JP2790400B2 - 光ディスク及びその製造方法 - Google Patents

光ディスク及びその製造方法

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JP2790400B2
JP2790400B2 JP4317496A JP31749692A JP2790400B2 JP 2790400 B2 JP2790400 B2 JP 2790400B2 JP 4317496 A JP4317496 A JP 4317496A JP 31749692 A JP31749692 A JP 31749692A JP 2790400 B2 JP2790400 B2 JP 2790400B2
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仁志 磯野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ディスク及びその製造
方法に関し、より詳細には基板素材に高分子媒体が用い
られ、サブミクロンオーダーのトラッキンググルーブ
や、プレピット等の微細パターンが光硬化性樹脂により
形成されている光ディスク及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から、光硬化性樹脂を基板上に塗布
し、表面に微細パターンを有するスタンパーと密着さ
せ、光照射で樹脂を硬化することにより、スタンパーの
微細パターンを樹脂の表面に転写形成する方法があり、
これはいわゆる2P(Photo-Polymer )法として知られ
ている。この際、基板としては、厚さが1mm程度のガ
ラス、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メ
チル(PMMA)等の非晶性高分子材料からなる堅固な
基板、または厚さが10〜100μmのポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)、塩化ビニル(PVC)、ポリイミド(P
I)、ガラス等からなるフレキシブル基板を用いること
ができる。この2P法を用いると光ディスクの案内溝、
プレピット等の微細パターンを容易に形成することがで
きる。そして、微細パターンを形成した光硬化性樹脂膜
の上にスパッタリング法を用いて光記録膜を形成するこ
とにより、書き換え可能な光ディスクを作製できる。
【0003】しかし、このようにして作製した光ディス
クは、2P法に用いた光硬化性樹脂膜の硬化収縮により
反りが生じる。この光ディスクの反りは情報の記録、再
生、消去に用いるレーザー光の焦点合わせを困難とし、
情報の読み取り、書き込みの誤りの原因となる。特にフ
レキシブルな基板は反り、カールが大きい。
【0004】これに対し、この反り及びカールを低減解
消するために、光ディスクの両面に光硬化性樹脂膜を塗
布する方法がある。例えば、特開平3−248341号
公報にあるように、光ディスクの案内溝を形成する光硬
化性樹脂膜と厚さの異なる光硬化性樹脂膜を、基板の案
内溝の無い面に形成することで、あらかじめ光ディスク
が反った状態とし、その上に光磁気記録膜を形成するこ
とによって反りを低減する方法がある。
【0005】また、特開平3−263625号公報に
は、基板上に記録層を設けた光ディスクの構造におい
て、基板上及び記録層の上、すなわち光ディスクの両面
に光硬化性樹脂を形成することで内部応力のバランスを
取り、光ディスクの反りを低減する方法が開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの方法で
作製した光ディスクは、ディスクの両面に光硬化性樹脂
を塗布するため、光ディスクの製造工程が複雑になり、
製造コストが増大するという課題があった。
【0007】また、フレキシブルな基板の両面に光硬化
性樹脂膜を塗布すると、光ディスク全体が厚くなり、柔
軟性が損なわれてしまう。さらに光硬化性樹脂はスパッ
タリング法で記録膜を作製するときに生じる熱によって
加熱収縮を起こすため、これらの方法では設計したとお
りの反り及びカールの低減が得られないという課題があ
った。
【0008】本発明はこれらの課題に鑑みなされたもの
であり、反りが少なく、製造方法が容易で安価な光ディ
スク及びその製造方法をを提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、樹脂基板と、該樹脂基板上に微細
パターンが形成された光硬化性樹脂層と、該光硬化性樹
脂層の上に形成された記録層とを有する光ディスクにお
いて、前記樹脂基板が、予めガラス転移点以上かつ融点
以下の温度でアニールされた基板からなり、前記光硬化
性樹脂層の全応力と、記録膜の全応力とが釣り合うよう
に光硬化性樹脂層の膜厚が調整されてなる光ディスクが
提供される。
【0010】また、本発明によれば、(i) 予め樹脂基板
をガラス転移点以上かつ融点以下の温度でアニールした
後、該基板の片面に光硬化性樹脂を塗布する工程、 (ii)該光硬化性樹脂が塗布された面と光ディスクの案内
溝、プレピットからなる微細パターンを表面にもつスタ
ンパーとを密着させながら、光硬化によって前記微細パ
ターンを前記光硬化性樹脂に転写形成する工程、 (iii) 前記基板を120〜140℃でアニールする工
程、 (iv)前記光硬化性樹脂上へ、スパッタリング法で記録膜
を成膜する工程を含む光ディスクの製造方法が提供され
る。
【0011】本発明の光ディスクは、基板上に光硬化性
樹脂膜と記録膜とが順次形成されているものである。こ
の光ディスクにおいて用いられる基板としては、通常光
ディスク等に用いられるものであれば特に限定されるも
のでなく、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル
酸メチル(PMMA)等の非晶性高分子材料からなる堅
固な基板、またはポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、塩化ビニ
ル(PVC)、ポリイミド(PI)、ガラス等からなる
フレキシブル基板を用いることができる。なお、この基
板上にプライマーを適宜塗布してもよい。また、この基
板は、予め基板のガラス転移点以上かつ融点以下の温度
でアニールされる。これにより、基板内部に存在する残
留内部応力が除去される。
【0012】また、光硬化性樹脂としてはウレタンアク
リレート、アクリル酸エステル、スチレン、メタクリル
酸エステル、アクリロニトリル及びこれらの混合物を用
いることができる。そして、増感剤としてアゾビスイソ
ブチロニトリル、ベンゾフェノン及びこれらの混合物を
加えてもよいし、さらに架橋剤を加えてもよく、市販の
光硬化性樹脂を用いてもよい。
【0013】さらに、記録膜は光磁気記録膜であれば、
その構造は特に限定されるものではなく、反射層/記録
層/保護層/の3層構造、及び反射層/記録層の2層構
造を用いることができるが、反射層/保護層/記録層/
保護層/からなる4層構造が望ましい。そして、保護層
にはAlN、AlSiN、AlTaN、ZnS、Si
N、TiN、SiO、TiO2 を用いることができる。
また、記録層には、DyFeCo、GdTbFeCo、
GdFeCo、GdDyFeCo、TbFeCo、ガー
ネット、PtCoを用いることができる。さらに、反射
層としては高い反射率をもつAl、Pt、Au、Ag、
Cr、Ni及びこれらの合金を用いることができるが、
Alが安価であるので望ましい。その他、記録膜に用い
る媒体として相変化媒体や、追記型記録媒体を用いても
かまわないが光磁気記録媒体が望ましい。
【0014】本発明において、光硬化性樹脂を基板上に
塗布する場合は、スピンコート法、ロールコート法等を
用いることによって、膜厚1〜100μm程度塗布す
る。そして、この光硬化性樹脂の表面に、案内溝、プレ
ピットからなる微細パターンを形成するために、光硬化
性樹脂と、所望の光ディスクの案内溝、プレピットから
なる微細パターンを表面にもつスタンパーと密着させな
がら、光硬化によって光硬化性樹脂を硬化させる。光に
よる硬化は、例えば、通常光硬化性樹脂を硬化させる光
を照射させることにより行うことができる。その際、波
長20〜50nm程度の光線を10〜30℃程度で、1
〜10分間程度照射することにより行うことができる。
【0015】また、上記光硬化性樹脂膜が形成された基
板を120〜140℃程度の温度で熱アニールを施す。
この際、30〜100分間程度アニールすることが好ま
しい。
【0016】さらに、記録層として、光硬化性樹脂上
へ、スパッタリング法で成膜する。この際、ターゲット
として所望の元素からなるターゲット又はその化合物か
らなるターゲットを用いるほかは、通常のスパッタリン
グ法で行うことができる。また、その際、記録層の構造
が反射層/記録層の2層構造の場合には、反射層と記録
層とがそれぞれ30〜100nm程度、10〜50nm
程度の膜厚で形成することが好ましい。反射層/記録層
/保護層/の3層構造の場合には、反射層、記録層と保
護層とがそれぞれ30〜100nm程度、10〜50n
m程度、10〜200nm程度の膜厚で形成することが
好ましい。さらに、反射層/保護層/記録層/保護層/
からなる4層構造の場合には、反射層、保護層、記録層
と保護層とがそれぞれ30〜100nm程度、10〜1
00nm程度、10〜50nm程度、10〜200nm
程度の膜厚で形成することが好ましい。また、それ以上
の場合には、記録層全体として約100〜700nmの
膜厚で形成することが好ましい。つまり、記録層の厚み
を光硬化性樹脂の膜厚の1/10〜1/200に形成す
ることが好ましい。
【0017】従って、本発明によれば、光硬化性樹脂膜
と記録膜との内部応力が互いに水平方向に逆向きで、か
つその大きさが等しくなる。内部応力としては、1.0
×106 〜1.0×108 dyn/cm2 程度の範囲が
好ましく、その方向は互いに逆向き、すなわち引張り方
向と圧縮方向であることが好ましい。
【0018】
【作用】本発明によれば、樹脂基板と、該基板上に微細
パターンが形成された光硬化性樹脂層と、該光硬化性樹
脂層の上に形成された記録層とを有する光ディスクにお
いて、前記樹脂基板が、予めガラス転移点以上かる融点
以下の温度でアニールされた基板からなり、前記光硬化
性樹脂層の全応力と、記録膜の全応力とが釣り合うよう
に光硬化性樹脂層の膜厚が調整されてなるので、それら
の内部応力を光ディスクの片側で打ち消しあうことによ
って、設計したとおりの反り及びカールの低減が得られ
る。また、樹脂基板が、予めガラス転移点以上かつ融点
以下の温度でアニールされた基板からなるため、基板自
体に残留する内部応力が除去される。
【0019】また、本発明によれば、(i) 予め樹脂基板
をガラス転移点以上かつ融点以下の温度でアニールした
後、該基板の片面に光硬化性樹脂を塗布する工程、 (ii)該光硬化性樹脂が塗布された面と光ディスクの案内
溝、プレピットからなる微細パターンを表面にもつスタ
ンパーとを密着させながら、光硬化によって前記微細パ
ターンを前記光硬化性樹脂に転写形成する工程、 (iii) 前記基板を120〜140℃でアニールする工
程、 (iv)前記光硬化性樹脂上へ、スパッタリング法で記録膜
を成膜する工程を含むので、光硬化性樹脂は、光硬化後
の熱アニールでその内部応力、すなわち加熱収縮が飽和
する。よって、スパッタリング法で前記記録膜を成膜す
る時の熱で、光硬化性樹脂がさらに収縮することがなく
なる。しかも、予め樹脂基板をガラス転移点以上かつ融
点以下の温度でアニールするため、基板自体に残存する
内部応力が完全に除去されることとなる。
【0020】従って、設計したとおりの反り及びカール
の低減が得られ、環境の変化による反りの増大がなくな
る。
【0021】
【実施例】本発明の光ディスク及び光ディスクの製造方
法の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明は以下
の実施例に限定されるものではない。
【0022】実施例1 図1(d)に示したように、直径90mm、厚さ1.2
mmのPC製光ディスク基板10の片面に、光硬化性樹
脂膜11として膜厚20μm程度の大日本インキ製ダイ
キュアクリアSTM−402が塗布されている。この光
硬化性樹脂膜11の表面には、光ディスクの微細パター
ンが転写されている。光硬化性樹脂膜11上には、さら
にAlN保護層80nm、DyFeCo記録層20n
m、AlN保護層25nm、Al反射層50nmからな
る厚さが175nmである光磁気記録膜12が形成され
ている。
【0023】次に、このように構成される光ディスクの
製造方法について説明する。図1(a)に示したよう
に、PC製光ディスク基板10の片面に、光硬化性樹脂
11(大日本インキ製ダイキュアクリアSTM−40
2)を塗布した。次いで、図1(b)に示したように、
光硬化性樹脂11を塗布した基板10を、光ディスクの
微細パターンを表面にもつスタンパー13と密着させな
がら、2P装置(NIKKA ENGINEERING Co.LTD)の紫外光
光源を用いて、紫外光を500秒間照射して光硬化性樹
脂11を硬化させる。
【0024】これにより、図1(c)に示したように、
スタンパー13の微細パターンを光硬化性樹脂11の表
面に転写形成し、その後、約130℃で1時間、アニー
ルを施し、室温で除冷する。
【0025】さらに、図1(d)に示したように、微細
パターンが転写した光硬化性樹脂11上に、AlN保護
層80nm、DyFeCo記録層20nm、AlN保護
層25nm、Al反射層50nmからなる厚さが175
nmの光磁気記録膜12をスパッタリング法で成膜し
た。このようにして得られた光磁気ディスク14は、中
心から外周部までの反りが1μm以内に収まっている。
【0026】実施例2 図2(f)に示したように、基板として厚さ50μmの
PETフィルム20(帝人製)の片面に光硬化性樹脂2
1(大日本インキ製ダイキュアクリアSTM−402)
が塗布されている。この光硬化性樹脂膜21の表面に
は、光ディスクの微細パターンが転写されている。光硬
化性樹脂膜21上には、さらにAl反射層50nm、A
lN保護層25nm、DyFeCo記録層20nm、A
lN保護層80nmからなる厚さが175nmの光磁気
記録膜22が形成されている。そして、光磁気記録膜2
2及びPETフィルム20の上に保護コートとして光硬
化性樹脂(大日本インキ製SD−301)26a、26
bが厚さ5μmで形成されている。
【0027】次に、このように構成される光ディスクの
製造方法について説明する。まず、図2(a)に示した
ように、PETフィルム20を内径150mmのドーナ
ッツ状治具25に固定し、PETフィルム20の全方向
に均等な張力を与えながら、PETのガラス転移点であ
る70℃以上、融点以下である100℃でPETフィル
ム20を30分間アニール処理し、このPETフィルム
20の巻癖等の残留内部応力を緩和する。そして、室温
まで除冷した。そして、均一な張力を与えながらアニー
ルを施したPETフィルム20を治具25に取り付けた
まま、光硬化性樹脂21として、大日本インキ製ダイキ
ュアクリアSTM−402をPETフィルム20の片面
に塗布した(図2(b))。
【0028】次いで、図2(b)に示したように、光硬
化性樹脂21を塗布したPETフィルム20を、光ディ
スクの微細パターンを表面にもつスタンパー23と密着
させながら、紫外光光源を用いて紫外光を500秒間照
射して光硬化性樹脂21を硬化させた。
【0029】これにより、図2(c)に示したように、
スタンパー23の微細パターンを光硬化性樹脂21の表
面に転写形成し、その後、約130℃で1時間、アニー
ルを施し、室温で除冷した。
【0030】さらに、図2(d)に示したように、微細
パターンが転写した光硬化性樹脂21上に、Al反射層
50nm、AlN保護層25nm、DyFeCo記録層
20nm、AlN保護層80nmからなる厚さが175
nmの光磁気記録膜22をスパッタリング法で成膜し
た。
【0031】その後、図2(e)に示したように、光磁
気記録膜22及びPETフィルム20の上に保護コート
として光硬化性樹脂(大日本インキ製SD−301)2
6a、26bを厚さが5μmになるように同じ厚さで塗
布し、紫外光照射によって硬化させた。
【0032】さらに、上記のPETフィルム20を外径
50mmで切り抜き、図2(f)に示したような、フィ
ルム状フレキシブル光磁気ディスク24を得た。このフ
レキシブル光磁気ディスク24は中心からディスク外周
部までの反りが1μm以内に収まっており、光磁気ディ
スクとして使用するのに差し支えない。
【0033】製造例 図3にフレキシブル光ディスクの量産工程の一例を示
す。ロール状で厚さ10〜100μmのPET、PC、
PEN、PIからなるフィルム31をフィルムの長軸及
び短軸の二軸に一定の張力をかけながら、それぞれのガ
ラス転移温度以上の温度(例えばPETは約100℃、
PC、PENは約180℃、PIはガラス転移点が無い
ので約200℃)に設定したオーブン32に送り、熱ア
ニールを施し、フィルム31の巻癖等の残留内部応力を
除去した。その後、クーラー33へ送り、室温まで除冷
する。次にフィルム31の二軸に均一な張力をかけたま
ま、コート用ローラー34を用いて光硬化性樹脂35
(大日本インキ製STM−402)をフィルム31の片
面に塗布した。そして、光ディスクの微細パターンを表
面にもつスタンパー36と密着させ、紫外光光源37か
ら紫外光を照射して光硬化性樹脂35を硬化し、スタン
パー36の微細パターンを光硬化性樹脂35の表面に転
写形成した。その後、130±10℃に設定したオーブ
ン38に送り、熱アニールを加えた後、クーラー39へ
送り、室温まで除冷した。そして、スパッタリング成膜
装置40を用いて、Al反射層50nm、AlN保護層
25nm、DyFeCo記録層20nm、AlN保護層
80nmからなる厚さが175nmの4層構造の光磁気
記録膜を成膜した。さらに、コート用ローラー41を用
いてフィルム31の両面に光硬化性樹脂(大日本インキ
製SD−301)を厚さが5μmになるように塗布し、
紫外光光源42より紫外光によって保護コートを硬化さ
せた。そして、プレス機43を用いてフィルム31を外
径50mmのディスク状に切り抜き、フィルム状の光デ
ィスク44を得た。残ったフィルム31は巻き取られ
る。このようにして得たフレキシブル光ディスク44は
中心から外周部までの反りが1μm以内に収まってい
た。
【0034】試験例 光硬化性樹脂の内部応力を測定した。図4に示したよう
に、マツナミ・マイクロ・カバーガラス(MATSUNAMI MI
CROCOVER GLASS; 24 ×60mm 厚さ0.12〜0.17mm)51
の表面にプライマー(信越シリコーンKBM5103)
52を塗布し、90℃、30分のベークを施した後、光
硬化性樹脂(大日本インキ製ダイキュアクリアSTM−
402)53を塗布し、2P装置(NIKKA ENGINEERING
Co.LTD)の紫外光光源を用いて光硬化性樹脂を硬化した
ものを用いて測定した。
【0035】図5に紫外光照射時間と光硬化性樹脂の引
っ張り応力の関係を示す。図5中、横軸は紫外光照射時
間、縦軸は光硬化性樹脂の引っ張り応力を示す。500
秒以上の紫外光照射時間で光硬化性樹脂の内部応力が飽
和し、1×107 dyne/cm2の引っ張り応力を得た。
【0036】紫外光照射による内部応力が飽和した後、
熱アニールを加えると光硬化性樹脂がさらに収縮し、内
部応力が引っ張り応力の方向に増大する。
【0037】図6に引っ張り応力の熱アニール温度依存
性を示す。図6中、横軸はアニール温度、縦軸は光硬化
性樹脂の引っ張り応力を示す。130±10℃の熱アニ
ールを加えることにより光硬化性樹脂の内部応力が5×
107 dyne/cm2 の引っ張り応力になった。
【0038】次に、図7に示したように、マツナミ・マ
イクロ・カバーガラス(MATSUNAMIMICRO COVER GLASS;
24 ×60mm 厚さ0.12〜0.17mm)61の表面にスパッタ
リング法でAl反射層50nm62、AlN保護層25
nm63、DyFeCo記録層20nm64、AlN保
護層80nm65からなる厚さが175nmである4層
構造の光磁気記録膜を作成し、内部応力を測定した。
【0039】その結果、5×109 dyne/cm2 の圧縮応
力を得た。また保護層63、65にSiNを用いたこと
以外は同じ構成である厚さが175nmである光磁気記
録膜の内部応力も5×109 dyne/cm2 の圧縮応力であ
った。同様に記録層64にGdFeCoを用いたこと以
外は同じ構成の厚さが175nmである光磁気記録膜の
内部応力も5×109 dyne/cm2 の圧縮応力であった。
また、Al反射層50nm、DyFeCo記録層20n
m、AlN保護層80nmからなる厚さが150nmで
ある3層の光磁気記録膜の内部応力は4×109 dyne/
cm2 の圧縮応力であった。なお、これらの場合、基板上
に光磁気記録膜を形成して内部応力を測定したが、基板
上に形成した光硬化性樹脂上に光磁気記録膜を形成して
内部応力を測定しても、基本的に同じ程度の内部応力を
与えると考えられる。
【0040】ここで膜の全応力は[全応力]=[内部応
力]×[膜厚]である。従って、大日本インキ製ダイキ
ュアクリアSTM−402からなる光硬化性樹脂膜の膜
厚が、Al反射層50nm、AlN保護層25nm、D
yFeCo記録層20nm及びAlN保護層80nmか
らなる厚さが175nmである4層構造の光磁気記録膜
の100倍の膜厚である17.5μmであれば、光硬化
性樹脂膜は内部応力がそれぞれ互いに逆向きでその大き
さが等しくなる。またAl反射層50nm、DyFeC
o記録層20nm及びAlN保護層80nmからなる厚
さが150nmである3層構造の光磁気記録膜を用いた
ときは大日本インキ製ダイキュアクリアSTM−402
からなる光硬化性樹脂膜の膜厚が12μmであれば光硬
化性樹脂膜と記録膜とは内部応力がそれぞれ互いに逆向
きでその大きさが等しくなる。
【0041】そこで、図8に示したように、マツナミ・
マイクロ・カバーガラス(MATSUNAMI MICRO COVER GLAS
S; 24 ×60mm 厚さ0.12〜0.17mm)71の表面にプライ
マー(信越シリコーンKBM5103)72を塗布し、
90℃、30分のベークを施した後、光硬化性樹脂73
(大日本インキ製ダイキュアクリアSTM−402)を
塗布し、2P装置(NIKKA ENGINEERING Co.LTD)の紫外
光光源を用いて紫外光を500秒間照射して樹脂を硬化
させ、厚さ17.5μmの樹脂膜73を得た。光硬化
後、130±10℃のアニールを1時間加えた後室温で
除冷し、Al反射層50nm、AlN保護層25nm、
DyFeCo記録層20nm及びAlN保護層80nm
からなる厚さが175nmである光磁気記録膜74をス
パッタリング法で成膜した。
【0042】このようにしてガラス薄片の片面に多層膜
を積層した測定試料の一端を固定端とし自由端までの反
りを測定すると、その反りが1μm以内に収まる。これ
はガラス薄片の片面に積層した光硬化性樹脂膜73と光
磁気記録膜74の内部応力が、それぞれ互いに逆向きで
大きさが等しいため、内部応力が相殺しあい、反りが抑
制されたことを示す。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂基板と、該基板上
に微細パターンが形成された光硬化性樹脂層と、該光硬
化性樹脂層の上に形成された記録層とを有する光ディス
クにおいて、前記樹脂基板が、予めガラス転移点以上か
つ融点以下の温度でアニールされた基板からなり、前記
光硬化性樹脂層の全応力と、記録膜の全応力とが釣り合
うように光硬化性樹脂層の膜厚が調整されてなるので、
それらの内部応力を光ディスクの片側で打ち消しあうこ
とによって、設計したとおりの反り及びカールの低減を
得ることができる。また、樹脂基板が、予めガラス転移
点以上かつ融点以下の温度でアニールされた基板からな
るため、基板自体に残留する内部応力を除去することが
でき、径時変化の極めて少ない光ディスクを得ることが
可能となる。
【0044】また、本発明によれば、(i) 予め樹脂基板
をガラス転移点以上かつ融点以下の温度でアニールした
後、該基板の片面に光硬化性樹脂を塗布する工程、 (ii)該光硬化性樹脂が塗布された面と光ディスクの案内
溝、プレピットからなる微細パターンを表面にもつスタ
ンパーとを密着させながら、光硬化によって前記微細パ
ターンを前記光硬化性樹脂に転写形成する工程、 (iii) 前記基板を120〜140℃でアニールする工
程、 (iv)前記光硬化性樹脂上へ、スパッタリング法で記録膜
を成膜する工程を含むので、光硬化性樹脂は、光硬化後
の熱アニールでその内部応力、すなわち加熱収縮を飽和
することができ、よって、スパッタリング法で前記記録
膜を成膜する時の熱で、光硬化性樹脂がさらに収縮する
ことを防止することができる。しかも、予め樹脂基板を
ガラス転移点以上かつ融点以下の温度でアニールするた
め、基板自体に残存する内部応力を完全に除去すること
ができるため、径時変化の極めて少ない光ディスクを得
ることが可能となる。
【0045】従って、設計したとおりの反り及びカール
の低減を得ることができ、環境の変化による反りを抑制
することができる。つまり、基板上の内部応力に起因す
るディスクの反りを抑制することができるので、情報の
記録、再生、消去に用いるレーザー光の焦点合わせを容
易とすることが可能となる。また、基板材料にフレキシ
ブルな高分子フィルムを用いることができる。
【0046】また、光硬化性樹脂を基板の片面にしか塗
布しないので、光ディスクを安価に低コストで製造する
ことができる。さらに、内部応力バランスをフィルム基
板の片面だけで行うので、フレキシブル基板の柔軟性を
損なわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる光ディスクの製造方法の実施例
を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係わる光ディスクの製造方法の別の実
施例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係わる光ディスクの製造工程を説明す
るための概略図である。
【図4】光硬化性樹脂の内部応力を測定するための光デ
ィスクの概略断面図である。
【図5】光硬化性樹脂の引っ張り応力とUV光照射時間
との関係を説明するためのグラフである。
【図6】光硬化性樹脂の引っ張り応力と熱アニール温度
との関係を説明するためのグラフである。
【図7】光磁気記録膜の内部応力を測定するための光デ
ィスクの概略断面図である。
【図8】反りを測定するための光ディスクの概略断面図
である。
【符号の説明】
10、20 基板 11、21 光硬化性樹脂膜 12、22 記録膜 13、23 スタンパー
フロントページの続き (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−285534(JP,A) 特開 平4−123333(JP,A) 特開 平4−38635(JP,A) 特開 平2−137141(JP,A) 特開 平1−150101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/24 538

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂基板と、該樹脂基板上に微細パター
    ンが形成された光硬化性樹脂層と、該光硬化性樹脂層の
    上に形成された記録層とを有する光ディスクにおいて、 前記樹脂基板が、予めガラス転移点以上かつ融点以下の
    温度でアニールされた基板からなり、前記光硬化性樹脂
    層の全応力と、記録膜の全応力とが釣り合うように光硬
    化性樹脂層の膜厚が調整されてなることを特徴とする光
    ディスク。
  2. 【請求項2】 (i) 予め樹脂基板をガラス転移点以上か
    つ融点以下の温度でアニールした後、該基板の片面に光
    硬化性樹脂を塗布する工程、 (ii)該光硬化性樹脂が塗布された面と光ディスクの案内
    溝、プレピットからなる微細パターンを表面にもつスタ
    ンパーとを密着させながら、光硬化によって前記微細パ
    ターンを前記光硬化性樹脂に転写形成する工程、 (iii) 前記基板を120〜140℃でアニールする工
    程、 (iv)前記光硬化性樹脂上へ、スパッタリング法で記録膜
    を成膜する工程を含むことを特徴とする光ディスクの製
    造方法。
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