JP2746943B2 - 蓄熱器 - Google Patents

蓄熱器

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JP2746943B2
JP2746943B2 JP63247385A JP24738588A JP2746943B2 JP 2746943 B2 JP2746943 B2 JP 2746943B2 JP 63247385 A JP63247385 A JP 63247385A JP 24738588 A JP24738588 A JP 24738588A JP 2746943 B2 JP2746943 B2 JP 2746943B2
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耕太郎 田中
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輝代隆 ▲塚▼田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、太陽エネルギーや地熱等の自然エネルギ
ー、あるいは、産業上発生する廃熱等の人工的エネルギ
ーなどの熱エネルギーを回収・貯蔵し、必要に応じて取
り出すことにより、該エネルギーを有効に利用すること
ができる蓄熱器に関する。
(従来の技術) エネルギー貯蔵方式には、大別すると、太陽熱などを
水・砂などの蓄熱材料に与え備蓄し、これらのもつ温度
そのものを取り出して利用する顕熱方式と、物質の相変
化に伴う融解熱や気化熱などを利用した潜熱方式と、蓄
熱材料に可逆的な吸熱−発熱反応を行なわせて化学エネ
ルギーなどの形に変換して蓄熱を行なう化学反応熱方式
がある。
これらのエネルギー貯蔵方式の中で、潜熱方式を採用
した蓄熱器は、他の方式による蓄熱器に比し、貯蔵密度
・効率が高く、また、システムが簡単な点で経済的にも
優れ、さらに、一定温度での熱の出し入れが容易に行な
えるため付属機器の運転効率も高めることができるなど
の利点を併せもつ点で優れており、ソーラーハウス、産
業用ソーラーシステム、熱発電システム、さらには宇宙
熱発電といった各種分野での利用・検討が行なわれてい
る。
かかる潜熱蓄熱器には、一般に、第8図に示すよう
に、熱媒体(流体)の導入口10aと導出口10bとを有する
容器10内に、複数のカプセル11が配設され、該カプセル
11内に蓄熱材料4が充填されているカプセル型9と、第
9図に示すように、蓄熱材料4の間に流体が通過する伝
熱管14が配設されたシェル・チューブ型12がある。
流体は、導入口より容器内に進入し、カプセル等を介
して蓄熱材料と接触せしめられる。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、カプセル型、シェル・チューブ型いず
れの熱交換法によっても、放熱時に伝熱面に付着する固
相の熱抵抗により熱交換性能が著しく低下するという問
題がある。
この問題を解決する手段として、カプセルや伝熱管を
介さずに熱媒体と直接接触して効率よく熱交換を行なう
方法が提案されている。これは、例えば、蓄熱材料とし
ての高密度ポリエチレンを融けても流動したり、互いに
くっついたりしないように形状安定化させ、熱媒体とし
てのエチレングリコールに直接接触させるものである
が、形状安定化させることが困難であり、また、高温用
蓄熱材料には適用し難いという問題がある。
また、一般に蓄熱材料として用いられる有機高分子物
質や無機化合物には、固相・液相間での相変化に伴う体
積変化が大きいものが多い。したがって、この体積変化
により、蓄熱材料を保持しているカプセル等の容器に変
形が生じ、あるいは、固相に亀裂が発生し、熱交換性能
を低下させるという問題もある。
かかる問題に対して、第10〜11図に示すように、伝熱
管15あるいは17の外側に、複数の突起部16を設けたり、
仕切り部18を設けたりして、蓄熱材料を小さく区切って
収容して、体積変化の影響を小さく散在化せしめたもの
が提案されている。
しかしながら、この場合、伝熱管15あるいは17及びそ
の周囲に設けられる蓄熱材料収容室16あるいは18を複雑
な構造とする必要があるため、製造工程が複雑化し、経
済的に著しく不利である。また、流体と蓄熱材料との接
触面積を大きくさせるにも限界があり、さらに熱交換性
能の向上を図ることができる蓄熱器の開発が望まれてい
た。
さらに、微小重力下の宇宙では、従来のカプセル型と
シェル・チューブ型を用いた場合、融解時に潜熱蓄熱材
料が伝熱面から離れ、熱交換性能が極端に低下するおそ
れもある。宇宙用の蓄極器に対しては、得にその軽量化
が望まれている。
本発明は、上記した問題点を解消し、熱交換性能が優
れると共に、軽量でしかも熱交換時に生起する蓄熱材料
の体積変化による熱応力及びその繰り返し応力に対して
機械的に強度な安定性を有し、かつ、容易に製造するこ
とができる蓄熱器の提供を目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明の蓄熱器は、外部と連通する開口部を有する容
器内に、該容器に導入された流体と接触して熱交換を行
う蓄熱体が配設された蓄熱器であって、該蓄熱体が多孔
質セラミック成形体からなり、少なくとも該多孔質セラ
ミック成形体の気孔中に蓄熱材料が充填されていること
を特徴とする。
以下、図面に基づいて本発明をさらに詳細に説明す
る。
第1図は、蓄熱材料を保持する多孔質セラミック成形
体としてカプセル型の蓄熱体3を用いた蓄熱器1を模式
的に示した縦断面図であり、2は外部と連通する開口部
2a,2bを有する容器であり、2cは蓄熱体を保持するため
の多孔板である。
カプセル型蓄熱体3は、第2図及び第3図に示すよう
に、例えば、円筒状の中空体であり、多孔質の円管3a内
に蓄熱材料4を充填した後、その両端部に封止部材3bを
固着したものである(該蓄熱材料は、結果として多孔質
の円管3aの気孔内にも充填される)。
この蓄熱体3は、円管3aを代わりに扁平な板状で比較
的小寸法のもの、あるいはラシヒリング等のいわゆる充
填塔用人工充填物と同一形状のものを使用して構成する
こともできるが、蓄熱材料4を比較的多く保持できるこ
とから、円筒状の中空体が有利である。さらに、第1図
に示すように、上記した蓄熱体3を、容器2内に、それ
ぞれの中心軸が平行となるように配設してもよいし、ラ
ンダムに配設してもよい。
また、第4図の縦断面図に示す成形体5のように、多
孔質セラミックより成る成形体であって、上記と異なり
中空体ではなく、すなわちむくの成形体を蓄熱体として
使用することもできる。この場合は、成形体5の気孔内
に蓄熱材料が充填されることになる。
第5図は、蓄熱体として多孔質セラミックより成るハ
ニカム構造体6を用いた蓄熱器1を模式的に示した縦断
面図である。
このハニカム構造体6は、軸方向に沿って薄い隔壁6c
を介し、多数の貫通孔6aと、両端部が封止部材6dを固着
して封止された多数の閉鎖中空孔6bとを有し、該封止前
に該中空孔6b内に蓄熱材料4を充填した構成である(該
蓄熱材料は、結果として該中空孔を形成している隔壁6c
の気孔内にも充填される)。
なお、ハニカム構造体6の孔6a,6bの横断面形状は特
に限定されるものではなく、円形、三角形、四角形等何
であってもよい。
7,8はハニカム構造体6を保持する多孔板であって、
流体導入口2a側に配設される多孔板7は、ハニカム構造
体6の任意の貫通孔6aに対応する個所に流体導入孔7aが
穿設されているものであり、一方、流体導出口2b側に配
設される多孔板8は、前記導入側多孔板7の導入孔7aに
対応する貫通孔6a以外の貫通孔6aに対応する個所に流体
導出孔8aが穿設されたものである。
したがって、容器2の流体導入口2aから流入した流体
は、多孔板7の流体導入孔7aからハニカム構造体6内に
流入して、強制的に蓄熱材料4が充填された閉鎖中空孔
6bを通過した後、多孔板8の流体導出孔8aを経由して、
流体導出口2bから流出するのである。
前記カプセル型蓄熱体3やハニカム構造体6といった
多孔質セラミック成形体は、窒化アルミニウム,炭化ケ
イ素,ケイ素,炭化チタン,ホウ化ジルコニウム,ホウ
化チタン,炭化ホウ素,窒化ホウ素及び炭素から選ばれ
る少なくとも1種を主成分とする粉末を出発原料とし、
押出成形法,シート成形法,有機シートに含浸する方
法,プレス成形法等の常法により、所定の形状、例え
ば、円筒状やハニカム状と成した後、焼結したものが好
ましい。
ここで、本発明のうち炭化ケイ素質成形体を一例にと
ってその製造方法について詳細に説明する。
本発明の多孔質炭化ケイ素質成形体の製造方法は、炭
化ケイ素粉末を出発原料とし必要により結晶成長助剤を
添加し混合物を得る第一工程;該混合物に成形用結合剤
を添加し所定の形状に成形した成形体を得る第二工程;
該成形体を耐熱性の容器内に挿入して外気の侵入を遮断
しつつ1700〜2500℃の温度範囲内で焼成する第三工程;
とから成る三次元網目構造の開放気孔を有する多孔質炭
化ケイ素質成形体の製造方法において、前記第二工程に
おける成形体を得るに際し、アルミニウム、ホウ素、カ
ルシウム、クロム、鉄、ランタン、リチウム、イットリ
ウム、ケイ素、窒素、酸素、炭素のなかから選ばれる少
なくとも一種の元素またはそれらの化合物(以下、場合
により単に「遷移層形成助剤」と称す。)を成形体内に
存在せしめることを特徴とする。
前記第一工程においては、β型の炭化ケイ素粉末を出
発原料とすることが好ましい。その理由は、β型の炭化
ケイ素結晶は板状結晶を形成し易く、しかも結晶の成長
性にも優れているからである。特に60重量%以上がβ型
炭化ケイ素から成る出発原料を用いることにより本発明
の目的とする多孔質体を好適に製造することができる。
なかでも、70重量%以上のβ型炭化ケイ素を含有する出
発原料を使用することが有利である。
結晶成長助剤としては、例えば、アルミニウム,ホウ
素,マグネシウム,炭素等が挙げられる。
次に、第二工程において、第一工程において得られた
混合物にメチルセルロース、ポリビニルアルコール、水
ガラス等の成形用結合剤を添加し、押出し成形、シート
成形、プレス成形等の方法により、所定の形状、例えば
中空円筒状やハニカム状の成形体を得る。
なお、前記遷移層形成助剤は、焼結体中に多量に残存
すると炭化ケイ素本来の特性が失われるため、なるべく
少ないことが望ましく焼結体中におけるその残存量は炭
化ケイ素100重量部に対し10重量部以下であることが好
ましく、なかでも5重量部以下であることがより好まし
い。
次に、第三工程として、得られた成形体を耐熱性の容
器内に封入し、外気の侵入を遮断しつつ1700〜2500℃の
温度範囲内で焼成する。
耐熱性の容器内に封入し、外気の侵入を遮断しつつ焼
成を行なう理由は、隣接する炭化ケイ素結晶同士を融合
させ、かつ、板状結晶の成長を促進させることができ、
板状結晶が複雑な状態で絡み合い三次元の網目構造が形
成されるからである。
なお、板状結晶の成長を促進させることができるの
は、炭化ケイ素粒子間における炭化ケイ素の蒸発−再凝
縮及び/または表面拡散による移動を促進することがで
きるためと考えられる。
前記耐熱性の容器としては、黒鉛、炭化ケイ素、炭化
タングステン、モリブデン、炭化モリブデンのうち少な
くとも1種以上の材質からなる耐熱性容器を使用するこ
とが好ましい。
また、焼結温度を1700〜2500℃とするのは、1700℃よ
り低い場合には粒子の成長が不十分で、高い強度を有す
る多孔質体とすることが困難なためであり、2500℃より
も高い場合には炭化ケイ素の昇華が盛んになり、発達し
た板状結晶が逆にやせ細ってしまい、その結果高い強度
を有する多孔質体を得ることが困難となるためである。
より好ましくは1800〜2300℃の範囲内である。
なお、前記成形体は、成形体中の気孔径、気孔率を均
一に形成せず、成形体内部において気孔径、気孔率に勾
配を生じさせてもよい。
例えば、第4図に示すごとく、中空体ではなくむくの
円筒状の多孔体と成し、該多孔体中央部から外周部に向
かうにつれて気孔径、気孔率を段階的または連続的に小
さくなるように形成する。あるいは、第2図及び第3図
に示すような中空体であれば、円管3aの内表面から外表
面に向かって段階的または連続的に小さくなるように形
成してもよい。また、第5図に示すようにハニカム構造
体6であれば、各隔壁6cの蓄熱材料側から外側に向かっ
て上記と同様に小さくなるように形成することもでき
る。
これは、前記成形体に蓄熱材料を含浸使用した場合に
おいて内側の蓄熱材料の増加とともに蓄熱材料の外部逸
脱による減少を極めて小さくすることができるからであ
る。
このような多孔質成形体とするには、前記製造方法の
第二工程における成形体を得るに際し、前記遷移層形成
助剤を成形体内に濃度勾配が生じるように存在せしめ、
前記網目構造の開放気孔の平均気孔径が、例えば成形体
中央部から外周部に向かうにつれて段階的または連続的
に小さくなるように形成するのである。
その方法は、前記成形体に直接前記化合物を含有した
溶液を塗布したり、前記成形体の成形用結合剤を除去し
多孔質とした後、同様に含浸したりする方法で行なう。
濃度勾配が生じるのは、上記した物質のうち、アルミ
ニウム、ホウ素、カルシウム、クロム、鉄、ランタン、
リチウム、イットリウムは、炭化ケイ素の結晶粒成長の
速度を速くする働きを有しており、これらの物質の存在
する個所では極めて多くの板状結晶の核が生成され、各
々の部分で板状結晶の発達が起こる結果、形成される板
状結晶の大きさが制限され、これらの物質が多く存在す
る個所ほど細かい組織の三次元網目構造となすことがで
きるからである。
これに対し、ケイ素、窒素、酸素、炭素は上記物質と
は逆に炭化ケイ素の結晶粒成長の速度を遅くする働きを
有しており、これらの物質の存在する箇所では板状結晶
の核生成が抑制され、形成される板状結晶の数が相対的
に少なくなる結果、それぞれの板状結晶が比較的大きく
成長するため、これらの物質が多く存在する箇所ほど大
きな組織の三次元網目構造となすことができるからであ
る。
したがって、網目構造の開放気孔の平均気孔径が、例
えば成形体中央部から外周部に向かうにつれ、段階的ま
たは連続的に小さくなるように形成された成形体を得る
ためには、上記遷移層形成助剤のうち、アルミニウム、
ホウ素、カルシウム、クロム、鉄、ランタン、リチウ
ム、イットリウムを成形体の外周部付近に含有させて前
記した方法により焼結する方法、あるいは、ケイ素、窒
素、酸素、炭素を整形体の中央部付近に含有させて前記
した方法により焼結する方法、さらには、両方法を併用
する方法が挙げられる。
また、第2図及び第3図あるいは第5図に示す多孔質
セラミック成形体の所定の端部に固着する封止部材3b,6
dも、上記と同様の材料から成る板状の焼結体であるこ
とが好ましい。なお、固着法には、接着法、ねじなどに
よる機械的結合法等が挙げられるが特に限定されるもの
ではない。
上記した材料から成る焼結体は、気孔率が大きくても
比較的高い機械的強度を有し、蓄熱材料4の相変化によ
って生じる体積変化による熱応力に十分耐えることがで
き、しかも熱伝導率が高いため、効率よく熱交換を行な
うことができる。
なかでも、機械的強度が500kg/cm2以上となる炭化ケ
イ素,炭化ホウ素,ケイ素,炭素から選ばれ少なくとも
1種を主成分とするものがより好ましい。
また、前記多孔質セラミック成形体の気孔率は、80〜
30vol%であることが好ましい。80vol%よりも大きい
と、成形体の機械的強度が小さくなり、30vol%よりも
小さいと、気孔中に充填される蓄熱材料4の占める割合
が少なくなり、成形体表面で生じる熱交換の効率化を図
ることができないからである。なかでも、55〜35vol%
がより好ましい。
さらに、平均気孔径は、50μm以下であることが好ま
しい。蓄熱材料4が相変化して液状となったときに成形
体の気孔より該液状の蓄熱材料4が漏出することがない
からであり、なかでも、30μm以下であることがより好
ましい。
一方、蓄熱材料4としては、LiF,NaF,KF,MgF2,CaF2,L
iH並びに少なくともこれらの一つを成分として含む混合
物、例えば、KF−MgF2,NaF−MgF2,NaF−KF−MgF2,CaF2
−MgF2,LiF−CaF2,LiF−MgF2,CaF2−MgF2−NaF,LiF−KF
−MgF2,NaF−KF,LiF−NaF−MgF2,NaF−KF−MgF2,LiF−L
iH,NaF−FeF2,MgF2−BeF2,LiF−NaF,LiF−NaF−CaF2,KC
l−LiF−NaF,LiF−NaF−NaCl,LiF−KF,LiF−LiCl,LiF−
BeF2,LiF−NaF−KF,LiF−LiCl−LiH,LiF−NaF−KF−MgF
2,LiF−LiOH,NaF−BeF2から選ばれる少なくとも1種で
あることが有利である。
これらの化合物は、潜熱が大きく蓄熱効率が優れてい
るからである。
なかでも、LiF,NaF,KF,MgF2,CaF2並びに少なくともこ
れらの一つを成分として含む共融混合物から選ばれる少
なくとも1種であることがより好ましい。
また、前記化合物は、多孔質セラミック成形体との密
着性が優れるものがよく、上記したなかでもLiF,MgF2
びに少なくともこれらの一つを成分として含む共融混合
物が特に好ましい。
さらに、これらの蓄熱材料4は、第2図及び第3図あ
るいは第5図に示す多孔質セラミック成形体の中空体内
あるいは中空孔内に充填したときに、該中空体の円管3a
あるいは該中空孔を形成している隔壁6cの気孔中にも充
填されることが好ましい。成形体表面で生じる熱交換を
より効率化することができるからである。特に、充填さ
れる全蓄熱材料4の40vol%以上が気孔中に充填されて
いることが有利である。
(実施例) 実施例1 平均粒径が0.25μmで純度が約98%の炭化ケイ素微粉
末100重量部に対しメチルセルロース5重量部、水35重
量部を添加して十分混練した後、ダイス外径10mm、内径
8mmの押出成形機により長さ1mの第2図に示すような中
空円筒状の成形体を押出し成形した。
一方、前記原料を用いて前記中空円筒状の押出成形体
の両端面を封止した。ついでこの成形体を乾燥し、酸化
性雰囲気下で脱脂を行なった後、タンマン炉にてアルゴ
ン雰囲気下1800℃で3時間保持し焼成した。得られた焼
結体は、気孔率が45vol%、平均気孔径が2.5μmの多孔
質であり、実質上ほとんど収縮することなく、18kg/mm2
の高強度を有していた。
ついで、この中空円筒状多孔質焼結体を0.2Torrの真
空下において、溶融したLiFを真空含浸した。
得られた蓄熱体である中空円筒状焼結体には、LiFが
円筒内部の空間部及び多孔質体の気孔部に88vol%充填
されていた。
ついで、かくして得られた蓄熱材料を保持した蓄熱体
を直径30cm×長さ1mの容器内に平行に15本配置して入口
側から温度945℃の空気を1m3/min送入し、蓄熱を行な
い、出口の排出空気温度の変化を測定した。
ついで、逆に出口側より745℃の空気を1m3/min挿入
し、入口側からの排出空気の温度を測定した。その結果
を第6図及び第7図に示す。
実施例2 出発原料として使用した炭化ケイ素微粉末は、80重量
%がβ型結晶からなるものを用いた。この出発原料には
不純物としてBが0.01、Cが0.5、Alが0.01、Nが0.2、
Feが0.08原子量部、その他の元素は痕跡量含まれてお
り、これらの不純物総量は、0.81原子量部であった。ま
た、この出発原料の平均粒径は、0.3μm,比表面積は18.
7m2/gであった。
この出発原料に成形用結合剤としてメチルセルロース
を10重量部、水分を20重量部添加した。これを混練し
て、押出し成形法により直径10mm、長さ1.2mmのむくの
円筒状の炭化ケイ素質成形体を得た。
この成形体を1℃/分の昇温速度で500℃まで酸化雰
囲気中で加熱して、前記有機結合剤を酸化除去した。つ
いで成形体の外周部から2mmの部分にBN微粉末(0.2μm
粒子)の水溶液を添加し、その後乾燥させた。この結
果、外周部より2mmの部分ではB0.1%含まれ、内側に向
かうにつれて連続的に徐々に減少し、外周部より5mmの
部分ではBは0.01%含まれていた。
その後、この成形体を気候率20%の黒鉛ルツボに入
れ、1気圧のArガス雰囲気中で焼成した。
焼成は、2℃/分で2150℃まで昇温し、最高温度で4
時間保持した。
得られた焼結体は外周部において気孔率が40vol%、
気孔率2μm、中央部において気孔率が50vol%、気孔
径12μmの多孔質であり、9.5kg/mm2の高強度を有して
いた。
ついで、この焼結体の気孔に実施例1と同様の方法に
より蓄熱材料LiFを充填して実施例1と同様、直径30cm
×長さ1mの容器内に平行に15本配設して同様の方法で試
験し測定した。この結果を第6図及び第7図に示す。
比較例 実施例1の炭化ケイ素質焼結体と同様の形状を有する
Ni製容器内に実施例1と同様の蓄熱材料であるLiFを充
填した。充填率95vol%であった。
ついで、実施例1と同様に容器内に配置するとともに
同様の操作を行なって入口側及び出口側に温度測定をし
た。その結果を同じく第6図及び第7図に示す。
以上の結果から第6図に示すごとく、実施例1の蓄熱
器は、時間経過とともに蓄熱体に蓄熱されつつ容器の出
口温度が約80分後に入口温度と同じ945℃となってお
り、80分の間にLiFに蓄熱されたことがわかる。
一方、比較例の場合は、110分経過しても容器の出口
温度は935℃であり、未だLiFに十分蓄熱されていない状
態すなわち蓄熱中であり、実施例1と比較して熱交換性
能が低いことがわかる。
また、実施例1では比較例より対応よく蓄熱され、収
納容器温度の初期値からの対応速度が速い。例えば、20
分経過後の出口温度は、実施例1では約840℃、比較例
では約870℃であり、実施例1では対応よく確実に蓄熱
されているといえる。
さらに、実施例1では、高温ガス流入後30分から50分
の約20分間は潜熱における蓄熱状態を示し、一定温度
(約850〜860℃)での熱の出し入れが可能、すなわち一
定温度による熱交換ができることを示している。
第7図では、第6図と同様、実施例1は対応速度が速
く、ほぼ流入後50分間に蓄熱体から十分に熱を取り出し
高温流体として排出されており、初期時より熱を吸収し
ていることがわかる。
また、上記と同様、実施例1では、約850〜860℃の一
定温度の状態において潜熱による熱交換が効率よく行な
えることを示している。したがって、この範囲において
熱サイクル(熱の出入れ)を行なえば潜熱式蓄熱器とし
て有効に使用できる。
また、繰り返し100回の操作を行なっても上記の物性
は変わらず、溶融塩の漏洩及びセラミック破壊は見られ
なかった。
一方、実施例2においては、実施例1と同様ではある
が、むくの円筒状としたため、LiFの充填量が増加し、
約850〜860℃の一定温度の状態において潜熱による熱交
換容量が更に増加し良好な結果が得られた。
(発明の効果) 本発明の蓄熱器によれば、蓄熱材料を保持する容器と
して、機械的強度及び熱伝導率が高い多孔質セラミック
成形体を用いているので、熱交換性能が優れると共に、
熱交換時に生起する蓄熱材料の体積変化による熱応力及
びその繰り返し応力に対して機械的に強度な安定性を有
している。また、多孔質セラミック成形体の構造も簡単
であるので容易に製造することができる。
また、毛細管現象により多孔質成形体の気孔内に溶融
塩を保持できるため、微小重力下の宇宙においても熱交
換性能がよい。さらに、伝熱管が不要となるため、従来
のものに比し、大幅に重量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、多孔質セラミック成形体として、カプセル型
蓄熱体を用いた蓄熱器を模式的に示す縦断面図である。
第2図は、カプセル型蓄熱体の縦断面図である。第3図
は、カプセル型蓄熱体の横断面図である。第4図は、蓄
熱体として用いるむくの多孔質セラミック成形体を示す
縦断面図である。第5図は、多孔質セラミック成形体と
して、ハニカム構造体を用いた蓄熱器を模式的に示す縦
断面図である。第6図及び第7図は、実施例と比較例で
得られた蓄熱器の評価結果を示す図である。第8図及び
第9図は、カプセル型蓄熱器とシェルチューブ型蓄熱器
を説明するための縦断面図である。第10図及び第11図
は、蓄熱材料収容室の従来例を説明するための図であ
る。 1,9,12……蓄熱器、 2,10,13……容器、 2a,10a,13a……流体導入口、 2b,10b,13b……流体導入口、 3……蓄熱カプセル、 4……蓄熱材料、 5……むくの成形体、 2c,7,8……多孔板、 6……ハニカム構造体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 龍二 茨城県つくば市梅園1丁目1番4号 工 業技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 田中 耕太郎 茨城県つくば市梅園1丁目1番4号 工 業技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 根岸 明 茨城県つくば市梅園1丁目1番4号 工 業技術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 山内 英俊 岐阜県安八郡神戸町西保8番地1号 (72)発明者 ▲塚▼田 輝代隆 愛知県名古屋市北区竜ノ口町2丁目34 (72)発明者 大橋 義美 岐阜県大垣市難波野町659番地 審査官 清水 富夫 (56)参考文献 特開 昭62−216633(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部と連通する開口部を有する容器内に、
    該容器に導入された流体と接触して熱交換を行う蓄熱体
    が配設された蓄熱器であって、該蓄熱体が多孔質セラミ
    ック成形体からなり、該多孔質セラミック成形体の気孔
    中に蓄熱材料が充填されていることを特徴とする蓄熱
    器。
  2. 【請求項2】外部と連通する開口部を有する容器内に、
    該容器に導入された流体と接触して熱交換を行う蓄熱体
    が配設された蓄熱器であって、該蓄熱体が両端が封止さ
    れた中空の多孔質セラミック成形体からなり、該多孔質
    セラミック成形体の気孔中及び中空部に蓄熱材料が充填
    されていることを特徴とする蓄熱器。
  3. 【請求項3】外部と連通する開口部を有する容器内に、
    該容器に導入された流体と接触して熱交換を行う蓄熱体
    が配設された蓄熱器であって、該蓄熱体が、軸方向に沿
    って薄い隔壁を介し、多数の貫通孔と両端部が封止され
    た多数の閉鎖中空孔とを有するハニカム構造の多孔質セ
    ラミック成形体からなり、該隔壁の気孔中及び閉鎖中空
    孔中に蓄熱材料が充填されていることを特徴とする蓄熱
    器。
  4. 【請求項4】前記の蓄熱材料の40vol%以上が前記の多
    孔質セラミック成形体の気孔中又は前記の隔壁の気孔中
    に充填されている請求項2又は3に記載の蓄熱器。
  5. 【請求項5】前記の蓄熱材料が、LiF,NaF,KF,MgF2,Ca
    F2,LiH並びに少なくともこれらの一つを成分として含む
    混合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4
    のいずれか一に記載の蓄熱器。
  6. 【請求項6】前記の多孔質セラミック成形体が、窒化ア
    ルミニウム、炭化ケイ素,ケイ素,炭化チタン,ホウ化
    ジルコニウム,ホウ化チタン,炭化ホウ素,窒化ホウ素
    及び炭素から選ばれる少なくとも1種を主成分とする原
    料よりなる請求項1〜4のいずれか一に記載の蓄熱器。
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