JP2829319B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体発光素子

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勇 赤崎
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Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は青色発光の窒化ガリウム系化合物半導体発光
素子に関する。
【従来技術】
従来、青色の発光ダイオードとしてGaN系の化合物半
導体を用いたものが知られている。そのGaN系の化合物
半導体は直接遷移であることから発光効率が高いこと、
光の3原色の1つである青色を発光色とすること等から
注目されている。 このようなGaN系の化合物半導体を用いた発光ダイオ
ードは、サファイア基板上に直接又は窒化アルミニウム
から成るバッファ層を介在させて、N導電型のGaN系の
化合物半導体から成るN層を成長させ、そのN層の上に
I導電型のGaN系の化合物半導体から成るI層を成長さ
せた構造をとっている。そして、その成長方法として、
ハライド気相成長法、有機金属化合物気相成長法(MOVP
E)が用いられている。
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の発光ダイオードの性能は、活性層で
あるI層の結晶性にかかっている。そのI層の結晶性は
N層の結晶性に依存している。そして、N層の結晶性を
向上させるために、結晶のミスフィットを減少させる目
的でサファイア基板とN層間にバッファ層を介在させて
いる。このバッファ層の結晶性によりN層の結晶性が支
配される。 本発明者らは、かかる結晶成長について研究を重ねて
きた。その結果、次のことが判明された。 第1に、このバッファ層はMOCVD法により成長させる
ことから、成長温度を高くする必要があり、そのため、
ピットが生じ易く、そのことがN層の結晶性を阻害す
る。 第2に、N層の結晶性を向上させるには、バッファ層
は非常に薄い結晶成長の核が均一に分散していることが
必要である。しかし、そのことを阻止する原因として、
MOCVD法では、トリメチルアルミニウム(TMA)とアンモ
ニア(NH3)の反応により窒化アルミニウム(AlN)を成
長させる時に、メチル基、水素等の立体障害がある。 第3に、発光ダイオードの特性上からは、N層やI層
へのアルミニウム原子の拡散等を防止するためにもバッ
ファ層の厚さは可能な限り薄い方が望ましい。 本発明は、このような結論を元に完成されたものであ
り、その目的は、バッファ層を結晶成長の核を均一に分
散させたものとすることにより、N層及びI層の結晶性
を向上させることができ、更に発光ダイオードの発光特
性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
本発明は、本発明者らによって初めて明らかにされた
上記結論に立脚するものであり、本発明者らは、バッフ
ァ層を分子線エピタキシー法(MBE)で成長させれば望
ましい結果が得られることを初めて着想したのである。 即ち、上記課題を解決するための発明の構成は、基板
と、基板上に、室温から500℃の範囲の温度で、分子線
エピタキシー法(MBE)で成長させた厚さ100〜500Åの
バッファ層と、バッファ層上に成長した窒化ガリウム系
化合物半導体から成る素子層とを有する窒化ガリウム系
化合物半導体発光素子である。又、他の特徴は、上記の
方法で製造されたバッファ層上に、素子層を、有機金属
化合物気相成長法(MOVPE)により形成したことであ
る。
【発明の効果】
本発明は、基板上に、上記の温度範囲及び厚さの範囲
で、バッファ層を分子線エピタキシー法で成長させたの
で、バッファ層の結晶の核を均一に薄く分散させること
ができ、その上に成長させる素子層の単結晶性を向上さ
せることができた。従って、発光ダイオードの発光特性
を向上させることができた。
【実施例】 以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
図は本発明の具体的な一実施例に係る発光ダイオード1
の構成を示した断面図である。 主面をc面((0001)面)とするサファイア基板2を
硝酸で洗浄した後、更にアセトンで洗浄した。そして、
洗浄後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた後、そのサフ
ァイア基板2をMBE装置のサセプタに取り付けた。その
後、サファイア基板2を500℃に加熱して、窒素ガスプ
ラズマ中で、アルミニウムを蒸発させて、サファイア基
板2の主面上に窒化アルミニウム(AlN)から成るバッ
ファ層3を約500Åの厚さに形成した。 その後、このバッファ層3の形成されたサファイア基
板2をMBE装置からグラブボックスを通じて、そのサフ
ァイア基板2をMOVPE装置の反応室のサセプタに取り付
けた。そして、サファイア基板2を1000℃に加熱して、
キャリアガスとしてH2を2.5/分、NH3を1.5/分、
トリメチルガリウム(TMG)を20ml/分の割合で60分間供
給し、膜厚約10μmのN型のGaNから成るN層4を形成
した。 次に、サファイア基板2を900℃にして、H2を2.5/
分、NH3を1.5/分、TMGを15ml/分、ジエチル亜鉛(DE
Z)を10-3ml/分の割合で5分間供給して、I型のGaNか
ら成るI層5を膜厚1.0μmに形成した。 次に、N層4の側壁とI層5の上面にアルミニウム電
極6、7を蒸着して、発光ダイオードを形成した。 このようにして得られた発光ダイオード1のN層4及
びI層5の断面の顕微鏡写真、高エネルギー電子線によ
る反射回析法(RHEED)により、良好な結晶性が得られ
ていることが分かった。 又、この発光ダイオード1の発光ピークのスペクトル
は480nmであり、発光強度(軸上輝度)は10mcdであっ
た。 尚、本発明者らの考察によれば、MBEで形成されたバ
ッファ層3では、N層4のGaNの成長の核が、バッファ
層3をMOVPEで成長させたものと比べて、均一に分散
し、そのために、N層4及びI層5の単結晶性が良くな
ったと考えられる。 又、バッファ層3は、サファイア基板2を500℃にし
てMBEで形成したので、多結晶であった。 又、本発明者らは、バッファ層3は多結晶で成長させ
た方が単結晶で成長させた方よりも、N層4及びI層5
の単結晶性が良いことも見出した。 このためにもMBEでバッファ層3を成長させることは
効果があり、多結晶とする成長温度は、室温〜500℃が
望ましい。 又、N層4及びI層5の単結晶性を良くするために
は、バッファ層3の厚さは100〜1000Åが望ましい。 尚、上記実施例では、N層4及びI層5をGaNで形成
したが、AlXGa1-XNで形成しても良い。
【図面の簡単な説明】 図は本発明の具体的な一実施例に係る発光ダイオードの
構成を示した構成図である。 1……発光ダイオード、2……サファイア基板 3……バッファ層、4……N層、5……I層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 正樹 愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 馬渕 彰 愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 赤崎 勇 愛知県名古屋市千種区不老町(番地な し) 名古屋大学内 (72)発明者 天野 浩 愛知県名古屋市千種区不老町(番地な し) 名古屋大学内 (56)参考文献 日本結晶成長学会誌,Vol.13,N o.4,1986,pp.218−225 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 33/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、 前記基板上に、室温から500℃の範囲の温度で、分子線
    エピタキシー法(MBE)で成長させた厚さ100〜500Åの
    バッファ層と、 前記バッファ層上に成長した窒化ガリウム系化合物半導
    体から成る素子層とを有する窒化ガリウム系化合物半導
    体発光素子。
  2. 【請求項2】前記素子層は、有機金属化合物気相成長法
    (MOVPE)により形成された層であることを特徴とする
    請求項1に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素
    子。
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