JP3174358B2 - 一方向配列強化繊維シート及び構築物の補強方法 - Google Patents

一方向配列強化繊維シート及び構築物の補強方法

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JP3174358B2
JP3174358B2 JP21452591A JP21452591A JP3174358B2 JP 3174358 B2 JP3174358 B2 JP 3174358B2 JP 21452591 A JP21452591 A JP 21452591A JP 21452591 A JP21452591 A JP 21452591A JP 3174358 B2 JP3174358 B2 JP 3174358B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
により橋梁や高架道路などを初めとする構築物の補強を
するに際し、補強現場で施工性良く補強を行なうことが
でき且つ補強強度も向上することを可能とした一方向配
列強化繊維シ−ト及び斯かる一方向配列強化繊維シート
を用いた構築物の補強方法に関するものである。本発明
の一方向配列強化繊維シ−トによれば、構築物の補強作
業に使用するばかりでなく、繊維強化プラスチック製の
小型ボートなどをハンドレイアップで製作する際にも好
適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】橋梁や高架道路などの橋脚を繊維強化プ
ラスチックにより補強することが行なわれている。
【0003】その補強の仕方として、従来、(1)硬化
した繊維強化プラスチックを橋脚の補強箇所に貼り付け
る方法、(2)橋脚の補強箇所にプリプレグを貼り付
け、その上に加熱硬化時の変形を防止するための押さえ
テ−プを巻回して、加熱硬化することにより繊維強化プ
ラスチックと為す方法、(3)橋脚の補強箇所に強化繊
維のクロスを巻き付けて、それに室温硬化型のマトリク
ス樹脂を含浸させ、押さえテ−プを巻回後に放置して硬
化せることにより、繊維強化プラスチックと為す方法、
等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)の方法では、橋脚の補強箇所に対する補強の効率
は良好であるが、湾曲した補強箇所では実施できないと
いう大きな欠点がある。 (2)の方法では、橋脚の補強箇所に貼り付けたプリプ
レグを現場で加熱硬化しなけれらばならないので、加熱
硬化の作業が容易でない欠点がある。 (3)の方法では、強化繊維を平織、綾織等によりクロ
スにして用いているため、強化繊維はその縦糸と横糸と
が交わる箇所で強度が弱く、これが原因で繊維強化プラ
スチックとしたときに十分な補強効果が得られない欠点
がある。
【0005】上記以外に、橋脚の補強箇所に現場でフィ
ラメントワィンディング法により樹脂を含浸させた強化
繊維の糸を巻き付け、その後硬化して繊維強化プラスチ
ックと為す方法も考えられているが、補強対象が限られ
る上に設備コストが高い等の欠点があり、実用的でな
い。
【0006】従って本発明の目的は、上述の現状に鑑
み、繊維強化プラスチックにより橋梁や高架道路などを
初めとする構築物の補強をするに際し、補強現場で施工
性良く補強を行なうことができ且つ補強強度も向上する
ことを可能とした一方向配列強化繊維シ−ト及び斯かる
一方向配列強化繊維シートを用いた構築物の補強方法を
提供することである。
【0007】本発明の他の目的は、強化繊維プラスチッ
クにより小型ボートなどをハンドレイアップで作成する
のに好適な一方向配列強化繊維シ−トを提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
一方向配列強化繊維シ−ト及び構築物の補強方法にて達
成される。要約すれば、第1の本発明によれば、離型性
及び樹脂非浸透性の支持体シートと、前記支持体シート
上に積層した接着剤層が設けられた樹脂浸透性支持体
と、前記樹脂浸透性支持体の、前記支持体シートとは反
対側の面に前記接着剤層を介して一方向に配列して接着
した強化繊維と、を有することを特徴とする一方向配列
強化繊維シ−トが提供される。一実施態様によれば、前
記強化繊維上に粘着性樹脂層が設けられる。又、他の実
施態様によれば、前記強化繊維上の粘着性樹脂層上に樹
脂浸透性支持体が設けられる。更に、他の実施態様によ
れば、前記支持体シートは1〜500μmの厚さとさ
れ、前記樹脂浸透性支持体の厚さは1〜100μmの厚
さとされる。 第2の本発明によれば、(a)構築物の補強現場にて、
上記いずれかの構成の一方向配列強化繊維シートの前記
強化繊維に室温硬化型のマトリクス樹脂を塗布して含浸
させること、 (b)マトリクス樹脂が含浸された前記一方向配列強化
繊維シートを、前記強化繊維側を構築物の補強箇所側と
して前記補強箇所に貼り付けること、 (c)構築物に貼り付けた前記一方向配列強化繊維シー
トから前記支持体シートを剥がすこと、 (d)同様に、前記支持体シートを剥がした前記一方向
配列強化繊維シートの上に、マトリクス樹脂を塗布して
含浸した次の一方向配列強化繊維シートを貼り付け、こ
の一方向配列強化繊維シートから支持体シートを剥がす
ことを行うことにより、所望の数だけ前記一方向配列強
化繊維シートを積層すること、 (e)更に、マトリクス樹脂含浸操作を行い、その後マ
トリクス樹脂を硬化させること、を特徴とする構築物の
補強方法が提供される。 第3の本発明によれば、(a)構築物の補強箇所に室温
硬化型のマトリクス樹脂を塗布すること、 (b)上記いずれかの構成の一方向配列強化繊維シート
を、前記強化繊維側を構築物の補強箇所側として前記補
強箇所に貼り付けること、 (c)構築物に貼り付けた前記一方向配列強化繊維シー
トから前記支持体シートを剥がすこと、 (d)同様に、前記支持体シートを剥がした前記一方向
配列強化繊維シートの上にマトリクス樹脂を塗布し、そ
の上に次の一方向配列強化繊維シートを貼り付け、この
一方向配列強化繊維シートから支持体シートを剥がすこ
とを行うことにより、所望の数だけ前記一方向配列強化
繊維シートを積層すること、 (e)その後マトリクス樹脂を硬化させること、を特徴
とする構築物の補強方法が提供される。
【0009】
【実施例】図1は、本発明の一方向配列強化繊維シ−ト
の一実施例を示す断面図である。
【0010】本発明の一方向配列強化繊維シ−ト1は、
支持体シート2と、その上に積層した接着剤層3が設け
られた支持体16と、支持体16の、支持体シート2と
は反対側の面に接着剤層3を介して一方向に配列して接
着した強化繊維4とからなり、橋梁や高架道路などの補
強現場で強化繊維4にマトリクス樹脂を含浸させて、補
強に使用できるようにしてある。ハンドレイアップで小
型ボートなどを作成する際にも、その場で強化繊維4に
マトリクス樹脂を含浸させて使用することができる。
【0011】上記支持体シート2は、強化繊維シート1
の全体を支持するためのものである。本発明によれば、
支持体シート2は、補強現場で強化繊維4にマトリクス
樹脂を含浸した強化繊維シート1を作業員が手で持って
補強箇所に貼り付けるなどの作業や、小型ボートなどを
ハンドレイアップで作る際の作業等に耐えられるように
するために、堅固で且つ可撓性を有している。又強化繊
維シート1を補強箇所の表面上に貼り付けた後、強化繊
維シート1から支持体シート2を剥すのに便なように、
離型性及び樹脂非浸透性を備えている。離型性及び樹脂
非浸透性のシートとしては、例えば離型紙、ポリアミド
やポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂等
のフィルムを使用することができる。支持体シ−ト2の
厚みとしては、可撓性を有し且つ強化繊維4を支持可能
な強度を備える観点から、1〜500μm、好ましくは
5〜200μm程度とされる。
【0012】支持体16は、強化繊維4が接着される接
着剤層3を形成するためのもので、接着剤層3を構成す
る樹脂が支持体16中に浸透して該接着剤層3がしっか
りと形成されるようにするために、樹脂浸透性を備えて
いる。このような樹脂浸透性の支持体としては、ガラス
クロス、スクリムクロス、ガラスペーパー、ガラス不織
布、ポリアミド、PPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)などの各種ポリマーの不織布等を使用することがで
きる。支持体16の厚みとしては、接着剤層3の形成を
目的とすることから1〜100μm程度あればよく、好
ましくは5〜50μmとされる。
【0013】接着剤層3を形成する接着剤としては、原
則として支持体16上に強化繊維4を一時的に接着でき
るものならば何でもよいが、好ましくは接着剤はマトリ
クス樹脂との相溶性のよい樹脂を使用することが良く、
例えばマトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を使用すると
きには、エポキシ系の接着剤を用いることがよい。接着
剤層3の厚みとしては、強化繊維4を一時的に接着でき
ればよいことから、5〜100μm、好ましくは10〜
30μm程度あればよい。
【0014】強化繊維4としては、ピッチ系炭素繊維、
ボロン繊維、PAN系炭素繊維、アラミド繊維、ガラス
繊維、スチール繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン
繊維など各種の繊維を使用することができる。又これら
の繊維は単独で使用する他、2種以上を組合せて繊維を
ハイブリッド化して使用することもできる。
【0015】強化繊維4は、これをフィラメントとして
収束剤で多数本収束した繊維束または軽度に撚りをかけ
て収束した繊維束を接着剤層3上に並べて上方から押し
潰すことにより軽度にバラされ、これにより強化繊維4
は収束剤または撚りによる結合により複数層に積層した
状態で、支持体シ−ト2上に接着剤層3を介して一方向
に配列して接着され、かくして所望の強化繊維シ−ト1
が得られる。
【0016】この場合、複数層の強化繊維4は、図2
(A)に示すように、繊維束4Aを接着剤層3を介して
支持体16上に密に一方向に並べて、繊維束4Aを上か
ら押し潰すことにより繊維束4Aの下部を接着剤層3に
接着して、図2(B)に示すように、支持体16上に横
方向に間隔を置かずに密に設けてもよく、或いは、図3
(A)に示すように、繊維束4Aを接着剤層3を介して
支持体16上に横方向に間隔を開けて一方向に並べて、
同様に繊維束4Aを上から押し潰すことにより繊維束4
Aの下部を接着剤層3に接着して、図3(B)に示すよ
うに、支持体16上に横方向に間隔を置いて疎に設けて
もよい。
【0017】繊維束4Aは、繊維4同士の間、即ちフィ
ラメント同士の間の開繊を行ったものでも、行わないも
のでもどちらでも使用することができる。繊維束4Aの
押し潰しの程度は、これによって配列した複数層の繊維
4の層に得たい層厚にもよるが、炭素繊維の場合を示す
と、直径5〜15μmの炭素繊維フィラメントを120
00本程度収束した炭素繊維束のとき、これを横方向の
幅が5mm程度になるように押し潰すことが一例として
挙げられる。
【0018】以上のような本発明の一方向配列強化繊維
シ−ト1は、例えば図4に示すようにして製造すること
ができる。
【0019】即ち、支持体供給ロール6から供給された
ガラスクロス等の樹脂浸透性の支持体16上に接着剤塗
布ロ−ル7で接着剤を塗布して接着剤層3を設けた後、
支持体16をシ−ト供給ロ−ル19から供給された離型
紙等の支持体シ−ト2上に重ねて、一対の加圧ロ−ラ8
a、8bが間隔を開けて設けられた加圧部8へ送り込
む。これと同時に加圧部8へ強化繊維4の繊維束4Aと
離型紙ロ−ル10からの離型紙9とを送り込んで、支持
体シート2上に積層された支持体16上の接着剤層3上
に繊維束4Aを一方向に並べ、その上に離型紙9を重ね
る。そしてその状態で加圧ロ−ラ8a、8bと図示しな
い支持板とで加圧し、繊維束4Aを押し潰すと同時に、
これにより軽度にバラされた強化繊維4を接着剤層3を
介して支持体16上に接着する。これにより支持体シ−
ト2上に積層された支持体16上に接着剤層3を介して
強化繊維4を一方向に配列して接着してなる一方向強化
繊維シ−ト1が得られる。得られたシ−ト1は、その
後、離型紙9を離型紙巻取りロ−ル11で巻き取り、必
要に応じてフィルム供給ロ−ル12から供給したカバ−
フィルム13を強化繊維4上に被せた状態で、シ−ト巻
取りロ−ル14に巻き取られる。
【0020】本発明の一方向配列強化繊維シ−ト1は補
強に用いる際、補強現場で強化繊維4にマトリクス樹脂
を含浸させて使用されるが、補強箇所へのシ−ト1の貼
り付け後にそのまま放置することにより、マトリクス樹
脂を硬化することができるようにするために、マトリク
ス樹脂は室温硬化型の樹脂を使用する。しかしながら、
本発明は、加熱硬化によってマトリクス樹脂の硬化の促
進を図ることを妨げられるものではない。
【0021】室温硬化型樹脂としては、硬化剤及び硬化
促進剤の配合を調節して室温で硬化するようにしたエポ
キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が使用できる。
【0022】本発明によれば、一方向配列強化繊維シー
ト1を用いた構築物の補強は次のように行われる。
【0023】即ち、本発明の一態様では、橋梁や高架道
路の橋脚など構築物の補強現場で、ロ−ラ、刷毛、吹付
け等の適宜な塗布手段により一方向配列強化繊維シ−ト
1の強化繊維4に室温硬化型のマトリクス樹脂を塗布し
て含浸させ、図5に示すように、強化繊維4の側を構築
物の補強箇所15側としてシ−ト1を補強箇所15の周
囲に貼り付け、そして支持体シート2を剥す。このよう
にしてシート1を所望の数だけ積層する。次いでハンド
ロ−ラ等で更にマトリクス樹脂の含浸操作を行った後、
その上に押さえテ−プを巻回するなどしてカバ−を行
い、その後そのまま放置してマトリクス樹脂を硬化さ
せ、シ−ト1を繊維強化プラスチックと為せばよい。こ
れにより繊維強化プラスチックによる構築物の補強が行
われる。
【0024】本発明の他の態様では、図6に示すよう
に、補強箇所15の周囲に室温硬化型のマトリクス樹脂
18を例えば100μm程度の厚みに塗布し、次いで強
化繊維4の側を補強箇所15側として一方向配列強化繊
維シ−ト1を貼り付け、そして支持体シート2を剥すと
いうようにして、シート1を所望の数だけ積層し、その
貼り付けと同時に強化繊維4にマトリクス樹脂18を含
浸させる。この場合、先に積層して支持体シート2を剥
したシ−ト1上に次ぎのシ−ト1を積層する度に、先の
シ−ト1上に更にマトリクス樹脂を塗布してもよい。そ
の後は、上記と同様に、シ−ト1上に押さえテ−プを巻
回するなどしてカバ−を行い、その後そのまま放置して
マトリクス樹脂を硬化させ、シ−ト1を繊維強化プラス
チックと為せばよい。これにより同様に繊維強化プラス
チックによる構築物の補強が行われる。
【0025】以上のような補強方法によれば、繊維強化
プラスチックにより橋梁や高架道路などを初めとする構
築物の補強をするに際し、支持体シ−ト上に強化繊維を
一方向に配列して設けた強化繊維シ−ト1を用い、補強
現場で強化繊維4に室温硬化型のマトリクス樹脂を含浸
させて使用するようにしているので、マトリクス樹脂を
含浸させたシ−ト1を補強箇所の周囲に貼り付けてその
まま放置することにより、マトリクス樹脂を硬化させて
シ−ト1を繊維強化プラスチックと為すことができ、補
強現場でのマトリクス樹脂の加熱硬化という面倒な作業
を行うことなく、作業性良く繊維強化プラスチックによ
る補強を行なうことができる。
【0026】又強化繊維4は一方向に配列されているの
で、これをクロスにしたときのような繊維強化プラスチ
ックの強度低下がなく、従って補強強度を向上すること
ができる。更にシ−ト1を補強箇所の周囲に貼り付けた
後にマトリクス樹脂を硬化させるので、湾曲した補強箇
所でも補強の実施をすることができる。
【0027】図7は、本発明の強化繊維シートの他の実
施例を示す断面図である。本実施例の強化繊維シート1
では、支持体16上の強化繊維4上に粘着性樹脂層5を
設けたことが特徴である。
【0028】支持体シート2上の強化繊維4は、集束剤
又は撚りによる結合で複数層の繊維層として積層された
状態で接着剤層3を介して、支持体16上に軽度に接着
されて設けられているので、補強現場での強化繊維4へ
のマトリクス樹脂の含浸時或いは補強箇所へのシート1
の貼り付け時にシート1の取り扱いに注意しないと、強
化繊維4の層中から又支持体16上から強化繊維4が毛
羽立つ虞がある。そこで本実施例では、強化繊維4の最
上層上に粘着性樹脂層5を設けて、強化繊維4の毛羽立
ちを防止するようにしたのである。マトリクス樹脂は樹
脂層5上から強化繊維4に含浸される。
【0029】上記の粘着性樹脂層5には、硬化剤を含ま
ないエポキシ樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル、ポリ
ビニールアルコール、石油樹脂、澱粉など接着剤に使用
する樹脂を使用することができる。粘着性樹脂層5の厚
みは、強化繊維4の毛羽立ちを防止できればよいことか
ら厚くする必要はなく、薄い方が強化繊維4へのマトリ
クス樹脂の浸透を極力妨げないようにすることからも好
ましい。このような観点から樹脂層5の厚みは1〜10
0μm程度、より好ましくは5〜30μmとされる。強
化繊維4上への粘着性樹脂層5の形成は、例えば強化繊
維4上から樹脂を吹き付ける方法や、図4の離型紙9に
予め樹脂層5を塗工しておく方法等により行なうことが
できる。
【0030】本実施例の一方向強化繊維シート1を用い
た構築物の補強は、先の実施例のときと同様、図5又は
図6に示した補強方法に準じて行なえば良い。本実施例
によれば、強化繊維4上に粘着性樹脂層5を設けたの
で、強化繊維4の層中から又支持体シート2上から強化
繊維4が毛羽立つのが防止され、従って補強作業時の強
化繊維シート1の取扱が容易になり、作業性が一段と向
上する。
【0031】図8は、本発明の一方向強化繊維シートの
更に他の実施例を示す断面図である。本実施例では、補
強作業時の強化繊維4の毛羽立ち防止をより一層確実に
するために、粘着性樹脂層5上に更に樹脂浸透性の支持
体17を設けたことが特徴である。
【0032】上記支持体17は、その上からマトリクス
樹脂を施して強化繊維4に含浸することができるよう
に、樹脂浸透性であることが必要とされる。このような
樹脂浸透性の支持体17としては、支持体16のときと
同様、スクリムクロス、ガラスクロス、ガラスペーパ
ー、ガラス不織布、ポリアミド、PPS(ポリフェニレ
ンサルファイド)などの各種ポリマーの不織布等を使用
することができる。支持体17の厚みは、これが強化繊
維4の毛羽立ち防止を目的とすることから1〜100μ
m程度あればよく、好ましくは5〜50μmとされる。
【0033】本実施例の一方向強化繊維シート1による
構築物の補強は、先の実施例のときと同様、図5又は図
6に示した補強方法に準じて行なわれる。本実施例によ
れば、強化繊維4上の粘着性樹脂層5上に更に樹脂浸透
性の支持体17を設けたので、強化繊維4の毛羽立ち防
止が一層確実になり、補強作業時の強化繊維シート1の
取扱が更に容易になって、作業性がより一段と向上す
る。
【0034】以上では、強化繊維4に含浸する室温硬化
型マトリクス樹脂は、通常通り、硬化剤及び硬化促進剤
を配合したものとしたが、硬化促進剤をマトリクス樹脂
中に配合せず、強化繊維シート1の接着剤層3中に予め
配合して置けば、補強現場で強化繊維シート1の強化繊
維4にマトリクス樹脂を含浸させて、マトリクス樹脂中
の硬化剤と強化繊維シート1の接着剤層3中の硬化促進
剤とを混じり合わせるまでは、マトリクス樹脂は硬化し
ないので、マトリクス樹脂のポットライフを長くでき、
取扱い性が良好になる。従ってマトリクス樹脂の硬化を
考慮して早急に補強作業を行なうなどの必要もなくなる
ので、作業性の向上が更に図られる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の一方向配
列強化繊維シ−ト及び構築物の補強方法は、特に、一方
向配列強化繊維シートが、離型性及び樹脂非浸透性の支
持体シートと、支持体シート上に積層した接着剤層が設
けられた樹脂浸透性支持体と、樹脂浸透性支持体の、支
持体シートとは反対側の面に接着剤層を介して一方向に
配列して接着した強化繊維と、を有する構成とされるの
で、繊維強化プラスチックにより橋梁や高架道路などを
初めとする構築物の補強をするに際し、補強現場で強化
繊維にマトリクス樹脂を含浸させて使用するようにして
いるので、室温硬化型のマトリクス樹脂を使用して、強
化繊維にマトリクス樹脂を含浸させたシ−トを補強箇所
の周囲に貼り付けてそのまま放置することにより、マト
リクス樹脂を硬化させてシ−トを繊維強化プラスチック
と為すことができ、補強現場でのマトリクス樹脂の加熱
硬化という面倒な作業を行うことなく、施工性良く繊維
強化プラスチックによる補強を行なうことができる。ま
た強化繊維を一方向に配列しているので、これをクロス
にしたときのような糸の蛇行による繊維強化プラスチッ
クの強度低下がなく、従って補強強度を向上することが
できる。更にシ−トを補強箇所の周囲に貼り付けた後に
マトリクス樹脂を硬化させるので、湾曲した補強箇所で
も補強の実施をすることができる。
【0036】更に本発明の一方向配列強化繊維シ−ト
は、可撓性を有し且つ適度に堅固であり、強化繊維の毛
羽立ち防止も図られていて取扱い性が良い。従って構築
物の補強ばかりでなく、小型ボートなどをハンドレイア
ップで作るのにも好適である。勿論、航空機や機械等の
繊維強化プラスチック製の高強度部材、或いは繊維強化
プラスチック製の高強度容器、ハウジング、機械部品等
各種の製品の製造にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強化繊維シートの一実施例を示す断面
図である。
【図2】図1の強化繊維シ−トでの強化繊維の繊維束の
並べ方及び得られる強化繊維の配列の一態様を示す断面
図である。
【図3】図1の強化繊維シ−トでの強化繊維の繊維束の
並べ方及び得られる強化繊維の配列の他の態様を示す断
面図である。
【図4】図1の強化繊維シ−トの製造法の一例を示す説
明図である。
【図5】図1の強化繊維シ−トによる補強方法の一態様
を示す断面図である。
【図6】図1の強化繊維シ−トによる補強方法の他の態
様を示す断面図である。
【図7】本発明の強化繊維シートの他の実施例を示す断
面図である。
【図8】本発明の強化繊維シートの更に他の実施例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 強化繊維シ−ト 2 支持体シ−ト 3 接着剤層 4 強化繊維 4A 繊維束 5 粘着性樹脂層 15 補強箇所 16 支持体 17 支持体 18 マトリクス樹脂
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 105:06 C08L 101:00 (56)参考文献 特開 昭60−48343(JP,A) 特開 昭60−163936(JP,A) 特開 昭63−35967(JP,A) 特開 平3−221414(JP,A) 特開 平3−222734(JP,A) 特開 平5−31839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/24 B29B 11/16 B32B 5/02 B32B 7/06 B32B 7/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離型性及び樹脂非浸透性の支持体シート
    と、前記支持体シート上に積層した接着剤層が設けられ
    た樹脂浸透性支持体と、前記樹脂浸透性支持体の、前記
    支持体シートとは反対側の面に前記接着剤層を介して一
    方向に配列して接着した強化繊維と、を有することを特
    徴とする一方向配列強化繊維シ−ト。
  2. 【請求項2】 前記強化繊維上に粘着性樹脂層を設けた
    請求項1の一方向強化繊維シート。
  3. 【請求項3】 前記強化繊維上の粘着性樹脂層上に樹脂
    浸透性支持体を設けた請求項2の一方向強化繊維シー
    ト。
  4. 【請求項4】 前記支持体シートは1〜500μmの厚
    さとされ、前記樹脂浸透性支持体の厚さは1〜100μ
    mの厚さとされる請求項1、2又は3の一方向強化繊維
    シート。
  5. 【請求項5】 (a)構築物の補強現場にて、請求項1
    〜4のいずれかの項に記載の一方向配列強化繊維シート
    の前記強化繊維に室温硬化型のマトリクス樹脂を塗布し
    て含浸させること、 (b)マトリクス樹脂が含浸された前記一方向配列強化
    繊維シートを、前記強化繊維側を構築物の補強箇所側と
    して前記補強箇所に貼り付けること、 (c)構築物に貼り付けた前記一方向配列強化繊維シー
    トから前記支持体シートを剥がすこと、 (d)同様に、前記支持体シートを剥がした前記一方向
    配列強化繊維シートの上に、マトリクス樹脂を塗布して
    含浸した次の一方向配列強化繊維シートを貼り付け、こ
    の一方向配列強化繊維シートから支持体シートを剥がす
    ことを行うことにより、所望の数だけ前記一方向配列強
    化繊維シートを積層すること、 (e)更に、マトリクス樹脂含浸操作を行い、その後マ
    トリクス樹脂を硬化させること、 を特徴とする構築物の補強方法。
  6. 【請求項6】 (a)構築物の補強箇所に室温硬化型の
    マトリクス樹脂を塗布すること、 (b)請求項1〜4のいずれかの項に記載の一方向配列
    強化繊維シートを、前記強化繊維側を構築物の補強箇所
    側として前記補強箇所に貼り付けること、 (c)構築物に貼り付けた前記一方向配列強化繊維シー
    トから前記支持体シートを剥がすこと、 (d)同様に、前記支持体シートを剥がした前記一方向
    配列強化繊維シートの上にマトリクス樹脂を塗布し、そ
    の上に次の一方向配列強化繊維シートを貼り付け、この
    一方向配列強化繊維シートから支持体シートを剥がすこ
    とを行うことにより、所望の数だけ前記一方向配列強化
    繊維シートを積層すること、 (e)その後マトリクス樹脂を硬化させること、 を特徴とする構築物の補強方法。
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