JP2788628B2 - ポリウレタン系レンズ用樹脂の製造方法及び該方法で得られる樹脂からなる光学素子並びにプラスチックレンズ - Google Patents

ポリウレタン系レンズ用樹脂の製造方法及び該方法で得られる樹脂からなる光学素子並びにプラスチックレンズ

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JP2788628B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリウレタン系レン
ズ用樹脂の製造方法及びその樹脂からなるレンズに関す
るものである。さらに詳しくは、一種又は二種以上の硫
黄原子を含有するポリイソシアネート化合物と一種又は
二種以上のメルカプト基を有さず、かつ、硫黄原子を含
有するポリオール化合物とを反応させるポリウレタン系
レンズ用樹脂の製造方法及びその樹脂からなる光学素子
レンズに関するものである。
【0002】プラスチックレンズは、無機レンズに比べ
軽量で割れ難く、染色が可能なため、近年、眼鏡レン
ズ、カメラレンズ等の光学素子に急速に普及してきてい
る。
【0003】
【従来の技術】これらの目的に現在広く用いられている
樹脂としては、ジエチレングリコールビス(アリルカー
ボネート)(以下D.A.C.と称す)をラジカル重合
させたものがある。この樹脂は、耐衝撃性に優れている
こと、軽量であること、染色性に優れていること、切削
性、および研磨性等の加工性が良好であることなどの、
種々の特徴を有している。
【0004】しかしながら屈折率が無機レンズ(nD
1.52)に比べnD=1.50と小さく、ガラスレン
ズと同等の光学特性を得るためには、レンズの中心厚,
コバ厚,および曲率を大きくする必要があり、全体的に
肉厚になることが避けられない。このため、より屈折率
の高いレンズ用樹脂が望まれている。
【0005】さらに、高屈折率を与えるレンズ用樹脂の
1つとして、イソシアネート化合物とジエチレングリコ
ールなどのヒドロキシ化合物との反応(特開昭57−1
36601号公報)、もしくは、テトラブロモビスフェ
ノールAなどのハロゲン原子を含有するヒドロキシ化合
物との反応(特開昭58−164615号公報)や硫黄
を含有するヒドロキシ化合物との反応(特開昭60−1
94401号公報,特開昭60−217229号公
報)、さらにはポリチオール化合物との反応(特開昭6
0−199016号公報,特開昭62−267316号
公報)より得られるポリウレタン系の樹脂等によるプラ
スチックレンズが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
公知の樹脂によるレンズは、D.A.C.を用いたレン
ズよりも屈折率は向上するものの、まだ屈折率の点で不
充分であったり、また屈折率を向上させるべく、分子内
に多数のハロゲン原子或いは芳香環を有する化合物を用
いている為に、分散が大きい、耐候性が悪い、あるいは
比重が大きいといった欠点を有している。
【0007】
【課題を解決する為の手段】このような状況に鑑み、本
発明者らは高屈折率ポリウレタン系レンズ用樹脂につき
検討を加え、一種又は二種以上の硫黄原子を含有するポ
リイソシアネート化合物と一種又は二種以上のメルカプ
ト基を有さず、かつ、硫黄原子を含有するポリオール化
合物とを反応させて得られるポリウレタン系樹脂が、前
述の問題点を解決し、優れた光学物性を持つことを見出
し本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明は一種又は二種以上の、硫黄
原子を含有するポリイソシアネート化合物と一種又は二
種以上の、メルカプト基を有さず、かつ、硫黄原子を含
有するポリオール化合物とを反応させる事を特徴とする
ポリウレタン系レンズ用樹脂の製造方法及び該方法で得
られる樹脂からなる光学素子並びにプラスチックレンズ
である。
【0009】一種又は二種以上の、硫黄原子を含有する
ポリイソシアネート化合物と一種又は二種以上の、メル
カプト基を有さず、かつ、硫黄原子を含有するポリオー
ル化合物とを反応させて得られるポリウレタン系光学素
子並びにプラスチックレンズについては全く知られてい
ない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に於いて原料として用い
る、硫黄原子を含有するポリイソシアネート化合物とし
ては、例えば、チオジエチルジイソシアネート、チオジ
プロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシア
ネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオ
ジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシア
ネート、ジチオジプロピルジイソシアネート等の含硫脂
肪族イソシアネート、ジフェニルスルフィド−2,4’
−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’
−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’
−ジイソシアネートジベンジルチオエーテル、ビス(4
−イソシアネートメチルベンゼン)スルフィド、4,
4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,
3’−ジイソシアネートなどの芳香族スルフィド系イソ
シアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイ
ソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフ
ィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチ
ルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネー
ト、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,
6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニ
ルジスルフィド5,5’−ジイソシアネート、3,3’
−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイ
ソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスル
フィド−3,3’−ジイソシアネートなどの芳香族ジス
ルフィド系イソシアネート、ジフェニルスルホン−4,
4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,
3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,
4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−
4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルス
ルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメ
トキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネー
ト、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネー
トジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニル
スルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ
−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジ
イソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンエチレン
ジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−
ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネ
ートなどの芳香族スルホン系イソシアネート、4−メチ
ル−3−イソシアネートベンゼンスルホニル−4’−イ
ソシアネートフェノールエステル、4−メトキシ−3−
イソシアネートベンゼンスルホニル−4’−イソシアネ
ートフェノールエステルなどのスルホン酸エステル系イ
ソシアネート、4−メチル−3−イソシアネートベンゼ
ンスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシア
ネート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−
4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベン
ゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソ
シアネート、4−メチル−3−イソシアネートベンゼン
スルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネー
トなどの芳香族スルホン酸アミド、チオフェン−2,5
−ジイソシアネート等の含硫複素環化合物その他1,4
−ジチアン−2,5−ジイソシアネートなどが挙げられ
【0011】またこれらの塩素置換体、臭素置換体等の
ハロゲン置換化合物、さらにはこれらのビュウレット化
反応生成物、トリメチロールプロパンとのアダクト反応
生成物、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も
また使用できる。
【0012】これらの含硫イソシアネートの中では室温
で液状でかつ蒸気圧の低いものが好ましい。また熱およ
び光に対する黄変性の点から脂肪族系の含硫イソシアネ
ートの方が望ましい。これらはそれぞれ単独で用いるこ
とも、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0013】またメルカプト基を有さず、かつ、硫黄原
子を含有するポリオール化合物としては、例えばビス−
〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、
ビス−〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕
スルフィド、ビス−〔4−(2,3−ジヒドロキシプロ
ポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(4−ヒ
ドロキシシクロヘキシロキシ)スルフィド、ビス−〔2
−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフ
ェニル〕スルフィド、およびこれらの化合物に水酸基当
たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またプ
ロピレンオキシドが付加された化合物、ジ−(2−ヒド
ロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス−(2−ヒド
ロキシエチルメルカプト)エタン、ビス−(2−ヒドロ
キシエチル)−ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,
5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)
スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブ
チル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェ
ノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’−
チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノー
ル)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチ
ル)−シクロヘキサン等が挙げられる。さらにはこれら
の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体を使用し
てもよい。これらはそれぞれ単独で用いることも、また
二種類以上を混合して用いてもよい。
【0014】これら硫黄原子を含有するポリイソシアネ
ート化合物と、メルカプト基を有さず、かつ、硫黄原子
を含有するポリオール化合物との使用割合は、NCO/
OH(官能基)モル比が通常0.5〜3.0の範囲内、
好ましくは0.5〜1.5の範囲内である。
【0015】本発明に係る光学素子並びにプラスチック
レンズはウレタン樹脂を素材とするものであり、イソシ
アネート基とヒドロキシ基によるウレタン結合を主体と
するが、目的によっては、ウレタン結合以外にアロハネ
ート結合、ウレヤ結合、ビウレット結合等を含有して
も、勿論差し支えない。
【0016】たとえば、ウレタン結合に、さらにイソシ
アネート基を反応させて架橋密度を増大させることは好
ましい結合を与える場合が多い。この場合には反応温度
を少なくとも100℃以上に高くし、イソシアネート成
分を多く使用する。あるいはまた、アミン等を一部併用
し、ウレヤ結合、ビウレット結合を利用することもでき
る。このようにポリイソシアネート化合物と反応するポ
リオール化合物以外のものを使用する場合には、特に着
色の点に留意する必要がある。
【0017】また目的に応じて公知の成形法におけると
同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、油溶染料、充填剤などの種々の物質を添加
してもよい。
【0018】所望の反応速度に調整するために、ポリウ
レタンの製造において用いられる公知の反応触媒を適宜
に添加することもできる。
【0019】本発明のポリウレタン系プラスチックレン
ズ用樹脂の製造方法は通常注型重合法による。具体的に
は、硫黄原子を含有するポリイソシアネート化合物とメ
ルカプト基を有さず、かつ、硫黄原子を含有するポリオ
ール化合物とを混合する。この混合液を必要に応じ適当
な方法で脱泡を行ったのち、モールド中に注入し重合さ
せる。
【0020】また本発明のウレタン系光学素子並びにプ
ラスチックレンズは、必要に応じ、反射防止、高硬度付
与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるい
はファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、
帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、
染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施
すことができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。尚、得られたプラスチックレンズの性能
試験のうち、屈折率、アッベ数、耐候性は以下の試験法
により測定した。屈折率、アッベ数:プルリッヒ屈折計
を用い、20℃で測定した。 耐候性:サンシャインカーボンアークランプを装備した
ウェザーオメーターにレンズをセットし、200時間経
たところでレンズを取り出し試験前のレンズと色相を比
較した。評価基準は、変化なし(○)、わずかに黄変
(△)、黄変(×)とした。
【0022】実施例−1 テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン
15.0g(0.04モル)とチオジエチルジイソシア
ネート13.8g(0.08モル)とを混合し、適宜脱
泡をおこなった後、ガラスモールドとガスケットよりな
るモールド型中に注入した。次いで30℃から120℃
へゆるやかに昇温しながら加熱硬化させた。こうして得
られたレンズは無色透明で耐候性に優れ、屈折率n20 D
=1.59、アッベ数ν20 D=45、比重d20=1.3
6あった。 〔実施例−2〜4、比較例−1〜3〕実施例−1と同様
にして表1の組成でレンズ化を行った。性能試験の結果
を表1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】このようにして得られる本発明のポリウ
レタン系プラスチックレンズ樹脂は高屈折、低分散かつ
無色透明であり、軽量で、耐候性、耐衝撃性に優れた特
徴を有しており、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素
子素材として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 75:00 105:32 B29L 11:00 審査官 橋本 栄和 (56)参考文献 特許2618467(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 18/00 - 18/87 G02B 1/04 B29C 39/00 - 39/02 B29D 11/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一種又は二種以上の、硫黄原子を含有する
    ポリイソシアネート化合物と一種又は二種以上の、メル
    カプト基を有さず、かつ、硫黄原子を含有するポリオー
    ル化合物とを反応させる事を特徴とするポリウレタン系
    レンズ用樹脂の製造方法。
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