JP3121540B2 - 組立塀 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、金属製の支柱の側
面に無機質板でなる塀パネルを取着してなる組立塀に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、図８に示す如く、金属製の支
柱（イ）の側面に無機質板でなる塀パネル（ロ）を取着
してなる組立塀は知られている。該組立塀においては、
土台ブロック（ハ）上に支柱（イ）が立設され、該支柱
（イ）の側面に支持金具（ニ）が取り付けられ、該支持
金具（ニ）を介して塀パネル（ロ）が取着支持されてい
る。この場合、塀パネル（ロ）は上下に複数枚配設さ
れ、該塀パネル（ロ）の上下両端に形成される凸実部
（ホ）と凹実部（ヘ）とが相互に接合され、該接合部分
に支持金具（ニ）が係合されて同塀パネル（ロ）は取着
支持されている。

【０００３】しかしながら、該組立塀においては、支持
金具（ニ）を支柱（イ）の側面に取り付ける作業が必要
で施工に手間がかかり、しかも、塀パネル（ロ）が薄い
場合には、該塀パネル（ロ）の上下両端に凸実部（ホ）
と凹実部（ヘ）とを形成することが困難で、例え、形成
することはできたとしても、該凸実部（ホ）と凹実部
（ヘ）とが形成された塀パネル（ロ）の上下両端部分は
破損し易くて支持強度が弱くなるということで、同支持
金具（ニ）を使用する施工は行われていない。

【０００４】そこで、塀パネル（ロ）が薄い場合には、
図９に示す如く、支柱（イ）の側面に塀パネル（ロ）を
釘、ネジ等の固着具（ト）によって取着固定する施工が
行われている。しかしながら、この場合、薄い塀パネル
（ロ）には固着具（ト）が貫通されることによってクラ
ックが発生し易く、又、該固着具（ト）を適宜間隔をお
いて割り付け配置することが必要で、同固着具（ト）に
よって塀パネル（ロ）を揺れ動き易い支柱（イ）に対し
て打ち付け固定する作業が困難であり、施工性にも問題
を生じる。しかも、塀パネル（ロ）の表面には固着具
（ト）が露出して施工仕上がり外観が悪くなり、又、無
機質板でなる該塀パネル（ロ）は温度変化や含水率変化
によって膨張、収縮するが、該膨張、収縮は吸収される
ことがなく同塀パネル（ロ）に反りやクラックが発生す
るという問題も発生する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術における問題を悉く解決するために発明されたもの
で、すなわち、その課題は、簡単な施工で薄い塀パネル
であっても支柱に対して確実且つ外観良好に取り付ける
ことができ、しかも、同塀パネルにはクラックや反りが
発生することのない組立塀を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
組立塀は、金属製の支柱の側面に無機質板でなる塀パネ
ルを弾性接着材層を介して貼着してなる。したがって、
この場合、薄い塀パネルであっても金属製の支柱の側面
に貼着して簡単に取り付けることができ、しかも、弾性
接着材層が金属製の支柱の側面及び無機質板でなる塀パ
ネルの裏面の凹凸に対応して両者を強固に接着結合し、
又、塀パネルの表面に固着具が露出することもなくて外
観良好に仕上がり、更には、無機質板でなる塀パネルの
温度変化や含水率変化による膨張、収縮が弾性接着材層
にて吸収され、該塀パネルには反りやクラックが発生す
ることがない。

【０００７】又、本発明の請求項１記載の組立塀は、弾
性接着材層を貼着されるシート材として形成したことを
特徴とする。

【０００８】したがって、この場合は特に、支柱の側面
に弾性接着材層となるシート材を貼着して、該シート材
を同支柱の側面と塀パネルの裏面との間に簡単に介在さ
せることができる。

【０００９】更に、本発明の請求項１記載の組立塀は、
支柱の側面にシート材として貼着される弾性接着材層の
表面に複数の凹所を形成し、該凹所に接着剤を充填して
同弾性接着材層の表面に塀パネルの裏面を貼着したこと
を特徴とする。したがって、この場合は特に、弾性接着
材層と凹所に充填される接着剤とで塀パネルの裏面に接
着結合されることになるので、弾性接着材層との接着結
合部分では塀パネルの膨張、収縮が支障なく吸収され、
接着剤との接着結合部分ではより高い接着強度を得るこ
とができる。

【００１０】又、本発明の組立塀においては、上下に配
設される複数枚の塀パネルを相互に接合し、該接合部分
に沿って同塀パネルの裏面に弾性接着材層を介して金属
製角パイプでなる補強桟材を貼着することが好ましい。
この場合には、塀パネルの小型化、軽量化を図りながら
該塀パネルを上下に配設し相互に接合させて容易に貼着
することができ、しかも、同接合部分が裏側から補強桟
材によって補強されると共に同表側での段差発生が防止
される。又、該補強桟材は金属製角パイプでなり塀パネ
ルの裏面に弾性接着材層を介し貼着されて容易に付設さ
れ、該塀パネルの膨張、収縮は同弾性接着材層において
も支障なく吸収される。

【００１１】又、本発明の組立塀においては、支柱の側
面に設けられる弾性接着材層を介して同支柱の下端部に
土台水切り部材を貼着し、該土台水切り部材上に塀パネ
ルを載置支持させることが好ましい。この場合には、支
柱の側面に設けられる弾性接着材層を活用しこれを介し
て同支柱の下端部に土台水切り部材を貼着して容易に取
り付けることができ、しかも、該土台水切り部材を基準
としその上に塀パネルを載置支持させて容易に取り付け
ることができ、又、該塀パネルは同土台水切り部材上に
ずれ落ちないよう確実に支持される。

【００１２】本発明の請求項２記載の組立塀は、請求項
１記載の組立塀において、間隔をおいて立設される複数
本の支柱の両側に塀パネルを配設して中空状に形成した
ことを特徴とする。したがって、この場合は特に、両側
の塀パネルによって支柱が覆い隠されて重厚な外観が現
出され、しかも、塀としての強度も向上される。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１、図２、図３、図４、図５、
図６は、本発明の請求項１、２に対応する一実施形態を
示しており、該実施形態の組立塀は、金属製の支柱１の
側面に無機質板でなる塀パネル２を弾性接着材層３を介
して貼着してなる。

【００１４】この場合、図３に示す如く、弾性接着材層
３は支柱１の側面に貼着されるシート材として形成され
ている。又、図４に示す如く、上下に配設される複数枚
の塀パネル２が相互に接合され、該接合部分に沿って同
塀パネル２の裏面に弾性接着材層３を介して金属製角パ
イプでなる補強桟材４が貼着されている。又、図５に示
す如く、支柱１の側面に設けられる弾性接着材層３を介
して同支柱１の下端部に土台水切り部材５が貼着され、
該土台水切り部材５上に塀パネル２が載置支持されてい
る。又、図２に示す如く、間隔をおいて立設される複数
本の支柱１の両側に塀パネル２が配設されて中空状に形
成されている。

【００１５】支柱１は四角筒状でアルミニウムでなり、
コンクリートでなる土台ブロック６上に立設固定されて
いる。この場合、支柱１はその下端部が、コンクリー
ト、セメント、モルタル等にて固定されても良いし、
又、地中に埋設固定されたり地表に固定金具を介して取
付固定されても良い。

【００１６】塀パネル２はセメント系の無機質板でな
り、横長矩形状で12mm程度の厚さ寸法に形成されてお
り、支柱１の両側において上下に二枚相互に接合されて
配設されている。又、図４に示す如く、塀パネル２の上
端縁裏側には凸段部７が、同下端縁裏側には凹段部８が
各々形成されており、該凸段部７と凹段部８とがあいじ
ゃくり接合されている。該接合部分にはコーキング材９
が介設されていて、塀パネル２の裏側への水の侵入が防
止される。又、同接合部分の表側には、横方向のストラ
イプ模様となる凹溝10が形成される。

【００１７】土台水切り部材５はアルミニウムでなり、
土台ブロック６の両側に配設されており、図５に示す如
く、支柱１の側面に設けられる弾性接着材層３に貼着さ
れる取付縦片部11と、該取付縦片部11の中程から前方斜
め下方へと屈曲状に一体に突出するカバー片部12と、同
取付縦片部11の上端から前方へ折曲した当接片部13とで
形成されている。この場合、土台ブロック６の上端角部
分が土台水切り部材５のカバー片部12にて覆われ、塀パ
ネル２の表面を伝い流下する雨水が同カバー片部12上に
落下して水切りされる。又、同土台水切り部材５の当接
片部13上に塀パネル２の下端縁裏側に形成される凹段部
８が当接されて、該塀パネル２は載置支持されている。

【００１８】弾性接着材層３は粘着性を有するポリウレ
タン、ＰＶＣ等で２mm程度の厚さ寸法の帯状シート材と
して形成され、図３に示す如く、複数本の各支柱１の側
面に貼着されている。又、図４に示す如く、塀パネル２
の接合部分の裏側には上下の同塀パネル２に架けわたる
ように弾性接着材層３を介して補強桟材４が貼着されて
おり、該補強桟材４はアルミニウムでなる偏平状の角パ
イプで形成されその巾広側面に同弾性接着材層３が予め
貼着して設けられ、該弾性接着材層３も前記弾性接着材
層３と同様に粘着性を有するポリウレタン、ＰＶＣ等で
帯状のシート材として形成されている。

【００１９】したがって、該実施形態の組立塀において
は、薄い塀パネル２であっても金属製の支柱１の側面に
貼着して簡単に取り付けることができ、しかも、弾性接
着材層３が金属製の支柱１の側面及び無機質板でなる塀
パネル２の裏面の凹凸に対応して両者を強固に接着結合
する。又、塀パネル２の表面には従来のように固着具が
露出することもなくて外観良好に仕上がり、しかも、無
機質板でなる塀パネル２の温度変化や含水率変化による
膨張、収縮が弾性接着材層３にて吸収され、該塀パネル
２には反りやクラックが発生することがない。

【００２０】又、該実施形態の組立塀においては、支柱
１の側面に弾性接着材層３となるシート材を貼着して、
該シート材を同支柱１の側面と塀パネル２の裏面との間
に簡単に介在させることができる。又、塀パネル２を上
下に配設するようにしてその小型化、軽量化を図ること
ができ、該塀パネル２を相互に接合させて容易に貼着す
ることができ、しかも、同接合部分が裏側から補強桟材
４によって補強されると共に同表側での段差発生が防止
される。又、該補強桟材４は金属製角パイプでなり塀パ
ネル２の裏面に弾性接着材層３を介し貼着されて容易に
付設され、該塀パネル２の膨張、収縮は同弾性接着材層
３においても支障なく吸収される。

【００２１】又、該実施形態の組立塀においては、支柱
１の側面に設けられる弾性接着材層３を活用しこれを介
して同支柱１の下端部に土台水切り部材５を貼着して容
易に取り付けることができ、しかも、該土台水切り部材
５を基準としその上に塀パネル２を載置支持させて容易
に取り付けることができ、又、該塀パネル２は同土台水
切り部材５上にずれ落ちないよう確実に支持される。更
には、両側の塀パネル２によって支柱１が覆い隠されて
重厚な外観が現出され、しかも、中空状で軽量でありな
がら塀としての強度も向上される。

【００２２】そして、該実施形態の組立塀においては、
図６に示す如く、支柱１の側面にシート材として貼着さ
れる弾性接着材層３の表面に複数の凹所16を形成し、該
凹所16に接着剤17を充填して同弾性接着材層３の表面に
塀パネル２の裏面を貼着している。

【００２３】図７は、弾性接着材層３を例示しており、
この場合、支柱１の側面に貼着されて弾性接着材層３と
なる帯状シート材が、弾性に富む２mm程度の厚さ寸法を
有するポリエチレンフォーム層の両側に粘着性を有する
０．７mm程度の厚さ寸法を有する粘着樹脂層が配設され
た、総厚さ寸法３．４mm程度となる三層構造に形成され
ている。

【００２４】図６に示す如く、該実施形態の組立塀にお
いては、支柱１の側面に２mm程度の厚さ寸法の帯状シー
ト材として貼着される弾性接着材層3の表面に、溝状で
１mm程度の深さ寸法の凹所16が帯状長手方向に沿って二
条並設形成され、両凹所16にシリコン系の接着剤17が施
工時に注入充填されて、同弾性接着材層３の表面に塀パ
ネル２の裏面が貼着されている。

【００２５】したがって、この場合は特に、弾性接着材
層３と凹所16に充填される接着剤17とで塀パネル２の裏
面に接着結合されることになるので、弾性接着材層３と
の接着結合部分では塀パネル２の膨張、収縮が支障なく
吸収され、接着剤17との接着結合部分ではより高い接着
強度を得ることができる。

【００２６】

【発明の効果】上述の如く、本発明の請求項１記載の組
立塀においては、薄い無機質板でなる塀パネルであって
も金属製の支柱の側面に貼着によって簡単且つ強固に取
り付けることができ外観も良好に仕上がり、しかも、同
塀パネルにはその膨張、収縮が弾性接着材層にて吸収さ
れて反りやクラックが発生することがない。

【００２７】又、本発明の請求項１記載の組立塀におい
ては、特に、支柱の側面に弾性接着材層となるシート材
を貼着して、該シート材を同支柱の側面と塀パネルの裏
面との間に簡単に介在させることができる。

【００２８】そして、本発明の請求項１記載の組立塀に
おいては、支柱の側面にシート材として貼着される同弾
性接着材層の表面に複数の凹所を形成し、該凹所に接着
剤を充填して同弾性接着材層の表面に塀パネルの裏面を
貼着したことを特徴としている。

【００２９】したがって、この場合は特に、弾性接着材
層との接着結合部分では塀パネルの膨張、収縮が支障な
く吸収され、凹所に充填される接着剤との接着結合部分
ではより高い接着強度を得ることができる。

【００３０】又、本発明の組立塀において、上下に配設
される複数枚の塀パネルを相互に接合し、該接合部分に
沿って同塀パネルの裏面に弾性接着材層を介して金属製
角パイプでなる補強桟材を貼着することで、塀パネルの
小型化、軽量化が図られてその貼着施工が容易となり、
しかも、塀パネル間の接合部分が裏側から補強桟材によ
って補強されると共に同表側での段差発生も防止され、
該補強桟材は塀パネルの裏面に弾性接着材層を介し貼着
されて容易に付設され、又、塀パネルの膨張、収縮が同
弾性接着材層においても支障なく吸収される。

【００３１】又、本発明の組立塀において、支柱の側面
に設けられる弾性接着材層を介して同支柱の下端部に土
台水切り部材を貼着し、該土台水切り部材上に塀パネル
を載置支持させることで、支柱の側面に設けられる弾性
接着材層を活用して土台水切り部材を容易に取り付ける
ことができ、しかも、該土台水切り部材を基準としその
上に塀パネルを載置支持させて容易且つ確実に取り付け
ることができる。

【００３２】又、本発明の請求項２記載の組立塀におい
ては、間隔をおいて立設される複数本の支柱の両側に塀
パネルが配設されて中空状に形成され、重厚な外観が現
出されると共に塀としての強度も向上される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態である組立塀を示す縦断面
図。

【図２】同組立塀の横断面図。

【図３】同組立塀の施工状態を示す概略分解斜視図。

【図４】同組立塀の要部断面斜視図。

【図５】同組立塀の要部縦断面図。

【図６】同組立塀の施工状態を示す要部分解横断面図。

【図７】同組立塀の施工状態を示す弾性接着材層を例示
しての要部分解横断面図。

【図８】従来例である組立塀の施工状態を示す分解縦断
面図。

【図９】別の従来例である組立塀の施工状態を示す分解
縦断面図。

【符号の説明】

１ 支柱 ２ 塀パネル ３ 弾性接着材層 ４ 補強桟材 ５ 土台水切り部材 16 凹所 17 接着剤

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平８−60899（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−154767（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E04H 17/14 - 17/16 E04F 13/08 101

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製の支柱の側面に無機質板でなる塀
   パネルを弾性接着材層を介して貼着してなる組立塀にお
   いて、弾性接着材層を貼着されるシート材として形成す
   ると共に、支柱の側面にシート材として貼着される同弾
   性接着材層の表面に複数の凹所を形成し、該凹所に接着
   剤を充填して同弾性接着材層の表面に塀パネルの裏面を
   貼着したことを特徴とする組立塀。
2. 【請求項２】 間隔をおいて立設される複数本の支柱の
   両側に塀パネルを配設して中空状に形成したことを特徴
   とする請求項１記載の組立塀。