JPH05311873A

JPH05311873A - コンクリ−トパネル用複合材

Info

Publication number: JPH05311873A
Application number: JP14821992A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Noma; 毅野間; Masaru Nishijima; 賢西島
Original assignee: Chisso Corp
Current assignee: JNC Corp
Priority date: 1992-05-14
Filing date: 1992-05-14
Publication date: 1993-11-22

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】コンクリート表面の美観の改善と使用後のパ
ネルの再利用を可能ならしめ、経済的に妥当な価格での
施工を可能にするコンクリートパネル用複合材を提供す
る。【構成】融点が１５℃以上異なる２種の熱可塑性樹脂
を並列型に配した、または高融点の熱可塑性樹脂を芯成
分とし低融点の熱可塑性樹脂を鞘成分とする芯鞘型に配
した複合繊維を用いたシート１が基材３の表層に接合さ
れたコンクリートパネル用複合材であって、シート１の
構成繊維がポリオレフィンで構成されかつ少なくともシ
ート１表面では相互にその接点で熱融着しており、シー
ト１と基材３とはホットメルト接着剤により貼合されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンクリートの打設時
に用いられるコンクリートパネルに関する。更に詳しく
は、コンクリート打設時のコンクリートパネルの脱着
性、コンクリートパネルの繰り返し使用性ならびに、打
設されたコンクリート表面の美観が著しい改善がなされ
たコンクリートパネル用複合材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンクリート構造体の施工は、木
製あるいは金属製のコンクリートパネルで枠組みしその
中にセメントを流し込み、養生固化させ、コンクリート
の固化後にコンクリートパネルを取り去る方法が一般に
行われてきた。このコンクリートパネルを取り去る際、
コンクリートの一部がコンクリートパネルと共にはぎ取
られ構造体の表面に傷や凹みを生じ、これが美観を損ね
たり、あるいは、表面強度の低下や耐久性の低下を引き
起こしているといわれている。更に、これらパネルの
表面に付着残留したコンクリートがコンクリートパネル
の再利用を困難にしている。このような中で、コンクリ
ートパネル表面を不織布または織布で覆った複合材とす
ることにより、余剰水分の排出や美観、強度、耐久性を
改善する方法が種々提案されている。そのような織布あ
るいは不織布として例えば、特開平１−２０３５６４号
では複合フィラメント織物を、特開平２−３０８０４９
号では複合モノフィラメント織物を、特開平２−２７７
８５９号では多層編地が提案されている。これらの複合
材は、不織布や織布を木製パネルに釘止めしたものが多
く、製作に人手がかかるうえに、表面が凹凸であった
り、釘の腐食による錆がコンクリートを汚すので再使用
出来ないという問題があった。したがって、従来の木製
のコンクリートパネルの価格に比べて、これら複合材の
価格は著しく高価になり、施工価格の上昇を引き起こ
し、極限られた用途にしか用いられていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術に鑑み、コンクリート表面の美観の改善と使用後の
パネルの再利用を可能ならしめ、経済的に妥当な価格で
の施工を可能にするコンクリートパネル用複合材を提供
することにある。

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決に鋭意努力の結果、融点が１５℃以上異なる２種
の熱可塑性樹脂を並列型に配した、または高融点の熱可
塑性樹脂を芯成分とし低融点の熱可塑性樹脂を鞘成分と
する芯鞘型に配したポリオレフィン系複合繊維を用いた
シートをパネル基材の表層にホットメルト接着剤で貼合
させた複合材をコンクリートパネルとして用いることに
より所期の目的が達せられることを知り、本発明を完成
するに至った。コンクリートパネル表面のシートは、打
設コンクリートの水分や気泡を速やかに外部へ導き、か
つ、コンクリート粒子の流出を防止するように微細孔構
造を有し、更に撤去時にはコンクリート面から容易に剥
離するように表面が平滑で毛羽立ちの無いものでなけれ
ばならない。このようなシートを得るためには、融点が
１５℃以上異なる２種の熱可塑性樹脂を並列型に配し
た、または高融点の熱可塑性樹脂を芯成分とし低融点の
熱可塑性樹脂を鞘成分とする芯鞘型に配した複合繊維を
用いたシートの表面を加熱プレスすることによって得ら
れる。

【０００４】このような組成の複合繊維の例としては、
芯成分（または、高融点成分）に結晶性ポリプロピレ
ン、ポリエステル、あるいはナイロンを用い、鞘成分
（または低融点成分）にポリエチレン、低融点ポリエス
テル、あるいは低融点ナイロンを用いたものが例示でき
る。この中でも特に芯成分（または、高融点成分）に結
晶性ポリプロピレンを用い、鞘成分（または、低融点成
分）に芯成分（または高融点成分）より１５℃以上低い
融点を持つポリオレフィン系樹脂を用いた複合繊維が推
奨される。ポリエステルを芯または第１成分に、高密度
ポリエチレンを、鞘または、第２成分に鞘芯型に配され
た繊維も存在するが（例えば、チッソ（株）製ＥＴ繊
維）、ポリエステルは耐アルカリ性に弱く、コンクリー
トからにじみ出るアルカリにより繊維が侵され、繰り返
し使用にたえる強力を保持しない。芯成分（あるいは高
融点成分）として用いる結晶性ポリプロピレンより１５
℃以上低い融点を持つポリオレフィン系樹脂としては、
エチレン−プロピレン共重合体、高密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレンなどが例示できる。このような組成
の複合繊維としては、市販品がいくつかあり、チッソ
（株）製ＥＳ繊維（ポリプロピレン／高密度ポリエチレ
ン並列型複合繊維）、ＥＳＣ繊維（ポリプロピレン／高
密度ポリエチレン鞘芯型複合繊維）、ＥＡＣ繊維（ポリ
プロピレン／低密度ポリエチレン鞘芯型複合繊維）等を
例示できる。これら複合繊維の繊維径は、特に制限され
ず、カード機等の加工機の能力に合わせて適宜選択され
て良いが、経済的観点から、１０μｍ〜３５μｍ程度の
ものが好適に用いられる。

【０００５】これらの複合繊維を微細孔を持つシートに
加工する方法は、複合繊維ステープルのカードウェブを
サクションドライヤー等により予め熱接着させたり、ニ
ードルパンチによりフェルト状にした後、カレンダーロ
ール、プレス機等により加熱圧着する方法が例示でき
る。また、この加熱圧着は複合繊維シートを基材に貼り
合わせる工程で行っても良い。詳細な加工方法の例は、
後に述べる実施例により、更に、明らかになる。

【０００６】コンクリートパネル基材としては金属、プ
ラスチック、木質合板等があり、このようなシートと基
材との貼合には、基材それぞれの素材と良く接着するシ
ート状（または織布状、もしくは不織布状）のホットメ
ルト接着剤を適宜選択して用いれば良い。コンクリート
パネルとして一般に用いられる木製合板の場合であれ
ば、エチレン・アクリル酸エステル・無水マレイン酸３
元系共重合体（以下３元系共重合体と略すこともある）
を含有する熱接着性フィルムまたはこの３元共重合体を
含有する繊維でできた織布、もしくは不織布が、接着力
が強いので推奨される。これら３元系共重合体の熱接着
フィルムまたは織布、もしくは不織布の坪量（以下目付
けと称することもある）は特に制限されず、シートとコ
ンクリートパネルの接着要求強力に応じて適宜選択され
て良い。しかしながら、この３元系共重合体１００％か
らなる不織布の目付けが４０ｇ／ｍ²になると、シート
と合板は、完全に接着し、両者を剥そうとしても不可能
なほど強固である。熱接着フィルムまたは織布、もしく
は不織布を用いて、シートとコンクリートパネルを接着
させる方法は、熱カレンダーロールによる方法や、熱プ
レスによる方法が提案される。その際、シート表面を、
微細孔を残しながら毛羽立ち無く、平滑に成形すること
を兼ねて、シートとコンクリートパネル基材とを接着さ
せることが可能であり、そのときの温度は、シートを形
成する複合繊維の鞘成分または、第２成分の軟化点以
上、例えば、第２成分が高密度ポリエチレンであれば、
概ね１３０℃以上で、芯成分または、第１成分の、結晶
性ポリプロピレンの融点以下、概ね１６０℃以下で微細
孔の形成及び、接着をすることが出来る。このときシー
トにかける圧力は、０．５Ｋｇ／ｃｍ²（プレス圧）で
充分である。加熱時間は、シート及び、接着素材が充分
に加熱される程度は必要であり、加工機械の特性に応じ
て設定されねばならない。もちろん、熱接着フィルムま
たは織布、もしくは不織布の、接着成分の融点は、シー
トとなる複合繊維の鞘成分または、第２成分の融点より
低くなければならない。

【０００７】このようにして得られるコンクリートパネ
ル用複合材は、コンクリートパネル製造時に製造するこ
とが可能であり、コンクリート打設現場での貼着という
従来の工法に比べ、工数の削減も可能である。また、コ
ンクリートパネル用複合材は、通常のコンクリートパネ
ル同様にコンクリート打設現場で任意の形状に切断する
ことが可能である。本発明で得られるコンクリートパネ
ル用複合材は、表面に、微細な孔を持つシートを有し、
この細孔から、コンクリート中の余剰水や気泡を取り除
き、平滑で美しい表面を持つコンクリート表面を作り出
し、また、非常に滑らかな表面を有するので、コンクリ
ート粒子の食い込みもなく、コンクリートパネルの取り
外しも容易であり、同時に、パネル表面へのコンクリー
ト粒子の残存も少なく、再度の使用も可能である。更
に、コンクリートパネル複合材の表面シートを剥離可能
な程度に接着させたものは、繰り返し使用によって汚れ
た表面シートを剥すことにより、コンクリートパネル基
材を更に繰り返し利用することが可能であり、この事
は、資源の有効利用の面からも、安価なコンクリートパ
ネルを提供する点からも有益である。

【０００８】

【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳しく説
明する。実施例１結晶性ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとを複合比
５０／５０で並列型に配した繊維径２５μｍ（繊度４ｄ
／ｆ）の複合繊維をカーディングして、目付け１００ｇ
／ｍ²のウェブとし、次いでサクションドライヤーに導
き１３８℃で５秒間熱処理し、不織布（Ａ）とした。エ
チレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸３元共重
合体（エチルアクリレ−ト含量２９．４％、無水マレイ
ン酸２．６％）、（ＭＦＲ１９０℃：４０ｇ／１０ｍｉ
ｎ、融点６８℃）１００％からなり、メルトブロー法に
よる物）目付け４０ｇ／ｍ²の不織布（Ｂ）を介して、
この不織布（Ａ）を図１に示すようにコンクリートパネ
ル用合板（厚さ１．７ｃｍ）の上に配置した。この積層
体を、熱プレス機により、圧力０．５Ｋｇ／ｃｍ²、温
度１３０℃で、１分間熱プレスし、コンクリートパネル
用複合材を得た。この複合材の表面（不織布側）は、平
滑で、繊維の毛羽等はなく、表面層とパネル本体が強固
に接着していた。（サンプル１）

【０００９】実施例２結晶性ポリプロピレンを芯に、高密度ポリエチレンを鞘
に、複合比５０／５０で芯鞘型に配した繊維径３０μｍ
（繊度６ｄ／ｆ）の複合繊維をカーディングし、その後
ニードルパンチにより目付け３００ｇ／ｍ²の不織布
（Ｃ）とした。エチレン・エチルアクリレート・無水マ
レイン酸３元共重合体（エチルアクリレ−ト含量２９．
４％、無水マレイン酸２．６％、ＭＦＲ１９０℃：４０
ｇ／１０ｍｉｎ、融点６８℃）を上下層に持ち、中間層
がポリプロピレンからなる幅２ｍｍの３層フラットヤー
ンを、経緯糸それぞれに８本／２５ｍｍで用いた平織物
（Ｄ）を介して、この不織布（Ｃ）を図１に示すように
コンクリートパネル用合板（厚さ１．７ｃｍ）の上にに
配置した。この積層体を、予め、シート側より遠赤ヒー
ター（設定２００℃）で予備加熱し、カレンダーロール
（上１３５℃、下室温）へ導き、線圧４Ｋｇ／ｃｍで加
圧しコンクリートパネル用複合材を得た。この複合材の
表面（不織布側）は平滑で、表面層とパネル本体は強固
に接着していた。（サンプル２）

【００１０】比較例１実施例１で用いた不織布（Ａ）をコンクリートパネル用
合板（１．２ｃｍ）に直接重ねて熱プレスしたが、１６
０℃以下では、全く接着しなかった。１８０℃で２分間
プレスしたところ、コンクリートパネル上に樹脂シート
をラミネートしたような物が出来たが、弱い力で容易に
パネル本体と分離し、実用に耐えなかった。比較例２実施例２で用いた不織布（Ｃ）を、コンクリートパネル
用合板にカーペット固定用両面接着テープ（ニチバン
製：商品名ナイスタック）を用いて貼着した。貼着強度
は充分に実用に耐えるものであるが、表面（不織布側）
は毛羽立ちの多いものであった。（サンプル３）比較例３結晶性ポリプロピレン単１成分からなる繊維径１８μｍ
の繊維を、カーディングし、ニードルパンチにより目付
け１５０ｇ／ｍ²の不織布（Ｅ）とした。熱接着性フィ
ルムであるエチレン−酢酸ビニル共重合体よりなる厚さ
３０μｍのフィルム（Ｆ）を介して、この不織布（Ｅ）
をポリプロピレン製のコンクリート用プラスチックパネ
ルに熱プレスにより貼着した。加熱温度１３０℃、加圧
０．５Ｋｇ／ｃｍ²、加熱時間１分で、表面層とパネル
本体は、強固に接着した。しかし、表面は、繊維の毛羽
が大量に残っていた。（サンプル４）比較例４比較例３で用いた不織布（Ｅ）を、実施例１で用いた熱
接着性の不織布（Ｂ）を用い、コンクリートパネル用合
板に貼着を試みた。表面の毛羽を抑えようと、加熱温度
１８０℃に上げ、加圧０．５Ｋｇ／ｃｍ²、加熱時間１
分で行ったが、不織布（Ｅ）の収縮が大きく貼着出来な
かった。

【００１１】実施例３、４、比較例５、６実施例１、２、比較例２、３で得られたサンプル１、
２、３、４を用いコンクリート打設試験を行った。各サ
ンプル２枚と、木質のコンクリートパネル用合板２枚と
を図２に示すような１辺の長さが１０ｃｍ、高さ２０ｃ
ｍの直方体の枠にし、この中に、スランプ１８ｃｍのコ
ンクリートを流し込み、７２時間養生後、型枠を外し
た。この時の結果を第１表に示す。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【発明の効果】本発明によるコンクリートパネル用複合
材は、コンクリート打設時のコンクリートパネルとコン
クリートとの離型性に優れ、コンクリート表面の美観が
改善される。また、製造方法が簡便で、繰り返し使用が
可能であり、経済的にも優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンクリートパネル基材、接着シート及び繊維
シートの積層状態の説明図

【図２】コンクリート打設試験用型枠の説明図

【符号の説明】

１繊維シート２接着シート３コンクリートパネル基材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】融点が１５℃以上異なる２種の熱可塑性
樹脂を並列型に配した、または高融点の熱可塑性樹脂を
芯成分とし低融点の熱可塑性樹脂を鞘成分とする芯鞘型
に配した複合繊維を用いたシートが基材の表層に接合さ
れたコンクリートパネル用複合材であって、シートの構
成繊維がポリオレフィンで構成されかつ少なくともシー
ト表面では相互にその接点で熱融着しており、シートと
基材とはホットメルト接着剤により貼合されていること
を特徴とするコンクリートパネル用複合材。