JP2013238024A - 構造物補強工法と補強構造および不陸吸収材 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】 不陸を吸収でき、構造物に加わる外力が補強材に伝達されて補強効果を実効あらしめる。
【課題解決手段】 本発明の構造物補強工法は、剛性のある構造物の接合面に不陸があっても、接合面に追従可能な可撓性と厚さと接着剤含浸性を備えた不陸吸収材を接合面に重ね、不陸吸収材の外側に不陸に追従できない剛性のある補強材を重ね、不陸吸収材に含浸された接着剤による接着とボルト止めにより、構造物と補強材を不陸吸収材を挟んで面密着させ、接着剤が硬化すると不陸吸収材も硬化して、不陸吸収材と構造物と補強材が一体化するようにした。本発明の不陸吸収材は、構造物の接合面の不陸を吸収可能な肉厚であり、構造物の接合面の不陸に追従可能な可撓性と接着剤を含浸可能な含浸性を備え、接着剤の硬化に伴って硬化する性質とボルト差込孔を一又は二以上備えたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、土木、建築等の各種分野における、鋼材、樹脂、コンクリートといった材質製の構造物の補強方法(構造物補強工法)、構造物補強構造、それらに使用される不陸吸収材に関し、例えば高架道路、高速道路、河川橋等における既設又は新設の橋桁、橋梁床版、橋脚、道路面、ダムやトンネル等の大型構造物の躯体、ビルや家屋等の建築物の壁面、床面、天井面等の各種部材への補強材(あて板)の接合(密着固定)が可能であり、より具体的には、鋼桁のウェブやフランジへの当て板補強や鋼床版のデッキプレート上へのプレキャスト補強版の接合、ビル、マンション等の建築物の鋼材への補強材の接合等に使用可能なものである。
鋼材、樹脂、コンクリートといった各種材質製の構造物(母材)の表面は、経年変化や風雨などによる局所的な腐食による板厚の減少、衝突等でできたへこみや膨らみ(凹凸)、表面や段差の仕上げ不足、溶接されていた部材の撤去時の溶接ビードの除去不足、接触面積を広げるための表面処理による凹凸といった各種要因で凹凸や変形(以下、これらをまとめて「不陸」という。)が生ずることがある。
表面に不陸を有する構造物を補強(補修を含む)する必要があるとき、その補強工法として、母材の不陸に鋼板などの補強材をあてがい、その補強材を高力ボルト又は溶接で母材に固定する方法が知られている。この場合、不陸を残したまま補強材をあてがうと、母材と補強材が密着(面密着)し難く、両者間に隙間ができ、そこから雨水や粉塵などが入り込んで補強不良を招くことがある。また、高力ボルトで母材に固定する方法はボルト加工による断面欠損、溶接による方法では入熱による材料劣化などの難点があった。
ボルトによる固定方法や溶接による固定方法の他に、接着剤を用いる方法もあり、土木構造物においても接着剤による接着(接合)が採用されている。この場合、腐食部を含む母材表面(接合面)にパテを塗布して接合面を平滑化したり、研磨して錆や汚れを落としたりすることが行われている。接着剤による施工例としては図10のように鋼構造物、コンクリート構造物等の既設構造物Aの上面に接着剤Bを塗布し、その上に補強部材Cを敷設して取付ける方法、図11のように既設構造物Aと補強部材Cの間にスペーサーDを置き、補強部材Cの周辺をシールしてから既設構造物Aと補強部材Cとの隙間の空気を抜きながらその隙間に接着剤を充填する方法がある。
従来の接着剤による接着は次のような課題があった。
(1)図10の接着方法では既設構造物Aの接合面に不陸があったり、不陸が大きい場合は補強部材Cを既設構造物Aに面密着させることが困難であり、未接着面が残り易く、接着強度の不足、接着強度の経時劣化、剥がれ等の一因となることがあった。
(2)図11の接着方法ではシール作業や空気抜き作業が必要になり、シールしても一部に孔や隙間があると接着剤が漏れるためそれらを埋める作業が必要になり接着作業が面倒であった。また、接着剤の使用量が多くなるとか、使用量が多くなると可使時間の制約で作業性が悪いといった課題もあった。
(3)図10、図11のいずれの場合も、既設構造物Aの床面(接合面)が傾斜していると、接着剤が傾斜に沿って流れるため接着剤を均一厚にしにくいとか、一度の作業面積が広いと接着剤の流れが多くなるため一度の施行可能面積に限りがあり作業効率が悪かった。
(4)壁面のような縦向き面(立ち向き面)や天井面のような下向き面に接着する場合は接着剤が流れたり、接着剤の塗布厚が不均一になったりして作業しにくく、作業が面倒で多くの労力を必要とする割には良好な接着が難しかった。
近年は接着剤による接着方法の前記難点を解決する手段として、母材と補強材の間に不陸吸収材を介在させる方法も提案されている(特許文献1)。
特開2002−256708号公報
前記特許文献1記載の不陸吸収材は、不陸形状に合わせて変形可能であるため、構造物の接合面に不陸があっても補強材を取付け易いという利点がある。しかし、不陸吸収材が母材及び補強材と一体化されていないため、固定後に母材に加わる外力が補強材に伝達しにくく、外力を母材のみで受けることになり、補強材による補強効果が十分に発揮されない。
本発明の目的は、金属製構造物と金属製補強材、コンクリート製構造物とコンクリート製補強材、木材製構造物と木材製補強材、金属製構造物とコンクリート製補強材、金属製構造物と木材製補強材、コンクリート製構造物と木材製補強材といった剛性のある材質製の部材同士の接合が可能であり、また、平面部材同士の接着のみならず、各種形状、構造、サイズの立体部材同士の接着等にも利用でき、更に、構造物と補強材を接着剤で直に接着する場合よりも強度や靭性に優れた接着効果を実現可能とする。また、構造物の接合面に不陸があっても構造物と補強材が面密着して不陸を吸収でき、構造物に加わる外力が補強材に確実に伝達されて構造物と補強材の双方で外力を分担できる(補強効果がある)ようにすることにある。
本発明の第一の構造物補強工法は、鋼製、コンクリート製といった剛性のある構造物に、剛性のある補強材を重ねて接着固定する構造物補強工法において、前記構造物の接合面に不陸(歪、変形等を含む)があっても接合面に追従可能な可撓性を備えた接着剤含浸不陸吸収材又は接着剤未含浸不陸吸収材を前記接合面に重ねる工程と、前記不陸吸収材の外側に不陸に追従できない剛性のある補強材を重ねる工程と、前記不陸吸収材が接着剤未含浸の場合に、補強材を重ねる前に又は重ねてから、不陸吸収材に接着剤を含浸させる工程と、当該不陸吸収材を挟んで前記補強材を前記構造物にボルト止めする工程と、前記接着剤による接着とボルト止めとによって前記構造物と補強材を前記不陸吸収材を挟んで面密着(全面密着又は略全面密着)させ、前記接着剤が硬化した不陸吸収材と当該不陸吸収材を挟む前記構造物と前記補強材を一体化させることを特徴とする構造物補強工法である。前記ボルト止め用のボルトは一部が母材に埋設されたアンカーボルトでも、母材と別体のボルトでもよい。
本発明の第二の構造物補強工法は、前記第一の構造物補強工法において、補強材の片面に、接着剤含浸不陸吸収材又は接着剤未含浸不陸吸収材が取付けられた補強材一体型不陸吸収材を使用し、補強材一体型不陸吸収材の不陸吸収材を構造物に重ねることにより当該不陸吸収材を挟んで補強材を構造物に重ねる工程と、前記不陸吸収材が接着剤未含浸の場合に、補強材一体型不陸吸収材を構造物の接合面に重ねる前に又は重ねてから、当該不陸吸収材に接着剤を含浸させる工程を備えた構造物補強工法とすることもできる。
本発明の第三の構造物補強工法は、前記第一又は第二の構造物補強工法において、構造物の接合面の数箇所にスペーサーを設ける工程と、片面から肉厚方向途中まで開口する切除部又は片面から他面まで貫通する切除部を備えた不陸吸収材を、前記切除部が前記スペーサーに被さるように前記スペーサーの上に被せる工程と、前記不陸吸収材の上に補強材を重ねる工程を備えたことを特徴とする構造物補強工法とすることもできる。
本発明の第四の構造物補強工法は、前記第一又は第二の構造物補強工法において、構造物の接合面の外周縁にバックアップ材(シール材)をリング状(ほぼリング状を含む)に接着固定する工程と、前記バックアップ材に不陸吸収材を重ねるか又はバックアップ材のリングの内側に配置する工程と、前記不陸吸収材に補強材を重ねる工程と、前記バックアップ材と補強材を前記不陸吸収材に含浸された接着剤により面密着固定させる工程を備えたことを特徴とする構造物補強工法とすることもできる。
本発明の第一の構造物補強構造は、構造物に剛性のある補強材を重ねて接着固定した構造物補強構造において、構造物の接合面に不陸があっても接合面に追従可能な可撓性と厚さと接着剤含浸性と接着剤の硬化に伴って硬化する硬化性とを備えた不陸吸収材が、前記接合面に重ねられ、当該不陸吸収材の外側に不陸に追従しない剛性のある補強材が重ねられ、当該補強材が不陸吸収材に含浸された接着剤によって前記構造物に面密着されるとともにボルト止めされ、前記接着剤の硬化により硬化した不陸吸収材と当該不陸吸収材を挟む前記構造物と前記補強材との三者が一体に固定されたことを特徴とする構造物補強構造である。
本発明の第二の構造物補強構造は、前記第一の構造物補強構造において、構造物の接合面にスペーサーが設けられ、スペーサーの外周に嵌合部を被せて不陸吸収材が重ねられ、この不陸吸収材の外に補強材が重ねられ、そのスペーサーと不陸吸収材を挟んで、構造物と補強材が不陸吸収材に含浸された接着剤及びボルト止めにより面密着して固定され、前記接着剤の硬化により不陸吸収材が硬化して、当該不陸吸収材とそれを挟む構造物と補強材が一体化されたことを特徴とする構造物補強構造とすることもできる。
本発明の第三の構造物補強構造は、前記第一の構造物補強構造において、構造物の接合面の周縁部にバックアップ材(シール材)がリング状(ほぼリング状を含む)に取付けられ、バックアップ材の外側又は内側に不陸吸収材が重ねられ、当該不陸吸収材の外側に補強材が重ねられ、構造物と補強材が不陸吸収材に含浸された接着剤及びボルト止めにより面密着して固定され、前記接着剤の硬化により不陸吸収材が硬化して、当該不陸吸収材とそれを挟む構造物と補強材が一体化されたことを特徴とする構造物補強構造とすることもできる。
本発明の不陸吸収材は、前記いずれかの構造物補強工法又は前記いずれかの構造物補強構造で使用される不陸吸収材において、不陸吸収材が構造物と補強材の間に配置されて構造物の接合面の不陸を吸収可能な肉厚であり、構造物の接合面の不陸に追従可能な可撓性と接着剤を含浸可能な含浸性(吸収性)を備え、含浸された接着剤が硬化すると硬化して構造物と補強材と面密着して一体化するものであり、剛性のある補強材の接合面に取付けられている補強材一体型であるか、補強材に取付けられていない単体型であることを特徴とする不陸吸収材である。
本発明の構造物補強工法は次のような効果がある。
(1)構造物の接合面に不陸があっても接合面に追従可能な可撓性を備えた不陸吸収材を前記接合面に重ねるので、剛性のある補強材であっても不陸のある接合面と面密着(全面又は略全面が密着)し、接着強度が向上し、剥がれにくくなり、耐用年数が向上する。
(2)構造物と補強材を接着剤の硬化により不陸吸収材を介して一体化させるので、不陸吸収材が補強材としても機能し、構造物と補強材の接着強度が向上する。また、構造物と補強材の接着に靱性があり、構造物に加わる外力が不陸吸収材を介して補強材に伝達、分散され、耐久性が向上する。
(3)不陸吸収材に接着剤が含浸されている場合は、構造物の壁面のような縦向き面とか、天井面のような下向き面に補強材を接着する場合であっても、接着材の流れ出しや垂れ落ち等がないため接着作業が容易になる。また、流出による接着剤の無駄がないため接着剤の使用量が少なくてすみ、コスト低減に役立つ。更に、一度に施工できる作業面積を広くすることができるので短時間で広範囲の施工が可能になり、通行止めにして行われる夜間の道路補修工事などに特に適する。
(4)ボルト止めもするので、構造物と補強材が密着し接着強度がより一層向上する。
(5)ボルトによる接合を期待する場合、ボルトによる接合と接着剤による接合の協働作用により構造物と補強材がより一体化される。
(6)補強材の接合面(片面)に、接着剤含浸不陸吸収材又は接着剤未含浸不陸吸収材を備えた補強材一体型不陸吸収材を使用すれば、現場での不陸吸収材の採寸、切断、敷設、位置合わせ等をする必要がなく施工が容易になる。
(7)構造物の接合面の数箇所にスペーサーを設ける場合、スペーサーの厚さを調節することにより、例えば、鋼床版のデッキプレート上に多数枚の補強材を配置する場合に、隣り合う補強材の高さを揃えることができる。また、不陸吸収材のうちスペーサーが当たる箇所に切除部を設けた場合は、不陸吸収材が位置決めされて安定する。
(8)構造物又は補強材にバックアップ材(シール材)を接着固定する場合は、不陸吸収材に含浸された接着剤が外部に漏出するのをバックアップ材により防止でき、接着剤が不足することがなく接着が確実になり、接着剤が無駄にもならない。
(9)構造物が道路の鋼床版のデッキプレートの場合は、鋼床版のアスファルト舗装を撤去し、研磨後のデッキプレートの接合面に不陸吸収材を配置してから補強材を重ねて、デッキプレートの接合面と補強材を面接着させると共にボルト止めするので、デッキプレートの場合も前記(1)〜(8)と同様の効果がある。
(10)構造物が鋼製橋桁のウェブの場合は、接合面の不純物を撤去し、研磨後の接合面に不陸吸収材を配置してから補強材を重ねて、接合面と補強材を面接着させると共にボルト止めするので、鋼製橋桁ウェブの場合も前記(1)〜(8)と同様の効果がある。
本発明の不陸吸収材は次のような効果がある。
(1)構造物の接合面の不陸に追従して不陸を吸収可能な可撓性と接着剤を含浸可能な含浸性を備えているので、構造物の接合面に不陸があっても、構造物と補強材を面密着させることができる。
(2)ボルト差込孔を備えているので、ボルトの差し込みが容易である。
(3)構造物と補強材を接着剤の硬化により不陸吸収材を介して一体化させるので、不陸吸収材が補強材としても機能し、構造物と補強材の接着強度が向上する。また、構造物と補強材の接着に靱性があり、構造物に加わる外力が不陸吸収材を介して補強材に伝達、分散され、耐久性が向上する。
本発明の不陸吸収材が補強材に取付けられている補強材一体型の場合は次のような効果がある。
(1)構造物の接合面の不陸に追従して不陸を吸収可能な可撓性と接着剤を含浸可能な含浸性を備えているので、構造物の接合面に不陸があっても、構造物と補強材を面密着させることができる。
(2)ボルト差込孔を備えているので、ボルトの差し込みが容易である。
(3)接着剤含浸不陸吸収材又は接着剤未含浸不陸吸収材が、補強材の片面に取付けられた補強材一体型不陸吸収材の場合は、その不陸吸収材を構造物の接合面にあてがうだけで不陸吸収材を構造物と補強材の間に介在させることができ、現場施工が容易になり補強(補修)作業が迅速にできる。
本発明の構造物補強構造は次のような効果がある。
(1)構造物と補強材が、構造物の接合面に不陸があっても接合面に追従可能な可撓性を備えた不陸吸収材を挟んで接着されているので、接合面に不陸があっても、剛性のある補強材が確実に接着された接合構造となる。
(2)構造物と補強材の全面又は略全面が面密着されているので、接合強度に優れ、接着強度が向上し、剥がれにくくなり、耐用年数が向上する接合構造である。
(3)構造物と補強材と接着剤が硬化した不陸吸収材の三者が一体化されて面接触されているので、不陸吸収材が補強材としても機能し、構造物と補強材の接着強度が向上する。また、構造物と補強材の接着に靱性があり、構造物に加わる外力が不陸吸収材を介して補強材に伝達されて分散され、耐久性が向上した接合構造となる。
(4)ボルト止めもされているので、構造物と補強材との密着強度がより一層向上する。
(5)構造物の接合面にスペーサーを配置してあるので、例えば、道路の鋼床版のデッキプレート上に多数枚の補強材を配置する場合に、隣り合う補強材の高さを揃えることができる。
(6)構造物の接合面の周縁部にバックアップ材(シール材)がリング状(ほぼリング状を含む)に取付けられているので、不陸吸収材に含浸された接着剤の漏出が皆無又は減少する。
本発明の構造物補強工法の第一の例を示す説明図。 (a)は本発明の構造物補強工法において、ボルト止め前の分解説明図、(b)はボルト止め後の断面説明図。 (a)は本発明の構造物補強工法において、母材の両面に不陸吸収材及び補強材をあてがってボルト止めした状態の断面図、(b)は母材の一方の面に不陸吸収材及び補強材をあてがい、他面に補強材をあてがってボルト止めした状態の断面図。 (a)は本発明の構造物補強工法において、アンカーボルトでボルト止めする前の分解説明図、(b)はアンカーボルトでのボルト止め後の断面説明図。 (a)は本発明の構造物補強工法において接着剤含浸不陸吸収材(接着層)が硬化せずに母材と補強材が一体化しない場合であって引張力に対する接着層の作用説明図、(b)は本発明の構造物補強工法において不陸吸収材(接着層)が硬化して母材と補強材が接着層を挟んで一体化した場合であって引張力に対する接着層の作用説明図、(c)は本発明の構造物補強工法において接着剤含浸不陸吸収材(接着層)が硬化せずに母材と補強材が一体化しない場合であって曲げ力に対する接着層の作用説明図、(d)は本発明の構造物補強工法において不陸吸収材(接着層)が硬化して母材と補強材が接着層を挟んで一体化した場合であって曲げ力に対する接着層の作用説明図。 本発明の構造物補強工法において補強材一体型不陸吸収材を使用する場合の説明図。 (a)は本発明の構造物補強工法においてスペーサーを使用する場合の説明図、(b)はスペーサー当接部分を片面から肉厚方向途中まで切欠いた不陸吸収材を使用した場合の断面図、(c)はスペーサー当接部分を底面から上面まで貫通させた不陸吸収材を使用した場合の断面図。 本発明の構造物補強工法であってスペーサーと補強材一体型不陸吸収材を使用する場合の説明図。 (a)は本発明の構造物補強工法であって縦向き母材に上方開口のバックアップ材を使用する場合の斜視図、(b)は横向き母材にリング状のバックアップ材を使用する場合の斜視図。 従来の接着剤による構造物補強工法の一例の説明図。 従来の接着剤による構造物補強工法の他例の説明図。
(構造物補強工法の実施形態1)
本発明の構造物補強工法の基本形態を図1〜図4に示す。この実施形態は剛性のある板状の構造物1の接合面2に不陸吸収材3をあてがい(重ね)、その外側に剛性のある板状の補強材(あて材)4をあてがい(重ね)、その補強材4を、不陸吸収材3に含浸されている接着剤で接着すると共にボルト5、ナット6で固定する(ボルト止め)する場合の例である。
構造物1は鋼製、コンクリート製といった各種材質製の構造物である。構造物1は、例えば高架道路、高速道路、河川橋等における既設又は新設の橋桁、橋梁床版、橋脚、道路面、ダムやトンネル等の大型構造物の躯体、ビルや家屋等の建築物の壁面、床面、天井面等である。図1の構造物1には不陸7がある。不陸7は既設の鋼製構造物の場合は、腐食による板厚の減少、衝突で発生した凹凸、表面や段差の仕上げ不足、溶接されていた部材の撤去時の溶接ビードの除去不足、接触面積を広げるための表面処理による凹凸といった各種要因で生ずることがある。
図1では不陸吸収材3を構造物1の接合面2の不陸7の上から接合面2にあてがい(重ね)、その不陸吸収材3の外側に補強材4を重ね、不陸吸収材3に含浸されている接着剤により不陸吸収材3を挟んで前記接合面2に補強材4を面密着(全面密着、略全面密着を含む)させる。接着剤は予め不陸吸収材3に含浸されているものでも、不陸吸収材3を接合面2に重ねてからそれに含浸させたものであってもよい。いずれの場合も、接着剤は自然硬化するものでも、加熱や光照射等により強制硬化させるものでもよい。不陸吸収材3は接着剤が硬化すると硬化する材質、構成としてあり、接着剤の硬化により不陸吸収材3が硬化すると、面密着した構造物1と不陸吸収材3と補強材4の三者が一体化されるようにしてある。ここで一体化とは図5(b)に示す状態をいう。図5(a)は接着剤が含浸された不陸吸収材3(接着剤が含浸された不陸吸収材=接着層3a)が硬化せず、接着層3aを挟んでいる構造物1と補強材4が一体化されていない状態である。この場合、構造物1に矢印P方向の外力(引張力)が加わった場合、構造物1と接着層3aが補強材4とは別に伸びてしまう。図5(b)は接着剤が硬化して、接着層3aを挟んでいる構造物1と補強材4が一体化され、構造物1に矢印P方向の外力(引張力)が加わった場合、面密着している構造物1と接着層3aと補強材4の三者が同じ方向に同じ寸法(ほぼ同じ寸法)だけ変形する状態である。図5(a)(b)の説明は矢印P方向の引張力が加わった場合であるが、これとは反対方向に圧縮力が加わる場合も同じである。構造物1及び補強材4に曲げ力が加わった場合の例を図5(c)(d)に示す。図5(c)は接着剤が含浸された不陸吸収材3(接着層3a)が硬化せず、接着層3aを挟んでいる構造物1と補強材4が一体化されていない状態において、構造物1及び補強材4に矢印M方向の外力(曲げ力)が加わった場合であり、構造物1が補強材4と互いに接着層でずれながら曲がってしまう。図5(b)は接着剤が硬化して、接着層3aを挟んでいる構造物1と補強材4が一体化されている場合であり、この場合は、面密着している構造物1と接着層3aと補強材4の三者が互いに接着層でずれることなく曲がっている状態である。
図2〜図4に示すように、構造物1、不陸吸収材3、補強材4のボルト差込孔8にボルト5を差し込み、そのボルト5にナット6を螺合することによっても、構造物1と不陸吸収材3と補強材4の三者の面密着固定が維持され、更に、ボルト締めにより、構造物1と不陸吸収材3と補強材4の三者の密着面の摩擦が増大して、三者の一体化(一体構造)が確保され易くなる。前記ボルト5は図2(a)(b)、図3(a)(b)に示すような汎用のボルトでもよく、図4(a)(b)に示すように、根元側がコンクリート製、樹脂製といった各種材質製の構造物1に埋設されて、先端側が構造物1から突出しているアンカーボルトであってもよい。
図2、図4は、構造物1のうち不陸7のある片側の接合面にのみ補強材4をあてがって面密着した場合であるが、本発明では、図3(a)のように構造物1の両側接合面に不陸7がある場合は、両側接合面に接着層3aを挟んで面接着させると共にボルト5、ナット6で密着固定するのが良く、図3(b)のように構造物1に不陸がない場合でも、その接合面に補強材4をあてがって面接着させると共にボルト5、ナット6で密着固定することができる。必要であれば、この場合も、不陸のない接合面に接着層3aを設けることもできる。
不陸吸収材3は構造物1の接合面2に不陸7があっても、不陸7の凹凸や変形に沿って接合面2に追従(変形)可能な厚さと可撓性を備えたものとする。不陸吸収材3の厚さは不陸7の凹凸や変形の程度等によっても異なるが、接着剤が十分に含浸(浸透、浸潤、拡散、保持等を含む)される厚さ、例えば1mm〜数cm程度が適する。不陸吸収材3の形状、広さは重ねる構造物1或いは補強材4の形状、広さと同じであっても異なるものであってもよい。不陸吸収材3は単一材製であっても異なる材質を2層以上に積層した積層構造であってもよく、いずれの場合も不陸を吸収できる厚さと、接着剤含浸性と、不陸への追随性に優れたものが好ましい。積層構造の不陸吸収材3の場合はその積層材の材質を部材の接着に適したものにして接着強度を高めるのが望ましい。
不陸吸収材3には接着剤が含浸され易いもの、例えばスポンジ、不織布、織物、グラスウール、スチールウール、炭素繊維、樹脂系繊維等が適する。不陸吸収材3は面状、網状、多数の孔が開口された開口板状、棒状、チップ状といった各種形状、構造とすることができる。面状、網状、開口板状の場合は、それを構造物1と補強材4のいずれか一方の接合面(2又は4a)に重ね、棒状の場合は複数本を構造物1と補強材4のいずれか一方の接合面(2又は4a)に間隔を開けて配置し、チップ状の場合は構造物1と補強材4のいずれか一方の接合面(2又は4a)の全面に分散させることができる。不陸吸収材3が面状、網状、開口板状の場合はその形状、寸法を接着する構造物1と補強材4の形状、寸法と同じかそれよりも小さくして、不陸吸収材3に含浸された接着剤が不陸吸収材3の上に重ねた補強材4で押されても、構造物1と補強材4の外に流出しないようにするか流出しても僅かとなるようにするのが好ましい。
不陸吸収材3に含浸させる接着剤は、不陸吸収材3、構造物1、補強材4の三者との接着性に優れたものが好ましく、それらの材質にもよるが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤といった樹脂系接着剤、セメント系接着剤(例えば、SBRモルタル)、新たに開発される接着剤等を使用することができる。
不陸吸収材3への接着剤含浸方法は種々あり、例えば、不陸吸収材3への接着剤の塗布、吹き付け、接着剤内への不陸吸収材3の漬け込み等の方法がある。
接着剤の硬化方法も種々あり、例えば、主剤と硬化剤の二種を混合させる方法、接着剤を含浸させた不陸吸収材3に硬化剤を吹き付ける方法、加熱硬化方法、紫外線照射硬化方法、自然硬化方法等がある。
(構造物補強工法の実施形態2)
本発明の第二の構造物補強工法は、基本的には前記第一の構造物補強工法と同じであり、異なるのは、補強材4として、図6に示すように、片面(接合面)に、接着剤含浸不陸吸収材3又は接着剤未含浸不陸吸収材3が取付けられた補強材一体型不陸吸収材3を使用し、その不陸吸収材3を構造物1に重ねることにより、当該不陸吸収材3を挟んで補強材4を構造物に重ねることである。前記不陸吸収材3が接着剤未含浸の場合は、補強材一体型不陸吸収材3を構造物1の接合面2に重ねる前に又は重ねてから当該不陸吸収材3に接着剤を含浸させることができる。前記不陸吸収材3は補強材4の片面(接合面)全面に接着剤、両面テープなどの任意の固定手段で仮止め或いは本止めして取付けてある。
(構造物補強工法の実施形態3)
本発明の第三の構造物補強工法を図7(a)(b)に示す。この補強工法は基本的には前記第一の構造物補強工法と同じであり、異なるのはスペーサー9を使用することである。図7(a)では構造物1の接合面2の4カ所(略4隅)にスペーサー9を設け、図7(b)に示すように、片面から肉厚方向途中まで嵌合部(嵌合孔)10が開口されている不陸吸収材3を、その嵌合部10をスペーサー9に被せて不陸吸収材3を重ね、その不陸吸収材3の上(外側)に補強材4を重ねて、不陸吸収材3に含浸されている接着剤で、不陸吸収材3を挟む構造物1と補強材4を面密着固定させるようにしてある。この場合も、面密着固定後に、ボルト5とナット6で固定する。嵌合部10を設けることにより不陸吸収材3が位置決めされて安定する。不陸吸収材3が接着剤未含浸の場合は、接着剤は不陸吸収材3を構造物1の接合面2に重ねる前或いは重ねた後に含浸させることができる。
スペーサー9は接着層の厚さを確保するためのものであり、その厚さを調節することにより、例えば、道路の鋼床版のデッキプレート上に多数枚の補強材4を配置する場合に、隣り合う補強材4の高さを揃えることができるという利点がある。
スペーサー9は不陸吸収材3よりも硬めであって多少弾性のある材質、例えば、クロロプレンゴム等で角型ブロック状に成形されており、その厚さは不陸吸収材3の厚さにもよるが、不陸吸収材3の厚さと同じかそれよりもやや薄い程度、具体的には不陸吸収材3の厚さが5mm〜30mmの場合に5mm〜25mm程度が適する。スペーサー9は構造物1に接着固定せずに載せておくだけでもよく、仮止めしておくこともできる。
スペーサー9の形状は例えば細長棒状、円盤状等といった他の形状にすることもでき、配置位置も図7に示した以外の位置であってもよい。スペーサー9は鋼線、樹脂パイプ等の任意の材質、形状、構造とすることができる。鋼線の場合は三本を三脚状に組んで構造物の接合面2の上に立て、その上から不陸吸収材3を被せると鋼線が不陸吸収材3に刺さるようにすることもできる。
(構造物補強工法の実施形態4)
本発明の第四の構造物補強工法を図7(a)(c)に示す。この補強工法も基本的には前記第三の補強工法と同じであり、異なるのは、図7(c)に示すように、片面から肉厚方向他面まで貫通する嵌合部(嵌合孔)10が開口されている不陸吸収材3を使用し、その嵌合部10をスペーサー9に被せて不陸吸収材3を重ね、その不陸吸収材3の上(外側)に補強材4を重ねて、不陸吸収材3に含浸されている接着剤で、構造物1と補強材4を、不陸吸収材3とスペーサー9を挟んで面密着固定させることにある。この場合も、面密着固定後に、ボルト5とナット6で固定する。スペーサー9の材質、形状、配置位置等は構造物補強工法の実施形態3の場合と同様である。
(構造物補強工法の実施形態5)
本発明の第五の構造物補強工法を図8に示す。この補強工法は基本的には前記第三、第四の構造物補強工法と同じであり、異なるのは、不陸吸収材3として補強材一体型不陸吸収材を使用することである。図8の補強材一体型不陸吸収材は剛性のある補強材4の片面に接着剤含浸不陸吸収材3又は接着剤未含浸不陸吸収材3が取付けられ(接着され)ており、この不陸吸収材3に図7(b)(c)のように嵌合部(嵌合孔)10が開口されており、この嵌合部10を構造物1の接合面に配置したスペーサー9に被せて不陸吸収材3を構造物1の接合面2に重ねることにより補強材4をも重ね、不陸吸収材3に含浸されている接着剤により、構造物1と不陸吸収材3を面密着固定させ、更に、ボルト5とナット6で固定する工法である。
(構造物補強工法の実施形態6)
本発明の第六の構造物補強工法を図9に示す。この補強工法は基本的には前記構造物補強工法1〜3と同じであり、異なるのは、構造物1の接合面2の外周縁部にバックアップ材(シール材)11をリング状に設けて接着固定しておき、そのバックアップ材11の上から不陸吸収材3を重ね、その不陸吸収材3の上に補強材4を重ね、補強材4を重ねる前又は重ねてから不陸吸収材3に接着剤を含浸させ、その接着剤で構造物1と補強材4を面密着固定し、ボルト5、ナット6で固定するようにした工法である。バックアップ材11は不陸吸収材3に含浸される接着剤が構造物1の外に漏れるのを防止するための漏れ止め用であるため、漏れ止めの面からは不陸吸収材3よりも接着剤の含浸しにくい材質製或いは接着剤が全く含浸しない材質製とするのが好ましい。不陸吸収材3はバックアップ材11の内側に緊密に収容して重ね位置を安定させることもできる。
(構造物補強工法の実施形態7)
本発明の第七の構造物補強工法は、基本的には前記第六の構造物補強工法と同じであり、異なるのは、不陸吸収材3として補強材一体型のものを使用し、その不陸吸収材3をバックアップ材11の上に重ねることにより補強材4をも重ね、補強材4を重ねる前又は重ねてから含浸させた接着剤により、構造物1と補強材4を面密着固定し、ボルト5、ナット6で固定するようにした工法である。この場合も不陸吸収材3をバックアップ材11の内側に緊密に収容することもできる。
前記実施形態6及び7では、不陸吸収材3に含浸される接着剤に空気が混入すると空気がバックアップ材11で囲まれて外に逃げ出すことができず、不陸吸収材3内に残留して未接着部発生の一因となるため、空気が混入しないように工夫する必要がある。そのためには、例えば、バックアップ材11の一部に空気抜き孔を設けるなどすることができる。バックアップ材11の幅、厚さ等は構造物1、補強材4のサイズにもよるが、例えば幅、厚さ共に10mm(10mm×10mm)程度とすることができる。
(構造物補強工法の実施形態8)
本発明の構造物補強工法により、道路の既設鋼床版を補強する場合は、既設鋼床版のアスファルト舗装を予め撤去しておき、その既設鋼床版のデッキプレート(図6の下の構造物1に相当)の上面(接合面)を研磨し、その接合面に不陸吸収材3を配置し、その上からプレキャスト補強版(図1の上の補強材4に相当)を重ね、前記不陸吸収材3に接着剤を含浸させてデッキプレートの上にプレキャスト補強版を接着固定する。プレキャスト補強版には鋼板製の板の上にコンクリート(例えば、SFRC)製の板が積層固定されているものを使用することができる。この場合、鋼板製の板の裏面に不陸吸収材3を張り付けた不陸吸収材一体型プレキャスト補強版を用意しておき、それを図6或いは図8のようにして使用することができる。
(構造物補強工法の実施形態9)
本発明の構造物補強工法により、道路の橋桁ウェブを補強する場合は、橋桁ウェブのウェブ表面の不純物を予め撤去しておき、その橋桁ウェブ(図1の下の構造物1に相当)の表面(接合面)を研磨し、その接合面に不陸吸収材3を配置し、その外側から鋼製補強材(図1の上の補強材4に相当)を重ね、前記不陸吸収材3に接着剤を含浸させてウェブ側面に鋼製補強材を接着固定する。この場合、鋼製補強材の接合面に不陸吸収材3を貼り付けた補強材一体型不陸吸収材を用意しておき、それを図6或いは図8のようにして使用することができる。
(構造物補強工法の実施形態10)
前記構造物補強工法の実施形態1〜9はいずれも、平面状の構造物1の上に平面状の補強材4を重ねる場合であるが、本発明では立体構造の構造物1の上に立体構造状の補強材4を重ねて接着固定することも、建造物の壁面のような縦面(垂直面)に横から重ねて接着することも、天井面にその下から重ねて接着することもできる。
(不陸吸収材の実施形態1)
本発明の不陸吸収材3は、前記構造物補強工法の実施形態1〜10のいずれか一つの補強工法に使用できる不陸吸収材であり、図1に示すように、構造物1と補強材4の間に配置して構造物1の接合面2の不陸7を吸収可能な肉厚であり、当該不陸7に追従可能な可撓性と接着剤を含浸可能な含浸性(吸収性)を備えたものである。この不陸吸収材3には接着剤を予め含浸させておくことも、施工時に含浸させることもできる。
不陸吸収材3には接着剤が含浸され易いもの、例えばスポンジ、不織布、織物、グラスウール、スチールウール、炭素繊維、樹脂系繊維等が適する。不陸吸収材3は接着剤が硬化すると硬化するものを使用するのがよい。不陸吸収材3には必要に応じてボルト差込孔8を一又は二以上開口しておくこともできる。
不陸吸収材3は面状、網状、多数の孔が開口された開口板状、棒状、チップ状といった各種形状、構造とすることができる。面状、網状、開口板状の場合は、それを構造物1と補強材4のいずれか一方の接合面(2又は4a)に重ね、棒状の場合は複数本を構造物1と補強材4のいずれか一方の接合面(2又は4a)に間隔を開けて配置し、チップ状の場合は構造物1と補強材4のいずれか一方の接合面(2又は4a)の全面に分散させることができる。不陸吸収材3が面状、網状、開口板状の場合はその形状、寸法を接着する構造物1と補強材4の形状、寸法と同じかそれよりも小さくして、不陸吸収材3に含浸された接着剤が不陸吸収材3の上に重ねた補強材4で押されても、構造物1と補強材4の外に流出しないようにするか流出しても僅かとなるようにするのが好ましい。
不陸吸収材3に含浸させる接着剤は、不陸吸収材3、構造物1、補強材4の三者との接着性に優れたものが好ましく、それらの材質にもよるが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤といった樹脂系接着剤、セメント系接着剤(例えば、SBRモルタル)、新たに開発される接着剤等を使用することができる。
不陸吸収材3への接着剤含浸方法は種々あり、例えば、不陸吸収材3への接着剤の塗布、吹き付け、接着剤内への不陸吸収材3の漬け込み等の方法がある。
接着剤の硬化方法も種々あり、例えば、主剤と硬化剤の二種を混合させる方法、接着剤を含浸させた不陸吸収材3に硬化剤を吹き付ける方法、加熱硬化方法、紫外線照射硬化方法、自然硬化方法等がある。
(補強材一体型不陸吸収材の実施形態)
本発明の補強材一体型不陸吸収材は、図6に示すように、補強材4の接合面4aに不陸吸収材3を取付けたものである。この不陸吸収材3の材質、形状、サイズ等は前記した不陸吸収材3と同じものでも異なるものでもよい。
(構造物補強構造の実施形態1)
本発明の構造物補強構造は、図1〜4、図6に示すように、構造物1に剛性のある補強材4を重ねて接着固定した構造物補強構造であり、構造物1の接合面2に不陸7があっても接合面2に追従可能な可撓性と肉厚と接着剤を含浸可能な含浸性(吸収性)を備えた不陸吸収材3が前記接合面2に重ねられ、当該不陸吸収材3の外側に不陸に追従しない剛性のある補強材4が重ねられ、当該補強材4が不陸吸収材3に含浸された接着剤によって前記構造物1の接合面2に面密着固定されると共にボルト止めされ、前記接着剤の硬化に伴って硬化した不陸吸収材3とその不陸吸収材3を挟む構造物1と補強材4とが一体化されたものである。ボルトは汎用のボルトでも、一部が構造物1に埋設されたアンカーボルトでもよい。
前記構造物1、不陸吸収材3、補強材4の形状、材質、厚さ等は前記した構造物補強工法の実施形態で説明したものと同じものでもよく異なるものでもよい。不陸吸収材3は構造物1の接合面2及び補強材4の接合面4aの全面に密着するのが好ましいが、密着箇所は必ずしも全面ではなく、略全面であってもよく、夫々の接合面の数箇所であってもよい。この数ヶ所は夫々の接合面2、4aの広範囲にわたる数ヶ所とすることが望ましい。構造物1、補強材4は平面板状のものに限らず立体的なものであってもよい。
(構造物補強構造の実施形態2:スペーサー付き補強構造)
本発明の構造物補強構造は、本発明の構造物補強構造では、図7、図8のようにスペーサー9を取付けた構造であってもよい。この場合は、不陸吸収材3のうちスペーサー9に当たる部分に嵌合部10を設けて、不陸吸収材3をスペーサー9の上から構造物1に重ねたときに、図7(b)のように切除部3がスペーサー9の外周に被さった構造であってもよい。
(構造物補強構造の実施形態3:バックアップ材付き補強構造)
本発明の構造物補強構造は、本発明の構造物補強構造では、図9(a)(b)のようにバックアップ材(シール材)11を備えたものであってもよい。このバックアップ材11は補強材4の接合面4aの周縁部に、接着剤、両面テープなどの任意の固定手段で仮止め或いは本止めして取付けてある。バックアップ材11の形状、材質、厚さ等は前記した構造物補強工法の実施形態で説明したものと同じもの、或いは異なるものとすることができる。バックアップ材11の一部には空気抜き孔を開口しておくことも前記したとおりである。図9(a)のバックアップ材11は上方開口の方形枠状であり、不陸吸収材3が接着剤未含浸の場合に上方開口部11aから接着剤を注入できるようにしてある。図9(b)のバックアップ材11は方形のリング状であり、不陸吸収材3が接着剤含浸済みの場合の使用に適する。
1 構造物
2 構造物の接合面
3 不陸吸収材
3a 接着層
4 補強材
4a 接合面
5 ボルト
6 ナット
7 不陸
8 ボルト差込孔
9 スペーサー
10 嵌合部
11 バックアップ材(シール材)
11a 上方開口部
A 既設構造物
B 接着剤
C 補強部材
D スペーサー

Claims (8)

  1. 鋼製、コンクリート製といった剛性のある構造物に、剛性のある補強材を重ねて接着固定する構造物補強工法において、前記構造物の接合面に不陸(歪、変形等を含む)があっても接合面に追従可能な可撓性を備えた接着剤含浸不陸吸収材又は接着剤未含浸不陸吸収材を前記接合面に重ねる工程と、前記不陸吸収材の外側に不陸に追従できない剛性のある補強材を重ねる工程と、前記不陸吸収材が接着剤未含浸の場合に、補強材を重ねる前に又は重ねてから、不陸吸収材に接着剤を含浸させる工程と、当該不陸吸収材を挟んで前記補強材を前記構造物にボルト止めする工程と、前記接着剤による接着とボルト止めとによって前記構造物と補強材を前記不陸吸収材を挟んで面密着(全面密着又は略全面密着)させ、前記接着剤が硬化した不陸吸収材と当該不陸吸収材を挟む前記構造物と前記補強材を一体化させることを特徴とする構造物補強工法。
  2. 請求項1記載の構造物補強工法において、補強材の片面に、接着剤含浸不陸吸収材又は接着剤未含浸不陸吸収材が取付けられた補強材一体型不陸吸収材を使用し、補強材一体型不陸吸収材の不陸吸収材を構造物に重ねることにより当該不陸吸収材を挟んで補強材を構造物に重ねる工程と、前記不陸吸収材が接着剤未含浸の場合に、補強材一体型不陸吸収材を構造物の接合面に重ねる前に又は重ねてから、当該不陸吸収材に接着剤を含浸させる工程と備えたことを特徴とする構造物補強工法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の構造物補強工法において、構造物の接合面の数箇所にスペーサーを設ける工程と、片面から肉厚方向途中まで開口する切除部又は片面から他面まで貫通する切除部を備えた不陸吸収材を、前記切除部が前記スペーサーに被さるように前記スペーサーの上に被せる工程と、前記不陸吸収材の上に補強材を重ねる工程を備えたことを特徴とする構造物補強工法。
  4. 請求項1又は請求項2記載の構造物補強工法において、構造物の接合面の外周縁にバックアップ材(シール材)をリング状(ほぼリング状を含む)に接着固定する工程と、前記バックアップ材に不陸吸収材を重ねるか又はバックアップ材のリングの内側に配置する工程と、前記不陸吸収材に補強材を重ねる工程と、前記バックアップ材と補強材を前記不陸吸収材に含浸された接着剤により面密着固定させる工程を備えたことを特徴とする構造物補強工法。
  5. 構造物に剛性のある補強材を重ねて接着固定した構造物補強構造において、構造物の接合面に不陸があっても接合面に追従可能な可撓性と厚さと接着剤含浸性と接着剤の硬化に伴って硬化する硬化性とを備えた不陸吸収材が、前記接合面に重ねられ、当該不陸吸収材の外側に不陸に追従しない剛性のある補強材が重ねられ、当該補強材が不陸吸収材に含浸された接着剤によって前記構造物に面密着されるとともにボルト止めされ、前記接着剤の硬化により硬化した不陸吸収材と当該不陸吸収材を挟む前記構造物と前記補強材との三者が一体に固定されたことを特徴とする構造物補強構造。
  6. 請求項5記載の構造物補強構造において、構造物の接合面にスペーサーが設けられ、スペーサーの外周に嵌合部を被せて不陸吸収材が重ねられ、この不陸吸収材の外に補強材が重ねられ、そのスペーサーと不陸吸収材を挟んで、構造物と補強材が不陸吸収材に含浸された接着剤及びボルト止めにより面密着して固定され、前記接着剤の硬化により不陸吸収材が硬化して、当該不陸吸収材とそれを挟む構造物と補強材が一体化されたことを特徴とする構造物補強構造。
  7. 請求項5記載の構造物補強構造において、構造物の接合面の周縁部にバックアップ材(シール材)がリング状(ほぼリング状を含む)に取付けられ、バックアップ材の外側又は内側に不陸吸収材が重ねられ、当該不陸吸収材の外側に補強材が重ねられ、構造物と補強材が不陸吸収材に含浸された接着剤及びボルト止めにより面密着して固定され、前記接着剤の硬化により不陸吸収材が硬化して、当該不陸吸収材とそれを挟む構造物と補強材が一体化されたことを特徴とする構造物補強構造。
  8. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の構造物補強工法又は、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の構造物補強構造で使用される不陸吸収材において、不陸吸収材が構造物と補強材の間に配置されて構造物の接合面の不陸を吸収可能な肉厚であり、構造物の接合面の不陸に追従可能な可撓性と接着剤を含浸可能な含浸性(吸収性)を備え、含浸された接着剤が硬化すると硬化して構造物と補強材と面密着して一体化するものであり、剛性のある補強材の接合面に取付けられている補強材一体型であるか、補強材に取付けられていない単体型であることを特徴とする不陸吸収材。
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