JP2736889B2 - フエライトコア - Google Patents

フエライトコア

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JP2736889B2 JP61264598A JP26459886A JP2736889B2 JP 2736889 B2 JP2736889 B2 JP 2736889B2 JP 61264598 A JP61264598 A JP 61264598A JP 26459886 A JP26459886 A JP 26459886A JP 2736889 B2 JP2736889 B2 JP 2736889B2
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Description

【発明の詳細な説明】 I 発明の背景 技術分野 本発明はMn−Zn系のフェライトコア、特にデータライ
ン用ノイズフィルタに用いるフェライトコアに関する。 先行技術とその問題点 近年、電子機器の発達が目ざましいが、それらのデジ
タル化、IC化等に伴ない、その電子回路が発生するノイ
ズによる回路内の相互干渉あるいは他の電子機器への影
響が大きな問題となっている。 電子機器を外来ノイズから守るため、1つは電源ライ
ンにコモンモードチョークやノーマルモードチョークの
ラインフィルタを挿入する方法があるが、その他にコン
ピュータ機器などのように端末を接続する機器などでは
データラインにおける数〜数十MHzおよびその高周波の
高周波電流ノイズを減少させる必要がある。 これらの機器では端末が接続された時とそうでない時
とでは雑音量に大きな変化が生じる。 このため、データラインはコモンモードチョークを挿
入したりして対地間インピーダンスを減少させている。 この場合データ信号に重畳したノイズを減少させるに
は10MHz以上では、インピーダンス|Z|の周波数特性が良
好であり、それ以下の周波数では等価回路の並列抵抗値
Rpの大きなインピーダンス素子が必要である。 ところで、Mn−Zn系フェライトは各種通信機器、民生
用機器などのコイル、トランス材料として多用されてい
る(特公昭39−3480号)。 そして、Mn−Zn系フェライトはノイズフィルタ用イン
ピーダンス素子としても用いられており、この場合には
酸化鉄を52〜54モル%程度含むものが用いられている。 しかし、このような従来の酸化鉄含有量のものでは、
インピーダンスおよび並列抵抗値の周波数特性の点で十
分でない。 II 発明の目的 本発明の目的は、インピーダンスおよび並列抵抗値の
周波数特性が良好なMn−Znフェライトから形成された、
特にデータライン用ノイズフィルタに用いるフェライト
コアを提供することにある。 III 発明の開示 このような目的は、下記の本発明によって達成され
る。 すなわち、本発明は、酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マ
ンガンを含有し、 酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンの含有量を、X
+Y+Z=100モル%にて、それぞれ順にXモル%、Y
モル%、Zモル%とした場合、酸化鉄、酸化亜鉛および
酸化マンガンの組成(X,Y,Z)が、3元組成図でA(50.
8,14,35.2)、B(50.8,25,24.2)、C(46,27,27)、
D(46,14,40)によって囲まれた組成範囲にあり、かつ 酸化マグネシウム単独か、あるいは酸化マグネシウム
と酸化アルミニウムとを計2500〜14000ppm含み、 MgOおよびAl2O3換算の重量比で、Al2O3/MgOが0〜55/
48であるMn−Zn系フェライトから形成されたデータライ
ン用の0.1〜1000MHzに亘る帯域のノイズフィルタ用のフ
ェライトコアである。 IV 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。 本発明のフェライトコアを形成するMn−Znフェライト
は、酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンを含有し、酸
化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンの含有量を、X+Y
+Z=100モル%にて、それぞれ順にXモル%、Yモル
%、Zモル%とした場合、酸化鉄、酸化亜鉛および酸化
マンガンの組成(X,Y,Z)が、第1図に示すように、3
元組成図でA(50.8,14,35.2)、B(50.8,25,24.2)、
C(46,27,27)、D(46,14,40)によって囲まれた組成
範囲にあり、かつ酸化マグネシウム単独または酸化マグ
ネシウムおよび酸化アルミニウムを含む。 酸化マグネシウムとしては、MgOで示されるものが挙
げられ、また焼成によってMgOとなる化合物、例えばMgC
O3等を添加してもよい。 酸化アルミニウムとしては、Al2O3で示されるものが
挙げられ、また焼成によってAl2O3とする化合物、例え
ば、Al(OH)等を添加してもよい。 MgOまたは焼成によりMgOとなる化合物を単独に用いる
場合の添加量は2500〜14000ppm、好ましくは5000〜1400
0ppm、特に好ましくは6300〜11000ppmとするのがよい。
MgOの添加は初透磁率を低下させ10MHz以下での望ましい
並列抵抗値が得られ、10MHz以下のノイズ減少に有効と
なる。しかし、MgO含有量が過剰となると透磁率が低下
しすぎてしまう。 MgOおよびAl2O3または焼成によりMgOおよびAl2O3とな
る化合物を複合添加するときには、添加量は合計で2500
〜14000ppm、好ましくは5000〜14000ppm、より好ましく
は6300〜11000ppmとするのがよく、MgOは2500〜8000pp
m、好ましくは3200〜4900ppm、またAl2O3は2000〜6500p
pm、好ましくは2600〜5600ppmとするのがよい。この場
合Al2O3/MgOの重量比は0〜55/48(重量比1.15)であ
る。MgOに加えてAl2O3を含有させることにより、特に10
〜100MHzのインピーダンスが向上し、100MHz以上のノイ
ズを有効に減少させることができる。ただAl2O3の過剰
の添加は焼結性を化させ、インピーダンスを低下させる
のでその量と、量比を上記のように規制する。 Al2O3のみの単独添加では、10MHz以下での並列抵抗値
が高く、低周波ノイズが減少しない。 このように複合添加するときには、最終的にスピネル
構造のMgAl2O4を生成する。この化合物はMn−Znフェラ
イトと同じ結晶構造を有するものであり、そのためMn−
Znフェライトにこれらの添加物を加えた場合には比較的
容易に結晶中にとり込まれ、粒界には析出しにくい。こ
のようなため、インピーダンスの周波数特性を変化させ
ることなく初透磁率の制御が可能となり、この結果望ま
しい並列抵抗値が得られるものであると考えられる。 一般的に初透磁率を小さくするには次の方法が挙げら
れる。 (1)焼成温度を下げて焼結密度を小さくすること。 (2)添加物を加えて、粒界を厚く、高抵抗にするこ
と。 (3)添加物を加えて、結晶粒径を小さくすること。 (1)の方法は、実質的に、フェライト(磁性体)の
体積が減り、空隙(非磁性体)の体積が増え、インピー
ダンスが減少して望ましくない結果を与える。 (2)、(3)の方法の代表的なものには、CaCO3
添加が挙げられるが、この方法もフェライト粒界にCaCO
3の多く含まれた磁性の劣った物質が多量に析出するこ
ととなり、(1)の方法と同様の結果を与える。 本発明における添加物はこの点を解決するものであ
る。 また、Fe2O3、ZnO、MnOの組成を第1図のような組成
範囲とするのは、第1図においてAB線より下になると、
5MHz以上でのインピーダンスが減少するからであり、BC
線より上になると、低周波、特に10MHz以下でのインピ
ーダンスの傾きが急になり、インピーダンスが小さくな
るからであり、CD線より上になると、0.1〜1000MHzの全
周波数領域でインピーダンスが減少しコア損失も大きく
なるからであり、DA線より下になると、100MHz以下のイ
ンピーダンスが小さくなり、かつ初透磁率の低下が大き
くなるからである。 このように酸化鉄の割合を従来のものに比べて少なく
することにより、インピーダンスの周波数特性が良好と
なる。 本発明におけるMn−Znフェライトには、さらにSi、C
a、Nb、V、Bi、Mo、Ta、Ti、Sn、ZrおよびInの酸化物
やPなどが含まれていてもよい。 この場合の添加量は、SiO2は2000ppm以下、CaCO3は40
00ppm以下、その他の酸化物等はそれぞれ1000ppm以下、
特に数100ppm程度、そしてPは1000ppm以下、特に200pp
m程度とするのがよい。 本発明のMn−Zn系フェライトから形成されたフェライ
トコアは、形状が内径10mm、外径が20mm、高さ5mmのト
ロイダルコアの場合インピーダンスが30MHzで28〜40
Ω、透磁率は0.1MHzで700〜1600、1MHzで700〜1600程度
となる。 また、低周波数における並列抵抗値も大きい。 本発明のフェライトコアの形状、寸法等については公
知のものであってもよい。 そして、本発明のフェライトコアは、ノイズフィルタ
等、特にデータライン用ノイズフィルタの各種インピー
ダンス素子として用いられる。 本発明のフェライトコアは1〜1000MHzのインピーダ
ンスの周波数特性が良好で、特に10〜1000MHz、とりわ
け10〜500MHzのインピーダンスが向上し、しかも10MHz
以下の等価回路の並列抵抗も向上する。このため、ノイ
ズフィルタ、特にデータライン用ノイズフィルタとして
用いたとき0.1〜100MHz、特に数分の1MHz〜数十MHzのノ
イズおよびその高周波ノイズをきわめて良好に吸収す
る。 本発明のフェライトコアを形成するためのMn−Znフェ
ライトは、常法に従い製造される。 すなわち、本発明における主成分としては、通常の酸
化鉄成分、酸化マンガン成分および酸化亜鉛成分の混合
物が用いられる。 これらの主成分は、Mn−Zn系フェライトの最終組成と
して、それぞれ、Fe2O3、MnOおよびZnO換算で、第1図
において、ABCDで囲まれた組成範囲となるように混合さ
れ、原料として供される。 他方、本発明のMn−Zn系フェライトに含まれる添加剤
であるMgOおよびAl2O3(焼成してMgOおよびAl2O3になる
化合物MgCO3、Al(OH)等として添加してもよい)は
前記所定の割合で原料混合物中に添加される。 そして必要に応じてSiO2、CaCO3、さらにはNb、V、B
i、Mo、Ta、Ti、Sn、Zr、In等の酸化物等のうちから選
ばれた1種以上の添加剤を必要量添加すればよい。 本発明により所望の磁性材料を好適に製造するには、
まず、主成分および添加微量成分を混合し、これに適当
なバインダー、例えばポリビニルアルコールを少量、例
えば0.1〜1.0wt%加えて成型する。 次いで、この成型品を通常、大気圧下、800〜1000℃
の範囲内の所定温度まで、例えば300℃/hr程度の昇温速
度で急熱後、酸素濃度を制御した雰囲気下において、所
望の焼結温度まで50〜150℃/hrの昇温速度で徐熱し、そ
の温度で焼結を完了させる。 この際の焼成雰囲気としては、酸素濃度を1〜15%程
度に制御した窒素雰囲気が好ましい。 そして、焼成はこのような雰囲気中で通常、1250〜14
00℃の範囲の所定温度に、1〜4時間保持することによ
って行われる。 このようにして焼結が完了した後の冷却工程は、焼結
温度から1200℃程度までは温度に応じて酸素濃度を制御
した雰囲気で、それ以降は不活性雰囲気、例えば窒素雰
囲気下で行うのが好ましい。冷却速度としては、500〜7
00℃/hr程度が好ましい。 V 発明の具体的作用効果 本発明によれば、酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガ
ンを含有し、酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンの含
有量を、X+Y+Z=100モル%にて、それぞれ順にX
モル%、Yモル%、Zモル%とした場合、酸化鉄、酸化
亜鉛および酸化マンガンの組成(X,Y,Z)が、3元組成
図でA(50.8,14,35.2)、B(50.8,25,24.2)、C(4
6,27,27)、D(46,14,40)によって囲まれた組成範囲
にあり、酸化マグネシウム単独または酸化マグネシウム
および酸化アルミニウムを所定量および所定量比で含む
ため、インピーダンスおよび並列抵抗値の周波数特性が
良好なMn−Zn系フェライトから形成されたフェライトコ
アが得られる。このものは特にデータライン用ノイズフ
ィルタに用いることが好ましい。 VI 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。 実施例1 MnO、ZnO、Fe2O3および添加物が表1に示すような割
合で含有されるように混合したものに、バインダーとし
てポリビニルアルコールを加えて成型し、焼結した。 焼成は酸素濃度を2.6%含む窒素雰囲気下で温度1280
℃で4時間行った。 これらのMn−Zn系フェライトについて、30MHzにおけ
るインピーダンス、0.1MHzおよび1MHzにおける透磁率を
測定した。 測定条件は、外径20mm、内径10mm、高さ5mmのトロイ
ダルコアとし、巻数は1ターンとして場合である。 この結果を表1に示す。 第2図は試料2(本発明)のインピーダンスの周波数
特性を示すグラフである。 表1および第2図に示される結果から本発明のもの
は、10MHz以上のインピーダンスが高く、インピーダン
スの周波数特性もきわめて良好であることがわかる。こ
の場合、30MHzでのインピーダンスは30Ω以上ときわめ
て高い。そして、30MHzのインピーダンスはMgO、MgO+A
l2O3添加により、無添加のものと比較して同等ないしそ
れ以上である。 また、表1より本発明のものは0.1MHzおよび1MHzでの
初透磁率が1600以下となることがわかる。これより10MH
z以下での並列抵抗値Rpは無添加のものと比較して格段
と向上するものである。 第3図は、試料1(本発明)および試料5(比較)の
並列抵抗の周波数特性を示すグラフである。 表1、第2図および第3図より本発明におけピーダン
スを維持したまま、10MHz以下の並列抵抗Rpが格段と向
上することがわかる。特に1MHzのRpは、No.1が60Ω程度
であるのに対し、No.5では15Ω程度に低下してしまう。
これは、Al2O3リッチのNo.4、6でも同様で30Ω以上の1
MHzのRpは得られない。 この結果、ノイズフィルタとして0.1〜1000MHzのノイ
ズの吸収はきわめて良好に行われるものとなる。 実施例2 MnO、ZnO、Fe2O3が表2に示すような割合で含有され
るように混合したものに、さらにMgO、Al2O3、CaCO3
表2に示す割合で添加して、実施例1と同様にして試料
a〜dを作成し、実施例1と同様の測定をした。 表2より、本発明のものは10MHz以上、例えば30MHzの
インピーダンスが高いことがわかる。そして、表1およ
び表2の比較から、10MHz以上のインピーダンスは、Fe2
O350.8モル%以下にて臨界的に向上することがわかる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明のフェライトコアを形成するMn−Znフ
ェライトの組成範囲を示す3元図である。 第2図は、本発明のフェライトコアのインピーダンスの
周波数特性を示すグラフである。 第3図は、本発明のフェライトコアおよび比較のフェラ
イトコアの並列抵抗(Rp)の周波数特性を示すグラフで
ある。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンを含有し、 酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガンの含有量を、X+
    Y+Z=100モル%にて、それぞれ順にXモル%、Yモ
    ル%、Zモル%とした場合、酸化鉄、酸化亜鉛および酸
    化マンガンの組成(X,Y,Z)が、3元組成図でA(50.8,
    14,35.2)、B(50.8,25,24.2)、C(46,27,27)、D
    (46,14,40)によって囲まれた組成範囲にあり、かつ 酸化マグネシウム単独か、あるいは酸化マグネシウムと
    酸化アルミニウムとを計2500〜14000ppm含み、 MgOおよびAl2O3換算の重量比で、Al2O3/MgOが0〜55/48
    であるMn−Zn系フェライトから形成されたデータライン
    用の0.1〜1000MHzに亘る帯域のノイズフィルタ用のフェ
    ライトコア。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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