JP3477118B2 - 版状コンクリート構造体の補強方法 - Google Patents
版状コンクリート構造体の補強方法Info
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Description
コンクリート構造体の補強方法に関し、より詳しくは強
化繊維からなる二方向織りの繊維シートを用いて、版状
コンクリート構造体の下面から作業を行う補強方法に関
する。
コンクリート構造体には、長期間の使用によってひび割
れ等の損傷や表面の劣化が起こるといった問題があり、
かかる問題は、交通量、車両重量、積載荷重等の増加に
伴ってより顕著なものとなっている。このため、橋梁に
は定期的な補修が要求されたり、版状コンクリート構造
体自体を補強することが要求されている。
(a) 版状コンクリート構造体の床版上面にコンクリート
を重ね打ちしたり、損傷を受けた箇所の床版を取り除
き、当該箇所にコンクリートを打設する方法、(b) 床版
下面を削り、当該箇所に型枠を設けてコンクリートを注
入、打設する方法(特開平8−333900号公報)、
(c) 床版上面に帯状鋼鈑を固定し、その上にコンクリー
トを打設する方法(特開平9−59929号公報)が知
られている。
コンクリート構造体の厚みや重量が大幅に増加するた
め、橋桁の設置条件等によっては補修を施す限界が生じ
る。また、床版上面で作業する場合には、橋梁上の交通
を遮断しなければならないという制約を受けるという問
題もある。
法に代えて、版状コンクリート構造体自体を補強する方
法が提案されている。かかる方法としては、例えば(d)
版状コンクリート構造体の表面に繊維強化プラスチック
シートを接着して補強する方法(特開平9−72100
号公報)が挙げられるが、この方法では補強効果が不十
分である。
繊維、有機繊維等の強化繊維を一方向に配列して繊維シ
ートを形成し、これにエポキシ樹脂、メタクリル樹脂等
を含浸させて、主筋方向と配力筋方向とに分けて貼付
け、積層する方法(いわゆるハンドレイアップ成形法)
が挙げられる。この方法に用いられる繊維シートとして
は、例えば(e) 強化繊維を一方向に配列したシート状物
に特定のアクリル系樹脂を含浸させたもの(特開平9−
177333号公報)、(f) 樹脂を含有する強化繊維束
を一方向に配列し、熱融着性繊維を強化繊維束と直交す
る方向に所定間隔で配置したもの(特開平9−1110
08号公報、特開平9−111010号公報)、(g) 熱
可塑性樹脂を含浸させて乾燥した網織物製強化繊維支持
体の片面に強化繊維を一方向に配列したもの(特開平9
−314731号公報)が挙げられる。
方法はいずれも、強化繊維からなるシート状物への樹脂
の含浸を確認しながら行う必要があり、積層作業自体が
人力作業であることと併せて、一般の機械作業に比べて
施工効率が低くなる。とりわけ、一方向の繊維シートを
用いて十分な補強効果を得るには、主筋方向と配力筋方
向の2回に分けて貼付け積層作業を行う必要があるた
め、施工効率が低いという問題が顕著であって、施工コ
ストが高くなる。また、積層されたシートに荷重がかか
ると、シート間に剥離が生じ易くなるという問題もあ
る。
と直交する方向に熱融着性繊維が配置されているが、こ
の熱融着性繊維は、一列に配列された強化繊維をシート
状に成形するために用いられるものであって、それ自体
には補強効果がない。また、上記(g) のシートでは、シ
ート面全体が支持体で覆われるため、樹脂の含浸性が低
下し、施工性が低下するという問題がある。さらに、前
述のように、十分な補強効果を得るために繊維シートを
多数枚積層する場合においては、主筋方向と配力筋方向
の二方向づつ繊維シートを貼付けなければならないた
め、積層数(貼付け回数)の増加に伴う繊維シートの厚
みの増加が著しい。一般に、載荷輪荷重に対する耐力
は、炭素繊維シートを主筋方向と配力筋方向に1回づつ
積層した場合よりも2回づつ積層した場合の方が大きく
なるものの、積層回数が3回以上になると炭素繊維シー
トの総積層厚が厚くなりすぎるために剛性が高くなり、
床版のひび割れ近傍において比較的小さな荷重に対して
もコンクリート床版と炭素繊維シートとの境界面で付着
剥れを起こし易くする。その結果、積層回数を増やすこ
とによって逆に耐力が小さくなるという問題が生じる。
トを軽減でき、かつ優れた補強効果を発揮し得る版状コ
ンクリート構造体の補強方法を提供することである。
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、耐力がたて糸
方向とよこ糸方向の両方において所定値以上である繊維
シートに樹脂を含浸させ、これを版状コンクリート構造
体の下面に貼付けたときは、工程数や施工コストを軽減
でき、かつ優れた補強効果を発揮し得るという新たな事
実を見出し、本発明を完成するに至った。
体の補強方法は、版状コンクリート構造体の下面にプラ
イマー処理をした後、その上に繊維シート接着用の常温
硬化型樹脂を塗布し、たて糸方向およびよこ糸方向の耐
力がそれぞれ35トン重/m以上であるアラミド繊維か
らなるバスケット織りの繊維シートに常温硬化型樹脂を
含浸させ、この常温硬化型樹脂を含浸させた繊維シート
を、上記繊維シート接着用の常温硬化型樹脂を塗布した
版状コンクリート構造体の下面に貼り付け、さらに、当
該繊維シートの下面から当該繊維シートに常温硬化型樹
脂を含浸させることを特徴とする。上記本発明の版状コ
ンクリート構造体の補強方法によれば、繊維シートがそ
のたて糸方向とよこ糸方向の両方向において十分な耐力
を示すことから、主筋方向と配力筋方向との2方向の補
強を行う目的で貼付け作業を2回行う必要がなく、1回
の作業で2つの方向への十分な補強を行うことができ
る。従って、施工効率が上昇するとともに、施工コスト
を半分に低減することができる。
わち繊維シートの積層回数を抑えることができることに
起因して、界面での接着不良、繊維シートのうきやしわ
の発生といった、積層数の増加に伴って生じる弊害を減
少させることができるとともに、載荷輪荷重に対する耐
力を増加させることもできる。繊維補強シートの耐力
が、たて糸方向またはよこ糸方向のいずれか一方でも3
5トン重/mを下回ると、必要な補強を行うためのシー
トの積層枚数が増加し、作業効率の低下を招くおそれが
ある。繊維補強シートの耐力は、上記範囲の中でも、た
て糸方向およびよこ糸方向がそれぞれ45トン重/m以
上であるのが好ましい。この場合、積層枚数が過大にな
ることがなく、効率的な施工を行うことができる。
は、JIS K 7073「炭素繊維強化プラスチック
の引張試験方法」に準じて単位面積当たりの引張強度を
測定し、これに織物の巾を乗じて織物当たりの強度とし
て算出したものである。本発明に用いられる繊維補強シ
ートは、強化繊維を縦方向と横方向との2方向に織り込
んだ、いわゆるバスケット織りの繊維シートであるのが
好ましい。本発明において、「バスケット織物」とは、
2本以上のたて糸が共通運動し、2本以上のよこ糸が同
じ杼口(ひくち)に入ることによって構成される織物組
織を有するものである。
りによって強化繊維を縦横二方向に織り込んだものであ
るときは、シートの形状が安定して取扱性が向上する。
このため、含浸性と取扱性とを両立させることができ、
取扱性を犠牲にしなくても充分な含浸を確保することが
できる。さらに、本発明によれば、コンクリート構造体
の下面から補強を行うため、橋梁等の場合、上面の交通
を妨げることなく、補強作業を行うことができる。さら
に、コンクリートは圧縮に強いものの、引張り力に弱い
という性質があるため、下面を補強することによって補
強効率を高くすることができる。
ト織りによって縦と横の二方向に織りあげたものであ
る。前記繊維シートに使用する強化繊維としては、アラ
ミド繊維を単独で用いるほか、従来公知の種々の化学繊
維をこれに混合して用いることもできる。
びよこ糸方向ともに35〜90トン重/mの範囲である
のが好ましい。耐力が前記範囲を下回ると補強効果が小
さく、逆に前記範囲を超えるとシートの目付け量(繊維
の量)が多くなりすぎて樹脂の含浸が困難になる。前記
繊維シートの耐力は、前記範囲の中でも45〜80トン
重/mであるのが好ましく、45〜60トン重/mであ
るのがより好ましい。また、前記繊維シートの目付け量
は、400〜1300g/m2 であるのが好ましく、よ
り好ましくは550〜1100g/m2 、さらに好まし
くは650〜900g/m2 である。本発明における目
付け量の測定は、JIS L 1096「一般織物試験
方法」の「6.4 単位面積当たりの質量」に記載の方
法に従って測定したものであって、単位面積当たりの絶
乾重量で表したものである。
行うための繊維シートとしては、強化繊維をバスケット
織りしたもののほかに、一方向に引き揃えた強化繊維シ
ート2枚を縦横に直交するように重ねた上で両者を補助
糸で粗く結束した、たて・よこ糸挿入ラッシェル経編み
(以下、「二重ラッシェル」という)が挙げられる。し
かしながら、後述するように、二重ラッシェルの繊維シ
ートはバスケット織りのものに比べて版状コンクリート
構造体に対する接着力が低かったり、補強効果が低いた
め、本発明の用途には不十分である。
しては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリ
ル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹
脂等の常温硬化型の樹脂が好ましい。本発明に使用され
る樹脂の量については、繊維シートの目付け量の1.5
〜2.0倍を目安にすれば含浸が充分に行われ、かつ余
分な樹脂の無駄を省くことができる。
m2 の範囲であるのが好ましい。中でも、700〜23
00g/m2 であるのが好ましく、1200〜2000
g/m2 であるのがより好ましい。例えば耐力がたて糸
方向、よこ糸方向ともに60トン重/mで、目付け量が
872g/m2 である繊維シートでは、樹脂の使用量が
1400g/m2 であるときに最適な施工性を示す。
シートによる版状コンクリート構造体の補強方法に用い
られるものと同様のもので施工できるが、目付け量が上
記範囲内にある二方向の繊維シートは、一方向のものと
同様に、各種樹脂に対して適度な含浸性を示すため、比
較的高粘度な性状であっても充分な含浸性を示すことが
できる。例えば、E型粘度計,3度コーンで、20℃で
の粘度測定値が、約2万cps(1rpm)、約500
0cps(10rpm)の高揺変性を有するエポキシ樹
脂を使用しても、含浸性が良好であることを確認でき
た。
は、繊維シートと含浸用樹脂の最大重量が1m2 辺り
4.0kgとなり、貼付け直後に落下する危険性がある
が、使用する樹脂が高粘度・高揺変性であるため、樹脂
が硬化するまでの間のシートの定着性に対しては問題が
なかった。 〔繊維シート〕繊維シートの大きさは特に限定されるも
のではないが、施工上の取扱性等の観点から、例えば幅
0.5〜4m、長さ20〜30mの範囲で設定される。
長さは運搬上の都合によって適宜設定される。
工する際には、施工する版状コンクリート構造物の幅方
向(例えば橋の幅方向)に繊維シートを貼付け、次いで
前記幅方向に多少の重なりを設けて、幅方向と直交する
方向に沿って順次繊維シートを貼り詰めればよい。繊維
シートの接着・含浸方法としては、まず、定法に従っ
て、施工する版状コンクリート構造物の表面にプライマ
ーを塗布する。プライマーは常温硬化型エポキシ樹脂で
あるのが好ましいが、これに限定されるものではない。
て、コンクリート構造体の欠損部をパテ状樹脂で埋め
る。パテ状樹脂で埋める方法は定法の通りでよい。パテ
状樹脂は常温硬化型エポキシ樹脂であるのが好ましい
が、これに限定されるものではない。プライマーおよび
パテの硬化後、繊維シートの貼付けを行う。繊維シート
の貼付けに際しては、少なくとも貼り付ける繊維シート
に樹脂を含浸させればよいが、貼付けの対象であるコン
クリート構造物の表面(下面)にもあらかじめ樹脂を塗
布しておくのが好ましい。繊維シートに樹脂を含浸させ
るだけでは、繊維シートの樹脂含浸性が良好であるた
め、コンクリート構造物との界面で樹脂が不足するおそ
れが生じるからである。
ンクリート構造物の下面に貼り付け、さらに続けて繊維
シートの表面から樹脂を補充し、含浸させるのが、繊維
シートとコンクリート構造物との接着性をより一層向上
させるためにも好ましい。繊維シートをコンクリート構
造物の下面に貼り付ける際には、これに限定されるもの
ではないが、繊維シートへの含浸および版状コンクリー
ト下面への塗布に使用する樹脂の総量のうち、10〜6
0重量%をコンクリート構造物の下面にあらかじめ塗布
し、30〜80重量%を繊維シートにあらかじめ含浸
(予備含浸)させて、さらに残りの樹脂(5〜50重量
%程度)を、繊維シートをコンクリート構造体に貼り付
けた後で当該繊維シートに塗布し、含浸させる(補充含
浸)させる方法を採用するのが好ましい。
ートを使用する場合には、最適な樹脂使用量は1400
g/m2 である。従って、この樹脂使用量のうち、コン
クリート構造物の下面に140〜840g/m2 、好ま
しくは450g/m2 程度をあらかじめ塗布し、繊維シ
ートに420〜1120g/m2 、好ましくは650g
/m2 程度をあらかじめ含浸(予備含浸)させ、さらに
繊維シートの貼り付け後に残量を、好ましくは300g
/m2 程度を含浸(補充含浸)させるのが適当である。
下面に貼り付ける際には、定法の通り、繊維シート内に
存在する気泡を取除くべく、ローラー等でしごいておく
のが好ましい。
り繊維シート用の繊維には、東レ・デュポン(株)製の
パラ系アラミド繊維〔商標名「ケブラー(R) 」(「ケブ
ラー(R) 」はデュポン社の登録商標である。)、引張強
度290kgf/mm2 、引張弾性率11000kgf
/mm2 、2840デニール〕を使用した。前記強化繊
維を縦方向および横方向のそれぞれに32本/インチの
密度で配置し、4本のたて糸が共通運動をして、同じ杼
口に4本のよこ糸が入ることによって構成される織物組
織からなるバスケット織り物を製織した。得られた繊維
シートの目付け量は872g/m2 であって、耐力はた
て糸方向が60トン重/m、よこ糸方向が60トン重/
mであった。
常温硬化型エポキシ樹脂「グリップボンドGB15」を
使用した。含浸用樹脂には、住友ゴム工業(株)製の常
温硬化型エポキシ樹脂「グリップボンドGB−35W」
を使用した。補強効果の評価方法は次の通りである。幅
2.8m、長さ4.5m、厚さ0.19mのRCスラブ
の供試体を使用し、定点荷重による繰り返し疲労試験に
て所定の初期損傷を与えた。
した。さらに、プライマーの硬化後、前記繊維シートで
供試体の下面を補強した。使用した樹脂量は1層当たり
1400g/m2 である。エポキシ樹脂が十分に硬化し
た後、再度定点荷重による繰り返し載荷試験を行って、
供試体が破壊したときの載荷荷重を求めた。載荷荷重が
大きいほど補強効果が優れていることを示す。また、補
強を行わずに、上記と同様にして試験を行ったときの載
荷荷重を求め、これを対照とした。
けた場合(繊維シート1×1補強)、2回積層した場合
(繊維シート2×2補強)および3回積層した場合(繊
維シート3×3補強)の3通りについて試験を行った。
また、繰返し疲労試験機の最大載荷荷重は、1基当たり
50トン×2基=100トンまでとし、繰返し回数は、
16トンから28トンまで繰返し回数4万回ごとに4ト
ンづつ、28トン以降は2トン毎に繰返し回数4万回の
段階載荷を行った。載荷板には、幅12cm、長さ30
cm、厚さ4cmの鉄板を用い、定点繰返し載荷を行っ
た。
示方書」の規格に準じて作製したものであって、前記初
期損傷は橋梁点検要領案(土木研究所資料第2651
号、昭和63年7月)における損傷度II(二方向ひび
割れ)を想定したものである。補強効果の評価結果を表
1に示す。
トを1回貼り付けた場合および2回積層した場合(「繊
維シート1×1」、「繊維シート2×2」補強)には、
補強を行わなかった場合(無補強)に比べて載荷荷重が
高く、実用上十分な補強効果が得られた。さらに、繊維
シートを3回積層した場合(「繊維シート3×3」)に
おいても、より一層優れた補強効果が得られた。
ェル繊維シートの比較試験〕幅400mm、高さ190
mm、長さ2000mmのコンクリート梁供試体(版状
コンクリート構造体)を作製し、バスケット織り繊維シ
ートと二重ラッシェル繊維シートとの接着力の比較試験
を行った。バスケット織り繊維シートとしては、前述の
「版状コンクリート構造体の補強実施例」で使用したの
と同じもの(耐力:たて糸方向およびよこ糸方向とも6
0トン重/m)を用いた。
は、強化繊維としてバスケット織り繊維シートに使用し
たものと同じ品種の強化繊維「ケブラー(R) 」(「ケブ
ラー(R) 」はデュポン社の登録商標である。)1136
0デニールを使用し、この強化繊維を縦方向および横方
向のそれぞれに9本/インチの密度で2方向に配置し
て、補助繊維〔東レ(株)製のポリエチレンテレフタレ
ート繊維、商品名「テトロン」、引張強度60kgf/
mm2 〕で粗く結束したものを使用した。得られた二重
ラッシェル繊維シートの目付け量は920g/m2 であ
って、耐力はたて糸方向およびよこ糸方向とも60トン
重/mであった。
初期損傷を与えたコンクリート供試体を用いて、次のよ
うにして行った。まず、前記実施例と同様にしてプライ
マーを塗布した。次いで、上記繊維シートに含浸用樹脂
(前出の「グリップボンドGB−35W」)を含浸さ
せ、この繊維シートを前記供試体の下面(幅400m
m、長さ2000mm)に接着して、1800mmスパ
ンの支点で前記供試体を支えた。そして、支点間の1/
4地点(端部)と1/2地点(中央部)との2ヶ所にて
静的載荷を行った。
含浸用樹脂の使用量は、バスケット織りの繊維シートが
1400g/m2 、二重ラッシェル織りの繊維シートが
1480g/m2 であった。その結果を表2および3に
示す。
ッシェルの繊維シートよりも、供試体の最大降伏荷重に
対する補強効果および供試体に対する付着力が大きいこ
とがわかった。このことは、バスケット織りの場合には
界面の剥離部分が少なく、前記供試体が降伏荷重に達し
たときに繊維シートが一度に剥れる現象が観察されたの
に対し、二重ラッシェルの場合には界面の剥離部分が多
く、繊維シートが徐々に剥れることからも推測できる。
ット織りの場合には、供試体中の鉄筋の降伏荷重が約1
5%向上していることが認められ、十分な補強効果を発
揮することがわかった。一方、二重ラッシェルの場合は
降伏荷重を向上させる効果が少なく、補強効果が十分で
ないことがわかった。また、バスケット織りのものに比
べて含浸させる樹脂を多く必要とし、かつ樹脂の充填が
不十分な部分を生じ易いという品質上の問題もあった。
クリート構造体の補強方法によれば、版状コンクリート
構造体に対して優れた補強効果を示すほか、繊維シート
の現場での取扱性が従来のものに比べて極めて良好で、
しかも貼付け積層作業が半分ですみ、工程の短縮と施工
コストの低減を実現することができる。そればかりでは
なく、繊維シートの積層数が少なくても、その積層数に
応じた優れた補強効果を得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】版状コンクリート構造体の下面にプライマ
ー処理をした後、その上に繊維シート接着用の常温硬化
型樹脂を塗布し、 たて糸方向およびよこ糸方向の耐力がそれぞれ35トン
重/m以上であるアラミド繊維からなるバスケット織り
の繊維シートに常温硬化型樹脂を含浸させ、 この常温硬化型樹脂を含浸させた繊維シートを、上記繊
維シート接着用の常温硬化型樹脂を塗布した版状コンク
リート構造体の下面に貼り付け、 さらに、当該繊維シートの下面から当該繊維シートに常
温硬化型樹脂を含浸させることを特徴とする版状コンク
リート構造体の補強方法。 - 【請求項2】前記繊維シートの目付け量が400〜13
00g/m2である請求項1記載の版状コンクリート構
造体の補強方法。 - 【請求項3】版状コンクリートの下面をプライマー処理
する予備工程と、 予備工程後の版状コンクリートの下面 に常温硬化型樹脂
を塗布する工程Aと、たて糸方向およびよこ糸方向の耐力がそれぞれ35トン
重/m以上であるアラミド繊維からなるバスケット織り
の繊維シートに常温硬化型樹脂を含浸させる工程Bと、 当該繊維シートを版状コンクリート構造体の下面に貼り
付けた後で、当該繊維シートの表面から常温硬化型樹脂
を含浸させる工程Cと、を含み、 前記工程A〜Cに使用する常温硬化型樹脂の総量のう
ち、 工程Aに用いられる樹脂の量が当該樹脂総量の10〜6
0重量%であり、 工程Bに用いられる樹脂の量が当該樹脂総量の30〜8
0重量%であり、かつ工程Cに用いられる樹脂の量が当
該樹脂総量の5〜50重量%であって、 工程Aに用いられる樹脂の量が、工程Bの繊維シートを
貼り付けた時に版状コンクリートとの界面で樹脂が不足
しない量であることを特徴とする 版状コンクリート構造
体の補強方法。
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JP10-304401 | 1998-10-26 | ||
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