JP2665536B2 - コンクリートパネル添装用複合材 - Google Patents

コンクリートパネル添装用複合材

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、コンクリートの打設時にコンクリートパネ
ルの内面に添装して用いられる新規なコンクリートパネ
ル添装用複合材に関する。
(従来の技術) 建築・土木等のコンクリート構造体は、木製若しくは
金属製のコンクリートパネルで枠組みし、その枠内にセ
メントコンクリートを流し込み、これを養生硬化させて
構築される。近年、建築物が益々高層化し、その為作業
の合理化・促進と云う観点からセメントに対する水比を
大きくしてセメントコンクリートに流動性を付与し(ス
ランプを大とし)、ポンプアップやパイプ輸送等により
上記セメントコンクリートの流し込みがなされるように
なった。
(発明が解決しようとする課題) 然し乍ら、上記の如く水比の大きいセメントコンクリ
ートを用いると、施工性は向上するが、コンクリートの
打設後余剰水分や気泡がパネルとの界面に残留し、コン
クリートの収縮が大となってクラックが発生したり、コ
ンクリートの強度が充分に発揮出来なく、ジャンカ、ピ
ンホール或いは打ち継ぎ部が数多く露呈して来る。更
に、コンクリート構造体中に空隙が多く形成されること
になり、その為水や空気がその空隙を透過し、コンクリ
ートが中性化して鉄筋が発錆し、その結果コンクリート
構造体の強度が著しく低下することとなる。しかも、生
コンクリート中に減水剤や流動化剤を添加しても、打設
時にバイブレーションやパネル外側からの叩きが加えら
れる為、パネルと打設コンクリートの界面に空気や水分
が集中し、上記同様のピンホールやジャンカ等の発生を
抑えることはできない。
近年、上記問題点に鑑み、コンクリートパネルの内面
に各種織布や透水マットを添装し、打設コンクリート中
の余剰水分や気泡を織布若しくは透水マット中の孔隙を
通じて速やかに排出させるようにした工法が発案され各
方面で採用されるようになった。斯かる工法に於いて、
上記織布等をパネルに添装する場合、織布等の端末をパ
ネル板の端部に巻き込み要所をステッチ止めしたり、或
いは端末の巻き込みをせず全面をステッチ止めしたり、
更には全面を接着剤により貼着する、などの方法が採用
されていた。
然し乍ら、上記の如く織布等を添装したパネルを用い
てコンクリート施工する場合、織布は長尺巻物を適宜裁
断して用いる為、その裁断端末部から織糸がほつれ、こ
のほつれ糸が打設コンクリート中に絡み込みこれが原因
で剥離性が悪くなったり、コンクリート中にほつれ糸が
残って外観が低下するなどの不具合が生じることが多々
あった。また、織布は独特のドレープ性を有している
為、パネル板にステッチ止めをする場合に皺や弛みを生
じ易く、そのまま生コンクリートを打設するとこの皺や
弛み部分がコンクリート層内に没入し剥離が極めて難し
くなると共に仕上り外観が著しく低下する。更に、剥離
したときに膨れを生じ、これを再度使用すると膨れ部分
がコンクリート内に巻き込まれ、その剥離が殆ど不可能
となる。加えて、木質パネルにドリルにてセパレート孔
を穿設する際、その木屑がパネルと織布との間に侵入し
てしまうと云う問題点もあった。斯かる意味では全面接
着することが望ましいが、現場作業では非常に困難であ
り、しかも一旦接着してしまうとその後織布等が傷付い
た場合にその交換が出来ずパネルそのものが使用不可と
なる。更に、織布の端末をパネル板の端部に巻き込んで
使用する場合、この巻き込み部分の厚みがパネル板の幅
寸法に加算される為、パネル板を多数連ねた大掛かりな
施工の場合全体としての寸法誤差は無視し得なくなる。
本発明は、透水・通気性に優れた不織布と裏打層とを
組み合わせることにより上記問題点を解消するようにし
た新規なコンクリートパネル添装用複合材を提供せんと
するものである。
(課題を解決する為の手段) 上記目的を達成する為の本発明の構成を添付の実施例
図により詳細に説明する。第1図は本発明の第1実施態
様の斜視図、第2図は第1図のII−II線拡大断面図、第
3図は本発明の第2の実施態様の斜視図で離型シートを
部分的に剥離した状態を示し、第4図は第3図のIV−IV
線拡大断面図、第5図は本発明複合材を用いたコンクリ
ート打設方法の一例を示すパネル枠の縦断正面図であ
る。
即ち、本発明コンクリートパネル添装用複合材Aは、
合成樹脂繊維のウエブを厚み方向よりニードルパンチ処
理してシート状となしその少なくとも片面を加熱融着処
理した不織布1と、この不織布1の片面に貼着された裏
打層2とより成り、第5図に示す如く上記不織布1がセ
メント打設側に向位するようにコンクリートパネル板P
の内面に添装されるものである。
上記不織布1は、多数の合成樹脂繊維が密に絡まり合
いシート状にされた基部層11と、繊維同士が互いに融着
して平滑とされた表面層12とより成る。具体的には、1.
5〜15デニールのナイロン、ポリエステル、アクリル、
ポリプロピレン及びアセテート等より選ばれた1種若し
くは複数種の合成樹脂繊維のウエブを複数積層し、これ
を1cm2当り400回以上ニードルパンチ処理して、その少
なくとも片面を173〜260℃のヒートカレンダーロールに
て加熱融着処理したものが望ましく採用される。基部層
11は繊維間による多数の空隙部を含み、また表面層12は
繊維同士が融着するも繊維間による多数の小さな透孔を
含んだ多孔質の層であり、全体として優れた透水・通気
性を保有する。この表面層12は両面に形成することが望
ましいが、片面のみの場合は、非加熱処理面をして裏打
層2に貼着する。
不織布1を構成する合成樹脂繊維の太さを1.5〜15デ
ニールとしたのは、1.5デニール未満の場合、上記空隙
部が小さくなり過ぎ水分や気泡の浸透性が低下する傾向
となり、15デニールを超えると空隙部が大きくなりセメ
ントペーストが浸透し易くなるからである。また、上記
ニードルパンチ処理回数を1cm2当り400回以上としたの
は、400回未満の場合見掛け密度が十分でなく密な不織
布が形成されず表面の平滑性が低下する傾向となる為で
ある。更に、加熱処理温度が173℃未満の場合、融着が
十分でなく表面に繊維が毛羽立ち易く、260℃を超える
と融着が過剰となって透孔が少なくなる懸念があるから
である。これらの規制範囲は最も望ましい例を示したも
のであり、コンクリート構造体の要求性能或いは施工場
所の条件によっては、規制範囲外でも本発明の目的は十
分に達成し得る。
裏打層2の実施態様としては大別して2種類に分かれ
る。第1図及び第2図は第1態様に係るものであり、本
図に於ける裏打ち層2としては、ポリ塩化ビニル、ポリ
エチレン、ポリアクリル或いはポリカーボネート等の腰
のある合成樹脂シート(厚さ、0.01〜2mm)、同合成樹
脂薄板(厚さ、0.5〜5mm)、スチレン及びウレタン等の
合成樹脂発泡シート(厚さ、0.5〜15mm)、同発泡板
(厚さ、5〜75mm)、ベニヤ板等の木質板(厚さ、2.5
〜24mm)、鉄或いはステンレス等の金属板(厚さ、0.27
〜25mm)等が用いられる。裏打層2と上記不織布1との
貼着一体化は接着剤を用いることの他に、裏打層2とし
て樹脂シート若しくは樹脂薄板を用いる場合に別個の溶
融樹脂原料を不織布1と裏打層2との間に僅量注入して
そのまま不織布1及び裏打層2と硬化一体とさせること
も可能である。上記の如く、加熱処理による表面層12を
片面に形成する場合、粘性の低い接着剤にて貼着すると
不織布1内に接着剤が浸透してしまい、接着効果が出な
いのでできるだけ粘性の高い接着剤を用いることが望ま
しい。亦、該裏打層2の全面に亘り通水、通気用の多数
の微小孔を穿設したものも本発明に於て適用可能であ
る。
次に第3図及び第4図は本発明の第2態様に係るもの
であり、本図に於ける裏打層2は、粘着剤の塗布層であ
り更に望ましい実施態様に於てはこの塗布層2の表面に
離型シート3を貼付して成るものである。上記不織布1
の片面に塗着される粘着剤としては、天然ゴム、再生ゴ
ム、ポリイソプレン、スチレンブタジエン、ポリイソブ
チレン等のゴム系或いはアクリル系の粘着系接着剤が望
ましく採用される。更に該粘着系接着剤を介して上記不
織布1に貼付される離型シート3としては、離型剤を塗
布したクラフト紙、同パルプ紙或いは同各種樹脂シート
が用いられる。
(作用) 上記構成の第1実施態様に係る複合材Aは、裏打層2
がコンクリートパネル板Pの内面に面接するよう該パネ
ル板Pに添装される。該複合材Aは、裏打層2により形
状保持機能を有しているから、ステッチや釘或いは両面
テープ等で適宜間隔毎に止着するだけで完全にパネル板
Pの面に沿い且つ皺や弛みが生じることなく添装され
る。また、不織布1は合成樹脂繊維のウエブをニードル
パンチによりシート状に処理したものであるので、繊維
同士が密に絡まり合っており、しかも裏打層2と貼着さ
れているため末端部から繊維がほつれる出る懸念がな
く、従ってパネル板Pの端部にその末端部を巻き込む必
要がない。
而して、この複合材Aを内面に添装し且つ枠組したパ
ネル枠f内に生コンクリートCを打設すると、打設コン
クリートC中の水分及び気泡は上記不織布1の表面層12
の透孔及び基部層11内の空隙部を経て速やかにパネル枠
f外に排出される。不織布1は上述の如く多数の繊維が
密に絡まり合いシート状にニードルパンチ処理されたも
のであるから、その基部層11内には多数の空隙部を含み
セメントノロの濾過に利用され、しかも有効濾過面積は
非常に大きいので(一般濾材に比べて優るとも劣らな
い)、表面層12の透孔を経た水分及び気泡は速やかに基
部層11内に浸透し、更に面方向に移動して逐次排出され
る。
斯くして、養生硬化後のコンクリート体Cは、表面が
緻密になって余剰水の乾燥による収縮・クラックや炭酸
ガスの透過による鉄筋の発錆はなく、また気泡の残留に
よるピンホールや空洞もなく全体として極めて堅牢な
(従来に比べ、圧縮強度が20〜50%のアップとなる)構
造体となる。
亦、上記余剰水及び空気は、上述の如く打設後速やか
に排出されるので、コンクリート体C中より自然に流動
して来た余剰水及び空気が自然に排出され、セメントの
ドライアウト現象が生じず、従ってコンクリート内部の
水や空気の移動が止まってしまうことがなく、剥離後の
コンクリート表面が極めて美麗に仕上がる。
更に、不織布1の表面層12は加熱融着処理されている
から繊維の毛羽立ちがなく平滑であり、しかもその透孔
及び基部層11内の空隙部は極めて微小なものであるか
ら、コンクリート内に繊維が絡み込むことがなく、また
不織布1内にセメントペーストが浸透することがない。
従って、剥離が極めて簡易になされ且つ剥離面は艶やか
な外観を呈し、そのままでも仕上面とすることが出来
る。更に亦、コンクリート層の表面層と内部層の色は同
一のセメント色(濃灰色)であって白亜化は見られず、
全体が均一な性状を保有する。これはコンクリート体C
の硬化時に内部の余剰水分及び空気が不織布1より程良
い速度で排出され、その為表面にアルカリが偏在する
(エフロ現象と云う)ことがないからである。
尚、本発明複合材Aをコンクリートパネル板Pに添装
するには、上記のステッチ、釘及び両面テープによる場
合の他、不織布側から木或いは金属の当木(不図示)で
押える方法も可能である。この場合、パネル離型の当木
部分により凹凸模様が発現され、しかも不織布1とコン
クリート体Cとの離型性の良さとが相俟ってこの凹凸模
様が従来になく美麗なものとなる。
第2態様の複合材Aは、離型シート3を剥離した上で
上記粘着剤の塗布層2をしてコンクリートパネルに添装
される。該複合材は、粘着剤の塗布層2が塗着されてい
るから、ステッチや釘等を用いなくとも簡易に添装する
ことが出来る。また粘着剤により不織布のドレープ性が
減殺されているから形状保持性が良く、パネル板Pの面
に均一に沿い且つ皺や弛みが生じることなく添装され
る。更に、端末部が粘着剤により固着されたようになっ
ているから、織糸がほつれる懸念がなくパネル板Pの端
部に巻き込む必要がない。
而して、この複合材Aを用いたコンクリート打設方法
及びこの複合材による利益は第1態様と同一であるので
その詳細は割愛する。
(実施例) 次に本発明を具体例を挙げ更に詳細に説明する。尚、
以下の実施例1乃至4は上記同1態様に、実施例5及び
6は上記第2態様に係るものである。
(実施例−1) 2デニール繊維70%及び3デニール繊維30%で構成さ
れたポリプロピレン繊維のウエブ(厚さ15cm)を14〜15
層積層し、1cm2当り600回ニードルパンチ処理して厚さ
2.5mmのシート状となし、この両面を173℃のヒートカレ
ンダーロールにて加熱処理したもの(厚さ1.5mm)を不
織布1とした。厚さ2.5mmの耐水ベニヤ合板2の片面全
面に溶剤系クロロプレン接着剤を均一塗布し(135g/
m2)、上記不織布1を接着一体として複合材Aを得た。
該複合材Aを、木質のコンクリートパネル板P(90×
180cm)の片面に上記ベニヤ板2が面接するようにして
コーナー部及び中心部に数箇所釘で止着して添装し、こ
れを間口幅15cmのパネル枠fに枠組すると共にパネル枠
fの下部に直径5〜10mmの小孔を開設した。
該パネル枠f内にスランプ18cmの生コンクリートを常
法に従い打設したところ、打設と同時に上記小孔から透
明なアルカリ性の水が排出し始め、5時間後にはパネル
板Pをコンクリート体Cより極めて容易に剥離すること
が出来た。コンクリート表面は緻密で艶があり、ピンホ
ール、ジャンカ或いはあばた等は極めて少なく、亦コン
クリートの釘継ぎ部も完全にシールされていた。このテ
ストピースについて、常法により圧縮強度を測定したと
ころ298kg/cm2であった。これは呼び強度230kg/cm2に比
べ約26%の強度アップに相当する。
(実施例−2) 実施例1で得た不織布1を厚さ0.4mmのポリプロピレ
ンシート2の片面に溶融ポリエチレン樹脂液を用いて上
記同様接着一体とし複合材Aを得た。該複合材Aを、木
質パネル板Pの内面に該ポリプロピレンシート2が面接
するようにパネル板Pにステッチにて止着添装した。こ
の場合、ポリプロピレンシート2の腰の強さにより、25
cm間隔にステッチ止めでもパネル板Pに完全に沿い皺や
弛み等は生じなかった。
該複合材Aを内面に添装したパネル枠f内に、実施例
1と同様に生コンクリートを打設したところ、余剰水や
気泡が速やかに排出し、剥離も簡易になされ、実施例1
と同様の外観及び強度を有するコンクリート体Cが得ら
れた。
また、本複合材Aは可撓性があるので長尺ものとして
巻回することができ、輸送性や取扱性に優れ、更に数回
コンクリートの打設を繰り返しても充分使用に耐えるこ
とが確認された。
(実施例−3) 実施例1と同様に不織布1を準備し、これを厚さ0.5m
mのポリエチレンシート2の片面に上記同様接着一体と
して複合材Aを得た。この複合材Aを上記同様パネル板
Pに添装してコンクリートを打設したところ、実施例2
と同様の効果を得た。
(実施例−4) 実施例1で得た複合材Aを木質の当木(不図示)を用
いてコンクリートパネル板Pの内面に添装し、上記同様
コンクリートを打設した。養生硬化後パネル板Pをコン
クリート体Cより離型したところ、離型は極めて簡易に
なされると共に、当木による格子模様が極めて鮮明に視
覚された。
尚、上記実施例では裏打層2としてベニヤ合板及び合
成樹脂のシートを使用した例を示したが、前述したその
他の裏打層を用いた場合でもほぼ同様の結果を得ること
が確認された。亦、コンクリートパネル板が金属板の場
合は、ステッチや釘は使用出来ないので接着剤にて添装
する必要があるが、この場合でも裏打層の保形性により
皺や弛みを生じることなく現場で簡易に添装することが
出来る。更に、余剰水や気泡の排出を促進する為、裏打
層に小孔を適宜穿設することも可能である。
(実施例−5) 実施例1で得た不織布1の片面に粘着剤を塗着し、離
型剤を塗布したクラフト紙3を貼付して複合材Aを得
た。
該複合材Aの離型シート3を剥がし、鉄製のコンクリ
ートパネル板P(90×180cm)の片面に接着添装し、こ
れを間口幅15cmのパネル枠fに枠組すると共にパネル枠
fの下部に直径5〜10mmの小孔4を開設した。不織布1
は、表面を手で撫でるように抑えつけただけで皺や弛み
等が生じずパネル板Pの表面に均一に沿った状態で添装
された。
パネル枠f内にスランプ18cmの生コンクリートを常法
に従い打設したところ、打設と同時に上記小孔4から透
明なアルカリ性の水が排出し始め、5時間後にはパネル
板Pをコンクリート体Cより極めて容易に剥離すること
が出来た。コンクリート体Cの表面は緻密で艶があり、
ピンホール、ジャンカ或いはあばた等は極めて少なく、
亦コンクリートの打継ぎ部も完全にシールされていた。
このテストピースについて、常法により圧縮強度を測定
したところ304kg/cm2であった。これは呼び強度230kg/c
m2に比べ約32%の強度アップに相当する。
本実施例の複合材も長尺物を巻回した状態で現場に持
ち込まれ、現場にて適宜寸法に裁断されて使用されるも
ので輸送性及び取扱性の点で優れている。亦、パネル板
Pから複合材Aを剥がし上記離型シート3を貼付すれば
再度の使用が可能となった。
(実施例−6) 実施例5の複合材Aを添装したコンクリートパネル板
Pに更に不織布1の表面を木質の当木にて押え、上記同
様コンクリートを打設した。養生硬化後パネル板Pを離
型したところ、離型は簡易になされると共に、当木によ
る格子模様が極めて鮮明に視覚された。
(発明の効果) 叙上の如く、本発明のコンクリートパネル添装用複合
材は、合成樹脂繊維のウエブをニードルパンチ処理し且
つ加熱処理して成る不織布の片面に合成樹脂シートや粘
着剤塗布層の如く腰のある裏打層が貼着一体とされてい
るから、不織布のドレープ性が相殺され、コンクリート
パネルに添装する際に皺や弛みが生じずパネル面に完全
に沿わせることが出来る。従って打設コンクリート層中
に不織布が絡み込むことがなく、しかも不織布の表面が
加熱融着処理されて平滑とされていることとも相俟っ
て、剥離が極めて容易になされると共に不織布の傷みも
少なく繰り返しの使用が可能とされる。亦、末端部から
織糸のほつれが生じる懸念がないから、パネルの端部に
巻き込む必要がなく、従って数多く連ねても前述の如き
寸法誤差が生じることがない。更に、木質パネルにセパ
レート孔を穿設しても、裏打材により仕切られているか
ら木屑が不織布に絡み込む懸念もない。
しかも、本複合材を添装したパネルに生コンクリート
を打設すると、打設コンクリート中の余剰水や気泡は不
織布の空隙部より速やかに排出されるから、コンクリー
ト表面にはピンホール、ジャンカ或いはあばた等が発生
せず、上記剥離性の良さとも相俟って極めて美麗且つ艶
のある仕上り外観が得られる。更に、コンクリート層の
内部にも気泡等が生じず極めて強靭な構造体が得られる
と共に上記ピンホール等の激減によりコンクリートの中
性化やクラックの発生が抑制され、その耐用性が飛躍的
に向上する。
このように多くの利点を有する本発明を、特に建築構
造物等の施工に適用した場合にその価値が極めて高く評
価されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施態様の斜視図、第2図は第1
図のII−II線拡大断面図、第3図は本発明の第2実施態
様の斜視図で離型シートを部分的に剥離した状態を示
し、第4図は第3図のIV−IV線拡大断面図、第5図は本
発明複合材を用いたコンクリート打設方法の一例を示す
パネル枠の縦断正面図である。 (符号の説明) 1……不織布、11……基部層、12……表面層、2……裏
打層、3……離型シート、4……小孔、A……本発明コ
ンクリートパネル添装用複合材、P……コンクリートパ
ネル、C……コンクリート体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田代 亘 大阪府泉佐野市鶴原535―4 (72)発明者 山口 武志 大阪府寝屋川市三井ヶ丘5丁目1―89― 102 (72)発明者 古家 秀一郎 大阪府寝屋川市東香里園10―30 千歳荘 (56)参考文献 特開 昭63−32062(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂繊維のウエブを厚み方向よりニー
    ドルパンチ処理してシート状となしその少なくとも片面
    を加熱融着処理した不織布と、この不織布の片面に貼着
    された裏打層とより成るコンクリートパネル添装用複合
    材。
  2. 【請求項2】上記不織布が、1.5〜15デニールの合成樹
    脂繊維のウエブを複数積層し、1cm2当り400回以上ニー
    ドルパンチ処理してシート状となし、その少なくとも片
    面を表面温度173〜260℃のヒートカレンダーロール等に
    て加熱融着処理したものである請求項1記載のコンクリ
    ートパネル添装用複合材。
  3. 【請求項3】裏打層が、合成樹脂シート、合成樹脂薄
    板、木質板、合成樹脂発泡シート、合成樹脂発泡板もし
    くは金属板である請求項1記載のコンクリートパネル添
    装用複合材。
  4. 【請求項4】裏打層が、粘着剤の塗布層である請求項1
    記載のコンクリートパネル添装用複合材。
  5. 【請求項5】粘着剤の塗布層表面に更に離型シートを貼
    付して成る請求項4記載のコンクリートパネル添装用複
    合材。
  6. 【請求項6】離型シートが、離型剤を塗布したクラフト
    紙、パルプ紙若しくは合成樹脂シートである請求項5記
    載のコンクリートパネル添装用複合材。
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JPS6332062A (ja) * 1986-07-23 1988-02-10 三井東圧化学株式会社 コンクリ−ト型枠

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JPH0238665A (ja) 1990-02-08

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