JP2766846B2 - チオカルバミン酸s−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズの製造方法、該方法で得られる光学素子及びプラスチックレンズ - Google Patents

チオカルバミン酸s−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズの製造方法、該方法で得られる光学素子及びプラスチックレンズ

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JP2766846B2
JP2766846B2 JP8105121A JP10512196A JP2766846B2 JP 2766846 B2 JP2766846 B2 JP 2766846B2 JP 8105121 A JP8105121 A JP 8105121A JP 10512196 A JP10512196 A JP 10512196A JP 2766846 B2 JP2766846 B2 JP 2766846B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチオカルバミン酸S
−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズの製造
方法、該方法で得られる光学素子及びプラスチックレン
ズに関するものである。さらに詳しくは硫黄原子を含有
するポリイソシアネートとヒドロキシ基を有しメルカプ
ト基以外は硫黄原子を含有しないチオール化合物との混
合物に内部離型剤を添加して注型重合するチオカルバミ
ン酸S−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズ
の製造方法、該方法で得られる光学素子及びプラスチッ
クレンズに関するものである。
【0002】プラスチックレンズは、無機レンズに比べ
軽量で割れ難く、染色が可能なため、近年、眼鏡レン
ズ、カメラレンズ、プリズム、光導波路等の光学素子に
急速に普及してきている。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】これら
の目的に現在広く用いられている樹脂としては、ジエチ
レングリコールビス(アリルカーボネート)(以下DA
Cと称す)をラジカル重合させたものがある。この樹脂
は、耐衝撃性に優れていること、軽量であること、染色
性に優れていること、切削性、および研磨性等の加工性
が良好であることなどの種々の特徴を有している。
【0004】しかしながら、DACを素材とするレンズ
は屈折率が無機レンズ(nD= 1.52)に比べnD
1.50と小さく、ガラスレンズと同等の光学特性を得
るためには、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を大
きくする必要があり、全体的に肉厚になることが避けら
れない。このためより屈折率の高いレンズ用樹脂が望ま
れている。高屈折率を与えるレンズ用樹脂の1つとし
て、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなど
のヒドロキシ化合物との反応(特開昭57−13660
1)、もしくは、テトラブロモビスフェノールAなどの
ハロゲン原子を含有するヒドロキシ化合物との反応(特
開昭58−164615)や硫黄を含有するヒドロキシ
化合物との反応(特開昭60−194401、同60−
217229)、さらにはポリチオール化合物との反応
(特開昭60−199015、特開昭62−26731
6)より得られるポリウレタン系の樹脂等によるプラス
チックレンズが知られている。
【0005】これら公知の樹脂によるレンズは、DAC
を用いたレンズよりも屈折率は向上するものの、まだ屈
折率の点で不充分であったり、また屈折率を向上させる
べく分子内に多数のハロゲン原子或いは芳香族を有する
化合物を用いている為に、屈折率の分散が大きい、耐候
性が悪い、あるいは比重が大きいといった欠点を有して
いる。本発明の目的の一つは、上記の問題点を解決する
新規なチオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂製
プラスチックレンズを提供することである。
【0006】プラスチックレンズの製造方法としては注
型重合が一般に知られている。レンズ用素材としては先
に述べたようにDAC、PMMA、ポリカーボネート等
が知られているがこれらの素材によるレンズの製造にお
いては成型時の離型性向上のために、内部離型剤を使用
する例としてDACにリン酸ブチルを添加する方法が知
られているが、通常はその必要性が少なく、また成型品
の外観を損なうため、積極的には内部離型剤は使用され
ていない(美馬清一、ポリマーダイジェスト、3,39
(1984)等)。
【0007】一方、本発明に係るチオカルバミン酸S−
アルキルエステル系ポリウレタンレンズは、高屈折率が
期待されるが成型時にレンズとモールドとの密着性がよ
く、通常重合後の離型は困難である。このため本発明者
らは、その離型性改良法として、外部離型剤を用いる方
法(特開昭62−267316等)や、ポリオレフィン
樹脂製モールドを使用する方法(特開昭62−2368
18)を先に提案した。
【0008】しかしながら、前述の方法では本発明の新
規なチオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂製レ
ンズを注型重合するに際し、離型の改良法としてはまだ
不十分である。
【0009】すなわち、外部離型剤を使用する方法で
は、モールド内面の表面処理物質が、重合したレンズの
表面や内部に一部移行するためレンズ表面にムラを生じ
たり、レンズが濁るなどの問題があり、さらにモールド
を繰り返し使用するに際し、その都度モールドの離型処
理が必要となり、工業的な製造方法としては、煩雑な上
にレンズの生産性が落ち、極めて不経済である。
【0010】一方、ポリオレフィン樹脂製モールドを使
用する方法では、温度により樹脂モールドが変形するた
め成型したレンズの表面の面精度が悪く、高度の面精度
を要求される分野では使用が難しいことが判った。本発
明の更なる目的は、本発明の新規なチオカルバミン酸S
−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズを高度
な面積度でかつ工業的にも極めて効率良く製造する方法
を提供することである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、チオカルバ
ミン酸S−アルキルエステル系樹脂による光学素子及び
レンズの成型において、問題となっていた前述離型性の
向上について、鋭意検討を加えた結果、予めモノマー混
合物に内部離型剤を添加しておくことにより、一般に使
用されるガラスモールドを使用して、モールド表面の特
別な離型処理無しに、成型物の外観を損なうことなく高
度な面精度と、優れた光学物性を有するチオカルバミン
酸S−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズを
工業的にも極めて効率良く製造しうることを見出し、本
発明に至った。
【0012】すなわち、本発明はポリイソシアネートと
ヒドロキシ基を有しメルカプト基以外は硫黄原子を含有
しないチオール化合物との混合物に、内部離型剤を添加
して注型重合することを特徴とするチオカルバミン酸S
−アルキルエステル系樹脂製光学素子及びレンズ製造方
法、該方法にて得られる光学素子並びにレンズに関する
ものである。
【0013】本発明の最大の特徴とすることろは、レン
ズの物性上、従来は使用しないのが好ましいとされてい
た内部離型剤をポリウレタン系プラスチックレンズの製
造にあえて積極的に使用する点にある。しかも、驚くべ
きことに、内部離型剤を使用して、レンズとして要求さ
れる高度な透明性、光学的均質性、表面精度を有するレ
ンズを工業的に製造しうることを初めて見出したのであ
る。この点、本発明は、ポリウレタン系プラスチックレ
ンズの製造方法の分野において、極めて先駆的な発明と
言わざるを得ないのである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、硫黄原子を含有
するポリイソシアネートとしては、例えば、チオジエチ
ルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネー
ト、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフ
ォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネー
ト、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオジプロピ
ルジイソシアネート等の含硫脂肪族イソシアネート、ジ
フェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジ
フェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、
3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジ
ベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアネートメチ
ルベンゼン)スルフィド、4,4’−メトキシベンゼン
チオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート
などの芳香族スルフィド系イソシアネート、ジフェニル
ジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’
−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソ
シアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィ
ド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル
ジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,
5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェ
ニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,
4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−
ジイソシアネートなどの芳香族ジスルフィド系イソシア
ネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネ
ート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネー
ト、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシア
ネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,
4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェ
ニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’
−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジル
スルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−
3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert
−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネ
ート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン
−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジ
フェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネートなどの
芳香族スルホン系イソシアネート、4−メチル−3−イ
ソシアネートベンゼンスルホニル−4’−イソシアネー
トフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアネ
ートベンゼンスルホニル−4’−イソシアネートフェノ
ールエステルなどのスルホン酸エステル系イソシアネー
ト、4−メチル−3−イソシアネートベンゼンスルホニ
ルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアネート、ジ
ベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジ
イソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニ
ル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、
4−メチル−3−イソシアネートベンゼンスルホニルア
ニリド−4−メチル−3’−イソシアネートなどの芳香
族スルホン酸アミド、チオフェン− 2,5−ジイソシ
アネート等の含硫複素環化合物、その他1,4−ジチア
ン− 2,5−ジイソシアネート、2,5−ジイソシア
ネートメチル−1,4−ジチアンなどが挙げられる。
【0015】またこれらポリイソシアネートの塩素置換
体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、
アルコキシ置換体、ニトロ置換体や多価アルコールとの
プレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア
変性体、ピュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマ
ー化反応生成物等もまた使用できる。
【0016】これらのポリイソシアネートの中では室温
で液状かつ蒸気圧の低いものが好ましい。また熱および
光に対する黄変性の点から脂肪族系のポリイソシアネー
トの方が望ましい。これらはそれぞれ単独で用いること
も、また二種類以上を混合して用いてもよい。
【0017】また、ヒドロキシ基を有しメルカプト基以
外に硫黄原子を含有しないチオール化合物としては、例
えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−
1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプト
アセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロ
ヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メル
カプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、
3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジ
メルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト
−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−
ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メ
ルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ
(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリト
ールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエ
リスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリ
スリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネー
ト) 、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチル
チオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−
メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’
−メルカプトジフェニルスルホン、2−(2−メルカプ
トエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフ
ィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカ
プトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチ
オメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタ
ン等が挙げられる。
【0018】さらには、これらヒドロキシ基を有するメ
ルカプト化合物の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン
置換体を使用してもよい。これらはそれぞれ単独で用い
ることも、また二種以上を混合してもよい。
【0019】これらポリイソシアネートと、ヒドロキシ
基を有しメルカプト基以外は硫黄原子を含有しないチオ
ール化合物との使用割合は、NCO/(SH+OH)の
官能基モル比が通常0.5〜3.0の範囲内、好ましく
は0.5〜1.5の範囲内である。
【0020】本発明の光学素子及びプラスチックレンズ
は、チオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂を素
材とするものであり、イソシアネート基とメルカプト基
及びヒドロキシ基によるチオカルバミン酸S−アルキル
エステル結合及びウレタン結合をその主体とするが、目
的によっては上記結合以外にアロハネート結合、ウレヤ
結合、ビウレット結合等を含有しても、勿論差し支えな
い。
【0021】たとえば、チオカルバミン酸S−アルキル
エステル結合及びウレタン結合に、さらにイソシアネー
ト基を反応させて架橋密度を増大させることは好ましい
結果を与える場合が多い。この場合には反応温度を少な
くとも100℃以上に高くし、イソシアネート成分を多
く使用する。あるいはまた、アミン等を一部併用し、ウ
レヤ結合、ビウレット結合を利用することもできるが、
このようにヒドロキシル基を有するメルカプト化合物以
外のものをイソシアネート化合物と反応させる場合に
は、特に着色の点に留意する必要がある。
【0022】本発明のレンズは通常、注型重合法により
得られる。具体的には、ポリイソシアネートとヒドロキ
シ基を有しメルカプト基以外は硫黄原子を含有しないチ
オール化合物とを混合する。この混合液を必要に応じ適
当な方法で脱泡を行ったのち、モールド中に注入し重合
させる。
【0023】また、該樹脂を重合生成させるに際して、
目的に応じて公知の成形法におけると同様に、鎖延長
剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油
溶染料、充填剤などの種々の物質を添加してもよい。
【0024】所望の反応速度に調整するためには、ポリ
ウレタンの製造において用いられる公知の反応触媒を適
宜に添加することもできる。
【0025】本発明においては、上記注型重合法により
該樹脂によるレンズを成形する際、内部離型剤をポリイ
ソシアネート及びヒドロキシ基を有しメルカプト基以外
は硫黄原子を含有しないチオール化合物と混合し、モー
ルド中に注入し重合反応を起こさせることにより、得ら
れるレンズのモールドからの離型が容易となる結果、レ
ンズ表面にムラが生じずより高い面精度を有するレンズ
を得ることができる。
【0026】重合温度及び時間はモノマーの種類、離型
剤等の添加剤によっても違うが、通常−50℃〜200
℃、好ましくは室温から150℃、好適には50〜12
0℃において0.5〜72時間である。
【0027】本発明に使用する内部離型剤は、例えばフ
ッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活
性剤、アルキル第4級アンモニウム塩、酸性リン酸エス
テル、流動パラフィン、ワックス、高級脂肪酸及びその
金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコール、
ビスアミド類、ポリシロキサン類、脂肪酸アミンエチレ
ンオキシド付加物等が挙げられ、これらのうちモノマー
組み合わせ、重合条件、経済性、取り扱い容易さより適
宜選ばれる。
【0028】これら内部離型剤は、単独で使用してもよ
く、また二種以上を混合して使用してもよい。
【0029】本発明において用いるフッ素系ノニオン界
面活性剤およびシリコン系ノニオン界面活性剤は、分子
内にパーフルオロアルキル基またはジメチルポリシロキ
サン基を有し、かつヒドロキシアルキル基やリン酸エス
テル基を有する化合物であり、前者のフッ素系ノニオン
界面活性剤としてはユニダインDS−401(ダイキン
工業株式会社製)、ユニダインDS−403(ダイキン
工業株式会社製)、エフトップEF122A(新秋田化
成株式会社製)、エフトップEF126(新秋田化成株
式会社製)、エフトップEF301(新秋田化成株式会
社製)があり、後者のシリコン系ノニオン界面活性剤と
してはダウケミカル社の試作品であるQ2−120Aが
ある。
【0030】また、本発明において用いるアルキル第4
級アンモニウム塩は、通常、カチオン界面活性剤として
知られているものであり、アルキル第4級アンモニウム
のハロゲン塩、燐酸塩、硫酸塩などがあり、クロライド
の型で例を示せばトリメチルセチルアンモニウムクロラ
イド、トリメチルステアリルアンモニウムクロライド、
ジメチルエチルセチルアンモニウムクロライド、トリエ
チルドデシルアンモニウムクロライド、トリオクチルメ
チルアンモニウムクロライド、ジエチルシクロヘキシル
ドデシルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0031】また、本発明に用いる酸性燐酸エステルと
してはイソプロピルアシッドホスヘート、ジイソプロピ
ルアシッドホスヘート、ブチルアシッドホスヘート、ジ
ブチルアシッドホスヘート、オクチルアシッドホスヘー
ト、ジオクチルアシッドホスヘート、イソデシルアシッ
ドホスヘート、ジイソデシルアシッドホスヘート、トリ
デシルアシッドホスヘート、ビス(トリデシルアシッ
ド)ホスヘート、JP−506(城北化学株式会社)な
どが挙げられる。
【0032】また本発明において用いる高級脂肪酸の金
属塩は、ステアリン酸、オレイン酸、オクタン酸、ラウ
リン酸、ベヘニン酸、リシノレイン酸等の亜鉛塩、カル
シウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩、銅塩等であ
り、具体的にはステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、パ
ルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシ
ウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウ
ム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウ
ム、オレイン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウ
ム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸ニッケ
ル、オレイン酸ニッケル、パルミチン酸ニッケル、ラウ
リン酸ニッケル、ステアリン酸銅、オレイン酸銅、ラウ
リン酸銅、パルミチン酸銅などが挙げられる。また、本
発明において用いる高級脂肪酸エステルは、例えばステ
アリン酸、オレイン酸、オクタン酸、ラウリン酸、リシ
ノール酸等の高級脂肪酸とエチレングリコール、ジヒド
ロキシプロパン、ジヒドロキシブタン、ネオペンチルグ
リコール、ジヒドロキシヘキサン等のアルコールとのエ
ステルである。
【0033】該内部離型剤の使用量は、単独または二種
以上の混合物として、硫黄原子を含有するポリイソシア
ネートとヒドロキシ基を有しメルカプト基以外は硫黄原
子を含有しないチオール化合物の合計重量に対して通常
0.1〜10,000ppmの範囲であり、好ましくは
1〜5,000ppmの範囲である。添加量の範囲は下
限は離型能が発現するための最低量として決定される
が、上限は、極端に添加量が多くなると、重合中にガラ
スまたは金属製のモールド型から離型が起こったり、レ
ンズが白濁し易くなり好ましくないが、内部離型剤の種
類、モノマーの種類、組み合わせ、重合条件によっても
それらの現象は大きく左右されるため、10,000p
pmは限定的なものではない。
【0034】尚、上記内部離型剤を用いた注型重合法に
おいても、該内部離型剤を用いない場合と同様の添加
物、反応触媒を用いることができる。また、重合し得ら
れたレンズは、必要に応じアニールを行ってもよい。
【0035】このようにして得られるチオカルバミン酸
S−アルキルエステル系樹脂製レンズは、高い面精度と
優れた光学物性を有し、軽量で耐衝撃性に優れ、眼鏡レ
ンズ、カメラレンズ等の光学素子素材として好適であ
る。
【0036】硫黄原子を含有するポリイソシアネートと
ヒドロキシ基を有しメルカプト基以外は硫黄原子を含有
しないチオール化合物と、内部離型剤とを混合し、モー
ルド中に注入し重合させて得られる光学素子及びレンズ
は、良好な面精度と光学物性を有している。
【0037】尚、硫黄原子を含有するポリイソシアネー
トとヒドロキシ基を有しメルカプト基以外は硫黄原子を
含有しないチオール化合物とを反応させて得られるチオ
カルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂を素材とする
本発明の光学素子及びレンズは、必要に応じ反射防止、
高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付
与、あるいはファッション性付与等の改良を行うため、
表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コ
ート処理、染色処理、調光処理等の物理的あるいは化学
的処理を施すことができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明する。尚、得られたレンズの性能試験のうち、
屈折率、アッベ数は以下の試験法により測定した。 屈折率、アッベ数:プルフリッヒ屈折計を用い20℃で
測定した。 耐候性:サンシャインカーボンアークランプを装備した
ウェザーメーターにレンズ用樹脂をセットし、200時
間経ったところでレンズを取り出し試験前のレンズ用樹
脂と色相を比較した。評価基準は変化なし(○)、わず
かに黄変(△)、黄変(×)とした。離型性については
下記の要領で評価し、又特に得られたレンズの表面性状
を目視により観察した。 離型性:レンズとガラスモールドの間にテフロン製くさ
びを持ち込み、全く抵抗なく離型するものを(○)、全
部あるいは一部離型しないものを(×)とした。
【0039】実施例1 チオジエチルジイソシアネート13.8g(0.08モ
ル)とペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプ
ロピオネート)16.0g(0.04モル)とユニダイ
ンDS−401(ダイキン工業株式会社製、内部離型
剤)0.003gとを混合し、ガラスモールドとガスケ
ットよりなるモールド中に注入し、室温から 120℃
まで徐々に昇温し、48時間で加熱硬化させた。重合
後、レンズは容易に離型し、得られたレンズは無色透明
であり、屈折率n20 D=1.58、アッベ数ν20 D=42
であった。
【0040】実施例〜 実施例1と同様にして表の組成でレンズ化を行った。性
能試験の結果を表2に示した。
【0041】比較例〜 表に示したモールド処理以外は、実施例1と同様に表の
組成でレンズ化を行った。その結果を表に示した。比較
例〜では、内部離型剤を用いなかったため離型性が悪
く、得られたレンズには表面にむら等が発生していた。
【0042】尚、表3中「モールド処理」の欄の意味は
次の通り。 処理なし:ガラスモールド使用、離型剤未使用 外部、離型処理:ガラスモールドの内面を東芝シリコ
ーン社製外部離型剤YSR−6209で塗布焼付処理し
た 外部、離型処理再使用:外部離型処理して、重 合に
一度使用した後、処理せずそのまま使用 PPモールド使用:ポリプロピレンを射出成型 によ
りモールドを作成し、ガラスモールドの替わりに使用し
た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】以上の結果から明らかなように、ポリウレ
タン系プスチックレンズの製造にあたり、ガラスまたは
金属製レンズ母型を使用する場合、離型剤を全く使用し
ない方法では、重合後、レンズは母型から離型しなかっ
た。また、外部離型剤を使用する方法は、表面精度が損
なわれたり、また母型を繰り返し使用するにあたり、そ
の都度、母型からの古い離型剤の除去と新しい離型剤処
理が必要となり、工業的な製造方法としては不適当であ
った。
【0048】また、ガラスまたは金属製レンズ母型にか
えて、ポリプロピレン製レンズ母型を使用する方法で
は、離型剤を使用しなくてもレンズは離型するが、レン
ズとして必要な表面精度は損なわれた。本発明は、従
来、レンズの製造に使用するのは好ましくないとされた
内部離型剤をあえて使用して、ポリウレタン系プラスチ
ックレンズをレンズとして要求される性能を損なうこと
なく、工業的に製造しうることを初めて開示したもので
ある。
【0049】
【発明の効果】本発明の注型重合方法を用いることによ
り得られるポリウレタン系樹脂製光学素子及びプラスチ
ックレンズは、ガラス製レンズ母型からの離型が容易で
あり、且つ、得られる光学素子及びレンズは高い透明度
と光学的均質性、良好な面精度を有している。本発明の
注型重合方法は、優れた性能を有するポリウレタン系光
学素子及びプラスチックレンズを工業的に得る方法であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 75:00 105:32 B29L 11:00 審査官 橋本 栄和 (56)参考文献 特開 昭60−199016(JP,A) 特開 平1−163012(JP,A) 特開 平1−185501(JP,A) 特開 平1−188511(JP,A) 特開 平2−153302(JP,A) 特許2615182(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一種又は二種以上の硫黄原子を含有するポ
    リイソシアネートと一種又は二種以上のヒドロキシ基を
    有しメルカプト基以外は硫黄原子を含有しないチオール
    化合物との混合物に内部離型剤を添加して、注型重合す
    るチオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂製光学
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法によって得られた
    チオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂製光学素
    子。
  3. 【請求項3】一種又は二種以上の硫黄原子を含有するポ
    リイソシアネートと一種又は二種以上のヒドロキシ基を
    有しメルカプト基以外は硫黄原子を含有しないチオール
    化合物との混合物に内部離型剤を添加して、注型重合す
    るチオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂製レン
    ズの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項3記載の製造方法によって得られた
    チオカルバミン酸S−アルキルエステル系樹脂製プラス
    チックレンズ。
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