持部材2上への引張力伝達部材5とPC部材1の載置後に、引張材52の軸方向に定着材53の位置を調整できるよう、定着材53のPC部材1側にナット54を螺合させている。「定着材53のPC部材1側」は、定着材53に係合する定着端部32を有する緊張材3が配置されたPC部材1側を指す。
図3~図5では各PC部材1の端面から、幅方向に並列する2本の緊張材3、3が突出していることに対応し、支持部材2上に3本の引張力伝達材51を並列させて配置している。各引張力伝達材51は独立して支持部材2上に設置されてもよいが、設置時に隣接する引張力伝達材51、51間の間隔の調整等の作業を要することから、図面では二方向の全引張力伝達材51を連結し、支持部材2上の引張力伝達部材5を1個のユニットとして組み立てている。
具体的には各PC部材1の幅方向両側に位置する引張力伝達材51が交差(直交)する方向の引張力伝達材51と交差する部分、すなわち二方向の2本の引張力伝達材51、51が交差する部分に、二方向に接合用の片を有する山形鋼等の連結材55を鉛直方向に向けて配置している。この連結材55の各片に形成した挿通孔に二方向の引張力伝達材51、51を挿通させることで、二方向の引張力伝達材51、51を連係させている。PC部材1が図示するように二方向に対向する場合、連結材55は4箇所に配置される。
上記のように引張力伝達材51が高さ方向に複数本、配置される場合には、図3-(b)に示すようにこの高さ方向に間隔を置いて配置され、平面上、重なる複数本の引張力伝達材51を1本の連結材55が連結することができる。但し、連結材55は幅方向の外側に位置する二方向の引張力伝達材51、51を連結できるだけであるから、幅方向の中央に位置する引張力伝達材51は例えばそれに交差する方向の引張力伝達材51に結束線で結束される等により連結され、引張力伝達部材5として組み立てられる。
前記のように引張力伝達材51は接合部コンクリート4内で緊張材3の引張力を負担しながら、接合部コンクリート4に伝達する機能を有するから、図3に示すように支持部材2の天端上に引張力伝達部材5を載置したとき、最下部に位置する引張力伝達材51と天端との間に引張力伝達材51の被り分の空隙を確保する必要がある。この関係で、引張力伝達部材5の載置時に最下部の引張力伝達材51が天端から浮くよう、連結材55の長さを複数段分の引張力伝達材51の高さより大きくし、連結材55の下端を天端に接触させることで、最下部の引張力伝達材51と天端との間の空隙を確保している。この空隙確保の役目は定着材53が果たすこともできる。
図3に示すように支持部材2の天端上に引張力伝達部材5を先行して載置した後、図4、図5に示すように支持部材2の天端上にPC部材1の端部を載置し、図2に示すように緊張材3の定着端部32を引張力伝達部材5の定着材53に、緊張材3の引張力の作用の向きに係合させる。定着端部32は図示するような圧着グリップ等の定着体が接続された部分(区間)を指し、この定着体の一部を定着材53に係合させることもあるが、図面では定着体のPC部材1側にプレート状の伝達材33を接続(固定)し、この伝達材33を定着材53に係合させている。伝達材33の定着端部32への固定方法、あるいは形成方法は引張力伝達材51の定着材53と同様、問われない。図4-(b)では(a)中の並列する緊張材3、3が支持部材2天端の中心を挟んで対向して配置されている様子を示している。
定着端部32(伝達材33)は定着材53へは、緊張材3に緊張力を導入した状態で係合させられる場合と、緊張力の導入をせずに係合させられる場合がある。定着端部32の定着材53への係合時に緊張材3に緊張力が導入される場合には、係合時の時点から定着端部32と定着材53間に、緊張力の反力としての圧縮力が生じた状態にある。この場合、引張力伝達部材5が緊張材3からの緊張力を受けて緊張材3が突出したPC部材1側へ移動する状態にあれば、引張力伝達部材5を支持部材2とPC部材1のいずれかに係止させる等、引張力伝達部材5を拘束することが必要になる。図1-(a)に示すように緊張材3への緊張力の導入が接合部コンクリート4の強度発現後であれば、引張力伝達部材5の拘束は必要ではない。
定着端部32の定着材53への係合時に緊張材3に緊張力が導入されない場合には、地震時等にPC部材1と接合部コンクリート4の境界面が分離しようとするときに緊張材3に引張力が生じ、この引張力が分離しようとした境界面を復元させる働きをする。係合時に緊張力が導入されている場合の緊張力も地震時等には同じように作用する。
支持部材2上へのPC部材1の載置時に、同時に定着端部32を定着材53に係合させることができる場合を除き、定着材53は図3~図5に示すように予め下部材2の外周寄り(PC部材1の端面側)へ移動させられており、PC部材1の載置後に図2に示すように定着端部32側へ移動させられ、定着端部32に係合させられる。
図2に示す状況で、支持部材2の天端上に接合部コンクリート4の打設領域を区画するせき板を組み立てると共に、せき板の内側に必要な配筋をした後、接合部コンクリート4が打設される。
図6は支持部材2の天端上に二方向、4本のPC部材1を引張力伝達部材5に先行して載置した場合に、天端上に4本のPC部材1の突出区間31が配置された状況を示す。図6の状況からは二方向の突出区間31の合間を縫うように引張力伝達部材5を支持部材2上に載置することで、図5に示す状況になる。その後、定着材53を定着端部32側へ移動させ、定着端部32に係合させることにより図2に示すPC部材1と引張力伝達部材5の設置が完了した状態になる。その後、接合部コンクリート4が打設される。
図7-(a)は緊張材3に緊張力を導入し、突出区間31をPC部材1の端面に定着(仮定着)させた場合に、緊張状態の緊張材3の定着端部32を引張力伝達部材5の定着材53に係合させた状態から、PC部材1の端面に定着されていた突出区間31の定着を解除する場合の具体的な作業例を示す。
突出区間31の定着の解除は図8に示す、PC部材1内に離脱可能に配置されていた被定着材7をPC部材1から離脱させることで可能になる。図7-(b)はPC部材1及び支持部材2と被定着材7の関係を示す。接合部コンクリート4内に位置する突出区間31はシース34に包囲されることで、コンクリートとの付着が切れているため、被定着材7のPC部材1からの離脱の時期は問われず、接合部コンクリート4の打設前から接合部コンクリート4の強度発現後までの間のいずれかに行われる。
図7に示す例ではPC部材1の端面からPC部材1の内部へケースの配置等により形成された空洞1a内のPC部材1本体側に被定着材7を配置し、接合部コンクリート4側に突出区間31を定着する楔やナット等の定着具6を配置した状態で、空洞1a内に流動性を有するグリース等の充填材を充填し、定着具6周囲の空隙を埋めている。
ここでは被定着材7がPC部材1の上面等からPC部材1外へ抜け出せるよう、空洞1aからPC部材1の表面にまで連通する挿通孔1bを形成することにより空洞1a内とPC部材1の表面側の空間を連続させ、被定着材7の例えば上方側に一体化した棒材をPC部材1の表面に突出させている。被定着材7は接合部コンクリート4の打設前、または打設後にPC部材1から離脱させられ、空洞1aから不在になるため、空洞1a内には被定着材7の離脱後に定着具6が係止し、定着具6の移動を阻止する被係止材8が固定状態で配置されている。
被定着材7は突出区間31に緊張力を導入した状態で、被定着材7に一体化した棒材がPC部材1上に設置されたジャッキ9に把持され、引き抜かれることによりPC部材1から離脱させられる。被定着材7の離脱に伴い、定着具6が被係止材8側へ移動するが、定着端部32は引張力伝達部材5の定着材53に係合していることで、定着具6に追従して移動することはないため、定着具6の移動距離分、突出区間31は伸長し、この伸長分の緊張力が定着端部32から引張力伝達部材5に伝達される。図8はPC部材1から被定着材7の離脱による突出区間31への緊張力の導入の様子を示している。この他、被定着材7は何らかの手段でPC部材1から離脱させらればよく、流動性のあるグリース、粒状体等の材料も使用可能である。
1……プレキャストコンクリート部材(PC部材)、1a……空洞、
2……支持部材、
3……緊張材、31……突出区間、32……定着端部、33……伝達材、34……シース、
4……接合部コンクリート、
5……引張力伝達部材、51……引張力伝達材、52……引張材、53……定着材、54……ナット、55……連結材、
6……定着具、7……被定着材、8……被係止材、
9……ジャッキ。

Claims (5)

  1. 内部に緊張材が配置され、この緊張材の軸方向の端部が端面から突出したプレキャストコンクリート部材を、このプレキャストコンクリート部材の軸方向両端部に位置する支持部材の天端上に設置し、前記プレキャストコンクリート部材の軸方向の端面から突出した前記緊張材の定着端部を前記支持部材上に現場で打設される接合部コンクリート中に埋設する方法であり、
    前記緊張材の全長の内、少なくとも前記プレキャストコンクリート部材の端面から突出した突出区間の周面と前記接合部コンクリートとの付着が切れ、前記定着端部は前記緊張材の引張力を前記接合部コンクリートに伝達する機能を有しており、
    前記支持部材の天端上に、前記緊張材に生じる引張力を前記接合部コンクリート内で負担する引張力伝達部材を載置する工程と、
    前記プレキャストコンクリート部材の軸方向端部を前記支持部材の天端上に載置する工程とを含み、
    前記定着端部と前記引張力伝達部材を前記緊張材の引張力の作用の向きに互いに係合させた状態で前記支持部材上に前記接合部コンクリートを打設し、前記定着端部を前記接合部コンクリート中に埋設し、前記プレキャストコンクリート部材を前記接合部コンクリートに接合することを特徴とするプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法。
  2. 前記接合部コンクリートの打設前の時点で前記緊張材に緊張力を導入し、前記突出区間を前記プレキャストコンクリート部材の端面に定着させた状態で、前記定着端部と前記引張力伝達部材を係合させることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法。
  3. 前記緊張材の前記プレキャストコンクリート部材の内部に位置する区間の周面と前記プレキャストコンクリート部材との付着が切れており、前記定着端部と前記引張力伝達部材を係合させた後、前記プレキャストコンクリート部材の端面に定着されている前記突出区間の定着を解除することを特徴とする請求項2に記載のプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法。
  4. 前記接合部コンクリートの打設前に前記緊張材に緊張力を導入した状態で、前記定着端部と前記引張力伝達部材を係合させることを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材と接合部コンクリートとの接合方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の接合方法に使用される前記引張力伝達部材であり、前記プレキャストコンクリート部材の軸方向を向く引張材とこの引張材の軸方向両側に、前記緊張材の前記定着端部が係合し得る定着材を有する、複数本の引張力伝達材を備え、前記支持部材の天端上で、少なくとも2本の前記引張伝達材が対になって1本の前記緊張材の前記突出区間の幅方向両側に配置され、2本の前記引張伝達材の両定着材に1本の前記緊張材の前記定着端部が係合することを特徴とする引張力伝達部材。
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