JP6017320B2 - タイル先付けプレキャストコンクリート部材およびタイル先付け工法 - Google Patents

タイル先付けプレキャストコンクリート部材およびタイル先付け工法 Download PDF

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Description

本発明は、タイル先付けプレキャストコンクリート部材およびタイル先付け工法に関する。
コンクリート部材の表面にタイルを張り付けることで、コンクリート部材の保護および美観性の向上を図る場合がある。
タイルをより確実に接着するとともに、工期短縮化を図ることができるタイルの張り付け方法として、型枠側にタイルを設置しておき、コンクリートの打設とともにコンクリート部材の表面に直接タイルを張り付けるタイル先付け工法がある。
コンクリート構造物の柱梁接合部とその近傍は、地震の揺れにより躯体にひび割れが発生しやすい。そのため、タイルが張り付けられたコンクリート構造物では、躯体のひび割れに起因するタイルの割れや剥離が生じやすかった。この傾向はコンクリートが高強度になるほど強く表れることが明らかになってきた。
特許文献1には、地震時でも大きな外力は加わらないように固定されているコンクリートカーテンウォール部材を対象としたタイル先付け工法において、ポリマーセメントモルタルを用いることで、タイル付着性能を向上させ、タイルモルタルとコンクリート(カーテンウォール仕上げであり、躯体ではない)間のディファレンシャル・ムーブメントによるひずみを緩和するタイル先付プレキャスト版用タイルモルタル組成物が開示されている。
特開平11−302055号公報
特許文献1のポリマーセメントモルタルを用いた技術思想は、ひずみ緩和能力は必要十分な程度とし、付着力を安定的に向上させることにあると考えられる。このため特許文献1の実施例では、ポリマーセメントモルタル全体に対してポリマーの配合量を5%未満と少なくして流動性を確保する一方で、ポリマーセメントモルタルの厚みを5mmと厚くし、水平な型枠のベット面に流し込んで打設可能としている。また、性能評価は曝露や温冷繰り返し後の付着力と破断面の破断面の状況で行っており、下地コンクリートのひび割れ追従性は評価していない。これはコンクリートカーテンウォール部材には、ヘアークラック程度のひび割れしか入らないことによる。
このような特許文献1に示される仕様のタイル先付工法を、柱、梁のプレキャスト部材に適用すると、打設時に垂直面があることから施工が困難である。仮に混練水を減らして塗り付けて施工したとしても、地震時に発生する梁、柱、壁等の躯体のひび割れに追従することができず、躯体のひび割れに起因するタイルの割れや剥離を抑制することができないおそれがある。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、地震時に躯体である柱・梁・壁に幅1mm程度までのひび割れが発生しても、タイル先付工法によって打込まれたタイルの割れや剥離を防止することを可能としたタイル先付けプレキャストコンクリート部材およびタイル先付け工法を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明のタイル先付けプレキャストコンクリート部材は、タイル裏面に、ポリマーセメントモルタルからなる平均厚さ1mm以上4mm以下の緩衝層を有するタイル先付けプレキャストコンクリート部材であって、前記ポリマーセメントモルタルは、ポリマー:セメントおよび骨材を含む粉体=1:1.5〜1:3.5で、かつ、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内で、かつ、前記骨材の最大粒径が0.3mm以下で、なおかつ、当該骨材の平均粒径が75〜150μmであることを特徴としている。
かかるタイル先付けプレキャストコンクリート部材によれば、コンクリート下地(躯体)とタイルとの間に緩衝層が形成されているため、タイルの割れや剥離を防止することができる。
ポリマーセメントモルタルは、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内であるため、長期の可撓性を期待することができるとともに、施工性が向上する。
また、本発明に係る第二のタイル先付けプレキャストコンクリート部材は、柱と、前記柱に接合された梁と、前記柱および前記梁の表面を覆うタイルとを備えるものであって、前記柱と前記梁との接合面から少なくとも梁せいの1倍の区間における前記梁の表面と前記タイルとの間、および、前記接合面の周囲における前記柱と前記タイルとの間に、ポリマーセメントモルタルの硬化体からなる平均厚さ1mm以上4mm以下の緩衝層が形成されており、前記ポリマーセメントモルタルは、ポリマー:セメントおよび骨材を含む粉体=1:1.5〜1:3.5で、かつ、ポリマーの配合量が当該ポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内で、かつ、前記骨材の最大粒径が0.3mm以下で、なおかつ、当該骨材の平均粒径が75〜150μmであることを特徴としている。
かかるタイル先付けプレキャストコンクリート部材によれば、柱梁接合部とその近傍の地震の揺れにより躯体にひび割れが発生しやすい範囲について、躯体とタイルとの間に緩衝層が形成されているため、タイルの割れや剥離を防止することができる。
また、本発明に係るタイル先付け工法は、ポリマー:セメントおよび骨材を含む粉体=1:1.5〜1:3.5で、かつ、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内で、かつ、前記骨材の最大粒径が0.3mm以下で、なおかつ、当該骨材の平均粒径が75〜150μmのポリマーセメントモルタルを準備する準備工程と、タイルの裏足に前記ポリマーセメントモルタルを埋め込みつつ、前記タイルの裏側に前記ポリマーセメントモルタルを塗着して平均厚さ1mm以上4mm以下の緩衝層を形成する塗着・養生工程と、硬化した前記緩衝層が裏側に形成された前記タイルを型枠のコンクリート打設面に配置する配置工程と、前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、を備えることを特徴としている。
本発明のタイル先付け工法によれば、コンクリート部材とタイルとの間にポリマーセメントモルタルにより構成された緩衝層が形成されているため、地震の揺れにより躯体にひび割れが発生した場合であっても、緩衝層の可撓性により、タイルにコンクリート部材のひび割れやひずみがタイルに伝達されることが抑制される。そのため、地震時のタイルの割れや剥離を防止することが可能となる。
なお、塗着・養生工程において、緩衝層の表面に凹凸を形成すればコンクリートとの接着性が向上する。凹凸の形成方法として、前記ポリマーセメントモルタルの表面において砂骨ローラまたはパターンローラを転がすことで前記緩衝層の表面に凹凸を形成すれば、作業の手間を簡略にすることが可能となる。
前記緩衝層が形成された範囲において、タイル目地が前記ポリマーセメントモルタルにより構成されていれば、より効果的にタイルの割れや剥離を防ぐことが可能となる。
本発明のタイル先付けプレキャストコンクリート部材およびタイル先付け工法によれば、地震時に1mm程度までのひび割れがコンクリート下地に発生してもタイルの割れや剥離を防止することが可能となる。
本発明の実施形態に係るタイル先付けプレキャストコンクリート部材を示す斜視図である。 (a)はタイルの取り付け状況を模式的に示す断面図、(b)は同タイルを背面から望む平面図である。 (a)および(b)は、タイルの他の取付状況を示す図である。 (a)および(b)は、タイルのさらに他の取付状況を示す図である。 (a)〜(d)は、本実施形態のタイル先付け工法の各工程を模式的に示す断面図である。 圧縮試験の試験体を示す図であって、(a)は側面図、(b)は断面図である。 圧縮試験における荷重方法を示すグラフである。 引張試験の試験体を示す斜視図である。 圧縮試験結果を示すグラフである。 引張試験結果を示すグラフである。
本実施形態のタイル先付けプレキャストコンクリート部材1は、図1に示すように、柱2と、柱2の対向する側面に接合する一対の梁3,3とを備えたプレキャスト材であって、正面視T字状を呈している。柱2と梁3,3の表面には、予めタイル4(図2参照)が貼設されている。
柱2は、設計基準強度が150N/mmの高強度コンクリートにより構成されている。なお、柱2および梁3を構成するコンクリートの強度は限定されない。
柱2には、柱2と梁3との接合部周囲の補強領域A2と、その他の領域である一般領域B2とを備えている。本実施形態では、梁3の下端面から区間長L1(本実施形態では300〜400mm)までの範囲と、梁3の側端面から柱2の角部を含む範囲を補強領域A2とするが、補強領域A2の設定方法はこれに限定されるものではなく、例えば、梁3の上端面から上方に所定の区間長までの範囲を含むものとしてもよい。
補強領域A2では、図2の(a)に示すように、コンクリート下地である柱2の表面とタイル4との間に、ポリマーセメントモルタルの硬化体からなる緩衝層5が形成されている。
本実施形態では、図2の(b)に示すように、補強領域A2の全体に対して緩衝層5を形成するものとし、タイル目地6もポリマーセメントモルタルにより構成する。
一般領域Bでは、タイル4が柱2の表面に直接貼設されている。なお、一般領域Bにおいて、柱2とタイル4との間にモルタルが介設されていてもよい。
梁3には、図2の(a)に示すように、柱2と梁3との接合面から区間長L2(本実施形態では梁せいDの1.5倍)までの区間である補強領域A3と、その他の領域である一般領域B3とを備えている。補強領域A3は、梁3の全周(上面、下面、側面)に形成されている。なお、補強領域A3(区間長L2)は、必ずしも接合面から1.5倍の区間である必要はないが、接合面から少なくとも梁せいDの1倍以上の区間とする。
補強領域A3では、図2の(a)に示すように、コンクリート下地である梁3の表面とタイル4との間に、ポリマーセメントモルタルの硬化体からなる緩衝層5が形成されている。
本実施形態では、図2の(b)に示すように、補強領域A3の全体に対して緩衝層5を形成するものとし、タイル目地6もポリマーセメントモルタルにより構成する。
一般領域B3では、タイル4が梁3の表面に直接貼設されている。なお、一般領域B3において、梁3とタイル4との間にモルタルが介設されていてもよい。
本実施形態では、タイル4として、いわゆる50二丁タイルを使用する。なお、タイル4の種類は限定されない。
本実施形態では、緩衝層5を形成するポリマーセメントモルタルとして、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内のものを使用する。
なお、本実施形態では、タイル目地6をポリマーセメントモルタルにより構成するものとしている。タイル目地6は、必ずしもポリマーセメントモルタルにより構成する必要はない。例えば、図3に示すように、タイル4の裏面のみの緩衝層5を形成して、タイル目地は、柱2または梁3のコンクリートにより構成してもよい。また、図4に示すように、タイル目地6に対しては、別途目地材6aを埋め込んでもよい。
ここで、ポリマーセメントモルタルの層単独の性能について検討した結果を表1に示す。
本検討では、表1に示すように、3種類のポリマーセメントモルタルについて、ポリマー:粉体比(ポリマー濃度)と層厚を変化させて、ひび割れ追従性と施工性を検討した。
Figure 0006017320
表1に示す結果から、塗付後の形状保持を考慮した施工性は、条件9、条件10、条件15に示すように、ポリマー濃度が10%を下回るか20%を超えると悪くなることが分かる。ポリマーセメントモルタルの層単独のひび割れ追従性は、条件9に示すように10%未満では劣ることが分かる。条件12,13や条件17,18に示すようにポリマー濃度が10%以上でもひび割れ追従性がやや劣る場合があるが、層厚を厚くすることにより、条件14や条件19に示すようにひび割れ追従性が向上する。
なお、ポリマーセメントモルタルの層単独でひび割れ追従性と施工性を検討し、後述するタイルを先付けしたコンクリート試験体を用いた引張試験、圧縮試験の結果、及びポリマーセメントモルタルの有する性質、すなわち経年変化で硬化すること、温度が低くなるほど硬くなること、地震のように変形速度が速くなるとひび割れ追従性が低下することを考慮し、表1に示すひび割れ追従性の評価がCとDについては、本件発明の性能を満たさないとして比較例としている。
次に、タイル先付け工法について説明する。
本実施形態のタイル先付け工法は、準備工程と、塗着・養生工程と、配置工程と、打設工程とを備えている。
準備工程は、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内のポリマーセメントモルタルを準備する工程である。
表1の条件10や条件15に示すように、ポリマー:粉体の比率が1:1.5で、ポリマー配合量が20%を超えると施工性が悪い。また、条件9に示すように、ポリマー:粉体の比率が1:5で、ポリマー配合量が10%を下回るとローラにポリマーセメントモルタルが巻き込まれてしまい施工性の悪いことが確認された。
本実施形態では、いわゆる防水用のポリマーセメントモルタルを採用するものとし、鏝塗やローラ塗の作業性を考慮してポリマー:粉体の比率が1:1.5〜1:3.5で、ポリマー配合量を10〜20%、より望ましくは1:1.5〜1:2.5でポリマー配合量を10〜14%のものを使用する。
ここで、粉体には、セメントや骨材と、必要に応じて混合される混和材(例えばポゾラン系反応粒子)を含むものとする。
表1の条件17や条件18に示すように、最大粒径が1000μm(=1mm)の場合、粉体量が増えることによりひび割れ追従性が劣ることが確認された。条件7や条件8に示すように、最大粒径が0.3mmの場合、粉体量が増えてもひび割れ追従性に優れている。ポリマーセメントモルタルが含有する骨材には、ひび割れの追従性の観点から、最大粒径が0.6mm以下、より好ましくは0.3mm以下のものを使用するのが望ましい。また、表1の条件2〜5および条件7〜8に示すように、骨材の平均粒径は300μm以下、好適には75〜150μmとするのが望ましい。なお、骨材の粒径等は限定されるものではない。
塗着・養生工程は、タイル4の裏側にポリマーセメントモルタルを塗着して緩衝層5を硬化させる工程である。
本実施形態では、図5の(a)に示すように、複数のタイル4,4が予め並設されたタイルシート(タイルパック)を使用する。なお、タイルシートを使用することなく、個別のタイル4を並設して使用してもよい。
塗着・養生工程では、図5の(b)に示すように、まず、鏝10等を利用して、タイル4の裏足(裏面の凹凸)にポリマーセメントモルタル7を埋め込みつつ、タイル4の裏側に所定の厚さのポリマーセメントモルタル7の層を形成し、静置して養生する。なお、本実施形態では、ポリマーセメントモルタル7の層厚(ポリマーセメントモルタル7の表面からタイル4の裏面までの距離)を好ましくは1〜4mmとするが、ポリマーセメントモルタル7の層厚は限定されない。
タイル4の裏側へのポリマーセメントモルタル7の塗着とともに、隣り合うタイル4同士の隙間にもポリマーセメントモルタル7を埋め込み、タイル目地6を形成する。
次に、図5の(c)に示すように、ポリマーセメントモルタル7の表面において砂骨ローラ11を転がすことでポリマーセメントモルタル7(緩衝層5)の表面に凹凸を形成する。
なお、ポリマーセメントモルタル7(緩衝層5)の表面の凹凸の形成方法は限定されるものではない。また、砂骨ローラに代えて、パターンローラ等を使用してもよい。さらに、凹凸は必要に応じて形成すればよく、必ずしも形成する必要はない。
緩衝層5を塗着(形成)した後、静置して養生する。なお、ポリマーセメントモルタルが硬化する前にコンクリートを打設すると付着性、下地ひび割れ追従性が低下することが確認されている。
配置工程は、タイル4を型枠(図示せず)のコンクリート打設面に配置する工程であり、ポリマーセメントモルタル7に所定の強度が発現した後に行われる。
このとき、ポリマーセメントモルタル7が塗着されたタイルシート(タイル4)を補強領域A2,A3に対応する位置に配置し、補強領域A2,A3以外の一般領域B2,B3に対応する位置には、ポリマーセメントモルタル7が塗着されていないタイルシート(タイル4)を配置する。
打設工程は、図5の(d)に示すように、タイル4が配設された型枠内にコンクリート8を打設する工程である。
コンクリート8の養生後、脱型すると、タイル先付けプレキャストコンクリート部材1が完成する。
以上、本実施形態の先付けプレキャストコンクリート部材1によれば、柱2や梁3(コンクリート下地)にひび割れが生じたとしても、緩衝層5がひび割れに追従してひずみを吸収するため、タイル4にひずみが伝達されることを抑制し、タイル4の剥離・剥落を防止することができる。
ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル7全体に対して10%から20%の範囲内のポリマーセメントモルタル7を使用しているため、高い変形追従性を期待できる。
コンクリートの硬化収縮や軸力等の荷重によるひずみが大きい場合であっても、緩衝層5によりタイル4にひずみが直接伝達されることを防止しているため、タイル4の剥離・剥落を防止できる。
また、地震力の揺れなどによるひび割れが発生しやすく、タイル4の割れや剥離が生じやすい箇所(補強領域A2,A3)に対して、緩衝層5を設けてタイル4を設置しているため、地震時にタイル4の割れや剥離を防止できる。
また、柱梁接合部以外の一般領域Bに対しては、一般的な施工法でタイル4を設置しているため、作業の省力化や施工費の低減化を可能としている。
緩衝層5の表面に凹凸が形成されているため、コンクリートとの接合性に優れており、タイル4の貼着をより確実に行うことができる。
緩衝層5の表面の凹凸は、硬化する前のポリマーセメントモルタル7の表面で砂骨ローラ11を転がすことで形成するため、作業性に優れている。
次に、本実施形態のタイル先付けプレキャストコンクリート部材1の効果について、小型コンクリート試験体を利用した確認試験の結果について説明する。
確認試験では、ポリマーセメントモルタルとして製品名AEコート(株式会社イーテック製)を用いた条件4の仕様で塗り付けたタイルを用い、目地の仕様を変えた3種類の試験体(試験体A,B,C)に対して、それぞれ圧縮試験と引張試験を行った。
試験体Aは、ポリマーセメントモルタル7により緩衝層5およびタイル目地6が形成されており、試験体Bは、タイル4の裏面のみに緩衝層5が形成され、目地はコンクリートのモルタルが充填されているており、試験体Cは、タイル目地6に対しては別途市販既調合の目地材6aが埋め込まれている。試験体Aの目地材の弾性率が最も小さく、試験体Cの目地材の弾性率が最も大きくなっている。
圧縮試験は、タイルのひずみ追従性を確認する目的で実施する。圧縮試験は、図6の(a)および(b)に示すように、50角タイル110が先付けされた角柱状のコンクリート試験体100に対して行う。
コンクリート試験体100は、水セメント比36.0%、細骨材率48.4%の配合で、圧縮強度が60N/mmのコンクリートにより、230mm×230mm×500mmの形状に形成されている。コンクリート試験体100の各側面には、コンクリート面に2箇所、タイル面に3箇所、ひずみゲージ120が張り付けられている。
圧縮試験は、10MN試験機により、図7に示すように一軸圧縮で繰返し荷重Pを与えて、各箇所でのタイルひずみおよびコンクリートひずみを測定することにより行う。
引張試験は、タイルのコンクリート下地に発生したひび割れに対する追従性を確認する目的で実施する。引張試験は、図8に示すように、50角タイル110が先付けされた角柱状のコンクリート試験体101に対して行う。
コンクリート試験体101は、水セメント比50.3%、細骨材率48.3%の配合で、圧縮強度36N/mmのコンクリートにより、150mm×150mm×600mmの形状に形成されている。コンクリート供試体101には、コンクリート打設面と底面に2箇所ずつπゲージが張り付けられている。
また、コンクリート試験体101の打設面の中央および底面の中央からは、鉄筋130が突出している。さらに、コンクリート試験体101の上下方向中間部には、ひび割れ誘発目地102が形成されている。
引張試験は、2MN試験機により、コンクリート試験体101の鉄筋を引っ張ることにより行い、タイルにひび割れが発生した時のコンクリートひずみをπゲージで測定する。
また、比較例として公知の技術を適用した試験体を作製し、同様に圧縮試験および引張試験を実施した。比較例は、タイル4の裏面にブチルゴム粘着材をそのまま貼着した試験体(比較例1)、タイルを直接コンクリートに貼り付けた試験体(比較例2)の2種類である。
圧縮試験により求めたコンクリートひずみとタイルひずみの関係を図9に示す。比較例1,2とも、コンクリートひずみが−940×10−6程度でタイルが剥離した。試験体Cはタイルに−470×10−6程度のひずみが発生しているが、タイルに剥離は発生していない。また、試験体Aはタイルひずみが−50×10−6程度であり、ほとんどコンクリートのひずみがタイルに入らないことを示している。試験体Bはタイルひずみが−200×10−6程度であり、いずれもタイルに剥離は発生しておらず、緩衝層内でコンクリートのひずみを吸収していることから、タイルにひずみがほとんど生じていない結果となった。
引張試験によりタイルにひび割れが発生した時のコンクリートのひび割れ幅を示した結果を図10に示す。比較例1,2については、下地コンクリートのひび割れ幅がそれぞれ0.2mm、0.05mmでタイルにひび割れが発生しているのに対し、試験体A〜Cは、下地コンクリートのひび割れ幅がそれぞれ3.2mm、2.8mm、1.4mmでタイルにひび割れが発生している。目地の弾性率が最も低い試験体Aが、最も高い追従性を示している。
しかしながら、ポリマーセメントモルタルは、数年で硬化が進み、その後はほぼ一定の硬さになること、温度が低くなるほど硬くなること、地震のように変形速度が速くなるとひび割れ追従性が低下することを考慮すると、本発明が適用された建物が地震を受けたときに、タイルにひび割れや剥離が発生しないひび割れ幅は、この引張試験の結果の数分の1程度の1mm程度までと考えられるが、タイルを単に先付けしたプレキャストコンクリート部材と比較すると大幅に改善されている。
したがって、圧縮試験および引張試験の結果により、本実施形態のタイル先付けプレキャストコンクリート部材の緩衝層5が高い変形追従性を備えていることが確認できた。
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、タイル先付けプレキャストコンクリート部材として、柱2と梁3が一体に形成された、柱梁接合部のプレキャスト部材について説明したが、タイル先付けプレキャストコンクリート部材の構成(形状、使用目的等)は限定されるものではない。
前記実施形態では、補強領域Aのみに緩衝層5を設けるものとしたが、タイル先付けプレキャストコンクリート部材1の全体に対して緩衝層5を設けてもよい。
1 タイル先付けプレキャストコンクリート部材
2 柱
3 梁
4 タイル
5 緩衝層
6 タイル目地
7 ポリマーセメントモルタル
A 補強領域

Claims (4)

  1. タイル裏面に、ポリマーセメントモルタルからなる平均厚さ1mm以上4mm以下の緩衝層を有するタイル先付けプレキャストコンクリート部材であって、
    前記ポリマーセメントモルタルは、ポリマー:セメントおよび骨材を含む粉体=1:1.5〜1:3.5で、かつ、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内で、かつ、前記骨材の最大粒径が0.3mm以下で、なおかつ、当該骨材の平均粒径が75〜150μmであることを特徴とする、タイル先付けプレキャストコンクリート部材。
  2. 柱と、前記柱に接合された梁と、前記柱および前記梁の表面を覆うタイルと、を備えるタイル先付けプレキャストコンクリート部材であって、
    前記柱と前記梁との接合面から少なくとも梁せいの1倍の区間における前記梁の表面と前記タイルとの間、および、前記接合面の周囲における前記柱と前記タイルとの間に、ポリマーセメントモルタルの硬化体からなる平均厚さ1mm以上4mm以下の緩衝層が形成されており、
    前記ポリマーセメントモルタルは、ポリマー:セメントおよび骨材を含む粉体=1:1.5〜1:3.5で、かつ、ポリマーの配合量が当該ポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内で、かつ、前記骨材の最大粒径が0.3mm以下で、なおかつ、当該骨材の平均粒径が75〜150μmであることを特徴とする、タイル先付けプレキャストコンクリート部材。
  3. ポリマー:セメントおよび骨材を含む粉体=1:1.5〜1:3.5で、かつ、ポリマーの配合量がポリマーセメントモルタル全体に対して10%から20%の範囲内で、かつ、前記骨材の最大粒径が0.3mm以下で、なおかつ、当該骨材の平均粒径が75〜150μmのポリマーセメントモルタルを準備する準備工程と、
    タイルの裏足に前記ポリマーセメントモルタルを埋め込みつつ、前記タイルの裏側に前記ポリマーセメントモルタルを塗着して平均厚さ1mm以上4mm以下の緩衝層を形成する塗着・養生工程と、
    硬化した前記緩衝層が裏側に形成された前記タイルを型枠のコンクリート打設面に配置する配置工程と、
    前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、を備えることを特徴とする、タイル先付け工法。
  4. 前記塗着・養生工程では、前記ポリマーセメントモルタルの表面において砂骨ローラまたはパターンローラを転がすことで前記緩衝層の表面に凹凸を形成することを特徴とする、請求項3に記載のタイル先付け工法。
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