JP2828862B2 - 光学式ピックアップの送り装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ディスクに記録されて
いる信号を光学的に読み出す光学式ピックアップの送り
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】デジタル信号により音楽等の情報データ
が記録されているディスクより信号を光学式ピックアッ
プを用いて読み出すことによって再生動作を行うディス
クプレーヤーが普及しており、斯かるディスクプレーヤ
ーの代表的なものとしてＣＤプレーヤーがある。

【０００３】斯かるディスクプレーヤーにおいて、光学
式ピックアップは送り装置によってディスクの径方向へ
移動せしめられるように構成されている。斯かる送り装
置の機構としては、回転駆動型モーターの回転運動をウ
ォームギヤ等を用いて直線運動に変換するものとリニア
モーターを用いて光学式ピックアップを直線移動させる
ものとがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】リニアモーターを用い
て光学式ピックアップの送り動作を行う装置は、応答性
に優れているものの高価になるため、普及型のディスク
プレーヤーでは回転駆動型のモーターを一般に使用して
いる。

【０００５】斯かる回転駆動型モーターとしてブラシ付
モーターを使用した場合、モーターを構成するローター
の停止位置は、電機子の極数によって決定される。そし
て、光学式ピックアップの送り装置に使用される回転駆
動型モーターとしては、一般に６極のモーターが使用さ
れるため、そのローターは６０度毎に停止することにな
り、斯かる動作はコギングと呼ばれている。

【０００６】斯かるモーターを使用した光学式ピックア
ップの送り装置は、該ピックアップを構成する対物レン
ズの変位量を検出し、その変位量が所定値を越えたとき
ブラシ付モーターに駆動電圧を印加させて、該モーター
のローターを１コギング動作させている。

【０００７】また、ディスクからの信号の読み出し動作
を高速にて行う必要があるときには、光学式ピックアッ
プの送り速度を速くする必要があるため、ブラシ付モー
ターの１コギングによる変位量を大きくしている。斯か
る変位量を大きくすると負荷が重くなるため、モーター
を起動させるために必要な電圧が高くなる。光学式ピッ
クアップの送り装置において、対物レンズの変位量に基
づいてブラシ付モーターには、起動電圧のみが印加され
るように構成されている。斯かる装置において、起動電
圧が大きくなるとローターが１コギングで停止しないで
２コギング回転する場合がある。その結果、光学式ピッ
クアップ本体の送り動作が大きくなり過ぎてハンチング
現象が発生するという問題がある。

【０００８】本発明は、斯かる問題を解決した光学式ピ
ックアップの送り装置を提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の送り装置は、光
学式ピックアップを構成する対物レンズの変位量を検出
するとともにその変位量が所定値に達したときブラシ付
モーターを回転せしめて、光学式ピックアップの本体を
移動させるようにしたものである。

【００１０】

【作用】本発明は、光学式ピックアップの送り動作を行
うブラシ付モーターの回転駆動動作を対物レンズの変位
量を検出することによって制御するようにしたものであ
る。

【００１１】

【実施例】図１は本発明に係るディスクプレーヤーのブ
ロック回路図である。同図において、１は図示しないス
ピンドルモーターによって回転駆動されるディスク、２
はブラシ付モーター、３は該ブラシ付モーター２によっ
て回転せしめられるとともに周囲にねじ溝が形成されて
いる送り用ねじ、４はディスク１に光ビームを投射し、
該ディスク１の信号面で反射される光ビームを受ける光
検出器を有するとともに対物レンズ等が組込まれている
光学式ピックアップであり、前記送り用ねじ３の回転に
よってディスク１の径方向へ移動されるように構成され
ている。

【００１２】５は前記光学式ピックアップ４の光検出器
より得られるＲＦ信号を増幅するとともに波形整形する
ＲＦ増幅回路、６は該ＲＦ増幅回路５を介して得られる
信号に基づいて前記ピックアップ４の光ビームをディス
ク１の信号面に合焦させるフォーカシング制御及び前記
光ビームを前記信号面の信号トラックに追従させるトラ
ッキング制御動作を行うサーボ信号処理回路であり、斯
かる動作は対物レンズの動きを制御することによって行
うように構成されている。

【００１３】７は前記ＲＦ増幅回路５より出力される出
力信号のデジタル信号処理を行うとともに各種信号の復
調動作を行うデジタル信号処理回路、８は前記デジタル
信号処理回路７にてデジタル処理されたデジタル信号で
あるデータ信号が入力されるとともに該信号をアナログ
信号に変換するＤ／Ａコンバータ、９は該Ｄ／Ａコンバ
ータ８によりアナログ信号に変換された左右のチャンネ
ルのオーディオ信号が入力されるとともに該信号を増幅
する増幅回路である。

【００１４】１０は前記デジタル信号処理回路７により
復調された信号が入力されるとともに操作スイッチ１１
の操作に応じてサーボ信号処理回路６等の動作制御を行
うシステム制御回路であり、マイクロコンピューターに
て構成されている。

【００１５】１２は前記ブラシ付モーター２の回転駆動
動作を行う電動機駆動回路であり、前記システム制御回
路１０によって動作が制御されるように接続されてい
る。１３は前記光学式ピックアップ４を構成する対物レ
ンズの変位量に対応して前記サーボ信号処理回路６より
出力される信号を検出し、その検出信号を前記システム
制御回路１０に入力せしめる変位量検出回路である。

【００１６】斯かる回路構成において、システム制御回
路１０は、前記変位量検出回路１３より出力される信号
のレベルを常時検出し、そのレベルが所定値に達したと
き、電動機駆動回路１２を動作させてブラシ付モーター
２を回転駆動せしめる。そして、斯かるブラシ付モータ
ー２の回転動作は、光学式ピックアップ４を構成する対
物レンズの変位量を小さくする方向へ行われる。即ち、
ブラシ付モーター２が回転すると送り用ねじ３が回転せ
しめられ、該送り用ねじ３の回転力によって光学式ピッ
クアップ４がディスク１の径方向に移動せしめられる。

【００１７】前記光学式ピックアップ４がディスク１の
径方向に移動するとサーボ信号処理回路６による光学式
ピックアップ４に対する制御動作が行われ、対物レンズ
は変位量が小さくなる方向へ変位せしめられる。その結
果、変位量検出回路１３により検出される信号のレベル
が小さくなり、システム制御回路１０に入力される検出
信号のレベルも小さくなる。それ故、システム制御回路
１０より電動機駆動回路１２に対して出力されていた信
号が無くなり、ブラシ付モーター２の駆動動作が次の駆
動信号が印加されるまで行われなくなる。

【００１８】このようにして電動機駆動回路１２による
ブラシ付モーター２の駆動動作は行われるが、変位量検
出回路１３の検出動作に伴なう駆動動作は、１コギング
ずつ行われるように構成されている。即ち、電動機駆動
回路１２より出力される駆動信号によってブラシ付モー
ター２のローターは、１コギングだけ回転せしめられる
が、１コギングを越えて回転する動作を防止するために
ブレーキ信号が供給されるように構成されている。ま
た、光学式ピックアップ４を構成する対物レンズの変位
量の変化を検出してブラシ付モーター２のローターが１
コギングだけ回転したとき光学式ピックアップ４は送り
用ねじ３の回転力によって変位せしめられるが、斯かる
変位動作が行われたとき対物レンズは、中間位置即ち変
位量が零の位置に変位するように構成されている。

【００１９】斯かる構成において、使用者が操作スイッ
チ１１に組込まれている再生用操作スイッチを操作する
とシステム制御回路１０による制御動作が行われてディ
スクプレーヤーの再生動作が開始される。光学式ピック
アップ４は、サーボ信号処理回路６によるフォーカシン
グ制御及びトラッキング制御動作が行われてディスク１
に記録されている信号の読み出し動作を行う。

【００２０】前記光学式ピックアップ４によって読み出
された信号は、ＲＦ増幅回路５に入力されて増幅される
とともに波形整形されてデジタル信号としてデジタル信
号処理回路７に印加される。前記デジタル信号処理回路
７は、前記ＲＦ増幅回路５より出力されるデジタル信号
を復調し、該デジタル信号に含まれている種々のデータ
信号を抽出する。

【００２１】前記デジタル信号処理回路７により信号処
理されて情報データ（オーディオデータ）が抽出される
とその情報データは誤り訂正処理動作が行われた後、Ｄ
／Ａコンバータ８に印加される。該Ｄ／Ａコンバータ８
に印加されたデジタル信号は、アナログ信号に変換され
た後、ステレオの左右のチャンネルの信号に分離されて
増幅回路９に入力される。従って、ディスク１に記録さ
れている音楽等の信号を再生聴取することができる。

【００２２】以上の如く再生動作は行われるが、次に斯
かる再生動作が行われているときの光学式ピックアップ
４の送り動作について説明する。再生動作が行われてい
るとき光学式ピックアップ４を構成する対物レンズは、
サーボ信号処理回路６によるフォーカシング制御及びト
ラッキング制御動作によってディスク１に記録されてい
る信号トラックを追従するべく変位せしめられている。

【００２３】ディスク１に記録されている信号トラック
の追従動作は、対物レンズの変位動作及び光学式ピック
アップ４の本体の移動動作によって行われる。前記対物
レンズの変位動作は、前記サーボ信号処理回路６による
制御動作によって行われるが、再生動作が進むに従って
対物レンズの変位量が大きくなる。前記対物レンズの変
位量が大きくなると、サーボ信号処理回路６より変位量
検出回路１３に出力される直流電圧が大きくなり、その
変化電圧がシステム制御回路１０に検出信号として入力
される。

【００２４】前記システム制御回路１０は前記変位量検
出回路１３を通して入力される信号のレベルを常時検出
し、その検出信号のレベルが所定値に達すると電動機駆
動回路１２に対してブラシ付モーター２を回転させるた
めの制御信号が出力される。斯かる制御信号が電動機駆
動回路１２に印加されると該電動機駆動回路１２よりブ
ラシ付モーター２を回転させるための駆動信号及びブレ
ーキ信号が出力され、ローターが１コギング回転せしめ
られる。

【００２５】ブラシ付モーター２を構成するローターが
１コギング回転すると送り用ねじ３が回転駆動せしめら
れ、その回転力によって光学式ピックアップ４の本体が
対物レンズの変位量を小さくする方向へ移動せしめられ
る。光学式ピックアップ４の本体がこのようにして移動
せしめられるとサーボ信号処理回路６によるトラッキン
グ制御動作が行われ、対物レンズが中間位置に戻され
る。従って、対物レンズの変位量に対応して出力されて
いた変位量検出回路１３への直流電圧が低下し、その低
下した信号がシステム制御回路１０に入力される。斯か
る動作が行われる結果、電動機駆動回路１２に対する制
御信号が無くなり、該電動機駆動回路１２によるブラシ
付モーター２の回転駆動動作が行われなくなる。斯かる
状態のままで再生動作が続けて行われ、光学式ピックア
ップ４の対物レンズの変位量が所定量に達する毎に前述
した動作が繰り返して行われることになる。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、対物レンズの中間位置からの
変位量に対応した信号を出力するサーボ信号処理回路よ
り出力される信号に基づいて対物レンズの変位量を検出
するとともにその変位量に対応した検出信号を出力する
変位量検出回路を設けるとともに該変位量検出回路によ
り検出される対物レンズの変位量が所定値に達したと
き、光学式ピックアップの本体を移動させるブラシ付モ
ーターに駆動信号及びブレーキ信号を供給することによ
り該ブラシ付モーターをブラシ付モーターの最小回転で
ある１コギング回転させるようにしたので、本体の正確
な移動動作を行うことが出来る。また、本発明は、ブラ
シ付モーターの回転による本体の移動動作が行われたと
き、対物レンズを中間位置に変位させるようにしたの
で、即ち対物レンズを信号の読み出し動作を行う位置と
して最適な位置に移動させるようにしたので、ディスク
からの信号の読み出し動作を正確に続けて行うことがこ
とが出来るという効果を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るディスクプレーヤーのブロック回
路図である。

【符号の説明】

１ ディスク ２ ブラシ付モーター ３ 送り用ねじ ４ 光学式ピックアップ ６ サーボ信号処理回路 ７ デジタル信号処理回路 １０ システム制御回路 １２ 電動機駆動回路 １３ 変位量検出回路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブラシ付モーターの回転により本体がデ
   ィスクの径方向に移動せしめられるとともに対物レンズ
   の変位動作により光ビームをディスク上のトラックに追
   従させるように構成された光学式ピックアップにおい
   て、光ビームをトラックに追従させるべく対物レンズを
   変位させるとともに該対物レンズの中間位置からの変位
   量に対応した信号を出力するサーボ信号処理回路と、該
   サーボ信号処理回路より出力される信号に基づいて対物
   レンズの変位量を検出するとともにその変位量に対応し
   た検出信号を出力する変位量検出回路と、該変位量検出
   回路より出力される信号に基づいて前記ブラシ付モータ
   ーの回転駆動動作を制御するシステム制御回路とより成
   り、前記変位量検出回路により検出される対物レンズの
   変位量が所定値に達したとき、前記ブラシ付モーターに
   駆動信号及びブレーキ信号を供給することにより該ブラ
   シ付モーターを１コギング回転させ、該ブラシ付モータ
   ーの回転による本体の移動動作により対物レンズを前記
   中間位置に変位させるようにしたことを特徴とする光学
   式ピックアップの送り装置。