JP4038554B2 - 粗面材付きコンクリート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安価で施工性が良く、外壁仕上げ材の剥落安全性を確保できる粗面材付きコンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンクリートの打込み用に用いられるコンクリート用型枠の中でも合板型枠は、現場での組立、加工性、及び経済性において優れているという利点を有するものの、転用が困難であり使用後は建設廃棄物(廃木材)として取り扱われるという欠点を有している。近年、建設業界においても地球環境保全活動への取り組みが重要視される中、建設生産現場では、建設廃棄物の発生の抑制、リサイクル、減量化が重要な課題となっている。
【0003】
そこで、前記合板型枠の転用回数を増加させ、廃棄物の発生を抑制することを目的として、合板型枠におけるコンクリート打込み面に樹脂コーティングを施した塗装合板を使用する方法が実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、塗装合板型枠を使用してコンクリートを打ち込むと、緻密で平滑すぎるコンクリート表面が形成され、タイルや石材などの外壁仕上げ材を後張りする際に、適切な表面処理を施さないと十分な接着力が確保されず、剥離事故を引き起こす場合が生じる。
【0005】
また、塗装合板型枠の打込み面に気泡緩衝材を取り付けてコンクリートを打設することにより、コンクリートの表面にあり状の凹凸を設け、コンクリート躯体と外壁仕上げ材貼付モルタルを機械的にかみ合わせることで剥離を防止する工法や、打ちあがったコンクリート面に不織布をモルタルで貼り付けた後、専用ローラで毛羽立たせることにより生じる投錨効果で、後施工の外壁仕上げ材貼付モルタルの剥離を防止する工法などが開発されたが、何れも手間がかかるだけでなくコスト高となる等の課題を有している。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、安価で施工性が良く、外壁仕上げ材の剥落安全性を確保できる粗面材付きコンクリート、及びその製作方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の粗面材付きコンクリートは、コンクリート躯体の仕上げ面に、粗面材が打ち込まれており、前記粗面材には、不織布と、該不織布の一方の面から中間層近傍まで、前記不織布の繊維層が立体的に残存するように塗布されたポリマーセメントとにより構成されることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の粗面材付きコンクリートの実施の形態について詳述する。なお、本発明の粗面材付きコンクリートにおいてはその粗面材を不織布とポリマーセメントとにより構成することを要旨とするものであり、したがって段落0027および図4に示したもののみが本発明の実施の形態に該当し他は単なる参考例に過ぎないが、以下の説明では便宜的にそれら参考例も含めて実施の形態として説明する。
本発明は、仕上げ面に粗面材を有するコンクリート躯体を製作しておき、粗面材を介してコンクリート躯体と貼付モルタル、及び外壁仕上げ材の剥落防止を図るものである。
【0012】
図1に示すように、粗面材付きコンクリート1は、コンクリート躯体2と、該コンクリート躯体2の仕上げ面2aに設けられた粗面材3aと、より構成される。また、該粗面材3aは、図2に示すように、不織布4と、薄膜5より形成される。
【0013】
前記不織布4は、織物のように一旦、糸にしたものでなく、短繊維または長繊維相互を接着するか、またはニードリングして作られるもので、その材質は、ビニロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等、耐アルカリ性を有する材質であれば、何れを用いても良い。また、繊維の太さは、補強効果を十分有するとともに、不織布を製造する際の繊維の絡まり合いが期待できる程度を目安としており、約5〜300デニール程度が好ましい。また、該不織布4の目付け量は、コンクリート8のしみ込みが確認できるとともに、補強効果を十分有しながら、ドライアウトを抑止でき、コンクリート躯体2との一体化が可能な程度を目安としており、約50〜300g/m2程度が好ましい。
【0014】
また、前記不織布4の中間層には、薄膜5が配置されている。該薄膜5は、その材質が、ポリビニルアルコール、アルカリ可溶ビニロン、澱粉、アルカリ可溶ポリアクリル酸等、アルカリ可溶性の性質を有するものであれば、何れを用いても良い。また、該薄膜5の皮膜の厚さは、コンクリート8の打ち込み時に破れにくく、またコンクリート用型枠6の隙間からしみ出るセメントペーストを抑える効果を保持しながら、コンクリート8の打設後もしくは外壁仕上げ材貼付モルタルを塗布後に薄膜5が残存することがない厚さを目安としており、約0.005〜0.1mm程度が好ましい。
【0015】
このような構成の粗面材付きコンクリート1は、前記粗面材3aを下地として図示しないタイルや石材などの外壁仕上げ材を外壁仕上げ材貼付モルタルを使用して後張り仕上げを行うものである。これにより、表面に凹凸を有する粗面材3aを介して、コンクリート躯体2と外壁仕上げ材とが強固に一体化されることとなる。
【0016】
上述する粗面材付きコンクリート1の製作方法を以下に示す。
図2に示すように、従来より用いられているコンクリート用型枠6の内面で外枠側、つまり後に製作される粗面材付きコンクリート1の仕上げ面となる側に、水溶性樹脂7を塗布した上で、粗面材3aを貼り付ける。
【0017】
ここで、水溶性樹脂7は、前記コンクリート8の打設時に生じる余剰水により溶ける材料であれば、澱粉、ポリアクリル酸、タラカントゴム、ロジン等何れを用いても良いが、本実施の形態では5〜15%濃度のポリビニルアルコールを糊材として使用している。
【0018】
次に、前記コンクリート用型枠6内にコンクリート8を打設し、固化する。このとき、前記粗面材3aを構成する薄膜5がコンクリート8に含まれるアルカリ水に溶けることによって不織布4の保水性が保たれることとなり、コンクリートのドライアウトが生じることなく、打設された前記コンクリート8と粗面材3aが一体化され、粗面材付きコンクリート1が形成される。
【0019】
また、前記コンクリート用型枠6の内面に塗布された水溶性樹脂7は、コンクリート8の打設時における余剰水によって溶けるため、前記粗面材3aとの付着力が弱くなることから、脱型は容易に行うことが可能である。
【0020】
なお、本実施の形態において、前記粗面材付きコンクリート1製作時のコンクリート用型枠6に合板型枠を使用しているが、これにこだわるものではなく、樹脂製や金属製のコンクリート用型枠6を用いても良い。
【0021】
さらに、前記粗面材3aには、前記不織布4の中間層に薄膜5が配置されたものを用いているが、図3(a)(b)に示すように、前記不織布4の中間層に薄膜5を配置するとともに該薄膜5近傍までポリマーセメント9を塗布した粗面材3b、また、図4(a)(b)に示すように、前記不織布4に薄膜5を用いず、中間層近傍までポリマーセメント9を塗布した粗面材3cを用いても良い。
このような、粗面材3b、3cを用いた粗面材付きコンクリート1は、ポリマーセメント9が有する非透水性といった特徴を生かし、防水機能をさらに高めた構成となるものである。以下にこれら粗面材3b、3cを用いた場合の事例を示す。
【0022】
図3に示すように、前記粗面材3bは、不織布4と、薄膜5と、ポリマーセメント9とにより構成される。前記不織布4、及び薄膜5は、前記粗面材3aで用いたものと同様の材料が用いられており、その構成も同様で、不織布4の中間層に薄膜5が挟み込まれている。粗面材3bでは、前記不織布4の一方の面から薄膜5近傍まで、前記ポリマーセメント9が塗布されている。
【0023】
前記ポリマーセメント9は、耐アルカリ性及びアクリル系を有する材料よりなり、ポリアクリル酸エステル共重合体エマルジョン、SBRエマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン等、何れを用いても良い。
【0024】
該ポリマーセメント9のポリマー/セメント比は、ポリマーセメント9が塗布された状態においても不織布4の巻き取りが容易な程度の硬度を有するとともに、防水性を維持し、外壁仕上げ材貼付モルタルとの接着性を維持しながら、高度な耐久性を有する程度を目安とし、0.3〜2.0程度が好ましい。
【0025】
また、ポリマーセメント9の骨材/セメント比は、防水性を維持するとともに、ポリマーセメント9が塗布された状態においても不織布4の硬化が生じない程度を目安とし、セメントに対して200%以下の骨材を含む程度が好ましい。なお、ここで用いる骨材は、細かい硅砂、炭酸カルシウム、パーライト、シラス、スラグ、フライアッシュ、及び無機質のバルーン等の使用が考えられる。
【0026】
このような前記ポリマーセメント9の前記不織布4への塗布量は、打設される前記コンクリート8のしみ出しを抑えつつ、前記コンクリート8や外壁仕上げ材貼付モルタルへの投錨効果を保持できる量を目安としており、0.3〜2.0kg/m2程度が好ましい。
【0027】
図4に示すように、前記粗面材3cは、不織布4と、ポリマーセメント9とにより構成される。該不織布4、及びポリマーセメント9は、前記粗面材3bで用いられたものと同様のものであり、その構成は、前記不織布4の中間層近傍までポリマーセメント9を塗布したものである。該ポリマーセメント9の塗布量の目安も、前記粗面材3bと同様である。
【0028】
上述する粗面材3b、3cを用いた粗面材付きコンクリート1の製作方法を以下に示す。図3、図4に示すように、従来より用いられているコンクリート用型枠6の内面で外枠側、つまり後に製作される粗面材付きコンクリート1の仕上げ面となる側に、水溶性樹脂7を塗布した上で、粗面材3b、3cを貼り付ける。
【0029】
ここで、前記粗面材3bは、前記ポリマーセメント9を塗布した面を水溶性樹脂7に向けても(図3(b)参照)、逆転させても(図3(a)参照)どちらでも良い。同じく、前記粗面材3cも、前記ポリマーセメント9を塗布した面を水溶性樹脂7に向けても(図4(b)参照)、逆転させても(図4(a)参照)どちらでも良い。
【0030】
次に、前記コンクリート用型枠6内にコンクリート8を打設し、固化する。このとき、前記粗面材3bは、薄膜5がコンクリート8に含まれるアルカリ水に溶けることによって不織布4の保水性が保たれることとなり、コンクリート8のドライアウトが生じることなく、打設された前記コンクリート8と粗面材3bが一体化され、粗面材付きコンクリート1が形成される。また、前記粗面材3cは、中間層まで塗布されたポリマーセメント9により、コンクリート8のしみ出し、及びドライアウトが防止され、打設された前記コンクリート8と粗面材3cが一体化され、粗面材付きコンクリート1が形成される。
【0031】
このように製作された前記粗面材3b、もしくは粗面材3cが取り付けられた粗面材付きコンクリート1は、図3(a)図4(a)のように、前記ポリマーセメント9が前記コンクリート8側に配置されている場合には、仕上げ面側の前記不織布4の毛羽立ちを促進するような外壁仕上げ材貼付モルタルの塗布方法を用いることにより、塗布する外壁仕上げ材貼付モルタルの繊維補強効果が向上し、比較的大型のタイルを固着することが可能となる。
【0032】
また、図3(b)図4(b)のように、前記ポリマーセメント9が前記粗面材付きコンクリート1の仕上げ面側に配置されている場合には、仕上げ面側の前記不織布4の毛羽立ちが比較的少ないため、モルタルの薄塗り、もしくはタイルの直張り施工に適している。
【0033】
上述する構成によれば、前記コンクリート躯体2の製作時にあらかじめ前記粗面材3a、3b、3cを設けた粗面材付きコンクリート1は、簡略な構成で、製作方法も容易であることから、施工性が良く工費を大幅に削減することが可能となるとともに、前記粗面材3a、3b、3cが、仕上げ面のひずみの吸収層となり、外壁仕上げ材の剥落安全性を確保することが可能となる。
【0034】
前記コンクリート用型枠6には、水溶性樹脂7を介して前記粗面材3a、3b、3cが取り付けられた上でコンクリート8が打設されることから、脱型したコンクリート用型枠6にセメントペーストが付着することがなく、清掃作業を省略することが可能となる。また、セメントペーストが付着した場合にも、水洗いにより前記水溶性樹脂7と同時に容易に洗い流すことが可能となる。
【0035】
また、前記コンクリート8を打設する際の余剰水により、水溶性樹脂7の付着力は弱まり、前記粗面材付きコンクリート1を容易に脱型することができるため、バール等の工具の使用を減少でき、コンクリート用型枠6の小口等を傷つけることがなく、コンクリート用型枠6に合板型枠を用いた場合にも転用回数をより一層増加でき、建設廃棄物の発生を大幅に削減することが可能となる。
【0036】
前記ポリマーセメント9を塗布した前記粗面材3b、3cを粗面材付きコンクリート1に用いることにより、その防水機能は一層高められることとなるため、外壁材貼り仕上げでも構造物の防水性能を要求される部位、例えば斜め壁等に適用することが可能となる。また、タイル張りのみならず、塗装や塗り仕上げにも適用することが可能となる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1に記載の粗面材付きコンクリートは、コンクリート躯体の仕上げ面に、粗面材が打ち込まれているので、簡略な構成で、製作方法も容易であり、施工性が良く工費を大幅に削減することが可能となるとともに、前記粗面材が、仕上げ面のひずみの吸収層となり、外壁仕上げ材の剥落安全性を確保することが可能となる。
特に、前記粗面材は、不織布と、該不織布の一方の面から中間層近傍まで、前記不織布の繊維層が立体的に残存するように塗布されたポリマーセメントとにより構成されることから、その防水機能は一層高められることとなるため、タイル貼り仕上げでも構造物の防水性能を要求される部位、例えば斜め壁等に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る粗面材付きコンクリートの概略を示す図である。
【図2】 本発明に係る粗面材付きコンクリートの製作過程を示す図である。
【図3】 本発明に係る粗面材付きコンクリートの他の事例の製作過程を示す図である。
【図4】 本発明に係る粗面材付きコンクリートの他の事例の製作過程を示す図である。
【符号の説明】
1 粗面材付きコンクリート
2 コンクリート躯体
2a 仕上げ面
3a 粗面材
3b 粗面材
3c 粗面材
4 不織布
5 薄膜
6 コンクリート用型枠
7 水溶性樹脂
8 コンクリート
9 ポリマーセメント

Claims (1)

  1. コンクリート躯体の仕上げ面に、粗面材が打ち込まれており、該粗面材は、不織布と、該不織布の一方の面から中間層近傍まで、前記不織布の繊維層が立体的に残存するように塗布されたポリマーセメントとにより構成されることを特徴とする粗面材付きコンクリート。
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