JP6064070B1 - コンクリート構造物の補強方法及びその補強構造 - Google Patents

コンクリート構造物の補強方法及びその補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維シートとコンクリート構造物間における接着力を高めることと、繊維シート内へ隈なく樹脂を含浸させることと、繊維シートが本来有している強力、弾性率を十分に発揮できることの3要件を同時に満たすこと。【解決手段】経糸群編地10Aと緯糸群編地10Bの繊度と繊維群の畝間隔が異なる二方向性の複合繊維シート10を使用し、一方の編地10Bを下塗樹脂51の塗布済みのコンクリート構造物40の表面へ貼り付け、その後に他方の編地10Aに上塗樹脂52を塗布して含浸させる。【選択図】図1

Description

本願発明は橋梁の床版、梁、橋脚およびトンネル覆工コンクリート等のコンクリート構造物の補強技術に関し、特に二方向性の複合繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼り付けて補強するコンクリート構造物の補強方法及びその補強構造に関するものである。
道路橋、RC床版のひび割れや損傷に対する補修、補強方法として補強面に繊維シートを樹脂で接着する補強工法が知られている。
特許文献1には速乾性のプライマーを塗布したコンクリート構造物の表面にドライ状態の繊維シートを貼り付け、繊維シートに速乾性の上塗樹脂を塗布して含浸させることが開示されている。
特許文献2には、プライマー処理を施したコンクリート構造物の表面に、予め樹脂を含浸(予備含浸)させた繊維シートを貼り付け、その後に上塗樹脂を塗布して繊維シート内に樹脂を含浸(補充含浸)させることが開示されている。
コンクリート構造物が橋梁の床版である場合には、作業者が上向き姿勢でプライマーや樹脂の塗布作業を行うことから、プライマーや下塗樹脂等の接着用樹脂の塗布厚に一定の制限がある。
また特許文献2に開示されているように、繊維シートには、経糸と緯糸を交互に交錯させた交差部の上下左右に空隙を有していて樹脂の含浸性をよくしたバスケット織り等の織物製の繊維シートが用いられる。
特開2009−150085号公報 特開2000−199208号公報
従来のコンクリート構造物の補強技術にはつぎのような問題点がある。
<1>繊維シートによる補強性能を高めるには、a)繊維シートとコンクリート構造物間における接着力を高めること、b)繊維シート内へ隈なく樹脂を含浸させること、c)繊維シートが本来有している強力、弾性率を十分に発揮できることの3要件を満たすことが重要である。
特許文献1,2に開示された補強技術は、上記した3要件を同時に満たすことができなかった。
<2>特許文献1に開示された補強技術は、プライマーの塗布面にドライ状態の繊維シートを貼り付けるだけであるため、繊維シートの付着力が不足し易く、上記した要件a)の達成が困難である。
<3>特許文献2に開示された補強技術は、下塗樹脂の不足分の樹脂を繊維シートに予備含浸させておくことで上記した要件a)は達成できるものの、上記した要件c)の達成が困難である。
その理由は、特許文献2に開示された繊維シートはその経糸と緯糸が略S字形に大きく屈曲した状態で交錯しているため、編地が有している本来の強力、弾性率を十分に発揮することができないからである。
<4>前記した繊維シートの耐力の不足分を補うため、繊維シートの目付量を増やして対処しているが、目付量が増えると繊維シートの厚さと重量が増す上に、コストも嵩むといった問題を抱えている。
<5>繊維シートの表裏面の繊維群間の空隙を大きく編成した場合、下塗樹脂が繊維間の空隙に含浸して多量の下塗樹脂を必要とする。
その一方で既述したようにコンクリート構造物の下面への下塗樹脂の塗布厚に一定の限界があり、吸上げを想定した下塗樹脂の塗布厚を確保することが難しい。
そのため、コンクリート構造物の表面の接着用樹脂が不足し易くなって、繊維シートの接着力が不足するといった問題が生じる。
<6>また反対に繊維シートの表裏面の繊維群間の空隙を小さく編成した場合には、繊維間への樹脂の含浸性が低下して繊維シートによる補強効果が低下するといった問題が生じる。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、a)繊維シートとコンクリート構造物間における接着力を高めること、b)繊維シート内へ隈なく樹脂を含浸させること、c)繊維シートが本来有している強力、弾性率を十分に発揮できることの3要件を同時に満たすことが可能なコンクリート構造物の補強技術を提供することにある。
本発明は、コンクリート構造物の表面に繊維シートを貼り付けて補強するコンクリート構造物の補強方法であって、複数の経糸が間隔を介して並列に配列された経糸群編地と、複数の緯糸が間隔を介して並列に配列された緯糸群編地との間が、複数の編み糸で一体に結束されていると共に、前記経糸群編地と緯糸群編地の何れか一方の編地面が何れか他方の編地面に対して編地の繊度および繊維群の畝間隔が異なる二方向性の複合繊維シートを使用し、コンクリート構造物の表面に下塗樹脂を塗布する工程と、前記複合繊維シートの糸の畝間隔が狭く配列されている一方の編地をコンクリート構造物の表面へ貼り付ける工程と、糸の畝間隔が広く配列されている他方の編地に上塗樹脂を塗布して含浸させる工程を具備することを特徴とする。
さらに本発明は、コンクリート構造物の表面に塗布された下塗樹脂と、前記下塗樹脂に貼り付けられた複合繊維シートとが積層して位置し、前記複合繊維シートに上塗樹脂が含浸されたコンクリート構造物の補強構造であって、複数の経糸が間隔を介して並列に配列された経糸群編地と、複数の緯糸が間隔を介して並列に配列された緯糸群編地との間が、複数の編み糸で一体に結束されていると共に、前記経糸群編地と緯糸群編地の何れか一方の編地面が何れか他方の編地面に対して編地の繊度および繊維群の畝間隔が異なる二方向性の複合繊維シートを使用し、前記複合繊維シートの糸の畝間隔が狭く配列されている一方の編地が下塗樹脂を介してコンクリート構造物の表面へ貼り付けられており、糸の畝間隔が広く配列されている他方の編地に前記上塗樹脂が含浸されていることを特徴とする。
本発明の他の形態において、繊度が小さく、かつ糸の畝間隔が狭く配列されている経糸群編地または緯糸群編地の何れか一方の編地の総糸量と、繊度が大きく、かつ糸の畝間隔が広く配列されている経糸群編地または緯糸群編地の何れか他方の編地の総糸量が等しい関係にある。
本発明の他の形態において、前記複合繊維シートを構成する経糸群編地と緯糸群編地はアラミド繊維からなり、そのたて糸方向およびよこ糸方向の耐力がそれぞれ150kN/m以上である。
本発明の他の形態において、複合繊維シートを構成する経糸群編地および緯糸群編地を合せた目付け量が300〜1300g/mである。
本発明は経糸群編地と緯糸群編地の繊維群の畝間隔が異なる二方向性の複合繊維シートを使用することで、コンクリート構造物に樹脂を塗布するのみで予備含浸を必要とせず、前記複合繊維シートをコンクリート構造物の表面へ貼り付けできるので、これまで達成が困難であったa)複合繊維シートとコンクリート構造物間における接着力を高めること、b)複合繊維シート内へ隈なく樹脂を含浸させること、c)複合繊維シートが本来有している強力、弾性率を十分に発揮できることの3要件を同時に満たすことができる。
したがって、従来と比べてコンクリート構造物の補強効果を格段に高めることができる。
複合繊維シートを貼り付けたコンクリート構造物の表面の部分断面図 一部を省略した複合繊維シートの平面モデル図で、(a)は経糸群編地のモデル図、(b)は緯糸群編地のモデル図 複合繊維シートの繊維群である経糸と緯糸のイメージ図 複合繊維シートの組織図 下塗樹脂を塗布したコンクリート構造物の接着部の拡大断面図 複合繊維シートを貼り付けたコンクリート構造物の接着部の拡大断面図 上塗樹脂を塗布したコンクリート構造物の接着部の拡大断面図
以下、図面を参照しながら本発明について説明する。
<1>複合繊維シート
本発明で使用する複合繊維シート10は、複数の経糸20が間隔を介してY方向へ向けて並列に配列された経糸群編地10Aと、複数の緯糸30が間隔を介してX方向へ向けて並列に配列された緯糸群編地10Bと、直交させて重ね合せたこれらの両編地10A,10Bの間を一体に結束する複数の編み糸(被覆補助繊維11、からみ補助繊維12)とを具備した二方向性の繊維シートである。
経糸20と緯糸30の繊維群は、補強繊維が並列に配列された繊維群を一単位として、一単位の繊維群が所定の間隔を有して畝状に配列されている。
経糸群編地10Aと緯糸群編地10Bでは少なくとも繊維群の畝間隔が異なる。
本例では経糸群編地10Aと緯糸群編地10Bの繊度と繊維群の畝間隔の二つの要因が異なる形態について説明する。
図2,3を参照して説明する。図2(a)に複合繊維シート10の経糸群編地10Aのモデル図、(b)に緯糸群編地10Bのモデル図をそれぞれ示し、図3に交差した経糸20と緯糸30の寸法関係のモデル図を示す。
複合繊維シート10の経糸群編地10Aには被覆補助繊維11がからみ補助繊維12により経編組織(ラッセル網地)で配置され、その緯糸群編地10Bには被覆補助繊維11として、同種の補強繊維群が畝状に緯糸30として挿入されている。
また複合繊維シート10は、一方向に引き揃えた編地シート2枚を縦横に直交するように重ねた上で両シートを編み糸で結束した、たて・よこ糸挿入ラッセル経編み(二重ラッシェル)を使用してもよい。
<1.1>経糸と緯糸を交錯させない理由
経糸20の繊維群と緯糸30の繊維群は互いに直交する関係にあるが、経糸20と緯糸30の繊維群は略S字形に屈曲した状態で交錯していない。
経糸20の繊維群と緯糸30の繊維群は夫々真直ぐな状態で並列されている。
経糸20と緯糸30を交錯させずに並列させたのは、複合繊維シート10の経糸と緯糸が略S字形に大きく屈曲するのを避け、本来有している複合繊維シート10の強力、弾性率を十分に発揮するためと、複合繊維シート10のシート厚を薄くするためである。
<1.2>経糸群編地
図3を参照して説明すると、経糸群編地10Aは径dを有する複数の経糸20が間隔Gを介して並列に配列されている。
<1.3>緯糸群編地
図3を参照して説明すると、緯糸群編地10Bは径dを有する複数の緯糸30が間隔Gを介して並列に配列されている。
<1.4>経糸と緯糸の径と間隔の関係
経糸20と緯糸30はその径d,dと、畝間隔G,Gがつぎの関係にある。
すなわち、緯糸30の径dは経糸20の径dより小さい関係にあり、かつ、緯糸30の畝間隔Gは経糸20の畝間隔Gより小さい関係にある。
換言すれば緯糸群編地10Bは畝間の空隙と糸厚みを減らして緯糸30の糸繊度が低くしてあり、経糸群編地10Aは樹脂の含浸を促進するために経糸20の畝間隔を広くしてある。
<1.5>糸量の関係
経糸群編地10Aおよび緯糸群編地10Bを構成する経糸20と緯糸30の各総糸量(目付)は経糸20と緯糸30の畝間隔G,G等を考慮して適宜選択する。
例えば、繊度が大きく、かつ糸の畝間隔が広く配列されている経糸20の総糸量と、繊度が小さく、かつ糸の畝間隔が狭く配列されている緯糸30の総糸量を等しい関係にすれば、二枚の編地10A,10Bの強度を同一にして複合繊維シート10全体強度を均一にすることができる。
<1.6>繊維シートの素材例
複合繊維シート10に使用する繊維としては、アラミド繊維等の有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維等のほか、従来公知の種々の化学繊維等を使用でき、これらの一種または二種以上を混合して用いることができる。
複合繊維シート10の耐力は、たて糸方向およびよこ糸方向ともに150〜900kN/mの範囲が好ましい。
耐力が範囲を下回ると補強効果が小さく、逆に前記範囲を超えるとシートの目付け量(繊維の量)が多くなりすぎて樹脂の含浸が困難になる。
複合繊維シート10の耐力は、前記範囲の中でも250〜700kN/mであるのが好ましく、350〜600kN/mであるのがより好ましい。
また、複合繊維シート10を構成する経糸群編地緯糸群編地を合せた目付け量は、300〜1300g/m2 であるのが好ましく、より好ましくは450〜1100g/m2 、さらに好ましくは550〜900g/m2 である。
本発明における目付け量は、JIS L 1096「一般織物試験方法」の「6.4 単位面積当たりの質量」に記載の方法に従って測定したものであって、単位面積当たりの絶乾重量で表したものである。
<1.7>編み糸
経糸20と緯糸30は被覆補助繊維11と、からみ補助繊維12とからなる編み糸を介して経編組織で結束されている。
<1.8>繊維シートの組織例
図4に複合繊維シート10の組織図の一例を示す。
図4は横糸30の図示を省略した複合繊維シート10の組織図を示していて、(a)は経糸20と被覆補助繊維11の組織図を示し、(b)は経糸20とからみ補助繊維12の組織図を示している。
図示を省略した複数の緯糸30は、経糸群編地10Aの表側の地組織部に挿入される。
複合繊維シート10は、例えばよこ糸挿入ラッセル機を使用して編成することが可能である。
<1.9>繊維シートのサイズ例
複合繊維シート10の大きさは特に制限はなく、取扱性等の観点から、例えば幅0.2〜2m、長さ20〜100mの範囲で設定される。
<2>樹脂
本発明では下地処理用のプライマー50と、下塗樹脂51と、上塗樹脂52を使用する。
これらの樹脂50〜52は、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の常温硬化型の樹脂を使用でき、下塗り樹脂51と上塗り樹脂52は複合繊維シート10への含浸性を考慮して、硬化時間(タックフリー時間を含む)が2.5時間以上の樹脂が好ましい。
下塗樹脂51の樹脂量については、複合繊維シート10の緯糸群編地10B側の目付け量の1.5〜3.0倍を目安にすれば下塗樹脂51の不足を抑制して複合繊維シート10とコンクリート構造物40との間における良好な接着力を確保できる。
上塗樹脂52の樹脂量については、複合繊維シート10の経糸群編地10A側の目付け量の1.0〜2.5倍を目安にすれば上塗樹脂52の含浸が充分に行われ、かつ余分な樹脂の無駄を省くことができる。
使用する樹脂量は、400〜2500g/mの範囲であることが好ましい。
中でも、500〜1800g/mであるのが好ましく、900〜1800g/mであるのがより好ましい。
例えば耐力がたて糸方向、よこ糸方向ともに50トン重/mで、目付け量が700g/mである繊維シートでは、樹脂の使用量が1400g/mであるときに最適な施工性を示す。
[施工方法]
図5〜7を参照しながらコンクリート構造物40の下面に複合繊維シート10を貼り付けて補強および補修するための施工方法について説明する。
なお、図5〜7における複合繊維シート10は両糸20,30に跨る位置で破断した断面を示している。
<1>プライマー塗布工程(図5)
コンクリート構造物40の表面(下面)41の異物を除去した後に常温硬化型エポキシ樹脂等のプライマー50を塗布する。
<2>下塗樹脂の塗布工程(図5)
つぎにプライマー50の表面に所定の樹脂量の下塗樹脂51を均一に塗布する。
<3>繊維シートの貼り付け工程(図5,6)
下塗樹脂51の硬化前に複合繊維シート10を貼り付ける。
複合繊維シート10は樹脂の予備含浸をせずドライ状態で使用する。
複合繊維シート10の経糸群編地10Aと緯糸群編地10Bでは繊度と繊維群の畝間隔が異なる。
そこで複合繊維シート10の貼り付けにあたっては、繊維群(緯糸30)の畝間隔Gが狭い間隔に配列されている緯糸群編地10Bをコンクリート構造物40側へ向けて貼り付ける。
緯糸群編地10B側をコンクリート構造物40へ貼り付けることで、緯糸30の内部に下塗樹脂51が浸透すると共に、隣り合う緯糸30の畝間の空隙にも下塗樹脂51が浸透する。
複合繊維シート10の緯糸群編地10Bは緯糸30の繊維群の畝間隔が狭く空隙が少なく密実に形成されることにより、余分な樹脂を必要としないので、下塗樹脂51に不足を生じない。
換言すれば、緯糸群編地10Bの編地厚と畝間隔を経糸群編地10Aと比べて小さくした分だけ、緯糸群編地10Bに対する下塗樹脂51の浸透量を最小に抑制できる。
下塗樹脂51に不足を生じないとは、下塗樹脂51が緯糸群編地10Bを越えて経糸群編地10Aまで余分に浸透しないことを意味していて、下塗樹脂51は緯糸群編地10Bに対する必要最低の浸透量を塗布しておけばよい。
複合繊維シート10の貼り付け後、ローラ等で転圧する。
例えば経糸群編地10Aの繊度と畝間隔を緯糸群編地10Bと同じ形態に形成した繊維シートを使用した場合、下塗樹脂51および上塗樹脂52の浸透量を抑制できるものの、特に上塗樹脂52の含浸性が悪くなり、FRPとしての強度に悪影響を及ぼすことが予想される。
通気性の高い経糸群編地10Aを緯糸群編地10Bに積層した複合繊維シート10を使用することで、界面における気泡の発生をより効果的に抑制できて、コンクリート構造物10との接着性の問題を解消できる。
<4>上塗樹脂の塗布工程(図7)
最後に複合繊維シート10の表面に所定の樹脂量の上塗樹脂52を塗布する。
複合繊維シート10の表面側には樹脂の含浸性に優れた経糸群編地10Aが位置するので、経糸群編地10Aの全域に上塗樹脂52を含浸させることが可能である。
先に説明したように、複合繊維シート10の緯糸群編地10Bの全域には下塗樹脂51が含浸されているので、上塗樹脂52は経糸群編地10Aのみに含浸させるだけの樹脂量でよい。
このように複合繊維シート10の全域に下塗樹脂51と上塗樹脂52が含浸することでFRPシートが形成される。
尚、複数の複合繊維シート10を積層する場合は、上記した複合繊維シート10の貼り付け工程と上塗樹脂52の塗布工程を繰り返し行えばよい。
<5>樹脂の使用量が少ない理由
本発明では従来のバスケット織り繊維シートを貼り付ける従来技術と比べて樹脂の使用量が少なくて済む。
その理由のひとつは、複合繊維シート10を構成する経糸20の繊維群と緯糸30の繊維群は夫々真直ぐな状態で並列しているためである。
従来のバスケット織りの繊維製シートでは、構成繊維が略S字形に大きく屈曲した状態で交錯しているため、本来有している織物の強力、弾性率を十分に発揮することができなかった。さらに従来は繊維シートの目付量を増やして対処するために、目付量が増えると繊維シートの厚さと重量が増すだけでなくコストも嵩むといった問題点を内包していた。
これに対し、複合繊維シート10では従来の繊維製シートと比べて、屈曲が少なく、強力、弾性率を十分に発揮することができるために総糸量を低減化できるので、各網地10A,10Bの断面積を削減することが可能である。
すなわち、複合繊維シート10ではその総糸量の削減に伴いシート厚を薄くできると共に、シート厚が薄くなるほど、空隙を埋めるための樹脂量が減って、全体の樹脂使用量を少なくすることができる。
[樹脂含浸性試験]
複合繊維シート10に対する樹脂の含浸性について試験を行った。
<1>複合繊維シート
帝人(株)製のアラミド繊維〔商標名「トワロン」)を使用し、たて糸は3220dtex×3本(9本/吋)、よこ糸は1610dtex×3本(18本/吋)の条件で複合繊維シート10を編製した。たて糸とよこ糸の詳細は以下のとおりである。
Figure 0006064070
なおアラミド繊維密度は1.45g/cmである。
複合繊維シート10はその引張強度を2100N/mm2 以上、引張弾性率を98000〜138000N/mm2 とした。
複合繊維シート10の設計耐力は、たてよこ方向共に500kN/mであった。
<2>複合繊維シートの目付量
複合繊維シート10の目付量を得るため、500×500mmにカットしたシートのたて糸、横糸、編み糸の重量を計測した。測定結果は以下のとおりである。
Figure 0006064070
<3>樹脂
下塗樹脂と上塗り樹脂には、前田工繊株式会社製の常温硬化型エポキシ樹脂「FFダイン D−90」を使用した。
<4>複合繊維シートの貼り付け
複合繊維シートに対する樹脂の含浸性を試験するため、RCスラブの供試体の下面の0.85m×1.5mの範囲に亘って、700g/mで下塗樹脂を塗布した。
下塗樹脂に複合繊維シートの緯糸群編地を接面させて貼り付けた。
さらに複合繊維シートの下面に相当する経糸群編地に700g/mで上塗樹脂を塗布した。
<5>試験結果
本発明の複合繊維シートの緯糸群編地を下塗樹脂への貼付面とした場合、樹脂の下塗量は700g/mで十分な接着強度を発揮することが確認できた。さらに、複合繊維シートの経糸群編地へも良好に樹脂が浸透することを確認できた。
対比例として、ファイベックス株式会社のアラミドシート「フィブラシート(登録商標)(目付量870g/m)」を使用したところ、1300g/mの下塗樹脂が必要であった。
このことから本発明では樹脂の使用量を大幅低減できることが確認できた。
[引張強度の評価試験]
複合繊維シート10と、織物製の対比繊維シートを用い、それぞれの繊維シートについて以下のような引張強度と引張弾性率の評価試験を行った。
なお、複合繊維シート10は縦横方向の保証耐力500kN/mとし、対比繊維シートは縦横方向の保証耐力490kN/mとするものである。
<1>複合繊維シートについて
複合繊維シート10の仕様はつぎのとおりである。
Figure 0006064070
※設計厚0.240mmとなる目付 0.24mm×1.45g/cm3=348g/m2から算出
<2>対比繊維シート
対比繊維シートであるファイベックス株式会社製フィブラシートAK−50/50のスペックは以下の通りである。
Figure 0006064070
<3>試験結果
複合繊維シート10の引張強度と引張弾性率の試験結果はつぎのとおりである。
Figure 0006064070
<4>考察
保証耐力500kN/mとすると設計厚みは0.24mmとなり、複合繊維シート10についてはそれに従って設計を行った。
FRP化した複合繊維シート10の場合には、目付量700g/mとすると引張試験結果より十分な強度、弾性率が得られる事が明らかとなった。
一方で、対比繊維シート(ファイベックス株式会社製フィブラシートAK−50/50)では、シートの縦横方向の保証耐力490kN/mを得るためには目付量として870g/mが必要となる。
対比繊維シートの場合、目付量を増やさざるを得ない理由としては、たて糸とよこ糸がS字形に大きく屈曲した状態で交錯しているためであり、本来有している織物の強度と弾性率を発揮できないためであると考えられる。
[他の実施形態]
先の複合繊維シート10では、図3に示すように、経糸20と緯糸30の径d,dと畝間隔G,Gの関係が以下の(関係1)および(関係2)にある場合について説明した。
(関係1)経糸20の径d>緯糸30の径d
(関係2)経糸20の畝間隔G>緯糸30の畝間隔G
経糸20と緯糸30の径d,dと畝間隔G,Gの関係を上記とは逆にして以下の(関係3)および(関係4)にある複合繊維シート10を使用することも可能である。
(関係3)経糸20の径d<緯糸30のd
(関係4)経糸20の畝間隔G<緯糸30の畝間隔G
要は、経糸20、緯糸30の中で、X方向又はY方向の何れか一方の糸径および糸の畝間隔が、X方向又はY方向の何れか他方の糸径および糸の畝間隔よりも小さい関係にあればよい。
10・・・・・複合繊維シート
10A・・・・経糸群編地
10B・・・・緯糸群編地
20・・・・・経糸
30・・・・・緯糸
50・・・・・プライマー
51・・・・・下塗樹脂
52・・・・・上塗樹脂

Claims (5)

  1. コンクリート構造物の表面に繊維シートを貼り付けて補強するコンクリート構造物の補強方法であって、
    複数の経糸が間隔を介して並列に配列された経糸群編地と、複数の緯糸が間隔を介して並列に配列された緯糸群編地との間が、複数の編み糸で一体に結束されていると共に、前記経糸群編地と緯糸群編地の何れか一方の編地面が何れか他方の編地面に対して編地の繊度および繊維群の畝間隔が異なる二方向性の複合繊維シートを使用し、
    コンクリート構造物の表面に下塗樹脂を塗布する工程と、
    前記複合繊維シートの糸の畝間隔が狭く配列されている一方の編地をコンクリート構造物の表面へ貼り付ける工程と、
    糸の畝間隔が広く配列されている他方の編地に上塗樹脂を塗布して含浸させる工程を具備することを特徴とする、
    コンクリート構造物の補強方法。
  2. 繊度が小さく、かつ糸の畝間隔が狭く配列されている経糸群編地または緯糸群編地の何れか一方の編地の総糸量と、繊度が大きく、かつ糸の畝間隔が広く配列されている経糸群編地または緯糸群編地の何れか他方の編地の総糸量が等しい関係にあることを特徴とする、請求項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  3. 前記複合繊維シートを構成する経糸群編地と緯糸群編地はアラミド繊維からなり、そのたて糸方向およびよこ糸方向の耐力がそれぞれ150kN/m以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  4. 複合繊維シートを構成する経糸群編地緯糸群編地を合せた目付け量が300〜1300g/mであることを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
  5. コンクリート構造物の表面に塗布された下塗樹脂と、前記下塗樹脂に貼り付けられた複合繊維シートとが積層して位置し、前記複合繊維シートに上塗樹脂が含浸されたコンクリート構造物の補強構造であって、
    複数の経糸が間隔を介して並列に配列された経糸群編地と、複数の緯糸が間隔を介して並列に配列された緯糸群編地との間が、複数の編み糸で一体に結束されていると共に、前記経糸群編地と緯糸群編地の何れか一方の編地面が何れか他方の編地面に対して編地の繊度および繊維群の畝間隔が異なる二方向性の複合繊維シートを使用し、
    前記複合繊維シートの糸の畝間隔が狭く配列されている一方の編地が下塗樹脂を介してコンクリート構造物の表面へ貼り付けられており、
    糸の畝間隔が広く配列されている他方の編地に前記上塗樹脂が含浸されていることを特徴とする、
    コンクリート構造物の補強構造。
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