JPH01166762A - 医科用および歯科用硬化性材料 - Google Patents

医科用および歯科用硬化性材料

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JPH01166762A
JPH01166762A JP62326076A JP32607687A JPH01166762A JP H01166762 A JPH01166762 A JP H01166762A JP 62326076 A JP62326076 A JP 62326076A JP 32607687 A JP32607687 A JP 32607687A JP H01166762 A JPH01166762 A JP H01166762A
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collagen
calcium phosphate
curing
powder
tannic acid
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大西 啓靖
Takashi Ishii
孝 石井
Gino Suzuki
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、骨セメント、歯科用セメント、根管充填材
などに用いられる医科用および歯科用硬化性材料に関す
る。
〔背景技術〕
歯科用セメントでは、近年、粉末としてハイドロキシア
パタイト(以下、rHApJと記す)やα−リン酸三カ
ルシウム〔α−Ca *(P O山。
以下、「α−TCPJと記す〕が用いられ、硬化溶液と
してポリアクリル酸水溶液が用いられている。粉末と硬
化溶液とを混和し、練和して硬化物を形成する。ところ
が、硬化未反応のポリアクリル酸が残存することがあり
、これの溶出による生体為害性が問題として残されてい
る。
骨セメントは、従来、ポリメチルメタクリレ−) (P
MMA)やメチルメタクリレート(MMA)などの高分
子材料を用いたものが市販されている。しかし、高分子
材料を用いた骨セメントは、次の3つの問題点がある。
まず第1に、埋入する宿主側の骨組織と骨セメントとが
直接結合せず、繊維性組織の介在により、長期間生体内
に埋入した場合、ルーズニング等の問題がある。第2に
、硬化時の発熱により90〜100℃程度の温度になる
ため、周囲の細胞の壊死をもたらすという問題点がある
。第3に、未反応のモノマーやオリゴマーが溶出し、骨
に悪影響を及ぼすという問題点がある。
他方、生体硬組織の無機主要成分であるHApの類似物
質である、α−TCPやリン酸四カルシウム(Ca 4
(P 04)x O0以下、r4cPJと記す〕を用い
た生体材料が提案されている。α−TCPや4CPは、
化学的活性が高く、生体内または口腔内と同等の条件下
でHApに変化しうるちのである。4CP粉末とクエン
酸およびリンゴ酸の水溶液とを組み合わせた材料が、歯
科用セメントおよび骨セメントに有用であると報告され
ている。この材料およびその硬化物は、生体為害性はな
いが、強度を高めるため、リン酸カルシウム粉末/硬化
溶液比(以下、単に「粉/液比」と称する)を大きくす
ると、硬化時間が極端に短くなり、実用できないという
問題点がある。
〔発明の目的〕
この発明は、以上のことに鑑みて、室温または生体の体
温付近の温度で硬化し、硬化時間を長くすることができ
、しかも、生体為害性のない医科用および歯科用硬化性
材料を提供することを目的とする。
〔発明の開示〕
この発明は、上記目的を達成するために、4CPおよび
α−TCPのうち少なくとも4CPを必須成分とするリ
ン酸カルシウム粉末を主材料とする医科用および歯科用
硬化性材料であって、硬化遅延剤として、タンニン、タ
ンニン誘導体およびコラーゲンからなる群の中から選ば
れた少なくとも一種が用いられるようになっていること
を特徴とする医科用および歯科用硬化性材料を要旨とす
る。
以下に、この発明の詳細な説明する。
この発明にかかる医科用および歯科用硬化性材料は、少
なくともリン酸カルシウム粉末と硬化溶液の組み合わせ
からなる。
リン酸カルシウム粉末の一部または全部を4CPが占め
る。粉末の残部はα−TCP、IAI)、炭酸アパタイ
ト、β−リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウムニ
水和物などが占める。リン酸カルシウム粉末は、その1
0〜100重量%が4CPであり、0〜90重量%がα
−TCPであり、0〜30重量%がHApであることが
好ましい。4CPがリン酸カルシウム粉末の10重量%
未満だと、練和後の硬化物の物理的強度が極端に低下す
るという問題を生じることがある。HApがリン酸カル
シウム粉末の30重量%を上回ると、硬化時間が短くな
り、充分練和できないという問題を生じることがある。
4CPはα−TCPよりも反応性が高く、ボットライフ
が短くなって使用しにくくなることがあるので、α−T
CPを加えることにより、その反応性を抑えるのである
。なお、4CP、α−TCPおよびHAp以外のものは
、リン酸カルシウム粉末の40重量%以下であることが
好ましい。これらのものがこの割合を越えると、練和硬
化物の物理的強度が極端に低下することがある。
粉末は、平均粒子径が1〜25μmであることが好まし
い。粉末の平均粒子径が1μm未満だと、硬化物の物理
的強度は向上するものの、硬化時間が短くなるという問
題を生じることがあり、25μmを上回ると、特に歯科
用セメントに用いる場合、その硬化物の被膜厚みが30
μm以下にならないという問題を生じることがある。
4CPは、たとえば、rca*P*○、とCa COs
 との1:2モル比況合物を1300℃以上で焼成した
後、粉砕して得られるが、その他の方法で得られたもの
でも使用できる。α−TCPは、たとえば、r−Ca*
PsOvとCa CO*との等モル混合物を1200℃
以上で焼成した後、粉砕して得られるが、その他の方法
で得られたものでも使用できる。HAp等は、骨粉をは
じめとする生体由来のリン酸カルシウム、もしくは、周
知または公知の方法で得られる合成HAp、炭酸アパタ
イト β−リン酸三カルシウム等であってもよい。これ
らのリン酸カルシウムは、いずれも生体為害性を持たな
い。
硬化溶液としては、生体関連物質の溶液が用いられる。
生体関連物質としては、タンニン、タンニン誘導体、お
よび、生体関連有機酸(以下、「有機酸」と称する)か
らなる群の中から選ばれた少なくとも1種が用いられる
。タンニン、タンニン誘導体、および、前記有機酸は、
いずれも生体関連物質であり、生体為害性を持たない。
タンニンおよびタンニン誘導体としては、どのようなも
のを用いてもよいが、タンニン酸を用いるのが好ましい
、以下では、タンニン酸を例に挙げて説明するが、タン
ニン酸以外のタンニンおよびタンニン誘導体も同様に用
いることが可能である。タンニン酸は、従来の硬化剤に
比べて硬化速度の遅い硬化剤、すなわち、硬化剤であっ
てかつ硬化遅延剤となる。また、歯科用硬化性材料にタ
ンニン酸を用いると、口腔・咽頭粘膜の炎症治癒効果、
歯質たんばくの熔解阻止による虫歯予防効果が期待でき
る。タンニン酸溶液のタンニン酸濃度は、特に限定され
ないが、0.1〜70重量%の範囲が好ましく、有機酸
の共存下では0.1〜30重量%の範囲が好ましく、コ
ラーゲンの共存下では0.1〜20重量%の範囲が好ま
しく、有機酸およびコラーゲンの共存下では0.1〜1
0重量%の範囲が好ましい。これらの各範囲を下回ると
、硬化遅延効果が発揮されないことがあり、これらの各
範囲を上回ると、硬化物が水溶液中で崩壊してしまうこ
とがある。
有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、グリセリン
酸およびグルタル酸からなる群の中から選ばれた1種が
単独で、あるいは、2種以上が混合されて使用される。
これら有機酸は、リン酸カルシウム粉末と混和して練和
することにより、硬質の硬化物を生成する。有機酸溶液
の有機酸濃度は、特に限定されないが、0.1〜90重
量%の範囲が好ましく、タンニン酸の共存下では0.1
〜90重量%の範囲が好ましく、コラーゲンの共存下で
は0.1〜70重量%の範囲が好ましく、タンニン酸お
よびコラーゲンの共存下では0.1〜70重量%の範囲
が好ましい。これらの各範囲を下回ると、練和後、硬化
物の物理的強度が極端に低下し、水溶液中で崩壊してし
まうことがあり、これらの各範囲を上回ると、練和前に
硬化溶液中に結晶が析出することがある。
コラーゲンとしては、アテロコラーゲンを用いるのが好
ましいが、他のコラーゲンを用いてもよい。アテロコラ
ーゲンは、酵素処理により分子末端のテロペプタイドが
一部または全部除去されているコラーゲンであり、生体
為害性を持たないものである。コラーゲンは、硬化溶液
に溶解して用いてもよいし、硬化溶液とは別の溶液にし
て用いてもよいし、粉末状態で用いてもよい。コラーゲ
ン溶液のコラーゲン濃度は、特に限定されないが、0.
01〜35重量%の範囲が好ましく、有機酸の共存下で
は0.05〜35重量%の範囲が好ましく、タンニン酸
の共存下では0.01〜30重量%の範囲が好ましく、
有機酸およびタンニン酸の共存下では0.01〜30重
量%の範囲が好ましい。
これらの各範囲を下回ると、コラーゲン、タンニン酸に
よる硬化遅延効果が発揮されなくなることがあり、これ
らの各範囲を上回ると、練和前の有機酸溶液中でコラー
ゲンが分解されたり、溶液粘度が上がりすぎたりするこ
とがある。コラーゲンを粉末状態で用いる場合には、上
記の理由により上記平均粒子径であることが好ましい。
この発明では、タンニン、タンニン誘導体およびコラー
ゲンからなる群の中から選ばれた少なくとも1種を用い
ることにより、リン酸カルシウム粉末の硬化反応の進行
を遅くしている。これにより、練和時の操作性が良くな
り、また、粉/液比を高めることができ、より強度の高
い硬化物を得ることができる。また、充填に比較的長い
時間を要する用途、たとえば、歯根管の空洞を埋める根
管充填材などに用いることが可能である。なお、硬化遅
延効果は、タンニン酸およびコラーゲンをそれぞれ一方
ずつ使用する場合よりも、両者を併用する場合の方が大
きい。
この発明にかかる医科用および歯科用硬化性材料は、室
温または生体の体温付近の温度で、混和し練°和するこ
とにより硬化させることができ、これにより、反応熱に
よる細胞の壊死などの問題がない。
この発明にかかる医科用および歯科用硬化性材料は、た
とえば、次のようなものがある。
■ リン酸カルシウム粉末とタンニン酸の組み合わせか
らなる系。
この系の材料は、タンニン酸溶液が硬化溶液となる。そ
の粉/液比は、特に限定されないが、0゜1〜5 g 
/ m lの範囲が好ましい。この範囲を下回ると、硬
化が不充分となることがあり、この範囲を上回ると、室
温下で充分練和できなくなることがある。
■の系の材料の反応機構は、X線粉末回折、赤外吸収ス
ペクトルおよび走査電子顕微鏡像等による解析結果から
、たとえば、つぎのようなものであると考えられる。リ
ン酸カルシウム粉末とタンニン酸溶液とを室温または生
体の体温付近の温度で混和し、練和すると、粉末中の4
CPに水が配位してリン酸へカルシウム(Ca @ H
*(P O4)*・5H,0,以下、rOcPJと称す
る)を生成する。また、α−TCPも含む場合には、こ
れに水が配位して非晶質リン酸カルシウム(Can(P
O2)z  ・nHz O0以下、rACPJと称する
〕を生成する。他方、タンニン酸が会合体(繊維状のも
のと考えられる)を形成している。OCPやACPがタ
ンニン酸会合体に凝集し、この状態で経時的にocpや
ACPがHApに転化して硬化が進む。
■ リン酸カルシウム粉末、タンニン酸およびコラーゲ
ンの組み合わせからなる系。
この系も、上記■の系と同様にタンニン酸が硬化剤であ
ってかつ硬化遅延剤となり、コラーゲンが硬化遅延剤と
して働く。また、タンニン酸はコラーゲンにも作用して
架橋を行う。コラーゲンが含まれていることにより、周
囲の生体組織との親和性が良好である。コラーゲンは、
タンニン酸溶液とは別の溶液にして用いてもよいし、タ
ンニン酸溶液に溶解させて用いてもよいし、粉末の状態
で用いてもよい。
■の系の材料の使用割合は、特に限定されないが、リン
酸カルシウム粉末10〜80重量部に対して、タンニン
酸0.01〜20重量部およびコラーゲン0.01〜2
0重量部の各範囲が好ましい。
タンニン酸がその範囲を下回ると、硬化が不充分となる
ことがあり、その範囲を上回ると、練和時にリン酸カル
シウム粉末を充分練和できなくなることがある。コラー
ゲンがその範囲を下回ると、硬化物の強度が低すぎるこ
とがあり、その範囲を上回ると、室温下で充分練和でき
なくなることがある。
■の系の材料の反応機構は、X線粉末回折、赤外吸収ス
ペクトルおよび走査電子顕微鏡像等による解析結果から
、たとえば、つぎのようなものであると考えられる。リ
ン酸カルシウム粉末、タンニン酸溶液およびコラーゲン
を室温または生体の体温付近の温度で混和し、練和する
と、粉末中の4CPに水が配位してOCPを生成し、α
−TCPも含む場合には、α−TCPに水が配位してA
CPを生成する。他方、コラーゲンとタンニン酸との架
橋構造化した複合体が形成される。この複合体(繊維状
のものと考えられる)に、OCPやACPから転化した
HApが結晶化して凝集し、硬化が進む。
■の系の材料および■の系の材料は、それぞれ、上記の
ように混和して練和すると、硬化剤として有機酸を用い
たものよりも硬化の進行が著しく遅く、軟質の硬化物が
得られる。たとえば、室温または生体の体温付近の温度
で、練和開始後1〜2日間程度で硬化する。このため、
■または■の系の材料は、たとえば、歯根管内の空洞に
充填される根管充填材として利用することができる。
■ リン酸カルシウム粉末、有機酸およびタンニン酸の
組み合わせからなる系。
この系では、有機酸が硬化剤となり、タンニン酸は硬化
遅延剤として働く。タンニン酸は、有機酸溶液とは別の
溶液にして用いてもよいし、有機酸溶液に溶解させて用
いてもよい。
■の系の材料の使用割合は、特に限定されないが、粉末
30〜80重量部に対して、有機酸5〜60重量部およ
びタンニン酸0.01〜10重量部の各範囲が好ましい
。有機酸がその範囲を下回ると、硬化が不充分となるこ
とがあり、その範囲を上回ると、室温下で充分練和でき
なくなることがある。タンニン酸がその範囲を下回ると
、硬化遅延効果が発揮されな(なることがあり、その範
囲を上回ると、室温下で充分練和できなくなることがあ
る。
■の系の材料の反応機構は、X線粉末回折、赤外吸収ス
ペクトルおよび走査電子顕微鏡像等による解析結果から
、たとえば、つぎのようなものであると考えられる。リ
ン酸カルシウム粉末、有機酸溶液およびタンニン酸を室
温または生体の体温付近の温度で混和し、練和すると、
粉末中の4CPのCaや、α−TCPのCaと有機酸の
カルボキシル基との間にキレート結合が生じ、中和反応
が進む。他方、タンニン酸が会合体(繊維状のものと考
えられる)を形成し、そのキレート化物がその会合体に
凝集する。水の存在下、室温または生体の体温付近の温
度でそのキレート化物および未反応の4CPやα−T 
CP、がそれぞれ水和反応をすることによりOCPやA
CPを生°成し、このocpやACPがHApに転化し
、HApがタンニン酸会合体に結晶化して硬化が進む。
■ リン酸カルシウム粉末、有機酸およびコラーゲンの
組み合わせからなる系。
この系でも、有機酸が硬化剤となる。コラーゲンは、硬
化遅延剤として働く。コラーゲンは、有機酸溶液とは別
の溶液にして用いてもよいし、有機酸溶液に溶解させて
用いてもよいし、粉末状態で用いてもよい。
■の系の材料の使用割合は、特に限定されないが、リン
酸カルシウム粉末30〜80重量部に対して、有機酸5
〜70重量部およびコラーゲン0゜01〜30重量部の
各範囲が好ましい、有機酸がその範囲を下回ると、硬化
が不充分となることがあり、その範囲を上回ると、コラ
ーゲンによる硬化遅延効果が発揮されないことがある。
コラーゲンがその範囲を下回ると、硬化物の強度が向上
しないことがあり、その範囲を上回ると、室温下で充分
練和できなくなることがある。
■の系の材料の反応機構は、X線粉末回折、赤外吸収ス
ペクトルおよび走査電子顕微鏡像等による解析結果から
、たとえば、つぎのように生体硬組織のコラーゲン石灰
化モデルに準するものであると考えられる。リン酸カル
シウム粉末、有機酸溶液およびコラーゲンを室温または
生体の体温付近の温度で混和し、練和すると、粉末中の
4CPのCaやα−TCPのCaと有機酸のカルボキシ
ル基との間にキレート結合が生じ、中和反応が進む。他
方、コラーゲンが繊維化し、そのキレート化物がコラー
ゲン繊維に凝集する。水の存在下、室温または生体の体
温付近の温度でそのキレート化物および未反応の4CP
やα−TCPがそれぞれ水和反応をすることによりOC
PやACPを生成し、このocpやACPがHApに転
化し、HApがコラーゲン繊維に結晶化し、硬化が進む
■ リン酸カルシウム粉末、有機酸、タンニン酸および
コラーゲンの組み合わせからなる系。
この系でも、有機酸が硬化溶液となる。タンニン酸およ
びコラーゲンが硬化遅延剤である。タンニン酸およびコ
ラーゲンは、それぞれ、有機酸溶液とは別の溶液にして
用いてもよいし、有機酸溶液に溶解させて用いてもよい
し、タンニン酸およびコラーゲンの両方を含む溶液にし
て用いてもよい。また、コラーゲンは、粉末状態で用い
てもよい。
■の系の材料の使用割合は、特に限定されないが、リン
酸カルシウム粉末30〜80重量部に対して、有機酸5
〜60重量部、タンニン酸0.05〜10重量部および
コラーゲン0.05〜30重量部の各範囲が好ましい、
有機酸がその範囲を下回ると、硬化が不充分となること
があり、その範囲を上回ると、未反応の有機酸が多量に
溶出することがある。タンニン酸がその範囲を下回ると
、硬化物の強度が低下し、しかも硬化遅延効果が発揮さ
れないことがあり、その範囲を上回ると、室温下で充分
練和できなくなることがある。コラーゲンがその範囲を
下回ると、硬化物の強度が低下し、しかも、硬化遅延効
果が発揮されないことがあり、その範囲を上回ると、室
温下で充分練和できなくなることがある。
■の系の材料の反応機構は、X線粉末回折、赤外吸収ス
ペクトルおよび走査電子顕微鏡像等による解析結果から
、たとえば、つぎのように骨組織のコラーゲン石灰化モ
デルに準するものであると考えられる。リン酸カルシウ
ム粉末、有機酸溶液、タンニン酸およびコラーゲンを室
温または生体の体温付近の温度で混和し、練和すると、
粉末中の4CPやα−TCPのCaと有機酸のカルボキ
シル基との間にキレート結合が生じ、中和反応が進む。
他方、タンニン酸とコラーゲンとが架橋構造化した複合
体(繊維状のものと考えられる)を形成する。そのキレ
ート化物がその複合体に凝集する。水の存在下、室温ま
たは生体の体温付近の温度でそのキレート化物および未
反応の4CPやα−TCPがそれぞれ水和反応をするこ
とによりocpやACPを生成し、このocpやACP
がHApに転化し、HApが前記複合体に結晶化し、硬
化が進む。
■〜■の各県の材料をそれぞれ混和して練和すると、タ
ンニン酸やコラーゲンを用いない場合よりも硬化の進行
が遅くなる。たとえば、室温または生体の体温程度の温
度で、練和開始後5〜60分間で硬化し、硬質の硬化物
が得られる。このため、リン酸カルシウム粉末/有機酸
比を高めることができ、これにより、硬化物の強度を強
(することができる。特に、コラーゲンを用いると、リ
ン酸カルシウム粉末/有機酸比を高めなくても、圧縮強
度が強まり、しかも、上記硬化後も経時的に圧縮強度が
高まり、弾性に富むようになる。■〜■の各県の材料は
、たとえば、骨セメント、歯科用セメントなど生体硬組
織の充填、補綴用材料として利用することができる。
■および■の各材料をそれぞれ混和し練和して得た初期
硬化物を37℃のリン酸バッファー化生理的食塩水(P
 B S : Phosphate Buffered
 5aline)中に浸漬してお(と、経時的に破砕抗
力が向上する。すなわち、上記■、■の各材料は、骨セ
メントとして用いると、埋入後も経時的に強度が向上す
るのである。これは、コラーゲンを用いたことによるも
のと考えられる。
■〜■の材料を骨セメントとし、生体の骨に埋入すると
、セメントが生体活性であり、それ自体が骨様構造とな
り、骨組織と一体化してしまう。
すなわち、この発明にかかる硬化性材料のうち、有機酸
を硬化剤として使用し、硬化遅延剤としてタンニン酸お
よびコラーゲンの少なくとも一方を用いるようにしたも
のを骨セメントとして利用すると、埋入してから経時的
に骨組織と置換し、既存部分と一体化する。
なお、上記■〜■の各県の材料は、いずれも、この発明
の目的達成を妨げないならば、上述したちの以外の材料
を含むことが可能である。
また、用途も上記の例に限らない。
以下に、この発明の実施例を比較例とともに示すが、こ
の発明は下記実施例に限定されない。
(実施例1〜13および比較例1〜4)タンニン酸、コ
ラーゲン、および、有機酸を第1表に示す濃度で含む溶
液を調製し、この溶液と第1表に示す配合のリン酸カル
シウム粉末とを第1表に示す粉/液比で混和し、手動で
約1分間練和した。この練和泥を用いて、下記の測定を
行って、結果を第1表に示した。なお、下記の測定では
、すべて、温度23±2℃、相対湿度50±10%の条
件下で、ADAS  1lh61に準じて行った。ただ
し、実施例1および2は、ADAS  Th57による
測定を行った。
(al  初期硬化時間測定 各線和泥を、縦横厚みが151m×15龍×15鶴であ
るガラス板上に置いた内径Ion、高さ5鶴の円筒形ス
テンレス金型内に流し込んで表面を平らにし、練和を終
了した時から1分後に、温度37±1℃、相対湿度10
0%の恒温器中に移し、試験片とした。質量2.94N
 (300g)のピッカー針(針の断面積1酊りをその
試験片の表面に静かに落とし、針跡を残さなくなった時
を、練和開始から起算して初期硬化時間とした。初期硬
化時間は、3回の測定値の平均を15秒単位で丸めて表
した。
(b)  破砕抗力測定 内径6酊、高さ12Hの円筒状ステンレス金型に各線和
泥を充填し、両端を肉厚のガラス板で挟み、加圧した。
練和開始2.5分後、加圧したまま温度37±1℃、相
対湿度100%の恒温器中に移した。1時間後、硬化物
を金型から取り出し、37±1℃の蒸留水中に浸漬し、
練和開始24時間抜に蒸留水から取り出し、試験片とし
た。この試験片を島津オートグラフAG−2000Aを
用いて破砕抗力を測定した。クロスヘアトスピードは1
鶴/分、測定は6個の試験片について行い、その総平均
値の一15%以下の数値を除いた残りの数値の平均値を
測定値とした。ただし、総平均値の一15%以下の数値
が2個以上の時は、再試験を行った。
第1表にみるように、実施例1および2の材料は、有機
酸を硬化剤に用いたものよりも初期硬化の進行が遅く、
根管充填材に適した初期硬化時間を示した。実施例3〜
11と比較例1,3とを対比すると、実施例の方が初期
硬化時間が長かった。実施例12.13のように粉/液
比を高めて硬化物の破砕抗力を高めても、初期硬化時間
が実用上問題ない程度の長さであった。しかし、比較例
2.4では、粉/液比を高めたことにより初期硬化時間
が極端に短くなって実用困難であった。また、コラーゲ
ンを用いたもの(実施例5〜7,9.10.13)では
、初期硬化物の破砕抗力が明らかに向上しており、タン
ニン酸と併用した場合は、それが特に著しかった。
実施例3〜13および比較例1〜4の各材料をそれぞれ
PBSに浸漬しておいたところ、コラーゲンを用いたち
の゛では、初期硬化の後も経時的に破砕抗力が向上して
いた。
また、実施例3〜13および比較例1〜4の各材料をそ
れぞれφ6鶴×長さ12mの円柱状ピースに初期硬化さ
せて、犬の大腿骨欠損部に埋入し、2週間、4週間、6
週間それぞれ経過した後取り出し、骨組織との接着面の
組織観察および骨との固着力を押し出し法で評価した。
その結果、移植2週間後、比較例1〜4の材料では、骨
との直接結合が始まっていたものの軽度の円形細胞浸潤
が見られた。これに対し、実施例3〜13の各材料では
、そのような炎症反応がなく、すでに骨との直接結合が
進んでいた。移植4週間後および6週間後、比較例1〜
4の材料では、次第に炎症症状が消失し、この部分に骨
形成が次第に増量していた。実施例3〜13の各材料で
は、骨組織との界面部に骨細胞も存在していた。特に、
コラーゲンを用いたものでは、多数の骨細胞がその界面
部周辺に存在しており、骨との固着力も飛躍的に増強さ
れていた。
〔発明の効果〕
この発明にかかる医科用および歯科用硬化性材料は、以
上のように、4CPおよびα−TCPのうち少なくとも
4CPを必須成分とするリン酸カルシウム粉末を主材料
とし、硬化遅延剤として、タンニン、タンニン誘導体お
よびコラーゲンからなる群の中から選ばれた少なくとも
1種が用いられるようになっているので、室温または生
体の体温付近の温度で硬化し、硬化時間を長くすること
ができ、しかも、生体為害性を持たない。このため、こ
の発明にかかる医科用および歯科用硬化性材料は、硬化
に長時間を要する用途に利用したり、リン酸カルシウム
粉末/硬化剤との比を高めて強度の強い硬化物を必要と
する用途に利用したりすることができる。
代理人 弁理士  松 本 武 彦

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)リン酸四カルシウムおよびα−リン酸三カルシウ
    ムのうち少なくともリン酸四カルシウムを必須成分とす
    るリン酸カルシウム粉末を主材料とする医科用および歯
    科用硬化性材料であって、硬化遅延剤として、タンニン
    、タンニン誘導体およびコラーゲンからなる群の中から
    選ばれた少なくとも一種が用いられるようになっている
    ことを特徴とする医科用および歯科用硬化性材料。
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