JP3769720B2 - コンクリート部材の補強工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種コンクリート部材のせん断補強を図るときに用いて好適なコンクリート部材の補強工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造等からなる柱、梁、橋脚、煙突などのコンクリート部材のせん断補強を図る技術の一つとして、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの強化繊維材料からなる補強シートを、コンクリート部材の表面に、その周方向に巻き付けて配設するものが知られている。
【0003】
これらのうち、特に従来では困難であった壁付き柱、梁あるいは壁の剪断補強を可能とする技術として、強化繊維材料により形成された補強シートと定着アンカーとを用いた補強構造が実用化されている。この構造は、例えば、炭素繊維により形成された複数の補強シートをコンクリートの躯体に積層させて貼り付けることにより積層部を形成し、この積層部を定着アンカーを介して躯体に連結し、補強シートに生じさせた引っ張り力により躯体を補強するものである。図2は、袖壁付き柱1Aと腰壁付き柱1Bにその構造を適用した状態を示している。同図で符号10は補強シートの積層部、20は定着アンカーである。図3に詳しく示すように、補強シートの積層部10は柱1に巻かれて貼り付けられた状態とされる。また、定着アンカー20は、複数本の強化繊維をその長さ方向の一部で一体に束ねてなるものであり、壁2を貫通させた状態で配置されるとともに、その端部が積層部10の表面に接合されている。
【0004】
図4は、その接合状態を示している。接合方法としては、複数の補強シート11を柱1の表面に積層させて形成した積層部10の表面に、壁2に貫通させた定着アンカー20の端部を扇状に分散させて接着している。ところが、このような接合方法では、補強シート11に対する定着アンカー20の接着面積に基づく接合強度は一定であるから、補強量が増大すると補強シート11から引張力を定着アンカー20に伝えきれなくなる場合がある。すなわち、接合強度の不足から、補強量の上限を低く設定せざるを得なかった。そこで、接合強度を向上させる方法として、図5に示すように、補強シート11と定着アンカー20とを交互に重ねて接着する方法が試みられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示した接合方法では、補強シート11と定着アンカー20とを交互に重ねるにつれて接着部に段差が生じるので、しだいに接着作業が煩雑かつ困難になっていくとともに、時間もかかるので、施工性に難があった。
【0006】
したがって本発明は、補強シート等の補強材に対する定着アンカーの接合強度を向上させて補強量の上限を高くすることができるとともに、施工性の向上を図ることができるようなコンクリート部材の補強工法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の板状またはシート状の補強材を、コンクリート部材に沿わせて配設するとともに、これら補強材を前記コンクリート部材に積層させて接着することにより、積層部を形成し、該積層部の表面に、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等、複数本の強化繊維をその長さ方向の一部で一体に束ねてなる定着用アンカーの端部を接着した後、この定着用アンカーの前記積層部に対する接着部に接着性樹脂を塗布して定着用アンカーの基部から先端に向かうにしたがい傾斜する平滑な接着性樹脂層を形成し、該接着性樹脂層から前記積層部の表面に至る位置に、さらに、前記補強材を重ね貼りすることによって前記補強材に対して前記定着用アンカーを接合し、これにより、該補強材を前記定着用アンカーを介して前記コンクリート部材に定着することを特徴としている。なお、接着性樹脂としては、エポキシパテ等が好適に用いられる。
【0008】
本発明によれば、定着アンカーの接着面は、積層部の表面と重ね貼りされた補強材との2面となり、接着性樹脂層および補強材の重ね貼りと相まって、補強材に対する定着アンカーの接合強度が大幅に向上する。その結果、構造的な補強量の上限を大幅に高くすることができる。また、接合強度の向上に伴い、複数の定着アンカーを施工する場合にはその施工間隔を大きくとることができるので、コストの低減や施工時間の短縮が可能となる。また、補強材と定着アンカーを交互に重ねることなく両者を接着するものであり、加えて、新たに補強材を重ね貼りする接着性樹脂層を平滑に形成するので補強材の重ね貼りは容易であり、結果として施工性の向上が図られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照して本発明の一実施形態を説明する。なお、以下において、上記従来の技術と同様の構成は、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図中符号1,2は、それぞれ図4あるいは図5で示したものと同様の柱(コンクリート部材)および壁である。柱1の表面には、複数の補強シート(補強材)11が積層されて貼り付けられることにより積層部10が形成されている。この積層部10の表面には、壁2に貫通させた複数の定着アンカー20の端部が扇状に分散されて接着されている。この定着アンカー20の接着部には、定着アンカー20による段差を埋めて表面が平滑になるように、エポキシパテ等の接着性樹脂が塗布されて接着性樹脂層30が形成されている。
【0010】
接着性樹脂層30は、その表面が定着アンカー20の太い基部から先端に向かうにしたがい傾斜し、積層部10の表面に滑らかに移行するように形成されている。そして、この上に、接着性樹脂層30と積層部10を覆って補強シート40がさらに重ね貼りされている。補強シート40の繊維の方向は、補強シート11と同じ方向である。補強シート40が接着性樹脂層30に重ね貼りされる長さt1と、積層部10の表面に貼り付けられる長さt2は、柱1の寸法にもよるが、例えば、それぞれ100mm以上を確保することが望ましい。
【0011】
次に、図1に示す状態に定着アンカー20を積層部10に接合する方法を説明する。まず、壁2を貫通させた定着アンカー20の端部を扇状に分散させ、その端部を積層部10の表面に接着する。次いで、定着アンカー20の接着部に接着性樹脂を塗布し、表面が平坦な接着性樹脂層30を形成する。次に、繊維の方向を補強シート11のそれに一致させて接着樹脂層30と積層部10とにわたって補強シート40を貼り付ける。
【0012】
上記実施形態によれば、定着アンカー20の接着面は、積層部10と補強シート40の2面となり、接着性樹脂層30および補強シート40の重ね貼りと相まって、補強シート11に対する定着アンカー20の接合強度が大幅に向上する。その結果、構造的な補強量の上限を大幅に高くすることができる。また、接合強度の向上に伴い、複数の定着アンカー20を施工する場合には、その施工間隔を大きくとることができる。このため、コストの低減や施工時間の短縮が可能となる。
【0013】
また、補強シート11と定着アンカー20とを交互に重ねることなく両者を接着するものであり、加えて、補強シート40を重ね貼りする接着性樹脂層30の表面を平滑に形成するので、補強シート40の重ね貼りは比較的容易である。したがって、施工性の向上が図られる。
【0014】
なお、上記実施の形態において、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の構成を採用することができる。
例えば、上記実施の形態において用いる補強シート11,40、定着用アンカー20について、前記した炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維等に限らず、他の材料を採用することも可能であり、補強シート11,40については、繊維方向(クロスの場合には織り方向)等も、所要の方向に補強効果を発揮できるのであれば、縦・横・斜め等を問うものではない。加えて、重ねる枚数についても限定するものではない。
さらに、補強シート11,40に代えて、鋼板やFRP(繊維強化プラスチック)等を用いても良い。
【0015】
また、上記実施の形態においては、本発明に係るコンクリート部材の補強工法を、袖壁付き柱1Aおよび腰壁付き柱1Bのせん断補強を図る場合を例に挙げて用いたが、これに限らず、通常の柱や梁、あるいは、その他、橋脚、煙突等他のものに適用することも可能である。またせん断補強に限らず、曲げ補強を図る場合であっても良い。また、コンクリート部材の新設・既設を問うものではない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、補強材に対する定着アンカーの接合強度を向上させて補強量の上限を高くすることができるとともに、施工性の向上が図られるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る方法によって定着アンカーが積層部に接合された状態を示す図であって、(a)はその縦断面図、(b)は横断面図である。
【図2】 補強シートおよび定着アンカーによる補強構造が適用されたRC建造物の斜視図である。
【図3】 図2中鎖線で囲んだ部分を拡大した切欠き斜視図である。
【図4】 一従来方法によって定着アンカーが積層部に接合された状態を示す図であって、(a)はその縦断面図、(b)は横断面図である。
【図5】 他の従来方法によって定着アンカーが積層部に接合された状態を示す横断面図である。
【符号の説明】
1…柱(コンクリート部材)
10…積層部
11…補強シート
20…定着アンカー
30…接着性樹脂層
40…補強シート

Claims (1)

  1. 複数の板状またはシート状の補強材を、コンクリート部材に沿わせて配設するとともに、これら補強材を前記コンクリート部材に積層させて接着することにより、積層部を形成し、該積層部の表面に、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等、複数本の強化繊維をその長さ方向の一部で一体に束ねてなる定着用アンカーの端部を接着した後、この定着用アンカーの前記積層部に対する接着部に接着性樹脂を塗布して定着用アンカーの基部から先端に向かうにしたがい傾斜する平滑な接着性樹脂層を形成し、該接着性樹脂層から前記積層部の表面に至る位置に、さらに、前記補強材を重ね貼りすることによって前記補強材に対して前記定着用アンカーを接合し、これにより、該補強材を前記定着用アンカーを介して前記コンクリート部材に定着することを特徴とするコンクリート部材の補強工法。
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