JP6601853B2 - 型枠用不織布シートの製造方法 - Google Patents
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Description
このコンクリート打設時において、流動状のコンクリート混合物の余剰水や空気が外部に排出されないと、製造されたコンクリート構造物の表面に、ピンホール、アバタ、クラック等が形成される。
その結果、コンクリート強度が落ち、酸性雨や排気ガスなどに対する耐性が弱くなる。
また、コンクリート構造物の表面に、ピンホール、アバタ、クラック等があると、コンクリート表面の補修や塗装に費用と手間がかかる。このため、表面に、ピンホール、アバタ、クラック等がなく、高品質、高緻密(つるつるの状態)であることが好ましい。
また、セメント系の材質は施工後に収縮クラックが発生し事故にもつながることから、数年後に補修の必要性が生ずる事が多々起きている。
しかしながら、特許文献1記載の透水性のある型枠用シートによれば、コンクリート混合物の表面が透水層に接するが、透水層はポリエステル織布等により構成されており、また裏面に接着された通気層が点状に隆起したスペーサ部から形成されていることもあり、打設されたコンクリートの表面はざらざらしており平滑面でなく、不織布の粗い表面がそのままコンクリート構造物に転写され表面はざらざらし平滑面とはなっていない。
また、上記の従来の型枠用シートは、打設されるコンクリート構造物の表面が基準面(例えば地面)に対して垂直な表面とする型枠に使用する場合に限らず、基準面に対して斜めの表面を有するハンチ構造や上向き等の表面を有するコッター構造のコンクリート打設時の型枠に使用する場合もある。
なお、ハンチ構造とは、斜め形状で打設するコンクリート構造でコンクリート建造物の補強用として使用されているものをいう。コッター構造とは、PC製品の現場組み立て時のジョイント部補強窪み形状で、斜めや上向き形状になっているものをいう。
さらに、従来行っていた左官工の下地処理を必要とせず、大幅なコスト削減と、工期短縮、生産性向上に貢献でき、セメントフィラーのクラック、ひび割れの発生率が大きく減少し、塗装仕上げの長寿命化も実現する型枠用シート及び型枠を提供することを目的とする。
加熱ロールと加熱しないロール間に、
鞘の溶融温度が芯の溶融温度よりも低い芯鞘構造の繊維のみからなる不織布原反を通過させて圧縮成形した一体的な型枠用不織布シートの製造方法であって、
加熱ロールを表層の表面に接触させるとともに圧力を加えて熱融着して、
表層の熱可塑性樹脂繊維同士を溶融密着させて圧縮し、
表層の繊維密度を裏層の繊維密度よりも大きくし、
さらに、
この不織布シートをもう一度前記ロール間に通して再溶融及び再圧縮して、
コンクリートとの剥離性を向上させるようにしたことを特徴とする。
(2)本発明の型枠用不織布シートの製造方法は、上記(1)において、
前記再溶融及び再圧縮を2回行うことを特徴とする。
この結果、コンクリート構造物中の鉄筋の錆が抑制され、建築物の耐久性が向上する。
さらに、コンクリート構造物の表面を平滑とする事により、直接表面塗装仕上げが可能となり、従来の、ピンホール、アバタ、クラック補修など左官作業の軽減化となり、左官工費と材料の低減化が実現できる。
さらに、表層は熱可塑性樹脂繊維同士が熱融着して表面粗さが小で繊維密度が大であり、その下の裏層は不織布原反が有している空隙を残した繊維密度が小の2層構造であるので、打設コンクリートからの透水性や保水性に優れ、繰り返し使用することも可能である。
図面を用いて、本発明の実施形態に係る型枠用不織布シートについて説明する。
図1(a)は実施形態の型枠用不織布シート10の断面図(写真)であり、(b)は不織布原反20の断面図(写真)である。
なお、図1の断面写真において、表層10aと裏層10bの繊維密度の違いが分かるように、すなわち、不織布の繊維と繊維と、その間に存在する空隙の区別がよく分かるように、繊維部分を黒インクで着色してある。
表層10aの表面粗さが平均偏差で4.80μmを超えたものは表面が粗く、転写されるコンクリート構造物の表面のピンホール、アバタ、クラック等が大きくなり平滑性が失われる。一方で、表層10aの表面粗さが平均偏差で0.5μm未満の場合は、表層10aのフィルム化が進み目詰まり状態となり、打設したコンクリートからの余剰水の排水が阻害されるおそれがある。
なお、表面粗さの測定方向は縦方向(原反の長手方向)に沿って行った。
図1(a)の断面図に示すように、本実施形態の型枠用不織布シート10は、積層されたものではない一体的な型枠用不織布シートである。積層型にすると、積層境界に接着剤などが存在し、打設したコンクリートからの余剰水の排水を阻害するので好ましくない。
また、本実施形態の型枠用不織布シート10は全体としての透水性も重要である。
すなわち、透水係数(JIS A 1218の測定法に基づく)が、1.0×10−2〜1.0×10−4であることが好ましい。透水係数が1.0×10−2 を超える場合は、打設コンクリートからの排水性は高まるが、保水機能がなくなる。透水係数が1.0×10−4 未満の場合は目詰まり状態であり、打設コンクリートの表面からの余剰水の排水ができなくなるからである。
ここで、透水係数とは、土中の間隙をぬって移動する水の移動しやすさを透水性と呼び、その程度を透水係数として表す。本発明では、型枠用不織布シートの余剰水の排水機能を判断する指標として透水係数を用いた。
不織布原反20の繊維の原料としては、加熱によって繊維同士が融着する熱可塑性樹脂繊維を含むものであれば、その種類を問わない。また、融着後の繊維は、打設したコンクリートの仕上がり面を平滑面にする機能を満たすために、細い繊維径でそれぞれが熱融着されていて毛羽立ちしにくいことが求められる。
このような機能を満たす不織布原反の繊維としては、芯鞘型繊維を用いることも好ましい。芯鞘型繊維は、内層が高融点の樹脂で、外層が内層よりも低融点の樹脂からなる芯鞘構造の繊維を用いた立体的な繊維構造を有するものである。
芯鞘型繊維の溶融温度は、鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分の結晶性ポリプロピレンであれば、130℃以上で繊維同士を接着をすることができる。このとき、不織布原反に圧力を加えることが接着性を補助するので好ましい。
芯鞘型繊維を用いた不織布原反としては、例えばクラレクラフレックス株式会社製の不織布「フェリベンディ」(登録商標)が好ましく挙げられる。
この繊維は、内層がポリエステルで、外層がエバールからなる芯鞘構造の繊維を用いており、145℃程度に加熱したロールで外層のエバールを溶融させて、表面粗さの小さいシートを得ることができて好ましい。
型枠用不織布シートの厚みとしては特に規定するものではないが、型枠の形状やサイズが固定されており、厚いシートは仕上がり製品の厚みに著しく影響(断面欠損)するので、一般的には薄いシートが好ましい。一例としては、型枠が、幅60cm、高さ180cmの大きさ(2×6板)や幅90cm、高さ180cmの大きさ(3×6板)に、不織布原反を型枠の端部まで折り込んで、コンクリート混合物が侵入しないように留める使用形態に鑑みると、厚みは約0.1mm〜1.0mmのものが好ましい。
なお、型枠用不織布シートとして使用する不織布原反としては、その厚みや目付量を特に規定するものではないが、製造上の観点から、0.5mm〜5mm程度が望ましい。
それ以上厚くなると作業性が著しく悪くなるので、打設後のコンクリート構造物に応じて任意に厚みが決定される。
また、目付量は100g/m2〜300g/m2が望ましく、それ以上目付が高くなると作業性やコスト面で問題が発生する。
また、本実施形態の型枠用不織布シートの裏層に離型部材を積層することもできる。これにより、型枠用不織布シートを型枠に簡易に接合することができる。すなわち、不織布シートの裏層の表面に、粘着剤を介して離型部材を積層する。離型部材としては、紙、樹脂フィルム、金属箔などが挙げられる。なお、離型部材は、全面穴無しでも、部分的に貫通孔が形成されていてもよい(例えばメッシュ部材など)。
本実施形態では、住化加工(株)製のクレープ紙(型番:SL−72R)を用いた。
粘着剤としては、有機溶剤系、水系などその種類を特定するものではないが、原反との接合性を高めるためには有機溶剤系を用いるのが好ましい。本実施形態では、綜研化学(株)製のSKダイン(登録商標)1604Nを用いた。これは、固形分が40〜50質量%の酢酸エチルとトルエンとを含んでいるアクリル酸エステル共重合物である。
離型部材上に塗工する塗工量としては、100〜500g/m2、好ましくは250〜300g/m2 とすることが好ましい。100g/m2 未満では粘着剤が少なすぎて、離型部材を不織布シートの裏層の表面に離型部材を十分な接合強度で積層できない。500g/m2 を超える場合は粘着剤が多すぎて無駄になる。
また、粘着剤には、さらに、カットファイバを添加することもできる。粘着剤には、無機系繊維(ガラス繊維や天然鉱物繊維など)、有機系繊維(各種高分子ポリマー繊維)の中から、径サイズや繊維長などが用途に応じて任意に選択されたフレキシブルなカットファイバが添加されていることが好ましい。型枠用不織布シートの不織布繊維にカットファイバが機械的に絡まり粘着剤が強く固定されるからである。
すなわち、粘着層に分散された繊維の絡み合いにより強い接合性を発現するので、小さな転圧力で、粘着層を確実に型枠用不織布シートの裏面に接合させることができる。
粘着剤に有機溶剤系を用いる場合は、例えばポリプロピレン製は溶剤による膨潤や溶解が起きるおそれがあるので、添加するカットファイバは無機系繊維が望ましい。
一方、粘着剤に水系エマルジョンを用いる場合は、添加するカットファイバはポリプロピレン等の高分子ポリマー繊維が望ましく使用できる。
本実施形態では、カットファイバとして、径13μm、長さ3mmのユージー基材(株)製のガラス繊維EO3Aを使用した。
このようなカットファイバを添加した粘着剤を、離型部材上に塗工する。
図2(a)は、粘着層15を介して離型部材16を型枠用不織布シート10の裏層10bに設けた(離型部材付きシート11)状態を示す断面図であり、図2(b)は、離型部材付きシート11の離型部材16を剥がした状態(離型部材なしシート11a)で、粘着層15と型枠30の表面とが接するように取り付けられ留められている状態を示す断面図である。
図2(b)に示すように、コンクリート打設時において、流動状のコンクリート混合物31の余剰水や空気は離型部材なしシート11aに吸い取られる。
打設されたコンクリート面が垂直面の場合は、離型部材なしシート11aに吸い取られた余剰水は、裏層10bに形成されている空隙を縫って重力で下端から外部へ排出され、空気は上方へ抜ける。
なお、余剰水が多く、裏層10bの厚みが十分でない場合には、不織布原反をさらに裏層と粘着層15との間に積層して使用することもできる。この場合は、裏層10bと積層した不織布原反との境界は透水性を損なわないように、接着は全面ではなくスポットで行うことが好ましい。
また、図2(c)の離型部材付きシート11の型枠への取り付け方法に示すように、離型部材付きシート11の離型部材16を剥がさない状態で、離型部材16と型枠30の表面とが当接するように取り付け、部分的に粘着テープで型枠に留めるようにすることもできる。
図2(c)では、カットファイバ(綜研化学(株)製のSKダイン(登録商標)1604N)を添加した粘着層15(例えば200g/m2)を介して離型部材16を型枠用不織布シート10の裏層10bに設けた。そして、離型部材が直接型枠(鋼板製、合板製、プラスチック製、ゴム製など)に当接するように取り付けた。なお、離型部材としてはOPPフィルム(例えば20〜50μm厚み)を使用するが、他の樹脂フィルムでも適用可能である。
このようにすると、離型部材付きシート11を型枠へ取り付ける手間が軽減される。
なお、型枠へ取り付けるときに型枠面を水で濡らしておくことにより、水の表面張力により離型部材面が型枠に吸い付けられてシワや空気だまりがなくなり、型枠面へ密着させて取り付けることができる。図2(c)のような使用例は、離型部材付きシート11から剥離紙を剥いで型枠に取り付けるときのシワ発生や、型枠から剥ぐときの粘着剤残りなどを防止できる。
なお、型枠としては、ベニア型枠、合板型枠、プラスチック型枠、ゴム型枠、PC工場用の鋼板型枠やアルミ型枠、基礎立ち上がり鋼板型枠などであれば、いずれも使用可能である。
次に、本実施形態の型枠用不織布シートの製造方法を説明する。
まずは、不織布原反をリールから繰り出し、不織布原反の表層の面に加熱ロールを接触させるとともに、加熱ロールと、不織布原反の裏層に接触させる樹脂ローラとの間に挿入する。これにより、不織布原反は加熱ロールによりカレンダー加工され、厚み方向に加熱圧縮されるとともに、表層の熱可塑性樹脂繊維が熱融着される。
そして、熱可塑性樹脂繊維同士が溶融接着することにより繊維の間隙が縮小し、表層の繊維密度が大きくなるとともに、表層の表面粗さが平滑となる。
一方、加熱されていない樹脂ロールと接触する裏層の熱可塑性樹脂繊維は溶融接着することなく、繊維密度は原反のままである。
したがって、表層の繊維密度は裏層の繊維密度よりも大きい。
このカレンダー加工時において、加熱ロールと樹脂ローラとの間にはクリアランスを設けず両ロール間を加圧状態にしてもよいし、所定のクリアランスを設けてもよい。
上記説明のように、本実施形態の型枠用不織布シートは、不織布原反から一体的に形成されているものであり、厚み方向で繊維密度の勾配を有する(積層されたものではない)。
繊維密度の違うシートを積層したものでは、積層境界面において繊維が接着もしくは融着されているので不織布の繊維空隙が塞がれ、打設コンクリートからの排水の通り道が塞がれ透水性が悪くなるという欠点がある。
カレンダー加工は、不織布原反の表層を加熱して熱可塑性繊維同士を熱融着させるとともに、厚み方向に加圧して不織布原反をその表層の繊維密度を裏層の繊維密度よりも大きくする加工方法である。例えば、不織布原反の表層に加熱ロール(例えば120℃〜160℃)を接触させるとともに、所定の圧力(例えば3〜10MPa)を加えて、不織布原反に圧縮加工を施す加工方法をいう。加熱ロールと接触する面(表層)は熱可塑性繊維同士が溶融密着するとともに圧縮されて繊維密度が大きくなる(不織布の空隙が縮小する)。
これにより、表層は非常に平滑な表面になり、毛羽立ちもなく不織布原反の透水性も確保される。なお、加熱ロールの表面は、型枠用不織布シートの表層に転写されるので、その表面粗度は光沢面とすることが好ましい。一方、加熱ロールと接触しない面(樹脂ロールと接触する裏層)の熱可塑性繊維は溶融しないので原反のままの繊維密度である。
これにより、裏層の部分が排水機能を保持し、余剰水の排出に寄与するドレインの役目をする。
なお、カレンダー加工と同様の加工法は、以下の方法によっても実現できる。
たとえば、原料シートをサクションドライヤーにより予め熱接着させた後、コールドパンチプレスによりフェルト状にした後、例えば、熱プレス等により加熱圧着する方法などが挙げられる。
次に、図3を用いて、型枠用不織布シート10に離型部材16を積層した離型部材付きシートの製造方法を説明する。
図3に示すように、巻き戻された離型部材16の片面に粘着剤が塗工され粘着層15を形成する。乾燥炉通過後の粘着層15面に、別途製造した型枠用不織布シート10の裏層10b面と接合させて、離型部材付きシート11を完成させる。
実施例1は、不織布原反として「フェリベンディ」(登録商標)の商品名SR0044(目付:250g/m2、厚み:2.6mm)を用い、上ロールを145℃の加熱ロールとし、下ロールを常温の樹脂ロールとして、下記の条件で上下のロール間を1回通してカレンダー加工した。
圧力10.0MPa、加工速度3.5m/分
カレンダー加工後の不織布シートは、厚み:0.35mm、表面粗さ:1.20、透水係数:1×10−4 であった。
実施例2は、不織布原反として「フェリベンディ」(登録商標)の商品名SR0044(目付:250g/m2、厚み:4.0mm)を用い、上ロールを145℃の加熱ロールとし、下ロールを常温の樹脂ロールとして、下記の条件で上下のロール間を2回通してカレンダー加工した。
1回目:圧力3.2MPa、加工速度4.0m/分
2回目:圧力7.3MPa、加工速度3.5m/分
カレンダー加工後の不織布シートは、厚み:0.35mm、表面粗さ:0.95、透水係数:2.57×10−4 であった。
実施例3は、不織布原反として「フェリベンディ」(登録商標)の商品名SR0044(目付:250g/m2、厚み:2.6mm)を用い、上ロールを145℃の加熱ロールとし、下ロールを常温の樹脂ロールとして、下記の条件で上下のロール間を1回通してカレンダー加工した。
圧力3.2MPa、加工速度4.0m/分
カレンダー加工後の不織布シートは、厚み:0.8mm、表面粗さ:1.35、透水係数:2.89×10−3 であった。
実施例4は、不織布原反として「フェリベンディ」(登録商標)の商品名SR0044(目付:250g/m2、厚み:2.6mm)を用い、上ロールを160℃の加熱ロールとし、下ロールを常温の樹脂ロールとして、下記の条件で上下のロール間を1回通してカレンダー加工した。
圧力7.3MPa、加工速度3.5m/分
カレンダー加工後の不織布シートは、厚み:0.3mm、表面粗さ:0.71、透水係数:1.00×10−4 であった。
実施例5は、不織布原反として「フェリベンディ」(登録商標)の商品名SR0044(目付:250g/m2、厚み:2.6mm)を用い、上ロールを120℃の加熱ロールとし、下ロールを常温の樹脂ロールとして、下記の条件で上下のロール間を1回通してカレンダー加工した。
圧力3.2MPa、加工速度4.0m/分
カレンダー加工後の不織布シートは、厚み:0.8mm、表面粗さ:4.80、透水係数:9.60×10−3 であった。
実施例6は、不織布原反として「フェリベンディ」(登録商標)の商品名SR0044(目付:250g/m2、厚み:4.0mm)を用い、上ロールを145℃の加熱ロールとし、下ロールを常温の樹脂ロールとして、下記の条件で上下のロール間を3回通してカレンダー加工した。
1回目:圧力3.2MPa、加工速度4.0m/分
2回目:圧力7.3MPa、加工速度3.5m/分
3回目:圧力7.3MPa、加工速度3.5m/分
カレンダー加工後の不織布シートは、厚み:0.30mm、表面粗さ:0.50、透水係数:1.26×10−4 であった。
なお、実施例6不織布シートは使用後も表面へのコンクリート目詰まりが少なく、繰り返しの使用ができた。
比較例1は、不織布原反シートである。表面粗さが9.093と大きく、打設したコンクリートとの剥離性が悪く、コンクリート構造物表面も、ピンホール、アバタ、クラックが形成されていた。
比較例2は、従来技術で述べた特許文献1のシート(商品名:アバノン)である。表面粗さが12.97と大きく、打設したコンクリートとの剥離性が悪く、コンクリート構造物表面も、ピンホール、アバタ、クラックが形成されていた。
実施例、比較例をまとめた結果を表1に示す。
表1を用いて、実施例の結果を詳細に説明する。
表1において、実施例1〜6は、表面粗さが、0.50〜4.80μmを示している。この表面粗さの測定は、紙や繊維製品の表面粗さを測定するカトーテック社の自動化表面試験機(KES−FB4−AUTO−A)を用いた。
以下のサイズのセンサーを用いて、試料移動速度は1mm/秒とした。
摩擦子:10mm×10mm、
粗さ接触子:0.5mmワイヤーを使用、
接触面積:5mm、
加重:10gf
カトーテック社の自動化表面試験機(KES−FB4−AUTO−A)は、生地の風合いなどを判断する際に、職人や専門家が行う「なでる」という手の動きを客観的な数値データに置き換える測定機で、繊維製品の業界では広く用いられている。
なお、試験機から得られた表面粗さデータは、数値が大きいほど表面の凹凸が大きいといえる。
測定方向は縦方向(原反の長手方向)に沿って行った。
実施例5の型枠用不織布シートを用いて打設して平滑な表面を得たコンクリート構造物について、摩耗試験を行った((一財)建材試験センター測定)。
参考値は、本実施形態の型枠用不織布シートを用いずに、直接型枠にコンクリート打設して得られたコンクリート構造物についてのデータである。
試験方法:JIS K 7204に準じた。
試験体の寸法:縦100mm×横100mm×厚み10mm 中心に回転軸挿入用に6mmの孔を設けた。
試験荷重:9.8N、試験回転数:1000回、摩耗輪:H−22
試験前、500回転後、1000回転後に、それぞれの試験片の質量、厚さを測定し、その減少量を求めた。
(1)質量減少
500回転後:1.14g、1000回転後:2.37g
(参考値)
500回転後:1.67g、1000回転後:3.33g
(2)厚さ減少
500回転後:0.22mm、1000回転後:0.42mm
(参考値)
500回転後:0.30mm、1000回転後:0.59mm
以上の結果から、実施例の型枠用不織布シートを用いて打設して平滑な表面を得たコンクリート構造物は、比較例及び参考値と比較して、明らかに優れていることが分かる。
また、カレンダー加工時に、型枠用不織布シートの表層に木目調などの模様を形成して、この模様をコンクリート構造物の表面に転写することにより、デザイン性のあるコンクリート構造物の外観とすることもでき、産業上の利用可能性が高い。
10a 表層(熱圧縮加工された面)
10b 裏層(熱圧縮加工されない面)
10c 不織布繊維
10d 空隙
11 離型部材付き不織布シート
11a 離型部材なしシート
15 粘着層
16 離型部材
20 不織布原反
30 型枠
31 コンクリート混合物
Claims (2)
- 加熱ロールと加熱しないロール間に、
鞘の溶融温度が芯の溶融温度よりも低い芯鞘構造の繊維のみからなる不織布原反を通過させて圧縮成形した一体的な型枠用不織布シートの製造方法であって、
加熱ロールを表層の表面に接触させるとともに圧力を加えて熱融着して、
表層の熱可塑性樹脂繊維同士を溶融密着させて圧縮し、
表層の繊維密度を裏層の繊維密度よりも大きくし、
さらに、
この不織布シートをもう一度前記ロール間に通して再溶融及び再圧縮して、
コンクリートとの剥離性を向上させるようにしたことを特徴とする型枠用不織布シートの製造方法。 - 前記再溶融及び再圧縮を2回行うことを特徴とする請求項1に記載の型枠用不織布シートの製造方法。
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