JP2794662B2 - 垂直磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
垂直磁気記録媒体の製造方法Info
- Publication number
- JP2794662B2 JP2794662B2 JP62119919A JP11991987A JP2794662B2 JP 2794662 B2 JP2794662 B2 JP 2794662B2 JP 62119919 A JP62119919 A JP 62119919A JP 11991987 A JP11991987 A JP 11991987A JP 2794662 B2 JP2794662 B2 JP 2794662B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxygen gas
- magnetic
- recording medium
- magnetization film
- magnetic recording
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、高密度記録化に対応する垂直磁気記録媒体
の製造方法に関するものである。 〔発明の概要〕 本発明は、高密度記録化に対応する垂直磁気記録媒体
の製造方法において、非磁性支持体上に酸素ガスを導入
しながら強磁性金属を蒸発材料として真空蒸着によりCo
−O系垂直磁化膜を形成するに際し、酸素ガスの入射角
を所定の角度に制限して導入することにより、垂直磁気
異方性及び電磁変換特性に優れ、機械的強度の高いCo−
O系垂直磁化膜を製造することが可能な垂直磁気記録媒
体の製造方法を提供しようとするものである。 〔従来の技術〕 近年、磁気記録における短波長化と狭トラック化によ
る記録密度の向上は目覚ましく、光記録に近い面記録密
度の実用化が膜面の垂直方向に磁化可能な、所謂垂直磁
化膜を利用した垂直磁気記録媒体を用いることで期待さ
れている。このような状況の中にあって、垂直磁化膜と
してCo−O系垂直磁化膜を用いた垂直磁気記録媒体が提
案されている。 従来、上記Co−O系垂直磁化膜を用いた垂直磁気記録
媒体を製造するにあたっては、例えば特開昭61−208623
号公報に記載されるように、真空雰囲気中で化学活性の
小さいガスを非磁性支持体移動方向の上流側から導入
し、酸素ガスを非磁性支持体移動方向の下流側から導入
してCoを蒸発材料として真空蒸着によりCo−O系垂直磁
化膜を製造する方法が提案されている。この方法によっ
て、高湿下における磁気特性の劣化を抑制するととも
に、耐摩耗性に優れた垂直磁気記録媒体を提供しようと
している。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ところが、上述の製造方法では、使用される真空蒸着
装置の構造上の制約により、酸素ガスを導入する際の入
射角ψが非磁性支持体に対して、高角度に設定されてCo
−O系垂直磁化膜を蒸着形成している。そのため、酸素
ガスの導入圧により非磁性支持体上に蒸着させるCo磁性
層の垂直異方性が乱れやすく、電磁変換特性等の磁気特
性の低下を招く虞がある。 さらに、高角度から酸素ガスを入射した場合には、蒸
着形成されるCo−O系垂直磁化膜と非磁性支持体との間
で充分な剥離強度が得られず、磁性層にクラックが生じ
易い等、機械的強度も充分とはいえない。 そこで、本発明は上述の実情に鑑みて提案されたもの
であって、Co−O系垂直磁化膜の結晶成長を乱すことな
く、垂直磁気異方性及び電磁変換特性に優れ、機械的強
度の高いCo−O系垂直磁化膜を製造することが可能な垂
直磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする
ものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者等は、上述の目的を達成しようと鋭意研究の
結果、非磁性支持体上にCo−O系垂直磁化膜を形成する
際に導入される酸素ガスの入射角を所定の範囲内に制限
することによって良好な磁気特性を有するCo−O系垂直
磁化膜を形成することが可能であるとの知見を得るに至
った。 本発明は、上述の知見に基づいて提案されたものであ
って、非磁性支持体上に酸素ガスを導入しながら強磁性
金属を蒸発材料として真空蒸着によりCo−O系垂直磁化
膜を形成するに際し、酸素ガスを非磁性支持体移動方向
の上流側から導入するとともに、酸素ガスの入射角をφ
(゜)とした時、10゜≦φ≦30゜となるように酸素ガス
を導入することを特徴とするものである。 尚、上記入射角ψとは、第1図に示すように、Co蒸発
ルツボ(4)に対向する冷却キャン(1)の接面の法線
(A)に対する酸素ガス(B)の入射角度を示してい
る。 本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法において、導入
される酸素ガスの入射角ψは、Co蒸発蒸気流の入射角に
近い状態で入射させ、Co−O垂直磁化膜の垂直異方性を
乱さないようにすることが好ましく、10゜≦ψ≦30゜の
範囲内とすることが好ましい。酸素ガスの入射角が10゜
未満の場合には、Co蒸発蒸気流の非磁性支持体上への入
射角と同一となってしまい装置構造上の問題から不適当
である。又、酸素ガスの入射角が30゜より大きい場合に
は、Co蒸発蒸気流の非磁性支持体上への入射の状態を乱
すことになり、Co−O系垂直磁化膜の垂直異方性が乱れ
やすく、電磁変換特性等の磁気特性の低下を招く虞があ
るためである。 また、酸素ガスは、非磁性支持体移動方向の下流側
(第1図中矢印D方向)から導入するよりも、非磁性支
持体移動方向の上流側(第1図中矢印C方向)から導入
する方がよい。非磁性支持体移動方向の上流側から酸素
ガスを導入した場合には、酸素ガスの濃度勾配が作製さ
れるCo−O垂直磁化膜の下層部分に酸素が多く存在する
ことになり、Co−O垂直磁化膜と非磁性支持体との剥離
強度を高めることができ、Co−O垂直磁化膜表面の強度
も高くなる。これに対して非磁性支持体移動方向の下流
側から酸素ガスを導入した場合には、酸素ガスの濃度勾
配が作製されるCo−O垂直磁化膜の上層部分に酸素が多
く存在することになり、Co−O垂直磁化膜表面が傷付き
易くなる虞がある。 本発明で使用される非磁性支持体の材料としては、通
常の磁気記録媒体の非磁性支持体として使用されている
材料であれば何れの材料をも使用することができる。特
に加工性、成形性、可撓性等の点で、有機重合体材料が
適しており、中でもポリエチレンテレフタレート,ポリ
エチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレ
ン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリメチルメ
タアクリレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、
ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミドイミド、
ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、酢
酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂或いはこれらの混合物、共
重合物等が適している。又、非磁性支持体の形状として
は、ドラム状、ディスク状、シート状、テープ状、カー
ド状等いずれでもよい。これら非磁性支持体は、磁気記
録層を形成するに先立ち、易接着化、平面性改良、着
色、帯電防止、耐摩耗性付与等の目的で表面処理や前処
理が行われてもよい。 本発明で垂直磁気記録媒体を製造する際に適用される
真空蒸着法としては、抵抗加熱蒸着、誘導加熱蒸着、電
子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティン
グ、レーザービーム蒸着、アーク放電蒸着等の真空蒸着
法のいずれもが実施可能であるが、垂直磁気記録媒体の
保磁力、異方性磁界等の磁気特性を向上させる上で、又
速い蒸着速度を得るために電子ビーム蒸着、イオンプレ
ーティング等の方法が適しており、さらに操作性、量産
性の工業的観点からは電子ビーム蒸着法が最も適してい
る。 〔作用〕 本発明の製造方法によれば、酸素ガスの入射角ψを10
゜≦ψ≦30゜とすることにより、Co蒸発蒸気流を乱すこ
となく非磁性支持体上に蒸着することができるため、垂
直磁気異方性に優れたCo−O系垂直磁化膜が形成され
る。 又、酸素ガスの導入箇所を非磁性支持体移動方向の上
流側に設定することにより、酸素濃度がCo−O系垂直磁
化膜の下層部分で高くなるため、Co−O系垂直磁化膜と
非磁性支持体との剥離強度が増し、機械的強度に優れた
Co−O系垂直磁化膜が形成される。 〔実施例〕 以下、本発明を適用した実施例について図面を参考に
して説明する。 第1図は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法
を実施する電子ビーム蒸着装置の一例である。上記電子
ビーム蒸着装置は、排気系(5)と電子銃(8)を備え
たチャンバー(6)中に非磁性支持体(9)の供給ロー
ラー(2)、冷却キャン(1)、垂直磁気記録媒体
(9)の巻き取りローラー(3)からなる長尺状非磁性
支持体(9)の走行系と、Coを備えたルツボ(4)と酸
素ガス導入管(7)からなる蒸着系とを備えてなるもの
である。 Co−O系垂直磁化膜が蒸着形成される非磁性支持体
(9)は、非磁性支持体(9)の供給ローラー(2)か
ら供給され、冷却キャン(1)上でCo−O系垂直磁化膜
が形成された後、巻き取りローラー(3)によって巻き
取られる。尚、Co−O系垂直磁化膜を蒸着形成する冷却
キャン(1)は、その表面温度が0℃付近に制御される
ように図示されない冷却機能を有している。 上記Co−O系垂直磁化膜を蒸着形成する冷却キャン
(1)とCoを備えたルツボ(4)との間には遮蔽板(1
0),(10)が備えられ、ルツボ(4)からのCo蒸発蒸
気流の蒸着状態と酸素ガス導入管(7)からの酸素ガス
の導入状態を制御するようになっている。 Coを備えたルツボ(4)は、チャンバー(6)に備え
た電子銃(8)からの電子ビームによって加熱され蒸発
しCo蒸発蒸気流として冷却キャン(1)上に走行する非
磁性支持体(9)表面に蒸着する。その際、非磁性支持
体移動方向上流側に備えられた酸素ガス導入管(7)か
ら酸素ガスも同時に導入され、Co−O系垂直磁化膜が非
磁性支持体(9)上に蒸着形成される。尚、電子銃
(8)からの電子ビームによって加熱され蒸発するCo
は、その蒸着速度を任意に制御して蒸着することができ
る。又、Coを蒸着形成する際に酸素導入管(7)から導
入される酸素ガスの導入量を制御することにより所定の
酸素濃度勾配を有したCo−O系垂直磁化膜を形成するこ
とができる。 尚、本発明の製造方法に使用される装置は、上述の装
置に限定されるものではない。 実施例1 上述のような装置を使用して垂直磁気記録媒体を作製
した。このとき、ルツボ(4)には純度99.9%のCoを用
意し、蒸着速度3500Å/sec、非磁性支持体の走行速度16
m/minとし、Co−O系垂直磁化膜の膜厚が2000Åとなる
ようにした。また、酸素導入管(7)は非磁性支持体移
動方向の上流側(C)に設置し、導入酸素ガスの入射角
を10゜、酸素ガス流量を300cc/minに設定した。蒸着中
の雰囲気ガス圧は2×10-4Torrであった。以上のように
してサンプルテープを作製した。 実施例2 実施例1において、導入酸素ガスの入射角を20゜と
し、後は実施例1と同様の方法よりサンプルテープを作
製した。 実施例3 実施例1において、導入酸素ガスの入射角を30゜と
し、後は実施例1と同様の方法によりサンプルテープを
作製した。 実施例4 実施例1と同様の装置を使用して垂直磁気記録媒体を
作製した。このとき、ルツボ(4)には純度99.9%のCo
を用意し、蒸着速度3500Å/sec、非磁性支持体の走行速
度16m/minとし、Co−O系垂直磁化膜の膜厚が2000Åと
なるようにした。また、酸素導入管(7)は非磁性支持
体移動方向の下流側(D)に設置し、導入酸素ガスの入
射角を30゜、酸素ガス流量を300cc/minに設定した。蒸
着中の雰囲気ガス圧は2×10-4Torrであった。以上のよ
うにしてサンプルテープを作製した。 比較例1 実施例4において、導入酸素ガスの入射角を60゜と
し、後は実施例4と同様の方法によりサンプルテープを
作製した。 上述のようにして作製した各サンプルテープについ
て、飽和磁束密度Bs、垂直方向保磁力Hc、異方性磁界H
k、機械的耐久性について測定を行った。尚、機械的耐
久性については、磁性層表面にリン酸エステル循環剤を
塗布し、スチル耐久性及びスチル耐久性測定後の目視観
察による表面状態を評価した。表面状態は、スチル耐久
性測定後の磁性層表面に傷の発生がないものを○印で、
又スチル耐久性測定後の磁性層表面に傷の発生があった
ものを×印で表した。その結果を第1表に示す。また、
実施例1,実施例2及び比較例1についての記録波長と再
生出力の関係を第2図に示す。尚、第2図中記号Aは実
施例1に、記号Bは実施例2に、記号Cは比較例1にそ
れぞれ対応している。 第1表及び第2図より明らかなように、本発明による
製造方法を適用して製造した垂直磁気記録媒体は、優れ
た磁気特性、電磁変換特性、機械的耐久性を兼ね備えて
いることがわかる。尚、酸素ガスを下流側から導入した
場合には、磁気特性は良好であるものの、耐久性の点で
垂直磁気記録媒体の表面に傷が付き易いという問題があ
る。 〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように、Co−O系垂直磁化膜
を製造する際に導入する酸素ガスの入射角ψを10゜≦ψ
≦30゜の範囲内とすることにより、Co蒸発蒸気流の流れ
が乱れることなく良好に非磁性支持体上に蒸着するため
垂直異方性に優れた垂直磁気記録媒体となる。 又、酸素ガスの導入箇所を非磁性支持体移動方向の上
流側に設定することにより、酸素濃度がCo−O系垂直磁
化膜の下層部分で高くなるため、Co−O系垂直磁化膜と
非磁性支持体との剥離強度が増し、機械的強度に優れた
Co−O系垂直磁化膜を形成することができる。 従って、本発明方法を適用することによって、垂直磁
気異方性及び電磁変換特性に優れ、機械的強度の高いCo
−O系垂直磁化膜を製造することができる。
の製造方法に関するものである。 〔発明の概要〕 本発明は、高密度記録化に対応する垂直磁気記録媒体
の製造方法において、非磁性支持体上に酸素ガスを導入
しながら強磁性金属を蒸発材料として真空蒸着によりCo
−O系垂直磁化膜を形成するに際し、酸素ガスの入射角
を所定の角度に制限して導入することにより、垂直磁気
異方性及び電磁変換特性に優れ、機械的強度の高いCo−
O系垂直磁化膜を製造することが可能な垂直磁気記録媒
体の製造方法を提供しようとするものである。 〔従来の技術〕 近年、磁気記録における短波長化と狭トラック化によ
る記録密度の向上は目覚ましく、光記録に近い面記録密
度の実用化が膜面の垂直方向に磁化可能な、所謂垂直磁
化膜を利用した垂直磁気記録媒体を用いることで期待さ
れている。このような状況の中にあって、垂直磁化膜と
してCo−O系垂直磁化膜を用いた垂直磁気記録媒体が提
案されている。 従来、上記Co−O系垂直磁化膜を用いた垂直磁気記録
媒体を製造するにあたっては、例えば特開昭61−208623
号公報に記載されるように、真空雰囲気中で化学活性の
小さいガスを非磁性支持体移動方向の上流側から導入
し、酸素ガスを非磁性支持体移動方向の下流側から導入
してCoを蒸発材料として真空蒸着によりCo−O系垂直磁
化膜を製造する方法が提案されている。この方法によっ
て、高湿下における磁気特性の劣化を抑制するととも
に、耐摩耗性に優れた垂直磁気記録媒体を提供しようと
している。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ところが、上述の製造方法では、使用される真空蒸着
装置の構造上の制約により、酸素ガスを導入する際の入
射角ψが非磁性支持体に対して、高角度に設定されてCo
−O系垂直磁化膜を蒸着形成している。そのため、酸素
ガスの導入圧により非磁性支持体上に蒸着させるCo磁性
層の垂直異方性が乱れやすく、電磁変換特性等の磁気特
性の低下を招く虞がある。 さらに、高角度から酸素ガスを入射した場合には、蒸
着形成されるCo−O系垂直磁化膜と非磁性支持体との間
で充分な剥離強度が得られず、磁性層にクラックが生じ
易い等、機械的強度も充分とはいえない。 そこで、本発明は上述の実情に鑑みて提案されたもの
であって、Co−O系垂直磁化膜の結晶成長を乱すことな
く、垂直磁気異方性及び電磁変換特性に優れ、機械的強
度の高いCo−O系垂直磁化膜を製造することが可能な垂
直磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする
ものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者等は、上述の目的を達成しようと鋭意研究の
結果、非磁性支持体上にCo−O系垂直磁化膜を形成する
際に導入される酸素ガスの入射角を所定の範囲内に制限
することによって良好な磁気特性を有するCo−O系垂直
磁化膜を形成することが可能であるとの知見を得るに至
った。 本発明は、上述の知見に基づいて提案されたものであ
って、非磁性支持体上に酸素ガスを導入しながら強磁性
金属を蒸発材料として真空蒸着によりCo−O系垂直磁化
膜を形成するに際し、酸素ガスを非磁性支持体移動方向
の上流側から導入するとともに、酸素ガスの入射角をφ
(゜)とした時、10゜≦φ≦30゜となるように酸素ガス
を導入することを特徴とするものである。 尚、上記入射角ψとは、第1図に示すように、Co蒸発
ルツボ(4)に対向する冷却キャン(1)の接面の法線
(A)に対する酸素ガス(B)の入射角度を示してい
る。 本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法において、導入
される酸素ガスの入射角ψは、Co蒸発蒸気流の入射角に
近い状態で入射させ、Co−O垂直磁化膜の垂直異方性を
乱さないようにすることが好ましく、10゜≦ψ≦30゜の
範囲内とすることが好ましい。酸素ガスの入射角が10゜
未満の場合には、Co蒸発蒸気流の非磁性支持体上への入
射角と同一となってしまい装置構造上の問題から不適当
である。又、酸素ガスの入射角が30゜より大きい場合に
は、Co蒸発蒸気流の非磁性支持体上への入射の状態を乱
すことになり、Co−O系垂直磁化膜の垂直異方性が乱れ
やすく、電磁変換特性等の磁気特性の低下を招く虞があ
るためである。 また、酸素ガスは、非磁性支持体移動方向の下流側
(第1図中矢印D方向)から導入するよりも、非磁性支
持体移動方向の上流側(第1図中矢印C方向)から導入
する方がよい。非磁性支持体移動方向の上流側から酸素
ガスを導入した場合には、酸素ガスの濃度勾配が作製さ
れるCo−O垂直磁化膜の下層部分に酸素が多く存在する
ことになり、Co−O垂直磁化膜と非磁性支持体との剥離
強度を高めることができ、Co−O垂直磁化膜表面の強度
も高くなる。これに対して非磁性支持体移動方向の下流
側から酸素ガスを導入した場合には、酸素ガスの濃度勾
配が作製されるCo−O垂直磁化膜の上層部分に酸素が多
く存在することになり、Co−O垂直磁化膜表面が傷付き
易くなる虞がある。 本発明で使用される非磁性支持体の材料としては、通
常の磁気記録媒体の非磁性支持体として使用されている
材料であれば何れの材料をも使用することができる。特
に加工性、成形性、可撓性等の点で、有機重合体材料が
適しており、中でもポリエチレンテレフタレート,ポリ
エチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレ
ン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリメチルメ
タアクリレート、ポリカーボネート、ポリスルフォン、
ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフ
ィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアミドイミド、
ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、酢
酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂或いはこれらの混合物、共
重合物等が適している。又、非磁性支持体の形状として
は、ドラム状、ディスク状、シート状、テープ状、カー
ド状等いずれでもよい。これら非磁性支持体は、磁気記
録層を形成するに先立ち、易接着化、平面性改良、着
色、帯電防止、耐摩耗性付与等の目的で表面処理や前処
理が行われてもよい。 本発明で垂直磁気記録媒体を製造する際に適用される
真空蒸着法としては、抵抗加熱蒸着、誘導加熱蒸着、電
子ビーム蒸着、イオンビーム蒸着、イオンプレーティン
グ、レーザービーム蒸着、アーク放電蒸着等の真空蒸着
法のいずれもが実施可能であるが、垂直磁気記録媒体の
保磁力、異方性磁界等の磁気特性を向上させる上で、又
速い蒸着速度を得るために電子ビーム蒸着、イオンプレ
ーティング等の方法が適しており、さらに操作性、量産
性の工業的観点からは電子ビーム蒸着法が最も適してい
る。 〔作用〕 本発明の製造方法によれば、酸素ガスの入射角ψを10
゜≦ψ≦30゜とすることにより、Co蒸発蒸気流を乱すこ
となく非磁性支持体上に蒸着することができるため、垂
直磁気異方性に優れたCo−O系垂直磁化膜が形成され
る。 又、酸素ガスの導入箇所を非磁性支持体移動方向の上
流側に設定することにより、酸素濃度がCo−O系垂直磁
化膜の下層部分で高くなるため、Co−O系垂直磁化膜と
非磁性支持体との剥離強度が増し、機械的強度に優れた
Co−O系垂直磁化膜が形成される。 〔実施例〕 以下、本発明を適用した実施例について図面を参考に
して説明する。 第1図は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法
を実施する電子ビーム蒸着装置の一例である。上記電子
ビーム蒸着装置は、排気系(5)と電子銃(8)を備え
たチャンバー(6)中に非磁性支持体(9)の供給ロー
ラー(2)、冷却キャン(1)、垂直磁気記録媒体
(9)の巻き取りローラー(3)からなる長尺状非磁性
支持体(9)の走行系と、Coを備えたルツボ(4)と酸
素ガス導入管(7)からなる蒸着系とを備えてなるもの
である。 Co−O系垂直磁化膜が蒸着形成される非磁性支持体
(9)は、非磁性支持体(9)の供給ローラー(2)か
ら供給され、冷却キャン(1)上でCo−O系垂直磁化膜
が形成された後、巻き取りローラー(3)によって巻き
取られる。尚、Co−O系垂直磁化膜を蒸着形成する冷却
キャン(1)は、その表面温度が0℃付近に制御される
ように図示されない冷却機能を有している。 上記Co−O系垂直磁化膜を蒸着形成する冷却キャン
(1)とCoを備えたルツボ(4)との間には遮蔽板(1
0),(10)が備えられ、ルツボ(4)からのCo蒸発蒸
気流の蒸着状態と酸素ガス導入管(7)からの酸素ガス
の導入状態を制御するようになっている。 Coを備えたルツボ(4)は、チャンバー(6)に備え
た電子銃(8)からの電子ビームによって加熱され蒸発
しCo蒸発蒸気流として冷却キャン(1)上に走行する非
磁性支持体(9)表面に蒸着する。その際、非磁性支持
体移動方向上流側に備えられた酸素ガス導入管(7)か
ら酸素ガスも同時に導入され、Co−O系垂直磁化膜が非
磁性支持体(9)上に蒸着形成される。尚、電子銃
(8)からの電子ビームによって加熱され蒸発するCo
は、その蒸着速度を任意に制御して蒸着することができ
る。又、Coを蒸着形成する際に酸素導入管(7)から導
入される酸素ガスの導入量を制御することにより所定の
酸素濃度勾配を有したCo−O系垂直磁化膜を形成するこ
とができる。 尚、本発明の製造方法に使用される装置は、上述の装
置に限定されるものではない。 実施例1 上述のような装置を使用して垂直磁気記録媒体を作製
した。このとき、ルツボ(4)には純度99.9%のCoを用
意し、蒸着速度3500Å/sec、非磁性支持体の走行速度16
m/minとし、Co−O系垂直磁化膜の膜厚が2000Åとなる
ようにした。また、酸素導入管(7)は非磁性支持体移
動方向の上流側(C)に設置し、導入酸素ガスの入射角
を10゜、酸素ガス流量を300cc/minに設定した。蒸着中
の雰囲気ガス圧は2×10-4Torrであった。以上のように
してサンプルテープを作製した。 実施例2 実施例1において、導入酸素ガスの入射角を20゜と
し、後は実施例1と同様の方法よりサンプルテープを作
製した。 実施例3 実施例1において、導入酸素ガスの入射角を30゜と
し、後は実施例1と同様の方法によりサンプルテープを
作製した。 実施例4 実施例1と同様の装置を使用して垂直磁気記録媒体を
作製した。このとき、ルツボ(4)には純度99.9%のCo
を用意し、蒸着速度3500Å/sec、非磁性支持体の走行速
度16m/minとし、Co−O系垂直磁化膜の膜厚が2000Åと
なるようにした。また、酸素導入管(7)は非磁性支持
体移動方向の下流側(D)に設置し、導入酸素ガスの入
射角を30゜、酸素ガス流量を300cc/minに設定した。蒸
着中の雰囲気ガス圧は2×10-4Torrであった。以上のよ
うにしてサンプルテープを作製した。 比較例1 実施例4において、導入酸素ガスの入射角を60゜と
し、後は実施例4と同様の方法によりサンプルテープを
作製した。 上述のようにして作製した各サンプルテープについ
て、飽和磁束密度Bs、垂直方向保磁力Hc、異方性磁界H
k、機械的耐久性について測定を行った。尚、機械的耐
久性については、磁性層表面にリン酸エステル循環剤を
塗布し、スチル耐久性及びスチル耐久性測定後の目視観
察による表面状態を評価した。表面状態は、スチル耐久
性測定後の磁性層表面に傷の発生がないものを○印で、
又スチル耐久性測定後の磁性層表面に傷の発生があった
ものを×印で表した。その結果を第1表に示す。また、
実施例1,実施例2及び比較例1についての記録波長と再
生出力の関係を第2図に示す。尚、第2図中記号Aは実
施例1に、記号Bは実施例2に、記号Cは比較例1にそ
れぞれ対応している。 第1表及び第2図より明らかなように、本発明による
製造方法を適用して製造した垂直磁気記録媒体は、優れ
た磁気特性、電磁変換特性、機械的耐久性を兼ね備えて
いることがわかる。尚、酸素ガスを下流側から導入した
場合には、磁気特性は良好であるものの、耐久性の点で
垂直磁気記録媒体の表面に傷が付き易いという問題があ
る。 〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように、Co−O系垂直磁化膜
を製造する際に導入する酸素ガスの入射角ψを10゜≦ψ
≦30゜の範囲内とすることにより、Co蒸発蒸気流の流れ
が乱れることなく良好に非磁性支持体上に蒸着するため
垂直異方性に優れた垂直磁気記録媒体となる。 又、酸素ガスの導入箇所を非磁性支持体移動方向の上
流側に設定することにより、酸素濃度がCo−O系垂直磁
化膜の下層部分で高くなるため、Co−O系垂直磁化膜と
非磁性支持体との剥離強度が増し、機械的強度に優れた
Co−O系垂直磁化膜を形成することができる。 従って、本発明方法を適用することによって、垂直磁
気異方性及び電磁変換特性に優れ、機械的強度の高いCo
−O系垂直磁化膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用した垂直磁気記録媒体を作製する
真空蒸着装置の一例を示す概略図である。 第2図は本発明を適用して作製した垂直磁気記録媒体の
記録波長と再生出力との関係を示す特性図である。 1……冷却キャン 2……供給ローラー 3……巻き取りローラー 4……ルツボ 7……酸素ガス導入管 8……電子銃 9……非磁性支持体
真空蒸着装置の一例を示す概略図である。 第2図は本発明を適用して作製した垂直磁気記録媒体の
記録波長と再生出力との関係を示す特性図である。 1……冷却キャン 2……供給ローラー 3……巻き取りローラー 4……ルツボ 7……酸素ガス導入管 8……電子銃 9……非磁性支持体
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭62−97133(JP,A)
特開 昭62−185246(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
G11B 5/85
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.非磁性支持体上に酸素ガスを導入しながら強磁性金
属を蒸発材料として真空蒸着によりCo−O系垂直磁化膜
を形成するに際し、 酸素ガスを非磁性支持体移動方向の上流側から導入する
とともに、 酸素ガスの入射角をψ(゜)とした時、 10゜≦ψ≦30゜ となるように酸素ガスを導入することを特徴とする垂直
磁気記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62119919A JP2794662B2 (ja) | 1987-05-16 | 1987-05-16 | 垂直磁気記録媒体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62119919A JP2794662B2 (ja) | 1987-05-16 | 1987-05-16 | 垂直磁気記録媒体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63285725A JPS63285725A (ja) | 1988-11-22 |
JP2794662B2 true JP2794662B2 (ja) | 1998-09-10 |
Family
ID=14773424
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62119919A Expired - Fee Related JP2794662B2 (ja) | 1987-05-16 | 1987-05-16 | 垂直磁気記録媒体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2794662B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0687306B2 (ja) * | 1985-10-24 | 1994-11-02 | 松下電器産業株式会社 | 磁気記録媒体の製造方法 |
JPS62185246A (ja) * | 1986-02-10 | 1987-08-13 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 磁気記録媒体の製造方法 |
-
1987
- 1987-05-16 JP JP62119919A patent/JP2794662B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63285725A (ja) | 1988-11-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CA1235808A (en) | Vertical magnetic recording medium and process for preparation thereof | |
JP2794662B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS6148128A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
US4713262A (en) | Manufacturing method for a magnetic recording medium | |
JP2785272B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2546268B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体 | |
JP2650300B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS61276124A (ja) | 垂直磁気記録媒体の製造方法 | |
JP2508711B2 (ja) | 垂直磁気記録媒体 | |
JP2946748B2 (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS59157828A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH01109531A (ja) | 垂直磁気記録媒体の製造方法 | |
JPH01303623A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH06333225A (ja) | 薄膜磁気記録媒体 | |
JPH02216610A (ja) | 磁気記録媒体及びその製造方法 | |
JPS61227222A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH04132015A (ja) | CoCr垂直磁気記録テープおよびその製造方法 | |
JPH01307914A (ja) | 垂直磁気記録媒体 | |
JPH06176360A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法 | |
JPS60160027A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPS61214136A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法およびその装置 | |
JPS6154044A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法およびその装置 | |
JPS6246435A (ja) | 磁気記録媒体の製造方法およびその装置 | |
JPH0479043B2 (ja) | ||
JPH01319120A (ja) | 磁気記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |