JP2793777B2 - 小屋組構成部材 - Google Patents

小屋組構成部材

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JP2793777B2
JP2793777B2 JP6208740A JP20874094A JP2793777B2 JP 2793777 B2 JP2793777 B2 JP 2793777B2 JP 6208740 A JP6208740 A JP 6208740A JP 20874094 A JP20874094 A JP 20874094A JP 2793777 B2 JP2793777 B2 JP 2793777B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木造建築等の小屋組を
構築するための構造材として使用される小屋組構成部材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木造建築等の小屋組は、梁上に複
数本の束を立設し、それら各束上に棟木や母屋を載設
し、その棟木及び母屋上にたる木を架設することにより
構成されているのが一般的である。
【0003】しかして、従来のものは、木製の角材等に
より構成された梁の上面にほぞ穴を穿設し、このほぞ穴
に束の下端に形成したほぞを嵌合させることによって、
その梁と束とを結合している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、中実の木材
により構成された梁は重いため取扱いに不便であり、軽
量化のために細い材料を使用すると強度が不足するとい
う問題がある。また、ほぞ継手により梁と束とを結合し
たものは、ぼぞやほぞ穴の加工に手間がかかる上に、十
分な強度を得ることが難しいという不具合がある。
【0005】本発明は、これらの問題点を解消すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような構成を採用したものであ
る。すなわち、本発明に係る小屋組構成部材は、枠材の
両面に板材を添接したフラッシュ構造をなす梁と、基端
側がこの梁内に挿入されて前記板材間に挾持され先端側
が梁の上方に延出する束とを具備してなることを特徴と
する。
【0007】梁の望ましい形態としては、下縁に配設し
た下枠材と、上縁に配設した上枠材と、これら上下枠材
間に介設した複数本の縦枠材と、これら枠材の両面に添
接した一対の板材とを具備してなり、束の基端側を、前
記下枠材上に載設するとともに一対の縦枠材により挾持
しているものを挙げることができる。
【0008】梁と壁体とを結合するには、梁の端部に位
置する縦枠材を壁体にボルトにより結合し得るようにす
るのが望ましい。
【0009】壁体が、枠材の両面に板材を添接してなる
フラッシュ構造のパネルを具備してなるものが望まし
く、その場合、梁を壁体とを結合するには、このパネル
の枠材に梁の縦枠材をボルトにより結合し得るようにす
るのが望ましい。
【0010】
【作用】このような構成のものであれば、梁は枠材の両
面に板材を添接してあり、枠材を平行四辺形に変形させ
ようとする荷重に対して高い抗力を有し、両面の板材が
同時に剪断破壊されない限り変形することはない。ま
た、両面に板材が存在すると、ねじりに対しても高い強
度を発揮する。その上、内部が空洞なので、軽くて取扱
いに便利である。
【0011】さらに、束の基端側を梁内に挿入して板材
間に挾持させて、先端側を梁の上方に延出させて束を形
成することによって、束を梁のフラッシュ構造に一体に
しているので、梁と束との結合強度が高い。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照して
説明する。
【0013】図1は、小屋組構成部材1を建築物の壁体
2に架設する場合を示している。和風小屋組の傾斜屋根
は、このように架設した小屋組構成部材1に図示しない
母屋及びたる木を掛け渡し、その上に図示しない野地板
を葺いて構築する。
【0014】小屋組構成部材1は、図2〜4に示すよう
に、木製の角材を釘等で固定した枠材3の両面に板材た
る合板4を添接し釘及び接着剤にて固定したフラッシュ
構造をなす梁5と、基端側6aがこの梁5内に挿入され
て前記合板4間に挾持され先端側6bが梁5の上方に延
出する木製の角材からなる束6とを具備してなるもので
ある。
【0015】梁5は、下枠材7と、上枠材8と、これら
上下枠材7、8間に介設した複数本の縦枠材9と、下枠
材7上の一端に載設した束6とからなる枠材3と、これ
ら枠材3の両面に添接した一対の合板4とを具備してな
る。下枠材7は,小屋組構成部材1と略同一の長さを有
し、梁5の下縁を形成している。上枠材8は複数本から
なり、下枠材7と平行に束6間に架設し、梁5の上縁を
形成している。縦枠材9は、所要の間隔を開けて配設さ
れていて、その内の特定の数本は束6の基端側6aを一
対で挾持している。
【0016】束6は、例えば、前述の枠材3の約2倍の
幅を有する木製の角材からなり、先端側6bを梁5の上
方に延出するとともに、基端側6aを下枠材7上に載設
してあり、一対の縦枠材9により挾持されていて、所要
の間隔で複数個配設してある。各束6は、構築すべき屋
根の勾配に対応する長さを有し、先端側6bを屋根の勾
配と略同一の角度に傾斜している。すなわち、隣接する
束6の先端側6bを結ぶと、その正面視が屋根と同じ勾
配を描く。この時、先端側6bが最高位置にある束6
は、幅を他の束6の例えば約1.5倍にして、その下側
縁には切欠部11を形成しておく。切欠部11は、その
上端11aを上枠材8の上端と等しい位置にしておく。
【0017】梁5の端部に位置する縦枠材9、及び先端
側6bが最高位置にある束6には、それぞれ所要箇所
に、側面を水平に貫通する貫通孔12、13が形成して
ある。貫通孔12、13は後述するボルト14とナット
部材15とから構成される止着具16を挿通するための
ものである。
【0018】合板4は、枠材3の外形寸法と略同一の平
面視を有する平板状のものである。一対の合板4の一方
の両端近傍には、ボルト14を締付操作するための円形
の開口部10が設けてある。
【0019】止着具16は、ボルト14とナット部材1
5とからなり、ボルト14をナット部材15に螺着する
ようにしてある。ボルト14は、枠材3の厚みの二倍弱
の長さを有するものである。ナット部材15は筒体の内
周にめねじを螺刻しためねじ部15aとその一端に形成
した鍔部15bとからなる。
【0020】図5に示す建築物の壁体2は、建築物の外
壁および内壁を構成するものであり、枠材17の前面お
よび後面に板材たる合板18,19を添設してなるフラ
ッシュ構造の複数枚のパネル20、20、21の隣接す
る枠材17同士を、ボルト14およびナット部材15を
介して緊締結合してなるものである。建築物の外壁を構
成する合板19の外面には、工場にて予め外壁材22を
添設しておく。
【0021】パネル20、21は、図6に示すように、
四本の木製の角材を長方形に配設して釘等で固定した枠
材17の前面17aおよび後面17bに、合板18、1
9を添設させたものである。パネル20、21の枠材1
7の前面17aに配設した合板18には、ボルト14を
締付操作するための円形の開口部23が適宜設けてあ
る。互いに一直線をなすように連結されるパネル20と
パネル20には、図6に示すように、それぞれの縦の枠
材17にその側面を水平に貫通する貫通孔24が例え
ば、4カ所ずつ形成してある。パネル20に対して垂直
に連結されるパネル21には、図6に示すように、パネ
ル20と垂直に連結される側の縦の枠材17に水平前後
方向に貫通する貫通孔25が、パネル20と同様の位置
に4カ所形成してあり、残りの縦の枠材17には、パネ
ル20と同様に枠材17の側面を水平に貫通する貫通孔
24が形成してある。貫通孔24、25はボルト14と
ナット部材15を挿通するためのものである。連結され
るパネル20の枠材17の貫通孔24には予め、すなわ
ち工場にて合板18を添設する前に、ナット部材15を
挿入して固定しておく。連結されるパネル21の場合に
は、ナット部材15は、工場にて合板19を添設した
後、外壁材22を添設する前に、枠材17の貫通孔25
に挿入して固定しておく。パネル21に添設する合板1
8、19には、パネル21の枠材17に形成された貫通
孔25と重合する位置に、貫通孔25と同様の孔26、
27が穿設されている。
【0022】さらには、小屋組構成部材1と連結される
壁体2のパネル20の枠材17の所要箇所には、図12
に示すように貫通孔28を形成しておき、その貫通孔2
8には、工場にて合板19を添設した後、外壁材22を
添設する前に、予めナット部材15を挿入して固定して
おく。
【0023】このような構成において、パネル20、2
0同士を一直線をなすように連結するには、図7および
図8に示すように、予めナット部材15を固定してある
パネル20(図7および図8において右側)の左側面す
なわち左側方の枠材17の外側面と、その左側に配設さ
れるパネル20の右側面すなわち右側方の枠材17の外
側面とを貫通孔24、24同士が重合するように当接す
る。その後、ボルト14を図7および図8において左に
位置するパネル20の貫通孔24に挿入して、ナット部
材15と螺着する。このようにして、パネル同士20、
20を一直線をなすように緊締連結する。
【0024】パネル20に対してパネル21を直角に連
結するには、図9および図10に示すように、予めナッ
ト部材15を後面に固定してあるパネル21の枠材17
の前面とパネル20の右側方の枠材17の外側面とを貫
通孔24、25同士が重合するように当接する。その
後、ボルト14をパネル20の貫通孔24に挿入して、
ナット部材15と螺着する。このようにして、パネル2
0とパネル21を直角に緊締連結する。
【0025】このようにして形成した壁体2と小屋組構
成部材1とを結合するには、図1に示すように、梁5の
端部に位置する縦枠材9の貫通孔12と予めナット部材
15を後面に固定してあるパネル20の枠材17の前面
の貫通孔28とを重合するように位置決めする。この場
合、一方の、すなわち束6が延出していない側の枠材3
と結合する壁体2には、図1に示すように、所要箇所に
小屋組構成部材1を組み付ける際に落下を防止する金具
34を固設しておき、その上に小屋組構成部材1を載置
して位置決めする。また、他方の枠材3、すなわち先端
側6bが最高位置にある束6と壁体2とを結合するに
は、束6の下側縁に形成してある切欠部11の上縁11
aを壁体2の上面に当接して位置決めする。その後、図
2に示すように、ボルト14を開口部10を介して縦枠
材9の貫通孔12及び束6の貫通孔13に挿入して、ナ
ット部材と螺着する。このようにして、壁体2と小屋組
構成部材1とを緊締連結する。
【0026】なお、このように小屋組構造部材1を壁体
2と結合して家の構造部材を構築するには、一旦工場に
てパネル20、21及び小屋組構造部材1を所望の形状
に組み立ててボルト14およびナット部材15にて連結
した後、それを運ぶことができる最大の大きさにまで連
結を解いて小さくしたものを現場まで運ぶ。現場では、
それらのパネル20、21及び小屋組構造部材1を再度
所望の形状に組み立てて、前述の連結方法にてパネル同
士20、21を緊締結合する。外壁を構成する側の合板
19には、図11に示すように、予め外壁材22を添接
してあるので、パネル接合部分にシール材29を注入し
てシーリングを行って外面仕上げを完了する。内壁を構
成する部位の合板18には、図11に示すように、防火
用のプラスターボード30を添接する。プラスターボー
ド30には、合板18に穿設している開口部23と重合
する部位に、合板18の開口部23よりも大径で開口部
23と同心の円形の開口部31を形成してある。これら
の合板18およびプラスターボード30に形成している
開口部23、31は、閉塞部材32を嵌合することによ
って閉塞される。閉塞部材32は、図11に断面で示す
ように、プラスターボード30の開口部31とほぼ同径
でプラスターボード30の厚みと等しい厚みの円板の中
央に、その円板と同心で合板18の開口部23とほぼ同
径の円板を乗せた形状を有している。閉塞部材32を上
記のような形状にしておけば、閉塞部材32を開口部2
3、31に嵌合する際に、落下や位置ずれがおこること
もなく、容易に開口部23、31を閉塞して平坦な面を
形成することができる。このようにして形成された面に
内装材たるクロス33を貼設することによって、内壁を
形成する。
【0027】このような構成のものであれば、梁5は枠
材3の両面に合板4を添接してあるので、枠材3を平行
四辺形に変形させようとする荷重に対して高い抗力を有
し、両面の合板4が同時に剪断破壊されない限り変形す
ることはない。また、両面に合板4が存在すると、ねじ
りに対しても高い強度を発揮する。その上、内部が空洞
なので、軽くて取扱いに便利である。
【0028】さらに、束6は、その基端側6aを梁5内
に挿入し、かつ縦枠材9により挾持させて、その先端側
6bを梁5の上方に延出させて形成してあるので、梁5
と束6との結合強度を高くすることができる。ひいて
は、小屋組構造部材1の剛性が高くなる。
【0029】また、このような梁5は、枠材3の両面に
工場で合板4を添接して形成することができ、さらに束
6をも、この梁5内に基端側6aを挿入した状態で、梁
5と同時に工場で形成することができるので、梁5及び
束6の精度を現場施工のものに比べて格段に向上させる
ことができる。そのため、変形し難いことと相まって、
歪みのない高精度の梁5及び束6を構築することができ
る。
【0030】各部の構成は図示実施例に限定されるもの
ではなく、例えば、束6の基端側6aを挾持している縦
枠材9以外の縦枠材は省略してもよく、また、筋違状に
斜めに配設してもよい。
【0031】その他、本発明を逸脱しない範囲で種々変
形が可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明は、以上のようなものであるた
め、梁は枠材の両面に板材を添接し内部に空間を有する
フラッシュ構造にしているため、枠材を平行四辺形に変
形させようとする荷重に対して高い抗力を有し、両面の
板材が同時に剪断破壊されない限り変形することはない
などの構造材として十分な強度を備えて軽量化すること
ができる。
【0033】さらに、束の基端側を梁内に挿入して板材
間に挾持させて、先端側を梁の上方に延出させて束を形
成することによって、束を梁のフラッシュ構造の一構成
部品にしているので、梁と束との結合強度が高い。ひい
ては、小屋組構成部材全体の剛性が高くなる。
【0034】また、このような梁は、枠材の両面に工場
で板材を添接して形成することができ、さらに束をも、
この梁内に基端側を挿入した状態で、梁と同時に工場で
形成することができるので、梁及び束の精度を現場施工
のものに比べて格段に向上させることができる。そのた
め、変形し難いことと相まって、歪みのない高精度の梁
及び束を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が適用された建築物の要部を
示す分解斜視図。
【図2】同実施例を示す斜視図。
【図3】同実施例を分解して示す斜視図。
【図4】同実施例を示す正断面図。
【図5】同実施例が組み付けられる壁体を示す斜視図。
【図6】同壁体を分解して示す斜視図。
【図7】同壁体の一部を破断して示す拡大斜視図。
【図8】同壁体における結合部の要部を示す断面図。
【図9】同壁体の要部を一部を破断して示す拡大斜視
図。
【図10】同壁体における結合部の要部を示す断面図。
【図11】同壁体の使用態様を示す断面図。
【図12】同実施例における小屋組構成部材と壁体との
結合部の要部を示す断面図。
【符号の説明】
1…小屋組構成部材 2…壁体 3…枠材 4…合板 5…梁 6…束 6a…基端側 6b…先端側 7…下枠材 8…上枠材 9…縦枠材
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 7/02 521 E04B 7/20 E04C 2/50 E04C 3/02 - 3/294

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】枠材の両面に板材を添接したフラッシュ構
    造をなす梁と、基端側がこの梁内に挿入されて前記板材
    間に挾持され先端側が梁の上方に延出する束とを具備し
    てなることを特徴とする小屋組構成部材。
  2. 【請求項2】梁が、下縁に配設した下枠材と、上縁に配
    設した上枠材と、これら上下枠材間に介設した複数本の
    縦枠材と、これら枠材の両面に添接した一対の板材とを
    具備してなり、束の基端側を、前記下枠材上に載設する
    とともに一対の縦枠材により挾持していることを特徴と
    する請求項1記載の小屋組構成部材。
  3. 【請求項3】梁の端部に位置する縦枠材を壁体に止着具
    により結合し得るようにしたものである請求項2記載の
    小屋組構成部材。
  4. 【請求項4】壁体が、枠材の両面に板材を添接してなる
    フラッシュ構造のパネルを具備してなるものであり、こ
    のパネルの枠材に梁の縦枠材を止着具により結合し得る
    ようにしたものである請求項3記載の小屋組構成部材。
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