JP2776995B2 - (R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノンの製法及びその新規中間体 - Google Patents

(R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノンの製法及びその新規中間体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フラワー様或いは木様
香気を有し、食品用或いは香粧品用の調合香料の素材と
して有用な下記式(1)
【化8】 で表される既知の香気成分(R)−(+)−ジヒドロ−
α−イオノンを、高純度、高収率で且つ工業的に有利な
操作で安価に製造できる製法に関する。さらに本発明
は、下記一般式
【0002】
【化9】 式中、R)はCH2OH、CH2OTs又はCH2CN基
を示す、で表される新規中間体にも関する。
【0003】
【従来の技術】上記(1)の化合物は、それ自体、甘い
花香、バイオレット様香気を有し、香料分野において有
用な公知化合物である。従来、上記式(1)の化合物
は、例えば、(±)−α−イオノンを光学分割して
(R)−(+)−α−イオノンを得、これを更に還元し
て(R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノンとすること
が報告されている[Helv. Chim.Acta,56,2548(1973);L
iebigs Ann. Chem. 1195(1989)]。
【0004】
【化10】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来提案の合
成方法においては、出発原料の合成が困難で且つ高価に
つく不利益があるほか、収率および光学純度が悪く、工
業的には不満足である。従って、前記式(1)で表され
る(R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノンのみを選択
的に製造する方法の確立が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記提案
の不利益乃至不満足を克服し、前記式(1)の化合物を
工業的に有利に合成する方法を提供すべく鋭意研究し
た。その結果、下記式(6)
【0007】
【化11】 で表される従来の文献に未載の化合物(S)−(−)−
2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オ
ールを出発原料とすることにより、前記式(1)の化合
物が、工業的に有利に製造できることを見いだした。
【0008】本発明の合成法に従って、式(6)の化合
物から式(1)の化合物を合成する態様を示すと、以下
の反応式Aで示すことができる。
【0009】
【化12】 式中、Etはエチル基を示し、Tsはトシル基を示し、
Xはハロゲン原子を示す。
【0010】上記式(6)の化合物は、同一出願人の同
日出願(出願日平成3年3月5日)に係わる発明の名称
「光学活性2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセ
ン−1−オール及びその製法」に詳しく記載された方法
によって容易に合成することができる。その具体的な方
法については後述の参考例において詳細に述べるが、概
要を示せば下記反応式Bによって表すことができる。
【0011】
【化13】 式中、Ac2Oは無水酢酸を示し、DAMPはジメチルア
ミノピリジンを示し、またDNBはジニトロベンゾイル
基を夫々示す。
【0012】上記の反応式Bに従って、エチルビニルケ
トンとイソブチルアルデヒドから式(a)で表される
2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オ
ンを合成し、これを還元して式(b)で表されるラセミ
体の2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1
−オールに導き、該ラセミ体アルコールを従来既知の酢
酸エステル化反応によって式(c)で表される(±)−
2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセニルアセテ
ートに容易に導くことができる。
【0013】このようにして得られた、ラセミ体のアセ
テートを、例えばブタ肝臓エステラーゼ、ブタすい臓リ
パーゼ等のエステル分解酵素を用いて不斉加水分解する
ことにより、100%e.e.(enanthio e
xcess:光学収率)の(R)−(+)−2,4,4
−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール[式
(7)の化合物]と共に、約40%e.e.の(S)−
(−)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセニ
ルアセテート[式(d)の化合物]が1:約2〜約4の
割合で生成する。この混合物を、例えばカラムクロマト
グラフィー等によって分離し、得られる式(d)の化合
物(約40%e.e.)を前記と同様にエステル分解酵
素で再処理することにより、光学純度ほぼ100%の
(S)−(−)−アセテートに変換することができる。
【0014】このようにして得られた式(d)のアセテ
ートを既知の方法により加水分解して容易に式(6)の
(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オールに導くことができる。更に好まし
くは、該式(6)の化合物をジニトロベンゾイル誘導体
[式(e)の化合物]とし、これを結晶化させて精製後
加水分解することにより100%e.e.を有する式
(6)の(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−
シクロヘキセン−1−オールを得ることができる。
【0015】反応式Aにおいて、上記式(5)の新規化
合物エチル−2−[(1R)−2,6,6−トリメチル
−2−シクヘキセン−1−イル−]−エタノエートは、
上記式(6)の(S)−(−)−2,4,4−トリメチ
ル−2−シクロヘキセン−1−オールを酸の存在下にト
リエチルオルソアセテートと反応せしめることにより容
易に得ることができる。
【0016】この反応は、例えば、式(6)のアルコー
ル1モルに対してトリエチルオルソアセテートを約5〜
約15モルを加え、この混合物を酸の存在下に、例え
ば、約130〜約180℃、好ましくは約140〜約1
60℃に加熱し、生成するエタノールを留去しつつ反応
を行わせる。反応時間は反応温度などによって適宜に変
更できるが、通常約30〜約50時間程度が採用され
る。
【0017】上記反応において用いられる有機酸の具体
例としては、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸等の無機
もしくは有機酸を挙げることができる。これらの酸の使
用量は適宜に変更できるが、式(6)の化合物1モルに
対して約0.01〜約0.5モル程度の使用量を例示で
きる。一層好ましくは約0.05〜約0.1モル程度の
範囲がしばしば採用される。
【0018】上記反応の終了後、例えば、反応生成物を
水中に注入し、中和し、適当な溶媒で抽出し、溶媒層を
水洗し、乾燥後、濃縮することにより、文献未載の新規
化合物である式(5)のエチル−2−[(1R)−2,
6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル
−]−1−エタノエートを、高純度、高収率で得ること
ができる。更に望むならば、例えば、減圧蒸留もしくは
カラムクロマトグラフイーなどの手段により精製するこ
とができる。
【0019】上記反応式Aの例において、式(4)で表
される2−[(1R)−2,6,6−トリメチル−2−
シクロヘキセン−1−イル−]−1−エタノールは、前
記式(5)の化合物を、不活性有機溶媒中、例えば、水
素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の
還元剤と接触せしめることにより容易に得ることができ
る。かかる還元剤の使用量は適当に選択することがで
き、式(5)の化合物1モルに対して例えば約0.5〜
約2モル程度を例示することができる。反応は、例え
ば、約−10〜約30℃の範囲で行うことができ、より
好ましくは約0〜約5℃を例示することができる。
【0020】また上記反応において用いられる不活性有
機溶媒の具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等を挙げる
ことができる。これらの有機溶媒は単独または2種以上
組合わせて用いることができる。これらの溶媒の使用量
にも特別な制約はないが、式(5)の化合物に対して約
3〜約50重量倍程度、一層好ましくは、約10〜約2
0重量倍程度の使用量を例示することができる。
【0021】上記反応の終了後、反応混合物を氷水等で
冷却し、例えば、少量の水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等のアルカリ水溶液で水素化リチウムアルミニウム
を分解し、固形物を濾別後濃縮することにより、従来の
文献に未載の式(4)の2−[(1R)−2,6,6−
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−
エタノールを、高純度、高収率で得ることができる。更
に望むならば、例えば、減圧蒸留もしくはカラムクロマ
トグラフィーなどの手段により、精製することができ
る。
【0022】上記反応式Aにおいて、前記式(3)で表
される2−[(1R)−2,6,6−トリメチル−2−
シクロヘキセン−1−イル−]−1−エチル−トシレー
トを合成するには、前記式(4)のアルコールを、例え
ば、ピリジン、トリエチルアミン等の溶媒に溶解し、氷
冷条件下に、例えば、p−トルエンスルホン酸クロリ
ド、p−トルエンスルホン酸ブロミド等のp−トルエン
スルホン酸ハライドを加え、例えば、約0〜約30℃で
約1〜約20時間反応することにより容易に製造するこ
とができる。
【0023】反応終了後は、前記した如きジエチルエー
テル等の適当な溶媒で抽出し、洗浄、乾燥後、溶媒を留
去することにより式(3)で表される新規化合物、2−
[(1R)−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキ
セン−1−イル−]−1−エチル−トシレートを得るこ
とができる。
【0024】上記反応式Aにおいて、式(2)で表され
る2−[(1R)−2,6,6−トリメチル−2−シク
ロヘキセン−1−イル−]−1−エチルシアナイドの形
成反応は、例えば、上記式(3)のトシレートを前記し
た如き不活性溶媒中で、例えば、シアン化ナトリウム、
シアン化カリウム等のシアン化剤で処理することにより
容易に得ることができる。不活性溶媒の使用量は任意に
選択することができるが、一般的には、式(3)の化合
物に対して約5〜約10重量倍程度がしばしば採用され
る。
【0025】反応は、例えば、約50〜約100℃程度
の温度範囲を例示することができる。また反応時間は、
反応温度によっても適宜に変更でき、例えば、約1〜約
10時間程度の反応時間を例示することができる。反応
終了後は、反応液を室温程度まで冷却し、水中に注ぎ、
ジエチルエーテルなどの適当な溶媒で抽出後、溶媒層を
洗浄、乾燥後濃縮することにより従来の文献に未載の前
記式(2)の化合物を高純度、高収率で得ることができ
る。更に望むならば、例えば、減圧蒸留もしくはカラム
クロマトグラフィー等の手段により更に精製することが
できる。
【0026】本発明の方法によれば、例えば上述のよう
にして得られる2−[(1R)−2,6,6−トリメチ
ル−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−エチルシ
アナイドを不活性溶媒中、メチルマグネシウムハライド
等のグリニヤール試薬と接触させることにより、本発明
の目的化合物である式(1)で表される(R)−(+)
−ジヒドロ−α−イオノンを高純度、高収率で容易に合
成することができる。
【0027】反応は、例えば、メチルマグネシウムハラ
イドを溶解したジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル等の溶液中に、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の溶媒に溶解した前記式(2)のニトリルを滴下
し、例えば、約20〜約120℃、より好ましくは還流
条件下に約5〜約20時間かき混ぜて行う。
【0028】かかるメチルマグネシウムハライドの例と
しては、例えば、メチルマグネシウムクロリド、メチル
マグネシウムブロミド又はメチルマグネシウムイオダイ
ド等を挙げることができる。これらのグリニヤール試薬
の使用量は、一般的には前記式(2)の化合物1モルに
対して約1〜約10モル程度、より好ましくは約2〜約
3モル程度である。グリニヤール試薬を溶解する溶媒の
使用量には、特別の制約はないが、式(2)の化合物に
対して約5〜約10重量倍程度の使用量を例示すること
ができる。
【0029】また式(2)の化合物を溶解する溶媒の使
用量にも特別の制約はないが、通常、該式(2)の化合
物に対して約1〜約10重量倍程度がしばしば採用され
る。
【0030】反応終了後は、反応液を室温程度まで冷却
し、例えば、塩化アンモニウム、塩酸、硫酸等の水溶液
中に注入し、次いで例えば、1N〜10N程度の塩酸、
硫酸、燐酸等を加えて、pHを3〜4程度に調節した後
分液し、水層をジエチルエーテル等の適当な溶媒で抽出
し、溶媒層を洗浄、乾燥後濃縮することにより、前記式
(1)で表される公知化合物(R)−(+)−ジヒドロ
−α−イオノンを高純度、高収率で得ることができる。
更に望むならば、例えば、減圧蒸留もしくはカラムクロ
マトグラフィー等の手段により更に精製することができ
る。以下、参考例及び実施例により本発明の数態様につ
いて更に詳しく説明する。
【0031】
【実施例】
【参考例1】2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキ
セン−1−オン[式(a)の化合物]の合成 エチルビニルケトン75.0g(892mmol)とイ
ソブチルアルデヒド96.4g(1.34mol)の混
合物を50℃以下に保ち、かき混ぜながら濃硫酸2.2
5mlを少しづつ加えた。混合液を室温で5時間かき混
ぜた後、Dean−Stark trapを装着し、還
流条件下に16時間反応を行った。残渣を減圧蒸留し、
b.p.54〜55℃/5Torrの2,4,4−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−オン86.2gを得
た。
【0032】
【参考例2】(±)−2,4,4−トリメチル−2−シ
クロヘキセン−1−オール[式(b)の化合物]の合成 エーテル800mlに水素化リチウムアルミニウム1
8.5g(486mmol)を溶解し、この溶液をかき混ぜ
ながら0℃に冷却し、参考例1で得られたケトン体6
7.1g(486mmol)をエーテル300mlに溶解し
た溶液を滴下した。0℃で1時間かき混ぜた後、水を少
しづつ加えて水素化リチウムアルミニウムを分解した。
固形物をろ過し洗浄後、濾液を濃縮して残渣を減圧蒸留
してb.p.,89〜90℃/19Torrの(±)−2,
4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オール
62.8gを得た。
【0033】
【参考例3】(±)−2,4,4−トリメチル−2−シ
クロヘキセニルアセテート[式()の化合物]の合成 参考例2で得られた式(b)のラセミ体アルコール6
1.5g(439mmol)、無水酢酸67.3g(659
mmol)及びピリジン77mlの混合物をかき混ぜながら
0℃に冷却し、そこへDMAP4.3g(35.2mmo
l)をすこしづつ加えた。さらに0℃で1時間かき混ぜ
た後、反応液を氷水中に注ぎエーテルで抽出する。抽出
物を硫酸銅水溶液、炭酸ナトリウム水溶液及び食塩水で
洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後エーテルを回収
し、残渣を減圧蒸留してb.p.82〜84℃/10.
5Torrの(±)−2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセニルアセテート75.7gを得た。
【0034】
【参考例4】(±)−2,4,4−トリメチル−2−シ
クロヘキセニルアセテート[式()の化合物]の不斉
加水分解 式(c)の化合物26.3g(145mmol)を0.1
モル燐酸バッファー(イオン交換水:メタノール=8:
2;pH7.5)1.1l中に分散させ、激しくかき混
ぜながら−10℃に冷却し、ブタ肝臓エステラーゼ(シ
グマ社製)50250unitを加えて65時間酵素分解を
行った。反応液を食塩と塩化アンモニウムで飽和させ、
エーテルで3回抽出した。抽出液を炭酸ナトリウム、食
塩水で洗浄し、炭酸マグネシウムで乾燥後エーテルを回
収し、残渣27.5gをシリカゲルクロマトグラフィー
により精製した。その結果、式(7)の化合物(R)−
(+)−2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン
−1−オール5.32g[b.p.63〜64℃/3To
rr;[α]D=+95.7°(21℃)(C=1.1
3、MeOH);100%e.e.]及び式(d)の化
合物(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−2−シ
クロヘキセニルアセテート17.7g[b.p.57〜
57.5℃/2.5Torr;[α]D=−39.5°(2
1℃);(C=1.10、MeOH);41%e.e.]
が得られた。
【0035】
【参考例5】(S)−(−)−2,4,4−トリメチル
−2−シクロヘキセニルアセテート[式(d)の化合
物]の光学純度の向上 式(d)の化合物74g(407mmol)を参考例4と
同様にブタ肝臓エステラーゼで処理し、高光学純度の
(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセニルアセテート[式(d)の化合物]49.3g
[b.p.57〜58℃/2Torr;[α]D=−97.9
°(21℃);(C=1.07、MeOH);96%
e.e.]を得た。
【0036】
【参考例6】(S)−(−)−2,4,4−トリメチル
−2−シクロヘキセン−1−オール[式(6)の化合
物]の合成 参考例5で得られた式(d)の化合物49g(270
mmol,96%e.e.)をメタノール750mlに溶解
し、炭酸カリウム75.5g(550mmol)を加えて室
温で2時間かき混ぜた後、減圧下にメタノールを回収し
残渣を水で希釈し、エーテルで抽出した。抽出液を洗
浄、乾燥後エーテルを回収して粗製の式(6)の化合物
42g(96%e.e.)を得た。
【0037】次いで、これにピリジン500ml及びD
MAP2.93g(24mmol)を加え、かき混ぜながら
3,5−ジニトロベンゾイルクロライド83g(360
mmol)を少しづつ加えた。室温で3時間かき混ぜ反応を
行った後、反応液を氷水中に注ぎ、エーテルで数回抽出
した。抽出液を稀塩酸水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、
食塩水で洗浄後硫酸マグネシウムで乾燥し、エーテルを
回収して式(e)のジニトロベンゾイル誘導体の粗結晶
87gを得た。これをイソプロピルエーテルから再結晶
し、純粋な式(e)の化合物77.5g[m.p.130
〜131℃、[α]D=−118.5°(21℃)、(C
=1.04;CHCl3)]を得た。
【0038】この式(e)の化合物76.5g(229
mmol)をメタノールとジクロロメタンの混合溶媒(1:
1)1050mlに溶解し、炭酸カリウム59.5g
(431mmol)を加え、室温で3時間かき混ぜた後、溶
媒を除去して残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで精製した。その結果、光学純度100%e.e.の
(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オール[式(6)の化合物;b.p.83
〜85℃/13.5Torr;[α]D=−95.9°
(21℃),(C=1.02,MeOH)]34.5g
を得た。
【0039】
【実施例1】エチル−2−[(1R)−2,6,6−ト
リメチル−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−エ
タノエート[式(5)の化合物]の合成。 (S)−(−)−2,4,4−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オール[式(6)の化合物]31g(2
21mmol)とトリエチルオルソアセテート290g
(1.78 mol)の混合物中にプロピオン酸1.06g
(14.4mmol)を加え、145〜155℃に加熱す
る。生成するエタノールを留去しつつ31時間反応を行
う。トリエチルオルソアセテート51g(314mmol)
及びプロピオン酸1.06g(14.4mmol)を更に加
え、155〜160℃で14時間反応を行う。反応液を
室温まで冷却し、40mlの水を加える。反応液をエバポ
レーターで濃縮し、残さを炭酸水素ナトリウム水溶液中
に注ぐ。エーテルで抽出し、抽出物を食塩水で洗浄し、
硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮する。残さをシリカゲル
クロマトグラフィーにて精製することにより、式(5)
化合物のエチル−2−[(1R)−2,6,6−トリメ
チル−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−エタノ
エート43g(収率93%)を得る。この化合物はb.
p.106〜108℃/8.5Torr;[α]D(21
℃)=+79.6°(C=1.44,MeOH)であっ
た。
【0040】
【実施例2】2−[(1R)−2,6,6−トリメチル
−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−エタノール
[式(4)の化合物]の合成。 実施例1で得られた式(5)のエステル29g(138
mmol)をエーテル30mlに溶解した溶液を、水素化リチ
ウムアルミニウム4.72g(124mmol)を溶解した
エーテル370mlの溶液中に0〜3℃で注加する。反応
液を室温で30分間かき混ぜた後、再び氷水で冷却し、
水4.7 ml、15%水酸化ナトリウム水溶液4.7 ml及
び水14mlの順に加えてクエンチする。固形物をろ別
し、ろ液をエバポレーターで濃縮する。残さを蒸留する
ことにより式(4)の新規化合物22.5gを得た(収
率97%)。式(4)化合物の物性値は、b.p.76〜
78℃/3Torr;[α]D(21℃)=+115.5
°(C=1.03,MeOH)であった。
【0041】
【実施例3】2−[(1R)−2,6,6−トリメチル
−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−エチルトシ
レート[式(3)の化合物]の合成。 実施例2で得られた式(4)のアルコール22g(13
1mmol)をピリジン135mlに溶解した溶液を氷水で冷
し、かき混ぜながらp−トルエンスルホニルクロライド
35g(183mmol)を加える。0〜5℃で10時間か
き混ぜた後、反応液を氷水中に注ぐ。ジエチルエーテル
で抽出し、抽出液を硫酸銅水溶液、水、重曹及び食塩水
で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーター
で濃縮し、粗製の式(3)の新規化合物41g(収率9
7%)を得た。式(3)の化合物の物性値は、IR(ν
max cm-1) 1360,1190,1180;1H−NM
R(90MHZ,CDCl3)0.88(s,3H)、0.9
8(s,3H)、1.15〜1.85(m,7H)、1.
75(s,3H)、2.45(s,3H、3.70(m,
2H)、5.50(m,1H)、7.32(d,2H)、
7.78(d,2H)であった。
【0043】
【実施例4】2−[(1R)−2,6,6−トリメチル
−2−シクロヘキセン−1−イル−]−1−エチルシア
ナイド[式(2)の化合物]の合成。 実施例3で得られた式(3)のトシレート40g(12
4mmol)をDMF270mlに溶解した溶液中に室温でシ
アン化ナトリウム8.33g(162mmol)を加え、7
0〜73℃に加熱して1.5時間かき混ぜる。反応液を
室温まで冷却し、水中に注ぐ。ジエチルエーテルで抽出
し、抽出液を重曹水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、残さをシリカゲルクロマトグラフィーにて
精製することにより、式(2)の新規化合物21.6g
を得た(収率98.4%)。該式(2)化合物の物性値
は、b.p.73〜74℃/2.5Torr;[α]D=+
133.3°(21℃),(C=1.15,MeOH)で
あった。
【0044】
【実施例5】(R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノン
[式(1)の化合物]の合成。 メチルマグネシウムアイオダイドの1Mエーテル溶液2
83ml(283mmol)中に式(2)のニトリル化合物1
9.8gをベンゼン80mlに溶解した溶液を室温下で滴
下する。滴下後反応液を加熱し、還流条件(60℃)で
8時間かき混ぜる。反応液を室温まで冷却し、塩化アン
モニウム水溶液中に注ぐ。6N−塩酸を加え、pHを3
〜4に調整した後、分液して水層をエーテル抽出する。
抽出物を重曹水溶液、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥後エバポレーターで濃縮する。残さをシリカゲ
ルクロマトグラフィーにより精製し、式(1)の(R)
−(+)−ジヒドロ−α−イオノン17.8gを得た
(収率82%)。式(1)化合の物性値は、b.p.98
〜99℃/3Torr;[α]D=+138.4°(2
2℃)(C=0.615,EtOH)であった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、高光学純度を有する新
規化合物(R)−(+)−2,4,4−トリメチル−2
−シクロヘキセン−1−オールを出発原料とすることに
より、短い工程で工業的に極めて有利に公知化合物の
(R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノンを容易に製造
することができる。ちなみに該化合物の従来文献値は、
[α]D=+24.9°(22℃),(C=0.555,
EtOH)であり、その光学純度は高々17±3%e.
e.であった(Francke et al;Liebigs Ann. Chem.1195
(1989)のに比較すると本発明方法は著しく優れてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 53/00 C07B 53/00 G C07C 69/608 C07C 69/608 (56)参考文献 Helv.Chim.Acta. (1969) 52(6),1732−1734 Chem.Lett.(1981) (8),1125−1128 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 33/14 C07C 69/608 C07C 49/21 C07C 255/31 C07C 309/73 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(6) 【化1】 で表される(S)−(−)−2,4,4−トリメチル−
    2−シクロヘキセン−1−オールを、酸の存在下にトリ
    エチルオルソアセテートと反応せしめて下記式(5) 【化2】 式中、Etはエチル基を示す、で表されるエチル−2−
    [(1R)−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキ
    セン−1−イル]−エタノエートを形成し、該式(5)
    の化合物を還元分解せしめて下記式(4) 【化3】 で表される2−[(1R)−2,6,6−トリメチル−
    2−シクロヘキセン−1−イル]−エタノールとなし、
    該式(4)の化合物をp−トルエンスルホニルハライド
    と反応せしめて、下記式(3) 【化4】 式中、Tsはトシル基を示す、で表されるトシレートと
    なし、該トシレートをNaCNと反応せしめることによ
    り下記式(2) 【化5】 で表される2−[(1R)−2,6,6−トリメチル−
    2−シクロヘキセン−1−イル]−1−エチルシアナイ
    ドを形成せしめ、該シアナイド誘導体をメチルマグネシ
    ウムハライドの存在下にグリニアール反応に付すること
    を特徴とする下記式(1) 【化6】 で表される(R)−(+)−ジヒドロ−α−イオノンの
    製法。
  2. 【請求項2】 下記一般式 【化7】 式中、RはCHOH、CHOTs又はCHCN基
    を示す、 で表される(R)−(+)−2,−トリメチル−
    2−シクロヘキセン誘導体。
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