JP2767979B2 - 黒色窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents

黒色窒化アルミニウム焼結体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高強度、高密度、高熱伝導性を有し、かつ
遮光性に優れ、絶縁基板、ヒートシンク材、半導体パッ
ケージ材料等として好適に用いられる黒色窒化アルミニ
ウム焼結体に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年、LSIの高集積化、高密度化に伴ってパッケージ
当りの発熱量が増大している。このため基板材料の放熱
性が重要視され、従来のアルミナ基板に代わるものとし
て熱伝導性に優れ、良好な放熱性を確保し得る窒化アル
ミニウム基板が注目されている。
窒化アルミニウムの焼結体は、高熱伝導率、高強度及
び優れた電気特性を有すると共に、熱膨張率もシリコン
に近く、シリコンとの良好な接合性が得られることから
半導体装置等の絶縁性基板材料として好適なものである
が、窒化アルミニウムは、共有結合性が強く、難焼結材
料であるため、緻密な焼結体を得ることは困難である。
このため、従来緻密な窒素アルミニウム焼結体を得る
ために希土類酸化物等の焼結助剤を添加する方法やホッ
トプレス法による窒化アルミニウムの焼結方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法により得られた焼結体
は高密度ではあるが、熱伝導性に劣るという欠点を有す
る。
また、窒化アルミニウム焼結体を半導体装置のパッケ
ージ材料等として用いる場合には、紫外線等の透過によ
りICメモリーにソフトエラーなどの悪影響が生じること
を防止するため、良好な遮光性が要求される。
従来、遮光性を有する黒色の窒化アルミニウム焼結体
を得る方法として窒化アルミニウム粉末に酸化タングス
テン又は酸化モリブデンを添加する方法が知られてい
る。しかし、この方法により得られた焼結体は、熱伝導
性が劣るものである。また、希土類化合物と共に酸化タ
ングステン又は酸化モリブデンを添加する方法も提案さ
れている(特開昭63−162576号公報)。しかし、この場
合は熱伝導性は比較的向上するものの、強度に劣る焼結
体となってしまう。
このように、絶縁基板、ヒートシンク材、半導体装置
のパッケージ材料等として用いるに十分な強度、密度、
熱伝導性及び遮光性を有する窒化アルミニウム焼結体は
得られていないのが現状である。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高強度、
高密度、高熱伝導性を有し、かつ遮光性に優れ、絶縁基
板、ヒートシンク材、半導体装置のパッケージ材料等と
して好適に使用し得る黒色窒化アルミニウム焼結体を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行な
った結果、窒化アルミニウム粉末に対し、添加剤として
希土類化合物と共に、金属タングステン及び/又は金属
モリブデンと金属ジルコニウムとを添加して焼成するこ
とにより、高強度、高密度、高熱伝導性、例えば180W/m
・k以上の熱伝導率を有する黒色窒化アルミニウム焼結
体が得られることを見い出し、本発明を完成したもので
ある。
従って、本発明は、窒化アルミニウム粉末に、希土類
化合物と、金属タングステン及び/又は金属モリブデン
と、金属ジルコニウムとを添加し、焼成してなることを
特徴とする黒色窒化アルミニウム焼結体を提供する。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明において、窒化アルミニウム粉末に添加する希
土類化合物においては、Sc,Y,La,Dy,Ce等の希土類元素
の酸化物、ホウ化物、炭化物、ハロゲン化合物、窒化物
などが挙げられるが、特にY2O3,Dy2O3等が好ましく用い
られる。この希土類化合物の添加量は希土類元素の重量
換算で窒化アルミニウムに対して(以下同様)0.01〜15
%(重量%、以下同じ)、特に0.1〜10%とすることが
好ましい。この配合量が0.01%未満又は15%を超えると
十分に緻密化せず、また熱伝導率が低下する場合があ
る。
本発明の黒色窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミ
ニウム粉末に上記希土類化合物と共に、金属タングステ
ン(W)粉末及び/又は金属モリブデン(Mo)粉末と金
属ジルコニウム(Zr)粉末とを添加して焼成したもので
ある。
これら添加剤の配合量は、W及び/又はMo並びにZrの
重量換算でそれぞれ0.01〜15%、特に0.1〜10%とする
ことが好ましい。配合量が0.01%より少ないと焼結体に
色ムラが生じる場合があり、一方15%を超えると結晶粒
の成長が顕著になって密度の低下を示す場合があり、更
に熱伝導率の低下を招く場合もある。
ここで、WとZrは、焼きムラ及び色ムラのない均一な
黒色を与えること、またZrは焼結体の強度を飛躍的に向
上させることにそれぞれ寄与するものである。ここで、
W及び/又はMoとZrとをそれぞれ金属粉末として用いる
と特に機械的強度が向上し、更に熱的特性に優れ、金属
との漏れ性も良好な構造材料等として優れた特性を有す
る焼結体が得られるものである。
なお、原料の窒化アルミニウム粉末は、特に制限され
るものではないが、平均粒径が5μm以下、特に2μm
以下のものを用いることが好ましい。
また、上述した希土類元素化合物、W,Mo,Zrの平均粒
径は10μm以下の細かいものが好ましく、特に5μm程
度のものがよい。
本発明の黒色窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミ
ニウム粉末に、これら添加剤と上記希土類化合物を添加
し、焼成したものであるが、この場合焼成温度は1600〜
2100℃、特に1650〜2000℃とすることが好ましく、1600
℃未満では焼結が十分に進行しない場合があり、一方21
00℃を超えると窒化アルミニウム自体の分解が生じるこ
とがある。また焼成時の雰囲気は窒素雰囲気とすること
ができる。
〔発明の効果〕
本発明の黒色窒化アルミニウム焼結体は、高強度、高
密度、高熱伝導性を有し、かつ焼ムラ、色ムラ等のない
均一な黒色を呈し、遮光性に優れたものであり、絶縁基
板、ヒートシンク材、半導体装置のパッケージ材料等と
して好適に用いられる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。
〔実施例、比較例〕
平均粒径が1.40μmの窒化アルミニウム粉末に第1表
に示した焼結助剤をそれぞれ添加してよく混合し、その
混合物を窒素ガス雰囲気下にそれぞれ同表に示した条件
で焼結して、窒化アルミニウムの焼結体を得た。
得られた焼結体について、その外観、密度、曲げ強
度、体積固有抵抗値及び熱伝導率を調べた。経過を第1
表に併記する。
なお、第1表中の各焼結助剤の添加量はすべて重量%
である。
第1表に示した結果から明らかなように、本発明の窒
化アルミニウム焼結体は、優れた熱伝導率を示し、黒色
で遮光性に優れ、しかも緻密で高密度であり、機械的強
度及び電気特性に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−172868(JP,A) 特開 平3−137057(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウム粉末に、希土類化合物
    と、金属タングステン及び/又は金属モリブデンと、金
    属ジルコニウムとを添加し、焼成してなることを特徴と
    する黒色窒化アルミニウム焼結体。
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