JP3859471B2 - 長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法及びその取り付け方法を用いて長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法、その取り付け方法を用いて長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材に関する。更に、長尺要素を介して他の要素が取り付けられる軽量気泡コンクリート部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
外壁として軽量気泡コンクリート部材(例えば、ALC部材等)を使用した建築物では、軽量気泡コンクリートの強度的な問題から、その外壁に、塗料(例えば、リシン塗料及びマスチック塗料等)を塗工して、得られる塗膜に防水及び保護機能等をもたせ、塗装することによってあわせて意匠性を付与することが一般的である。軽量気泡コンクリートに取り付ける際の強度保持の困難性から、軽量気泡コンクリートにメタルサイジング材等のパネルを設置することが困難とされてきた。近年、このパネルの設置方法として、ALC部材の表面に、金属製の胴縁を取り付け、この胴縁に新しい外壁パネルを設ける方法が行われている。胴縁をALC部材に取り付ける方法として、ALC部材の表面にタッピングビスもしくはコンクリート釘を介して金属製の胴縁を取り付ける方法、並びにALC部材に貫通穴を設けボルトを用いて両端から締結して金属製の胴縁を取り付ける方法が知られている(特開2000−274048号公報等参照)。
【0003】
しかし、タッピングビスもしくはコンクリート釘を介して金属製の胴縁を取り付ける方法では、タッピングビスもしくはコンクリート釘の引き抜き強度が十分でなく、また、ALC部材は外壁であるから、長期間風に吹かれ(風圧)又は振動等によって、胴縁の取り付けに緩みが生ずるという問題が有る。
また、ボルトを用いて両端から締結して金属製の胴縁を取り付ける方法では、大きな強度は得られるが、ALC部材の内面にナットが露出し、内側(室内側)の美観を損うという問題が有る。ナットの露出部分に窪みを設けてナットの露出を防止することが可能であるが、ナットを埋設する余分の手間が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、従来から用いられている胴縁のALC部材への取り付け方法と比較して、引き抜き強度が十分でなく、取り付け後に緩みが生ずるという問題、及びALC部材の内面の美観が損われるという問題の少なくとも一種の問題を実質的に解消し又は緩和し得る、長尺要素のALC部材への取り付け方法、その取り付け方法を用いて長尺要素が取り付けられたALC部材、並びに長尺要素を介して胴縁が取り付けられるALC部材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つの要旨によれば、新たな長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法が提供され、それは、軽量気泡コンクリート部材に凹部を設け、充填用接着剤を凹部に充填した後、充填用接着剤に長尺要素を挿入することを特徴とする、長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法であって、
軽量気泡コンクリート部材は、施工された既設の部材であって、既存の建築物の壁面であり、
充填用接着剤は、反応性ホットメルト接着剤であり、
充填用接着剤を凹部に充填する前に、凹部を規定する表面の少なくとも一部に充填用プライマーを適用する取り付け方法であって、
充填用プライマーは、ウレタン樹脂プライマーである
長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法である。
更に、本発明の別の要旨によれば、新たな長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法が提供され、それは、軽量気泡コンクリート部材に凹部を設け、長尺要素を凹部に挿入した後、充填用接着剤を凹部に充填することを特徴とする、長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法であって、
軽量気泡コンクリート部材は、施工された既設の部材であって、既存の建築物の壁面であり、
充填用接着剤は、反応性ホットメルト接着剤であり、
充填用接着剤を凹部に充填する前に、凹部を規定する表面の少なくとも一部に充填用プライマーを適用する取り付け方法であって、
充填用プライマーは、ウレタン樹脂プライマーである
長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法である。
また、上述の本発明の取り付け方法は、長尺要素を保持して、充填した接着剤を硬化させることを含む。
【0006】
本発明の他の要旨によれば、上述の取り付け方法を用いて長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材が提供される。
更に、上述の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材に、長尺要素を介して他の要素が取り付けられる軽量気泡コンクリート部材が提供される。
上述の長尺要素を有する軽量気泡コンクリート部材は、他の要素として胴縁が長尺要素を介して好適に取り付けられ、この胴縁を利用して新たなパネル(外壁材等)を、軽量気泡コンクリート部材に取り付けることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、「軽量気泡コンクリート部材」とは、軽量化及び断熱性向上等を目的として気泡又は中空状骨材等を内部に含有するコンクリート部材をいい、通常、軽量気泡コンクリート材料でできているものであれば、特に制限されるものではない。また、軽量気泡コンクリート部材は、形状及び寸法等によっても制限されるものではないが、軽量気泡コンクリート部材として、例えば、板状、ブロック状、断面U字状及び断面L字状等の形状のものを例示でき、板状の場合厚さ50〜100mm、幅500〜600mm及び長さ1800〜3000mm程度の寸法を有するものを例示できる。
【0008】
軽量気泡コンクリート部材として、例えば、ALC部材、エアーミックスコンクリート部材、パーライト混入コンクリート部材並びにこれらの板状物等を例示できる。尚、軽量気泡コンクリート部材は、家屋の外壁等として施工される前の新規の部材であっても、既に構造物(例えば、建築物等)の一部となっているもの、即ち、既に施工された既設の部材(例えば、既存の建築物の壁面)であってもよい。そのような軽量気泡コンクリート部材として、具体的には旭化成建材(株)製のヘーベル(商品名)、住友金属鉱山シポレックス(株)製のシポレックス(商品名)、クリオン(株)製のクリオン(商品名)、東海コンクリート(株)製のファインライト(商品名)及び高橋カーテンウォール工業(株)製のカルコン11(商品名)を例示できる。
【0009】
軽量気泡コンクリート部材の「凹部」(又は「穴」)は、後述する長尺要素の少なくとも一部を収容することができ、更には、取り付けられる他の要素の形状及び寸法等を考慮して、その形状及び寸法が適宜選択され得るものである。凹部は、例えば、全体として円柱状、多段円柱状(凹部がいくつかの円柱を積み重ねた形状であって、凹部の開口部は直径の大きい円柱であり、凹部の底部に向けて直径の小さな円柱を積み重ねた形状)、テーパー状(凹部の断面が台形状もしくは逆台形状であって、開口部の直径が底部の直径より大きい形状及び開口部の直径が底部の直径より小さい形状を含む)、多角柱状(例えば、三角柱状、四角柱状及び六角柱状等)等の種々の形状で有り得、更に、その凹部を規定する表面に種々の形状(例えば、異形状等)を有してもよい。このような凹部の形状として、円柱状が好ましい。また、凹部は、美観の観点から、軽量気泡コンクリート部材を貫通していてもよいが、貫通していない方が好ましい。
【0010】
軽量気泡コンクリート部材の凹部の大きさは、後述する長尺要素の大きさを考慮して適宜選択されるものである。凹部の断面の寸法(円柱形である場合は直径)は、通常、長尺要素が凹部に挿入される部分の断面の寸法(円柱形である場合は直径)と比較して、約2〜10mm大きいのが好ましく、約3〜8mm大きいのがより好ましく、約4〜6mm大きいのが特に好ましい。凹部の断面の寸法(円柱形である場合は直径)は、通常4〜30mmが好ましく、7〜25mmがより好ましく、10〜20mmが特に好ましい。また、凹部の深さは、通常、10〜100mmが好ましく、20〜60mmがより好ましく、30〜50mmが特に好ましい。
【0011】
通常、軽量気泡コンクリート部材に凹部を設けることができる方法を使用して、軽量気泡コンクリート部材に、凹部を設けることができる。そのような方法として、例えば、電動ドリルを用いる方法、振動ドリルを用いる方法及び目的とする凹部と対応する凸部を有する軽量気泡コンクリート部材用の型枠を用いる方法等を例示できる。従って、凹部は軽量気泡コンクリート部材の製造後に、軽量気泡コンクリート部材に設けられてもよいし、軽量気泡コンクリート部材の製造と同時に設けられてもよく、本発明は凹部が軽量気泡コンクリート部材に設けられる時期によって特に制限されるものではない。
【0012】
凹部に充填する接着剤(以下、「充填用接着剤」又は「接着剤(充填用)」ともいう)は、セメント系材料の接着に用いられるものであって、後述する長尺要素の接着にも用いることができるものであれば、特に制限されるものではないが、接着剤が充填された後、硬化するまでの間、接着剤が凹部から流れ出ないものが好ましい。
【0013】
充填用接着剤として、例えば、下記の接着剤を例示できる:
二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のシリコン樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のウレタン樹脂、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、変性シリコンエポキシ樹脂及び常温ラジカル重合性樹脂(例えば、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びアクリルシラップ樹脂等)等の接着剤として使用される熱硬化性樹脂;
セメントフィラー及び水ガラス等の無機質系接着剤;
反応性もしくは非反応性ホットメルト接着剤;並びに
接着剤として使用される熱可塑性樹脂。
【0014】
長尺要素が、例えば、鉄、ステンレス及びアルミニウム等の金属系の材料でできている場合、充填用接着剤として、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のシリコン樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、変性シリコンエポキシ樹脂、セメントフィラー、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びアクリルシラップ樹脂等の常温ラジカル重合性樹脂、並びに反応性もしくは非反応性ホットメルト接着剤が好ましい。
長尺要素が、例えば、竹、桜、楠、ひのき及び杉等の木質系の材料でできている場合、充填用接着剤として、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のシリコン樹脂、二液型もしくは一液型のウレタン樹脂、並びに反応性もしくは非反応性ホットメルト接着剤が好ましい。
【0015】
長尺要素が、例えば、陶磁器、スレート及び粘度焼成材料等のセラミック系の材料でできている場合、充填用接着剤として、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のシリコン樹脂、セメントフィラー及び水ガラス等の無機質系接着剤、並びに反応性もしくは非反応性ホットメルト接着剤が好ましい。
長尺要素が、例えば、ビニルエステル樹脂及びエポキシ樹脂等の樹脂(例えば、ガラス繊維、アラミド繊維及びカーボン繊維等を混入して補強した樹脂を含む)でできている場合、充填用接着剤として、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のシリコン樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、変性シリコンエポキシ樹脂、並びに反応性もしくは非反応性ホットメルト接着剤が好ましい。
【0016】
尚、充填用接着剤はある程度の弾性又は可撓性を有するのがより好ましく、例えば、長尺要素が金属系の材料でできている場合、充填用接着剤として、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、変性シリコンエポキシ樹脂、可撓性を有する二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、並びに反応性ホットメルト接着剤がより好ましく、変性シリコンエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型の可撓性を有するエポキシ樹脂、並びに反応性ホットメルト接着剤がさらに好ましく、反応性ホットメルト接着剤が特に好ましい。
【0017】
二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂として、例えば、日本エヌエスシー(株)製のKBKE655(商品名)、コニシ(株)製のボンドE209(商品名)及び積水化学工業(株)製のエスダインS−450(商品名)を例示できる。
二液型もしくは一液型のシリコン樹脂として、例えば、GE東芝シリコン(株)製のトスシール(商品名)、サンスター技研(株)製のペンギンシール2520(商品名)及びセメダイン(株)製の8060プロ(商品名)を例示できる。
ウレタン変性エポキシ樹脂として、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のエピタンシリーズ(商品名)、トーヨーポリマー(株)製のルビロン101(商品名)及びASTC polymer社製のペナトロン(商品名)を例示できる。
【0018】
二液型もしくは一液型のウレタン樹脂として、例えば、サンライズMSI(株)製のSRシールU83(商品名)、積水化学工業(株)エスダインU736L(商品名)及び日立化成ポリマー(株)製のヘイボンR−PU490(商品名)を例示できる。
二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂として、例えば、(株)タイルメント製のタイルメントMK−475(商品名)、コニシ(株)製のボンドMPX−1(商品名)及び積水化学工業(株)製のセキスイボンド#72(商品名)を例示できる。
変性シリコンエポキシ樹脂として、例えば、コニシ(株)製のボンドエフレックス170(商品名)、セメダイン(株)製のセメダインPM200(商品名)及び(株)タイルメント製のタイルメントME−01(商品名)を例示できる。
【0019】
セメントフィラーとして、例えば、ヤブ原産業(株)製のカチオンタイト(商品名)及び日本エヌエスシー(株)製のベルタイトFBT(商品名)を例示できる。
水ガラスとして、例えば、三菱レイヨン(株)製のケミカルグラウト(商品名)及び三洋化成工業(株)製の三洋サンソルト(商品名)を例示できる。
【0020】
常温ラジカル重合性樹脂として、例えば、三菱レーヨン(株)製のアクリシラップXD516(商品名)、昭和高分子(株)製のリポキシR804(商品名)及び大日本インキ化学工業(株)製のディオバHTP506(商品名)を例示できる。
反応性もしくは非反応性ホットメルト接着剤として、例えば、コニシ(株)製のボンドKUM1000(商品名)、日本エヌエスシー(株)製のボンドマスター8(商品名)及びエバーグリップ(株)製のエバーグリップRU638(商品名)を例示できる。
【0021】
接着剤を凹部に充填する方法は、通常、接着剤を凹部に充填する方法として用いられる方法であれば、特に制限されるものではなく、接着剤に応じて種々選択することができる。例えば、シーリングガン、ホットメルトガン、グリスガン及び注入用カプセルを例示できる。
尚、充填用接着剤は、少なくとも長尺要素を保持し得る程度に凹部に充填されればよいが、凹部は充填用接着剤によって完全に充填されるのが好ましい。
【0022】
本発明において、「長尺要素」とは、その少なくとも一部が、上述の軽量気泡コンクリート部材に設けられる凹部に挿入され得る程度に長尺の部位を有する要素であれば、特に制限されるものではない。尚、後述する取り付け要素の場合、長尺要素は、他の要素を取り付ける部位が露出する程度に長尺の部位を有するのが好ましい。
【0023】
長尺要素は、種々の機能を有することができ、その機能に応じて、その形状及び材質等を適宜選ぶことができる。長尺要素の形状として、例えば、棒状、柱状、板状、筒状、L字状、クエスチョンマーク、H型アングル並びにL型アングルの形状等を例示でき、更に、長尺要素の表面に、例えば、ネジ状及び異形状等の追加の形状を与えてもよい。また、長尺要素の材質は、所望の機械的性質等を有するものであれば、適宜選択することができ、特に制限されるものではない。長尺要素の材質として、例えば、金属、木材、セラミック及び樹脂等を例示できる。
【0024】
長尺要素は、種々の機能を有することができ、例えば、胴縁等を取り付けるための取り付け要素、看板を壁面に固定するための取り付け要素、室外機(例えば、エアコン等の室外機)を壁面に固定するための取り付け要素、給湯器を壁面に固定するための取り付け要素、並びにタイルを貼り付けるための落下防止要素等で有り得る。
【0025】
取り付け要素は、いずれかの他の要素(例えば、胴縁、看板、室外機及び給湯器等)を軽量気泡コンクリート部材に取り付ける(又は固定する)ための要素であって、そのようなものとして使用できる要素であれば、特に制限されるものではなく、他の要素及び他の要素を取り付ける方法に応じて適宜選択され得るものである。取り付け要素の形状として、例えば、棒状、柱状、板状、筒状、L字状及びクエスチョンマークの形状等を例示できる。また、長尺要素の表面に追加の形状(例えば、ネジ状及び異形状等)が付与されてもよい。また、取り付け要素の材質は、所望の機械的性質等を有するものであれば、適宜選択することができ、特に制限されるものではなく、例えば、金属、木材、セラミック及び樹脂等を例示できる。
【0026】
取り付け要素として具体的には、例えば、ボルト、アンカー、棒状体(例えば、丸型棒状体、異形棒状体及び多角棒状体等)、板状体、筒状体、角パイプ状体、H型アングル並びにL型アングル等を例示できる。尚、取り付け要素として、例示したボルト、アンカー、棒状体(例えば、丸型棒状体、異形棒状体及び多角棒状体等)、板状体、筒状体、角パイプ状体、H型アングル並びにL型アングル等が、例えば、鉄、ステンレス及びアルミニウム等の金属系の材料でできている場合、充填用接着剤として、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、変性シリコンエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型の可撓性を有するエポキシ樹脂、並びに反応性ホットメルト接着剤がより好ましく、二液型もしくは一液型の変性シリコンエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型の可撓性を有するエポキシ樹脂、並びに反応性ホットメルト接着剤がさらに好ましく、反応性ホットメルト接着剤が特に好ましい。
【0027】
落下防止要素は、いずれかの他の要素(例えば、タイル及び天然石板(大理石及び御影石等)等)の落下を防止するための要素であって、そのようなものとして使用できる要素であれば、特に制限されるものではなく、他の要素及び他の要素の落下を防止する方法に応じて適宜選択され得るものである。落下防止要素の形状として、例えば、棒状、板状、L形、H型アングル及びL型アングル等の形状を例示できる。また、落下防止要素の材質は、所望の機械的性質等を有するものであれば、適宜選択することができ、特に制限されるものではなく、例えば、金属、木材、セラミック及び樹脂等を例示できる。落下防止要素として具体的には、板状金属L形もしくは棒状L形によって荷重を支え、ズレを防止する要素等を例示できる。
【0028】
長尺要素を、接着剤に挿入する方法は、長尺要素を接着剤に挿入する方法として用いることができる方法であれば、特に制限されるものではなく、接着剤に応じて種々選択することができる。例えば、手で挿入する方法及びハンマーを用いる挿入する方法を例示できる。
また、長尺要素を、凹部に挿入する方法は、長尺要素を凹部に挿入する方法として用いることができる方法であれば、特に制限されるものではなく、例えば、手で挿入する方法を例示できる。
【0029】
更に、上述の本発明の取り付け方法において、長尺要素を保持して、接着剤を硬化させる取り付け方法を提供する。
長尺要素を保持する方法は、長尺要素の形状、寸法及び保持時間等によって種々選択され、特に制限されるものではないが、例えば、手で保持する方法、テープを用いて保持する方法及び支持金具を用いて保持する方法等を例示できる。
【0030】
本発明の取り付け方法で使用する充填用接着剤の硬化時間は、充填用接着剤及び充填用接着剤を硬化させる方法によって定まり得るものである。如何なる硬化時間を示す充填用接着剤及硬化方法を用いるかは、長尺要素を介して取り付ける他の要素等の施工方法等に依存し、必要とされる所望の硬化時間に応じて適宜選択され得るものである。尚、充填用接着剤は、例えば、長尺要素が胴縁取り付け用取り付け要素である場合、自然雰囲気下で放置することによって、半日〜1日で実用強度(他の部材の取り付けが可能となる強度)に硬化することが好ましい。
【0031】
充填用接着剤を硬化させる方法として、例えば、自然雰囲気下で放置する方法、加熱する方法、冷却する方法、光照射する方法及び適宜硬化促進剤を加える方法等を例示できる。これらの充填用接着剤を硬化させる方法は、放置する方法(自然雰囲気下で接着剤の硬化が自然に進行する方法)であっても、積極的に接着剤を硬化させるために行われる方法であってもよく、適宜、組み合わせて使用することができる。尚、自然雰囲気下で放置して接着剤が短時間で硬化する場合、長尺要素を保持して、積極的に接着剤を硬化させる方法を使用することは、実質的に不要で有り得る。
【0032】
自然雰囲気下での充填用接着剤の硬化に所望の時間以上の長時間を要する場合(硬化時間が所望の時間より長い場合)、必要に応じて上述の充填用接着剤の硬化を促進するのが好ましい。即ち、上述の本発明の取り付け方法は、長尺要素を保持して接着剤を硬化させる際に、接着剤の硬化を促進することを含む。充填用接着剤の硬化を促進する方法として、上述した充填用接着剤を硬化させる方法と同様に、例えば、加熱する方法、冷却する方法、光照射する方法及び適宜硬化促進剤を加える方法等を例示できる。これらの硬化を促進する方法は、適宜、組み合わせて使用することができる。
【0033】
本発明の一つの態様として、接着剤を凹部に充填する前に、凹部を規定する表面の少なくとも一部にプライマー(以下「充填用プライマー」又は「プライマー(充填用)」ともいう)を適用する上述の取り付け方法を提供する。プライマーは、凹部を規定する表面の全面に適用するのが好ましい。充填用プライマーとは、一般にセメント系材料の接着に用いられ、被着体(軽量気泡コンクリート部材)の凹部を規定する表面を強化し、この凹部を規定する表面と充填用接着剤との一体化を促進することを目的として用いられ、充填用接着剤と相性のよいものであれば、特に制限されるものではない。
【0034】
このようなプライマーとして、例えば、以下のプライマーを例示できる:
二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマー、二液型もしくは一液型のウレタン樹脂プライマー、室温ラジカル重合性樹脂(例えば、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びアクリルシラップ樹脂等)プライマー及びシラン系樹脂プライマー等の熱硬化性樹脂のプライマー;
水ガラスプライマー等の無機質系接着剤のプライマー;
有機溶剤に溶解された(例えば、ホットメルト接着剤に用いられる樹脂等の)熱可塑性樹脂プライマー;並びに
上述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂もしくはアクリル樹脂等のエマルション、並びにゴムラテックス等のポリマーディスパージョンプライマー。
【0035】
プライマーの粘度調整は、有機溶剤、モノマー及び水等を用いて適宜行うことができる。プライマーの適用方法は、通常、プライマーの適用方法として用いられている方法であって、凹部に適用する方法として用いることができる方法であれば使用することができる。適用方法には、塗布方法、塗工方法、浸漬方法及び充填方法等が含まれ、より具体的には、例えば、スプレーを用いる適用方法、ハケを用いる適用方法及びスポイドを用いる適用方法を例示できる。
【0036】
長尺要素が、例えば、鉄、ステンレス及びアルミニウム等の金属系の材料でできている場合、充填用プライマーと充填用接着剤は、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマーと二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂の組み合わせ、一液型ウレタン樹脂プライマーと二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂の組み合わせ、一液型のウレタン樹脂プライマーと反応性ホットメルト接着剤の組み合わせ、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマーと反応性ホットメルト接着剤の組み合わせ、アクリルシラップ樹脂系プライマーとアクリルシラップ樹脂の組み合わせ、シラン系樹脂プライマーと二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂の組み合わせ、並びに二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマーと変性シリコンエポキシ樹脂の組み合わせが好ましい。
【0037】
長尺要素が、例えば、竹、桜、楠、ひのき及び杉等の木質系の材料でできている場合、充填用プライマーと充填用接着剤は、二液型もしくは一液型のウレタン樹脂プライマーと二液型もしくは一液型のウレタン樹脂の組み合わせ、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマーと二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂の組み合わせ、並びに二液型もしくは一液型のウレタン樹脂プライマーと反応性ホットメルト接着剤の組み合わせが好ましい。
【0038】
長尺要素が、例えば、陶磁器、スレート及び粘度焼成材料等のセラミック系の材料でできている場合、充填用プライマーと充填用接着剤は、ポリマーディスパージョンプライマーとセメントフィラーの組み合わせ、二液型もしくは一液型のウレタン樹脂プライマーと反応性ホットメルト接着剤の組み合わせ、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマーと二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂の組み合わせ、並びに水ガラスプライマーと水ガラス接着剤の組み合わせが好ましい。
【0039】
長尺要素が、例えば、ビニルエステル樹脂及びエポキシ樹脂等の樹脂系の材料でできている場合、充填用プライマーと充填用接着剤は、ポリマーディスパージョンプライマーとセメントフィラーの組み合わせ、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂プライマーと二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂の組み合わせ、並びに二液型もしくは一液型のウレタン樹脂プライマーと反応性ホットメルト接着剤の組み合わせが好ましい。
【0040】
本発明は、上述のようにして長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材を提供する。更に、長尺要素を介して、種々の他の要素が取り付けられ、固定され、又は落下防止される軽量気泡コンクリート部材を提供する。
ここで、「他の要素」とは、軽量気泡コンクリート部材に取り付けて(又は固定されて)利用されるものであって、単に取り付けられ、落下防止されるものであってもよく、特に制限されるものではないが、例えば、胴縁、室外機、給湯器及び看板取り付け用金具、並びにタイル落下防止金具等を例示できる。
【0041】
他の要素の取り付けは、長尺要素(取り付け要素)を用いて適宜行うことができ、特に制限されるものではない。例えば、長尺要素がボルトである場合、ナットを用いて取り付けることができ、長尺要素が、アンカーである場合、ボルトを挿入し、更にナットを用いて取り付けることができる。尚、ナットの緩みを防止するために、接着剤を併用することもできる。
【0042】
他の要素を取り付ける際、他の要素が接する軽量気泡コンクリート部材の部分に、必要に応じて、接着剤(以下「他の要素用接着剤」又は「接着剤(他の要素用)」ともいう)を適用して、他の要素の取り付けを補強することができる。
他の要素用接着剤は、セメント系材料の接着に用いられるものであって、上述の他の要素の接着にも用いることができるものであれば、特に制限されるものではない。他の要素用接着剤として、例えば、上述した充填用接着剤において例示した接着剤を例示できる。他の要素用接着剤として、充填用接着剤と同じ接着剤を用いても、違う接着剤を用いてもよいが、同じ接着剤を用いると便宜である。他の要素用接着剤の適用方法は、通常、接着剤の適用方法として用いられている方法であれば使用することができる。適用方法には、例えば、塗布方法及び塗工方法等が含まれ、例えば、スプレーを用いる適用方法、ハケを用いる適用方法、櫛歯ヘラを用いる方法並びに櫛歯こてを用いる方法を例示できる。
【0043】
他の要素が、例えば、鉄、ステンレス及びアルミニウム等の金属系の材料等でできている場合、他の要素用接着剤として、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型のシリコン樹脂、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、変性シリコンエポキシ樹脂、セメントフィラー、ビニルエステル樹脂、アクリルシラップ樹脂、並びに反応性ホットメルト接着剤が好ましい。
他の要素が、例えば、竹、桜、楠、ひのき及び杉等の木質系の材料でできている場合、他の要素用接着剤として、二液型もしくは一液型のウレタン樹脂、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、並びに反応性ホットメルト接着剤が好ましい。
【0044】
他の要素が、例えば、陶磁器、スレート及び粘度焼成材料等のセラミック系(セメントを含む)の材料でできている場合、他の要素用接着剤として、二液型もしくは一液型のエポキシ樹脂、二液型もしくは一液型の変性シリコン樹脂、セメントフィラー、並びに水ガラスが好ましい。
尚、他の要素用接着剤の好ましい接着剤の具体例は、上述の充填用接着剤の好ましい接着剤の具体例と同様である。
【0045】
更に、他の要素用接着剤を用いて他の要素を取り付ける際、他の要素が接する軽量気泡コンクリート部材の部分に、他の要素用接着剤を適用する前に、プライマー(以下「他の要素用プライマー」ともいう)を適用するのが好ましい。
他の要素用プライマーは、一般にセメント系材料の接着に用いられ、被着体(軽量気泡コンクリート部材)の表面を強化し、この表面と他の要素用接着剤との一体化を促進することを目的として用いられ、他の要素用接着剤と相性のよいものであれば、特に制限されるものではない。
【0046】
他の要素用プライマーとして、例えば、上述した充填用プライマーにおいて例示したプライマーを例示できる。他の要素用プライマーとして、充填用プライマーと同じプライマーを用いても、違うプライマーを用いてもよいが、同じプライマーを用いる方が便宜である。尚、他の要素用プライマーと他の要素用接着剤の好ましい組み合わせは、上述の充填用プライマーと充填用接着剤の好ましい組み合わせと同様である。
他の要素用プライマーの適用方法は、通常、プライマーの適用方法として用いられている方法であれば使用することができる。適用方法には、例えば、塗布方法及び塗工方法等が含まれ、例えば、スプレーを用いる適用方法、毛刷毛を用いる適用方法、並びにローラー刷毛を用いる方法を例示できる。
【0047】
以下、添付した図面を参照して、更に詳細に本発明を説明する。
図1は、本発明の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材の一つの態様の模式的な断面図を示す。長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材1は、軽量気泡コンクリート部材2に凹部3が設けられ、その凹部3に充填された充填用接着剤4に長尺要素5が挿入されて固着された構造を有している。長尺要素を軽量気泡コンクリート部材1に取り付ける際は、充填用接着剤4を、軽量気泡コンクリート部材2の凹部3に充填した後、長尺要素5を充填用接着剤4に挿入してもよく、また、長尺要素5を凹部3に挿入した後、充填用接着剤4を凹部3に充填してもよい。尚、充填用接着剤4は硬化して、硬化物となることは説明するまでもない。
【0048】
図1では、充填用接着剤4が凹部3に充填された後、長尺要素5が充填用接着剤4に挿入された構造を示しており、長尺要素5と凹部3の底部の間に充填用接着剤4が存在し得るのでそのような構造が示されている。長尺要素5が凹部3に挿入された後、充填用接着剤4が充填された場合、長尺要素5と凹部3の底部の間に充填用接着剤4が存在しない構造となることも有り得る。長尺要素は、凹部に挿入され、充填用接着剤で固定されればよく、凹部内の挿入位置について特に制限はないが、凹部の真中に(中央部に)挿入されるのが好ましい。これらは、以下の図2〜図5においても同様である。尚、長尺要素5は、必要とする機能等によって適宜選択されるものであるが、図1においては、長尺要素の一例としてボルトを示している。
【0049】
図2は、本発明の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材の好ましい態様の模式的な断面図を示す。この態様の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材1では、充填用接着剤4が凹部3に充填される前に、充填用プライマー6が凹部3に適用されている。充填用プライマー6を用いることで、長尺要素5を凹部3に、より確実に接着し固着できるので好ましい。尚、充填用プライマー6は硬化して、硬化物となることはいうまでもない。
【0050】
図3は、本発明の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材の別の態様の模式的な断面図を示す。この態様の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材1では、長尺要素が、ボルト5及びアンカー7からなっている。
【0051】
図4は、長尺要素を介して他の要素が取り付けられている本発明の軽量気泡コンクリート部材の一つの態様の模式的な断面図を示す。他の要素10は、長尺要素5を介して、ワッシャー8及びナット9を用いて長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材1に取り付けられている。他の要素10は、適宜選択され得るものであるが、図4においては、他の要素の一例として胴縁を示している。
【0052】
図5は、長尺要素を介して他の要素が取り付けられている本発明の軽量気泡コンクリート部材の好ましい態様の模式的な断面図を示す。他の要素10は、長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材1に長尺要素5を介して取り付けられる際に、他の要素用プライマー11及び他の要素用接着剤12を用いて軽量気泡コンクリート部材に接着され、より強固に取り付けられている。
【0053】
以上説明したように、本発明の長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法を用いることで、長尺要素を介して軽量気泡コンクリート部材に種々の他の要素を取り付けることができる。この他の要素を利用して、更に、軽量気泡コンクリート部材に別の他の要素を取り付けることができる。例えば、長尺要素を介して化粧用パネルを取り付けるための胴縁を取り付け、その胴縁を利用して新たな化粧用パネルを軽量気泡コンクリート部材に取り付けることができる。また、軽量気泡コンクリート部材が既設の外壁である場合、上述の方法を用いて、補修すべき軽量気泡コンクリート部材に胴縁を取り付け、その胴縁を利用して、新たな化粧用外壁パネルを補修すべき軽量気泡コンクリート部材に取り付けて、既設の軽量気泡コンクリート部材の外壁を補修することができる。
【0054】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
実施例1
ALCパネル(旭化成建材株式会社製のへーベル(商品名))にドリルを用いて、直径12mmで深さが30mmの凹部を設けた。充填用プライマーとして一液型ウレタン樹脂(一液型湿気硬化型ウレタンプレポリマー)(三井武田ケミカル(株)製のハイプレンAX616(商品名))を凹部の内部に塗工し、充填用接着剤として反応性ホットメルト接着剤(日本エヌエスシー(株)製のボンドマスター8(商品名))を凹部に充填した後、直径が7.5mmで長さが60mmのステンレス製のボルトを接着剤に30mm挿入した。3日間、常温で放置して、ボルトをALCパネルに取り付けた(実施例1)。その後、ボルトの引き抜き強度を、建研式接着試験にて測定した。試験器具として、丸菱科学株式会社製の建研式接着試験機(一軸式垂直引張り試験機)であるMKSボンド建研式接着剥離試験器BA800(商品名)を用いた。引き抜き強度は、2000N(204Kgf)であった。
【0055】
例2(比較)及び例3(比較)
実施例1に記載したボルトのALCパネルへの取り付け方法において、充填用接着剤として用いた反応性ホットメルト接着剤の代りに、エポキシ樹脂(日本エヌエスシー(株)製のKBKE655(商品名))を用いた以外は、同様の方法を用いて、ボルトをALCパネルに取り付けた(例2(比較))。
また、実施例1に記載したボルトのALCパネルへの取り付け方法において、充填用プライマーである一液型ウレタン樹脂を用いなかった以外は、同様の方法を用いて、ボルトをALCパネルに取り付けた(例3(比較))。
実施例1に記載した方法を用いて、両者のボルトの引き抜き強度を測定した。引き抜き強度は、例2(比較)については1960N(204Kgf)であり、(例3(比較))については、1803N(184Kgf)であった。
【0056】
実施例1、例2(比較)及び例3(比較)のALCパネルのボルトの引き抜き強度は、いずれも1960N(200Kgf)前後の大きさであり、従来から知られているタッピングビスもしくはコンクリート釘の引き抜き強度196N(20Kgf)と比較して、はるかに大きな値であった。
尚、実施例1及び例3(比較)は、ボルトの引き抜き強度の評価中、ピーク強度に達した後も、ある一定の強度は維持され、例えば、手でボルトを引き抜くことができるほど、完全に強度を失うことは無かった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法では、軽量気泡コンクリート部材に凹部を設け、接着剤を用いて長尺要素を凹部に取り付けるから、長尺要素の引き抜き強度が十分でなく、長尺要素を介して取りつける他の要素の取り付けに緩みが生ずるという問題、及び軽量気泡コンクリート部材の内面の美観が損われるという問題の少なくとも一種の問題を実質的に解消し又は緩和し得る。
【0058】
更に、軽量気泡コンクリート部材が既設の外壁である場合、既設の軽量気泡コンクリート部材に凹部を設け、接着剤を用いて長尺要素をその凹部に取り付けるから、長尺要素の引き抜き強度が十分でなく、長尺要素を介して取りつける新たな化粧用外壁パネル用胴縁の取り付けに緩みが生ずるという問題、及び軽量気泡コンクリート部材の内面の美観が損われるという問題の少なくとも一種の問題を実質的に解消し又は緩和し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材の一つの態様の模式的な断面図を示す。
【図2】 図2は、本発明の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材の好ましい態様の模式的な断面図を示す。
【図3】 図3は、本発明の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材の別の態様の模式的な断面図を示す。
【図4】 図4は、長尺要素を介して他の要素が取り付けられている本発明の軽量気泡コンクリート部材の一つの態様の模式的な断面図を示す。
【図5】 図5は、長尺要素を介して他の要素が取り付けられている本発明の軽量気泡コンクリート部材の好ましい態様の模式的な断面図を示す。
【符号の説明】
1 長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材
2 軽量気泡コンクリート部材
3 凹部
4 接着剤(充填用)
5 長尺要素(ボルト)
6 プライマー(充填用)
7 長尺要素(アンカー)
8 ワッシャー
9 ナット
10 他の要素(胴縁)
11 プライマー(他の要素用)
12 接着剤(他の要素用)
Claims (6)
- 軽量気泡コンクリート部材に凹部を設け、充填用接着剤を凹部に充填した後、充填用接着剤に長尺要素を挿入することを特徴とする、長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法であって、
軽量気泡コンクリート部材は、施工された既設の部材であって、既存の建築物の壁面であり、
充填用接着剤は、反応性ホットメルト接着剤であり、
充填用接着剤を凹部に充填する前に、凹部を規定する表面の少なくとも一部に充填用プライマーを適用する取り付け方法であって、
充填用プライマーは、ウレタン樹脂プライマーである
長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法。 - 軽量気泡コンクリート部材に凹部を設け、長尺要素を凹部に挿入した後、充填用接着剤を凹部に充填することを特徴とする、長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法であって、
軽量気泡コンクリート部材は、施工された既設の部材であって、既存の建築物の壁面であり、
充填用接着剤は、反応性ホットメルト接着剤であり、
充填用接着剤を凹部に充填する前に、凹部を規定する表面の少なくとも一部に充填用プライマーを適用する取り付け方法であって、
充填用プライマーは、ウレタン樹脂プライマーである
長尺要素の軽量気泡コンクリート部材への取り付け方法。 - 長尺要素が、胴縁取り付け用ボルト、アンカー、丸型棒状体、異形棒状体、多角棒状体、H型アングル及びL型アングルから選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の取り付け方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の取り付け方法を用いて長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材。
- 請求項4記載の長尺要素が取り付けられた軽量気泡コンクリート部材に、長尺要素を介して他の要素が取り付けられることを特徴とする軽量気泡コンクリート部材。
- 軽量気泡コンクリート部材に、他の要素用プライマーを適用後、他の要素用接着剤を適用して、他の要素として胴縁が取り付けられることを特徴とする請求項5記載の軽量気泡コンクリート部材。
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