JPH05226139A - 酸化物磁性材料 - Google Patents

酸化物磁性材料

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JPH05226139A
JPH05226139A JP4061401A JP6140192A JPH05226139A JP H05226139 A JPH05226139 A JP H05226139A JP 4061401 A JP4061401 A JP 4061401A JP 6140192 A JP6140192 A JP 6140192A JP H05226139 A JPH05226139 A JP H05226139A
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Takashi Kodama
高志 児玉
Yasunobu Yoneda
康信 米田
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼結工程における粒成長を抑制して高周波帯
域における損失を低減するとともに、焼結体の開気孔率
を減少させて電極材料の浸透を防止することが可能な、
高周波低損失チップコイル用コア材料として好適な酸化
物磁性材料を得る。 【構成】 44.5〜49.0mol%のFe23と、
3.0〜9.0mol%のMgOと、1.2〜4.0mol%
のCuOと、残量のNiOからなる主成分に対して、含
有率が3.0〜18.0重量%になるような割合でホウ
ケイ酸亜鉛ガラスを配合し、所定の温度で焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高周波低損失チップ
コイル用コアなどに使用される酸化物磁性材料に関し、
詳しくは、100MHz以上の高周波帯域における使用
に適した、低損失、低開気孔率の酸化物磁性材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】巻線型
チップコイルは、増幅回路や発振回路に使用される電子
部品であり、映像機器、通信機器などの分野に広く使用
されている。特に、近年、これらの機器に使用される電
子回路の高精度化及び高周波数化に伴い、100MHz
以上の高周波帯域におけるQの高いコイルが要求される
に至っている。
【0003】そして、このような高周波用チップコイル
においては、磁芯材料として、例えばNiMgCuフェ
ライトが用いられている。
【0004】しかし、このNiMgCuフェライトは1
〜50MHzの周波数帯域では高いQを得ることができ
るが、100MHz以上の高周波帯域では焼結体のグレ
イン(結晶粒)内に渦電流が発生するため高いQを得る
ことができないという問題点がある。
【0005】そこで、この材料で磁芯を作成する際の焼
成温度を1000〜1100℃の低温にすることにより
粒成長を抑制し、焼結体のグレインサイズ(結晶粒径)
を小さくする方法が提案され、焼結体のグレインサイズ
を1μm以下に押さえることにより、100MHzで1
00を越えるQを得ることが可能になっている。
【0006】しかし、このグレインサイズを制御したフ
ェライトで磁芯を作成した場合、開気孔率が大きいた
め、形成されたチップコイルに電極を塗布、焼付けする
際に電極材料が浸透してショート不良を発生するという
問題点がある。
【0007】この発明は、上記問題点を解決するもので
あり、焼結後の結晶粒径が小さく、高周波帯域における
損失を抑制することが可能で、かつ、焼結体の開気孔率
の低い酸化物磁性材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の酸化物磁性材料は、44.5〜49.0
mol%のFe23と、3.0〜9.0mol%のMgOと、
1.2〜4.0mol%のCuOと、残量のNiOからな
る主成分に対して、含有率が3.0〜18.0重量%に
なるような割合でホウケイ酸亜鉛ガラスを配合し、所定
の温度で焼成したことを特徴とする。
【0009】
【実施例】以下、実施例を示してこの発明の特徴をさら
に詳しく説明する。
【0010】[実施例1]Fe23 47.5mol%、N
iO 46.0mol%、MgO 4.5mol%、CuO
2.0mol%を配合してなるフェライト乾燥粉末(主成
分)に、ホウケイ酸亜鉛ガラスを第1表に示すような所
定の含有率になるように添加し、これを玉石及び蒸留水
とともにポリエチレン製ポットに入れ、24時間混合し
た後乾燥する。それから、この乾燥原料を900℃で2
時間仮焼し、再び、玉石及び蒸留水とともにポリエチレ
ン製ポットに入れて24時間混合粉砕した後、有機バイ
ンダーを加えて2時間混合し、その後、この混合物を乾
燥する。
【0011】次に、これをスプレードライ法で造粒した
後、所定の形状(チップコイル用コアの形状)に成型
し、1000〜1150℃の温度で焼成してチップコイ
ル用コアを作成する。
【0012】このようにして作成したチップコイル用コ
アに0.1mmφの導線を5回巻き回し、インピーダンス
アナライザにより100MHzにおけるQを測定した。
また、このチップコイル用コアを熱湯中に入れて1時間
煮沸し、開気孔率を測定した。その結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】なお、表1において、試料番号に*印を付
したものは、ホウケイ酸亜鉛ガラスの含有率(添加
量)、100MHzにおけるQ、開気孔率、あるいは平
均結晶粒径などがこの発明の範囲外のもの(比較例)で
あることを示す。
【0015】表1に示すように、焼成温度が950℃以
下になるとホウケイ酸亜鉛ガラスによる液相の生成が不
十分になるため、ホウケイ酸亜鉛ガラスの含有率を増加
させても、開気孔率は低下しない。また、焼成温度を1
150℃以上にすると、開気孔率を十分に小さくするこ
とはできるがフェライトの粒成長が大きくなり、平均結
晶粒径が2μmを越えるため、100MHzにおけるQ
が低下する。したがって、この材料における焼成温度
は、開気孔率を低く抑え、かつ、平均結晶粒径が大きく
なることを防止する見地から1000〜1100℃の範
囲が好ましい。
【0016】なお、通信機用のチップコイルを構成する
場合、インダクタンスのQは100MHzで100以
上、開気孔率は5%以下であることが望ましい。
【0017】次に、ホウケイ酸亜鉛ガラスの含有率につ
いて検討すると、表1に示すように、ホウケイ酸亜鉛ガ
ラスの含有率が高くなると、開気孔率は小さくなるが、
100MHzにおけるQが低下する傾向があり、またホ
ウケイ酸亜鉛ガラスの含有率が低くなると、100MH
zにおけるQは大きくなるが、開気孔率も大きくなる傾
向があり、焼成温度が1000〜1100℃の範囲にお
いては、ホウケイ酸亜鉛ガラスの含有率を3〜18重量
%とすることにより、100MHzのQが100以上、
開気孔率が5.0%以下、平均結晶粒径が2μm以下と
いう好ましい酸化物磁性材料が得られることがわかる。
【0018】したがって、表1に示したデータ及び表1
には特に示していない他のデータなどから全体的に評価
すると、ホウケイ酸亜鉛ガラスの含有率は3重量%〜1
8重量%の範囲にあることが好ましい。
【0019】[実施例2]最終組成が表2に示す割合に
なるように、各成分原料を配合して調製したフェライト
乾燥粉末を用意する。
【0020】
【表2】
【0021】これらのフェライト乾燥粉末は、Fe23
とCuOの割合は変化させずにMgOの割合を1.0mo
l%づつ変化させ、残部をNiOとしたものである。な
お、表2において、試料番号に*印を付したものは、こ
の発明の範囲外の比較例を示す。
【0022】このようにして調製した各フェライト乾燥
粉末(主成分)に、含有率が5.0重量%になるような
割合でホウケイ酸亜鉛ガラスを添加し、これを玉石及び
蒸留水とともにポリエチレン製ポットに入れ、24時間
混合した後乾燥する。それから、この乾燥原料を900
℃で2時間仮焼し、再び、玉石及び蒸留水とともにポリ
エチレン製ポットに入れて24時間混合粉砕した後、有
機バインダーを加えて2時間混合し、その後、この混合
物を乾燥する。次に、これをスプレードライ法で造粒し
た後、所定の形状(チップコイル用コアの形状)に成型
し、1050℃の温度で焼成してチップコイル用コアを
作成する。
【0023】このようにして作成したチップコイル用コ
アに0.1mmφの導線を5回巻き回し、インピーダンス
アナライザにより100MHzにおけるQを測定した。
その結果を図1に示す。
【0024】また、このチップコイル用コアを熱湯中に
入れて1時間煮沸し、開気孔率を測定した。その結果を
図2に示す。
【0025】図1に示すように、MgO含有率が増加す
ると、100MHzのQが増加する傾向があるが、Mg
O含有率が3.0mol%未満になるとQを増大させる効
果が不十分になり100MHzのQが100未満にな
る。
【0026】また、図2に示すように、MgOの含有率
が増大するに伴い、開気孔率が増大する傾向があり、M
gOの含有率が9.0mol%を越えると開気孔率が5.
0%を上回る。
【0027】したがって、MgOの含有率は、3.0〜
9.0mol%の範囲にあることが好ましい。
【0028】[実施例3]最終組成が表3に示す割合に
なるように、各成分原料を配合して調製したフェライト
乾燥粉末を用意する。
【0029】
【表3】
【0030】これらのフェライト乾燥粉末は、Fe23
とMgOの割合は変化させずにCuOの割合を0.5mo
l%づつ変化させ、残部をNiOとしたものである。
【0031】なお、表3において、試料番号に*印を付
したものは、この発明の範囲外の比較例を示す。
【0032】このようにして調製した各フェライト乾燥
粉末(主成分)に、含有率が5.0重量%になるような
割合でホウケイ酸亜鉛ガラスを添加し、これを玉石及び
蒸留水とともにポリエチレン製ポットに入れ、24時間
混合した後乾燥する。それから、この乾燥原料を900
℃で2時間仮焼し、再び、玉石及び蒸留水とともにポリ
エチレン製ポットに入れて24時間混合粉砕した後、有
機バインダーを加えて2時間混合し、その後、この混合
物を乾燥する。次に、これをスプレードライ法で造粒し
た後、所定の形状(チップコイル用コアの形状)に成型
し、1050℃の温度で焼成してチップコイル用コアを
作成する。
【0033】このようにして作成したチップコイル用コ
アに0.1mmφの導線を5回巻き回し、インピーダンス
アナライザにより100MHzにおけるQを測定した。
その結果を図3に示す。
【0034】また、このチップコイル用コアを熱湯中に
入れて1時間煮沸し、開気孔率を測定した。その結果を
図4に示す。
【0035】図3に示すように、CuOの含有率が増加
すると100MHzのQが減少する傾向があり、CuO
の含有率が4.0mol%を越えるとQの低下が著しくな
って100MHzのQが100未満になる。
【0036】また、図4に示すように、CuOの含有率
が増大すると開気孔率が低下する傾向があるが、CuO
の含有率が1.2mol%未満になると開気孔率が5.0
%を上回る。
【0037】したがって、CuOの含有率は、1.2〜
4.0mol%の範囲にあることが好ましい。
【0038】[実施例4]最終組成が表4に示す割合に
なるように、各成分原料を配合して調製したフェライト
乾燥粉末を用意する。
【0039】
【表4】
【0040】これらのフェライト乾燥粉末は、MgOと
CuOの割合は変化させずにFe23の割合を1.0mo
l%づつ変化させ、残部をNiOとしたものである。
【0041】なお、表4において、試料番号に*印を付
したものは、この発明の範囲外の比較例を示す。
【0042】このようにして調製した各フェライト乾燥
粉末(主成分)に、含有率が5.0重量%になるような
割合でホウケイ酸亜鉛ガラスを添加し、これを玉石及び
蒸留水とともにポリエチレン製ポットに入れ、24時間
混合した後乾燥する。それから、この乾燥原料を900
℃で2時間仮焼し、再び、玉石及び蒸留水とともにポリ
エチレン製ポットに入れて24時間混合粉砕した後、有
機バインダーを加えて2時間混合し、その後、この混合
物を乾燥する。次に、これをスプレードライ法で造粒し
た後、所定の形状(チップコイル用コアの形状)に成型
し、1050℃の温度で焼成してチップコイル用コアを
作成する。
【0043】このようにして作成したチップコイル用コ
アに0.1mmφの導線を5回巻き回し、インピーダンス
アナライザにより100MHzにおけるQを測定した。
その結果を図5に示す。
【0044】また、このチップコイル用コアを熱湯中に
入れて1時間煮沸し、開気孔率を測定した。その結果を
図6に示す。
【0045】図5に示すように、Fe23の含有率が増
加すると100MHzのQが減少する傾向があり、Fe
23の含有率が49.0mol%を越えるとQの低下が著
しくなり、100MHzのQが100未満になる。
【0046】また、図6に示すように、Fe23の含有
率が増大すると、開気孔率が低下する傾向があるが、F
23の含有率が44.5mol%未満になると開気孔率
が5.0%を上回る。
【0047】したがって、CuOの含有率は、44.5
〜49.0mol%の範囲にあることが好ましい。
【0048】
【発明の効果】上述のように、この発明の酸化物磁性材
料は、44.5〜49.0mol%のFe23と、3.0
〜9.0mol%のMgOと、1.2〜4.0mol%のCu
Oと、残量のNiOからなる主成分に対して、3.0〜
18.0重量%のホウケイ酸亜鉛ガラスを添加し、所定
の温度で焼成するようにしているので、焼結後の結晶粒
径が小さく、高周波帯域における損失を抑制することが
可能で、かつ、焼結体の開気孔率の低い酸化物磁性材料
を得ることが可能になり、これを高周波チップコイル用
コア材料として用いることにより、高周波帯域における
Qが大きく、かつ、電極材料の浸透によるショート不良
を生じることのない高周波低損失チップコイルを製造す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MgOの含有率と100MHzにおけるQとの
関係を示す線図である。
【図2】MgOの含有率と開気孔率との関係を示す線図
である。
【図3】CuOの含有率と100MHzにおけるQとの
関係を示す線図である。
【図4】CuOの含有率と開気孔率との関係を示す線図
である。
【図5】Fe23の含有率と100MHzにおけるQと
の関係を示す線図である。
【図6】Fe23の含有率と開気孔率との関係を示す線
図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 44.5〜49.0mol%のFe2
    3と、3.0〜9.0mol%のMgOと、1.2〜4.0
    mol%のCuOと、残量のNiOからなる主成分に対し
    て、含有率が3.0〜18.0重量%になるような割合
    でホウケイ酸亜鉛ガラスを配合し、所定の温度で焼成し
    たことを特徴とする酸化物磁性材料。
  2. 【請求項2】 焼成後の平均結晶粒子径が2.0μm以
    下であり、かつ、開気孔率が5%以下であることを特徴
    とする請求項1記載の酸化物磁性材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002260912A (ja) * 2001-03-01 2002-09-13 Tdk Corp 磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品
JP2002260914A (ja) * 2001-03-01 2002-09-13 Tdk Corp 磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品
JP2010150050A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Fdk Corp 磁気組成物及びインダクタ並びに電子回路用基板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002260912A (ja) * 2001-03-01 2002-09-13 Tdk Corp 磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品
JP2002260914A (ja) * 2001-03-01 2002-09-13 Tdk Corp 磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品
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