JP2750674B2 - 介護用浴室 - Google Patents

介護用浴室

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JP2750674B2
JP2750674B2 JP7184692A JP18469295A JP2750674B2 JP 2750674 B2 JP2750674 B2 JP 2750674B2 JP 7184692 A JP7184692 A JP 7184692A JP 18469295 A JP18469295 A JP 18469295A JP 2750674 B2 JP2750674 B2 JP 2750674B2
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lifting
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寝たきりの老人や病人
或いは身障者等の被介護者を入浴させるための介護用浴
室に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年日本では、急速な高齢化が進み、老
い、成人病、又は事故等による身体障害者が急増したた
め、病院に収容しきれない者はどうしても在宅看護によ
る治療生活が必要となる。その際、一番問題となるのは
入浴であり、これについては、現状では、ホームヘルパ
ーにより寝たきり老人や重度身体障害者の入浴サービス
が広く行われているものである。この入浴サービスは、
移動入浴車等の専用車両に携帯用の浴槽を搭載して各家
庭や老人ホーム等の施設まで出張するものであり、その
手順について以下に説明する。移動入浴車が各家庭や
施設に到着すると、携帯用の浴槽を車両から降ろして入
浴サービスを実施する場所まで作業員が搬入する、家
庭や施設の部屋等の入浴サービスを行う場所に浴槽を設
置したら、家庭或いは施設に備え付けの給湯器や移動入
浴車に備え付けの給湯器を利用して湯を沸かし、このお
湯を、ホースを介して家庭や施設の部屋等の入浴サービ
スを行う場所に設置した浴槽に給湯する、浴槽内にお
湯を満たしたところで、寝たきり老人や病人或いは重度
心身障害者を身体リフト装置で吊り上げて浴槽内に移動
させて入浴させると言った一連の作業を行うことにな
る。したがって、この入浴サービスを行うためには、寝
たきり老人や病人或いは重度心障害者をベッドから浴
槽内に移動させたり、或いは入浴サービスが完了した後
で、寝たきり老人や病人或いは重度心障害者を今度は
浴槽から身体リフト装置で身体を吊ってベットまで戻す
作業が不可欠となっている。
【0003】ところが、上記システムにおいては、専門
の介護者が少なくとも二人以上は必須となるものであ
り、しかも介護者に過酷な肉体労働を要求することにな
るし、さらに、被介護者を浴室まで移動するには床の凹
凸を通過しなければならず、また、狭い風呂場では作業
が難渋する等の不都合がある。一方、被介護者に対して
高いところへ吊り上げられているといった、こわさ、な
いし恐怖心を与えることになるし、また身体リフト装置
により身体が吊り上げられるために重心が高いところに
位置してしまい、移動の際にバランスを失い、身体リフ
ト装置から身体が転落するといった場合もありうる。更
に寝たままの状態で体を洗われるのは、まるで植物人間
のような感じを受け、何と言っても、被介護者にとって
不快ないし苦痛なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした入
浴用福祉機材の業界に福音を与えるために成されたもの
であり、従来の入浴用福祉機材とはその概念を全く異に
したものを提供するためのものであり、ホームヘルパー
等の専門介護者を要請しなくとも、入浴介護を行うこと
が出来、一般家庭又は施設等において家人等の非専門家
でも被介護者を簡単に入浴させることができ、介護者を
入浴介護という重労働から解放させることができ、しか
も被介護者が安心して快適に入浴できる介護用浴室を提
供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に成された請求項1記載の発明は、床と浴槽とを近接し
た状態で分離し、前記浴槽を支持しながら昇降させる浴
槽駆動部を設け、前記浴槽の凹部に近接する昇降床を含
む昇降部を設け、該昇降部を昇降させる、前記浴槽駆動
部とは独立に作動可能な昇降駆動部を設け、前記浴槽駆
動部と前記昇降駆動部に独立的に駆動信号を送り、少な
くとも、前記床の上面と前記浴槽上縁面と前記昇降床上
面とを同じ高さに設定して平坦な床面を形成可能とする
制御部を設けてなることを特徴とする介護用浴室とする
ものである。ここでいう平坦と言うのは、完全に平坦な
状態を含んでいることは当然として、若干の凸凹も許容
されうるものであり、台車等の移動車が円滑に移動でき
るような状態を意味しているものである。また、床に設
ける浴槽の位置は任意に選択できるし、浴槽と壁も分離
しているものであり、両者の位置関係としては、近接、
あるいは離隔した状態としてもよい。
【0006】請求項1記載の発明によれば、少なくと
も、床の上面と浴槽上縁面と昇降床上面とを同じ高さに
設定して平坦な床面を形成可能とし、また、浴槽と昇降
床とを自由に昇降することができ、移動車を昇降床に乗
せて一体的に昇降することが出来る。したがって、被介
護者を専用入浴介護装置で吊り上げたり、吊り下げたり
する作業が不要となり、移動車を滑らせるように浴槽ま
で容易に移動でき、立ち膝ないし上半身起立の状態で快
適に入浴できるものである。またホームルパー等の専
門介護者を要請しなくとも、家人一人だけで被介護者を
簡単に入浴させることができ、専門介護者に依頼するコ
ストが削減でき、介護者を入浴介護という重労働から解
放させることができる。しかも被介護者が安心感をもっ
て快適に入浴できるものである。また装置自体が小型で
コンパクトであり、既存の浴槽を改造するだけでよいの
で、トータルコストが低減できる。
【0007】請求項2記載の発明は、前記浴槽駆動部
は、枠体と、該枠体に沿って昇降可能なリフトと、該リ
フトを昇降させる駆動シリンダとを備えていることを特
徴とする請求項1記載の介護用浴室である。これにより
前記課題が達成される上、構造が簡素となり、安定的な
駆動が可能となる。
【0008】請求項3記載の発明は、前記浴槽駆動部
は、前記浴槽を吊り下げながら昇降させる吊り下げ昇降
機構部を備えたことを特徴とする請求項1記載の介護用
浴室である。これにより請求項1と同様の課題が達成で
きる上、構造が簡素となり、安定的な駆動が可能となる
ことは請求項2と同様である。
【0009】請求項4記載の発明は、前記制御部が操作
部及び表示部を備え、該制御部を前記浴槽と分離して設
けてなることを特徴とする請求項1記載の介護用浴室で
ある。これにより請求項1と同様の課題が達成できる
上、表示部を見ながら介護者及び被介護者のいずれもが
操作でき、操作性が格段に向上する。
【0010】請求項5記載の発明は、床と浴槽とを近接
した状態で分離し、前記浴槽を支持しながら昇降させる
浴槽駆動部を設け、前記浴槽の凹部に近接する昇降床を
含む昇降部を設け、該昇降部を昇降させる昇降駆動部を
設け、前記浴槽駆動部と前記昇降駆動部に駆動信号を送
り、前記床の上面と前記浴槽上縁面と前記昇降床上面と
を同じ高さに設定して平坦な床面を形成可能とする制御
部を設け、さらに、支柱を中心に回動できるようなブー
ムを設け、該ブームに沿って往復動可能なクレーンが吊
り下げられたことを特徴とする介護用浴室である。これ
により請求項1と同様の課題が達成できる上、浴槽の床
面に凹凸があった場合でも、移動台車を吊り下げて移動
でき、介護者の負担が大幅に軽減される。特に、介護施
設などにある広い浴槽の場合には、移動の労力が少なく
て済む。
【0011】請求項6記載の発明は、床と浴槽とを近接
した状態で分離し、前記浴槽を支持しながら昇降させる
浴槽駆動部を設け、前記浴槽の凹部に近接する昇降床を
含む昇降部を設け、該昇降部を昇降させる昇降駆動部を
設け、前記浴槽駆動部と前記昇降駆動部に駆動信号を送
り、前記床の上面と前記浴槽上縁面と前記昇降床上面と
を同じ高さに設定して平坦な床面を形成可能とする制御
部を設け、さらに、前記昇降部の前記昇降板が蝶番で開
閉可能になっていることを特徴とする介護用浴室であ
る。これにより請求項1と同様の課題が達成できる上、
浴槽の内部の清掃や点検が容易となる。
【0012】
【実施例】本発明の介護用浴室の実施例について図1〜
に基づき説明する。第一実施例を説明する。図1に
示す介護用浴室1は、床3と浴槽5とが近接した状態で
分離されているものであり、床3と浴槽5の間に僅かに
すき間が形成され、浴槽5が下降している状態を示して
いるものである。介護用浴室1は、床3と、前記のよう
に床3と分離している浴槽5と、浴槽5を上下に昇降さ
せるリフト7(図5(a)(b)参照)と、浴槽5凹部
に設置された昇降部9と、昇降部9を独立的に駆動する
エアシリンダ11(図2参照)と、エアシリンダ11を
収容するため円筒形鞘状に形成され上端が開放され下端
が閉じられている収容筒13と、リフト7とエアシリン
ダ11等に駆動信号を出力して床3の上面と浴槽5
縁面と昇降の上面を同一高さに設定する等の昇降
制御や湯の供給・排出自動制御等を行う制御部15とか
らなっている。制御部15はマイクロコンピュータが内
蔵されているものであり、複数の作動スイッチ(図示せ
ず)を備え、動作状況を示す表示部(図示せず)も備え
ているものである。収容筒13の上部開口とシリンダロ
ッドの間に水漏れ防止用のパッキン14(図3参照)
挿入固定されている。また介護用浴室1には両開きの自
在ドア4が設けられ、床3には点検口12が設けられて
いる。図2(a)に示すように昇降部9は、ストレッチ
ャとも呼んでいるものであり、エアシリンダ11のシリ
ンダロッド上端部に水平状態で固定された長方形状の支
持板9aと、支持板9aと連結し浴槽5の上部開口縁6
に沿って設けられた長方形状の枠体9bと、枠体9b側
端部に蝶番9cを介して取り付けられ開閉可能となって
いる昇降床9dと、昇降床9dに穿設された十個の湯水
通過用の貫通孔9eと、昇降床9dの上面四隅に半球状
に穿設された四個の丸9fを備えているものである。
図2(b)に示すように9fに湯水が溜らないよう
に、丸穴9f下端部から水抜孔が穿設され裏面と連通す
るようになっている。また、エアシリンダ11の伸縮に
対応して、支持板9aと枠体9bと昇降床9dが一体的
に昇降するようになっているものである。丸穴9fには
図7と図8に示すように四個のボール状車輪19(ボー
ルベアリング状物)を嵌め込んで移動台車17の位置決
めをすることができるようになっている。
【0013】図3,図4においては、浴槽5はその最高
位置を示しており、またリフト7(図5参照)に固定さ
れているものであり、その最高位置と、最低位置の間で
リフト7により上下に昇降できるようになっている。こ
こで、最低位置というのは、図1で示すような状態をい
うものであり、床3の上面と浴槽5面と昇降床9
dの上面とが同一高さとなっており、いわゆる真平らの
状態となっているものであり、本実施例の特徴的構成の
一つといえる。また実線矢印のように昇降部9はエアシ
リンダ11によって浴槽5の底面から上面まで点線矢印
のようにエアシリンダ11によって上下に浴槽5と独立
的に昇降できるようになっており、これも特徴的構成と
いえる。制御部15の作動スイッチを適宜操作すること
により、それに対応した駆動信号がリフト7,エアシリ
ンダ11,コンプレッサ35,ボールバルブ21に送ら
れるようになっている。昇降部9がエアシリンダ11に
よって昇降駆動されていないときには、浴槽5と昇降部
9は、当然、リフト7により一体的に上下に昇降するよ
うになっている。昇降床9dに移動台車17が載せられ
ており、その間には隙間が設けられており、その隙間と
貫通孔9eを湯水が通過することができるようになって
おり、湯水が抜けることができるようになっている。浴
槽5の底部にボールバルブ21が取り付けられており、
浴槽5内の湯水が排水パイプ23から排水できるように
なっている。浴槽5の底部には、最高位置の位置決めの
ために接触子25が設けられ、それに対応して介護用浴
室1の下部にはリミットスイッチ27が設けられてお
り、また、最低位置の位置決めのために接触子29が設
けられ、それに対応して介護用浴室1の下部にはリミッ
トスイッチ31が設けられている。介護用浴室1の下部
には排水桝33が設けられており、底に溜った湯水をそ
こから排水できるようになっており、また、収容筒13
が下降したときに収容筒13が排水桝33に収納され
て、底に衝突しないようにしている。介護用浴室1外部
には、リフト7とエアシリンダ11とにエアを送気する
ためのコンプレッサ35とパイプ37とが設置されてい
る。
【0014】図4のように介護用浴室1の壁2に沿って
L字状の枠体8が固定されており、図5のように、L字
状の枠体8を構成するH型鋼材8aに沿ってリフト7が
上下に昇降できるようになっている。リフト7は、両端
にローラ7aが設けられた昇降バー7bと、昇降バー7
bに吊り下げられているL字状の支持枠7cと、下端が
枠体8の下部に固定され、上方に向かって延び出し、先
端が昇降バー7bに連結されているエアシリンダ7dと
からなっているものである。エアシリンダ7dの伸縮に
対応して、ローラ7aが回転しつつH型鋼材8aの溝内
を昇降できるようになっている。
【0015】図6のように、介護用浴室1の隅には支柱
39が立設されており、ブーム41が図示の所定範囲で
回動できるように、支柱39と直交して連結されてい
る。またブーム41に沿ってクレーン43が直線的に往
復運動できるように吊り下げられている。クレーン43
は、図7の移動台車17を繋着できるようになってい
る。ブーム41とクレーン43はオプションとして採用
している構成であり、原則的には、これを使用しなくと
も入浴介護ができるようになっている。
【0016】図7(a)〜(c),図8の移動台車17
について説明する。移動台車17は自在ドア4を通過で
きるような大きさに設定され、また、被介護者が膝を曲
げて座ることが出来るような大きさや形状となってい
る。移動台車17の幅は昇降床9dの幅以下になってお
り、昇降床9dに載せられた移動台車17が昇降する際
に浴槽5に衝突しないようになっている。移動台車17
の前部と後部に壁状の隆起17a,17bが斜設され、
これらが平板部17cで連結されて、いわゆる舟型に形
成されており、被介護者を支持できるようになっている
ものである。隆起17a,17bのそれぞれの上縁端か
らコ字状のパイプ17d,17eが延び出し、被介護者
を支持できるようになっている。パイプ17d,17e
には、それぞれ防護用の網17fが張られている。更に
移動台車17片側には手摺17gが設けられ、隆起17
bにはシートベルト17hが設けられ、マジックテープ
で装着・非装着できるようになっている。移動台車17
の裏面には、四個のボール状車輪19(ボールベアリン
グ状物)が設けられ、移動台車17を滑らせるように移
動させることができるとともに、丸穴9fに嵌め込んで
位置決めすることができるようになっている。このた
め、被介護者は低い位置で移動することができることか
ら、安心感を感じることが出来、また、若者がスケート
ボードで遊ぶような楽しい感覚で入浴することが出来
る。また、被介護者が寝た状態で入浴することを避ける
ことができるので、被介護者に不快感ないし苦痛を与え
ることが無い。一方、介護者にとっても、被介護者の移
動作業が極めて容易であり、重労働から解放される。移
動台車17は床3等を滑らせるように移動することがで
きるが、介護用浴室1内では、図8のような吊り下げ状
態で移動することもオプションとして採用できる。図示
のように、移動台車17は、繋着部44を介して、クレ
ーン43に吊り下げ移動することができるようになって
いるものである。
【0017】第一実施例の動作について、図(a)〜
(e)に基づいて説明する。図において実線縦矢印は浴
槽5の動きを、点線縦矢印は昇降9dの動きを、実線
横矢印は移動台車17の動きを示すものであり、また、
図面の関係上、収容筒13の長さは実際よりは短く描か
れている。本実施例には種々の作動方法があり、適用範
囲の広いものである。まず第一の作動方法について説明
する。介護者が被介護者を布団より移動台車17に載せ
て滑らせるような感じで移動させ、自在ドア4を空けて
介護用浴室1内部に移動させる。このとき、図1と図9
(a)のように、床3上面と浴槽5面と昇降床
9d上面の高さが同一であり、いわゆる真平らの状態
となっており、これが初期位置に設定されている。この
ため、移動台車17を昇降床9dまで円滑かつ容易に移
動させることができる。このときには、事前に適温の湯
を浴槽5に注入しておくことは当然であり、制御部15
の作動スイッチにより注入口(図示せず)より自動的に
供給できるようになっている。次に介護者がボール状車
輪19を丸穴9fに嵌めこんで位置決めを行う。そし
て、介護者が作動スイッチ(図示せず)を操作すると、
制御部15からリフト7に駆動信号が出力されて、浴槽
5が上昇するとともに、制御部15からエアシリンダ1
1に駆動信号が出力されて昇降部9が下降する。浴槽5
上面の高さは、例えば800mm位まで、昇降床9d
の高さも600mm位までというように、被介護者の一
番良い高さに設定できるようになっており、最適な状態
で被介護者を入浴させることが出来る。浴槽5の最上限
位置は予め設定されており、あまりに上方に行き過ぎな
いようになっている。すなわち、浴槽5が上昇して、接
触子25がリミットスイッチ27と接触するようになる
と、検出信号が制御部15に入力されて、前記駆動信号
の出力が強制的に停止され、浴槽5と昇降部9は停止す
る。その状態が図9(b)であり、浴槽5と同時にお湯
もせり上がって来たものであり、湯面から被介護者の頭
が出た状態となっており、被介護者の体部分は、入浴状
態となっているものである。こうして被介護者の体を適
宜暖めたならば、介護者が作動スイッチを操作して、図
9(b)の状態から図9(c)の状態まで戻す。このと
き、浴槽5の最下限位置は設定されており、あまりに下
方に行き過ぎないようになっている。すなわち、浴槽5
が下降して、接触子29がリミットスイッチ31と接触
するようになると、検出信号が制御部15に入力され
て、前記の駆動信号の出力が強制的に停止され、浴槽5
と昇降部9は初期位置で停止できることとなる。そし
て、移動台車17を昇降床9dから離脱させて、床3の
方に横移動させ、介護者はしゃがんだ状態で石けんで被
介護者の体を洗う。この場合には、被介護者を洗うとき
に生じる石けんの泡が浴槽5に入らないこととなる。こ
のとき、図9(d)のように、浴槽5を150mm程度
上げて、昇降床9dを下げて、浴槽5の湯を使用できる
ようにする。再び、作動スイッチを操作して、図9
(b)の状態に移行し、被介護者を入浴させる。次に、
図9(a)の状態に戻して床面を平坦な状態にして、被
介護者にシャワーをかけて、体を拭く。移動台車17を
昇降床9dから離脱させて、床3の方に横移動させ、入
浴介護が終わる。このように、図9において、図9
(a)→図9(b)→図9(c)→図9(d)→図9
(c)→図9(b)→図9(a)の順序で入浴介護がな
されることとなる。
【0018】前記一番目の作動方法の変形例として、二
番目の作動方法について説明する。これは、前記手順の
内、「図9(c)→図9(d)→図9(c)」が「図9
(a)」に置換されたものであり、説明の重複を避ける
ために、その置換された部分の手順についてだけ説明す
ると、図9(a)の状態で、移動台車17を横移動する
事無く、被介護者をその場で洗うものである。こうし
て、図9(a)→図9(b)→図9(a)→図9(b)
→図9(a)の順序で入浴介護がされることとなる。
【0019】次に三番目の作動方法について説明する。
これは前記一番目の作動方法の内、「図9(c)→図9
(d)→図9(c)」が「図9(e)」に置換されたも
のであり、前記手順の内、説明の重複を避けるために、
その置換された部分の手順についてだけ説明する。図9
(b)の状態から、図9(e)の状態、すなわち被介護
者の上半身ないし全身を浴槽5上縁面より出した状態と
する。作動スイッチを操作すると、制御部15からエア
シリンダ11に駆動信号が出力されて、昇降部9のみを
希望の高さに上昇させ、介護者が立った状態で、被介護
者の体を洗うことができ、洗浄作業がしやすい利点があ
る。この場合、被介護者や移動台車17には浮力が加わ
ることから、エアシリンダ11のパワーそれほど大き
なものは必要とされていない。そして、作動スイッチを
操作して、図9(b)の状態に戻す。こうして、図9
(a)→図9(b)→図9(e)→図9(b)→図9
(a)の順序で入浴介護がされることとなる。この場合
には、被介護者を洗うときに生じる石けんが浴槽5に入
ることとなる。
【0020】更にオプションとしての作動方法について
は、ブーム41とクレーン43を使用するものがある。
これは、図6のように、移動台車17を吊り下げたクレ
ーン43は、コンプレッサ35の作動スイッチ(図示せ
ず)の操作により、ブーム41が支柱39を中心に回動
し、クレーン43が矢線のように往復運動できる。こ
うして、ブーム41とクレーン43は移動台車17の移
動作業の補助として使用され、移動作業が容易となり、
家人でも楽に移動できるようになる。
【0021】さらに浴槽5の掃除をするときには、図9
(b)の位置状態とし、図2のように、昇降床9dを開
ければ、浴槽5の内部を掃除することができる。
【0022】図10は、第二実施例の構成を示すもので
あり、第一実施例と異なる構成としては、被介護者が車
椅子87に乗ったまま入浴できるように構成しているも
のであり、床73や浴槽75が車椅子87を収容できる
ような大きさとされており、通常の浴槽よりも横幅が大
きくなっているものである。車椅子87の車輪の位置決
めのため車輪の形状に適合するようにセミ円盤状の穴7
9fを設け、貫通孔79eを増設している。制御部85
を埋め込み式の制御パネルに構成し、表示部及び作動ボ
タンが設けられているものである。制御部をリモートコ
ントロール式のものとして構成すれば、介護者なしで、
一人で入浴することが出来る。なお、浴槽は図示の状態
とし、昇降板のみを昇降駆動するように構成し又はその
ように使用することもできる。
【0023】図11は第三実施例の構成を示すものであ
り、第一実施例の空気圧式のリフト7に替えて、ワイヤ
駆動式のものであり、滑車67配置し、滑車67にワ
イヤ68を巻き掛け、正逆方向に回転してワイヤ68を
巻き取り又は巻き放しする電動式のウィンチ69とから
なっているものである。なお、滑車やワイヤの代わり
に、チェーンやスプロケットを採用することも可能であ
る。
【0024】また、他の変形例の構成としては、リフト
7の代わりに、ギアで構成して、これらをモータで駆動
して浴槽5、昇降部9、又はこれら両者を同時に昇降す
るように構成することが可能であり、また、リフト7や
エアシリンダ11等の空気圧システムに替えて、油圧ア
クチュエータ等の油圧システムないし水圧アクチュエー
タ等の液圧システムを採用することもできるし、更に、
駆動源であるコンプレッサ35を油圧式又は電機モータ
としたり、駆動源を別々に設けたり、1つの駆動源・駆
動機構で浴槽5と昇降部9とを自在に駆動できるように
することもできるし、作動スイッチの代わりに操作レバ
ーとすることも可能であり、エアシリンダ11あるいは
収容筒13の本数も複数としても良い等、本発明の技術
的思想を逸脱しない範囲において、本発明の構成を適宜
変更できることは当然であり、これらの変更は本発明の
技術的範囲に包含されるべきものである。
【0025】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、床の上面
と浴槽上縁面と昇降床上面とを同じ高さに設定して平坦
な床面を形成可能とし、かつ、浴槽と昇降部とを自由に
昇降させることができる。したがって、介護者等が制御
部を操作することにより、浴槽と昇降部の制御の多様性
を高め、多様な浴槽及び昇降床の高さ制御が可能とな
り、介護の態様の幅が著しく広がる。被介護者を専用入
浴介護装置で吊り上げたり、吊り下げたりする作業が不
要となり、移動車を滑らせるように浴槽まで容易に移動
でき、立ち膝ないし上半身起立の状態で快適に入浴でき
るものである。またホームルパー等の専門介護者を要
請しなくとも、家人一人だけで被介護者を簡単に入浴さ
せることができ、専門介護者に依頼するコストが削減で
き、介護者を入浴介護という重労働から解放させること
ができる。しかも被介護者が安心感をもって快適に入浴
できるものである。また装置自体が小型でコンパクトで
あり、既存の浴槽を改造するだけでよいので、トータル
コストが低減できる。
【0026】請求項2及び3記載の発明によれば、構造
が簡素となり、安定的な駆動が可能となる。
【0027】請求項4記載の発明によれば、表示部を見
ながら介護者及び被介護者のいずれもが操作でき、操作
性が格段に向上する。
【0028】請求項5記載の発明によれば、浴槽の床面
に凹凸があった場合でも、移動台車を吊り下げて移動で
き、介護者の負担が大幅に軽減される。特に、介護施設
などにある広い浴槽の場合には、移動の労力が少なくて
済む。
【0029】請求項6記載の発明によれば、浴槽の内部
の清掃や点検が容易となる。
【0030】このように、本発明の介護用浴室は、極め
て応用範囲の広いものであり、その費用対効果が他の追
従を許さない画期的なものである。これにより、本発明
は、従来装置からでは得ることの出来なかったものとし
て、被介護者や介護人あるいは運用者のすべての立場に
おいて大きな効果が期待できる画期的な技術であり、社
会に与える恩恵は絶大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施例の斜視図である。
【図2】(a)は第一実施例の浴槽の斜視図、(b)は
第一実施例の昇降部の部分断面図である。
【図3】第一実施例の部分断面正面図である。
【図4】第一実施例の部分断面右側面図である。
【図5】(a)はリフトの斜視図、(b)はリフトの支
柱の部分断面図である。
【図6】第一実施例のブームの作動を示す平面図であ
る。
【図7】(a)は第一実施例の移動車の底面図、(b)
は同正面図、(c)は同右側面図である。
【図8】第一実施例の移動車の斜視図である。
【図9】(a)〜(e)は、第一実施例の動作を示す説
明図である。
【図10】第二実施例の斜視図である。
【図11】第三実施例の一部部分断面正面図である。
【符号の説明】
1 介護用浴 2 壁 3 床 4 自在ドア 5,5 浴槽 6 上部開口縁 7 リフト 8 枠体 9 昇降部 11 エアシリンダ 13 収容筒 15 制御部 17 移動台車 19 ボール状車輪 21 ボールバルブ 23 排水パイプ 25,29 接触子 27,31 リミットスイッチ 33 排水桝 35 コンプレッサ 37 パイプ 39 支柱 41 ブーム 43 クレーン

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】床と浴槽とを近接した状態で分離し、前記
    浴槽を支持しながら昇降させる浴槽駆動部を設け、前記
    浴槽の凹部に近接する昇降床を含む昇降部を設け、該昇
    降部を昇降させる、前記浴槽駆動部とは独立に作動可能
    な昇降駆動部を設け、前記浴槽駆動部と前記昇降駆動部
    に独立的に駆動信号を送り、少なくとも、前記床の上面
    と前記浴槽上縁面と前記昇降床上面とを同じ高さに設定
    して平坦な床面を形成可能とする制御部を設けてなるこ
    とを特徴とする介護用浴室。
  2. 【請求項2】前記浴槽駆動部は、枠体と、該枠体に沿っ
    て昇降可能なリフトと、該リフトを昇降させる駆動シリ
    ンダとを備えていることを特徴とする請求項1記載の介
    護用浴室。
  3. 【請求項3】前記浴槽駆動部は、前記浴槽を吊り下げな
    がら昇降させる吊り下げ昇降機構部を備えたことを特徴
    とする請求項1記載の介護用浴室。
  4. 【請求項4】前記制御部が操作部及び表示部を備え、該
    制御部を前記浴槽と分離して設けてなることを特徴とす
    る請求項1記載の介護用浴室。
  5. 【請求項5】床と浴槽とを近接した状態で分離し、前記
    浴槽を支持しながら昇降させる浴槽駆動部を設け、前記
    浴槽の凹部に近接する昇降床を含む昇降部を設け、該昇
    降部を昇降させる昇降駆動部を設け、前記浴槽駆動部と
    前記昇降駆動部に駆動信号を送り、前記床の上面と前記
    浴槽上縁面と前記昇降床上面とを同じ高さに設定して平
    坦な床面を形成可能とする制御部を設け、 さらに、支柱を中心に回動できるようなブームを設け、
    該ブームに沿って往復動可能なクレーンが吊り下げられ
    たことを特徴とする介護用浴室。
  6. 【請求項6】床と浴槽とを近接した状態で分離し、前記
    浴槽を支持しながら昇降させる浴槽駆動部を設け、前記
    浴槽の凹部に近接する昇降床を含む昇降部を設け、該昇
    降部を昇降させる昇降駆動部を設け、前記浴槽駆動部と
    前記昇降駆動部に駆動信号を送り、前記床の上面と前記
    浴槽上縁面と前記昇降床上面とを同じ高さに設定して平
    坦な床面を形成可能とする制御部を設け、 さらに、前記昇降部の前記昇降板が蝶番で開閉可能にな
    っていることを特徴とする介護用浴室。
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