JP2808410B2 - 硬化性組成物およびその処理剤 - Google Patents

硬化性組成物およびその処理剤

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JP2808410B2 JP6112192A JP11219294A JP2808410B2 JP 2808410 B2 JP2808410 B2 JP 2808410B2 JP 6112192 A JP6112192 A JP 6112192A JP 11219294 A JP11219294 A JP 11219294A JP 2808410 B2 JP2808410 B2 JP 2808410B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な硬化性組成物、詳
しくは医療用硬化性組成物あるいは充填、補填材料組成
物、止血性組成物に関する。より詳しくは病的あるいは
外的原因等により生じた骨や歯などの硬組織の欠損部や
空隙部に適応し、当該個所に所望の形状のリン酸カルシ
ウム硬化体を形成させ、欠損空隙部の機能を補綴するこ
とと共に新生硬組織の発生を誘発する硬組織組成物、あ
るいは硬組織の欠損部あるいは空隙部における出血を、
当該箇所に所望の形状のリン酸カルシウム硬化体を形成
させ止血する止血用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用硬化性組成物は医科用としては主
に骨欠損部充填材、骨接合材などに、歯科用としては合
着用、金属修復物の断熱、暫間あるいは永久充填、根管
充填や覆髄などに用いられる。現在用いられている医科
用硬化性組成物である骨セメントは粉末部にメタアクリ
ル酸メチル重合体を主成分として含み、メタアクリル酸
メチルモノマーを練和液とし、両者を混合練和すること
によりメタアクリル酸メチル重合体を硬化物として得る
ものである。歯科用硬化性組成物には酸化亜鉛を粉末部
にリン酸水溶液を練和液に持つリン酸亜鉛セメント、酸
化亜鉛を粉末部にポリカルボン酸水溶液を練和液とする
カルボキシレートセメント、酸化亜鉛を粉末部にユージ
ノールを練和液に持つユージノールセメントなどがあ
り、いずれも粉末部を練和液で練和することにより硬化
物を得る。これら現在の医療用硬化性組成物は粉末部を
練和液で練和することにより所望の形態の硬化物を得る
ことができるが、生成する硬化物は生体組織とは異質な
ものであり、硬化体は生体親和性を示さない。しかも骨
セメントの場合では残留モノマー、あるいは重合時の発
熱のために周辺の組織に炎症が起きることが報告されて
いる。
【0003】一方、生体硬組織はアパタイトを主成分と
するリン酸カルシウムであり、アパタイト、リン酸三カ
ルシウムなどのリン酸カルシウムは優れた生体親和性を
示すことが知られている。これらのリン酸カルシウムは
焼結体として、あるいは顆粒状、紛体として現在臨床応
用されているが、形態付与性はない。リン酸カルシウム
の優れた生体親和性に形態付与を目的とした硬化性を持
たせるために例えば特開昭58ー83605、特開昭5
9ー88251、特開昭59ー182263、特開昭6
1ー236644、特開昭62ー72363に見られる
ようにリン酸カルシウムを重合性ポリマーあるいは酸化
亜鉛などと混合する試みがなされたが、硬化体がポリマ
ーあるいは酸化亜鉛などを含むために、やはり生体親和
性を期待できないものであった。
【0004】最近、特開昭62−83348、特開昭6
4−18949、特開昭64−29266、特開平4−
307067、特開平2−311340、特開平6−1
72008に見られるように、硬化性を有し、硬化体が
アパタイトなどになるため優れた生体親和性が期待でき
る、リン酸カルシウム系の硬化性組成物が注目されてい
る。例えば、アパタイトを高温で脱水、熱分解すること
により得られる、α型リン酸三カルシウムとリン酸四カ
ルシウムの混合物である。これらの硬化性組成物は水で
練和すると水和反応により硬化挙動を示し、その硬化体
がアパタイトになり軟硬両組織に対して優れた生体親和
性を示す。従って、これらの硬化性組成物は、(あ)生
体親和性に優れること、(い)形態付与性を有するこ
と、の条件を満足する医療用硬化性組成物であると思わ
れた。実際、実験動物にインプラントした場合において
も、完全に止血ができた部位に充填した場合、あるいは
セメントが硬化するまで止血に成功した場合には、これ
らの硬化性組成物は硬化し、その硬化体は優れた生体親
和性を示す。しかし、外科領域などにおける骨欠損部の
充填術式において、止血を完全に行うことは困難であ
る。硬化前のセメント練成体が体液などと接触した場
合、セメント練成体は硬化せず、崩壊するばかりでな
く、炎症反応も認められ、生体為害性などの問題点も発
生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の医療用硬化性組
成物である骨セメント、歯科用セメントは形態付与性は
あるが、生体親和性に乏しい。一方、リン酸カルシウム
焼結体、リン酸カルシウム粉末などは生体親和性に優れ
るが、形態付与性に乏しい。またリン酸カルシウムを重
合性ポリマーあるいは酸化亜鉛と混合したものは形態付
与性を獲得したが、やはり生体親和性に劣っている。ま
たリン酸カルシウム系の硬化性組成物は完全に止血でき
た部位に充填した場合には優れた生体親和性を示し、形
態付与性も有するが、止血が完全でない部位に充填した
場合は、硬化しないため形態付与性もなく、生体為害性
を示す。従って、止血が困難な術式においても、形態付
与性ならびに生体親和性を持つ臨床応用可能な材料はな
かった。本発明は、医療用硬化性組成物としての要求事
項である、(あ)生体親和性に優れること、(い)形態
付与性を有すること、(う)血液などの水分と練和直後
の練成体が接触しても崩壊しないこと、の全てを満足す
る臨床応用上有用な硬化性組成物を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前項に記載した医療用硬
化性組成物の問題点を解決するために本発明者は新たな
硬化性組成物を種々検討した結果、粉末部および練和液
のいずれか、あるいはその両方にリン酸成分およびカル
シウム成分を含有する硬化性組成物において、粉末部お
よび練和液のいずれか、あるいはその両方にアルギン酸
化合物を含有し、かつ、練和液に溶解している水溶性リ
ン酸塩のリン酸イオン濃度が30ミリモル濃度以上であ
るか、粉末部に水溶性リン酸塩を混合しており、その全
量が練和液に溶解した場合に練和液のリン酸イオン濃度
が30ミリモル濃度以上であることを特徴とする硬化性
組成物、が、医療用硬化性組成物としての要求事項であ
る、(あ)生体親和性に優れること、(い)形態付与性
を有すること、(う)血液などの水分と練和直後の練成
体が接触しても崩壊しないこと、の全てを満足する臨床
応用上有用な硬化性組成物であることを見いだし、本発
明を完成した。
【0007】即ち、本発明の硬化性組成物とは、粉末部
および練和液のいずれか、あるいはその両方にリン酸成
分およびカルシウム成分を含有する硬化性組成物におい
て、粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方
にアルギン酸化合物を含有し、かつ、練和液に溶解して
いる水溶性リン酸塩のリン酸イオン濃度が30ミリモル
濃度以上であるか、粉末部に水溶性リン酸塩を混合して
おり、その全量が練和液に溶解した場合に練和液のリン
酸イオン濃度が30ミリモル濃度以上であることを特徴
とする硬化性組成物であり、血液などの水分と練和直後
の練成体が接触しても崩壊しないように設計された硬化
性組成物である。
【0008】本発明でいうアルギン酸化合物とは、多糖
類の一種で(C574COOH)nで表されるアルギン
酸、およびアルギン酸の塩で、アルギン酸の塩としては
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン
酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエス
テルなどが例示される。これらは、化学薬品として購入
可能である。
【0009】本発明でいうリン酸水素カルシウムとはC
aHPO4、CaHPO4・2H2Oなどであり化学薬品
として購入可能である。
【0010】本発明でいうリン酸三カルシウムはCa3
(PO42でありα−Ca3(PO42、β−Ca3(P
42のいずれでもよいが、α−Ca3(PO42がよ
り迅速な硬化反応を与えるので好ましい。リン酸三カル
シウムの製造法としてはカルシウム源とリン酸源を3:
2のモル比に混合し加熱する。1200度以上ではα型
リン酸三カルシウムが1000度以下ではβ型リン酸三
カルシウムが主に生成することが公知となっている。
【0011】本発明でいうリン酸八カルシウムはCa8
2(PO46・5H20であり公知の方法で合成され
る。
【0012】本発明でいうリン酸二水素カルシウムはC
a(H2PO42、Ca(H2PO42・H20などであ
り化学薬品として購入可能である。
【0013】本発明でいう非晶質リン酸カルシウムとは
非晶質状態のリン酸カルシウムであり、カルシウム成分
を含む溶液とリン酸成分を含む溶液を低温で混合するな
どの公知の方法で合成できる。本発明においては非晶質
リン酸カルシウムを主成分として含有しており、マグネ
シウムあるいは炭酸イオンなどを含有しているものも非
晶質リン酸カルシウムと定義する。
【0014】本発明でいうリン酸四カルシウムはCa4
(PO42O、であり、いかなる方法で製造したもので
も良い。原料のカルシウムとリン酸の比が2:1になる
ように混合し1200度以上で焼成後急冷あるいは窒素
等不活性ガス雰囲気下で1200度に焼成すれば良好な
リン酸四カルシウムが得られる。例えば原料としてリン
酸水素カルシウムと炭酸カルシウムを等モル混合したも
のが例示される。強度向上などを目的としてリン酸四カ
ルシウムにリン酸三カルシウムを混合させるためにカル
シウムとリン酸の比を2:1より小さくすることも可能
である。
【0015】本発明でいう酸化カルシウムはCaOであ
り、化学薬品として購入可能である。
【0016】本発明でいう水酸化カルシウムはCa(O
H)2であり、化学薬品として購入可能である。
【0017】本発明でいう炭酸カルシウムはCaCO3
であり、化学薬品として購入可能である。
【0018】本発明でいうアパタイトとはCa10(PO
46(OH)2の基本構造を持つものをいう。Ca欠損
型のアパタイトCa10-x(HPO4y(PO46-y(O
H)2-zや、炭酸含有アパタイトCa10-x(HPO4y
(PO46-y(CO3a(OH)2-zなど、あるいはC
aが他の金属に一部あるいは全部置換した、例えば、C
8Ba2(PO46(OH)2などもアパタイトと定義
する。
【0019】本発明でいう水溶性リン酸塩とは水に溶解
してリン酸イオンを生成するものであり(NH43PO
4、(NH42HPO4、NH42PO4 、Na3PO4
Na2HPO4、NaH2PO4、K3PO4、K2HPO4
KH2PO4などで代表されるリン酸塩である。
【0020】また、本発明でいうリン酸イオン濃度とは
溶液中のH2PO4 -、HPO4 2-、PO4 3-など溶解して
いるリン酸イオン成分の合計の濃度をいう。
【0021】なお、本発明において練成体とは硬化性組
成物の粉末部を練和液あるいは体液などの水分を含む液
性材料で練和した時に得られるペースト状などの状態に
ある練和物をいう。
【0022】本発明は下に記述する原理で構成される。
粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方にリ
ン酸成分とカルシウム成分を含有する硬化性組成物は、
水に代表される練和液で練和するとカルシウム成分およ
びリン酸成分が溶解する。その結果、カルシウムイオン
とリン酸イオンが反応し、中性あるいは塩基性領域にお
いてリン酸カルシウム塩の中で熱力学的に最も安定であ
るアパタイトが生成、生成したアパタイト結晶の絡み合
いなどで硬化する。硬化反応が終了すれば硬化物の主成
分はアパタイトとなり、水中、血液中などにおいても安
定である。しかし、硬化反応中に練成体が血液などの多
量の水分と接触すると、水分が練成体中に浸透し、その
結果、練成体の一部あるいは全部が崩壊してしまう。練
成体の一部が崩壊した場合においても、残存した硬化体
の機械的強さが低下する。また、崩壊した粉末成分は生
体親和性に優れるアパタイトではないので崩壊した粉末
の周囲においては異物反応が観測される。従って、良好
な臨床結果を得るためには、十分な止血を施した後に、
骨欠損部あるいは空隙部などへ硬化性組成物の練成体を
充填するなどの術式を施す必要性が高い。しかし、止血
操作は煩雑であり、また十分な止血が困難である場合が
少なくない。
【0023】一方、アルギン酸化合物はカルシウムイオ
ンと反応し、ゲル状のアルギン酸カルシウムを生成す
る。ゲル状のアルギン酸カルシウムは水分に対して安定
であり、内部に粉末を含有している場合、その粉末を固
定するので、粉末を含有するゲル状アルギン酸カルシウ
ムを水中に浸積しても、粉末は水中に流れにくくなる。
【0024】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物、の場合、粉末部を練和液にて練和した
り、粉末部を骨欠損部などに直接充填した場合、練和
液、体液などの水分と接触し、上述のようにカルシウム
イオンが生成する。生成したカルシウムイオンは、硬化
性組成物の粉末部あるいは練和液のいずれか、あるいは
その両方にアルギン酸化合物が含有されている場合、そ
のアルギン酸化合物と反応することにより水分に対して
安定なゲル状のアルギン酸カルシウムを生成する。その
結果、ゲル状のアルギン酸カルシウムが粉末部を固定
し、練成体が血液など多量の水分と接触しても、崩壊し
にくくなる。
【0025】医療用硬化性組成物としての要求事項であ
る、(あ)生体親和性に優れること、(い)形態付与性
を有すること、(う)血液などの水分と練和直後の練成
体が接触しても崩壊しないこと、の全てを満足する臨床
応用上有用な硬化性組成物を提供するためには、(う)
の要求事項達成のために、より要求水準の高い(あ)や
(い)の要求事項を軽視することは本末転倒である。例
えばアルギン酸化合物の代わりに重合性ポリマーを用い
た場合、(い)と(う)の要求事項を満足する硬化性組
成物を提供することができるが、その場合、医療用硬化
性組成物としての要求水準が最も高い、(あ)の要求事
項を犠牲にしてしまう。
【0026】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分とカルシウム成分を含有する硬化
性組成物は組成物に含有されるリン酸成分とカルシウム
成分から溶解して生成したリン酸イオンとカルシウムイ
オンの反応によりアパタイトを生成し硬化する。このア
パタイト形成が、硬化反応の原理であり、かつ、当該硬
化性組成物が優れた生体親和性を示す原因であり、医療
用硬化性組成物の要求事項である(あ)、(い)を満た
す要因となっている。従って、粉末部および練和液のい
ずれか、あるいはその両方に含有されるアルギン酸化合
物はアパタイトの形成を阻害するものであってはならな
い。幸いにも、アルギン酸カルシウムは水性のゲルであ
るために、アパタイト生成反応に対して抑制効果が小さ
い。
【0027】アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムお
よびアルギン酸は1963年のFAO/WHO合同委員
会においても安全性が評価され、アルギン酸カルシウム
は傷創被覆材などに、使用されている。アルギン酸ナト
リウムは逆流性食道炎、消化性潰瘍の治療剤であり、血
液拡散に対する抑制作用、赤血球との親和性、フィブリ
ン形成の促進作用などが報告されており生体親和性に関
しては問題がない。
【0028】従って、粉末部および練和液のいずれか、
あるいはその両方にリン酸成分とカルシウム成分を含有
することを特徴とする硬化性組成物、の粉末部および練
和液のいずれか、あるいはその両方にアルギン酸化合物
を含有させてもその練成体および硬化体の生体親和性を
低下させることはない。
【0029】上述のようにアルギン酸化合物の添加は、
粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方にリ
ン酸成分とカルシウム成分を含有する硬化性組成物の生
体親和性を低下させることはないが、骨にアルギン酸化
合物が含有されていないことから、硬化性組成物の硬化
後は、当該硬化体より消失する事が望ましい。幸いに
も、アルギン酸カルシウムの乾燥体が吸収性縫合糸に使
用されていることからも明かであるように、アルギン酸
カルシウムは一定期間、生体内に埋入しておくと吸収消
失する。ゲル状アルギン酸カルシウムは乾燥体より、更
に早く生体内で吸収消失することが予想され、その結
果、優れた生体親和性がすでに報告されているリン酸カ
ルシウムのみの硬化体が最終的に残存する。
【0030】更に、硬化性組成物においては機械的強さ
も重要な要因となりうるが、アルギン酸化合物は、粉末
部および練和液のいずれか、あるいはその両方にリン酸
成分とカルシウム成分を含有する硬化性組成物、への少
量の添加により、練成体の練和直後における多量の水分
との接触に起因する崩壊を著しく抑制するので、硬化性
組成物の硬化体における機械的強さを低下させることが
ない、あるいは著しく低下させることがない。
【0031】次に、粉末部および練和液のいずれか、あ
るいはその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含
有することを特徴とする硬化性組成物において、粉末部
および練和液のいずれか、あるいはその両方にアルギン
酸化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物、が
止血用組成物に利用できる原理を記述する。
【0032】骨欠損部、あるいは空隙部などにおいては
出血を認めることが多い。現在、止血法としては圧迫止
血、レーザー、電気メスなどによる周囲組織の固定など
のほか、凝固促進剤、抗線溶剤などの止血剤を作用させ
ることも行われているが、止血効果が十分でなかった
り、レーザー、電気メスなどによる周囲組織の固定の場
合には、周囲組織に損傷を与えることが知られている。
【0033】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物において、粉末部および練和液のいずれ
か、あるいはその両方にアルギン酸化合物を含有し、か
つ、練和液に溶解している水溶性リン酸塩のリン酸イオ
ン濃度が30ミリモル濃度以上であるか、粉末部に水溶
性リン酸塩を混合しており、その全量が練和液に溶解し
た場合に練和液のリン酸イオン濃度が30ミリモル濃度
以上であることを特徴とする硬化性組成物、は、その練
成体を骨や歯などの欠損部や空隙部に止血することなし
に充填し、所望の形状のリン酸カルシウム硬化体を形成
できる。その結果、圧迫止血と同様の原理で出血を抑制
するので、止血材としても使用できる。
【0034】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物の場合、臨床応用上はその硬化時間も重要
な因子となる。すなわち、上述したようにゲル状アルギ
ン酸カルシウムの生成のため、練成体を練和直後に骨欠
損部あるいは空隙部に充填し、血液など多量の水分と接
触させても、練成体は崩壊しにくくなっているが、臨床
応用上は初期より充填補綴物に機械的強さを必要とする
場合があり、十分な硬化までは、十分な機械的強さが得
られない場合が発生する。その場合、硬化性組成物の硬
化を待たなければならないが、術式に時間がかかるなど
の問題点が多い。
【0035】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物において、硬化体の機械的強さのほとんど
は、カルシウムイオンおよびリン酸イオンの反応で生成
するアパタイトの絡み合いなどにより発生する。アルギ
ン酸化合物は、粉末部が血液などの多量の水分と接触し
ても崩壊しないように固定する効果は有するが、アパタ
イト生成を促進する効果はない。
【0036】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物、の硬化時間を短縮するには、その練和時
にリン酸イオンを供給することが有効である。すなわ
ち、練和液をリン酸イオン濃度が30ミリモル濃度以上
となるように、あるいは粉末部に水溶性リン酸塩を混合
し、その全量が練和液に溶解した場合の練和液のリン酸
イオン濃度が30ミリモル濃度以上となるように設計す
ることが極めて有効である。
【0037】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物、におけるリン酸イオン添加による硬化時
間短縮は下記の原理で発生する。なお生成するアパタイ
トは、Ca欠損型のアパタイトCa10-x(HPO4
y(PO46-y(OH)2-zや、炭酸含有アパタイトCa
10-x(HPO4y(P O46-y(CO3a(OH)2-z
などである場合もあり、その場合アパタイトの カルシ
ウムとリン酸の比(以下Ca/PO4と言う)は10/
6ではないが簡単 のため、以下には基本構造であるC
10(PO46(OH)2の場合についての み記述す
る。
【0038】Ca10(PO46(OH)2の基本構造を
もつアパタイトの生成には10モルのCaに対し6モル
のPO4が必要である。すなわちCa/PO4が10/
6、約1.67となることが必要である。リン酸カルシ
ウム塩の中で水に溶解しやすいリン酸四カルシウムはC
a/PO4が2.0であり、また酸化カルシウムはカル
シウムのみを供給するのでハイドロキシアパタイト生成
にはPO4が不足する。このPO4の不足をCa/PO4
が1.67より小さいリン酸水素カルシウム、リン酸三
カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシ
ウムなどから供給する。例えばリン酸水素カルシウムの
場合Ca/PO4は1.0であり、先のリン酸四カルシ
ウムと1:1のモル比で混合したとすればアパタイト生
成に必要なCaとPO4が供給されることになる。しか
しリン酸四カルシウムとリン酸水素カル シウムをモル
比で1:1に混合した組成物ではリン酸水素カルシウム
がリン酸四カルシウムと比較して溶解しにくいため、リ
ン酸供給源であるリン酸水素カルシウムの溶解反応がア
パタイト生成、従って硬化反応における律速段階とな
る。
【0039】硬化反応であるアパタイト生成反応におい
てリン酸イオンの供給が律速段階であるのならば、反応
系中に当初よりリン酸イオンを存在させれば、この律速
段階は解除される。すなわち、反応系中に当初よりリン
酸イオンを添加しておけば、溶解度の小さいリン酸水素
カルシウムあるいはリン酸三カルシウムあるいはリン酸
八カルシウムあるいはリン酸二水素カルシウムなどの溶
解によるリン酸イオンの供給でなく溶解度の大きいリン
酸四カルシウムあるいは酸化カルシウムあるいは水酸化
カルシウムなどの溶解によるカルシウムイオンの供給が
律速段階となり全体の硬化反応が著しく加速される。
【0040】アパタイトの生成、従って硬化反応の律速
段階は特に初期において重要である。硬化反応の初期に
おいて、いったんアパタイトが生成されるとアパタイト
はそれ自体が種結晶となり、以後アパタイトが生成され
やすくなる。したがって練和液中に存在すべき最低リン
酸イオン濃度は当初のアパタイト生成に必要な30ミリ
モル濃度以上であることが必要である。上述したように
練和時の反応部位のリン酸イオン濃度を30ミリモル濃
度以上とすることが必要とされる要件であるので、練和
液にリン酸あるいはリン酸塩を溶解する方法、および粉
末部に水溶性リン酸塩を混合し練和液と練和した時に粉
末部の水溶性リン酸塩が練和液に溶解し30ミリモル濃
度以上のリン酸イオン濃度を確保する方法、あるいはそ
れらを組み合わせた方法は本質的に同一である。
【0041】本発明の硬化性組成物は以下に記載する方
法で製造される。
【0042】硬化性組成物の粉末部は十分に混合する。
例えばリン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リ
ン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウム、非晶質リ
ン酸カルシウムの群から選ばれた少なくとも一つとリン
酸四カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、
炭酸カルシウムの群から選ばれた少なくとも一つの混合
物はそれぞれをそのまま、あるいはボールミル等で粉砕
したものを十分に混合する。粉末部にアルギン酸化合物
を含有させる場合には、これも十分に混合する。粉末部
に水溶性リン酸塩を混合する場合は、これも十分に混合
する。混合が十分でない場合には粉末部と練和液とを練
和しても不均一な硬化反応がおこりやすく、硬化速度が
遅くなったり、硬化体の機械的強さが低下する。
【0043】硬化性組成物の練和液は、水に必要に応
じ、添加物を溶解あるいは懸濁させて製造される。練和
液にアルギン酸化合物を含有させる場合には、アルギン
酸化合物を溶解あるいは懸濁させて製造する。アルギン
酸化合物を懸濁させると、徐々にアルギン酸化合物が溶
解し、その結果、練和液の粘度上昇などの理由により練
和液の性状が変化するので、アルギン酸化合物を全量溶
解させる方が懸濁させるより好ましい。練和液にリン酸
イオンを含有させる場合には、水溶性リン酸塩を溶解さ
せて製造する。
【0044】アルギン酸化合物の含有量、あるいはアル
ギン酸化合物の分子量は制限されない。硬化性組成物と
して機械的強さが重要である場合には、低濃度のアルギ
ン酸化合物溶液が好ましい。アルギン酸ナトリウムの場
合、練和液中に0.001重量パーセント濃度のアルギ
ン酸ナトリウムを溶解させた練和液でも硬化性組成物の
練成体の水中における崩壊を抑制する効果がある。一
方、ガム状の練成体形成を目的とする場合などは、高濃
度のアルギン酸化合物が有効である。
【0045】アルギン酸化合物の水溶液は、アルギン酸
化合物の種類によっても異なるが、一般に濃度が上昇す
ると急激に粘度が上昇する。粘度上昇を防ぐ目的で、エ
タノールなどの非水溶液を添加したり、塩化ナトリウム
などのイオン性物質を添加することも可能である。練和
液へのリン酸成分の添加は粘度を下げる以外に硬化性組
成物の硬化時間短縮に関しても有効である。
【0046】粉末部あるいは練和液には機械的強さの向
上、X線造影性、練和性向上などを目的として第三の成
分を添加することができる。第三の成分としてはアパタ
イト、フルオロアパタイト、リン酸三カルシウム、シリ
カ、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、次炭酸ビスマ
ス、フッ化カルシウム、フッ化スズ、フッ化ナトリウ
ム、ケイフッ化ナトリウムなどの無機物あるいはグリセ
リン、シリコ−ンオイル等の有機物、さらに薬物の除放
性を目的として抗生物質などの医薬品を粉末部あるいは
練和液に混合することも有効である。またTGF−β、
BMPなど骨生成に有効とされる薬剤を含有させること
は極めて有用である。
【0047】本発明の硬化性組成物は粉末部を練和液で
練和することにより硬化反応が開始する。粉末部と練和
液の重量混合比(以下P/Lと言う)は硬化性組成物の
練和性、硬化時間、硬化体の機械的強さ、気孔率などに
影響を及ぼす。P/Lは硬化性組成物の使用目的によっ
て決定されるが、本発明においてP/Lに関しての制限
はない。一般的にP/Lが大きくなりすぎると硬化性組
成物の練和性が悪くなり、P/Lが小さくなりすぎると
硬化体の機械的強さが小さくなる。また気孔率の大きい
硬化体を作成したいときにはP/Lを小さくし、気孔率
の小さい硬化体を作成したいときにはP/Lを大きくす
る。
【0048】練和した硬化性組成物の練成体は、骨欠損
部あるいは空隙部などの所望の部位に充填される。充填
方法は、通常の充填方法でよい。例えば手圧を用いても
良いし、アマルガム充填器、スパチュラなどの器具を用
いてもよい。充填後、必要に応じて、術者の手あるいは
スパチュラなどの器具を使用して、充填物の表面形状を
形成する。
【0049】本発明を実施例で更に詳しく説明する。
【0050】本硬化性組成物の特徴の一つは、血液など
の水分と練和直後の練成体が接触しても崩壊しないこと
である。その効果を定量的に検討するために練和直後の
練成体を蒸留水中に浸積し、24時間後における練成体
の崩壊の程度を検討した。すなわち、24時間後におけ
る練成体の崩壊していない部分の体積、すなわち残存体
積を崩壊に対する指標とした。本硬化性組成物を臨床に
おいて使用する場合において、止血材として使用する場
合など多量の体液と接する場合がある一方、少量の血液
しか接触しない場合も発生する。従って、崩壊抑制効果
も異なる二つの方法で検討した。
【0051】一つ目(以下A法と記述する)は、非常に
厳しい条件を設定したもので、練和直後の練成体を金型
などで取り囲むことなく、蒸留水中に浸積した。この場
合、すべての練成体表面が蒸留水と接触する。実際に
は、直径4mm、高さ1cmの円柱状の練成体を製作
し、その練成体を練和直後に37度の蒸留水中に浸積し
24時間後における硬化体の乾燥体積を測定することに
より計算した。残存率はパーセントとして、残存率=
(V/V0)×100として計算した。ここでVは 練成
体を蒸留水中に浸積した場合の24時間後における硬化
体の乾燥体積であり、V0は練成体の練成直後の体積、
すなわち直径4mm、高さ1cmの円柱状の 練成体の
体積である約0.1256cm3である。
【0052】二つ目(以下B法と記述する)は練和直後
の練成体を円柱状の空隙部を有する金型にいれ、それを
蒸留水中に浸積した。金型は蒸留水の容器の底に接触し
ないように水中に固定した。その結果、円柱状の練成体
の上面および下面は直接水と接触するが、金型と接して
いる側面の練成体は水と接触しない。より詳しくは、厚
さ2mmのステンレス板を直径8mmのドリルで貫通
し、直径8mm、高さ2mmの円盤状の練成体ができる
金型を製作し、金型の下面にガラス板を置き、金型の中
に練和直後の練成体を充填した。金型上部をガラス板で
圧接すると過剰の練成体が除去できる。金型の上面およ
び下面のガラス板を取り外し、37度の蒸留水中に金型
を浸積し、24時間後における硬化体の乾燥体積を測定
することにより計算した。なお練成体の上面および下面
が水に直接ふれるよう金型は水中に水底より5cm以上
の高さに水平に固定した。この場合、残存率はパーセン
トとして、残存率=(V/V0)×100として計算し
た。ここでVは練成体を金 型とともに蒸留水中に浸積
した場合の24時間後における硬化体の乾燥体積であ
り、V0は練成体の練成時の体積、すなわち、直径8m
m、高さ2mmの円柱状 の練成体の体積である約0.
10048cm3である。
【0053】また本硬化性組成物の硬化時間は特に実施
例に記載がない限り、日本工業規格T6602に規定さ
れている歯科用りん酸亜鉛セメントの凝固試験に準じて
測定した。ただし、この規格は歯科用りん酸亜鉛セメン
ト用であり、日本工業規格T6602に規定は「標準ち
ょう度のセメントを練和を開始してから3分を経過した
ときに恒温器中に移す」と規定されているが本硬化性組
成物の場合には本硬化性組成物の臨床応用を考慮してP
/Lを4.0とし、練和を開始して1分以内に湿度10
0%温度37度のインキュベーターに試料を移した。
【0054】また硬化後における硬化性組成物の成分
は、特に実施例に記載がない限り、練成体を湿度100
%温度37度のインキュベーターにて24時間保管し、
その試料を乾燥粉砕後に粉末X線回折法により分析し
た。
【0055】(実施例1) リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウムを1:1の
モル比で混合したものを粉末部とし、アルギン酸ナトリ
ウムを0.01重量パーセント含有する200ミリモル
濃度のリン酸水素二ナトリウム溶液を練和液とした。本
硬化性組成物の硬化時間は約5分間で、A法による残存
率は20%であったが、B法による残存率は100%で
あった。また24時間後に得られた硬化体の主成分はア
パタイトであった。
【0056】(比較例1) 実施例1および実施例2の効果を明らかにするために比
較例として実施例1および実施例2の粉末部である、リ
ン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウムを1:1のモ
ル比で混合したものを粉末部とし、本発明の範囲を外れ
ている蒸留水を練和液とした。本硬化性組成物を37
度、湿度100%のインキュベーターにて24時間保管
した場合に得られる硬化体の主成分はアパタイトであっ
た。本硬化性組成物の硬化時間は約35分間であった。
練成体を練和直後に37度の蒸留水に浸積すると、浸積
直後より練成体は崩壊しはじめ、浸積より1分以内に完
全に崩壊した。すなわちA法による残存率もB法による
残存率も0%であった。
【0057】(比較例2) 実施例1の効果を明らかにするために、実施例1および
比較例1の粉末部であるリン酸水素カルシウムとリン酸
四カルシウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部
とし、本発明の範囲を外れているアルギン酸ナトリウム
の0.01重量パーセント水溶液を練和液とした。本硬
化性組成物の硬化時間は約35分間で、A法による残存
率は0%であったが、B法による残存率は10%であっ
た。なお硬化体の主成分はアパタイトであった。
【0058】(比較例3) 実施例1の効果を明らかにするために、実施例1および
比較例1、比較例2の粉末部である、リン酸水素カルシ
ウムとリン酸四カルシウムを1:1のモル比で混合した
ものを粉末部とし、本発明の範囲を外れている200ミ
リモル濃度のリン酸水素二ナトリウム溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物の硬化時間は約5分間で、A法によ
る残存率は0%であったがB法による残存率は80%で
あった。また24時間後に得られた硬化体の主成分はア
パタイトであった。
【0059】(実施例2) リン酸水素カルシウムとリン酸四カルシウムを1:1の
モル比で混合したものを粉末部とし、アルギン酸ナトリ
ウムを0.1重量パーセント含有する200ミリモル濃
度のリン酸水素二ナトリウム溶液を練和液とした。本硬
化性組成物の硬化時間は約5分間で、A法による残存率
もB法による残存率も100%であった。また24時間
後に得られた硬化体の主成分はアパタイトであった。
【0060】(比較例4) 実施例2の効果を明らかにするために、実施例2および
比較例1の粉末部であるリン酸水素カルシウムとリン酸
四カルシウムを1:1のモル比で混合したものを粉末部
とし、アルギン酸ナトリウムの0.1重量パーセント水
溶液を練和液とした。本硬化性組成物の硬化時間は約3
5分間で、A法による残存率は0%であったが、B法に
よる残存率は50%であった。なお硬化体の主成分はア
パタイトであった。
【0061】(実施例3) リン酸水素カルシウムと酸化カルシウムを3:2のモル
比で混合したものを粉末部とし、アルギン酸ナトリウム
を1重量パーセントを含有する200ミリモル濃度のリ
ン酸水素二ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬化性
組成物の残存率は、A法による残存率もB法による残存
率も100%であった。また24時間後に得られた硬化
体の主成分はアパタイトであった。
【0062】(実施例4) リン酸水素カルシウムと水酸化カルシウムを3:2のモ
ル比で混合したものを粉末部とし、アルギン酸ナトリウ
ムを1重量パーセントを含有する200ミリモル濃度の
リン酸水素二ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬化
性組成物の残存率は、A法による残存率もB法による残
存率も100%であった。また24時間後に得られた硬
化体の主成分はアパタイトであった。
【0063】(実施例5) リン酸水素カルシウムと炭酸カルシウムを3:2のモル
比で混合したものを粉末部とし、アルギン酸ナトリウム
を1重量パーセントを含有する200ミリモル濃度のリ
ン酸水素二ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬化性
組成物の残存率は、A法による残存率もB法による残存
率も100%であった。また24時間後に得られた硬化
体の主成分はアパタイトであった。
【0064】(実施例6) リン酸三カルシウムと炭酸カルシウムを3:1のモル比
で混合したものを粉末部とし、アルギン酸ナトリウムを
1重量パーセントを含有する200ミリモル濃度のリン
酸水素二ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬化性組
成物の残存率は、A法による残存率もB法による残存率
も100%であった。また24時間後に得られた硬化体
の主成分はアパタイトであった。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末部および練和液のいずれか、あるい
    はその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有す
    る硬化性組成物において、粉末部および練和液のいずれ
    か、あるいはその両方にアルギン酸化合物を含有し、か
    つ、練和液に溶解している水溶性リン酸塩のリン酸イオ
    ン濃度が30ミリモル濃度以上であるか、粉末部に水溶
    性リン酸塩を混合しており、その全量が練和液に溶解し
    た場合に練和液のリン酸イオン濃度が30ミリモル濃度
    以上であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 粉末部および練和液のいずれか、あるい
    はその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有す
    る硬化性組成物が、リン酸水素カルシウム、リン酸三カ
    ルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウ
    ム、非晶質リン酸カルシウムの群から選ばれた少なくと
    も一つ、とリン酸四カルシウム、酸化カルシウム、水酸
    化カルシウム、炭酸カルシウムの群から選ばれた少なく
    とも一つ、の混合物を主成分とする粉末部を持つことを
    特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
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