JP2733114B2 - ポリカーボネートの製造法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電子供与性アミン化合物の塩触媒の存在下で
2価ヒドロキシ化合物とビスアリールカーボネートとを
溶融重縮合させて得られる高分子量ポリカーボネートの
製法に関するものである。
(従来技術と発明が解決しようとする課題) 本発明の高分子量ポリカーボネートは、幅広い用途、
特に射出成形用又は窓ガラスの代わりのガラスシートと
しての用途を有する汎用エンジニアリングサーモプラス
チックスである。界面重縮合法は一般的にポリカーボネ
ートの製造に効果的であるが、有毒なホスゲンを使用す
ることや塩素イオンが生成するポリカーボネートに残存
することなどの欠点を有する。これらの欠点を除くため
に有毒なホスゲンの代わりにホスゲンのダイマーである
液体のトリクロロメチルクロロホルメートを用いて特殊
な2価フェノールとを界面重縮合反応でポリカーボネー
トを製造することが特開昭63−182336に開示されてい
る。しかしながら、特殊な2価フェノールである9,9−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類について
の記載があるのみである。また、有毒なホスゲンの代わ
りにトリホスゲンを用いて2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンからポリカーボネートを得ることが
Angew.Chem.(アンゲバンテ,ヘミー)99.922(1987)
に記載されているが、ホスゲンが発生する反応機構も提
唱されている。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、カーボネート結合を生成する化合物と
してビスアリールカーボネートと2価ヒドロキシ化合物
を電子供与性アミン化合物の塩(塩化物の塩を除く)の
存在下、溶融重縮合させることにより、毒性のホスゲン
を用いず且つ塩素イオンを本質的に含まない高分子量ポ
リカーボネートが得られる事実を見い出すに至った。
本発明は(1)電子供与性アミン化合物の塩から選択
された触媒の存在下で2価ヒドロキシ化合物とビスアリ
ールカーボネートとを溶融重縮合させることを特徴とす
るポリカーボネートの製造法。
(2)2価ヒドロキシ化合物が一般式(I),(II),
(III)又は(IV)で表される前記(1)記載のポリカ
ーボネートの製造法。
(R1,R2,R3,R4は水素又は炭素数1〜8の直鎖又は枝
分れを含むアルキル基、又はフェニル基であり、Xはハ
ロゲン原子で、n=1〜4,m=1〜4)に関するもので
ある。
本発明に使用しうる電子供与性アミン化合物の代表例
としては、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン,4−ジ
エチルアミノピリジン,4−ピロリジノピリジン,4−(5
−ノリル)−ピリジン,4−アミノピリジン,2−アミノピ
リジン,2−ヒドロキシピリジン,2−メトキシピリジン,4
−メトキシピリジン,4−ヒドロキシピリジン,2−ジメチ
ルアミノイミダゾール,2−メトキシイミダゾール,2−メ
ルカプトイミダゾール,2−アミノピリジン,アミノキノ
リン,イミダゾール,2−メチルイミダゾール,4−メチル
イミダゾール,ジアザビシクロオクタン(DABCO)等が
挙げられる。
さらに、上記電子供与性アミン化合物の対イオンを形
成する酸の代表例としては、炭酸,酢酸,ギ酸,硝酸,
亜硝酸,しゅう酸,硫酸,リン酸,フッ素ホウ素酸,水
素ホウ素酸がある。
また、2価ヒドロキシ化合物の代表例としては、以下
の化合物が挙げられる。一般式(I)に分類される2価
ヒドロキシ化合物として、2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン,2,2−ビス−(4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン,2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−4−メチルペンタン,2,2−ビス−(4−ヒドロキ
シフェニル)オクタン,4,4′−ジヒドロキシ−2,2,2−
トリフェニルエタン,2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。一
般式(II)に分類される2価ヒドロキシ化合物として、
2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン,2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロ
ピルフェニル)プロパン,2,2−ビス−(4−ヒドロキシ
−3−sec.ブチルフェニル)プロパン,2,2−ビス−(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,2
−ビス−(4−ヒドロキシ−3−ターシャリーブチルフ
ェニル)プロパンなどが挙げられる。一般式(III)に
分類される2価ヒドロキシ化合物として、1,1′−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベ
ンゼン,1,1′−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。一般式
(IV)に分類されるビスフェノールとして、1,1−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが挙げら
れる。さらに、一般式(I),(II),(III)及び(I
V)からなる群から選択された2種又は3種以上の2価
ヒドロキシ化合物を組み合せた共重合ポリカーボネート
を製造することも可能である。
本発明の方法は、電子供与性アミン化合物の塩から選
択された触媒を用いてビスフェノールAのような2価の
ヒドロキシ化合物をビスフェニルカーボネートと溶融重
縮合反応させることによって実施される。
この反応が進む温度は、100℃以上から約300℃までの
範囲である。好ましくは130℃から280℃の範囲である。
130℃未満であると反応速度が遅くなり、280℃を越える
と副反応が起こりやすくなる。
触媒として用いる電子供与性アミン化合物の塩は、反
応系中に存在する2価フェノールに対して10-1モルから
10-5モルを必要とするが、好ましくは10-2モルから10-4
モルである。10-5モル未満であると触媒作用が少なくポ
リカーボネートの重合速度が遅くなり10-1モル以上であ
ると触媒として生成するポリカーボネートに残存する率
が高くなるのでポリカーボネートの物性低下をまねく。
また、ビスアリールカーボネートの必要量は反応系中
に存在する2価ヒドロキシ化合物と当モル必要である。
一般に高分子ポリカーボネートが生成するためにはカー
ボネート化合物1モルと2価のヒドロキシ化合物1モル
が反応しなければならない。ビスアリールカーボネート
を用いた場合、ヒドロキシ化合物2モルが前記反応によ
って生じる。これら2モルのヒドロキシ化合物は反応系
外に留去される。
以下に本発明を実施例について説明するが、本発明
は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例) 実施例1 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン22.8g
(0.1モル)と2−メチルイミダゾールの炭酸塩0.288g
(2×10-3モル),ビスフェニルカーボネート21.4g
(0.1モル)を加え窒素下、180℃で1時間攪はん後、徐
々に減圧にしながら昇温させ、最終的に0.1Torr,270℃,
1時間重縮合反応させ生成するフェノールを留去させ
て、無色透明なポリカーボネートを得た。粘度平均分子
量を測定するとv=27,000であった。また、ガラス転
移温度は150℃であった。
粘度平均分子量の測定方法は、20℃における塩化メチ
レン溶液の固有粘度[η]をウベローデ粘度計を用いて
測定し、次式を用いて粘度平均分子量vを計算した。
[η]=1.11×10-4(v)0.82 実施例2 実施例1と全く同様の条件下で2−メチルイミダゾー
ルの炭酸塩の代わりに4−ジメチルアミノピリジンの炭
酸塩0.0184g(1×10-4モル)を加え、窒素下、2時間
攪はん後、実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い無
色透明のポリカーボネートを得た。粘度平均分子量を測
定するとv=28,000であった。また、ガラス転移温度
は150℃であった。
実施例3 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン11.4g
(0.05モル),2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ターシ
ャリブチルフェニル)プロパン17.0g(0.05モル),イ
ミダゾールのしゅう酸塩0.113g(10-3モル)ビスフェニ
ルカーボネート21.4g(0.1モル)を窒素下、2時間攪は
ん後実施例1と同様の方法で重縮合反応を行い無色透明
のポリカーボネートを得た。このポリカーボネートの粘
度平均分子量v=25,000,ガラス転移温度は128℃であ
った。
実施例4 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン22.8g
(0.1モル),ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カー
ボネート42.1g(0.1モル),ジメチルアミノピリジンの
酢酸塩0.0182g(10-4モル)を窒素下、180℃1時間攪は
ん後、徐々に減圧しながら昇温させ最終的には、0.1Tor
r,280℃,1時間重縮合反応させ、生成する2,4,6−トリク
ロロフェノールを留去させて無色透明なポリカーボネー
トを得た。粘度平均分子量を測定するとv=27,500で
あった。また、ガラス転移温度は151℃であった。
比較例 実施例1と全く同条件下で2−メチルイミダゾールの
炭酸塩の代わりにピリジンの炭酸塩を用いて同様の処理
を行ったが、得られたポリカーボネートの粘度平均分子
量v=4,000であり、ポリカーボネートとしての形態
は成しているものの実用には適していない低分子量であ
った。
(発明の効果) 2価のヒドロキシ化合物とビスアリールカーボネート
から、電子供与性アミン化合物の塩を触媒として用いる
ことにより毒性のホスゲンを用いずに実質的に塩素イオ
ンを含まない高分子量で無色透明なポリカーボネートを
得ることができた。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子供与性アミン化合物の塩から選択され
    た触媒の存在下で2価のヒドロキシ化合物とビスアリー
    ルカーボネートとを溶融重縮合させ、生成するヒドロキ
    シ化合物を留去させることを特徴とするポリカーボネー
    トの製造法。
  2. 【請求項2】2価のヒドロキシ化合物が下記の式
    (I),(II),(III)又は(IV)で表される化合物
    である請求項1記載のポリカーボネートの製造法。 (R1,R2,R3,R4は水素又は炭素数1〜8の直鎖又は枝分
    れを含むアルキル基、又はフェニル基であり、Xはハロ
    ゲン原子で、n=1〜4、m=1〜4)
  3. 【請求項3】2価のヒドロキシ化合物が式(I),(I
    I),(III)及び(IV)からなる群から選ばれた2種又
    は3種以上である請求項2記載のポリカーボネートの製
    造法。
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