JPH10299098A - 躯体面への金具取付け方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部空間のある躯体面の任意の位置に、桟材
を要せずに釘保持力を増強する金具取付け方法。 【解決手段】 建造物表面に胴縁３又はだんご状接着剤
４を介して表面材１を貼り付けた内部空間のある躯体面
２に金具７を取付けるのに、表面材１の金具取付け部に
注入孔５を設けて、そこから注入範囲調整材６を挿入し
て、注入範囲を定め、常温硬化性樹脂８を注入して充填
補強してから、表面材１から該樹脂８に至る止め具９で
金具７を取付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建造物の表面に内部空
間を形成した躯体面への金具取付け方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、建造物の天井、壁、床などの
躯体面には胴縁やだんご状接着剤を介して表面材を貼り
付けて、内部空間を形成した構造体となし、内部空間に
電気配線、水道管、ガス管などのライフラインが施され
ている。

【０００３】上記の如き、内部空間を形成した構造体か
らなる躯体面の表面材に、手摺や棚受などの金具を取付
ける方法としては、予め金具の取付け位置に、木質系の
桟材などを配置した構造にしておき、ビス、ネジ釘、釘
などの止め具を表面材より桟材に達する様に打込んで金
具を取付けていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って、建造物に胴縁
やだんご状接着剤を介して表面材を貼り付けた内部空間
構造体からなる躯体面に金具を取付けるには、予め、金
具取付け位置に桟材などの止め具用補強材を配置してお
く必要があった。

【０００５】また、設計変更などで、任意の位置に金具
を取付けようとしても、表面材の厚さだけでは釘保持力
が十分でないので、改築工事をしなければならない場合
もあった。

【０００６】同様に、２枚の表面材の対向面に枠材や桟
材を配して内部空間を形成した構造体からなるドアや建
具なども同様な問題があった。

【０００７】本発明の目的は、内部空間を形成した構造
体からなる躯体面の表面材に金具を取付けるに際して、
金具取付け用の止め具用補強材（桟材など）を必要とせ
ず、かつ、任意の位置に取付けができて、しかも、十分
な釘保持力を有する金具取付け方法を提供することにあ
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１の発明
は、建造物の表面に胴縁またはだんご状接着剤を介して
表面材を貼り付けて、内部空間を形成した構造体からな
る躯体面の表面材に金具を取付けるに際して、表面材の
金具取付け位置に注入孔を設けて、該注入孔より弾性体
からなる注入範囲調整材を挿入して注入範囲を設定し、
該注入孔より常温硬化性樹脂を注入して該注入範囲を充
填補強してから、表面材から常温硬化性樹脂充填補強部
に至る止め具で金具を取付けることを特徴とする躯体面
への金具取付け方法である。

【０００９】また、本発明の請求項２に記載の発明は、
前記の注入範囲調整材が、ポリエチレン発泡体やウレタ
ン発泡体などの弾性発泡体である請求項１に記載の躯体
面への金具取付け方法である。

【００１０】さらに、本発明の請求項３に記載の発明
は、前記の常温硬化性樹脂が、発泡性樹脂または中空骨
材含有樹脂である請求項１または請求項２に記載の躯体
面への金具取付け方法である。

【００１１】次に、本発明の一例を図１に示す金具取付
け後の断面図により説明する。コンクリート建造物の天
井、壁、床などの表面からなる躯体面２は凹凸ないしは
粗面であるので、胴縁またはだんご状接着剤３を介して
表面材１を貼り付けて平滑面に仕上げられている。

【００１２】ここで、表面材１としては、合板、化粧合
板、ファイバーボードなどの木質系板材、石膏ボード、
硅酸カルシウム板、フレキシブルボードなどの窯業系不
燃ボード、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メラミン化
粧板などの合成樹脂板などの様な建材用ボード、建具用
ボード及び家具用ボードなどの板材が適用される。

【００１３】躯体面２と表面材１との間に介在して、接
合と同時に表面材１の裏面に空間を形成するための胴縁
３またはだんご状接着剤４としては、構造体の枠や桟と
なり得る胴縁、根太、木れんがの様な固形物からなる胴
縁３、及び、変形して躯体面２と表面材１とを接着する
と同時に空間を形成し得るだんご状接着剤４がある。

【００１４】躯体面２と胴縁３と表面材１との接合は、
酢酸ビニル系樹脂やアルファオレフィン系樹脂等の溶剤
型またはエマルジョン型からなる合成樹脂系接着剤、ク
ロロプレン系やＳＢＲ系などのエラストマー系の溶剤型
またはラテックス型からなるゴム系接着剤、さらにエポ
キシ系樹脂やウレタン系樹脂などの無溶剤型接着剤など
の市販の接着剤で接着したり、釘打ちやビス止め接合な
どと併用される場合もある。

【００１５】また、だんご状接着剤４とは、上記の合成
樹脂系接着剤またはゴム系接着剤にさらに無溶剤型樹脂
（エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂など）接着剤に炭カ
ルや硅石粉などの無機質充填材（フィラー）、合成繊維
や鉱物質繊維などの繊維質を混合した高粘度のパテない
しはコーキング材で、垂直面に塗布しても垂れたり落下
したりせずに施工できて、経時後には固化して胴縁や桟
材の役目を成し得る性状と性能を有する市販のコーキン
グ材またシーラントが適用できる。

【００１６】注入孔５は、施工現場で、ドリルなどの穴
あけ機により設けるが、大きさとしては、注入器の口
径、注入範囲調整材６の形状、金具７の形状、注入する
常温硬化性樹脂８の性状や物性などにより任意に設定さ
れる。

【００１７】樹脂の注入量と注入範囲を設定するための
注入範囲調整材６としては、注入孔５より挿入できて、
表面材１と躯体面２との空間部に注入される液状樹脂の
防波堤となるべき壁またはせきと成り得るものである。
したがって、柔軟性で変形し易い弾性体としてのスポン
ジ、すなわち、合成樹脂やエラストマーからなる弾性発
泡体が適しており、具体的には、ポリエチレン発泡体、
ウレタン発泡体、塩化ビニル発泡体、天然ゴム発泡体、
クロロプレン発泡体などの弾性発泡体で、予め成型され
ている場合と、施工現場の状況に応じて成型できる様に
帯状のままで使用に供される場合もある。挿入法として
は、手指または棒状のもので注入孔５より挿入して樹脂
８の注入範囲を設定する。

【００１８】空間を充填補強する常温硬化性樹脂８とし
ては、エポキシ系樹脂やウレタン系樹脂の如く、常温で
液状の１００％樹脂分で、主剤成分と硬化剤成分の２成
分を混合することにより硬化物を生成する樹脂、または
空気中の水分により硬化する湿気硬化性ウレタン樹脂な
どで、必要に応じて中空骨材(シラスバルーン、人工軽
量骨材など)、充填材（炭カル、木粉などのフィラ
ー）、可塑剤（ＤＯＰ、高沸点溶剤など）を添加した組
成物が適用される。なかでも、発泡性樹脂（ウレタン樹
脂など）または中空骨材含有樹脂が空間の充填補強性、
釘打ち加工性、軽量化などの点で適している。

【００１９】金具７の止め具９としては、ネジ釘、ビ
ス、釘などの様に、金具５を物理的に保持し得る部品を
云い、市販品より任意に適用する。

【００２０】

【作用】本発明の金具の取付け方法では、従来法の金具
取付け用の胴縁や桟材を必要としない。また任意の位置
に金具を取付けることができる。

【００２１】金具の取付け位置に常温硬化性樹脂を注入
する前に、注入範囲調整材を挿入して注入範囲を設定し
ているので、樹脂の注入量(容積)に過不足が生じないの
で、効率良く空間充填補強作用を発揮できる。

【００２２】金具の取付け時には、金具取付け部の表面
材裏面の空間部が、常温硬化性樹脂及び注入範囲調整材
で充填補強されているので、取付け作業が容易である。

【００２３】金具取付け後の止め具による釘保持力が、
表面材部のほかに補強樹脂部の分が加算されて増強され
る。

【００２４】空間を充填補強する常温硬化性樹脂が、発
泡性樹脂または中空骨材含有樹脂であると、軽量で、釘
打ちやビス止め作業が容易である。

【００２５】

【実施例】

実施例１ コンクリート建造物の壁面に、４mm厚ラワン合板からな
る表面材１を３２mm厚で２４mm幅からなる胴縁３または
だんご状接着剤４を介して内部空間を形成した構造体か
らなる躯体面２を形成した。

【００２６】次に、表面材１の手摺用の金具７を取付け
る位置に、直径約３０mmの注入孔５を設けて、弾性体の
軟質ウレタン発泡体からなる注入範囲調整材６を挿入し
て、注入孔５を中心に、直径約８０mmの円形空間からな
る注入範囲を設定後に、注入孔５より、中空骨材入りエ
ポキシ樹脂（ジョリシールＪＢ−８００、アイカ工業株
式会社製）からなる常温硬化性樹脂７を注入して、前記
の直径約８０mmの円形空間からなる注入範囲を常温硬化
性樹脂８で充填補強した。

【００２７】次に、常温硬化性樹脂８で充填補強した注
入孔５の周縁の表面材１に、設けられているビス穴より
ネジ釘からなる止め具９を常温硬化性樹脂８に達するま
で打ち込んで金具７を取付けた。

【００２８】

【発明の効果】上述の如く、本発明では任意の箇所に金
具を取付けることができ、取付け後の釘保持力が表面材
と充填補強樹脂部との加算値であるので強力となる。

【００２９】よって、建造物または建具や家具などで、
内部中間構造物への金具の取付け方法として有用であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による金具取付け後の要部断面図。

【符号の説明】

１ 表面材 ２ 躯体面 ３ 胴縁 ４ だんご状接着剤 ５ 注入孔 ６ 注入範囲調整材 ７ 金具 ８ 常温硬化性樹脂 ９ 止め具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅川 文男 愛知県海部郡甚目寺町大字上萱津字深見24 番地 アイカ工業株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建造物の表面に胴縁またはだんご状接着
   剤を介して表面材を貼り付けて、内部空間を形成した構
   造体からなる躯体面の表面材に金具を取付けるに際し
   て、表面材の金具取付け部に注入孔を設けて、該注入孔
   より弾性体からなる注入範囲調整材を挿入して注入範囲
   を設定し、該注入孔より常温硬化性樹脂を注入して注入
   範囲を充填補強してから、表面材から常温硬化性樹脂充
   填補強部に至る止め具で金具を取付けることを特徴とす
   る躯体面への金具取付け方法。
2. 【請求項２】 注入範囲調整材が、ポリエチレン発泡体
   やウレタン発泡体などの弾性発泡体である請求項１に記
   載の躯体面への金具取付け方法。
3. 【請求項３】 常温硬化性樹脂が、発泡性樹脂または中
   空骨材含有樹脂である請求項１または請求項２に記載の
   躯体面への金具取付け方法。