JP2810184B2 - 感熱型平版印刷用原版 - Google Patents

感熱型平版印刷用原版

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はサーマルヘッドによる製版に適する感熱型平
版印刷用原版に関する。
[従来の技術] 平版印刷版としては従来、感光剤を用いたPS版や酸化
亜鉛を用いた電子写真製版によるマスター等が使われて
いる。しかしこれらの印刷版や製版方法にはいくつかの
欠点がある。例えばPS版は感光性のため使用前の保存や
取扱いに十分な注意を要する。又製版の際は原稿から直
接印刷原版にパターンを焼き付けることができないの
で、中間にリスフィルムが使用されるが、このリスフィ
ルムを処理する工程が煩雑であり、使用する薬品の中に
は公害性のあるものがあり、取扱い上問題を有するもの
であった。
一方電子写真方法はPS版と比べると製版は簡単である
が、電子写真製版機という高価で且つ露光、現像、定着
といった工程を要する装置が必要であり、必ずしも簡便
な製版方法とはいえない。
そこでこれら従来の平版印刷原版の欠点を解消する方
法として耐水性支持体上に無機顔料〜結着剤〜熱溶融性
物質(ワックス類)分散系感熱記録層を設けた印刷原版
にサーマルヘッドで熱印字することにより製版する方法
(特開昭59−174395号、同58−199153号等)が提案され
ている。しかしこれらの感熱性印刷原版の場合はインキ
着肉性が悪く、しかも均一な印字画像を形成することが
できず、又このため、地汚れのない鮮明な印刷画像を得
ることも容易ではなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の第一の課題はサーマルヘッドによって製版す
ることができる熱感度の優れた感熱型平版印刷用原版を
提供することである。
本発明の第二の課題はサーマルヘッドによって製版す
ることができるインキ着肉性が良好で印刷地汚れのない
鮮明な印刷画像が得られる感熱型平版印刷用原版を提供
することである。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するための本発明の感熱型平版印刷用
原版の構成は、耐水性支持体上に酸化亜鉛、結着剤及び
熱溶融物質及びシリコンオイルを主成分とする感熱記録
層を設けた感熱性平版印刷用原版において、感熱記録層
の酸化亜鉛平均粒子径が0.20μm以下である感熱型平版
印刷用原版である。
酸化亜鉛の平均粒子径が0.20μmより大きいと平滑性
の高い感熱記録層が得られにくい。そのためサーマルヘ
ッドで熱印字した時に熱感度が悪いために鮮明な画質が
得られない。そのためにサーマルヘッドのエネルギーを
大きくすると画質は向上するがサーマルヘッドの耐久性
が非常に悪くなる。酸化亜鉛の平均粒子径が0.20μm以
下のものを使用した感熱記録層は平滑性が高く熱感度の
優れた感熱記録層が得られる。
酸化亜鉛の平均粒子径としてはできる限り小さい方が
望ましい。
又本発明の感熱型平版印刷用原版は感熱記録層の表面
粗さが中心線平均粗さで0.50μm以下にすることによっ
て、より感度の優れた感熱型平版印刷用原版が得られ
る。
感熱記録層の中心線平均粗さが0.50μmより大きいと
サーマルヘッドとの密着性が悪くなり熱感度が悪い。従
って鮮明な印字画像が得られない。感熱記録層の中心線
平均粗さを0.50μm以下にすることによって低エネルギ
ーでシャープな熱印字画像を得ることができた。以上の
様なことより中心線平均粗さは0.50μm以下でできる限
り小さい方が望ましい。
結着剤としては環球法による軟化点又は融点が150℃
以下のものが好ましく、このような樹脂としては、例え
ばポリスチレン、スチレン〜アクリル酸エステル共重合
体、ポリ−t−ブチルスチレンのようなスチレン系樹
脂;低融点ポリアミド樹脂;ポリアクリル酸エステル;
ポリメタクリル酸エステル;アクリル酸エステル〜メタ
アクリル酸エステル共重合体;ポリエステル樹脂;エチ
レン〜酢酸ビニル共重合体;塩化ビニル〜酢酸ビニル共
重合体;塩化ビニリデン樹脂;ブチラール樹脂;アセタ
ール樹脂;ポリビニルトルエン等が挙げられるが、中で
も版面に特に優れた親油性を付与する点からポリスチレ
ン、スチレン〜アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステル〜メタア
クリル酸エステル共重合体及び低融点ポリアミド樹脂が
好ましい。これらは単独又は2種以上混合して使用され
る。
又熱溶融性物質としては50〜200℃で溶融するものが
好ましく、例えばカルナウバワックス、オーリキュリー
ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン
ワックス、セレシンワックス、モンタンワックス、キャ
ンデリラワックス、セラックろう、チュウハクろう、蜜
ろう、木ろう、低分子量ポリエチレン等のワックス類;
ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸及びそのエ
ステル、アミド、高級アルコール;ポリエチレングリコ
ールステアレート等の多価アルコール高級脂肪酸エステ
ル;ポリエチレングリコールステアリンエーテル等の多
価アルコール高級アルキルエーテル等が挙げられる。
なお感熱記録層中の酸化亜鉛と結着剤との割合は重量
比で0.5/1〜10/1、好ましくは1/1〜5/1が適当である。
この割合が0.5/1未満であると親水性が不足し、印刷物
の地肌部が汚れ易く、又10/1を超えると熱印字した場合
の版面の親油性が充分でなく画像濃度の低下や画像ムラ
を生じるので好ましくない。又熱溶融性物質の添加量は
酸化亜鉛と結着剤との比率が0.5/1未満であると、親水
性が不足し、印刷物の地肌部が汚れ易く、又10/1を超え
ると熱印字した場合の版面の親油性が十分でなく画像濃
度の低下や画像ムラを生じるので好ましくない。又熱溶
融性物質の添加量は酸化亜鉛と結着剤との合計量に対し
0.1〜20重量%が適当である。この添加量が0.1重量%未
満であると、親油性が不十分で、充分な印刷濃度が得ら
れず、又20重量%を超えると、印刷物に汚れが生じるの
で好ましくない。
感熱記録層には以上の成分の他、記録層塗工液の分散
性を良くするために分散助剤を添加することができる。
このような分散助剤としては、例えばナフテン酸金属
塩、ステアリン酸のような高級脂肪酸の金属塩、カチオ
ン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性
剤等を挙げることができ、その添加量は塗工液の固形分
に対して10重量%以下である。
以上の様な本発明の感熱記録層の表面粗さは中心線平
均粗さが0.5μm以下であることが好ましい。
感熱記録層の表面粗さを中心線表面粗さ、0.5μm以
下にすることによってサーマルヘッドとの密着性が良好
になる。密着性が良くなることによって印字した時の熱
効率が良くなり、ドット欠けがなくなり解像力が向上し
た印字画像が得られる。
表面粗さを中心線表面粗さ0.5μm以下にする手段と
して、平均粒子径0.20μmの酸化亜鉛、結着剤、熱溶融
物質及び必要に応じて前記分散助剤を含む混合物を適当
な溶媒中にボールミル、サンドミル、アトライター、グ
レンミル等の分散機により充分分散して感熱記録層塗工
液を作製し、耐水性支持体上にワイヤーバー、ロールコ
ーター等の塗布手段で乾燥付着量5〜30g/m2程度になる
様に塗布・乾燥する。この様にして感熱記録層を形成
後、キャレンダー処理することにより表面粗さを中心線
表面粗さ0.5μm以下にすることができる。
耐水性支持体としてはメラミン〜ホルムアルデヒド樹
脂、尿素〜ホルムアルデヒド樹脂等で湿潤強化された
紙。ポリエチレンテレフタレートの様な合成樹脂フィル
ム、多孔性ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂フィル
ムが挙げられる。
以上の様にして得られた本発明の平版印刷原版をサー
マルヘッドで熱印字すると印字部は熱溶融し親油化像が
得られる。この原版をエッチング液で非印字部を不感脂
化処理することで平版印刷が可能となる。
[実施例] 以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
実施例1 酸化亜鉛(平均粒子径0.15μm白水化学社製) 50重量部 アクリル樹脂(LR−331三菱レーヨン社製) 20重量部 ステアリン酸 6重量部 シリコーンオイル(KF−96信越シリコン社製) 6重量部 よりなる混合物をトルエンで40%(重量)の固形分に調
節した後、これをボールミルで20時間分散して感熱記録
層用塗工液を得た。次に湿潤強化された坪量90g/m2の原
紙にPVA、架橋剤及びクレーの混合物で耐溶剤加工を施
した後、その上に前記塗工液をワイヤーバーで塗布し、
乾燥付着量約10g/m2の感熱記録層を形成した。このもの
をニップ圧50kg/cm2のスーパーキャレンダー処理をして
得られた平版印刷原版をサーマルヘッドで熱印字を行
い、エッチング液で不感脂化処理後、(株)リコーオフ
セット印刷機AP−4700によって印刷したところ、地汚れ
のない鮮明な印刷物が1000枚以上得られた。
実施例2 酸化亜鉛(平均粒子径0.10μ堺化学社製) 40重量部 アクリル樹脂(LR−331三菱レーヨン社製) 20重量部 ベヘン酸 4重量部 シリコンオイル(KF−410信越シリコン社製) 8重量部 よりなる混合物をトルエンで40%(重量)の固形分の調
整した後、これをボールミルで5時間分散して感熱記録
用塗工液を得た。
次に厚さ150μmの多孔性フィルム(商品名ユポFPG−
150王子油化社製)の上に前記塗工液をワイヤーバーで
塗布し、乾燥付着量約10g/m2の感熱記録層を形成した。
このものをニップ圧50kg/cm2のスーパーキャレンダーに
3回通した後の感熱記録層の中心線表面粗さは0.180μ
mであった((株)小坂研究所製 三次元表面粗さ測定
器SE−30Kで測定)。得られた平版印刷原版を実施例1
と同様にして印刷したところ地汚れのない鮮明な印刷物
が1000枚以上得られた。
実施例3 実施例2の多孔性フィルムを厚さ75μのPETフィルム
に換えた以外は実施例2と同じ条件で平版印刷原版を作
製した。得られた平版印刷原版を実施例1と同様に表面
粗さを測定した結果中心線平均粗さは0.223μmであっ
た。
実施例1と同様に印刷したところ地汚れのない鮮明な
印刷物が1000枚以上得られた。
比較例1 実施例1に使用した酸化亜鉛を平均粒子径0.40μmの
酸化亜鉛(三井金属社製)に変更した以外は実施例1と
同様にして感熱型平版印刷用原版を作製した。
実施例1と同様にして熱印字後、エッチング、印刷し
たところ画像のシャープ性に欠ける不鮮明な印刷物しか
得られなかった。
比較例2 実施例2に使用した酸化亜鉛を平均粒子径0.40μmの
酸化亜鉛(白水化学社製)に換えた以外は実施例2と同
様にして感熱型平版印刷用原版を作製した。
感熱記録層の表面粗さを測定したところ中心線平均粗
さは0.650μmであった。この感熱型平版印刷用原版を
実施例1と同様にて熱印字、印刷したところ画像のシャ
ープ性に欠ける不鮮明な印刷物しか得られなかった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の感熱型平版印刷用原版
を用いることによって簡単に、しかも鮮明な印刷画像が
できる印刷原版を作製することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐水性支持体上に酸化亜鉛、結着剤、熱溶
    融物質及びシリコンオイルを主成分とする感熱記録層を
    設けた感熱性平版印刷用原版において、感熱記録層の酸
    化亜鉛平均粒子径が0.20μm以下であることを特徴とす
    る感熱型平版印刷用原版。
  2. 【請求項2】感熱記録層表面粗さが中心線平均粗さで0.
    5μm以下であることを特徴とする請求項(1)記載の
    感熱型平版印刷用原版。
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GB2359769B (en) * 1999-12-15 2004-02-18 Fuji Photo Film Co Ltd Lithographic printing plate precursor
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