JP7486855B1 - アゴ部材、アゴ部の構築方法およびアゴ部の構造 - Google Patents

アゴ部材、アゴ部の構築方法およびアゴ部の構造 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量で作業性良くパラペット等の構造物に設けられるアゴ部を構築することができるアゴ部の構造、およびパラペット等の構造物に設けられるアゴ部の構築方法を提供すること。【解決手段】 床部3から垂直に立ち上がる立ち上がり部である立ち上がり部5を有するパラペット1等の構造物に設けられ、立ち上がり部5から突出し床部3と垂直方向に対向する底面17を備えたアゴ部9の構造であって、アゴ部9は樹脂または押出し成形セメント板からなることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、建物の屋上等に設けられる構造物であるパラペット等に設けられるアゴ部材、アゴ部の構築方法およびアゴ部の構造に関する。
建物の屋上等には、防水層の端部から雨水が入り込むことを防止するために、陸屋根の外周部において該陸屋根を囲むようにパラペットが設けられている。また、屋上等には、機器を載置固定するための機器架台が設けられることもある。一般的に、このようなパラペットや機器架台(以降、「パラペット等」ともいう)はコンクリートで構築され、防水構造としてアゴ部が設けられている。アゴ部はパラペット等から横方向すなわち床部と平行方向に向けて突出し、アゴ部の下面には水切り溝が設けられている。
このようなアゴ部を有するパラペット等においてアゴ部を構築するためには、アゴ部の形状の型枠を組む必要があり、手間と時間が掛かっていた。
特許文献1には、パラペットまたは機器架台のアゴ部となる凸状部材が一体的に形成されたコンクリート打込型枠、および該コンクリート打込型枠を用いてパラペットまたは機器架台を構築する方法が記載されている。
特許第3902979号公報
しかしながら、特許文献1におけるアゴ部は、鋼材または押出し成形セメント板を材料とするコンクリート打込型枠の部分として形成されている。したがってアゴ部を含むコンクリート打込型枠は重量およびサイズが大きく、型枠を組む際の作業性が悪いという問題があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、軽量で作業性良くパラペット等に設けられるアゴ部を構築することができるアゴ部材、アゴ部の構築方法およびアゴ部の構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る構造物に設けられるアゴ部材は、
防水層が施された陸屋根から立ち上がる立ち上がり部を有する構造物に設けられ、前記立ち上がり部から突出し前記陸屋根と対向する底面を備えたアゴ部を構成するアゴ部材であって、
樹脂または押出し成形セメント板からなり、
前記立ち上がり部の側面に接着剤によって接着される接着面を有し、
前記接着面が前記立ち上がり部の前記側面に接着剤によって接着されることにより、前記立ち上がり部の前記側面と前記接着面との間で前記防水層の端部を保護することを特徴とする。
また、本発明に係るアゴ部の構築方法は、
防水層が施された陸屋根から立ち上がる立ち上がり部を有する構造物に設けられ、前記立ち上がり部から突出し前記陸屋根と対向する底面を備えたアゴ部の構築方法であって、
前記アゴ部は樹脂または押出し成形セメント板からなるアゴ部材により構成され、
前記アゴ部材は、前記立ち上がり部の側面に接着剤によって接着される接着面を有し、
前記立ち上がり部が形成された後に、前記立ち上がり部の前記側面に前記アゴ部材の前記接着面を接着剤によって接着し、前記立ち上がり部の前記側面と前記接着面との間で前記防水層の端部を保護することを特徴とする。
また、本発明に係るアゴ部の構造は、
防水層が施された陸屋根から立ち上がる立ち上がり部を有する構造物に設けられ、前記立ち上がり部から突出し前記陸屋根に対向する底面を備えたアゴ部の構造であって、
前記アゴ部は樹脂または押出し成形セメント板からなり、
前記立ち上がり部の側面に接着剤によって接着される接着面を有し、
前記接着面が前記立ち上がり部の前記側面に接着剤によって接着されることにより、前記立ち上がり部の前記側面と前記接着面との間で前記防水層の端部を保護することを特徴とする。
本発明によれば、軽量で作業性良くパラペット等に設けられるアゴ部を構築することができるアゴ部材、アゴ部の構築方法およびアゴ部の構造を提供することができる。
図1は、実施形態に係るパラペットの構造を示す断面図である。 図2は、実施形態に係るパラペットの断面図であってアゴ部の構築方法を模式的に示している。 図3は、他の実施形態に係るパラペットの断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るアゴ部材、アゴ部の構築方法およびアゴ部の構造について説明する。以下の実施形態は、本発明を建物の屋上のパラペットに設けられるアゴ部に適用した例である。
図1は、本実施形態に係るパラペットの構造を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るパラペット1は、建物の屋上の陸屋根3の外周部において陸屋根3から立ち上がる立ち上がり部5と、立ち上がり部5の内側の側面7から陸屋根3の中心側へ突出するアゴ部9とを備えている。立ち上がり部5は陸屋根3の外周部に沿って延在している。アゴ部9は、陸屋根3と平行方向であって陸屋根3の中心側へ向けて突出し、立ち上がり部5の全長に亘って延在している。立ち上がり部5はコンクリートで構成され、内部には必要な鉄筋(図示省略)が組まれている。本実施形態においては、アゴ部9は、立ち上がり部5とは別体に構成されている。
アゴ部9は、断面形状が略直角三角形の本体部11と、本体部11の頂部から上方に向けて延在し所定の厚さを有する平板部13とから構成されている。平板部13の断面形状は、上下方向が長辺の略長方形となっている。本体部11は、断面形状の略直角三角形の辺のうち、高さ方向の辺に対応する面15(以下当該面を「垂直面15」という)が立ち上がり部5と水平方向に対向して配置されている。したがって本体部11は、断面形状の略直角三角形の底辺に対応する面(以下当該面を「底面17」という)と斜辺に対応する面(以下当該面を「斜面19」という)とが立ち上がり部5の側面7から突出している。
本体部11の垂直面15と平板部13の断面形状の長辺の一方に対応する面21とは連続する一つの平面を形成し、当該平面はアゴ部9の背面23を形成している。本体部11の斜面19と平板部13の断面形状の長辺の他方に対応する面25とは滑らかに連続し、全体でアゴ部9の表面27を形成している。背面23には凹凸を設けてもよい。
本体部11の底面17は陸屋根3と重力方向に対向している。本体部11の底面17には、水平方向に延在する水切り溝が2つ形成されている。第1の水切り溝29は表面27の下端近傍に形成され、第2の水切り溝31は背面23の下端近傍に形成されている。
アゴ部9の本体部11と平板部13とは樹脂からなり、本体部11と平板部13とは一体に形成されている。すなわちアゴ部9は樹脂で構成されている。アゴ部9を構成する樹脂は、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出し法ポリスチレンフォーム、ポリプロピレン、樹脂木材の何れかであることが好ましい。これらの樹脂それぞれに適した成形方法によって図1に示す形状のアゴ部9が形成されている。
立ち上がり部5の内側の側面7には、立ち上がり部5の長さ方向すなわち略水平方向に延在し、側面7に対して凹む方向の段部43が形成されている。段部43により、側面7には略水平方向に延在する凹部33が形成されている。凹部33の立ち上がり面40の上端には、陸屋根3の中心側へ突出する段部44が略水平方向に延在して形成されている。したがって凹部33は溝状に形成されている。凹部33は、アゴ部9の平板部13の厚さと同程度の深さを有し、アゴ部9の高さ寸法よりも少し大きい上下幅を有している。
アゴ部9は、背面23が立ち上がり部5の凹部33に接着剤34によって接着されることにより立ち上がり部5に固定されている。この状態において、陸屋根3に施された防水層35の立ち上がり端部37がアゴ部9の背面23によって保護される。なお、防水層35は、公知のアスファルト防水層等とすることができる。また、アゴ部9の表面27には、アゴ部9を雨水や紫外線から保護するための樹脂モルタルおよび防水塗装(図示省略)が施されている。当該塗装は、アゴ部9が立ち上がり部5に接着される前に、予め施されていることが好ましい。
アゴ部9の上端部と立ち上がり部5との隙間は、コーキング剤39によりシールされている。これにより当該隙間が防水処理され、雨水がアゴ部9と立ち上がり部5との隙間からアゴ部9の背面23側に回り込むことが防止され、防水層35への雨水の流入が防止される。
次に、本実施形態に係るパラペット1に設けられるアゴ部9の構築方法について説明する。
図2は、本実施形態に係るパラペット1の断面図であってアゴ部9の構築方法を模式的に示している。
建物の屋上の陸屋根3の外周部には、パラペット1を構成する立ち上がり部5がコンクリートによって形成されている。立ち上がり部5の内側の側面7には、凹部33が形成されている。陸屋根3に施された防水層35の端部37は、立ち上がり部5の側面7に沿って立ち上がり、凹部33の立ち上がり面40の中間部に位置している。
本実施形態に係るパラペット1のアゴ部9は、上述したように樹脂で構成されているため、樹脂の成形工場で製作されても良い。アゴ部9は、アゴ部9が構築されるパラペット1の長さに基いて、所定の長さのものが複数製作され、或いは複数種の長さのアゴ部9がそれぞれ複数制作される。これらの複数のアゴ部9をパラペット1の立ち上がり部5に連続して並べることによりパラペット1の長さに亘ってアゴ部9を構築してゆく。屋上の角部等においてパラペット1が例えば直角をなしている箇所は、隣り合うアゴ部9の端面を、例えば平面視において45度の角度を持つように形成し、これら角度を持った端面同士を対向させることによりアゴ部9が直角に配置されるようにする。なお、表面27の樹脂モルタルおよび防水塗装も同工場にて施しても良いし、或いは別の工場にて施しても良い。
アゴ部9の具体的な構築方法は以下の通りである。
まず、一つのアゴ部9の背面23に適量の接着剤34を塗布する。立ち上がり部5の内側の側面7には、予め凹部33を設けることが好ましい。そしてアゴ部9の底面17の背面側縁部41を立ち上がり部5の凹部33の下側の段部43に載置し、接着剤34が塗布された背面23を凹部33の立ち上がり面40に接触させる。このようにアゴ部9の底面17を凹部33に載置することによりアゴ部9の高さ位置を容易に合わせることができる。
本実施形態のアゴ部9を構成するアゴ部材は樹脂で構成されているため軽量である。そのため、作業現場でのアゴ部9の移動や向きの変更等の取り回しが容易にできる。したがって背面23に接着剤34を塗布し、立ち上がり部5の側面7の所定位置に移動させ、接着させる作業も容易に行うことができる。その結果作業性を向上させることができる。
次に、治具を用いて、アゴ部9を上記の状態で立ち上がり部5に押し付け保持することが好ましい。治具としては、例えば図2に示すようなL字クランプ45を用いることができる。L字クランプ45を用いる場合は、中間フレーム47をL字バー49に沿ってスライドさせ、L字バー49の先端部51を立ち上がり部5の外側の側面8よりも外側に配置し、中間フレーム47に保持された押さえ部53をアゴ部9の平板部13よりも内側に配置する。
この状態からグリップ55を回転させて押さえ部53をアゴ部9に近づく方向に移動させ、L字バー49の先端部51と押さえ部53とで、立ち上がり部5およびアゴ部9の平板部13を水平方向に挟持する。このとき、L字バー49の先端部51と立ち上がり部5の外側の側面8との間、および押さえ部53とアゴ部9の平板部13との間にそれぞれクッション材57を配置しても良い。
L字クランプ45で立ち上がり部5およびアゴ部9の平板部13を挟持する箇所は、少なくともアゴ部9の両端部であることが好ましいが、アゴ部9が長尺の場合は更に中間部を挟持しても良い。或いは、アゴ部9が短尺の場合は一つのL字クランプ45で挟持しても良い。このようにL字クランプ45で立ち上がり部5およびアゴ部9の平板部13を挟持したら、この状態を接着剤34が硬化するまで保持する。
他のアゴ部9についても上記と同様の作業を行い、それぞれのアゴ部9について、L字クランプ45で立ち上がり部5およびアゴ部9の平板部13を挟持し、接着剤34が硬化するまで保持する。
接着剤34が硬化したらL字クランプ45を取り外し、アゴ部9の上端部と凹部33の上側の段部44との隙間をコーキング剤39(図1参照)でシールする。これにより、アゴ部9の上端部と立ち上がり部5との隙間が防水処理され、雨水がアゴ部9の背面23側に回り込むことによる防水層35への雨水の流入が防止される。また、隣り合うアゴ部9間の隙間もコーキング剤39でシールする。これにより、アゴ部9間の隙間からの防水層35への雨水の流入が防止される。このようにして、パラペット1のアゴ部9が構築される。
以上説明したように、本実施形態によれば、アゴ部9を構成するアゴ部材が軽量であるため、パラペット1のアゴ部9の構築を作業性良く行うことが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、上記実施形態では立ち上がり部5とアゴ部9とをL字クランプ45を用いて挟持したが、立ち上がり部5とアゴ部9とを挟持して保持可能であれば他のクランプ機構を用いても良い。また、接着剤が硬化するまで防水層35の上に載せたサポート部材によってアゴ部を支持することもできる。また、上記実施形態では本発明をパラペット1に適用したが、他の構造物のアゴ部、例えば機器を載置固定するための機器架台のアゴ部に適用することも可能である。
また、上記実施形態においてはアゴ部9を構成するアゴ部材を樹脂で構成したが、樹脂に代えて押出し成形セメント板でアゴ部材を構成しても良い。この場合、背景技術に記載したような、アゴ部を含むコンクリート打込型枠と比較して、重量およびサイズを小さくすることができるので、作業性を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、凹部33の立ち上がり面40の上部に段部44を形成し、凹部33を溝状としたが、凹部33の形態はこれに限定されない。
図3は、他の実施形態に係るパラペットの構造を示す断面図である。なお、他の実施形態においては、図1および図2を援用し、上記実施形態と対応する構成については、上記実施形態で用いた符号に100を足して表示し、詳細な説明は省略する。
図3に示すように、他の実施形態に係るパラペット101においては、立ち上がり部105の凹部133の立ち上がり面140の上端に段部を設けずに、凹部133の断面を略L字状としている。また、立ち上がり部105の上端面とアゴ部109上端面とが同一の平面上に含まれている。この場合においても、アゴ部109の上端部と凹部133との隙間をコーキング剤139によってシールすることにより、雨水がアゴ部109の背面123側に回り込むことによる防水層135への雨水の流入が防止される。また、上記実施形態と同様に、パラペット101のアゴ部109の構築を作業性良く行うことが可能である。
1 パラペット
3 陸屋根
5 立ち上がり部
9 アゴ部
11 本体部
13 平板部
23 背面
27 表面
33 凹部
34 接着剤
35 防水層
39 コーキング剤
45 L字クランプ

Claims (10)

  1. 防水層が施された陸屋根から立ち上がる立ち上がり部を有する構造物に設けられ、前記立ち上がり部から突出し前記陸屋根と対向する底面を備えたアゴ部を構成するアゴ部材であって、
    樹脂または押出し成形セメント板からなり、
    前記立ち上がり部の側面に接着剤によって接着される接着面を有し、
    前記接着面が前記立ち上がり部の前記側面に接着剤によって接着されることにより、前記立ち上がり部の前記側面と前記接着面との間で前記防水層の端部を保護することを特徴とするアゴ部材。
  2. 前記樹脂は、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出し法ポリスチレンフォーム、ポリプロピレンまたは樹脂木材の何れかであることを特徴とする請求項1に記載のアゴ部材。
  3. 防水層が施された陸屋根から立ち上がる立ち上がり部を有する構造物に設けられ、前記立ち上がり部から突出し前記陸屋根と対向する底面を備えたアゴ部の構築方法であって、
    前記アゴ部は樹脂または押出し成形セメント板からなるアゴ部材により構成され、
    前記アゴ部材は、前記立ち上がり部の側面に接着剤によって接着される接着面を有し、
    前記立ち上がり部が形成された後に、前記立ち上がり部の前記側面に前記アゴ部材の前記接着面を接着剤によって接着し、前記立ち上がり部の前記側面と前記接着面との間で前記防水層の端部を保護することを特徴とするアゴ部の構築方法。
  4. 前記樹脂は、ビーズ法ポリスチレンフォーム、押出し法ポリスチレンフォーム、ポリプロピレンまたは樹脂木材の何れかであることを特徴とする請求項3に記載のアゴ部の構築方法。
  5. 前記立ち上がり部の側面に略水平方向に延在する凹部を形成し、
    前記凹部に前記アゴ部材を載置して前記立ち上がり部に前記アゴ部材を接着することを特徴とする請求項3または4に記載のアゴ部の構築方法。
  6. 前記アゴ部を、前記立ち上がり部に接着する前に前記アゴ部材に塗装を施すことを特徴とする請求項3または4に記載のアゴ部の構築方法。
  7. 前記接着剤が硬化するまで治具によって前記立ち上がり部と前記アゴ部とを挟持することを特徴とする請求項3または4に記載のアゴ部の構築方法。
  8. 前記立ち上がり部に前記アゴ部を接着した後、前記アゴ部と前記立ち上がり部との間をシールすることを特徴とする請求項3または4に記載のアゴ部の構築方法。
  9. 前記接着剤が硬化するまでサポート部材によって前記アゴ部を支持することを特徴とする請求項3または4に記載のアゴ部の構築方法。
  10. 防水層が施された陸屋根から立ち上がる立ち上がり部を有する構造物に設けられ、前記立ち上がり部から突出し前記陸屋根に対向する底面を備えたアゴ部の構造であって、
    前記アゴ部は樹脂または押出し成形セメント板からなり、
    前記立ち上がり部の側面に接着剤によって接着される接着面を有し、
    前記接着面が前記立ち上がり部の前記側面に接着剤によって接着されることにより、前記立ち上がり部の側面と前記接着面との間で前記防水層の端部を保護することを特徴とするアゴ部の構造。
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