JP2733099B2 - 水性剥離剤 - Google Patents

水性剥離剤

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、主として紙やプラスチックフィルムを基材
とする感圧粘着テープまたはシートに用いられる水性の
剥離剤に関する。
一般に、感圧粘着テープ、シートなどにおいてはその
粘着面の保護のため、粘着剤塗布面に剥離紙を貼着する
か、ロール状に巻いてその粘着剤塗布面を基材の背面に
貼着することが行われている。この剥離紙の表面や基材
の背面には、使用時における剥離性を良くするために剥
離剤が塗布される。
[従来の技術] 従来、長鎖アルキル系の剥離剤としてポリビニルアル
コール−アクタデシルイソシアネート付加物(特公昭29
−7333号公報)、ポリエチレンイミン−オクタデシルイ
ソシアネート付加物(特公昭40−17661号公報)などの
溶剤型のものが知られていた。これらの剥離剤は品質面
では優れた性質を持つものの、塗工時に大量の有機溶剤
を使用するため、作業環境の悪化、公害など問題から溶
剤の回収行程を必要とする。さらに、近年の有機溶剤コ
ストの上昇や、技術革新により、すでに粘着剤が水系や
ホトメルトタイプに変ってきていることからも水性の剥
離剤の開発への要求が高まっている。
水性の剥離剤としては、酸性基を有するモノマーと、
その他のモノマーからなる共重合体のエマルジョンとオ
クタデシルエチレン尿素のエマルジョンとの混合物(特
公昭52−6385号公報)などが知られていた。しかし、こ
のようなエマルジョン混合物型の水性剥離剤では、塗布
後乾燥時に共重合体とオクタデシルエチレン尿素の反応
を行わせるために、高温で処理する必要があり、高温に
耐える基材にしか使用できないという問題があった。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明者らは、高温での熱処理が不用な水性の剥離剤
について検討を重ねた結果、ポリアミンとアルキルイソ
シアネートを水中撹拌下で反応させることにより水分散
体の形で得られた長鎖アルキルグラフトポリマーを用い
たものが、水性の剥離剤として非常に優れた性能を発揮
することを見いだし、本発明を完成するに至った。
[問題点を解決すための手段] 本発明はポリアミンとアルキルイソシアネートを反応
させて得られる長鎖アルキルグラフトポリマーを用いた
剥離剤であって、前記長鎖アルキルグラフトポリマー
は、ポリアミンとアルキルイソシアネートを水中撹拌下
で反応させることにより水分散体の形で得られたもので
あることを特徴とする水性剥離剤に関するものである。
以下本発明を詳しく説明する。
従来報告されている水性の剥離剤は、エチレン尿素
基、N−メチロール基、カルボン酸の金属塩、などの官
能基を持った長鎖アルキルと、これと反応し得る官能基
を持ち被膜形成能を持つ重合体をそれぞれエマルジョン
化した後に混合するというものであった。(特公昭52−
6385号公報、特公昭52−7883号公報)これらのものは、
エマルジョン状態で安定に存在させるために、反応性を
迎える必要があるにもかかわらず、塗工後短時間の乾燥
行程で反応を完結しなくてはならないと言う矛盾した要
求に答えるため、どうしても高温で反応させる必要があ
った。
これに対して、本発明の、水中撹拌下でポリアミンと
アルキルイソシアネートの反応を行なうことによって得
られる長鎖アルキルグラフトポリマーの水分散体からな
る水性剥離剤は保存安定性が良く、塗工後の乾燥行程で
反応を行う必要がないため高温処理が不用となり、高温
処理に耐えられないプラスチックフイルム等の基材を使
用している感圧粘着テープ、シートにも使用が可能であ
る。
本発明において用いられる長鎖アルキルグラフトポリ
マーは、ポリアミンと、炭素数が8以上のアルキル鎖を
有するアルキルイソシアネートを水中で反応させること
によって製造することができる。
本発明において用いられるポリアミンは、ポリエチレ
ンイミン、ポリプロピレンイミンなどのポリアルキレン
イミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミンなどのポリアルキレンポリア
ミン、エチレンジアミンとエピクロルヒドリンの縮合物
などのポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミ
ンなどの水溶性の高分子で、イソシアネートと反応し得
る活性水素を持っていれば良い。
本発明において用いられるアルキルイソシアネート
は、炭素数が8以上のアルキル基を有する1価のイソシ
アネートで、特に剥離性能と入手し易さの点から炭素数
が12〜30のアルキル基を有するものが望ましい。その例
としては、ドデシルイソシアネート、トリデシルイソシ
アネート、テトラデシルイソシアネート、ペタデシルイ
ソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、オクタデ
シルイソシアネート、ノナデシルイソシアネート、エイ
コデシルイソシアネートなどの長鎖アルキルイソシアネ
ートがあげられる。
本発明において用いられる長鎖アルキルグラフトポリ
マーは、上記のポリアミンとアルキルイソシアネートを
水中撹拌下で反応させることにより製造され、例えば、
ポリアミンの水溶液中にアルキルイソシアネートを加
え、強く撹拌することによりアルキルイソシアネートを
乳化し、乳化状態でポリアミンとの反応を行うことによ
り水分散体の形で得ることができる。
このとき、アルキルイソシアネートは希釈せずに加え
ることが出来るほか、乳化分散性の向上のため、少量の
有機溶剤で希釈して加えることも出来る。溶剤としては
水と自由に混合しないものが好適で、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族系の溶媒や、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族系の溶媒、酢酸
エチル、酢酸ブチルなどのエステル系の溶媒などが使用
できる。反応終了後、溶剤は必要に応じて除去してもよ
い。
アルキルイソシアネートの付加率には特に限定はない
が、ポリアミンのアミノ基に対し0.6〜1.0モル等量付加
してあることが望ましい。
本発明の水性剥離剤は、分散安定化の目的で界面活性
剤を含んでいてもよい。界面活性剤には特に制限はない
が、乳化に際してO/W型のエマルジョンを作り得る比較
的親水性の高いものが好適である。具体的な例として
は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリ
オキシエチレンステアリルエーテルなどのノニオン系界
面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオ
ン系界面活性剤、またはステアリルアミンアセテート、
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのカ
チオン系界面活性剤などが使用できる。
本発明の水性剥離剤は、一般の塗布機器で塗布でき
る。具体的な例としてはロールコーター、グラビアコー
ター、リップコーターなどが挙げられる。
また、本発明の塗布できる基材としてはポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエステル、セロファンなどの
プラスチックフィルムや、上質紙、クラフト紙、クレー
プ紙、グラシン紙などの他含浸紙、プラスチックコート
紙などの目止めをほどこした紙、布などが挙げられる。
本発明の水性剥離剤をポリエステル、セロファン、ポ
リプロピレンなどのプラスチックフィルムに塗布するに
当たっては、塗布液中に必要に応じて親水性の有機溶剤
を添加してもよい。特に、低分子量のアルコール類が好
適で、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、n−プロパノールなどが使用できる。また、
市販の湿潤剤、濡れ性向上剤、具体的な例としては、サ
ーフィノール465(日信化学工業(株))Byk−181(ビ
ックケミー・ジャパン(株))、Nopcpwet SN−20T
(サンノブコ(株))なども使用できる。
[実 施 例] 以下の実施例で、本発明について具体的に説明する
が、これにより限定されることはない。
合成例1 トリエチレンテトラミン1.9gと、ノニオン系界面活性
剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(HLB
17.5)3.0gを68.7gの水に完全に溶解した。これに、1
3.2gのオクタデシルイソシアネートを13.2gのヘキサン
に溶解したものを加え、25℃に保ちながらホモジナイザ
ーで30分間撹拌し、トリエチレンテトラミン−オクタデ
シルイソシアネート付加物水分散体を得た。
合成例2 ポリエチレンイミン(平均分子量1800)2.3gと、カチ
オン系界面活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウム
クロライド(固形分63重量%)4.8gを67.5gの水に完全
に溶解した。これに、12.7gのオクタデシルイソシアネ
ートを12.7gの酢酸エチルに溶解したものを加え、25℃
に保ちながらホモジナイザーで30分間撹拌し、ポリエチ
レンイミンオクタデシルイソシアネート付加物水分散体
を得た。
合成例3 ポリエチレンイミン(平均分子量10000)2.3gと、カ
チオン系界面活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド(固形分63重量%)4.8gを67.5gの水に完
全に溶解した。これに、12.7gのオクタデシルイソシア
ネートを12.7gのトルエンに溶解したものを加え、25℃
に保ちながらホモジナイザーで30分間撹拌し、ポリエチ
レンイミン−オクタデシルイソシアネート付加物水分散
体を得た。
合成例4 ポリアリルアミン(平均分子量10000)2.8gと、カチ
オン系界面活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウム
クロライド(固形分63重量%)4.8gを68.0gの水に完全
に溶解した。これに、12.2gのオクタデシルイソシアネ
ートを12.2gのトルエンに溶解したものを加え、25℃に
保ちながらホモジナイザーで30分間撹拌し、ポリアリル
アミン−オクタデシルイソシアネート付加物水分散体を
得た。
実施例1 合成例1の水分散体を水で希釈し、有効成分0.6重量
%の塗布液を調整し、下記の方法で性能試験を行った。
結果を表−1に示す。
実施例2 合成例2の水分散体を、10重量%のイソプロパノール
水溶液で希釈し、有効成分0.6重量%の塗布液を調整
し、下記の方法で性能試験を行った。結果を表−1に示
す。
実施例3 合成例3の水分散体を、10重量%のn−プロパノール
水溶液で希釈し、有効成分0.6重量%の塗布液を調整
し、下記の方法で性能試験を行った。結果を表−1に示
す。
実施例4 合成例4の水分散体を、湿潤剤(日信化学工業製 サー
フィノール465)の0.05重量%水溶液で希釈し有効成分
0.6重量%の塗布量を調整し、下記の方法で性能試験を
行った。結果を表−1に示す。
比較例1 ポリエチレンイミン−オクタデシルイソシアネート付
加物を、トルエンで固形分0.6重量%に希釈したものを
塗布液とし、下記の方法で性能試験を行った。結果を表
−1に示す。
比較例2 ポリビニルアルコール−オクタデシルイソシアネート
付加物を、トルエンで固形分0.6重量%に希釈下物を塗
布液とし、下記の方法で性能試験を行った。結果を表−
1に示す。
比較例3 ポリエチレンイミンを、10重量%のn−プロパノール
水溶液で固形分0.6重量%に希釈したものを塗布液と
し、下記の方法で性能試を行った。結果を表−1に示
す。
比較例4 ブランクとして、剥離剤を全く塗布していないOPP、P
ETフィルムおよび紙について、下記の方法で性能試験を
行った。結果を表−1に示す。
[剥離性能試験法] 上記の塗布液をバーコーターで二軸延伸ポリプロピレ
ン(以後OPP)、ポリエチレンテレフタレート(以後PE
T)フィルムのコロナ放電処理面および上質紙に塗布し
た。このときの塗布量は、0.04g/m2に相当する。100℃
で2分間乾燥した後、塗布面にゴム系粘着テープ(積水
化学製 オリエンテープ)を自重2kgのローラーで圧着
し、テープの大きさに切断したものを試験片とした。
剥離性能は、上記試験片を60℃、85%RHで4日間保存
したものについて、剥離抵抗と、残存粘着力を測定する
ことにより評価した。剥離抵抗は、剥離速度300mm/min
の90゜剥離時の抵抗として、残存粘着力は、試料片のテ
ープを、ステンレスのテストパネルに貼り直し、剥離速
度300mm/minの180゜剥離時の抵抗として測定した。
[希釈安定性試験法] 上記の各水分散体をそれぞれ水で有効成分1重量%に
希釈し、試験管に入れて24時間静置後の様子を下記の基
準の基づいて評価した。
○ : 全体が均一で、全く変化無し × : 2層分離している。
[筆記性試験方法] 上記のOPPフィルムの剥離剤塗布面に水性のボールペ
ンで線を描き、水性インクのはじきを調べた。
○:はじかない △:ややはじくが描ける ×:はじいて描けない [発明の効果] 本発明の剥離剤は、水性でありながら溶剤系の剥離剤
と同等の性能を有し、塗工性、透明性に優れ、紙やポリ
エステル、セロファン、OPPなどのプラスチックフィル
ムなど、広範な基材の感圧粘着テープまたはシートの背
面処理等に用いることができる。
また長鎖アルキル系剥離剤の長所である適度な剥離性
を持ち、重ね貼性、筆記性についても良好に維持されて
いる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−144905(JP,A) 特開 昭52−25106(JP,A) 特開 昭52−6385(JP,A) 特公 昭40−17661(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミンとアルキルイソシアネートを反
    応させて得られる長鎖アルキルグラフトポリマーを用い
    た剥離剤であって、前記長鎖アルキルグラフトポリマー
    は、ポリアミンとアルキルイソシアネートを水中撹拌下
    で反応させることにより水分散体の形で得られたもので
    あることを特徴とする水性剥離剤。
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DE69016293T DE69016293T2 (de) 1989-07-19 1990-07-19 Verfahren zur Herstellung einer wässerigen Dispersion eines langkettigen Alkylpfropfpolymers sowie wässeriges Trennmittel.
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