JP2004044322A - コンクリート構造物の補修・補強方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】81は補強層8としての例えば、カーボン繊維体であって、該カーボン繊維体81はコンクリート構造物10の2層構造のシート6の破断を防止するために物理的強度を高めることを目的として積層され、その物理的強度は接着補助層7としてのガラス繊維体71を積層されて接着剤9と一体化したとき、コンクリート片が剥離した場合、コンクリート片の重さに耐えて落下を防止する程度の強度を確保する。そして、コンクリート構造物10に当該2層構造のシート6を貼付け、施工する際、使用する接着剤9が上記ガラス繊維体71内に充分含浸され、当該接着剤9によりコンクリート構造物10の剥離や落下を防止できる。
【選択図】
図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物の補修・補強方法に関し、更に詳しくはカーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに編み込んだガラス繊維シート又は不織布とでなる2層構造のシートによるコンクリート構造物の補修・補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今に於いて、道路橋や建築物の床版又は梁が鉄筋の錆や疲労等により又はコンクリートの中性化等によって老朽化し、社会問題となっている。而して、当該道路橋や建築物の床版又は梁を補修又は補強する必要があった。そこで、従来の技術としては、下地に含浸接着剤を予め塗布し、例えばカーボン繊維シートを所定の位置に貼付ける構成である。この構成では、専用の含浸器具を用いて当該カーボン繊維シートが蛇行することなく、弛みを防止し又は毛羽立ちがないように当該接着剤を下地に含浸させることが重要である。
【0003】
そして、従来の技術の具体例としては、図6に示すようなコンクリート構造物の補強方法がある。これについて説明すれば、コンクリート製の床版1のコンクリート下面に床版1の長さ方向に沿って、並行に等間隔に配列してなるカーボン繊維強化プラスチック板2、2、2が接着され、また床版1の幅方向にもカーボン繊維強化プラスチック板3、3、3が床版1の長さ方向に延びるカーボン繊維強化プラスチック板2、2、2と直行するように等間隔に配列されている。そして、該カーボン繊維強化プラスチック板2、2、2及び3、3、3の組合せによりカーボン繊維強化シート4を構成し、コンクリート製の床版1の補強を行っていた。
【0004】
そこで、床版1へのカーボン繊維強化シート4による補修又は補強方法は、コンクリート構造物のコンクリート剥離や落下する箇所を補修等することや耐荷力を向上させる目的であって、先ず、床版1の下面に付着している油などの不純物を有機溶剤や石鹸水で除去し、床版1の下面のひび割れ部やコンクリートの欠けた箇所にモルタル又は樹脂を充填し、またコンクリートの凸部を削り接着面をサンダー等で平滑にする。ついで、床版1の下面にカーボン繊維強化材のマトリックスとなる接着剤や樹脂を塗布ローラで塗布し、長さ方向及び幅方向にカーボン繊維強化プラスチック板2、2、2及び3、3、3を所定の間隔で配置し、当該カーボン繊維強化プラスチック板2、2、2及び3、3、3上にマトリックスとなる樹脂を塗布し、その上を脱泡ローラがけを行い、カーボン繊維強化シート4へ専用の含浸器具(図示せず)で樹脂含浸と同時に脱泡を実施し、常温で硬化させる。而して、床版1の下面のコンクリートにいわゆるカーボン繊維強化プラスチックシート層を形成し、該床版1の補修又は補強を行う。そして、補修や補強の度合いによって、これらの積層作業を繰り返し、積層枚数すなわち強化繊維層を増加させるコンクリート構造物の補修・補強方法であった。尚、図中、5は床版1を支持している橋脚である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は叙上したコンクリート構造物の補修・補強方法は、次のような課題が存在した。
すなわち、先ず、躯体等の下地に含浸接着剤を予め丁寧に塗布し、当該カーボン繊維プラスチック板2、2、2及び3、3、3の組合せでなるカーボン繊維強化シート4を所定の位置に貼付ける。このとき、専用の含浸器具を用いて当該カーボン繊維強化シート4が蛇行することなくまた弛むことなく、そして、毛羽立ちがないようにするためには、入念に接着剤を当該カーボン繊維強化シート4に含浸させることが必要である。しかし、当該カーボン繊維強化シート4は自体樹脂や接着剤の含浸性能が悪く、接着剤の塗布むらや含浸作業の丁寧さ等により含浸不足を招来し、含浸作業が完全でないうえ、カーボン繊維強化シート4の貼付け作業を含めて長時間の作業となり、作業効率が悪いものであった。
【0006】
また、貼付け作業完了後に於いても、当該カーボン繊維強化シート4のいわゆる浮きや膨れ現象が惹起し、作業完了後の見栄えが悪く、また当該従来の技術はコンクリート構造物の剥離や落下箇所の補修、又は耐荷力向上のための補強に限定された方法によることも併せてコンクリート構造物全体の補修、補強の効果が薄れるものであった。特に、カーボン繊維強化シート4の浮きや膨れ現象が生起されたとき、接着剤や樹脂を当該カーボン繊維強化シート4に再注入する作業が要求され、トータル的な作業効率が極めて悪く作業コストが大幅に増大する等種々の問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、補強層としてのカーボン繊維シートを製作する際に、接着補助層としてのガラス繊維シート又は不織布を予め編み込み、2層構造のシートを構成し、当該2層構造のシートをコンクリートの剥離や落下箇所に限定されない道路橋や各種の建築物等のコンクリート構造物に貼付け、シート貼付け作業の施工性及び確実性を向上させるコンクリート構造物の補修・補強方法を提供することを目的としたものであって、次の構成、手段から成立する。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、該コンクリート構造物に接着するための接着補助層と、該接着補助層の上面に積層された補強層とでなる2層構造のシートに於いて、前記コンクリート構造物の表面に前記接着補助層を接着剤で貼付けすることを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強方法である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、前記接着補助層の繊維基材がガラス繊維、ポリエステル繊維、不織布又はその他の有機繊維でなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修・補強方法である。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、前記補強層の繊維基材がカーボン繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はアラミド繊維でなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修・補強方法である。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、カーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに編み込んだガラス繊維シート又は不織布とでなる2層構造のシートに於いて、前記コンクリート構造物の表面に前記ガラス繊維シートを接着剤で貼付けすることを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強方法である。
【0012】
請求項5記載の発明によれば、前記ガラス繊維シートは、裏糸で前記カーボン繊維シートを編み込んだことを特徴とする請求項4記載のコンクリート構造物の補修・補強方法である。
【0013】
請求項6記載の発明によれば、前記接着剤は、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニルエステル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリマーセメント系接着剤、アクリル系接着剤又はポリオレフィン系接着剤でなることを特徴とする請求項1又は4記載のコンクリート構造物の補修・補強方法である。
【0014】
請求項7記載の発明によれば、コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、カーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに裏糸で編み込み一体化したガラス繊維シートとでなることを特徴とする2層構造のシートである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法に於ける実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0016】
【発明の実施の形態1】
本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法に於ける実施の形態1を説明するに当たり、先ず、図1に基づき本発明に係る2層構造のシートを説明する。
【0017】
6は2層構造のシートであって、接着補助層7及び該接着補助層7に編み込まれ又は上面に積層された補強層8で構成されている。該接着補助層7の繊維基材は、主としてガラス繊維で構成され、他の繊維基材としては、ポリエステル繊維、不織布又はその他の有機繊維でなる。該補強層8の繊維基材は、主としてカーボン繊維で構成され、他の繊維基材としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はアラミド繊維でなる。9は前記2層構造シート6をコンクリート構造物10に貼付けるための樹脂又は接着剤であって、エポキシ系接着剤、メタクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニルエステル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリマーセメント系接着剤、アクリル系接着剤又はポリオレフィン系接着剤でなる。
【0018】
次に、図2に基づき本発明に係る実施の形態1に於ける2層構造のシート6の詳細な構造等について説明する。図2は裏糸無しの2層構造のシート6の構造を示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)の矢印A−A線方向の断面を示す図である。
【0019】
81は補強層8としての例えば、カーボン繊維体であって、該カーボン繊維体81はコンクリート構造物10の2層構造のシート6の破断を防止するために物理的強度を高めることを目的として積層され、その物理的強度は絶縁層7としてのガラス繊維体71を積層されて接着剤9と一体化したとき、コンクリート片が剥離した場合、コンクリート片の重さに耐えて落下を防止する程度の強度を確保する。そして、コンクリート構造物10に当該2層構造のシート6を貼付け、施工する際、使用する接着剤9が上記ガラス繊維体71内に充分含浸され、当該接着剤9によりコンクリート構造物10の剥離や落下を防止する。また、コンクリート構造物10面に引張応力度が作用した場合に、ひび割れを抑制したり、既存のコンクリート構造物10内の鉄筋量の不足を補って、耐荷力の向上を確保する。尚、ガラス繊維体71の厚さとしては100〜300g/m2であって厚みt=0.1〜0.5mmに設計すると好適である。
【0020】
次に、本発明に係る実施の形態1に於ける2層構造のシート6の成形手順について具体的に説明する。
先ず、補強層8は、織布、編布、不織布及び積層布の中から選定された1種又は2種以上の繊維基材からなることが望ましく、更に、前記繊維基材が二本以上の糸条を網目状に交差させて積層した多軸層布であることがより望ましい。その理由は、補強層8が接着補助層7としてのガラス繊維体71より上面である場合、施工用の接着剤9が補強層8側に流入するからである。また、多軸層布としては、例えば、3本の糸を用い交点を接着させた3軸メッシュや縦横の繊維を接着させた構成のもの又は2軸直交積層布など2本以上の糸を用い交点を接着させた積層布を挙げることができる。特に、三軸以上の多軸積層布が縦横だけでなく斜めの方向など多様な方向からの引張りに対して優れた強度を有することとなる。かかる繊維基材としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維又はポリオレフィン繊維がよい。そして、これらの繊維は混紡されていてもよいし、縦糸、横糸に使い分けられ、多層に積層されることもできる。
【0021】
本発明に於ける図2(a)に示すものは、補強層8としてのカーボン繊維体81を使用している。そして、該カーボン繊維体81の下側、つまり、コンクリート構造物10へ接着する側から接着補助層7としてのガラス繊維体71を編み込み、両者を結合する。例えば、カーボンのストランドとガラス繊維体71を編み込む際、横糸で相互を繋ぐものである。この状態は、図2(a)の矢印A−A方向からみた断面図、すなわち図2(b)に示している。このように2層構造のシート6は、編み組みされて完成される。そして、当該2層構造のシート6は、図3に示すように厚みや剛性に制限されるものではなく、薄くて柔軟性に富むフィルムや比較的剛性の高い板状のものも含まれる。
【0022】
次に、上記した図2(a)、(b)に示す本発明の実施の形態1に基づく2層構造のシート6をコンクリート構造物10に貼付ける場合、すなわちコンクリート構造物の補修、補強方法を説明する。
【0023】
上述した2層構造のシート6のガラス繊維体71を接着剤9と一体化して図1のように該コンクリート構造物10に貼付ける。2層構造のシート6の貼付けに際しては、加熱ローラーやアイロンを用いて施工用接着剤9の流動性を高めて圧着する。このように施工することにより、該接着剤9を図5(a)に示すようにガラス繊維体71からカーボン繊維体81まで充分に浸透させ、かつ、該接着剤9層中の空気を追い出し、接着する強度を高めることができる。また、枚葉状の発明に係る2層構造のシート6を多数並設して使用するときは、該シート6の端部同志を衝当させてコンクリート構造物10に貼付すると、表面の凹凸がなく、施工後の見栄えがよい。
【0024】
ここで、施工用の接着剤9としては、前述したようなエポキシ系接着剤、メタクリル系接着剤等が選定される。また、これらの接着剤9は高い接着強度が得られることにより、硬化型の接着剤とする。然るに、該接着剤9は常温硬化型、加熱硬化型、水分硬化型、電子線若しくは紫外線又は可視光線などのエネルギー線硬化型等が良好である。そして、これらの接着剤を2種以上積層しても勿論可能である。
【0025】
【発明の実施の形態2】
本発明に係るコンクリート構造物の補修、補強方法に於ける実施の形態2を説明する。図4は、裏糸有りの2層構造のシート61の構造を示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)の矢印B−B線方向の断面図を示す図である。
【0026】
61は、本発明に係る実施の形態2に基づく2層構造のシートである。11は、接着補助層7としてのガラス繊維体71の一部に設けかつ前記補強層8のカーボン繊維体81を横断した編み込んだ裏糸である。該裏糸11は、前記2層構造のシート61の歪み防止機能を備えた例えばガラス繊維体で構成される。また、該裏糸11はビニロン繊維体、アラミド繊維体、ポリエステル繊維体等で形成することができ、例えば図4(b)に示すようにカーボン繊維体81に縫い込むように連系して固定している。
【0027】
尚、本発明に係る実施の形態2による2層構造のシート61に於ける外の構成部分は、前記図2(a)、(b)に示す本発明に係る実施の形態1による2層構造のシート6に於ける構成と同一であるので、その説明を省略する。また、本発明に係る実施の形態2によるコンクリート構造物の補修、補強方法の手順等は前述した実施の形態1と略同一であり、その説明を省略する。
【0028】
次に、本発明に係る2層構造のシート6、61の施工性及び付着強度について試験した結果について説明する。
【0029】
前記2層構造のシート6、61を次の仕様で試験を行った。すなわち、補強層8としてのカーボン繊維体81が20tタイプ、300g/m2であって、接着補助層7としてのガラス繊維体71が目付108g/m2の平織り構成で、縦60本/インチ、横57本/インチ、厚さ0.1mmである。そして、試験結果としては図5(b)に示すデータが得られた。
【0030】
裏糸11の有無に関わらず施工性は良く、図5(a)に示すようにシート6、61表面への接着剤9(下塗り0.40〜0.47g/m2)の浸み出しは早かった。通常のカーボン繊維体81の場合、カーボンストランドの緊張の違いから浮きが少量発生するが、本シート6、61の場合その傾向も見られなかった。本シート6、61の場合、裏面にガラス繊維体71があるため直線性を確保し易い。特に裏に歪み防止ガラス繊維を配した(裏糸有り)ものの方が直線性が高い。
【0031】
また、接着剤9のシート6、61への含浸性を確認した結果、ガラス繊維体71、カーボン繊維体81共に十分含浸している。これは、ガラス繊維体71の糸には表面にワックス、シランカップリング剤等の表面活性剤が処理されており、含浸し易くなる。また、絶縁カーボン繊維シートは含浸性、付着性、上向き施工性共に良好であった。
付着強さ試験の結果、図5(b)に示すように全てが十分な付着強さを示し、破壊形状もコンクリート母材破壊であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法は叙上の構成及び工程であるので、次の効果がある。
【0033】
請求項1記載の発明によれば、コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、該コンクリート構造物に接着するための接着補助層と、該接着補助層の上面に積層された補強層とでなる2層構造のシートに於いて、前記コンクリート構造物の表面に前記接着補助層を接着剤で貼付けすることを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
このような構成としたので、道路橋等各種の鉄筋コンクリート構造物若しくはコンクリート構造物全般の補修、補強工事に関し、工事コストの低減及び工期を短縮すると共に、2層構造のシートによるコンクリート構造物への付着強度を高めた貼付け作業の効率及び耐久性を向上させる効果がある。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、前記接着補助層の繊維基材がガラス繊維、ポリエステル繊維、不織布又はその他の有機繊維でなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
このような構成としたので、接着補助層としてのガラス繊維体はもとより各種の繊維を利用でき、各種の補修、補強施工工事に適応させることができると共に、接着剤の含浸性を高める効果がある。
【0035】
請求項3記載の発明によれば、前記補強層の繊維基材がカーボン繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はアラミド繊維でなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
このような構成としたので、カーボン繊維体を含む各種の繊維体でなる補強層を作成でき、含浸器具による含浸作業を簡素化し、実施化を容易とする効果がある。
【0036】
請求項4記載の発明によれば、コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、カーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに編み込んだガラス繊維シート又は不織布とでなる2層構造のシートに於いて、前記コンクリート構造物の表面に前記ガラス繊維シートを接着剤で貼付けすることを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
このような構成としたので、2層構造のシートに於いて、コンクリート構造物側にガラス繊維シートを配備したので接着剤の含浸性を高めて含浸不足を解消すると共に、2層構造のシートのいわゆる浮きや膨れ現象を防止して施工性や工事の信頼性を高めることができる効果ある。また、ガラス繊維シート又は不織布が下地の不揃いに対し厚みを調整し、シートの平坦性を維持する効果がある。
【0037】
請求項5記載の発明によれば、前記ガラス繊維シートは、裏糸で前記カーボン繊維シートを編み込んだことを特徴とする請求項4記載のコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
このような構成としたので、接着補助層としてのガラス繊維体に裏糸を配備したので2層構造のシートの歪みを防止することができる効果がある。
【0038】
請求項6記載の発明によれば、前記接着剤は、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニルエステル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリマーセメント系接着剤、アクリル系接着剤又はポリオレフィン系接着剤でなることを特徴とする請求項1又は4記載のコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
このような構成としたので、各種の接着剤で構成されると共に、コンクリート構造物への2層構造のシートを貼付けた後、該接着剤が容易に硬化するので補強層がより補強機能を果すこととなる効果がある。
【0039】
請求項7記載の発明によれば、コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、カーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに裏糸で編み込み一体化したガラス繊維シートとでなることを特徴とする2層構造のシートを提供する。
このような構成としたので、2層構造のシートの歪みを防止すると共に、接着剤の含浸性を高めかつ施工性を向上させるシートとする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法に於ける実施の形態1を示す概要図である。
【図2】本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法に於ける実施の形態1を示すものであって、裏糸無しの場合の具体的な2層構造のシートを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の矢印A−A方向の断面図である。
【図3】本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法に於ける実施の形態1を示すものであって、2層構造のシートの平面図である。
【図4】本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法に於ける実施の形態2を示すものであって、裏糸有りの場合の具体的な2層構造のシートを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の矢印B−B方向の断面図である。
【図5】本発明に係るコンクリート構造物の補修・補強方法について、シートの施工性と付着強度を試験した説明図であって、(a)は試料としての2層構造のシートの断面図、(b)は付着強さの試験データを示した図である。
【図6】従来の技術に於けるコンクリート構造物の補強方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コンクリート製の床版
2 カーボン繊維強化プラスチック板
3 カーボン繊維強化プラスチック
4 カーボン繊維強化シート
5 橋脚
6 裏糸無しの2層構造のシート
61 裏糸有りの2層構造のシート
7 接着補助層
71 ガラス繊維体
8 補強層
81 カーボン繊維体
9 接着剤
10 コンクリート構造物
11 裏糸
Claims (7)
- コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、該コンクリート構造物に接着するための接着補助層と、該接着補助層の上面に積層された補強層とでなる2層構造のシートに於いて、前記コンクリート構造物の表面に前記接着補助層を接着剤で貼付けすることを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強方法。
- 前記接着補助層の繊維基材がガラス繊維、ポリエステル繊維、不織布又はその他の有機繊維でなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修・補強方法。
- 前記補強層の繊維基材がカーボン繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維又はアラミド繊維でなることを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補修・補強方法。
- コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、カーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに編み込んだガラス繊維シート又は不織布とでなる2層構造のシートに於いて、前記コンクリート構造物の表面に前記ガラス繊維シートを接着剤で貼付けすることを特徴とするコンクリート構造物の補修・補強方法。
- 前記ガラス繊維シートは、裏糸で前記カーボン繊維シートを編み込んだことを特徴とする請求項4記載のコンクリート構造物の補修・補強方法。
- 前記接着剤は、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニルエステル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリマーセメント系接着剤、アクリル系接着剤又はポリオレフィン系接着剤でなることを特徴とする請求項1又は4記載のコンクリート構造物の補修・補強方法。
- コンクリート構造物を補修・補強するシートであって、カーボン繊維シートと、該カーボン繊維シートに裏糸で編み込み一体化したガラス繊維シートとでなることを特徴とする2層構造のシート。
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