JP2623466B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体発光素子

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、発光強度の改善された窒化ガリウム系化合
物半導体発光素子に関する。
【従来技術】
従来、青色の発光ダイオードに、GaN系の化合物半導
体が用いられている。そのGaN系の化合物半導体は直接
遷移であることから発光効率が高いこと、光の3原色の
1つである青色を発光色とすること等から注目されてい
る。 このようなGaN系の化合物半導体を用いた発光ダイオ
ードは、サファイア基板上に直接又は窒化アルミニウム
から成るバッファ層を介在させて、N型のGaN系の化合
物半導体から成るN層を成長させ、そのN層の上にP型
不純物を添加してI型のGaN系の化合物半導体から成る
I層を成長させた構造をとっている(特開昭62−119196
号公報、特開昭63−188977号公報)。
【発明が解決しようとする課題】
上記構造の発光ダイオードを製造する場合に、I層と
N層との接合が用いられる。 そして、GaN系の化合物半導体を製造する場合には、
通常、意図的に不純物をドーピングしなくても、そのGa
N系の化合物半導体はN導電型となり、逆に、シリコン
等の半導体と異なり、I(Insulator)型の半導体を得
るには、亜鉛をドープしていた。又、N型のGaNを得る
場合には、その導電率の制御が困難であった。 しかしながら、本発明者は、上記のGaN発光ダイオー
ドを製造する過程において、有機金属化合物気相成長法
によるGaN半導体の気相成長技術を確立する至り、高純
度のGaN気相成長膜を得ることができた。この結果、従
来、不純物のドーピングをしない場合には、低抵抗率の
N型GaNが得られたが、本発明者等の気相成長技術の確
立により、不純物のドーピングなしに高抵抗率のN型Ga
Nが得られた。 一方、今後、上記のGaN発光ダイオードの特性を向上
させるためには、意図的に導電率の制御できるN型のGa
N系化合物半導体の気相成長膜を得ることが必要となっ
てきた。 したがって、本発明の目的は、抵抗率の制御可能なN
型のGaN系化合物半導体気相成長膜により、発光素子の
発光強度を増加させることである。
【課題を解決するための手段】
本発明は、サファイア基板と、サファイア基板上に有
機金属化合物気相成長法により形成された窒化ガリウム
系化合物半導体(AlXGa1-XN;X=0を含む)の気相成長
膜を有する発光素子であって、気相成長膜は、気相成長
時に導入されたシリコンを含むことにより抵抗率が3×
10-1〜8×10-3Ωcmであることを特徴とする。 又、本発明の他の特徴は、シリコンを含む気相成長膜
を窒化ガリウム(GaN)としたことであり、さらに、他
の特徴は、サファイア基板と気相成長膜との間に、バッ
ファ層を設けたことである。 又、他の特徴は、バッファ層が、気相成長膜の成長温
度より低温で、サファイア基板上に有機金属化合物気相
成長法により形成されたことである。
【発明の作用及び効果】
サファイア基板上に有機金属化合物気相成長法により
形成された窒化ガリウム系化合物半導体(AlXGa1-XN;X
=0を含む)の気相成長膜の気相成長時にシリコンを添
加することで、抵抗率を3×10-1〜8×10-3Ωcmに設定
した気相成長膜を少なくとも1層設けた。これにより、
上記の気相成長膜の抵抗率を上記の所定範囲の所望の値
に設定できる結果、発光素子の電気的特性を均一化する
ことができたと共に、発光素子の駆動電圧の低下させ、
発光強度を増加させることができた。 又、サファイア基板上に、気相成長膜の成長温度より
低温で有機金属化合物気相成長法により形成されたバッ
ファ層を有しているので、気相成長膜の結晶性が改善さ
れた。 上記の気相成長膜は、気相成長過程において、シリコ
ンを含むガスと、他の原料ガスとを同時に流し、両ガス
の混合比率を所定範囲の値に設定することにより得るこ
とができる。
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。 以下の方法により本発明の発光素子にかかる第1図に
示す構造の発光ダイオード10を製造した。 第1図において、発光ダイオード10はサファイア基板
1を有しており、そのサファイア基板1に500ÅのAlNの
バッファ層2が形成されている。そのバッファ層2の上
には、順に、膜厚約2.2μmのGaNから成る高キャリア濃
度N+層3と膜厚約1.5μmのGaNから成る低キャリア濃度
N層4が形成されている。更に、低キャリア濃度N層4
の上に膜厚約0.2μmのGaNから成る1層5が形成されて
いる。そして、1層5に接続するアルミニウムで形成さ
れた電極7と高キャリア濃度N+層3に接続するアルミニ
ウムで形成された電極8とが形成されている。 次に、この構造の発光ダイオード10の製造方法につい
て説明する。 上記発光ダイオード10は、有機金属化合物気相成長法
(以下「MOVPE」と記す)による気相成長により製造さ
れた。 用いられたガスは、NH3とキャリアガスH2とトリメチ
ルガリウム(Ga(CH3)(以下「TMG」と記す)とト
リメチルアルミニウム(Al(CH3)(以下「TMA」と
記す)とシラン(SiH4)とジエチル亜鉛(以下「DEZ」
と記す)である。 まず、有機洗浄及び熱処理により洗浄したa面を主面
とする単結晶のサファイア基板1をMOVPE装置の反応室
に載置されたサセプタに装着する。 次に、H2を流速2/分で反応室に流しながら温度12
00℃でサファイア基板1を10分間気相エッチングした。 次に、温度を、400℃まで低下させて、H2を流速20
/分、NH3を流速10/分、15℃に保持したTMAをバブリ
ングさせたH2を50cc/分で供給してAlNのバッファ層2が
約500Åの厚さに形成された。 次に、TMAの供給を停止して、サファイア基板1の温
度を1150℃に保持し、H2を20/分、他の原料ガスとし
てのNH3を10/分及び、15℃に保持したTMGをバブリン
グさせたH2を100cc/分で流し、シリコンを含むガスとし
てH2で0.86ppmまで希釈したシラン(SiH4)を200ml/分
で30分流して、膜厚約2.2μm、キャリア濃度1.5×1018
/cm3のGaNから成る高キャリア濃度N+層3を形成した。 続いて、サファイア基板1の温度を1150℃に保持し、
H2を20/分、NH3を10/分、−15℃に保持したTMGを
バブリングさせたH2を100cc/分で20分間流して、膜厚約
1.5μm、キャリア濃度1×1015/cm3以下のGaNから成る
低キャリア濃度N層4を形成した。 次に、サファイア基板1を900℃にして、H2を20/
分、NH3を10/分、TMGを1.7×10-4モル/分、DEZを1.
5×10-4モル/分の割合で供給して、膜厚0.2μmのGaN
から成る1層5を形成した。 このようにして、第2図に示すように多層構造が得ら
れた。 次に、第3図に示すように、I層5の上に、スパッタ
リングによりSiO2層11を2000Åの厚さに形成した。次
に、そのSiO2層11上にフォトレジスト12を塗布して、フ
ォトリソグラフにより、そのフォトレジスト12を高キャ
リア濃度N+層3に対する電極形成部位のフォトレジスト
を除去したパターンに形成した。 次に、第4図に示すように、フォトレジスト12によっ
て覆われていないSiO2層11をフッ酸系エッチング液で除
去した。 次に、第5図に示すように、フォトレジスト12及びSi
O2層11によって覆われていない部位のI層5とその下の
低キャリア濃度N層4と高キャリア濃度N+層3の上面一
部を、真空度0.04Torr、高周波電力0.44W/cm3、CCl2F2
ガスを10ml/分で供給しドライエッチングした後、Arで
ドライエッチングした。 次に、第6図に示すように、I層5上に残っているSi
O2層11をフッ酸で除去した。 次に、第7図に示すように、試料の上全面にAl層13を
蒸着により形成した。そして、そのAl層13の上にフォト
レジスト14を塗布して、フォトリソグラフにより、その
フォトレジスト14が高キャリア濃度N+層3及びI層5に
対する電極部が残るように、所定形状にパターン形成し
た。 次に、第7図に示すようにそのフォトレジスト14をマ
スクとして下層のAl層13の露出部を硝酸系エッチング液
でエッチングし、フォトレジスト14をアセトンで除去
し、高キャリア濃度N+層3の電極8、I層5の電極7を
形成した。 このようにして、第1図に示す構造のMIS(Metal−In
sulator−Semiconductor)構造の窒化ガリウム系化合物
半導体発光素子を製造することができる。 上記の製造過程において、高キャリア濃度N+層3を気
相成長させるとき、H2を20l/分、他の原料ガスとしての
NH3を10l/分及び、−15℃に保持したTMGをバブリングさ
せたH2を100cc/分で流し、シリコンを含むガスとしてH2
で0.86ppmまで希釈したシラン(SiH4)を10cc/分〜300c
c/分の範囲で制御することにより、高キャリア濃度N+
3の抵抗率は、第8図に示すように、3×10-1Ωcmから
8×10-3Ωcmまで変化させることができる。 なお、上記方法では、シラン(SiH4)を制御したが他
の原料ガスの流量を制御しても良く、また、両者の混合
比率を制御して抵抗率を変化させても良い。 また、本実施例ではSiドーパント材料としてシランを
使用したが、Siを含む有機化合物例えばテトラエチルシ
ラン(Si(C2H5)などをH2でバブリングしたガスを
用いても良い。 このようにして、高キャリア濃度N+層3と低キャリ濃
度N層4とを抵抗率の制御可能状態で形成することがで
きた。 この結果、上記の方法で製造された発光ダイオード10
の発光強度は、0.2mcdであり、従来のI層とN層とから
成る発光ダイオードの発光強度の4倍に向上した。 又、発光面を観察した所、発光点の数が増加している
ことも観察された。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の具体的な一実施例に係る発光ダイオー
ドの構成を示した構成図、第2図乃至第7図は同実施例
の発光ダイオードの製造工程を示した断面図、第8図は
シランガスの流量と気相成長されたN層の電気的特性と
の関係を示した測定図である。 10……発光ダイオード、1……サファイア基板、 2……バッファ層、3……高キャリア濃度N+層 4……低キャリア濃度N層、5……I層 7,8……電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 999999999 科学技術振興事業団 埼玉県川口市本町4丁目1番8号 (72)発明者 佐々 道成 愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 真部 勝英 愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 馬淵 彰 愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 加藤 久喜 愛知県西春日井郡春日村大字落合字長畑 1番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 橋本 雅文 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 赤崎 勇 愛知県名古屋市千種区不老町(番地な し) 名古屋大学内 (56)参考文献 特開 昭59−228776(JP,A) 特開 昭63−188938(JP,A) Journal of Crysta l Growth,77(1986),P. 424〜429 Journal of Crysta l Growth,68(1984),P.54 〜59 J.Phys.Chem.Solid s.1973.Vol.34,PP.885〜895

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サファイア基板と、サファイア基板上に有
    機金属化合物気相成長法により形成された窒化ガリウム
    系化合物半導体(AlXGa1-XN;X=0を含む)の気相成長
    膜を有する発光素子であって、 前記気相成長膜は、前記気相成長時に導入されたシリコ
    ンを含むことにより抵抗率が3×10-1〜8×10-3Ωcmで
    あることを特徴とする発光素子。
  2. 【請求項2】前記気相成長膜は窒化ガリウム(GaN)で
    あることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 【請求項3】前記サファイア基板と前記気相成長膜との
    間に、バッファ層を有することを特徴とする請求項1又
    は請求項2に記載の発光素子。
  4. 【請求項4】前記バッファ層は、気相成長膜の成長温度
    より低温で、サファイア基板上に有機金属化合物気相成
    長法により形成されたことを特徴とする請求項3に記載
    の発光素子。
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